トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般




【発明の名称】 同時重層用エクストルージョン型コータ及びそれを用いる塗布方法
【発明者】 【氏名】赤木 清
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【要約】 【課題】同時重層用エクストルージョン型コータを用いて高粘度、高揮発性の有機溶剤系の塗布液を塗布する際、リップ近傍における塗布液の乾燥・固化付着を防止した同時重層用エクストルージョン型コータ及び塗布方法の提供。

【解決手段】バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ、有機溶剤系塗布液を2層以上同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータにおいて、最上流側に有機溶剤吐出用のスリットを有していることを特徴とする同時重層用エクストルージョン型コータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ、有機溶剤系塗布液を2層以上同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータにおいて、最上流側に有機溶剤吐出用のスリットを有していることを特徴とする同時重層用エクストルージョン型コータ。
【請求項2】 請求項1に記載の同時重層用エクストルージョン型コータを用いて、バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ有機溶剤系塗布液を塗布する塗布方法において、前記同時重層用エクストルージョン型コータは塗布位置以外に位置する時のみ、有機溶剤吐出用のスリットより有機溶剤を吐出させることを特徴とする塗布方法。
【請求項3】 バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ、有機溶剤系塗布液を2層以上同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータにおいて、最上流側のリップに繋がる傾斜部に有機溶剤流出部を設けてあることを特徴とする同時重層用エクストルージョン型コータ。
【請求項4】 請求項3に記載の同時重層用エクストルージョン型コータを用いて、バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ有機溶剤系塗布液を塗布する塗布方法において、前記同時重層用エクストルージョン型コータは、前記同時重層用エクストルージョン型コータが塗布位置以外に位置する時のみ、最上流側のリップに繋がる傾斜部に設けた有機溶剤流出部から有機溶剤を流出させることを特徴とする塗布方法。
【請求項5】 バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ、有機溶剤系塗布液を2層以上同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータにおいて、最上流側のリップに繋がる傾斜部を覆う部材を有する移動可能な液受けチャンバを有していることを特徴とする同時重層用エクストルージョン型コータ。
【請求項6】 請求項5に記載の同時重層用エクストルージョン型コータを用いてバックロールで塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ有機溶剤系塗布液を塗布する塗布方法において、前記同時重層用エクストルージョン型コータが塗布位置以外に位置する時にはスリットから吐出した塗布液を液受けチャンバが受け取り、前記同時重層用エクストルージョン型コータが塗布位置に存在する時には液受けチャンバが別位置に移動し洗浄されることを特徴とする塗布方法。
【請求項7】 バックロールにより塗布反対面から塗布位置が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ、有機溶剤系塗布液を2層以上同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータにおいて、最上流側のリップに繋がる傾斜部に固定式の液受けチャンバを有していることを特徴とする同時重層用エクストルージョン型コータ。
【請求項8】 請求項7に記載の同時重層用エクストルージョン型コータを用いてバックロールで塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ有機溶剤系塗布液を塗布する塗布方法において、前記同時重層用エクストルージョン型コータの最上流側のリップに繋がる傾斜部に設けられた液受けチャンバは、塗布時及び前記同時重層用エクストルージョン型コータの清掃後、有機溶剤で満たされていることを特徴とする塗布方法。
【請求項9】 前記有機溶剤系塗布液が、熱現像感光材料用の塗布液であることを特徴とする請求項1、3、5、7の何れか1項に記載の同時重層用エクストルージョン型コータ。
【請求項10】 前記有機溶剤系塗布液が、熱現像感光材料用の塗布液であることを特徴とする請求項2、4、6、8の何れか1項に記載の塗布方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バックロールで塗布反対面が保持され、連続搬送される帯状支持体へ有機溶剤系の塗布液を塗布する同時重層用エクストルージョン型コータ(以下、単にコータともいう)及びそれを用いる塗布方法に関し、更に詳しくは、高粘度、高揮発性の有機溶剤系の塗布液を塗布する際、コータの最上流側のリップ部及び近傍部における塗布液の乾燥及び堆積を防止し、安定に塗布することを可能とするコータ及びそれを用いる塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より連続走行する帯状支持体(以下、支持体ともいう)に塗布液を塗布する方法として次の二通りの塗布方法が知られている。一つは、あらかじめ必要な塗布液膜形成量よりも余剰な塗布液を支持体上に吐出させ、その後なんらかの掻き取り手段で余剰分を取り除く後計量型塗布方式である、ブレード塗布法、エアーナイフ塗布法、ワイヤーバー塗布法、グラビア塗布法、リバース塗布法、リバースロール塗布法が知られている。
【0003】他の一つは、必要な塗布液膜を形成する量だけ塗布液を吐出させて支持体上に塗布液を塗布する前計量型塗布方式である、エクストルージョン型コータを用いたエクストルージョン塗布法、スライド型コータを用いたスライド塗布法、カーテン塗布法である。
【0004】一般的に感光材料や磁気記録材料等の塗布装置は、塗布精度の高さ、高品位性、高速、薄膜、多層同時塗布適性等が要求されており、この観点からスライド型コータあるいはエクストルージョン型コータが広く用いられている。特に、沸点が90℃以下の高揮発性溶剤を用い、粘度が10mPa・sec以上の高粘度である塗布液を使用する熱現像感光材料の場合は、一般的にはエクストルージョン型コータが用いられている。これら塗布方法の内、エクストルージョン型コータを用いたエクストルージョン塗布法に付き図で概略を説明する。
【0005】図10はバックロールで塗布反対面が保持された帯状支持体の保持部へ、エクストルージョン型コータを用いたエクストルージョン塗布法による塗布を示す模式図である。
【0006】帯状支持体1は巻き出し部(不図示)より支持体清掃手段(不図示)を経てバックロール2により保持され、図中の矢印方向(図中下から上)である上流から下流に向かって連続搬送され、塗布液膜乾燥室(不図示)を通過し巻き取られる。その際、バックロール2に対向して配置されるコータ3により塗布液が帯状支持体1上に塗布される。なお、塗布工程で塗布液膜の未乾燥によるロール汚れ等の問題となる塗布開始部および塗布終了部における厚膜部分を除去もしくは防止する機構が具備されていることが一般的である。
【0007】Zはコータ3より塗布液が押し出され帯状支持体1へ塗布が行われる塗布開始点を示し、4は帯状支持体1に塗布された塗布層を示す。塗布開始点は通常、バックロール2の中心を通る水平軸より下方30〜70度の位置が好ましい。
【0008】塗布液は塗布液供給部5の供給釜501より供給ポンプ503により濾過装置504を通過したのち配管502を通してコータ3に供給される。
【0009】コータ3は塗布位置と待機位置(不図示)とを移動させるためのステージ6と、液受けチャンバ7を具備している。さらに濾過装置による塗布液の濾過はANSI1393 31−1973に従った試験法による絶対濾過精度または準絶対濾過精度が50μm以下の濾材を少なくとも1回は通過させることが多い。液受けチャンバは塗布位置にある際にはバックロールに巻きまわされる支持体と接触しない位置に配設されており、塗布液の性質や塗布の必要性に合わせて塗布中に減圧されることもある。供給釜や配管は接液部を洗浄しやすいようにフッ素加工等の撥水処理する場合もある。
【0010】液受けチャンバ7は、塗布開始時に邪魔にならないコータ3から離れた下に配置され、ステージ6に着脱可能に固定(不図示)されている。液受けチャンバ7は、塗布吐出量を決定するためコータから吐出する塗布液を受け、床上に塗布液がこぼれることを防止している。又、塗布途中でコータを清掃するときも同様である。
【0011】コータ3は塗布液供給量にて塗布膜厚が決定されるいわゆる前計量型であるため、塗布液供給精度は高い精度を要求され、吐出量変動を極力低減するため、供給ポンプとしては、精密計量型ギヤポンプやプランジャーポンプ等の高精度送液ポンプや流量制御等を用いる場合が多い。供給部には、必要に応じて配管各所にバルブ、液排出口、フィルター、流量計、脱泡機、熱交換機、攪拌機等のいずれかを併用する場合が多い。
【0012】本発明において上流側とは、コータ3を基準として、帯状支持体1の繰り出される側を示し、下流側とは反対側を示す。バックロール2により塗布反対面が保持され、搬送される帯状支持体1の保持部に、コータ3より塗布液が吐出され塗布が行われる。
【0013】図10で示される塗布方式の場合は、帯状支持体1の塗布反対面のバックロール2により帯状支持体1の平面性が保持されることで均一な塗布膜厚が得られ易い塗布方式であることが知られている。
【0014】バックロールとはコータ3と帯状支持体1を挟んで帯状支持体1の塗布反対面側に設置された搬送ロールを指し、その円筒度がコータ3と同様に塗布幅手間隙精度に影響大のため、200mm以上と大径の金属で構成されている。
【0015】図11は図10のXで示される部分の拡大概略断面図である。図中301a〜301dはコータ3を構成しているバーを示し、ボルト(不図示)で固定されている。302a〜302dは各バーの先端のリップを示す。リップは上流側と下流側で長さは同じでも異なっていても良い。また、その長さは通常0.5mm〜3mm程度の範囲で設定されている。
【0016】303a〜303cは各バーとバーとの平面で構成されているスリットを示す。スリットの間隙値は通常0.05mm〜2mmの間で塗布液の粘度等物性値から決定される。ただし、塗布幅方向の間隙値のばらつきは2%以下に設定している。
【0017】304a〜304cは各バーとバーとの間に設けられ、コータ3の幅方向に延設されたポケットを示す。ポケットの形状は本図では半円形状を示しているが角形形状、楕円形状であっても良い。
【0018】305a〜305cはポケット304a〜304cに塗布液を供給する塗布液の供給口を示す。塗布液の供給口の大きさは任意であり、その位置は通常コータ塗布幅方向中央である。
【0019】306はコータ3を構成している最上流側のリップ302aに繋がるバー301aの傾斜部を示す。尚、本発明では、リップ302a及びリップ302aと繋がる傾斜部306のリップに近い部分を含めてリップ近傍という。
【0020】307a〜307cは各バーのエッジを示し、308a〜308cは各塗布液が吐出する吐出口を示す。
【0021】液受けチャンバ7は矩形の底部701の周縁部に沿って立ち上げた側壁702を持ち、上部が開放された箱形構造をしており、コータ3の幅と同じ幅を有している。703は排出口を示し、液受けチャンバ7に排出された塗布液は排出口703より排出される。
【0022】本図において、上流側とは図中の矢印方向(図中下から上)を指し、帯状支持体1が繰り出されて来る側である。本図のコータ3では最上流側のリップとは302aを指す。本図で示すコータ3は、3層同時塗布用を示してあるが、これらコータは必要とする塗布層の数に合わせ、バーの数を増減することで、ポケット、スリットを構成させることができる。コータの塗布幅端部は様々な幅規制手段やサイドプレート等で所望の塗布幅を得られるように封止されている。
【0023】図10において、コータ3を使用したエクストルージョン塗布法の場合、必要な塗布液膜を形成する量だけ塗布液を吐出させて支持体上に塗布液を塗布する前計量型塗布方式であるため、塗布前に塗布位置とは別の場所で、ポンプにより塗布液を規定流量で送液し、スリット清掃やリップ清掃などの準備作業を行い、その後塗布流量を設定した後、支持体を規定速度で走行させてからステージ6を移動させコータ3を所定の塗布位置へ移動させることにより塗布を開始する。また、所定の塗布位置は、液受けチャンバでの減圧や塗布液物性、塗布性などにより任意に設定できる。バックロール上の支持体とコータのリップとの最も狭い間隙が通常は支持体上に塗布される塗布液膜厚みの5倍以下である。
【0024】塗布終了時又は故障時はステージ6を移動させコータ3を所定の待機位置に移動させることにより行う。なお、移動の際、塗布液は送液したままでも一旦停止してもよいが、本発明のような高粘度、高揮発性有機溶剤系の塗布液では、送液を一旦止めてしまうとスリットやその近傍で塗布液が固化してしまうため、塗布液を吐出したまま移動を行う。
【0025】この時、コータ3から吐出する塗布液は、殆どは液受けチャンバ7に流れ込み廃液として処理されるが、コータ3の最上流側のリップ302aに繋がる傾斜部306に周り込み、乾燥・固化し付着し、リップ近傍を汚してしまう。
【0026】特に、沸点が90℃以下の高揮発性の有機溶剤を用い、粘度が10mPa・sec以上の高粘度である熱現像感光材料用塗布液の場合は流下速度が遅いため、乾燥・固化付着が早く、付着量も多い。
【0027】エクストルージョン型コータを用いて塗布を行う場合、スリット内部、エッジ、リップ、リップ近傍等に気泡や、微小の異物の詰り、付着が発生するため、塗布液の流量、流速が変わり、安定した塗布液の流れが得られなくなり、塗布故障が生じることが知られている。
【0028】特に、塗布中断で塗布液供給を一旦停止すると、吐出口に残留する塗布液は、その溶剤等が蒸発して液表面が乾燥し皮膜となる。そしてこの皮膜は塗布開始時において、吐出口から塗布層中へ押出され、塗布故障を発生させたり、又は、エッジ、リップに付着し、塗布層に「縦スジ」を発生させることが知られている。
【0029】このため、通常は塗布液の乾燥に伴う皮膜形成を避けるため、塗布液を流しながら、スリット内部、エッジ、リップに付着した気泡や、微小の異物を除去した後に塗布を再開している。しかし、清掃は塗布液を流しながら行うので、塗布液がコータ3の傾斜部306に回り込み、塗布開始の時に乾燥・固化し付着した付着物の上に更に堆積してしまう。
【0030】有機溶剤を含む塗布液を、連続で長時間塗布を行う場合、数時間毎に塗布を中断し、塗布液を流しながらスリット内部、エッジ、リップに付着してくる異物を除去した後に塗布を行っている場合が多い。
【0031】しかしながら、傾斜部306に回り込み乾燥・固化し付着した付着物の除去は、塗布液を流しながらであるため清掃し難く、放置している場合が多い。付着物を放置しておくと次第に付着物の上に堆積していき、やがて支持体と接触するようになるので、状態を見て、傾斜部306に付着している固形物を除去するため、塗布を中止して清掃作業を行わなければならず、清掃作業に時間が掛かり、工程の稼働率を下げている一因にもなっている。
【0032】有機溶剤を用いた塗布液をコータ3を用いて塗布する場合、塗布開始前の塗布液吐出量設定時及びコータ3のスリット内部、エッジ、リップの清掃時、最上流側のリップ302aに繋がる傾斜部306に回り込み、乾燥・固化し付着物の清掃を容易にする同時重層用エクストルージョン型コータ及び塗布方法の開発が望まれている。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、同時重層用エクストルージョン型コータを用いて高粘度、高揮発性の有機溶剤系の塗布液を塗布する際、リップ近傍における塗布液の乾燥・固化付着を防止した同時重層用エクストルージョン型コータ及び塗布方法を提供することである。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0035】1)バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ、有機溶剤系塗布液を2層以上同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータにおいて、最上流側に有機溶剤吐出用のスリットを有していることを特徴とする同時重層用エクストルージョン型コータ。
【0036】2)1)に記載の同時重層用エクストルージョン型コータを用いて、バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ有機溶剤系塗布液を塗布する塗布方法において、前記同時重層用エクストルージョン型コータは塗布位置以外に位置する時のみ、有機溶剤吐出用のスリットより有機溶剤を吐出させることを特徴とする塗布方法。
【0037】3)バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ、有機溶剤系塗布液を2層以上同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータにおいて、最上流側のリップに繋がる傾斜部に有機溶剤流出部を設けてあることを特徴とする同時重層用エクストルージョン型コータ。
【0038】4)3)に記載の同時重層用エクストルージョン型コータを用いて、バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ有機溶剤系塗布液を塗布する塗布方法において、前記同時重層用エクストルージョン型コータは、前記同時重層用エクストルージョン型コータが塗布位置以外に位置する時のみ、最上流側のリップに繋がる傾斜部に設けた有機溶剤流出部から有機溶剤を流出させることを特徴とする塗布方法。
【0039】5)バックロールにより塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ、有機溶剤系塗布液を2層以上同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータにおいて、最上流側のリップに繋がる傾斜部を覆う部材を有する移動可能な液受けチャンバを有していることを特徴とする同時重層用エクストルージョン型コータ。
【0040】6)5)に記載の同時重層用エクストルージョン型コータを用いてバックロールで塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ有機溶剤系塗布液を塗布する塗布方法において、前記同時重層用エクストルージョン型コータが塗布位置以外に位置する時にはスリットから吐出した塗布液を液受けチャンバが受け取り、前記同時重層用エクストルージョン型コータが塗布位置に存在する時には液受けチャンバが別位置に移動し洗浄されることを特徴とする塗布方法。
【0041】7)バックロールにより塗布反対面から塗布位置が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ、有機溶剤系塗布液を2層以上同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータにおいて、最上流側のリップに繋がる傾斜部に固定式の液受けチャンバを有していることを特徴とする同時重層用エクストルージョン型コータ。
【0042】8)7)に記載の同時重層用エクストルージョン型コータを用いてバックロールで塗布反対面が保持され、上流から下流に向かって連続搬送される帯状支持体へ有機溶剤系塗布液を塗布する塗布方法において、前記同時重層用エクストルージョン型コータの最上流側のリップに繋がる傾斜部に設けられた液受けチャンバは、塗布時及び前記同時重層用エクストルージョン型コータの清掃後、有機溶剤で満たされていることを特徴とする塗布方法。
【0043】9)前記有機溶剤系塗布液が、熱現像感光材料用の塗布液であることを特徴とする1)、3)、5)、7)の何れか1項に記載の同時重層用エクストルージョン型コータ。
【0044】10)前記有機溶剤系塗布液が、熱現像感光材料用の塗布液であることを特徴とする2)、4)、6)、8)の何れか1項に記載の塗布方法。
【0045】発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を加えた結果、最上流のリップ部近傍に塗布液が乾燥・固化付着し堆積するのは、塗布液吐出量設定時及びコータ清掃時に塗布液が高揮発性の有機溶剤を使用し高粘度の場合、コータから吐出する塗布液が、リップ部に繋がる傾斜部を流下するとき、有機溶剤が蒸発、固化し付着する。一旦、付着が生じると付着箇所で流れが更に悪くなり、更にその場所で塗布液の蒸発、固化が生じ堆積していくことが判明した。
【0046】これらに対して、リップ部に繋がる傾斜部に塗布液の蒸発固化による付着を防止するには1)傾斜部を塗布液が流下するとき、塗布液の吐出量を増加することなく、流下速度を早くすること、2)傾斜部に塗布液を流下させないことで改良されることが判明し、本発明に至った次第である。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図11を参照しながら、本発明の実施形態に係わるコータとこれらのコータを使用した塗布方法に付いて説明する。
【0048】本発明で、2層以上同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータとは、2〜7層を同時に塗布する同時重層用エクストルージョン型コータをいう。
【0049】図1は図11で示すコータの最上流側に有機溶剤の吐出用のスリットを設けたコータの概略断面図である。
【0050】図中、3aは最上流側に有機溶剤の吐出用のスリット303eを設けたコータを示す。301eは有機溶剤の吐出口308eを、最上流側のリップ302aの上流側に設けるためのバーを示し、303eは有機溶剤の吐出用のスリットを示し、309は吐出口308eから吐出した有機溶剤が流下する傾斜部を示し、304eは有機溶剤をコータの幅方向に広げるためのポケットを示し、305eは有機溶剤の供給口を示す。8はバー301eの傾斜部309に着脱可能に取り付けられた液受けチャンバを示す。
【0051】液受けチャンバ8は矩形の底部801の周縁部に沿って立ち上げた側壁802を持ち、上部が開放された箱形構造をしており、コータ3aの幅と同じ幅を有している。803は排出口を示し、液受けチャンバ8に排出された塗布液及び有機溶剤は排出口803より排出される。804は液受けチャンバ8を着脱可能に取り付けるためのネジを示す。他の符号は図11と同義である。
【0052】有機溶剤の吐出口308eは最上流側のリップ302aに近ければ近いほどよいが、あまりに近すぎると塗布故障を逆に発生させてしまう恐れもあるため塗布液の性質も考慮して実験的に位置を決定する必要がある。また、有機溶剤の吐出用のスリット303eの間隙は任意であるが、通常10〜200μmが好ましい。10μm未満では吐出量が不足して塗布液を早く流下させることが出来ず、塗布液の種類によっては乾燥・固化防止に効果がない場合がある。200μmを越えた場合は、有機溶剤が多量に必要となり、有機溶剤の吐出量が少ない場合、塗布液が流入する場合がある。吐出量は塗布液総吐出量の1/10〜1/2が好ましい。1/10未満の場合は、吐出量が不足して、塗布液全てを流下させることができない場合があり、1/2を越えた場合は、有機溶剤が塗布液の種類によっては過剰となる場合がある。
【0053】本図で示されるコータの場合、傾斜部309を流下する有機溶剤層の上に各スリットから吐出した塗布液が乗り、傾斜部309を流下し液受けチャンバ8に流れ込み廃液処理される。この場合、下層の有機溶剤層がスリップ層の働きをし、塗布液の流下を助ける。特に、沸点が90℃以下の高揮発性の有機溶剤を用い、粘度が10mPa・sec以上の高粘度である熱現像感光材料用塗布液の場合は流下速度が遅いため、単独では乾燥・固化し付着していたが、本発明の方式により流下速度が速くなり、乾燥・固化による付着を防止することが可能となり、今まで清掃に掛けていた時間が不要となり、工程の稼働率を上げることが出来た。
【0054】図2は図1に示されるコータを使用した塗布液の吐出量設定から塗布を終了し、コータ清掃までの過程を示すフロー図である。
【0055】S1では、コータ3aが待機位置にいる状態で、有機溶剤の吐出口308eから有機溶剤を規定量吐出させる。吐出した有機溶剤は傾斜部309に沿って流下し、液受けチャンバ8に流れ込み廃液処理される。
【0056】S2では、有機溶剤を吐出した状態で、塗布液の吐出量を設定するために各スリットから塗布液が吐出される。コータの各スリットから吐出する塗布液は、リップに沿って流下し、傾斜部309に沿って流下する有機溶剤の上に乗り、傾斜部309を流下し、液受けチャンバ8に流れ込み廃液処理される。
【0057】S3では、塗布液の吐出量を設定するために各スリットから塗布液が吐出されるのに合わせ、塗布液が吐出されている状態でコータ3aのスリット内部、エッジ、リップ、傾斜部の清掃を行う。
【0058】S4では、塗布液の吐出量が設定された後、コータ3aは塗布位置に移動し設置される。
【0059】S5では、塗布が開始する。S6では、塗布が開始された段階で有機溶剤の吐出が停止される。
【0060】S7では、塗布が終了した段階で、有機溶剤の吐出が始まる。S8では、コータ3aを待機位置に移動させる。
【0061】S9では、コータ3aのスリット内部、エッジ、リップ、傾斜部の清掃を行い、一連の作業が終了する。
【0062】図3は図1に示されるコータを使用した塗布の途中で塗布故障のため塗布を中断し、コータを清掃後、再度塗布液の吐出量設定から塗布を終了し、コータ清掃までの過程を示すフロー図である。
【0063】S1では、塗布の途中で塗布スジ故障の発生が検出される。S2では、塗布途中で塗布スジ故障の発生が検出された段階で、有機溶剤の吐出口308eから有機溶剤を規定量吐出させる。吐出した有機溶剤は傾斜部309に沿って流下し、液受けチャンバ8に流れ込み廃液処理される。
【0064】S3では、コータ3aを待機位置に移動する。S4では、コータのスリット内部、リップ等を清掃する。
【0065】S5では、清掃終了後、塗布位置に移動する。以降のS6〜10は図2のS5〜9と同じなので説明は省略する。
【0066】図4は図11で示すコータの最上流のリップ302aに繋がる傾斜部306に有機溶剤流出部を設けたコータの概略図である。図4の(a)は、傾斜部306に有機溶剤流出部を設けたコータの概略断面図である。図4の(b)は、傾斜部306に設けられた有機溶剤流出部の一部破断図を含む概略側面図である。図4の(c)は、図4の(a)のA−A′に沿った概略矢視図である。
【0067】図中、3bは最上流のリップ302aに繋がる傾斜部306に有機溶剤流出部を設けたコータを示す。9は有機溶剤流出部を示す。有機溶剤流出部9は、傾斜部306の面に直角に交わる矩形の底部901と、底部901の傾斜部306の面と接する長辺を除いた周縁より立ち上げた側壁902、903を有し、上面が開放され、傾斜部306の面とで箱を形成している。902は底部901の長辺より立ち上げた側壁を示し、903は底部901の短辺より立ち上げた側壁を示す。904は側壁903に設けられた有機溶剤供給管を示す。905は有機溶剤流出部9を傾斜部306に取り付けるためのネジを示す。ネジ905で取り付けることで着脱可能となっている。906は有機溶剤の流出口を示す。Lは傾斜部306の面と有機溶剤流出部9の側壁902の内側との距離を示す。他の符号は図11と同義である。
【0068】有機溶剤の流出口906は上流側のリップ302aに近ければ近いほどよいが、あまりに近すぎると塗布故障を逆に発生させてしまう恐れもあるため塗布液の性質も考慮して実験的に位置を決定する必要がある。また、距離Lは任意であるが、通常10〜200μmが好ましい。10μm未満では流出量が不足して塗布液を早く流下させることが出来ず、塗布液の種類によっては乾燥・固化防止に効果がない場合がある。200μmを越えた場合は、有機溶剤が多量に必要となり、有機溶剤の流出量が少ない場合、塗布液が流入する場合がある。
【0069】有機溶剤の流出量は塗布液総流量の1/10〜1/2が好ましい。1/10未満の場合は、流出量が不足して、塗布液全てを流下させることができない場合があり、1/2を越えた場合は、有機溶剤が塗布液の種類によっては過剰となる場合がある。
【0070】本図で示される、コータを使用し塗布液の吐出量を設定する場合及びコータを清掃する場合、有機溶剤流出部9の有機溶剤流出口906より流出された有機溶剤は有機溶剤流出部9の側壁902の外側に沿って流下する。コータの各スリットから吐出する塗布液は、リップ302aに沿って流下し、次ぎに側壁902の外側に沿って流下している有機溶剤の上に乗り、側壁902の外側を流下する。
【0071】この場合、傾斜部306は有機溶剤に覆われているため、塗布液の乾燥・固化による付着は生じない。又、有機溶剤流出部9の側壁902は、最下層となる有機溶剤がスリップ層の働きをし、塗布液の流下を早くするため、塗布液の乾燥・固化による付着は生じない。
【0072】本発明の方式により、傾斜部306の塗布液の乾燥・固化による付着がなくなり、今まで清掃に掛けていた時間が不要となり、工程の稼働率を上げることが出来た。又、有機溶剤流出部9も着脱が可能であること及び、塗布液の乾燥・固化による付着がないため、有機溶剤流出部9の清掃も容易であるため、今まで清掃に掛けていた時間が不要となり、工程の稼働率を上げることが可能となった。
【0073】尚、図4で示されるコータを使用した場合の塗布液の吐出量設定から塗布を終了し、コータ清掃までの過程は有機溶剤が流出する場所が異なるだけで、図1で示したコータの場合と同じであるので省略する。又、塗布の途中で塗布故障のため塗布を中断し、コータを清掃後、再度塗布液吐出量設定から塗布を終了し、コータ清掃までの過程は、図1で示したコータの場合と同じであるので省略する。
【0074】図5は図11で示すコータの最上流側のリップに繋がる傾斜部306を覆う側壁を有する液受けチャンバを、傾斜部306に設けたコータの概略断面図である。
【0075】図中、3cは最上流側のリップに繋がる傾斜部306を覆う側壁を有する液受けチャンバ10を傾斜部306に設けたコータを示す。101は液受けチャンバ10の矩形の底部を示し、102aは底部101のバックロール2側の長辺に沿って立ち上げた側壁を示し、102bはコータ3c側の長辺に沿って立ち上げた側壁を示し、102cは底部101の短辺に沿って立ち上げた側壁を示す。コータ3c側の側壁102bの上部にはコータ3cの傾斜部306の角度に合わせ、傾斜部306を覆う部材103が配設され、上部が開放された箱形構造をしている。尚、液受けチャンバ10の幅はコータ3cの幅と同じ幅を有している。104は排出口を示し、液受けチャンバ10に排出された塗布液は排出口104より排出される。他の符号は図11と同義である。
【0076】本図で示される液受けチャンバ10は、移動手段(不図示)により、コータ3の移動に応じて移動することができる方式でも良いし、傾斜部306に着脱可能にネジで固定してもかまわない。部材103はコータ3cの傾斜部306のリップ302aの近傍迄覆う形で配置されている。
【0077】本図で示されるコータの場合、塗布液の吐出量を決定するとき又は、コータ清掃時、コータの各スリットから吐出する塗布液は、コータ3cの傾斜部306には接触することなく、部材103に沿って流下するため、傾斜部306の塗布液の乾燥・固化による付着はなくなる。
【0078】尚、図5で示される液受けチャンバ10の洗浄は、液受けチャンバ10を移動装置(不図示)又はコータより外し、有機溶剤の入った容器に浸漬して洗浄することも可能である。
【0079】図6は図5に示されるコータを使用した塗布液の吐出量の設定から塗布を終了し、コータ清掃までの過程を示すフロー図である。
【0080】S1では、コータ3cの待機位置に液受けチャンバ10が液受けチャンバ10の待機位置より移動し、部材103がコータ3cの傾斜部306を覆う状態に液受けチャンバ10を設置する。
【0081】S2では、塗布液の吐出量を設定するために、コータ3cの各スリットから、塗布液を吐出させる。吐出した塗布液は、部材103の内側に沿って流下し液受けチャンバ10に流れ込み、排出口104より排出し処理される。
【0082】S3では、塗布液の吐出量を設定するために各スリットから塗布液が吐出されるのに合わせ、コータ3cのリット内部、エッジ、リップ、傾斜部の清掃を行う。
【0083】S4では、塗布液の吐出量を設定した後、塗布液を吐出した状態でコータ3cと液受けチャンバ10は一緒に塗布位置に移動する。
【0084】S5では、コータ3cは塗布位置に設置され、塗布が開始される。S6では、液受けチャンバ10は待機位置に移動する。
【0085】S7では、塗布の終了に合わせ、塗布位置に液受けチャンバ10が移動し、液受けチャンバ10の部材103がコータ3cの傾斜部306を覆う状態に液受けチャンバ10を設置する。この段階では、各スリットからの塗布液の吐出量は最少流量に絞られ、部材103の内側に沿って流下し液受けチャンバ10に流れ込み排出口から排出され処理される。
【0086】S8では、コータ3cが待機位置に移動するのに合わせ、液受けチャンバ10も待機位置へ移動する。
【0087】S9では、待機位置でコータ3cの吐出口、スリット内部、エッジリップ等及び液受けチャンバ10を清掃し、全ての作業が終了する。
【0088】図7は図5に示されるコータを使用した塗布の途中で塗布故障のため塗布を中断し、コータを清掃後、再度塗布液の吐出量設定から塗布を終了し、コータ清掃までの過程を示すフロー図である。
【0089】S1では、塗布の途中で塗布スジ故障の発生が検出される。S2では、コータ3cの塗布位置に液受けチャンバ10が、待機位置より移動し、部材103がコータ3cの傾斜部306を覆う状態に液受けチャンバ10を設置する。
【0090】S3では、コータ3cと液受けチャンバ10は一緒に待機位置に移動する。吐出する塗布液は、部材103の内側に沿って流下し液受けチャンバ10に流れ込み、排出口104より排出し処理される。
【0091】S4では、待機位置に移動したコータ3cの吐出口、スリット内部、エッジ、リップ等を清掃する。
【0092】S5では、清掃終了後、コータ3cと液受けチャンバ10は一緒に塗布位置に移動する。その後のS6〜10は図6のS5〜9と同じであるので説明は省略する。
【0093】図8は図11で示すコータの最上流側のリップに繋がる傾斜部306に、液受けチャンバを設けたコータの概略断面図である。
【0094】図中、3dは最上流側のリップに繋がる傾斜部306に液受けチャンバ11を設けたコータを示す。111は液受けチャンバ11の矩形の底部を示し、112aは底部111のバックロール2側の長辺に沿って立ち上げた側壁を示し、112bはコータ3d側の長辺に沿って立ち上げた側壁を示し、112cは底部101の短辺に沿って立ち上げた側壁を示す。コータ3c側の側壁112bの上部にはコータ3cの傾斜部306に、液受けチャンバ11を着脱可能に固定するための部材112dが一体に設けられており、上部が開放された箱形構造をしている。113は固定用のネジを示す。尚、液受けチャンバ11の幅はコータ3cの幅と同じ幅を有している。114は排出口を示し、本図では示されていない開閉用の弁を有している。115は有機溶剤供給管を示す。液受けチャンバ11に排出された塗布液を排出する場合は開閉弁を開け、有機溶剤を満たす場合は開閉弁を閉じる。他の符号は図11と同義である。
【0095】本図で示される液受けチャンバ11の開閉弁は塗布液がコータ3dの各スリットから吐出している時は、塗布液を排出するため開閉弁を開け、塗布されている時は、有機溶剤を満たすために開閉弁を閉じておく。液受けチャンバ11に有機溶剤を満たすことでコータ3dのリップ近傍の乾燥・固化防止の機能を有している。又、塗布液が吐出していない時も、開閉弁を閉じ、有機溶剤を満たしておくことで塗布開始に当たりコータ3dの清掃を容易にすることが可能となる。
【0096】図9は図8に示されるコータを使用した塗布液の吐出量の設定から塗布を終了し、コータ清掃までの過程を示すフロー図である。
【0097】S1では、待機位置で液受けチャンバに満たされている有機溶剤で、コータ3dの吐出口、スリット内部、リップ、エッジ、傾斜部等の清掃を行う。
【0098】S2では、液受けチャンバの開閉弁が開けられ、コータの各スリットから吐出量を設定するため、塗布液が吐出する。コータの各スリットから吐出される各塗布液はリップ近傍を流下し、液受けチャンバ11に流れ込み、排出口114から排出される。
【0099】S3では、塗布液の吐出量が設定された後、コータを塗布位置まで移動される。塗布が開始されるまでの間、コータ3dの各スリットから吐出される各塗布液はリップ近傍を流下し、液受けチャンバ11に流れ込み、排出口114から排出される。
【0100】S4では、塗布が開始される。S5では、塗布が始まると、液受けチャンバ11の開閉弁は閉じられ、リップ近傍に付着している塗布液の乾燥を防止するため、有機溶剤供給管より有機溶剤が供給され、液受けチャンバ11に満たされる。この様な状態にすることで、液受けチャンバ11に満たされた有機溶剤が蒸発することで、リップ近傍が有機溶剤雰囲気になるため付着した塗布液の乾燥・固化が防止される。
【0101】S6では、塗布が終了する。S7では、液受けチャンバ11の開閉弁が開けられ、コータ3dを待機位置に移動する。待機位置に移動する間、コータ3dの各スリットから吐出される塗布液は液受けチャンバ11に流入し、排出される。
【0102】S8では、待機位置に戻った後は、液受けチャンバ11の開閉弁が閉じられ、有機溶剤供給管より有機溶剤が供給され、液受けチャンバ11に満たされる。この有機溶剤でコータ3dと液受けチャンバ11の清掃が行われる。
【0103】S9では、コータ3dと液受けチャンバ11の清掃が終了した後、一旦開閉弁を開け、清掃で汚れた有機溶剤を排出する。
【0104】S10では、液受けチャンバ11の開閉弁を閉じ、有機溶剤を満たした状態にし、一連の作業が終了する。塗布を開始する時はS1から始める。
【0105】本発明に使用する塗布液は有機溶剤系の塗布液であれば特には限定は無いが、沸点が90℃以下の高揮発性を用い、粘度が10mPa・sec以上の高粘度である塗布液を使用する熱現像感光材料の場合に特に効果を発揮する。
【0106】これらの熱現像感光材料用の塗布液としては、例えば特開2000−198757、同2000−15173、同2001−201817、同2001−215652、同2001−109101等に記載されている塗布液が挙げられる。
【0107】本発明に使用する有機溶剤としては、塗布液に使用している有機溶剤と同じ有機溶剤を使用することが好ましい。
【0108】
【実施例】以下に、本発明の効果を実施例で示すが、勿論この実施例は一例を示すものであり、本発明が限定されるものではない。
【0109】〈試料の作製〉特開平11−352623号の実施例1に記載の方法により調製した感光層塗布液及び表面保護層用塗布液を用い、支持体として濃度0.170(コニカ(株)製デンシトメータPDA−65にて測定)に青色着色した、一巻き1000m、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に8w/m2・分のコロナ放電処理を施した物を繋げ使用した。これらの支持体に、図1、図4、図5、図8、図11に示される各エクストルージョンコータを用い、塗布幅500mm、塗布速度20m/min、感光層塗布液流量700ml/min、表面保護層塗布液流量200ml/minで12時間連続塗布を行い試料101〜105を作製した。
【0110】尚、各塗布に際しては、約3時間に一度コータのスリット内部、リップ洗浄のため及び繋ぎ部を回避するため塗布位置から待機位置に移動して塗布を行った。
【0111】評価得られた各試料101〜105の最終の繋ぎの後の350mに付き、性能に悪影響を与える塗布故障の有無を目視により確認し、結果を表1に示す。性能に悪影響を与える塗布故障が無い場合を○とし、性能に悪影響を与える塗布故障が一つでもあった場合は×とした。
【0112】
【表1】

【0113】表1に示す如く本発明の有効性が確認された。尚、繋ぎを回避するために待機位置まで戻すときは、塗布液流量は変えずそのままスリットから流出させた状態で行った。又、図1、図4に示されるコータを使用の場合は、繋ぎを回避するために待機位置まで戻すとき及びコータ洗浄の場合、有機溶剤としてメチルエチルケトンを180ml/分流出させた。
【0114】
【発明の効果】コータを用いて高粘度、高揮発性の有機溶剤系の塗布液を塗布する際、リップ近傍における塗布液の乾燥・固化付着を防止したコータ及び塗布方法を提供することができ、塗布故障がなくなり品質が向上した。又、コータの洗浄に要していた時間が大幅に削減され生産効率が向上した。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカ株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿1丁目26番2号
【出願日】 平成13年9月10日(2001.9.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−80150(P2003−80150A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−273378(P2001−273378)