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【発明の名称】 塗工装置
【発明者】 【氏名】津田 武明
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

【氏名】吉羽 洋
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

【氏名】青木 孝
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

【要約】 【課題】塗布液が低粘度である場合に、所望とする膜厚の塗膜を高精度に塗布することを可能とした塗工装置を提供すること。

【解決手段】液入口からの塗布液を幅方向に広がらせるためのマニホールドと、そのマニホールドから塗布液が押し出される吐出スリットとを具備してなるダイヘッドを使用し、粘度ηが0cps<η<100cpsの範囲にある低粘度の塗布液を基材に塗布する用途の塗工装置において、吐出スリットSから両側に広がるヘッド先端のリップ部の長さtを0.1mm<t<1mmとし、少なくとも一方のリップ部を0°<θ<10°の角度θで内側に傾斜させた形状のダイヘッドHを用いる。リップ部の長さが所望のウェット膜厚に対応することができ、しかも塗布液がヘッド側面に回り込まずにリップ部にて保持しやすくなることから、所望とする膜厚の塗膜を高精度に塗布することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液入口からの塗布液を幅方向に広がらせるためのマニホールドと、そのマニホールドから塗布液が押し出される吐出スリットとを具備してなるダイヘッドを使用し、粘度ηが0cps<η<100cpsの範囲にある低粘度の塗布液を基材に塗布する用途の塗工装置において、吐出スリットから両側に広がるヘッド先端のリップ部の長さtを0.1mm<t<1mmとし、少なくとも一方のリップ部を0°<θ<10°の角度θで内側に傾斜させた形状のダイヘッドを用いたことを特徴とする塗工装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被塗工物である基材の表面に塗布液を塗布するエクストルージョン方式のダイヘッドを用いた塗工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、エクストルージョン方式のダイヘッドを用いた塗工装置は、均一な薄膜塗工が可能であることから種々の分野で広く利用されている。このダイヘッドは、基本的に、液入口からの塗布液を幅方向に広がらせるためのマニホールドと、そのマニホールドから塗布液が押し出される吐出スリットとを備えた構造をしている。そして、図1の正面図に示すように、ダイヘッドHと基材Gとを所定の間隔を保って相対的に移動させるようにし、その時に、ダイヘッドHの液入口から流入した塗布液がマニホールドにて幅方向に広がり、先端の吐出スリットSから押し出されることにより、基材Gの表面に一定膜厚の塗膜Mを形成するようになっている。
【0003】このタイプの塗工装置では、同一物性(粘度等のレオロジー特性)の塗布液を用いて塗布を行う場合、形成すべき膜厚が異なる(例えば5μmと10μm)製品等に対しても、同じダイヘッドを用いて塗布するのが通例である。そして、形成する塗膜の膜厚調整は、ダイヘッドに塗布液を送るポンプの流量調整と、ダイヘッド先端のリップ部と対象基材とのギャップ調整により行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したダイヘッドを用いた塗布装置により厚塗りをするためには、過剰な量の塗布液を先端に蓄えなければならない。ところが、溶剤系インキのような低粘度の塗布液を塗布するのに、通常のダイヘッドを使用すると、図2に示すように、ダイヘッドHの先端に不安定なビードBが形成され、そのために塗布液LがダイヘッドHの側面にまで上がってしまい、基材Gの上に形成される塗膜にスジやムラなどが生じるという問題が生じていた。
【0005】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塗布液が低粘度である場合に、所望とする膜厚の塗膜を高精度に塗布することを可能とした塗工装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の塗工装置は、液入口からの塗布液を幅方向に広がらせるためのマニホールドと、そのマニホールドから塗布液が押し出される吐出スリットとを具備してなるダイヘッドを使用し、粘度ηが0cps<η<100cpsの範囲にある低粘度の塗布液を基材に塗布する用途の塗工装置において、吐出スリットから両側に広がるヘッド先端のリップ部の長さtを0.1mm<t<1mmとし、少なくとも一方のリップ部を0°<θ<10°の角度θで内側に傾斜させた形状のダイヘッドを用いたことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の塗工装置は、液入口からの塗布液を幅方向に広がらせるためのマニホールドと、そのマニホールドから塗布液が押し出される吐出スリットとを具備してなるダイヘッドを使用するが、このダイヘッドでは、初期ビード形成時においてダイヘッド先端のリップ部の長さによって、形成されるビードの大きさが異なる。すなわち、図3(A)に示すようにリップ部の長さtが長い場合は大きなビードBが形成され、図3(B)に示すようにリップ部の長さtが短い場合は小さなビードBが形成される。
【0008】そして、ダイヘッド先端のリップ部の長さを各種検討することにより、ダイヘッドを使用した塗工装置では、所望の膜厚に応じたリップ長さが存在することが判明した。
【0009】図4は溶剤系インキを用いた時のダイヘッド先端のリップ部の長さとウェット膜厚との関係を示すグラフである。この図4のグラフに示すように、リップ部の長さと所望のウェット膜厚との関係は比例関係にある。そして、この関係を考慮して、ダイヘッド先端のリップ部の設計を行うことが可能となる。図4に示す溶剤系のインキの場合、すなわち粘度ηが0cps<η<100cpsの範囲にある低粘度の塗布液の場合、25μm程度までのウェット膜厚を塗布するのに、リップ部の長さtは0.1mm<t<1mmとすればよいことが分かる。
【0010】さらに、本発明では、図5に示すように、ダイヘッドH先端のリップ部の少なくとも一方のリップ部を内側に傾斜させた形状にする。これにより、ビードBに要する液滴のヘッド先端部での安定した保持を可能としている。特に、ダイヘッドHの材質と塗布液Lとの接触角が大きい場合、ヘッド側面への塗布液Lの回り込みがより多く見受けられるため、リップ部が共に平行であるときよりも、角度を持たせた方が、塗布液を頂点Xでより保持しやすくなり、その結果として形成される塗膜の膜厚精度が向上し、スジ等の発生も抑えることが可能となる。低粘度の塗布液の場合、リップ部の傾斜角度θの範囲は0°<θ<10°がよい。
【0011】
【実施例】ダイヘッド先端のリップ部の形状は、塗布面の均一性、安定性等に影響を及ぼすものであり、使用する塗布液の粘度等の物性ごとに設計する必要がある。塗布液1(粘度η=10cps)を用いた場合の最適な形状について、表1に示す条件1〜6(図6参照)の形状にて確認を行った。
【0012】
【表1】

【0013】確認した評価結果を表2に示す。評価項目は「ビードの繋がり」と「面質」の2つとし、それぞれについて目視にて確認を行った。この表2から条件1の形状が最も適していることが分かる。
【0014】
【表2】

【0015】同様に、塗布液2(粘度η=80cps)を用いた場合の最適な形状について、表1に示す条件1〜6(図6参照)の形状にて確認を行った。
【0016】確認した評価結果を表3に示す。評価項目は「ビードの繋がり」と「面質」の2つとし、それぞれについて同様に目視にて確認を行った。この表3から条件3の形状が最も適していることが分かる。
【0017】
【表3】

【0018】
【発明の効果】本発明の塗工装置は、液入口からの塗布液を幅方向に広がらせるためのマニホールドと、そのマニホールドから塗布液が押し出される吐出スリットとを具備してなるダイヘッドを使用し、粘度ηが0cps<η<100cpsの範囲にある低粘度の塗布液を基材に塗布する用途の塗工装置において、吐出スリットから両側に広がるヘッド先端のリップ部の長さtを0.1mm<t<1mmとし、少なくとも一方のリップ部を0°<θ<10°の角度θで内側に傾斜させた形状のダイヘッドを用いたことを特徴としているので、リップ部の長さが所望のウェット膜厚に対応することができ、しかも塗布液がヘッド側面に回り込まずにリップ部にて保持しやすくなることから、所望とする膜厚の塗膜を高精度に塗布することができる。
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号
【出願日】 平成13年9月10日(2001.9.10)
【代理人】 【識別番号】100096600
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 育郎
【公開番号】 特開2003−80148(P2003−80148A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−273028(P2001−273028)