| 【発明の名称】 |
静電塗装装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】甘利 昌彦 【住所又は居所】愛知県尾張旭市旭前町新田洞5050番地旭サナック株式会社内
【氏名】村田 正美 【住所又は居所】愛知県尾張旭市旭前町新田洞5050番地旭サナック株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】安全回路が動作して直流高電圧の発生が停止した後、ノズルとアース間の浮遊コンデンおよび、直流高電圧発生用の倍電圧整流回路内コンデンサに残留する充電エネルギーを速やかに消滅させる。
【解決手段】静電塗装に使用する負極高電圧発生回路とは別に正極高電圧発生回路を追加して設け、その出力を電流制限用高抵抗を介してノズルに接続する。出力電流に異常が検出された場合には、負極高電圧発生を停止させると同時に正極高電圧発生回路を短時間動作させて各コンデンサに残留する電荷を急速に中和して消滅させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)直流電源回路と、(B)外部信号により発振の停止が可能な第1の高周波発振回路と、第1の昇圧トランスと、第1の倍電圧整流回路と、該倍電圧整流回路の出力端子間に接続した第1の放電抵抗とを含みアースに対して負極の直流高電圧を発生する負極高電圧発生回路と、(B)該負極高電圧発生回路の出力端子とノズルとの間に接続した第1の電流制限抵抗と、(C)外部信号により高出力電圧発振と低出力電圧発振との切り換え及び発振の停止が可能な第2の高周波発振回路と、第2の昇圧トランスと、第2の倍電圧整流回路と、該倍電圧整流回路の出力端子間に接続した第2の放電抵抗とを含み、前記第2の高周波発振器が高出力電圧で発振の時にはアースに対して正極の直流高電圧を発生する正極高電圧発生回路と、(D)該正極高電圧発生回路の出力端子とノズルとの間に接続した第2の電流制限抵抗と、(E)前記負極高電圧発生回路の出力電流を検出する出力電流検出回路と、(F)安全回路と、から構成され、該安全回路は、前記出力電流検出回路で検出した出力電流に異常がない間は前記第2の高周波発振回路に低出力電圧で発振させる指令信号を送信し、前記出力電流に異常を検出した場合には、前記第1の高周波発振回路に発振停止の指令信号を送信すると同時に、前記第2の高周波発振回路に高出力電圧で発振させる指令信号を所定時間送信し、その後、前記第2の高周波発信回路に発振停止の指令信号を送信するものである静電塗装装置。 【請求項2】 請求項1記載の静電塗装装置に、(G)前記第1の倍電圧整流回路の正極出力端子と前記第1の放電抵抗との間に接続する出力電圧分圧抵抗と、(H)該出力電圧分圧抵抗両端の電圧が一定値以下に減衰したことを検出して、前記安全回路に知らせる出力電圧レベル検出回路と、を追加した静電塗装装置であって、前記安全回路は、前記出力電流検出回路で検出した出力電流に異常がない間は前記第2の高周波発振回路に低出力電圧で発振させる指令信号を送信し、前記出力電流に異常を検出した場合には、前記第1の高周波発振回路に発振停止の指令信号を送信すると同時に、前記第2の高周波発振回路に高出力電圧で発振させる指令信号を送信し、その後、前記出力電圧レベル検出回路からの前記出力電圧分圧抵抗両端の電圧が一定値以下に減衰したことを知らせる信号を受けて、前記第2の高周波発信回路に発振停止の指令信号を送信するものである請求項1記載の静電塗装装置。 【請求項3】 前記正極高電圧発生回路は、前記第2の高周波発振回路が高出力電圧で発振している間は前記負極高電圧発生回路の出力電圧の1/2の正極高電圧を発生させ、前記出力電圧レベル検出回路は前記負極高電圧発生回路の出力電圧が正常動作時の1/2以下に減衰したことを検出して前記安全回路に知らせるものであることを特徴とする請求項2記載の静電塗装装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は高電圧発生回路を内蔵した静電塗装ガンを使用した静電塗装装置に係り、特に放電停止直後にノズルとアース間の浮遊コンデンサおよび、直流高電圧発生回路内コンデンサに残留する充電エネルギーを、急速に減衰させることができる静電塗装装置に関する。 【0002】 【従来の技術】静電塗装に使用される電圧は60〜90kVの直流高電圧であることから、高電圧充電部の配線を短くするために昇圧トランスと高電圧整流回路からなる高電圧発生回路は、静電塗装ガン内に収納する構成が主流になっている。図5はこのような従来の静電塗装装置の代表的な電気的構成図である。図示しない放電開始スイッチがオンされると、直流電源回路101で発生した直流電圧が高周波発振回路102に供給されて発振を始め、出力トランス103の二次側に高周波電圧が発生する。この高周波電圧は電源供給ケーブル104にて静電塗装ガン100に導かれ、内部の昇圧トランス105にて昇圧された後、コッククロフト・ウォルトン型倍電圧整流回路106にて整流されて同回路内のコンデンサを充電する。その結果、出力端子107、108間に直流高電圧が発生する。発生した直流高電圧の正極側は出力電流検出回路109内の図示しない抵抗を介してアースされる。一方、負極側は、電流制限抵抗R100を介して静電塗装ガン先端に取り付けたノズル110に導かれ、アースされた被塗装物(図示しない)の間で放電を起こし、その際に静電塗装が行われる。 【0003】かかる回路構成において出力電流検出回路109で検出した出力電流に異常が検出された場合には、安全回路111が働いて高周波発振回路102の発振が停止して、昇圧トランス105への高周波電圧の供給が止まり、新たな直流高電圧の発生は停止する。しかしノズルとアース間の浮遊コンデンサおよび、倍電圧整流回路106内の各コンデンサには充電された電荷が残っているため、これらコンデンサに残った電荷が放電により消滅するまでの間、ノズルとアース間には高電圧が存在し続ける。火災、感電防止等の観点からはかかるノズルの対地間電圧を可及的速やかに減衰させる必要があり、その対策が問題になっている。 【0004】図5中の倍電圧整流回路106の出力端子107、108間に接続された放電抵抗R101は、かかる対策の一つとして設けられているもので、高周波発振回路102の発振停止後に各コンデンサに残留する電荷を、この放電抵抗R101を通してアースに逃そうとするものである。しかしこの放電抵抗R101は、正常な静電塗装状態においても倍電圧整流回路106の負荷となって負荷電流を流すため、その抵抗値をあまり小さくすることができない。このため高周波発振回路102の発振停止後にノズル110の電位が安全レベルまで下がるのに、ある程度の時間がかかってしまうという問題がある。 【0005】他の対策としては、倍電圧整流回路106の負極側端子108とアース間にリレーと抵抗を直列接続で配置し、発振停止後にそのリレーをオンして充電された電荷を消滅させる方法がある。しかしこの方法の場合、使用するリレーは正常な塗装状態の間、60〜90kVの放電電圧に耐えねばならないことから、油入りまたはガス入りにする必要があって大型化し、静電塗装ガン内に収納することができない。外部に設置した場合には、静電塗装ガンからそのリレーまで新たな高圧配線を設ける必要性も生ずる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような問題を解決するために考案されたものであって、その目的は、静電塗装装置の出力電流に異常が検出され、高周波発振が停止して直流高電圧の発生が停止した後に、ノズルとアース間の浮遊コンデンサおよび、倍電圧整流回路内のコンデンサに残留する充電エネルギーを、安全なレベルまで急速に消滅させることのできる静電塗装装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の静電塗装装置は、(A)直流電源回路と、(B)外部信号により発振の停止が可能な第1の高周波発振回路と、第1の昇圧トランスと、第1の倍電圧整流回路と、該倍電圧整流回路の出力端子間に接続した第1の放電抵抗とを含みアースに対して負極の直流高電圧を発生する負極高電圧発生回路と、(B)該負極高電圧発生回路の出力端子とノズルとの間に接続した第1の電流制限抵抗と、(C)外部信号により高出力電圧発振と低出力電圧発振との切り換え及び発振の停止が可能な第2の高周波発振回路と、第2の昇圧トランスと、第2の倍電圧整流回路と、該倍電圧整流回路の出力端子間に接続した第2の放電抵抗とを含み、前記第2の高周波発振器が高出力電圧で発振の時にはアースに対して正極の直流高電圧を発生する正極高電圧発生回路と、(D)該正極高電圧発生回路の出力端子とノズルとの間に接続した第2の電流制限抵抗と、(E)前記負極高電圧発生回路の出力電流を検出する出力電流検出回路と、(F)安全回路と、から構成され、該安全回路は、前記出力電流検出回路で検出した出力電流に異常がない間は前記第2の高周波発振回路に低出力電圧で発振させる指令信号を送信し、前記出力電流に異常を検出した場合には、前記第1の高周波発振回路に発振停止の指令信号を送信すると同時に、前記第2の高周波発振回路に高出力電圧で発振させる指令信号を所定時間送信し、その後、前記第2の高周波発信回路に発振停止の指令信号を送信するものである。 【0008】これにより負極高電圧発生が停止した直後の短時間、正極高電圧発生回路より正の電荷がノズルとアース間の浮遊コンデンサおよび、負極高電圧発生回路の倍電圧整流回路内コンデンサに流れ込んで、残留している負の電荷を急速に中和するため、ノズルとアース間の電圧が急速に減衰することとなり、コンデンサに充電されたエネルギーによる火災や感電の危険性が速やかに解消される効果が得られる。 【0009】請求項2記載の静電塗装装置は、請求項1記載の静電塗装装置に、(G)前記第1の倍電圧整流回路の正極出力端子と前記第1の放電抵抗との間に接続する出力電圧分圧抵抗と、(H)該出力電圧分圧抵抗両端の電圧が一定値以下に減衰したことを検出して、前記安全回路に知らせる出力電圧レベル検出回路と、を追加した静電塗装装置であって、前記安全回路は、前記出力電流検出回路で検出した出力電流に異常がない間は前記第2の高周波発振回路に低出力電圧で発振させる指令信号を送信し、前記出力電流に異常を検出した場合には、前記第1の高周波発振回路に発振停止の指令信号を送信すると同時に、前記第2の高周波発振回路に高出力電圧で発振させる指令信号を送信し、その後、前記出力電圧レベル検出回路からの前記出力電圧分圧抵抗両端の電圧が一定値以下に減衰したことを知らせる信号を受けて、前記第2の高周波発信回路に発振停止の指令信号を送信するようにしたものである。 【0010】これにより負極高電圧発生が停止した直後の短時間、正極高電圧発生回路より正の電荷がノズルとアース間の浮遊コンデンサおよび、負極高電圧発生回路の倍電圧整流回路内コンデンサに流れ込んで、残留している負の電荷を急速に中和するため、ノズルとアース間の電圧が急速に減少する。こうして負極高電圧発生回路内コンデンサの電圧が一定値以下に下がった時点で直ちに正極高電圧発生回路も電圧発生を停止し、その後は負極高電圧発生回路および正極高電圧発生回路内のコンデンサに残った電荷は、各倍電圧整流回路出力端子間に接続された放電抵抗により放電する。このような動作によって、最終的に各コンデンサが放電完了するまでの時間が短縮されるため、火災や感電の危険性が一層速やかに解消される効果が得られる。 【0011】請求項3記載の静電塗装装置は、請求項2記載の静電塗装装置において、 +記正極高電圧発生回路は、前記第2の高周波発振回路が高出力電圧で発振している間は前記負極高電圧発生回路の出力電圧の1/2の正極高電圧を発生させ、前記出力電圧レベル検出回路は前記負極高電圧発生回路の出力電圧が正常動作時の1/2以下に減衰したことを検出して前記安全回路に知らせるものであることを特徴とするものである。 【0012】これによりノズルとアース間の浮遊コンデンサの電圧は、負極高電圧発生回路の出力電圧の1/2までは急速に減衰して火災を起こす危険性が解消され、その後第1、第2の倍電圧整流回路内のコンデンサは、それぞれ第1、第2の放電抵抗により直ちに放電に移り、感電の恐れがなくなる電圧まで低下する。従って火災防止と感電防止が安全且つ迅速に達成される効果が得られる。 【0013】 【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明の第1の実施形態について図1、2を参照しながら説明する。図1は静電塗装装置の電気的構成図を示している。制御装置1内の直流電源回路2は外部商用電源3を受けてこれを直流電圧に変換し、第1、第2の高周波発振回路4a、4bに直流電力を供給する。第1、第2の高周波発振回路4a、4bは内部にスイッチング素子を有し、そのスイッチング動作により対応する第1、第2の出力トランス5a、5bの二次側に高周波電圧を発生させる。 【0014】ここで第1の高周波発振回路4aは、安全回路6からの発振停止指令信号によりスイッチング素子への直流電圧の供給を停止して発振を停止させる構成となっている。また第2の高周波発振回路4bは、安全回路6からの発振停止、低出力電圧発振、高出力電圧発振の各指令信号を受けて発振停止、低出力電圧発振、高出力電圧発振の3種類の発振状態に切り換わる構成となっており、これらの発振出力の切り換えは、スイッチング素子に供給する直流電圧の値を切り換えることによって行っている。 【0015】第1、第2の出力トランス5a、5bの二次側に発生した高周波電圧は、対応する第1、第2の高周波電力供給ケーブル7a、7bを介して、静電塗装ガン8内の対応する第1、第2の昇圧トランス9a、9bの一次側に供給され、二次側に高周波高電圧を発生させる。発生した高周波高電圧は対応する第1、第2の倍電圧整流回路10a、10bに入力され、対応する出力端子11a、12a間、11b、12b間に直流高電圧が発生する。ここで倍電圧整流回路とは、交流電源電圧の整数倍の直流電圧を発生させる回路を意味し、コッククロフト・ウォルトン回路が最も著名で一般的である。 【0016】第1の倍電圧整流回路10aは、その内部のダイオードの向きが、第1の昇圧トランス9aの二次側端子に接続された出力端子11aが正極、他方の出力端子12aが負極となるように取り付けられており、その正極側出力は端子11aより第1の出力電流帰還ケーブル13aを通して制御装置1内の出力電流検出回路14に導かれ、同回路内の図示しない抵抗を介して大地にアースされている。この結果、出力端子12aはアースに対して負の高電位となる。 【0017】一方、第2の倍電圧整流回路10bは、第1の倍電圧整流回路10aとは反対に、第2の昇圧トランス9bの二次側端子に接続された出力端子11bが負極、他方の出力端子12bが正極となるように、その内部のダイオードが取り付けられており、その負極側出力は端子11bより第2の出力電流帰還ケーブル13bを通して制御装置1に導かれた後、大地にアースされている。この結果、出力端子12bはアースに対して正の高電位となる。 【0018】これまでの文中で使用した負極高電圧発生回路とは、第1の高周波発振回路4a、第1の出力トランス5a、第1の高周波電力供給ケーブル7a、第1の昇圧トランス9a及び第1の倍電圧整流回路10aとで構成され、端子12aにアースに対して負の高電圧を発生させる高電圧発生回路をいう。同様に正極高電圧発生回路とは、第2の高周波発振回路4b、第2の出力トランス5b、第2の高周波電力供給ケーブル7b、第2の昇圧トランス9b及び第2の倍電圧整流回路10bとで構成され、端子12bにアースに対して正の高電圧を発生させる高電圧発生回路をいう。 【0019】負極高電圧発生回路の出力端子12aとノズル15との間には、出力電流を制限する第1の電流制限抵抗R2aが接続され、正極高電圧発生回路の出力端子12bとノズル15との間にも出力電流を制限する第2の電流制限抵抗R2bが接続されている。従って、ノズル15には負極高電圧発生回路から負の電流が、正極高電圧発生回路からは正の電流が供給されるようになっている。 【0020】また負極高電圧発生回路の出力端子11a、12a間には、高電圧発生が停止した後、第1の倍電圧整流回路10a内のコンデンサに残留する電荷を放電させるための第1の放電抵抗R1aが接続され、同様に正極高電圧発生回路の出力端子11b、12b間には第2の放電抵抗R1bが接続されている。 【0021】制御装置内1の出力電流検出回路14は、負極高電圧発生回路から静電塗装ガン8の外部に流出する出力電流を図示しない抵抗によって電圧に変換し、安全回路6に出力する。 【0022】かかる回路構成において、図示しない電源スイッチがオンされると商用電源3より交流電圧が直流電源回路2に供給され、発生した直流電圧が第1、第2の高周波発振回路4a、4bに供給されて発振が開始し、負極高電圧発生回路の出力端子11a、12a間に高電圧(例えば90kV)が発生する。そして負の高電圧が出力電流制限抵抗R2aを介してノズル15に与えられ、ノズル15と図示しないアースされた被塗装物との間で放電が起こり、その際に静電塗装が行われる。 【0023】放電が始まると出力電流検出回路14が、図示しない抵抗により出力電流の大きさに比例した電圧を発生して安全回路6に送出し、安全回路6はその値を監視する。出力電流が予め定められた正常範囲内の場合には、安全回路6は第1の高周波発振回路4aに対しては発振停止指令は送らず、他方の第2の高周波発振回路4bには低出力電圧発振の指令信号を送出する。第2の高周波発振回路4bはその指令を受けて低出力電圧で発振を起こし、正極高電圧発生回路の出力端子12bに低い直流電圧(例えば5kV)を発生させる。これにより正極高電圧発生回路の出力端子12bから第2の電流制限抵抗R2b、ノズル15、第1の電流制限抵抗R1aを通って正の電荷が負極高電圧発生回路の出力端子12aに流れ込むこととなる。この正の電荷による電流は、静電塗装に寄与しないため少ない方が望ましい。このため第2の電流制限抵抗R2bには、第1の電流制限抵抗R2aの抵抗値(例えば100MΩ)よりは十分に大きく、かつ放電抵抗(負荷抵抗)の数分の一程度の抵抗(例えば1000MΩ)を選ぶ。 【0024】なお、このように正常な塗装状態においても第2の高周波発振回路4bを低出力電圧発振させて正極高電圧発生回路に電圧を発生させておくのは、後述するように、第2の高周波発振回路4bを高出力電圧発振に切り換えて正極の高電圧を発生させる場合に、予め第2の倍電圧発生回路10b内の各コンデンサに出力端子12b側が正となるような充電を行っておくことによって、その出力電圧の立ち上がり時間を短縮するためである。 【0025】このような状態で静電塗装が行われている時に、ノズル15と図示しない被塗装物とが異常接近して放電電流が異常に増加したとすると、安全回路6が出力電流の異常を検出して、第1の高周波発振回路4aに発振停止信号を送って発振を停止させる。これにより負極高電圧の発生は止まり、同時に第1の倍電圧整流回路10a内コンデンサに残っている電荷は、第1の放電抵抗R1aを通って放電を開始する。またノズル15とアース間の浮遊コンデンサに充電されている電荷は、第1の電流制限抵抗R2a、第1の放電抵抗R2aを通って放電を開始する。 この時、安全回路6は第1の高周波発振回路4aに発振停止信号を送出すると同時に、第2の高周波発振回路4bには高出力電圧発振の指令信号を送出する。第2の高周波発振回路4bはこの指令信号を受けて、高出力電圧発振を開始し、正極高電圧発生回路の出力端子11b、12b間に高電圧(例えば45kV)を発生させる。これにより正極高電圧発生回路の出力端子12bより正の電荷が第2の電流制限抵抗R2b、ノズル15を通って、ノズル15とアース間の浮遊コンデンサに流れこみ、蓄積されている負の電荷を急速に中和する。さらにこの正の電荷は、ノズル15から第1の電流制限抵抗R2aを通って第1の倍電圧整流回路10a内のコンデンサに流れ込み、充電されている負の電荷も急速に中和する。 【0026】これらの中和動作により負極高電圧発生回路10aの負極出力端子12aの電位は、ダイオードの順方向電圧0.7Vに第1の倍電圧整流回路10a内のダイオードの個数を掛けた低い電位まで急激に減衰する。同時にノズル15の電位は、正極高電圧発生回路の出力電圧を第2の電流制限抵抗R2bと第1の電流制限抵抗R2aで分圧した数kV程度の低い電位まで急激に減衰する。このようにしてノズル電位が十分に低下した時間を見計らって、安全装置6は第2の高周波発振回路4bに発振停止の指令信号を送出する。これにより正極高電圧の発生が停止し、第2の倍電圧整流回路10b内のコンデンサに蓄積された電荷は第2の放電抵抗R1bを通って放電して消滅する。そしてその消滅と共にノズル15の電位もアース電位まで低下することとなる。 【0027】図2は前述の過程におけるノズル電位、負極、正極高電圧発生回路の出力電圧の変化を示したものである。図に示すように従来の第1の放電抵抗R1aのみによる放電の場合に比べ、正極高電圧発生回路を設けた本発明の場合は、正電荷による中和が行われるためノズル電位の減衰が極めて急激に行われる。 【0028】請求項1に記載した所定時間とは、第2の高周波発振回路4bが高電圧出力発振を開始してからノズル15の電位が安全レベルまで低下するまでの時間であり、この値はノズル15とアース間の浮遊コンデンサ容量、負極高電圧発生回路、正極高電圧発生回路の各回路定数に大きく依存するため、予め実験や計算により決めておかれる時間である。 【0029】なお、ノズルが被塗装物に接触等してスパークを生じる場合に問題になるのは、倍電圧整流回路内コンデンサに蓄積されたエネルギーよりも、むしろノズルとアース間の浮遊コンデンサに蓄積されたエネルギーである。これは高電圧整流回路内のコンデンサからアースに流れる電流の大きさは、電流制限抵抗により制限されるため、コンデンサからのエネルギー流出割合は制限されている。一方、ノズルとアース間の浮遊コンデンサに蓄積された電荷の流出による電流は、これを制限する抵抗が存在しないため、浮遊コンデンサに蓄積されたエネルギーは一瞬の間に全て放出されるためである。 【0030】本実施形態の場合、図2に示すようにノズル電位が低下した後も短時間、正極高電圧発生回路は高電圧出力を維持し,その後、放電抵抗R1bによって電圧は減衰することとなるが、上記理由によりこの電圧の存在はそれ程大きな危険を伴わないと考えられる。しかしこの電圧もできる限り低い値で、また早く減衰することが望ましいため、正極高電圧発生回路の高電圧出力時の電圧は低くすることが好ましい。但し、あまり低くするとノズルとアース間の浮遊コンデンサの電荷を中和する能力が弱くなるため両者の調和を図った値、例えば負極高電圧発生回路の出力電圧の1/2程度にすることが好ましい。コンデンサに蓄積されるエネルギーは電圧の2乗に比例するため、電圧を1/2にした場合には、蓄積エネルギーは1/4となり火災に対する危険性は著しく低下する。 【0031】(第2の実施形態)次に、本発明の第2の実施形態について図3、4を参照しながら説明する。図3に示す回路は、図1に示した回路構成に出力電圧分圧用抵抗R3と、出力電圧レベル検出回路16と、両者をつなぐ信号線17を追加した構成となっている。その他の構成は図1と同じであり、同じ回路部分には同一符号が付してある。出力電圧分圧用抵抗R3の両端には、第1の倍電圧整流回路10aの出力電圧を放電抵抗R1aと分圧用抵抗R3とで分圧した電圧が現れ、この電圧が信号線17と出力電流帰還ケーブル13aを介して出力電圧レベル検出回路16に入力されている。出力電圧レベル検出回路16はこの電圧を基に、負極高電圧発生回路の出力電圧が一定値以下に減衰したことを検出して安全回路6に知らせる働きをする。 【0032】本実施形態の場合も、安全回路6が出力電流の異常を検出して第1の高周波発振回路4aに発振停止の指令信号を送出して負極高電圧の発生を停止させ、同時に第2の高周波発振回路4bを低出力電圧発振の状態から高出力電圧発振の状態に切り換えさせて正極高電圧発生回路に高電圧を発生させる。ここまでの動作は第1の実施形態と同じである。こうして正極高電圧発生回路からの正電荷の流れ込みによる急速な中和動作が開始された後、出力電圧レベル検出回路16は負極高電圧発生回路の第1の倍電圧整流回路10bの出力電圧レベルをチェックし、その電圧レベルが一定値以下に減衰したことを検出して安全回路6に信号を送出する。この場合の電圧レベルの一定値とは、ノズル15とアース間の浮遊コンデンサに蓄積されたエネルギーが一瞬の間に放電したとしても火災が発生する確率が非常に低いと考えられる電圧を基準にして決められた値である。 【0033】安全回路6はこの信号を受けて、直ちに第2の高周波発振回路4bに発振停止の指令信号を送り、正極高電圧発生回路の動作を停止させる。かくして負極および正極の高電圧発生回路の動作が停止すると、第1、第2の倍電圧整流回路10a、10b内部のコンデンサは、それぞれ第1、第2の放電抵抗R1a、R1bのみによる放電に移行し、各コンデンサに蓄積された電荷は消滅に向かう。ノズル15とアース間の浮遊コンデンサに残っていた電荷も、各倍電圧整流回路内コンデンサの放電につれて減少し、最終的に感電の恐れのない電圧まで低下する。図4はかかる過程におけるノズル電位および負極、正極高電圧発生回路の出力電圧の変化を図に表したものである。 【0034】請求項3の発明は、前記第2の実施形態において、第2の高周波発振回路4bが高出力電圧で発振する時の正極高電圧発生回路の出力電圧レベルを、負極高電圧発生回路の出力電圧の1/2の電圧とし、また出力電圧レベル検出回路16が電圧低下と判断する基準電圧を、負極高電圧発生回路の出力電圧の1/2に選定してものである。 【0035】負極高電圧発生回路の出力端子間電圧が正常時の1/2にまで放電すると、ノズル15とアース間の浮遊コンデンサに蓄積されたエネルギーは、正常運転時のほぼ1/4に低下することとなり、通常は火災を発生させるエネルギーレベルよりも低くなる。この時点で第1、第2の倍電圧整流回路10a、10b内のコンデンサは、共に負極高電圧発生回路の出力電圧の1/2の電圧で充電されており、以後はそれぞれ第1、第2の放電抵抗R1a、R1bを通して放電する。即ち、この放電開始が前記第1の実施形態の場合とは異なって、火災を発生させる危険が殆どなくなるエネルギーレベルより下がった時点で直ちに開始されるため、最終的に全てのコンデンサが放電を終了し、感電の恐れもなくなって、装置が完全停止するまでの時間が第1の実施形態の場合よりも短くなるという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000117009 【氏名又は名称】旭サナック株式会社 【住所又は居所】愛知県尾張旭市旭前町新田洞5050
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| 【出願日】 |
平成13年11月30日(2001.11.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071135 【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 強
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| 【公開番号】 |
特開2003−164777(P2003−164777A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月10日(2003.6.10) |
| 【出願番号】 |
特願2001−366494(P2001−366494) |
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