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【発明の名称】 ウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒およびディーゼル排ガス浄化用装置
【発明者】 【氏名】大河原 誠治
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】垣花 大
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】従来のDPFと比較してフィルタ隔壁へのパティキュレートの堆積を防ぎ、パティキュレート酸化速度をより向上させ、かつ触媒の耐久性を向上させたディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒を得る。

【解決手段】このディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、セラミックハニカム構造体であって、ガス流入孔26と、ガス流出孔32と、ガス流通の際のフィルタとなるフィルタ隔壁27とを持つフィルタ本体24と、少なくともガス流入孔を複数の副孔に分ける副隔壁28と、少なくとも該ガス流入孔を区画するフィルタ隔壁および該副隔壁の内部および/または表面に形成された排ガス浄化層29,30とを有する。酸化触媒層の酸化触媒によってパティキュレートの酸化が促進される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 セラミックハニカム構造体であって、ガス流入孔と、ガス流出孔と、該ガス流入孔と該ガス流出孔とを区画し、ガス流通の際のフィルタとなるフィルタ隔壁とを持つフィルタ本体と、少なくとも該ガス流入孔を複数の副孔に分ける副隔壁と、少なくとも該ガス流入孔を区画するフィルタ隔壁および該副隔壁の内部および/または表面に形成された排ガス浄化層とを有することを特徴とするウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒。
【請求項2】 前記排ガス浄化層は、多孔質酸化物と酸化触媒とからなる酸化触媒層を含む請求項1に記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒。
【請求項3】 前記排ガス浄化層は、NOX吸着材と酸化触媒とからなるNOX吸着層を含む請求項1または請求項2に記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒。
【請求項4】 前記排ガス浄化層の一部または全部には、さらに、NOX吸蔵材が含まれている請求項2または請求項3に記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒。
【請求項5】 少なくとも前記ガス流出孔を区画するフィルタ隔壁の内部および/または表面には、NOX吸蔵材と酸化触媒とを含むNOX吸蔵還元触媒層が形成されている請求項4に記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒。
【請求項6】 前記副隔壁に形成されている排ガス浄化層のコート量は、前記フィルタ隔壁に形成されている排ガス浄化層のコート量より多い請求項1から請求項5の少なくとも1つに記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒。
【請求項7】 前記副隔壁の厚さは、前記フィルタ隔壁の厚さより薄い請求項1から請求項6の少なくとも1つに記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ触媒。
【請求項8】 前記ガス流入孔及びガス流出孔は断面形状が略四角形であり、該断面形状は前記フィルタ本体断面内で略一定である請求項1から請求項7の少なくとも1つに記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒。
【請求項9】 前記副隔壁は、前記ガス流入孔の略四角形の断面の少なくとも対向する二辺を垂直方向に区画するように延び、該ガス流入孔を略一文字状に二分割あるいは略十字状に四分割する請求項8に記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒。
【請求項10】 前記副隔壁は、前記ガス流入孔の略四角形の断面の少なくとも対向する二角を対角線方向に区画するように延び、該ガス流入孔を略斜一文字状に二分割あるいは略十字状に四分割する請求項8に記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒。
【請求項11】 前記ガス流入孔の前記副孔および前記ガス流出孔は断面形状が略六角形であり、該断面形状は前記フィルタ断面内で略一定であって、一個の該ガス流出孔を六個の該副孔が取り囲み、該ガス流出孔と該副孔とは前記フィルタ隔壁によって区画され、隣接する二つの該副孔は前記副隔壁によって区画されている請求項1から請求項7の少なくとも1つに記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒。
【請求項12】 請求項1から請求項11の少なくとも1つに記載のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒と、該ウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の排ガス流れ方向の上流側および/または排ガス流れ方向の下流側の少なくとも一箇所に配置された、ハニカム構造体であって、セル上流端とセル下流端とがそれぞれ開口したガス流通孔と、該ガス流通孔を区画する隔壁と、該隔壁の内部および/または表面に形成された排ガス浄化層とを有するストレートフロー型排ガス浄化用触媒と、を有することを特徴とするディーゼル排ガス浄化用装置。
【請求項13】 前記ウォールーフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の排ガス流れ方向の上流側にストレートフロー型排ガス浄化用触媒が少なくとも1つ配置され、該ストレートフロー型排ガス浄化用触媒の排ガス浄化層はNOX吸着材と酸化触媒とからなるNOX吸着層を含む請求項12に記載のディーゼル排ガス浄化用装置。
【請求項14】 前記ストレートフロー型排ガス浄化用触媒の排ガス浄化層の一部または全部には、低温活性酸化触媒が含まれている請求項13に記載のディーゼル排ガス浄化用装置。
【請求項15】 前記低温活性酸化触媒はゼオライト,アルミナ,チタニアから選ばれる少なくとも1種の多孔質酸化物に担持された白金である請求項14に記載のディーゼル排ガス浄化用装置。
【請求項16】 前記ウォールーフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の排ガス流れ方向の下流側にストレートフロー型排ガス浄化用触媒が配置され、該ストレートフロー型排ガス浄化用触媒の排ガス浄化層はNOX吸蔵材と酸化触媒とを含むNOX吸蔵還元触媒層である請求項12から請求項15の少なくとも1つに記載のディーゼル排ガス浄化用装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジンからの排ガス中に含まれるパティキュレート(粒子状物質)を補集するとともに、排ガス中の有害成分を浄化するウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用触媒およびディーゼル排ガス浄化用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ガソリンエンジンについては、排ガスの厳しい規制とそれに対処できる技術の進歩とにより、排ガス中の有害成分は確実に減少してきている。しかし、ディーゼルエンジンについては、有害成分がパティキュレート(粒子状物質:炭素微粒子、サルフェート等の硫黄系微粒子、高分子量炭化水素微粒子)として排出されるという特異な事情から、規制も技術の進歩もガソリンエンジンに比べて遅れている。
【0003】現在までに開発されているディーゼルエンジン用排ガス浄化装置としては、大きく分けてトラップ型の排ガス浄化装置(ウォールフロー)と、オープン型の排ガス浄化装置(ストレートフロー)とが知られている。このうちトラップ型の排ガス浄化装置としては、セラミック製の目封じタイプのハニカム体(ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下DPFとする))が知られてる。このDPFは、セラミックハニカム構造体のセル下流端の開口部を目詰めしたガス流入孔と、セル上流端の開口部を目詰めしたガス流出孔と、ガス流入孔とガス流出孔を区画し、ガス流通の際のフィルタとなるフィルタ隔壁を持つものであり、フィルタ隔壁の細孔で排ガスを濾過してフィルタ隔壁にパティキュレートを捕集することでパティキュレートの排出を抑制するものである。
【0004】しかしDPFでは、パティキュレートの堆積によって圧損が上昇するため、何らかの手段で堆積したパティキュレートを定期的に除去して再生する必要がある。
【0005】従来は、圧損が上昇した場合にバーナあるいは電気ヒータ等で堆積したパティキュレートを燃焼させることでDPFを再生することが行われている。しかしながらこの場合には、パティキュレートの堆積量が多いほど燃焼時の温度が上昇し、それによる熱応力でDPFが破損する場合もある。
【0006】そこで近年では、DPFのセル隔壁にアルミナなどからコート層を形成し、そのコート層に白金(Pt)などの貴金属からなる触媒金属を担持した連続再生式DPFが開発されている。この連続再生式DPFによれば、触媒金属の触媒反応によって捕集されたパティキュレートが酸化燃焼するため、捕集と同時にあるいは捕集と連続して燃焼させることでDPFを再生することができる。そして、触媒反応は比較的低温で生じること、および捕集量が少ないうちに燃焼できることから、DPFに作用する熱応力が小さく、破損が防止されるという利点がある。
【0007】しかしこのようなDPFでは、酸化効率を向上させるために貴金属を高密度で担持すると、貴金属の粒成長や硫黄被毒が生じ、その結果触媒層の触媒耐久性が低下することがある。これらの耐久性を向上させるため、触媒を含むコート層を厚くして貴金属の担持密度を下げると、フィルタ本体の圧損が上昇する問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、圧損を抑制しつつパティキュレートの酸化速度を向上させたディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒を得ることを目的とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、セラミックハニカム構造体であって、ガス流入孔と、ガス流出孔と、該ガス流入孔と該ガス流出孔とを区画し、ガス流通の際のフィルタとなるフィルタ隔壁とを持つフィルタ本体と、少なくとも該ガス流入孔を複数の副孔に分ける副隔壁と、少なくとも該ガス流入孔を区画するフィルタ隔壁および該副隔壁の内部および/または表面に形成された排ガス浄化層とを有することを特徴とする。
【0010】また、本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒において、排ガス浄化層は多孔質酸化物と酸化触媒とからなる酸化触媒層を含むものとすることもできるし、NOX吸着材と酸化触媒からなるNOX吸着層を含むものとすることもできるし、酸化触媒層とNOX吸着層との両方を含むものとすることもできる。
【0011】このウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、フィルタ本体のガス流入孔を区画するフィルタ隔壁と副隔壁とに排ガス浄化層を有し、この排ガス浄化層を構成する酸化触媒が、排ガス中のNOとO2からNOXと活性酸素を生成する反応を促進する。ここで生成したNOXと活性酸素とによってフィルタ隔壁に捕集されたパティキュレートが酸化・燃焼される。このためフィルタ隔壁に堆積するパティキュレートは少なく、パティキュレートの堆積により生ずる圧損等を少なくすることができるため、触媒の耐久性が高くなる。
【0012】また、排ガス浄化層がNOX吸着層を含む構成とする場合には、このNOX吸着層に含まれるNOX吸着材がパティキュレートの連続酸化が行われ難い低温時にはNOXを吸着し、連続酸化が行われ易い高温時にはNOXを脱離することから、NOXを効率よく利用し、パティキュレートの燃焼をより効率よく行うことが可能となる。
【0013】そして、上記排ガス浄化層の一部または全部には、さらに、NOX吸蔵材が含まれる構成とすることもできる。
【0014】そして、 少なくとも前記ガス流出孔を区画するフィルタ隔壁の内部および/または表面には、NX吸蔵材と酸化触媒層とを含むNOX吸蔵還元触媒層が形成されていることが好ましい。さらに、副隔壁に形成された排ガス浄化層のコート量はガス流入孔を区画するフィルタ隔壁に形成された排ガス浄化層のコート量より多いことが好ましく、副隔壁の厚さはフィルタ隔壁の厚さより薄いことが好ましい。
【0015】ウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒を構成するガス流入孔およびガス流出孔は、断面形状が四角形を含む略四角形であり、該断面形状は上記フィルタ本体断面内で一定を含む略一定とすることができる。副隔壁は、ガス流入孔の断面の少なくとも対向する二辺を垂直方向に区画するように延び、ガス流入孔を一文字を含む略一文字状に二分割、あるいは十字を含む略十字状に四分割するものとすることができる。また、副隔壁は、該ガス流入孔の断面の少なくとも対向する二角を対角線方向に区画するように延び、該ガス流入孔を斜一文字を含む略斜一文字状に二分割、あるいは十字を含む略十字状に四分割するものとすることができる。
【0016】また、ウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒を構成するガス流入孔の副孔およびガス流出孔は、断面形状が六角形を含む略六角形であり、該断面形状は上記フィルタ本体断面内で一定を含む略一定であって、一個のガス流出孔を六個の副孔が取り囲み、ガス流出孔と副孔とはフィルタ隔壁によって区画され、隣接する二つの副孔は副隔壁によって区画されるものとすることができる。
【0017】また、本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒はストレートフロー型排ガス浄化用触媒とを組み合わせてディーゼル排ガス浄化用装置とすることもできる。
【0018】すなわち、本発明のディーゼル排ガス浄化用装置は、上述した本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の少なくとも1つと、該ウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の排ガス流れ方向の上流側および/または排ガス流れ方向の下流側の少なくとも一箇所に配置された、ハニカム構造体であって、セル上流端とセル下流端とがそれぞれ開口したガス流通孔と、該ガス流通孔を区画する隔壁と、該隔壁の内部および/または表面に形成された排ガス浄化層とを有するストレートフロー型排ガス浄化用触媒と、を有することを特徴とする。
【0019】上記ストレートフロー型排ガス浄化用触媒は、上記ウォールーフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の排ガス流れ方向の上流側に少なくとも1つ配置され、上記排ガス浄化層はNOX吸着材と酸化触媒とを含むNOX吸着層とすることができる。そして、上記ストレートフロー型排ガス浄化用触媒の排ガス浄化層の一部または全部には、低温活性酸化触媒が含まれている構成とすることもできる。さらに、上記低温活性酸化触媒はゼオライト,アルミナ,チタニアから選ばれる少なくとも1種の多孔質酸化物に担持された白金であることが好ましい。
【0020】また、上記ストレートフロー型排ガス浄化用触媒は、上記ウォールーフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の排ガス流れ方向の下流側に配置され、上記排ガス浄化層はNOX吸蔵材と酸化触媒とを含むNOX吸蔵還元触媒層とすることもできる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、フィルタ本体と副隔壁と排ガス浄化層とを有する。
【0022】フィルタ本体は多孔質セラミックハニカム構造体であって、ガス流入孔と、ガス流出孔と、これらを区画し、ガス流通の際のフィルタとなるフィルタ隔壁とを有する。ここで多孔質セラミックハニカム構造体は、1mm〜2.5mm程度のセル径を有する蜂の巣状のセル複合体からなるものであり、該セル複合体の各セルはセル孔がフィルタ隔壁によって囲まれて形成される。フィルタ隔壁は0.15mm〜0.5mm程度の壁厚を持つ。
【0023】またガス流入孔とは、排ガスがフィルタ本体に侵入する際の入口となるセル孔であり、排ガス流れ方向の上流側に位置するセル上流端が開口し、排ガス下流側に位置するセル下流端が目詰めされて閉口したセル孔である。ガス流出孔とは、排ガスがフィルタ本体を流通する際に排ガスの出口となるセル孔であり、セル上流端が目詰めされて閉口し、セル下流端が開口したセル孔である。ガス流入孔からフィルタ本体に侵入した排ガスはフィルタ隔壁を通過し、浄化されてガス流出孔から排出される。
【0024】フィルタ本体は耐熱性セラミックスで形成されており押出し成形等の従来の方法で作られたものを使用できる。具体的には市販の多孔質ハニカム型セラミック製DPFを使用することもでき、原料としては一般的に使用される耐熱性セラミックス原料を用いることができる。また、良好な排ガスの浄化を行うためにはガス流出孔およびガス流入孔からなるセル密度が46.5cells/cm2以上であることが好ましい。
【0025】副隔壁は、フィルタ本体の少なくともガス流入孔を複数の副孔に分ける隔壁であり、ガス流入孔とほぼ平行に延びている。このため副隔壁は圧損に対する関与が小さく、パティキュレート捕集能も大きくない。この副隔壁に排ガス浄化層を形成することで、圧損をあまり上昇させずに触媒コート量を増すことができる。
【0026】フィルタ本体のガス流入孔およびガス流出孔の断面を、四角形を含む略四角形かつフィルタ本体断面内で一定を含む略一定とし、ガス流入孔を副隔壁によって二分割あるいは四分割した場合、フィルタ本体にガスが流入する際のガス流入抵抗をあまり上昇させることなく副隔壁を設けることが可能である。
【0027】また、フィルタ本体のガス流入孔の副孔およびガス流出孔の断面を、六角形を含む略六角形かつフィルタ本体断面内で一定を含む略一定とし、一個のガス流出孔を六個の副孔が取り囲んだ構成とした場合は、セル上流端の開口部は閉口部と比較して大きい面積を持つため、フィルタ本体にガスが流入する際のガス流入抵抗が減少し、パティキュレートによる端面閉塞が起こり難いため、好ましく使用できる。
【0028】本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒において、少なくともガス流入孔を区画するフィルタ隔壁と副隔壁の内部および/または表面には排ガス浄化層が形成される。
【0029】本発明において、排ガス浄化層は少なくとも酸化触媒を含む触媒層を指し、その他、多孔質酸化物,NOX吸着材,NOX吸蔵還元触媒などに代表される種々の排ガス浄化成分を含有する層とすることができる。排ガス浄化層はこれら各排ガス浄化成分を混合して一層とすることもできるし、また各々の排ガス浄化成分を別々の層に形成した2層以上の多層とすることもできる。
【0030】ここで、フィルタ隔壁および副隔壁はその内部および/または表面にガス流通の際のガス流路となる細孔を有する。本発明において排ガス浄化層は、この流路の表面にコートされているため、該排ガス浄化層はフィルタ隔壁および副隔壁の内部および/または表面に形成されることとなる。
【0031】本発明において、排ガス浄化層は多孔質酸化物と酸化触媒からなる酸化触媒層を含む構成とすることができる。
【0032】多孔質酸化物とは比表面積が大きい酸化物であり、多孔質酸化物としては、Al23、ZrO2、CeO2、TiO2、SiO2、ゼオライトなどの酸化物あるいはこれらの複数種からなる複合酸化物を使用することができる。
【0033】酸化触媒は、触媒反応によってパティキュレートの酸化を促進するものであれば用いることができるが、Pt、Rh、Pdなどの貴金属および、Ag、Cu、Fe、Ni,Co,Mnなどの金属から選ばれた一種あるいは複数種を用いることができる。
【0034】また本発明において、排ガス浄化層はNOX吸着材と酸化触媒とからなるNOX吸着層を含む構成とすることもできる。
【0035】NOX吸着材は、ZrO2,ゼオライト,スピネル,MgAl24等の塩基性を持つものまたは酸性および塩基性の両性を持つもので、低温条件下でNOXを吸着し高温条件下でNOXを脱離するものが使用できる。ここで本発明でいう低温条件および高温条件とは、通常の酸化触媒の酸化活性が発揮される温度域である300℃を基準とし、これより高い温度域を高温条件としこれより低い温度域を低温条件とするものである。例えばZrO2に貴金属を担持したものは、室温〜300℃の温度条件下でNOXを吸着し、300℃〜400℃の温度条件下でNOXを脱離する特性をもつ。参考までに、PtとPdを担持したZrO2のNOX脱離特性を図1に示す。図1は、ZrO2に600ppmのNOと空気との混合ガスを吸着させ、このNOの各温度条件下での脱離量を表すものである。
【0036】また、NOX吸着材にLa,K,Caの少なくとも一種を添加することが好ましい。NOX吸着材にこれらを添加することで、NOX吸着材の耐久性を向上させることができる。このLa,K,Caは、ZrO2をNOX吸着材として用いる場合に添加することが特に好ましい。
【0037】NOX吸着層に含まれる酸化触媒としては、Pt,Pd,Rh,Agなどの酸化触媒能を持つ貴金属を用いることが好ましい。
【0038】ここで、例えばPdは、それ自体にNOX吸着能を持つことから、NOX吸着能をさらに向上させたい場合にはPdを用いることが好ましい。さらに酸化触媒は、アンミン系Ptおよび硝酸Pdのどちらか一種あるいは二種の混合物の状態で用いることが好ましく、また、コロイドPt,Pt−Pd複合コロイド,もしくはPtコロイドと硝酸Pdの混合物の状態で用いることがより好ましい。
【0039】コロイド状のPtやPdはメタルに近い状態で担持される。このような状態で担持されたPtやPdは、担持された後に焼成などによって高温条件下に曝された場合にも酸化され触媒活性が低下する不具合を回避することができ、より高い触媒活性を保持することができる。
【0040】また、フィルタ隔壁に形成される排ガス浄化層は、フィルタ本体1リットルあたり50g〜200g程度をコートすることが好ましく、副隔壁に形成される排ガス浄化層は、フィルタ本体1リットルあたり50g〜200g程度をコートすることが好ましい。これより多くなるとフィルタの圧損が上昇し、これより少なくなると触媒の活性が低下する。
【0041】本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒では、排ガス浄化層の一部または全部にさらにNOX吸蔵材を加えることもできる。また、少なくともガス流出孔を区画するフィルタ隔壁の内部および/または表面にはNOX吸蔵材と酸化触媒とを含むNOX吸蔵還元触媒層が形成されていることが好ましい。
【0042】排ガス浄化層の一部または全部にさらにNOX吸蔵材を加えることにより、このNOX吸蔵材と排ガス浄化層に含まれる酸化触媒とによりNOX吸蔵還元触媒を構成し、排ガス浄化層の一部または全部をNOX吸蔵還元触媒層とすることができるため、本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒にNOX浄化能を付与することも可能になり、より好ましく使用することができる。ここで、本発明においてNOX吸蔵還元触媒層は、少なくともNOX吸蔵材と酸化触媒とを含む排ガス浄化層のことを指す。したがって、酸化触媒層やNOX吸着層にNOX吸蔵材を加えることでもNOX吸蔵還元触媒層を形成することができる。
【0043】NOX吸蔵材としては、K、Na、Li、Csなどのアルカリ金属、Ba、Ca、Srなどのアルカリ土類、La、Yなどの希土類から選ばれた少なくとも一つを用いることができる。また、酸化触媒は触媒反応によってHC、COおよびNOからNO2、H2OおよびCO2を生成する反応を促進するものであれば用いることができるが、Pt、Rh、Pdなどの白金族の貴金属から選ばれた一種あるいは複数種を使用することが特に好ましい。また、NOX吸蔵材であるK、Liなどはパティキュレート酸化を促進する作用を有している。
【0044】また、フィルタ隔壁に形成されるNOX吸蔵還元触媒層は、フィルタ本体1リットルあたり50g〜200g程度のNOX吸蔵還元触媒層をコートして形成することが好ましい。これより多くなるとフィルタの圧損が上昇し、これより少なくなると触媒の活性が低下する。
【0045】本発明の副隔壁に形成されている酸化触媒層やNOX吸着層、NOX吸蔵還元触媒層などの排ガス浄化層のコート量は、フィルタ隔壁に形成されている排ガス浄化層のコート量より多いことが好ましく、特にNOX吸蔵還元触媒層とした場合に好ましい。副隔壁の厚さはフィルタ隔壁の厚さより薄いことが好ましい。
【0046】ここで、副隔壁に形成されている排ガス浄化層のコート量と、フィルタ隔壁に形成されている排ガス浄化層のコート量とは、副隔壁とフィルタ隔壁との同面積あたりのコート量のことである。たとえば、副隔壁がガス流入孔のみに形成されている場合は、副隔壁の総表面積はフィルタ隔壁の総表面積よりも小さくなり、このような場合には、該コート量が同じであっても、副隔壁にコートされる酸化触媒層の総コート量やフィルタ本体の単位容積あたりにおけるコート形成量は、フィルタ隔壁にコートされる酸化触媒層の総コート量やフィルタ本体の単位容積あたりにおけるコート形成量よりも少なくなる場合がある。
【0047】副隔壁は、壁内外へのガスの流出入が極めて少なく、圧損に対する関与が小さい。このため副隔壁にフィルタ隔壁より多くの排ガス浄化層をコートすることで、フィルタ全体の圧損を上昇させず触媒総量を増すことが可能である。また、副隔壁はパティキュレート捕集にはあまり関与しないため、フィルタ隔壁より薄い壁厚にすることが可能である。副隔壁の壁厚を薄くすることにより、ガス流入孔のガス流通抵抗がさらに小さくなり圧損が低下する。
【0048】このことにより、本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒においては、フィルタ全体としては圧損をあまり上昇させずに、触媒コート量を大幅に増加させることができ、NOX浄化能および触媒全体の耐久性を向上させることが可能になる。
【0049】良好な触媒の耐久性を得る為には、フィルタ隔壁にコートする排ガス浄化層の1.5倍以上の排ガス浄化層を副隔壁にコートすることが好ましい。
【0050】また、フィルタ隔壁の壁厚は0.15mm〜0.5mmが好ましく、副隔壁の壁厚は0.05mm〜0.15mmが好ましい。
【0051】さらに、ガス流出孔を複数の副孔に分ける副隔壁を設けることも可能である。この場合該副隔壁には、酸化触媒およびNOX吸蔵還元触媒の少なくとも1種をコートし、壁厚、排ガス浄化層コート量等はガス流入孔の副隔壁と同等のものとすることができる。
【0052】ガス流入側セルを区画するフィルタ隔壁およびガス流入孔を複数の副孔に分ける副隔壁に、酸化触媒層をコートすると同時にNOX吸蔵材をコートすることもできる。この場合、副隔壁の酸化触媒層やNOX吸蔵還元触媒層で生成する活性酸素やNOXが、フィルタ隔壁に補集されたパティキュレート層の表面からパティキュレートを酸化する。
【0053】本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、空燃比でリーン雰囲気にある一般のディーゼル排ガス中でも用いることができるが、常時はリーン雰囲気にあり、間欠的にリッチ雰囲気となるように制御された排ガス中で用いることが望ましい。リーン雰囲気下では捕集されたパティキュレートが酸化触媒層やNOX吸着層で酸化・燃焼して除去されるとともに、排ガス中のHCおよびCOが浄化され、かつNOX吸蔵還元触媒層にNOXが吸蔵される。そして間欠的にリッチ雰囲気とすることでNOX吸蔵還元触媒層からNOXが脱離・還元され、NOX吸蔵還元触媒層のNOX吸蔵能を回復することができ、高いNOX浄化能を長期間維持することができる。
【0054】このように間欠的にリッチ雰囲気となるようにするには、空燃比を制御してもよいし、排ガス中に燃料などの還元成分を導入することも好ましい。
【0055】本発明に係る排ガス浄化用フィルタ型触媒では、酸化触媒やNOX吸収材、NOX吸蔵還元触媒によってパティキュレートの酸化が促進される。代表例として、図2に、フィルタ隔壁に酸化触媒層とNOX吸蔵還元触媒層を形成し、副隔壁に酸化触媒層を形成した場合の、本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒におけるパティキュレート酸化のメカニズムを示す。また、図3にフィルタ隔壁および副隔壁にNOX吸着層を形成した場合の、本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒におけるパティキュレート酸化のメカニズムを示す。
【0056】<酸化触媒層およびNOX吸蔵還元触媒層によるパティキュレート酸化機構>ここで示す本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、ガス流入孔1と、ガス流出孔2と、ガス流通の際のフィルタとなるフィルタ隔壁3と、ガス流入孔を複数の副孔に分ける副隔壁4とを有するフィルタ本体5に、酸化触媒層6およびNOX吸蔵還元触媒層7を形成した例であり、ガス流入孔1を区画するフィルタ隔壁3と副隔壁4とには酸化触媒層6を形成し、ガス流出孔2を区画するフィルタ隔壁3にはNOX吸蔵還元触媒層7を形成した例である。
【0057】フィルタ本体5のセル上流端からガス流入孔1に流入した排ガス中のNOは、酸化触媒層6で、NOがO2によって酸化される反応が促進され、NO2や活性酸素が生成する。酸化触媒層6で生成したNO2や活性酸素は気体酸化剤として働き、フィルタ隔壁3や副隔壁4上に捕集されたパティキュレート8を酸化し、NOやCO2を生成する。このうちCO2はフィルタ隔壁3を通過してガス流出孔2より大気中に放出される。また、NOはフィルタ隔壁3を通過し、ガス流出孔2を区画するフィルタ隔壁3表層のNOX吸蔵還元触媒層7に吸蔵され、空燃比リッチ条件下で還元されてN2となり、ガス流出孔2より大気中に放出される。また、酸化触媒は高温条件下で接しているパティキュレート8とO2からCO2を生成する反応を促進して、パティキュレート8を酸化・燃焼させる。
【0058】<NOX吸着層による酸化機構>ここで示す本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、上述したものと同じガス流入孔9,ガス流出孔10,フィルタ隔壁11および副隔壁12をもつフィルタ本体13に、NOX吸着層14を形成した例であり、ガス流入孔9を区画するフィルタ隔壁11および副隔壁12には酸化触媒層のかわりにNOX吸着層14を形成した例である。
【0059】フィルタ本体13のセル上流端からガス流入孔9に流入した排ガス中のNOは、NOX吸着層14の酸化触媒によって、NOがO2によって酸化される反応が促進され、気体酸化剤であるNO2や活性酸素が生成する。酸化触媒で生成した活性酸素は、上述と同様にパティキュレート15を酸化する。一方、NO2は低温条件下ではNOX吸着層14のNOX吸着材に吸着されパティキュレートの連続酸化が起こり易い高温条件下では脱離される。脱離したNO2は気体酸化剤として働き、パティキュレート15を酸化し、NOやCO2を生成する。また、高温条件下では、気体酸化剤によるパティキュレート15の酸化・燃焼と同時に酸化触媒に接するパティキュレート15の酸化・燃焼が行なわれることで、パティキュレート15の連続酸化が行われる。
【0060】本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒において、少なくともガス流入孔内には、ガス流入孔を複数の副孔に分ける副隔壁が配置されている。この副隔壁には排ガス浄化層をコートすることができるために、本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒には多くの排ガス浄化層をコートすることが可能になり、パティキュレート酸化速度を向上させることが可能となる。また、副隔壁は排ガス流通にあまり関与しないために、圧損をあまり上昇させることなく排ガス浄化層をコートできる。
【0061】さらに、ガス流入孔内のフィルタ隔壁および副隔壁の内部および/または表面には排ガス浄化層が形成されており、副隔壁の排ガス浄化層で生成したNO2や活性酸素等の気体酸化剤は、ガス流れに沿ってフィルタ隔壁方向に移動し、パティキュレートをパティキュレート層の表面から酸化することが可能である。また、フィルタ隔壁の排ガス浄化層で生成した気体酸化剤は、パティキュレートをフィルタ隔壁上に形成された排ガス浄化層との界面から酸化する。この作用によってパティキュレートは非常に効率良く除去され、フィルタ本体のパティキュレートの堆積による圧損を減少させることができ、パティキュレート酸化速度をより向上させることができる。
【0062】また、本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒はストレートフロー型排ガス浄化用触媒とを組み合わせてディーゼル排ガス浄化用装置とすることもできる。ここで用いられるストレートフロー型排ガス浄化用触媒は、セル上流端とセル下流端とがそれぞれ開口したガス流通孔とガス流通孔を区画する隔壁とを有する既知の形状のストレートフロー型基材に、上述した排ガス浄化層を形成したものとする。
【0063】ストレートフロー型基材の各々のセル孔は目詰めがなされていないことから、このストレートフロー型排ガス浄化用触媒はウォールフロー型に比べて圧損への関与が小さい。したがって、この構成によると圧損をあまり上昇させることなく、さらに多くの排ガス浄化層を用いることができるため、ウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒におけるパティキュレートの酸化をより効率よく行うことが可能となる。
【0064】本発明において、ストレートフロー型排ガス浄化用触媒は、ウォールーフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の排ガス流れ方向の上流側に少なくとも1つ配置され、排ガス浄化層はNOX吸着材と酸化触媒とからなるNOX吸着層を含む構成とすることができる。
【0065】この構成によると、低温条件下では、ストレートフロー型排ガス浄化用触媒に形成されたNOX吸着層によって排ガス中のNOXが吸着され、ウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒によってパティキュレートが捕集される。そして高温条件下ではこのNOX吸着層に吸着されていたNOXが脱離し、脱離したNOXが排ガス流れに沿ってウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒に供給される。このため、排ガス中のNOXを気体酸化剤としてより無駄なく有効に利用することができ、パティキュレートをより効率よく酸化・燃焼することができる。また、ウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒がNOX吸着層を有する場合には、このNOX吸着層によっても上述と同様にNOXが吸着・放出されるため、さらに効率よくパティキュレートの酸化・燃焼を行うことができる。
【0066】ここで、ストレートフロー型排ガス浄化用触媒の排ガス浄化層の一部または全部には、低温活性酸化触媒が含まれている構成とすることもできる。また、低温活性酸化触媒における多孔質酸化物はゼオライト,アルミナ,チタニアから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0067】ここで、低温活性酸化触媒とは通常の酸化触媒が酸化活性を有する温度より低温の温度条件下で酸化活性を有する酸化触媒を指し、200℃以下の温度条件下で活性を有するものを指すものである。このうち、Ptを担持したゼオライトは150℃付近で酸化活性を有することから、好ましく使用することができる。
【0068】この構成によると、上述した排ガス浄化層に含まれる酸化触媒の活性が低い低温条件下でもこの低温活性酸化触媒によってNOXよりNO2が生成する反応が促進され、ここで生成したNO2はNOX吸着材に吸着されて、連続酸化が行われ易い高温条件下で脱離される。したがって、酸化触媒の活性が低い低温条件下においても排ガス中のNOXを無駄なく吸着することが可能となり、ウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒に捕集されたパティキュレートへ供給される総NOX量はより増加し、高温条件下におけるパティキュレートの酸化・燃焼がより効率よく行われることとなる。また、この場合低温活性酸化触媒を含む排ガス浄化層とNOX吸着材を含む排ガス浄化層とは同じストレートフロー型基材に同時に形成してもよいし、異なるストレートフロー型基材に別々に形成してもよい。同じストレートフロー型基材に同時に形成する場合には、混合して一層にしてもよいし積層して2層以上の多層としてもよい。低温活性酸化触媒を含む層を下層に形成した場合や低温活性酸化触媒とNOX吸着材とを混合して一層とした場合でも、排ガスはこの排ガス浄化層内部で拡散されることから、酸化触媒層上でNOXより生成したNO2はNOX吸着材に供給されて吸着される。
【0069】また、上記ストレートフロー型排ガス浄化用触媒は、上記ウォールーフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の排ガス流れ方向の下流側に配置され、上記排ガス浄化層はNOX吸蔵材と酸化触媒とを含むNOX吸蔵還元触媒層とすることもできる。
【0070】この構成によると、ウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒でパティキュレートが燃焼する際に発生したNOをより確実に吸蔵・還元することができ、大気中に放出されるNOをより確実に低減することができる。
【0071】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を基にして説明する。
<第1実施例>本発明の第1実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒のガス流路に垂直な断面図を図4に示し、ガス流路に平行な断面図を図5に示す。
【0072】本第1実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、フィルタ本体16と、フィルタ本体16のガス流入孔17を十字状に四分割する副隔壁18とを有し、ガス流入孔17を区画するフィルタ隔壁19と副隔壁18とに酸化触媒層20が形成され、ガス流出孔21を区画するフィルタ隔壁19にはNOX吸蔵還元触媒層22が形成されている。
【0073】フィルタ本体16の材料としては断面φ129mm、長さ150mmのコージェライト製多孔質セラミックハニカム構造体を用いた。この多孔質セラミックハニカム構造体は容積2リットル、気孔率60%、セル密度46.5cells/cm2であり、ガス流入孔17となるセル孔のセル下流端と、ガス流出孔21となるセル孔のセル上流端とを、フィルタ本体と同材料よりなる目詰め栓23で目詰めしてフィルタ本体16としたものである。なお、ハニカム構造体の容積とは、それらの嵩の量を表している。ガス流入孔17は四角形の断面を持ち、副隔壁18によって十字状に四分割されて、セル径0.5mmの四角形の断面を持つ副孔に分けられている。また、ガス流出孔21は四角形の断面を持ちセル径1.2mmである。そして、フィルタ隔壁19の壁厚は0.3mmであり、副隔壁18の壁厚は0.1mmである。
【0074】酸化触媒層20は、多孔質酸化物として平均粒径1μmのAl23を含み、酸化触媒としてのPtを含む。この酸化触媒層20は、ガス流入孔17を区画するフィルタ隔壁19と、副隔壁18との内部および表面に形成されている。また、ガス流出孔21を区画するフィルタ隔壁19の内部および表面にはNOX吸蔵還元触媒層22の一部となる、図示しない酸化触媒層が形成されている。
【0075】酸化触媒層20は、Ptをフィルタ本体の容積1リットルあたり5g保持し、フィルタ隔壁19には、フィルタ本体の容積1リットルあたり150gのAl23を、副隔壁18にはフィルタ本体の容積1リットルあたり75gのAl23を保持している。この場合、副隔壁18に形成された酸化触媒層20の単位面積当たりのコート量は、フィルタ隔壁19に形成されたものと同等になっている。
【0076】NOX吸蔵還元触媒層22は、NOX吸蔵還元触媒としてのLi、K、Baと、酸化触媒としてのPtを含む。このNOX吸蔵還元触媒層22は、ガス流出孔21を区画するフィルタ隔壁19に形成され、酸化触媒層20と酸化触媒層20上に保持されたNOX吸蔵還元触媒とでNOX吸蔵還元触媒層22が形成されている。また、NOX吸蔵還元触媒層22のNOX吸蔵還元触媒は、Liをフィルタ本体の容積1リットルあたり2.1g保持し、Kをフィルタ本体の容積1リットルあたり1.9g保持し、Baをフィルタ本体の容積1リットルあたり6.8g保持して形成されている。
【0077】フィルタ隔壁19および副隔壁18には、総計でフィルタ本体の容積1リットルあたり230gの酸化触媒層20が形成され、ガス流出孔を区画するフィルタ隔壁19にはさらにNOX吸蔵材が担持され、NOX吸蔵還元触媒層22が形成されている。
【0078】以下に本第1実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の製作方法を示す。
【0079】平均粒径1μmのAl23粉末20重量%、バインダ1重量%を含む水溶液を調製した。この溶液をフィルタ本体16のガス流入孔17内に注入し、ガス流出孔21から吸引することによって、Al23をガス流入孔17を区画するフィルタ隔壁19と副隔壁18の内部および表面に保持させた。また、同様にガス流出孔21を区画するフィルタ隔壁19の内部および表面にも保持させた。この後、250℃で乾燥し、500℃で30分間焼成して酸化触媒層20の多孔質酸化物層を形成した。
【0080】また、Pt粉末5重量%を含む硝酸溶液を、前記多孔質酸化物層が形成されたフィルタ本体16のガス流入孔17内に注入し、ガス流出孔21から吸引することによって、Ptをガス流入孔17を区画するフィルタ隔壁19と副隔壁18の内部および表面の多孔質酸化物層に担持させ、また、同様にガス流出孔21を区画するフィルタ隔壁19の内部および表面の多孔質酸化物層に担持させた。この後250℃で乾燥し、500℃で30分間焼成して酸化触媒層20を形成した。
【0081】つづいて、ガス流出孔21が吸収可能な水量を予め測っておき、その水量に、担持したいLi、K、Ba量となる各NOX吸蔵材の酢酸塩を入れた濃度の水溶液をガス流出孔21に注入し、ガス流入孔17から吸引してガス流出孔21を区画するフィルタ隔壁19の内部および表面の酸化触媒層20上に保持させ、この後、250℃で乾燥し、500℃で60分間焼成してNOX吸蔵触媒層22を形成した。これにより本発明の第1実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒を得た。
<第2実施例>本発明の第2実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒のガス流路に垂直な断面図を図6に示し、ガス流路に平行な断面図を図7に示す。本第2実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、第1実施例と同じフィルタ本体24とNOX吸蔵還元触媒層25とを有し、ガス流入孔26を区画するフィルタ隔壁27と副隔壁28とに酸化触媒層29が形成され、この酸化触媒層29上にさらにNOX吸着層30が形成されたものである。
【0082】本第2実施例のフィルタ本体24は第1実施例と同じ多孔質セラミック構造体を使用したもので、第1実施例と同じ形状の目詰め栓31と、ガス流入孔26と、ガス流出孔32と、フィルタ隔壁27と副隔壁28とを有する。本第2実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、第1実施例と同様に製作することができ、酸化触媒層29は、Ptをフィルタ本体の容積1リットルあたり3g保持し、フィルタ隔壁27および副隔壁28には第1実施例と同量のAl23を保持している。
【0083】NOX吸着層30は、NOX吸着材としてZrO2を、酸化触媒としてPtコロイドと硝酸Pdの混合物を用いて形成され、PtおよびPdをそれぞれフィルタ本体の容積1リットルあたり1gづつ保持し、ZrO2をフィルタ本体の容積1リットルあたり120g保持している。このZrO2は第1実施例におけるAl2O3と同じ方法で酸化触媒層29上にコートされ、Ptコロイドと硝酸Pdの混合物は第1実施例におけるPtと同じ方法で、このZrO2上に担持されている。また、フィルタ隔壁27および副隔壁28には、総計で、フィルタ本体の容積1リットルあたり165gの酸化触媒層29とフィルタ本体の容積1リットルあたり122gのNOX吸着層30が形成され、ガス流出孔26を区画するフィルタ隔壁27には第1実施例と同量のNOX吸蔵還元触媒層25が形成されている。
<第3実施例>本発明の第3実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒のガス流路に垂直な断面図を図8に示し、ガス流路に平行な断面図を図9に示す。本第3実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、フィルタ本体33と、フィルタ本体33上に形成された酸化触媒層34とを有し、NOX吸蔵還元触媒層を形成する工程を行わないこと以外は、第1実施例と同様に形成されている。
【0084】本第3実施例のフィルタ本体33は、第1実施例と同じ多孔質セラミック構造体を使用したもので、第1実施例と同じ形状の目詰め栓35と、ガス流入孔36と、ガス流出孔37と、フィルタ隔壁38と、副隔壁38とを有し、ガス流入孔36を区画するフィルタ隔壁38と、副隔壁39とに酸化触媒層34が形成されている。本第3実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は第1実施例と同様に製作することができる。
<第4実施例>本発明の第4実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒のガス流路に垂直な断面図を図10に示し、ガス流路に平行な断面図を図11に示す。本第4実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、フィルタ本体40と、フィルタ本体40上に形成されたNOX吸着層41とを有し、酸化触媒層のかわりにNOX吸着層が形成されていること以外は、第3実施例と同様に形成されている。また、本第4実施例において、NOX吸着層は第2実施例と同じものであり、このNOX吸着層のコート量は実施例1における酸化触媒層のコート量と同じ量である。
<第5実施例>本発明の第5実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒のガス流路に垂直な断面図を図12に示し、ガス流路に平行な断面図を図13に示す。本第5実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、フィルタ本体42と、フィルタ本体42上に形成された酸化触媒層43とNOX吸蔵還元触媒層44を有し、副隔壁45の形状以外は第1実施例と同様に形成されている。
【0085】第5実施例のフィルタ本体42は、第1実施例と同じ多孔質セラミック構造体を使用することができ、第1実施例と同じ形状の目詰め栓46と、ガス流入孔47と、ガス流出孔48と、フィルタ隔壁49と、副隔壁45とを有する。
【0086】ガス流入孔47は、副隔壁45によって四角形の断面が斜一文字状に二分割された三角形の断面を持つ副孔に分けられる。また、副隔壁45の壁厚は0.1mmである。
【0087】本第5実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は第1実施例と同様に製作することができる。
【0088】<第6実施例>本発明の第6実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒のガス流路に垂直な断面図を図14に示し、ガス流路に平行な断面図を図15に示す。本第6実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、フィルタ本体50と、フィルタ本体50に形成された酸化触媒層51とNOX吸蔵還元触媒層60とを有し、ガス流入孔の副孔53とガス流出孔54の形状以外は第1実施例と同様に形成されている。
【0089】第6実施例のフィルタ本体50は、第1実施例と同様の多孔質セラミック構造体を使用することができ、第1実施例と同様に目詰め栓55と、ガス流入孔の副孔53と、ガス流出孔54と、フィルタ隔壁56と、副隔壁57とを有する。
【0090】ガス流入孔の副孔53は六角形の断面を持ち、セル径は1.5mmである。また、ガス流出孔54は六角形の断面を持ちセル径1.5mmである。
【0091】本第6実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は第1実施例と同様に製作することができる。
<第7実施例>本発明の第7実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒のガス流路に垂直な断面図を図16に示し、ガス流路に平行な断面図を図17に示す。本第7実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、フィルタ本体58と、フィルタ本体58上に形成された酸化触媒層59とNOX吸蔵還元触媒層60とを有し、副隔壁61上に形成された酸化触媒層59の形成量以外は第1実施例と同様に形成されている。
【0092】本第5実施例のフィルタ本体58は、第1実施例と同じ多孔質セラミック構造体を使用したもので、第1実施例と同じ形状の目詰め栓62と、ガス流入孔63と、ガス流出孔64と、フィルタ隔壁65と、副隔壁61とを有する。
【0093】酸化触媒層59は、Ptをフィルタ本体の容積1リットルあたり5g保持し、フィルタ隔壁65にはフィルタ本体の容積1リットルあたり150gのAl23を、副隔壁61にもフィルタ本体の容積1リットルあたり150gのAl23を保持している。この場合、副隔壁61に形成された酸化触媒層59の単位面積当たりのコート量は、フィルタ隔壁65に形成されたものの約2倍になっている。本第5実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は第1実施例と同様に製作することができる。
<第1比較例>本発明の第1比較例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒のガス流路に垂直な断面図を図18に示し、ガス流路に平行な断面図を図19に示す。
【0094】本第1比較例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒は、フィルタ本体66と、フィルタ本体66に形成された酸化触媒層67とを有し、NOX吸蔵還元触媒層を形成する工程を行わないことと、副隔壁を持たないこと以外は第1実施例と同様に形成されている。
【0095】フィルタ本体66の材料としては断面積φ129mm、長さ150mmのコージェライト製多孔質セラミックハニカム構造体を用いる。この多孔質セラミックハニカム構造体は容積2リットル、気孔率60%、セル密度46.5cells/cm2であり、ガス流入孔68となるセル孔のセル下流端と、ガス流出孔69となるセル孔のセル上流端とを、フィルタ本体と同素材よりなる目詰め栓70で目詰めしてフィルタ本体66とする。ガス流入孔68は四角形の断面を持ち、セル径は1.2mmである。また、ガス流出孔69は四角形の断面を持ちセル径1.2mmである。また、フィルタ隔壁66の壁厚は0.3mmである。
【0096】酸化触媒層59は、多孔質酸化物として平均粒径1μmのAl23を含み、酸化触媒としてのPtを含む。この酸化触媒層59は、ガス流入孔68を区画するフィルタ隔壁71の内部および表面に形成され、Al23をフィルタ本体66の容積1リットルあたり150g保持し、Ptをフィルタ本体47の容積1リットルあたり5g保持する。
【0097】従って、フィルタ隔壁71には、フィルタ本体66の容積1リットルあたり155gの酸化触媒層が形成される。
【0098】以下に第1比較例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の製作方法を示す。
【0099】平均粒径1μmのAl23粉末20重量%、バインダ1重量%を含む水溶液を調製した。この溶液をフィルタ本体66のガス流入孔68内に注入し、ガス流出孔69から吸引することによって、Al23をガス流入孔を区画するフィルタ隔壁71の内部および表面に保持させ、この後、250℃で乾燥し、500℃で30分間焼成して酸化触媒層67の多孔質酸化物層を形成した。
【0100】また、Pt粉末5重量%を含む硝酸溶液を、前記多孔質酸化物層が形成されたフィルタ本体66のガス流入孔68内に注入し、ガス流出孔69から吸引することによって、Ptをガス流入孔68を区画するフィルタ隔壁71の内部および表面の多孔質酸化物層に担持させ、この後250℃で乾燥し、500℃で30分間焼成して酸化触媒層67を形成した。これにより本発明の第1比較例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒を得た。
<第8実施例>本発明の第8実施例のディーゼル排ガス浄化用装置のガス流路に平行な断面図を図20に示す。本第8実施例のディーゼル排ガス浄化用装置は、第4実施例のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒72と、このウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒72の排ガス流れ方向の上流側配置されたストレートフロー型排ガス浄化用触媒73とより構成されるものである。本第8実施例において、ストレートフロー型排ガス浄化用触媒73は、ストレートフロー型のフィルタ本体74と、このフィルタ本体74の隔壁75上に形成されたNOX吸着層76とより構成される。フィルタ本体74の材料としては断面φ129mm、長さ100mmのコージェライト製多孔質セラミックハニカム構造体を用いた。この多孔質セラミックハニカム構造体は容積1.3リットル,気孔率25%,セル密度62cells/cm2であり、セル上流端とセル下流端とがそれぞれ開口してガス流通孔77が形成されている。各々のガス流通孔77は壁厚0.1mmの隔壁75によって区画されている。
【0101】隔壁75上には第4実施例と同じNOX吸着層76がフィルタ本体74の容積1リットルあたり150gで形成された。
<第9実施例>本発明の第9実施例のディーゼル排ガス浄化用装置のガス流路に平行な断面図を図21に示す。本第9実施例のディーゼル排ガス浄化用装置は、第8実施例のディーゼル排ガス浄化用装置の排ガス流れのさらに上流側にストレートフロー型排ガス浄化用触媒を配置したものである。すなわち、本第9実施例のディーゼル排ガス浄化用装置は、第8実施例と同じディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒78と、第8実施例と同じストレートフロー型排ガス浄化用触媒79と、このストレートフロー型排ガス浄化用触媒79の排ガス流れの上流側にさらに配置されたストレートフロー型排ガス浄化用触媒80とより構成されるものである。ストレートフロー型排ガス浄化用触媒80はストレートフロー型排ガス浄化用触媒79と同じフィルタ本体81に低温活性酸化触媒層82が形成されたものである。低温活性酸化触媒層82は、多孔質酸化物として平均粒径1μmのAl23,低温活性酸化触媒としてゼオライト(モルデナイト),酸化触媒としてPtを含む。このうちAl23はフィルタ本体81の容積1リットルあたり120g含まれ、ゼオライトはフィルタ本体81の容積1リットルあたり40g含まれ、Ptはフィルタ本体81の容積1リットルあたり2g含まれている。
<第10実施例>本発明の第10実施例のディーゼル排ガス浄化用装置のガス流路に平行な断面図を図22に示す。本第10実施例のディーゼル排ガス浄化用装置は、第9実施例のディーゼル排ガス浄化用装置のストレートフロー型排ガス浄化用触媒80および84に形成されたNOX吸着層および低温活性酸化触媒層82を一層に形成したものである。すなわち、本第10実施例のディーゼル排ガス浄化用装置は、第8実施例と同じディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒83と、このディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒83の排ガス流れの上流側に配置されたストレートフロー型排ガス浄化用触媒84とを有するものである。このストレートフロー型排ガス浄化用触媒84は、第8実施例のストレートフロー型排ガス浄化用触媒と同じフィルタ本体を用いたもので、隔壁85上に第9実施例と同じ低温活性酸化触媒層86が第9実施例と同量形成され、低温活性酸化触媒層86の上層には実施例9と同じNOX吸着層87が第9実施例と同量形成されている。
<第11実施例>本発明の第11実施例のディーゼル排ガス浄化用装置のガス流路に平行な断面図を図23に示す。本第11実施例のディーゼル排ガス浄化用装置は、第9実施例のディーゼル排ガス浄化用装置の排ガス流れの下流側にさらにストレートフロー型排ガス浄化用触媒を配置したものである。すなわち、本第11実施例のディーゼル排ガス浄化用装置は、第9実施例と同じストレートフロー型排ガス浄化用触媒88(低温活性触媒層),ストレートフロー型排ガス浄化用触媒89(NOX吸着層),ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒90と、その排ガス流れの下流側に配置されたストレートフロー型排ガス浄化用触媒91とより構成されるものである。このストレートフロー型排ガス浄化用触媒91は第8実施例のストレートフロー型排ガス浄化用触媒84と同じフィルタ本体を用いたもので、隔壁92上にNOX吸蔵還元触媒層93が形成されたものである。このNOX吸蔵還元触媒層93は、Al23,TiO2,ZrO2を主成分とした多孔質酸化物と、酸化触媒としてのPtと、NOX吸蔵材としてLi,Ba,Kとを含んで形成されている。多孔質酸化物はフィルタ本体の容積1リットルあたり270g保持され、Ptはこの多孔質酸化物上にフィルタ本体の容積1リットルあたり3g均一に担持されている。また、Liはフィルタ本体の容積1リットルあたり1.4g,Baはフィルタ本体の容積1リットルあたり13.7g,Kはフィルタ本体の容積1リットルあたり2.0g保持されて形成されている。
<試験・評価>本発明の第1実施例,第2実施例および第1比較例で製作したウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒をディーゼルエンジンの排気管に挿着し、パティキュレート3g/Lを堆積させた。堆積完了後ディーゼルエンジンの排気ガスを、パティキュレートの量を調整しながら300℃でフィルタに流通させて、フィルタの圧損を測定した。
【0102】圧損が上昇も減少もしない状態のフィルタにおける1時間あたり・フィルタ1Lあたりのパティキュレート酸化量をパティキュレート酸化速度とした。パティキュレート酸化速度は、Ma=パティキュレート酸化速度(g/h・L)、e=パティキュレート捕集効率(%)、M=圧損が上昇も減少もしない時のフィルタへのパティキュレート流入量(g/h・L)と定義した時、Ma=e・Mを満足させる。
【0103】表1に300℃における、第1実施例,第2実施例第1比較例および第2比較例のフィルタ型触媒のパティキュレート酸化速度を示し、各ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒の酸化速度を表すグラフを図24に示す。
【0104】
【表1】

【0105】ガス流入孔に副隔壁を設けた第1実施例のフィルタ型触媒は、副隔壁を有さない第1比較例のフィルタ型触媒に比べて、パティキュレート酸化速度が約1.7倍向上した。そして、副隔壁を有し酸化触媒層とともにNOX吸着層を有する第2実施例のフィルタ型触媒は、さらに高いパティキュレート酸化速度を示した。
【0106】
【発明の効果】従って本発明のウォールフロー型ディーゼル排ガス浄化用フィルタ型触媒によれば、圧損を抑制しつつパティキュレート酸化速度を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年7月25日(2002.7.25)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開2003−205245(P2003−205245A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−216967(P2002−216967)