トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般




【発明の名称】 光触媒担持体
【発明者】 【氏名】加藤 陽弘
【住所又は居所】東京都世田谷区三軒茶屋2−46−3 岡谷電機産業株式会社内

【要約】 【課題】基体の表面に配置した光触媒の表面積を飛躍的に拡大させることのできる光触媒担持体を実現する。

【解決手段】基体12の表面に、アナターゼ型の酸化チタン(TiO)より成る光触媒14で被覆された多数の細長い第1の繊維状体16を、紫外線透過性を備えた材料(例えば、アルカリシリケート結合物、エチルシリケート結合物、アルコキシラン結合物、有機官能基を部分的に導入したアルコキシラン結合物及び有機ポリマーを反応させたアルコキシラン結合物等の無機結合材やハイブリッド系無機結合材)より成る接着剤18を介して、上記基体12表面に対して略垂直に立設状態で被着して成る光触媒担持体10。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基体の表面に、表面を光触媒で被覆された多数の繊維状体を、上記基体表面に対して立設状態で被着したことを特徴とする光触媒担持体。
【請求項2】 上記繊維状体が、ガラス繊維や樹脂繊維等の繊維の表面に、光触媒を被覆して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光触媒付放電管。
【請求項3】 上記繊維状体が、シリカガラスより成る繊維の表面に、シリカガラスの微細孔中にアナターゼ型の酸化チタンが浸透した状態で焼結したシンタリング層を形成し、さらに、上記シンタリング層の表面に、アナターゼ型の酸化チタンより成る光触媒を被覆して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光触媒付放電管。
【請求項4】 基体の表面に、光触媒繊維で構成された多数の繊維状体を、上記基体表面に対して立設状態で被着したことを特徴とする光触媒担持体。
【請求項5】 上記基体を略円筒状に形成すると共に、該基体の内表面に、上記繊維状体を、基体内表面に対して立設状態で被着したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の光触媒担持体。
【請求項6】 基体表面に被着した紫外線透過性を有する接着剤を介して、上記繊維状体が被着されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の光触媒担持体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、基体の表面に光触媒を配置して成る光触媒担持体に係り、特に、基体表面に配置する光触媒の表面積を拡大させることのできる光触媒担持体に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン(TiO)等の光触媒は、紫外線の照射を受けると活性化して強力な酸化還元作用を生じ、窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)等の有害化合物や汚濁物等を効果的に分解する作用を発揮するものであることから、図10に示すように、基体70の表面に光触媒72を膜状に被着した光触媒担持体74を用いて空気や水の浄化を行う試みが成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記光触媒による有害化合物や汚濁物等の分解は、これら有害化合物や汚濁物等が光触媒に接触することによって生じる作用である。従って、光触媒による空気や水の浄化能力を向上させるためには、光触媒の表面積をできるだけ拡大することが望ましい。しかしながら、上記従来の光触媒担持体74にあっては、光触媒72が基体70の表面に膜状に配置されていることから、光触媒72の表面積を基体70の表面積以上に拡大することはできなかった。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基体の表面に配置した光触媒の表面積を飛躍的に拡大させることのできる光触媒担持体の実現にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明に係る光触媒担持体にあっては、基体の表面に、表面を光触媒で被覆された多数の繊維状体を、上記基体表面に対して立設状態で被着したことを特徴とする。
【0006】本発明の光触媒担持体にあっては、光触媒で被覆された多数の繊維状体を、基体表面に対して立設状態で被着したことから、基体の表面積が、被着された多数の繊維状体の表面積分増大することとなり、この結果、基体表面に配置される光触媒の表面積を飛躍的に拡大することができる。
【0007】表面を光触媒で被覆された上記繊維状体は、ガラス繊維や樹脂繊維等の繊維の表面に、光触媒を被覆して構成することができる。
【0008】また、表面を光触媒で被覆された上記繊維状体は、シリカガラスより成る繊維の表面に、シリカガラスの微細孔中にアナターゼ型の酸化チタンが浸透した状態で焼結したシンタリング層を形成し、さらに、上記シンタリング層の表面に、アナターゼ型の酸化チタンより成る光触媒を被覆して構成することができる。この場合、シリカガラスの微細孔中に、アナターゼ型の酸化チタンが浸透した状態で焼結したシンタリング層を介して、光触媒と繊維とが結合されることとなるため、光触媒と繊維との結合が非常に強固となり、光触媒が容易に剥離を生じることがなく、耐久性に優れている。
【0009】また、本発明の他の光触媒担持体は、基体の表面に、光触媒繊維で構成された多数の繊維状体を、上記基体表面に対して立設状態で被着したことを特徴とする。
【0010】本発明の他の光触媒担持体にあっても、光触媒繊維で構成された多数の繊維状体を、基体表面に対して立設状態で被着したことから、基体の表面積が、被着された多数の繊維状体の表面積分増大することとなり、この結果、基体表面に配置される光触媒の表面積を飛躍的に拡大することができる。
【0011】上記基体を略円筒状に形成すると共に、該基体の内表面に、上記繊維状体を、基体内表面に対して立設状態で被着しても良い。このように、基体を略円筒状に形成すると共に、基体内表面に繊維状体を被着すれば、当該基体内部に、紫外線ランプを挿通配置することができ、該紫外線ランプから放射される全ての紫外線を無駄なく、基体内表面の光触媒に略均一に照射して活性化することができる。
【0012】基体表面への上記繊維状体の被着は、基体表面に被着した紫外線透過性を有する接着剤を介して行うことができる。この場合、各繊維状体の一部は、接着剤中に埋没した状態で基体表面に被着されることとなるが、この接着剤は紫外線透過性を有していることから、当該接着剤中に埋没した部分の繊維状体表面の光触媒にも紫外線を十分に照射することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき、本発明に係る光触媒担持体の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る第1の光触媒担持体10を示すものであり、該光触媒担持体10は、ガラス、樹脂、金属等の適宜な材料より成る平板状の基体12の表面に、アナターゼ型の酸化チタン(TiO)より成る光触媒14で被覆された多数の細長い第1の繊維状体16が、接着剤18を介して、上記基体12表面に対して略垂直に立設状態で被着されている。この第1の繊維状体16は、図2及び図3に示すように、ガラス繊維や樹脂繊維等の繊維20の表面に光触媒14をコーティングして構成され、その直径は5〜50μm、長さは20〜5000μm程度である。また、隣接する第1の繊維状体16同士の間隔は、5〜100μm程度と成されていて密集度は高い。上記光触媒14の厚さは、1〜3μm程度と成されている。上記繊維20への光触媒14の被覆方法は、従来から用いられている各種方法を使用でき、例えば、光触媒の分散液中に、ガラス繊維や樹脂繊維等の繊維20を浸漬した後、乾燥・焼成させることにより被覆可能である。
【0014】基体12表面への上記第1の繊維状体16の被着は、静電植毛法を用いて行うことができる。これは、第1の繊維状体16を、静電気を利用して立毛させた状態で、接着剤18の塗布された基体12表面に植毛するものである。尚、上記接着剤18は、紫外線透過性を備えた材料より成り、例えば、アルカリシリケート結合物、エチルシリケート結合物、アルコキシラン結合物、有機官能基を部分的に導入したアルコキシラン結合物及び有機ポリマーを反応させたアルコキシラン結合物等の無機結合材やハイブリッド系無機結合材を好適に用いることができる。
【0015】第1の光触媒担持体10における第1の繊維状体16表面の光触媒14に、図示しない紫外線ランプ等からの紫外線の照射を受けると、光触媒14が活性化して該光触媒14表面に接触した空気や水の浄化を行うことができるのである。而して、上記第1の光触媒担持体10にあっては、光触媒14で被覆された多数の第1の繊維状体16を、基体12表面に対して略垂直に立設状態で被着したことから、基体12の表面積が、被着された多数の第1の繊維状体16の表面積分増大することとなり、この結果、従来の光触媒担持体74の如く光触媒72を基体70表面に膜状に配置した場合に比較して、基体12表面に配置される光触媒14の表面積を飛躍的に拡大することができる。例えば、被着する第1の繊維状体16の数、直径、長さ、第1の繊維状体16同士の間隔を適宜調整することにより、基体12表面積の数千倍以上の表面積で光触媒14を配置することが可能である。また、各第1の繊維状体16は、基体12表面に対して「略垂直」に被着されていることから、第1の繊維状体16同士が交差して絡み合うことがなく、その結果、紫外線の照射を受けた際に、紫外線の当たらない影の部分を生じることが殆どない。従って、各第1の繊維状体16の光触媒14に紫外線が十分に照射されることとなり、光触媒14の活性化効率が非常に高くなっている。
【0016】尚、図1に示す通り、各第1の繊維状体16の一部は、上記接着剤18中に埋没した状態で基体12表面に被着されることとなるが、上記の通り、接着剤18は紫外線透過性を有していることから、当該接着剤18中に埋没した部分の第1の繊維状体16表面の光触媒14にも紫外線を十分に照射することができる。
【0017】図4及び図5は、本発明に係る第2の光触媒担持体30を示すものである。この第2の光触媒担持体30は、基体32が略円筒状に形成されており、該基体32の内表面に、上記光触媒14で被覆された多数の細長い第1の繊維状体16が、接着剤18を介して、上記基体32内表面に対して略垂直に立設状態で被着されている。図4及び図5において、34は基体32内部に挿通された紫外線ランプである。
【0018】上記第2の光触媒担持体30にあっては、紫外線ランプ34からの紫外線の照射を受けると、光触媒14が活性化して該光触媒14表面に接触した空気や水の浄化を行うことができるのである。この第2の光触媒担持体30にあっても、上記第1の光触媒担持体10と同じく、光触媒14で被覆された多数の第1の繊維状体16を、基体32内表面に対して略垂直に立設状態で被着したことから、基体32内表面に配置される光触媒14の表面積を飛躍的に拡大することができる。また、各第1の繊維状体16は、基体32内表面に対して「略垂直」に被着されていることから、第1の繊維状体16同士が交差して絡み合うことがなく、その結果、紫外線の照射を受けた際に、紫外線の当たらない影の部分を生じることが殆どない。従って、各第1の繊維状体16の光触媒14に紫外線が十分に照射されることとなり、光触媒14の活性化効率が非常に高くなっている。さらに、この第2の光触媒担持体30にあっては、基体32を略円筒状に形成すると共に、基体12内表面に第1の繊維状体16を被着しているので、当該基体32内部に紫外線ランプ34を挿通配置するができ、該紫外線ランプ34から放射される全ての紫外線を無駄なく、基体12内表面の光触媒14に略均一に照射して活性化することができる。
【0019】上記光触媒14としては、上記の酸化チタン以外に、ZnO、SrTiO、BaTiO、Fe等、光触媒作用を有する他の金属酸化物を用いることができるが、アナターゼ型の酸化チタンが、光触媒活性に優れており最も好適に使用できる。
【0020】上記第1の光触媒担持体10において、上記第1の繊維状体16の代わりに、図6及び図7に示すような表面を光触媒14で被覆された第2の繊維状体40、或いは、図8及び図9に示すような光触媒繊維52で構成された第3の繊維状体50を用い、基体12の表面に、多数の第2の繊維状体40、或いは、多数の3の繊維状体50を、接着剤18を介して、上記基体12表面に対して略垂直に立設状態で被着しても良い。この場合、表面を光触媒14で被覆された多数の第2の繊維状体40、或いは、光触媒繊維52で構成された多数の第3の繊維状体50が、基体12表面に対して略垂直に立設状態で被着されることから、基体12の表面積が、被着された多数の第2の繊維状体40、或いは、多数の第3の繊維状体50の表面積分増大することとなり、この結果、従来の光触媒担持体74の如く光触媒72を基体70表面に膜状に配置した場合に比較して、基体12表面に配置される光触媒の表面積を飛躍的に拡大することができる。
【0021】同様に、上記第2の光触媒担持体30において、上記第1の繊維状体16の代わりに、図6及び図7に示すような第2の繊維状体40、或いは、図8及び図9に示すような第3の繊維状体50を用い、基体32の内表面に、多数の第2の繊維状体40、或いは、多数の3の繊維状体50を、接着剤18を介して、上記基体32内表面に対して略垂直に立設状態で被着しても良い。この場合、表面を光触媒14で被覆された多数の第2の繊維状体40、或いは、光触媒繊維52で構成された多数の第3の繊維状体50が、基体32内表面に対して略垂直に立設状態で被着されることから、基体32内表面の表面積が、被着された多数の第2の繊維状体40、或いは、多数の第3の繊維状体50の表面積分増大することとなり、基体32内表面に配置される光触媒の表面積を飛躍的に拡大することができる。
【0022】図6及び図7に示す第2の繊維状体40は、シリカガラスより成る繊維20の表面に、シリカガラスの微細孔中にアナターゼ型の酸化チタンが浸透した状態で焼結したシンタリング層42が形成され、さらに、上記シンタリング層42の表面に、アナターゼ型の酸化チタンより成る光触媒14が被覆されることにより構成されている。この第2の繊維状体40は、シリカガラスより成る繊維20の作成時において、シリカガラス繊維の材料であるシリカの焼結前に、該シリカを、光触媒14の材料であるチタンの金属アルコキシド溶液中に含浸させた後、400〜800℃の温度で加熱・焼結させることにより得ることができる。すなわち、焼結前のシリカは、表面に多数の微細孔を有しているため、シリカをチタンの金属アルコキシド溶液中に含浸させると、上記シリカの表面がチタンの金属アルコキシド溶液で被覆されると共に、シリカの微細孔中に、チタンの金属アルコキシド溶液が浸透することとなる。この状態で、400〜800℃の温度で加熱すると、シリカが焼結してシリカガラスより成る繊維20が形成されると共に、シリカ表面のチタンの金属アルコキシド溶液が加水分解・重合反応してアナターゼ型の酸化チタンより成る光触媒14が形成される。さらに、シリカ表面のの微細孔も焼結してシリカガラスが形成されると共に、シリカの微細孔中に浸透したチタンの金属アルコキシド溶液も加水分解・重合反応してアナターゼ型の酸化チタンが形成され、この結果、シリカガラスの微細孔中にアナターゼ型の酸化チタンが浸透した状態で焼結した上記シンタリング層42が構成されることととなる。この第2の繊維状体40にあっては、シリカガラスの微細孔中に、アナターゼ型の酸化チタンが浸透した状態で焼結したシンタリング層42を介して、光触媒14と繊維20とが結合されることとなるため、光触媒14と繊維20との結合が非常に強固となり、光触媒14が容易に剥離を生じることがなく、耐久性に優れている。
【0023】図8及び図9に示す第3の繊維状体50は、アナターゼ型の酸化チタン(TiO)より成る光触媒繊維52で構成されている。この光触媒繊維52は、例えば、以下の方法により形成することができる。 先ず、チタンの金属アルコキシドと、該チタンの金属アルコキシドの加水分解のための水と、メタノール等の溶媒と、上記チタンの金属アルコキシドの加水分解・重合反応の調整剤とを調合し、溶液状態の光触媒材料を作製する。次に、溶液状態の光触媒材料を、例えば200℃程度の比較的低温で加熱等することにより、溶媒を蒸発させると共に、上記チタンの金属アルコキシドの加水分解・重合反応を一部進行させて、溶液状態の光触媒材料を粘性ゾル状と成す。次に、粘性ゾル状の光触媒材料を延伸した後、400℃〜800℃の温度で加熱・焼成して、チタンの金属アルコキシドの重合反応を完全に進行させることにより、ゲル状の細長い光触媒繊維を形成し、この光触媒繊維を、所定の長さに切断すれば、上記光触媒繊維52を形成することができる。
【0024】
【発明の効果】本発明に係る光触媒担持体にあっては、光触媒で被覆された多数の繊維状体を、基体表面に対して立設状態で被着したことから、基体の表面積が、被着された多数の繊維状体の表面積分増大することとなり、この結果、基体表面に配置される光触媒の表面積を飛躍的に拡大することができる。
【0025】また、本発明の他の光触媒担持体にあっても、光触媒繊維で構成された多数の繊維状体を、基体表面に対して立設状態で被着したことから、基体の表面積が、被着された多数の繊維状体の表面積分増大することとなり、この結果、基体表面に配置される光触媒の表面積を飛躍的に拡大することができる。
【出願人】 【識別番号】000122690
【氏名又は名称】岡谷電機産業株式会社
【住所又は居所】東京都世田谷区三軒茶屋2−46−3
【出願日】 平成14年10月25日(2002.10.25)
【代理人】 【識別番号】100096002
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 弘之 (外1名)
【公開番号】 特開2003−205244(P2003−205244A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−311043(P2002−311043)