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【発明の名称】 炭素原繊維の製造方法及びそれに用いられる触媒
【発明者】 【氏名】モイ,デビッド

【氏名】キシュティ,アシフ

【要約】 【課題】原繊維の製造用の改良された触媒を提供すること。

【解決手段】炭素原繊維製造用の改良された触媒を、収率を高めるのに効果的な量のカルボキシレートを原繊維形成触媒に組み入れることによって製造する。代わりに、この様な触媒を、原繊維形成触媒的な性質を有する金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物、任意には炭素粒子又は炭素原繊維骨材の存在下で共沈させることによって製造する。触媒はまた、原繊維形成金属からなる化合物を炭素粒子又は炭素原繊維骨材中のマグネシア粒子上に組み入れることによって製造しても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の工程からなることを特徴とする、炭素原繊維形成触媒の製造方法。
(a)原繊維形成触媒的な性質を有する少なくとも1つの金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液を形成する工程、(b)カルボキシレートの存在下、原繊維形成金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物を共沈する工程、及び、(c)更に共沈物を処理して、担持された原繊維形成触媒を製造する工程。ここで、上記金属化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項2】 該金属が鉄若しくは鉄及びモリブデンを含有し、該鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を、収率を高めるのに効果的な量のカルボキシレートの存在下で沈殿し、且つ、該共沈物を乾燥し、細かく粉砕する、請求項1に記載の原繊維形成触媒の製造方法。
【請求項3】 下記方法によって調製された炭素原繊維形成触媒。
(a)原繊維形成触媒的な性質を有する金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液を形成する工程、(b)カルボキシレートの存在下、該原繊維形成金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物を共沈する工程、及び、(c)更に共沈物を処理して、担持された原繊維形成触媒を製造する工程。ここで、上記金属化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項4】 該金属が鉄若しくは鉄及びモリブデンを含有し、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を、収率を高める量のカルボキシレートの存在下で沈殿し、且つ、該共沈物を乾燥し、細かく粉砕する、請求項3に記載の炭素原繊維形成触媒。
【請求項5】 下記工程によって調製された触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させることからなる、炭素原繊維の製造方法。
(a)原繊維形成触媒的な性質を有する金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液を形成する工程、(b)カルボキシレートの存在下、該原繊維形成金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物を共沈する工程、及び、(c)更に共沈物を処理して、担持された原繊維形成触媒を製造する工程。ここで、上記金属化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項6】 下記工程によって調製された触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させることによって製造された炭素原繊維物質。
(a)原繊維形成触媒的な性質を有する金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液を形成する工程、(b)該原繊維形成金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物を共沈する工程、及び、(c)更に共沈物を処理して、担持された原繊維形成触媒を製造する工程。
【請求項7】 下記工程からなることを特徴とする、原繊維形成触媒の製造方法。
(a)下記からなる水性混合物を形成する工程、(i)原繊維形成触媒的な性質を有する金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液、及び、(ii)直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ及び肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着した炭素が実質的に無い原繊維からなる、炭素原繊維骨材のスラリー、(b)カルボキシレートの存在下、該原繊維形成金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物を、該原繊維骨材上に共沈させる工程、及び、(c)更に共沈された物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。ここで、上記金属化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項8】 該水溶液が原繊維形成触媒1g当たり、鉄0.01〜1g、モリブデン0.005〜0.25g、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム0.01〜1グラム含有しており、且つ、該スラリーが、担持された原繊維形成触媒1g当たり、骨材0.01〜0.9gを含有する、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】 下記工程によって調製された炭素原繊維形成触媒。
(a)下記からなる水性混合物を形成する工程、(i)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液、及び、(ii)直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ及び肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着した炭素が実質的に無い原繊維からなる、炭素原繊維骨材のスラリー、(b)カルボキシレートの存在下、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物、及び、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を原繊維骨材上に共沈させる工程、及び、(c)更に共沈した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。ここで、上記鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項10】 下記工程によって調製された触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させることからなる、炭素原繊維の製造方法。
(a)下記からなる水性混合物を形成する工程、(i)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液、及び、(ii)直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ及び肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着した炭素が実質的に無い原繊維からなる、炭素原繊維骨材のスラリー、(b)アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物、及び、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を原繊維骨材上に共沈させる工程、及び、(c)更に共沈した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。
【請求項11】 下記工程によって調製された触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させる工程によって製造された、炭素原繊維物質。
(a)下記からなる水性混合物を形成する工程、(i)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液、及び、(ii)直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ及び肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着した炭素が実質的に無い原繊維からなる、炭素原繊維骨材のスラリー、(b)アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物、及び、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を原繊維骨材上に共沈させる工程、及び、(c)更に共沈した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。
【請求項12】 下記工程からなる原繊維形成触媒の製造方法。
(a)原繊維形成触媒的な性質を有する金属からなる化合物の水溶液を形成する工程、(b)マグネシア粒子及び炭素原繊維の骨材からなるスラリーを形成する工程であって、直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ及び肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、該炭素原繊維が実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着された炭素が実質的に無いものである該工程、(c)カルボキシレートの存在下、該水溶液及び該スラリーを一緒に添加して、それによって、沈殿を形成させ、かつそれによって、原繊維形成金属からなる化合物を該原繊維骨材中の該マグネシア粒子上に組み入れる工程、及び、(d)更に沈殿した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。ここで、上記金属化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項13】 該水溶液が、原繊維形成触媒1g当たり、鉄0.01〜1g及びモリブデン0.005〜0.25gを含有しており、且つ、該スラリーが、担持された原繊維形成触媒1g当たり、マグネシア0.01〜1g及び骨材0.01〜0.9gを含有する、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】 該沈殿した物質を更に処理する前にカルボキシレートで処理する、請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】 下記の工程によって調製された炭素原繊維形成触媒。
(a)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物からなる水溶液を形成する工程、(b)マグネシア粒子及び炭素原繊維の骨材からなるスラリーを形成する工程であって及び直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ、肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、該炭素原繊維が実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着した炭素が実質的に無いものである該工程、(c)該水溶液及び該スラリーを一緒に添加して、それによって、沈殿を形成させ、かつそれによって、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を該原繊維骨材中の該マグネシア粒子上に組み入れる工程、及び、(d)更に沈殿した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。ここで、上記鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項16】 該沈殿した物質を更に処理する前にカルボキシレートで処理する、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】 下記工程によって調製された触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させることからなる、炭素原繊維の製造方法。
(a)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物からなる水溶液を形成する工程、(b)マグネシア粒子及び炭素原繊維の骨材からなるスラリーを形成する工程であって、直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ及び肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、該炭素原繊維が実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着した炭素が実質的に無いものである該工程、(c)該水溶液及び該スラリーを一緒に添加して、それによって、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を該原繊維骨材中の該マグネシア粒子上に組み入れる工程、及び、(d)更に沈殿した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。
【請求項18】 下記工程によって調製された触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させる工程によって製造された、炭素原繊維物質。
(a)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物からなる水溶液を形成する工程、(b)マグネシア粒子及び炭素原繊維の骨材からなるスラリーを形成する工程であって、直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ及び肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、該炭素原繊維が実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着された炭素が実質的に無いものである該工程、(c)該水溶液及び該スラリーを一緒に添加して、それによって、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を該原繊維骨材中の該マグネシア粒子上に組み入れる工程、及び、(d)更に沈殿した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。
【請求項19】 下記工程からなる、原繊維形成触媒の製造方法。
(a)下記からなる水性混合物を形成する工程、(i)原繊維形成触媒的な性質を有する金属からなる化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液、及び、(ii)高次構造、及び、内表面積を有する開孔構造を有する炭素粒子からなるスラリー、(b)カルボキシレートの存在下、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物と共に、原繊維形成金属からなる化合物を該炭素粒子上に共沈させる工程、及び、(c)更に共沈した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。ここで、上記金属化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項20】 該水溶液が原繊維形成触媒1g当たり、鉄0.01〜1g、モリブデン0.005〜0.25g、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム0.01〜1グラムを含有しており、且つ、該スラリーが、担持された原繊維形成触媒1g当たり、炭素粒子0.01〜0.9gを含有する、請求項42に記載の製造方法。
【請求項21】 下記工程によって調製された炭素原繊維形成触媒。
(a)下記からなる水性混合物を形成する工程、(i)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液、及び、(ii)高次構造、及び、内表面積を有する開孔構造を有する炭素粒子からなるスラリー、(b)カルボキシレートの存在下、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物、及び、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を該炭素粒子上に共沈させる工程、及び、(c)更に共沈した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を製造する工程。ここで、上記鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項22】 下記工程によって調製された触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させることからなる、炭素原繊維の製造方法。
(a)下記からなる水性混合物を形成する工程、(i)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液、及び、(ii)高次構造、及び、内表面積を有する開孔構造を有する炭素粒子からなるスラリー、(b)アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物、及び、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を該炭素粒子上に共沈させる工程、及び、(c)更に共沈した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を製造する工程。
【請求項23】 下記工程によって調製された触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させる工程によって製造された、炭素原繊維物質。
(a)下記からなる水性混合物を形成する工程、(i)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物、及び、アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液、及び、(ii)高次構造、及び、内表面積を有する開孔構造を有する炭素粒子からなるスラリー、(b)アルミニウム及び/又はマグネシウム化合物、及び、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を該炭素粒子上に共沈させる工程、及び、(c)更に共沈した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。
【請求項24】 下記工程からなる原繊維形成触媒の製造方法。
(a)原繊維形成触媒的な性質を有する金属からなる化合物の水溶液を形成する工程、(b)マグネシア粒子、及び、高次構造及び内表面積を有する開孔構造を有する炭素粒子からなるスラリーを形成する工程、(c)カルボキシレートの存在下、該水溶液及び該スラリーを一緒に添加して、それによって、沈殿を形成させ、かつそれによって、原繊維形成金属からなる化合物を該炭素粒子中の該マグネシア粒子上に組み入れる工程、及び、(d)更に沈殿した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。ここで、上記金属化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項25】 該水溶液が、原繊維形成触媒1g当たり、鉄0.01〜1g、及び、モリブデン0.005〜0.25gを含有しており、且つ、該スラリーが担持された原繊維形成触媒1g当たり、マグネシア0.01〜1g、及び、炭素粒子0.01〜0.9gを含有する、請求項47に記載の製造方法。
【請求項26】 該沈殿した物質を、更に処理する前にカルボキシレートで処理する、請求項47に記載の製造方法。
【請求項27】 以下の工程によって調製された炭素原繊維形成触媒。
(a)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物からなる水溶液を形成する工程、(b)マグネシア粒子、及び、高次構造及び内表面積を有する開孔構造を有する炭素粒子からなるスラリーを形成する工程、(c)カルボキシレートの存在下、該水溶液及び該スラリーを一緒に添加して、それによって、沈殿を形成させ、かつそれによって、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を該炭素粒子中の該マグネシア粒子上に組み入れる工程、及び、(d)更に沈殿した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。ここで、上記鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項28】 該沈殿した物質を、更に処理する前にカルボキシレートで処理する、請求項50に記載の製造方法。
【請求項29】 下記工程によって調製された触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させることからなる、炭素原繊維の製造方法。
(a)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物からなる水溶液を形成する工程、(b)マグネシア粒子、及び、高次構造及び内表面積を有する開孔構造を有する炭素粒子からなるスラリーを形成する工程、(c)該水溶液及び該スラリーを一緒に添加して、それによって、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を該炭素粒子中の該マグネシア粒子上に組み入れる工程、及び、(d)更に沈殿した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。
【請求項30】 下記工程によって調製された触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させることによって製造された、炭素原繊維物質。
(a)鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物からなる水溶液を形成する工程、(b)マグネシア粒子、及び、高次構造及び内表面積を有する開孔構造を有する炭素粒子からなるスラリーを形成する工程、(c)該水溶液及び該スラリーを一緒に添加して、それによって、原繊維形成金属からなる化合物を該炭素粒子中の該マグネシア粒子上に組み入れる工程、及び、(d)更に沈殿した物質を処理して、担持された原繊維形成触媒を形成する工程。
【請求項31】 カルボキシレートを組み込んだ炭素原繊維の骨材からなる触媒担体であって、直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ及び肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、該炭素原繊維が実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着した炭素が実質的に無いものである担体。
【請求項32】 該骨材が、互いに無作為に絡み合った原繊維からなり、絡み合ったボールを形成している、請求項31に記載の触媒担体。
【請求項33】 該骨材が、実質的に同様の相対的な配向を有する軽く曲げられ又はねじれた炭素原繊維に対し真っ直ぐな束からなる、請求項31に記載の触媒担体。
【請求項34】 該骨材が、互いにゆるく絡み合った、軽く曲げられ又はねじれた原繊維に対し真っ直ぐからなる、請求項31に記載の触媒担体。
【請求項35】 該骨材が、結晶性のグラファイト的構造及び繊維の軸に沿ってグラファイト的な層のフィッシュボーン的な配列によって定義される形態学を特徴とする、請求項31に記載の触媒担体。
【請求項36】 原繊維の1cc/gを超えるマクロ多孔度を有する、請求項31に記載の触媒担体。
【請求項37】 原繊維の5cc/gを超えるマクロ多孔度を有する、請求項31に記載の触媒担体。
【請求項38】 該炭素原繊維骨材が250〜1000m2/gの全表面積を有する、請求項31に記載の触媒担体。
【請求項39】 以下からなる炭素原繊維の製造用触媒。
(a)炭素原繊維の骨材からなる担体であって、直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ及び肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、該炭素原繊維が実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着した炭素が実質的に無い担体、(b)該骨材上に担持された、触媒作用効果のある量の原繊維形成触媒的な性質を有する1又はそれ以上の金属、及び、(c)カルボキシレート。ここで、上記金属の化合物は、上記カルボキシレートと異なりかつ上記カルボキシレートが誘導される化合物とも異なる。
【請求項40】 該原繊維形成触媒金属が、鉄若しくは鉄及びモリブデンからなる、請求項39に記載の触媒。
【請求項41】 原繊維形成触媒が、(1)鉄若しくは鉄及びモリブデンの酸化物、及び、(2)アルミニウム又はマグネシウムの酸化物の混合酸化物を含有する、請求項39に記載の触媒。
【請求項42】 鉄若しくは鉄及びモリブデン1〜70重量%、アルミナ及び/又はマグネシア1〜95重量%、及び、炭素原繊維骨材1〜90重量%を含有する、請求項39に記載の触媒。
【請求項43】 鉄若しくは鉄及びモリブデン5〜50重量%、アルミナ及び/又はマグネシア10〜85重量%、及び、炭素原繊維骨材20〜70重量%を含有する、請求項39に記載の触媒。
【請求項44】 鉄若しくは鉄及びモリブデン12〜40重量%、アルミナ及び/又はマグネシア20〜80重量%、及び、炭素原繊維骨材30〜50重量%を含有する、請求項39に記載の触媒。
【請求項45】 下記からなる触媒上に、原繊維形成のために適する温度及び圧力条件下で、適する原繊維形成原料を通過させることからなる、炭素原繊維の製造方法。
(a)炭素原繊維の骨材からなる触媒担体であって、直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータ及び肉厚が該外直径の0.1〜0.4倍である該原繊維が主であり、該炭素原繊維が実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層を有し、熱分解的に沈着した炭素が実質的に無い担体、及び、(b)該骨材上に担持された、触媒作用効果のある量の原繊維形成触媒的な性質を有する1又はそれ以上の金属。
【請求項46】 炭素原繊維触媒金属の不純度レベルが1.1重量%以下であって、直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータであり、実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層からなる、本質的に純粋な炭素からなる炭素原繊維。
【請求項47】 触媒担体の不純度レベルが5重量%以下であって、直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータであり、実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層からなる、本質的に純粋な炭素からなる炭素原繊維。
【請求項48】 全不純度レベルが6重量%以下であって、直径に対する長さの比が少なくとも5、外直径が3.5〜75ナノメータであり、実質的に原繊維軸に対して平行なグラファイト状の層からなる、本質的に純粋な炭素からなる炭素原繊維。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】炭素原繊維(フィブリル)は、直径500ナノメーター未満の虫のような形のカーボンデポジットである。それらは様々な形態で存在し、金属表面上での様々な炭素含有ガスの触媒分解により調製される。
【0002】
【従来の技術】テンネントの米国特許第4663230号明細書に、連続的な熱炭素オーバーコートがなく、原繊維軸に実質的に平行な多層グラファイト外層を有する炭素原繊維が記載されている。それらは、一般に直径が0.1ミクロンより小さく、直径に対する長さの比が少なくとも5である。それらは実質的に、連続的な熱炭素オーバーコートがない、即ち、それらを調製するために使用されたガスフィードの熱分解によって得られる熱分解的に沈着した炭素であるのが好ましい。
【0003】実質的に微小繊維軸に平行で、直径が3.5〜75ナノメーターであるグラフィアト層を有する管状原繊維はまた、テネント等の1986年6月6日に出願された米国特許出願番号第871676号明細書(米国特許第5569635号及び5165909号明細書に該当、「新規な炭素原繊維、その製造方法及びそれを含有する組成物」)、テネント等の1986年6月6日に出願された米国特許出願番号第871675号明細書(米国特許第5171560号明細書に該当、「新規な炭素原繊維、その製造方法及びカプセルに入れられた触媒」)、スナイダー等の1988年1月28日に出願された米国特許出願番号第149573号明細書(米国特許第6403696号、5611964号、5877110号及び6464908号明細書に該当、「炭素原繊維」)、マンデビル等の1988年12月16日に出願された米国特許出願番号第285817号明細書(米国特許第5500200号、6375917号及び6423288号明細書に該当、「原繊維」)、及び、マッカーシー等の1989年5月15日に出願された米国特許出願番号第351967号明細書(米国特許第5965470号明細書に該当、「炭素微小繊維の表面処理」)に記載されており、これら全ては本出願と同じ出願人に譲渡されており、その開示内容は本文中に参照によって組み入れられている。
【0004】原繊維は様々な出願で有用である。例えば、それらは強化材として繊維強化複合構造又はハイブリッド複合構造(即ち、原繊維に加えて連続繊維等の様な強化材を含有する複合体)中で使用され得る。複合体は、更にカーボンブラックやシリカ等のフィラーを、単独又はお互いに組み合わせて含有していても良い。強化可能なマトリック物質の例としては、無機又は有機重合体、セラミックス(例えば鉛又は銅)が挙げられる。マトリックスが有機重合体である場合、エポキシ、ビスマレイミド、ポリアミド又はポリエステル樹脂等の熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂、又は、反応射出成形樹脂であっても良い。また、連続繊維を強化するために原繊維を使用しても良い。ハイブリッド複合体中で強化又は含有され得る連続繊維の例としては、アラミド繊維、炭素繊維、及びガラス繊維であり、単独又はお互いに組み合わせる。連続繊維は、織られていても、編まれていても、縮れていても、又真っ直ぐであっても良い。
【0005】複合体は、発泡体やフィルムを含む多くの形態で存在することができ、例えば放射線吸収物質(例えば、レーダー又は可視光線)、接着剤、又はクラッチやブレーキの摩擦物質等の用途を探すことができる。マトリックスが例えばスチレン−ブタジエンゴム、シス−1,4−ポリブタジエン又は天然ゴム等のエラストマーである原繊維強化複合体が特に好ましい。
【0006】強化材に加えて、原繊維は、熱及び/又は電気の伝導率及び/又は光学特性の高い複合体を作るためにマトリックスと混合しても良い。2層のコンデンサー極板又は電極の表面積を増やすためにそれらを使用しても良い。それらはまた、マット(例えば、紙又は接着した不織布繊維)に成形されたり、フィルター、絶縁体(例えば熱又は音の吸収のための)、補強材として使用されたり、又は、「ファジー」カーボンブラックを形成するためにカーボンブラックの表面に付着されても良い。その上、原繊維を、例えばクロマトグラフ分離用の吸着材として使用しても良い。
【0007】原繊維は、上術した形態学を有するものを製造するのに充分な温度やその他の条件で反応容器中で、炭素を含有するガスを金属触媒と接触させることにより有利に製造できる。反応温度は400〜850℃、より好ましくは600〜750℃である。原繊維は、反応器を反応温度にし、金属触媒粒子を添加し、次いで連続的に炭素を含有するガスと触媒を接触させることにより、連続的に製造されるのが好ましい。
【0008】好適なフィードガスの例としては、例えばエチレン、プロピレン、プロパン及びメタン等の脂肪族炭化水素;一酸化炭素;例えばベンゼン、ナフタレン及びトルエン等の芳香族炭化水素;及び含酸素炭化水素が挙げられる。
【0009】好ましい触媒としては、鉄、及び、好ましくは第V族(例えば、モリブデン、タングステン又はクロム)、第VII族(例えばマンガン)、又は、ランタノイド(例えばセリウム)から選ばれる少なくとも一つの元素が挙げられる。好ましくは金属粒子の状態の触媒は、例えばアルミンやマグネシア等の担体に沈着され得る。
【0010】炭素原繊維は、直径に対する長さの比は少なくとも5で、好ましくは少なくとも100である。直径に対する長さの比が少なくとも1000である原繊維が、更により好ましい。原繊維の肉厚は、原繊維の外直径の約0.1〜0.4倍である。
【0011】原繊維の外直径は、好ましくは3.5〜75ナノメーター、即ち、イメージされる独自の用途によって決定されるが、3.5〜75ナノメーターの範囲の直径を有する。好ましくは、大きい比がこの範囲の直径を有する。高強度原繊維が必要とされる用途において(例えば、原繊維が強化材として使用される場合)、外原繊維直径は、その長さに渡って一定であるのが好ましい。
【0012】原繊維は、お互いに無作為に絡まって、鳥の巣(「BN」)に似ている絡まった原繊維のボールを形成している様々なマクロ形態学(電子顕微鏡を走査することによって決定される通りの)を有する骨材(aggregate)として;又は、実質的に同じ相対的な配向度を有し、コーマ糸(「CY」)の外観を有する、例えばそれぞれの原繊維の縦軸(個々に置かれたものは曲がったり折れたりしている)が、束の中の周囲繊維の方向と同方向に伸びる、軽く曲がったり、ねじれたりしている炭素原繊維に対し、まっすぐな原繊維の束からなる骨材として;又は、お互いにゆるく絡められて、開放式ネット(「ON」)構造を形成している、軽く曲がったり、ねじれたりしている炭素原繊維に対し、まっすぐな原繊維からなる骨材として製造され得る。開放式ネット構造において、原繊維の絡み合い度はコーム糸状の骨材(個々の原繊維は実質的に同等の相対的な配向度を有する)で見られるよりも大きいが、鳥の巣状の骨材よりも小さい。CY及びON骨材は、構造の隅から隅まで均一な特性が望まれる場合、複合体製造においてそれらを有用にするBNよりも、容易に分散する。個々の原繊維のストランドの実質的な直線性はまた、EMIシールドや電気用途において骨材を有用にする。
【0013】骨材のマクロ形態学は、担体の選択によって制御される。球状の担体は、原繊維をあらゆる方向に導き、鳥の巣状の骨材を形成する。コーム糸状及び開放式ネット状の骨材は、1又はそれ以上の容易に裂ける平面の表面を有する担体を使用して製造される。例えば、1又はそれ以上の容易に裂ける表面を有し、少なくとも1m2/gの表面積を有する担体金属上に担持された鉄若しくは鉄を含有する金属触媒粒子である。
【0014】好ましい担体物質としては、管状、柱状、又は板状結晶の骨材の形状の活性アルミナ又はマグネシアが挙げられる。この様な物質は、例えばALCOA(活性アルミナの場合)やMartin Marietta(マグネシアの場合)から、商業的に入手可能である。活性アルミナ担体はコーム糸状骨材を主に造り、一方マグネシア担体は開放式ネット状骨材を主に造る。鳥の巣状の骨材を造る球状のガンマアルミナ粒子は、デグーサ(Degussa)から入手できる。
【0015】容易に裂ける平らな表面からなる担体上への触媒の沈着は、原繊維が成長する際にお互いに助けるのを、即ち「近隣」効果を生み出すのを可能にすると考えられる。平坦な表面上に沈着された触媒粒子は原繊維の成長を始めるので、個々の原繊維はそれらの「近隣」に影響される。活性アルミナ担体の場合、同じ相対的な配向度を有する個々の原繊維中で、コーマ糸状の原繊維骨材にする。マグネシア担体は、容易に裂ける平らな表面を有するが、主に軽く絡まった、開放式ネット状の原繊維骨材を生産する、なぜならば、原繊維の成長の間にそれらは容易にバラバラになり活性アルミナ担体よりも小さな粒子になり、その結果コーム糸状の骨材よりも配列していないが、きつく絡み合った原繊維ボールよりも配列されている骨材になるからである。金属触媒粒子を生じさせるために使用される酸化物前駆体もまた、担体がバラバラになる傾向に影響する。酸化物及び担体がそれらの境界で混合酸化物を形成し易ければし易いほど、担体がバラバラになりやすい。
【0016】炭素原繊維の骨材の形成に関する更なる詳細は、スナイダー等の1988年1月28日に出願された米国特許出願番号第149573号明細書(米国特許第6403696号、5611964号、5877110号、6464908号明細書に該当、「炭素原繊維」)及び1989年1月28日に出願されたPCT出願番号US89/00322号明細書(WO89/07163号特許明細書に該当、「炭素原繊維」)、及び、モイ等の1989年9月28日に出願された米国特許出願番号第413837号明細書(係属中)及び1990年9月27日に出願されたPCT出願番号US90/05498号明細書(「原繊維骨材及びその製造方法」)(これらは即ちWO91/05089号特許明細書に該当する。)の開示に見つけることができ、これら全ては本発明と同じ出願人に譲渡されており、その開示内容は本文中に参照によって組み入れられている。
【0017】原繊維は、様々な工業的用途においてますます重要であり、これら独特の特性がより理解され、開発されるにつれてよりそうなるだろう。知られている製造方法では、少量の原繊維を製造するのは可能であるが、これらの方法を、特にこれら方法において使用される触媒を改良すること、原繊維の収率を増やすこと、それらの質を改良すること、そしてそれらの製造コストを下げることが重要である。そして、炭素原繊維の純度を高めて生産することも望まれる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】このように、原繊維の製造用の改良された触媒を提供することが、本発明の第1の目的である。
【0019】原繊維製造用の触媒の収率及び生産性を高めることが、本発明の更なる目的である。
【0020】原繊維製造用の触媒を調製する改良された方法を提供することが、本発明の更なる目的である。
【0021】原繊維及びそれからなる骨材の質及び均一性を改良することが、本発明の更に他の目的である。
【0022】大規模の原繊維製造方法に適する触媒を提供することが、本発明の更なるそして関連する目的である。
【0023】原繊維製造の経済性及び信頼性を改良することが、本発明の更なるそして関連する目的である。
【0024】
【課題を解決するための手段】炭素原繊維及び炭素原繊維骨材の製造用の触媒の収率を実質的に改良する方法を今発見した。実質的に改良された収率は、原繊維形成触媒を、収率を高めるのに効果的な量の低級カルボン酸又はそれらの塩等のカルボキシレートと接触させることにより得られ得る。その方法は、好ましくは1〜4の炭素原子を有する水溶性カルボン酸の陰イオン等のカルボキシレートの存在下で、スラリー化された担体物質の粒子上に、水溶液から効果的な量の原繊維製造用金属イオンを沈殿させることによって行うのが好ましい。
【0025】炭素原繊維及び原繊維骨材の製造用の触媒の製造を実質的に改良するために発見された他の方法としては、制御されたpH条件下で、原繊維形成触媒特性を有する金属からなる化合物、並びに、アルミニウム又はマグネシウム化合物を共沈させて、アルミニウム又はマグネシウム並びに金属からなる化合物からなる触媒を形成する段階が挙げられる。望ましくは、鉄及び/又はモリブデン塩、並びに、アルミニウム塩からなる水溶液を形成し、金属を共沈させて、混合酸化物触媒を形成する。
【0026】原繊維形成触媒は炭素粒子上に、望ましくは独自の特性を有する炭素原繊維からなる炭素原繊維骨材上に担持され得ることも判った。これら骨材において、優位な原繊維は、直径に対する長さの比が少なくとも5であり、3.5〜75ナノメーターの外直径、及び外直径の0.1〜0.4倍の肉厚を有する。原繊維は、原繊維軸に実質的に平行なグラファイト層を有し、実質的に熱分解的に沈着した炭素がない。活性な原繊維形成金属は、望ましくは鉄若しくは鉄及びモリブデンであり、これら活性金属触媒は、上述したアルミナ又はマグネシアとの混合酸化物として原繊維骨材上に沈着しているのが好ましい。
【0027】原繊維形成触媒を製造する改良された方法及び改良された触媒は、実質的に原繊維形成触媒金属の単位当たりの原繊維の収率を高める。原繊維形成触媒を製造している間のカルボキシレート処理は、高い生産性の触媒を作る。触媒金属、並びに、アルミニウム又はマグネシウム化合物の共沈は、活性金属が多く装填され、それ故に高い生産性を有する触媒を提供する。更に、担体としての原繊維骨材の使用は、大規模の原繊維製造方法に適する。本発明の改良された触媒は、テンネントの米国特許第4663230号明細書に記載されているような原繊維だけでなく−本発明の原繊維は製造の際により高い純度を有するが−、J.W.Geusの欧州特許第198558号明細書(1986年10月22日発行)に記載されるような所謂フィッシュボーン(「FB」)形態学等の異なるマクロ形態学を有する原繊維をも製造するために使用され得る。
【0028】
【発明の実施の形態】用語「原繊維形成触媒」は、個々の炭素原繊維、炭素原繊維骨材、又は両方を形成するための触媒に対し、集合的に言及して使用される。
【0029】用語「炭素原繊維」は、生成物に言及する際に、内容が異なる意味を指さないならば、個々の炭素原繊維及び炭素原繊維骨材の両方に対し、集合的に言及して使用される。
【0030】カルボキシレート処理炭素原繊維製造する触媒は、触媒に、収率を高めるのに効果的な量の、カルボキシレート又はフェノレート等のOH−基と陰イオン交換反応し得る陰イオンを組み入れることによって作られる。従って、炭素原繊維の製造用の触媒は、収率を高めるのに効果的な量のカルボキシレートの存在下で、スラリー化された担体物質の粒子上に、水溶液から効果的な量の例えば鉄若しくは鉄及びモリブデン等の原繊維製造金属からなる化合物を沈殿させることによって得られ得る。好ましくは、カルボキシレートは、一般に置換又は無置換の、モノー、ジ、トリ、又はポリカルボン酸、好ましくは1〜4の炭素原子を有する水溶性カルボン酸等の水溶性カルボン酸の陰イオン、又は、乳化剤を伴う非水溶性のカルボン酸の水性エマルジョンである。
【0031】代わりの実施態様において、カルボキシレートは、カルボキシレートが金属酸化物又は金属水酸化物担体の表面特性と反応、さもなければ影響しうるならば、解離していない状態で存在していても良い。このゆえに、カルボキシレートは、また、例えばアルコール溶剤系等の様な原繊維形成触媒の形成に、溶剤系としての使用に敏感に反応する非水系溶剤系において使用され得る。
【0032】カルボキシレートは、水素(即ち、カルボン酸)、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はN−アルキルアンモニウム等の置換されたアンモニウムのカルボキシレートの形である。
【0033】望ましくは、陰イオンが酢酸塩又は蟻酸塩であり、蟻酸又は酢酸の水溶性の塩から得られる。他のカルボキシレートとしては、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩及び酒石酸塩が挙げられる。カルボキシレートの好ましい形は、アンモニウム塩としてである、なぜならば、アンモニウムイオンは乾燥の際に破壊されるからである。ナトリウム、カリウム及びN−アルキルアンモニウム等の置換された4級アンモニウム等の他のカルボキシレート塩もまた、使用され得る。
【0034】カルボキシレート処理の好ましい方法は、(a)鉄若しくは鉄及びモリブデンの塩からなる水溶液を形成する工程、(b)担体、例えばアルミナ及び/又はマグネシアの、スラリーを形成する工程、(c)沈殿が始められ、沈殿が水不溶の形で保持されるpH下で、一般には3〜14の範囲、好ましくは5.5〜6.5の範囲のpH下で、収率を高めるのに効果的な量のカルボキシレート、好ましくは低級カルボン酸の陰イオンの存在下で、スラリー化されたアルミナ及び/又はマグネシアの粒子上に、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を沈殿させる工程、(d)更にそれを処理して、原繊維形成触媒を製造する工程からなる。この様な更なる処理は、触媒への元の場所での転換のために、そのように含浸させられた担体物質をスラリーから分離し、それを乾燥し、最後にそれを細かく分割又は反応容器に直接にそのスラリーを送り込むことからなる。
【0035】好ましい代わりの実施態様において、方法は、(a)鉄若しくは鉄及びモリブデンの塩からなる水溶液を形成する工程、(b)アルミニウム塩又はマグネシウム塩等の触媒担体前駆体の溶液を形成する工程、(c)これら2つの溶液を混合し、カルボキシレートの存在下で混合酸化物触媒を共沈させる工程、(d)共沈させられた混合酸化物触媒を分離して、更にそれを処理する工程からなる。違ったこの方法において、アルミナ又はマグネシアの担体自体を、カルボキシレートの存在下で形成し、次いでその触媒を、触媒前駆体の水溶液から、この様に生成した担体上に共沈する。
【0036】原繊維形成金属からなる化合物を、スラリー化された担体粒子の粒子上に沈殿する溶液は、担持された原繊維形成触媒1g当たり、カルボン酸の陰イオンを0.04〜4g、好ましくは0.8〜2g含有するのが望ましい。鉄若しくは鉄及びモリブデンが、活性な原繊維形成金属である場合、鉄若しくは鉄及びモリブデンを沈殿させる溶液中の、鉄若しくは鉄及びモリブデンに対するカルボン酸の陰イオンの重量比は、広範囲には0.07〜14であり、好ましくは1.4〜5.2の範囲である。
【0037】カルボン酸が酢酸である好ましい実施態様において、溶液中の鉄に対する酢酸塩の重量比は、0.1〜5の範囲である。沈殿を他の理由の間で制御されたpHで行う場合は、その中の溶液が緩衝液として働くので、酢酸塩が好ましい陰イオンである。
【0038】触媒担体上に沈殿した金属を濾過し、洗浄、再スラリー化、次いで減圧又は加圧濾過をし得る。次いで、洗浄及び濾過されたスラリーを乾燥し、−100メッシュに粉砕し、その後生産性を試験し得る。触媒を原繊維形成触媒金属からなる化合物を対応する触媒金属に還元することにより、活性化する。また、触媒を使用前に前還元しても良い。
【0039】活性な原繊維形成金属化合物を含有する溶液の混合前に、例えば酢酸又は蟻酸等のカルボキシレート塩を担体物質のスラリーに導入することは有利であることが判った。
【0040】沈殿方法は、アルミナ等の触媒担体物質のスラリーにカルボキシレートが存在する場合に上手くいく一方、担体物質はまた、カルボキシレートからなる溶液で前処理され、次いで鉄若しくは鉄及びモリブデンの塩をその上に沈殿する前に乾燥されていても良い。カルボキシレートとの後沈接触は効果が低いが、カルボキシレート処理が無い触媒で行うよりも改良された結果となる。
【0041】マグネシアで担持された触媒上での、カルボキシレートによる処理の他の方法も上手くいく。例えば、鉄若しくは鉄及びモリブデン化合物の沈殿後に、1Nの酢酸アンモニウムで、マグネシアで担持された触媒を洗浄する、即ち後沈方法は、触媒生産性に強い良い影響を持つ。
【0042】どんな理論にも束縛されることは望まないが、カルボキシレートは、担体の表面特性を変質させるために、表面ヒドロキシルイオンと交換することによって作用すると考えられる。これは、順番に、担体表面に対する、小さい酸化鉄又は酸化鉄/酸化モリブデンの粒子の吸着に強く影響し得る。マグネシア担体に関しては、イオン交換は、酸化鉄又は酸化鉄及び酸化モリブデンが沈着した後、洗浄することによって効率的に行われ得る。カルボキシレートによる担体の表面改質は、2通りに、触媒に対して有益であり得ると考えられる。まず初めに、表面に対する金属酸化物粒子の吸着に影響を与えることによって、カルボキシレートは、引き続くこれら粒子の還元や活性化をより効率的に行わせる。第2に、表面改質は、有益な効果を有する担体表面の破砕性特性を変える。
【0043】カルボキシレート処理された触媒によって成し遂げられる収率における改良は、鳥の巣(BN)型原繊維骨材を調製する場合は、約10〜20%の範囲であり、コーマ糸(CY)又は開放式ネット(ON)型原繊維骨材を調製する場合は、100%の範囲である。
【0044】共沈改良された原繊維製造触媒は、原繊維形成活性金属及び第2の酸化物、例えば酸化アルミニウム又は酸化マグネシウム、の前駆体を共沈することによって得られ得る。好ましい実施態様において、水溶液は、(i)原繊維形成触媒特性を有する1又はそれ以上の金属の塩、及び、(ii)アルミニウム塩及び/又はマグネシウム塩から形成される。原繊維形成金属並びにアルミニウム及び/又はマグネシウムを水溶液から、金属並びにアルミニウム及び/又はマグネシウムの混合酸化物として、共沈させ、その後当該技術において知られている通りに、沈殿物を濾過、洗浄、乾燥及び粉砕する。
【0045】好ましくは、原繊維形成金属触媒は鉄若しくは鉄及びモリブデンであり、これらを、沈殿を始めさせ、不溶性の形態に沈殿物を保持するのに充分なpH下で、炭酸アンモニウム又は炭酸ナトリウム等の塩基の添加により、沈殿させる。pHは、一般に3〜14の範囲であり、好ましくは5.5〜6.5の範囲である。好ましくは、沈殿は、収率を向上させる量の水溶性カルボン酸の陰イオンの存在下で行う。
【0046】鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物が沈殿させられる溶液は、最終の原繊維形成触媒1g当たり、鉄0.01〜1g、好ましくは0.3〜0.5g;モリブデン0.005〜0.25g、好ましくは0.06〜0.1g;及びアルミニウム及び/又はマグネシウム0.1〜1グラム、好ましくは0.2〜0.5gを含有しているのが望ましい。pHは、鉄化合物若しくは鉄及びモリブデン化合物を溶液中に保持するのに充分なものであり、広範囲には0〜3、好ましくは0〜1である。
【0047】炭素担体高次構造及び高表面積を有する開孔構造を有する炭素粒子が、本発明の混合酸化物触媒用の担体として使用され得る。高多孔性の、即ち低嵩密度であって、高表面積を有する炭素粒子は、高次構造を有すると言われている。
【0048】最終の原繊維生成物に僅かな量の混入を与えるので、実質的に純粋な炭素である炭素粒子が好ましい。これらの物質の例としては、(1)Cabot Corpから、カボット技術報告書s−134に記載されているカーボンブラックのREGAL、VULCAN、MONARCH及びELFTEXシリーズ等として入手出来るカーボンブラック、及び、(2)M.遠藤等により「炭素に関する第18回隔年会議の拡張要約」に報告されたもの、Worcester、MA(米国炭素協会、パーク大学)151頁、G.G.Tibbitsによる、前記の157頁、旭化成工業社による特開昭62−263377号公報、昭和電工社による特開昭62−078217号公報;又はNikkiso社による特開昭61−070014号公報等に記載の、気相成長炭素繊維が挙げられる。これら炭素繊維物質はまた、熱分解的に沈着された炭素を含有していても良く、また任意に2500℃より高い温度の更なる処理段階でグラファイト化されても良い。例えばポリアクリロニトリル繊維から製造されるような、商業的に入手可能な強化繊維もまた、候補者である。この様などんな物質も、触媒担体として物質を使用して作られた原繊維の特性に悪影響を与えないように選ばれるべきである。
【0049】より好ましくは、炭素粒子は、上記した通り高表面積、即ち250m2/gより大きい、なぜならば、これらは、触媒担体として使用するのにより適している、即ち、それらは商業的操業のための触媒を調製するのに必要な、表面積、多孔度、細孔構造及び取扱性を所有するからである。これらの物質の例としては、活性化された炭素及び活性化された木炭が挙げられ、例えばWestvacoから入手可能なWV−B、WV−W、WV−L又はWV−Gシリーズの物質、若しくは、Cabot Corpから入手可能なMONARCH BLACK PEARLS又はVULCAN XC72物質である。
【0050】上述した高純度で高表面積の物質を組み合わしており、更には、開孔構造を有する比類なく高いマクロ細孔が存在する(8cc/gまで)、即ち本質的にはミクロ細孔(直径が2nmより大)を持たない開孔構造であるので、炭素原繊維骨材が最も好ましい。ミクロ細孔は、拡散制限のために、しばしば炭素物質の内表面積を反応物が近づけなくさせ、粒子をしばしば填塞(プラッギング)させる。それらの独自の多孔性を有し、相対的にミクロ細孔の無い原繊維骨材は、この欠点を被らない。原繊維金属並びにアルミニウム又はマグネシウムからなる混合酸化物用の担体として、原繊維骨材を使うことによって、優れた結果が得られる。
【0051】アルミナ又はマグネシアは、原繊維骨材を唯一の担体としてその場所で使用して形成されてもよいし、酸化アルミニウム又は酸化マグネシウムを、活性金属触媒の沈着前に充分に分散したスラリーとして、骨材に添加してもよい。上述した酸化鉄又は鉄及び酸化モリブデン及び酸化アルミニウムのための共沈操作は、炭素粒子又は原繊維骨材の存在下で行っても良い。アルミニウム化合物及び/又はマグネシウム化合物並びに原繊維形成金属を、骨材又は炭素粒子担体上に共沈する場合、原繊維形成金属並びにアルミニウム化合物及び/又はマグネシウム化合物からなる水溶液は、担持される原繊維形成触媒1g当たり、鉄0.01〜1g、好ましくは0.2〜0.5g;モリブデン0.005〜0.25g、好ましくは0.05〜0.1g;及びアルミニウム及び/又はマグネシウム0.01〜1g、好ましくは0.2〜0.5gを含有しており、原繊維骨材又は炭素粒子からなるスラリーは、担持される原繊維形成触媒1g当たり、骨材又は炭素粒子0.01〜0.9g、好ましくは0.4〜0.7gを有する。
【0052】結晶性グラファイト構造によって特徴付けられるフィッシュボーン(「FB」)形態学や繊維の軸に沿ったグラファイト層のフィシュボーンに似た配列によって定義される形態学を有する骨材からなる他の骨材もまた有用であるけれども、例えば、骨材は、上述したBN、CY又はON骨材である。原繊維骨材は高表面積、例えば約250〜約1000m2/g、好ましくは約250m2/gより大きく、約8cc/gまでの独自のマクロ多孔度、又は典型的には1cc/gより多く、好ましくは5cc/gより多いのが望ましい。
【0053】効果的な触媒は、混合金属酸化物を別々に共沈し、次いで物理的にそれらを原繊維担体と混合することによって調製され得ないということが判った。後者の方法は、混合物を濾過する際に部分的に固体を分離させ、非均質性の混合物を得るために、結局嵩密度に大きな違いのある物質からなる混合物になる。
【0054】原繊維骨材の存在下での共沈により、化学的に又は物理的に骨材にそれぞれ強く付着した活性触媒の、均一な均質性の分布が得られる。金属酸化物、及び、アルミナ及び/又はマグネシアの小粒子は、原繊維骨材中の絡み合った炭素原繊維の裂け目や孔に沈着し、強くそれらに固定されると考えられている。アルミナ又はマグネシアは、酸化鉄若しくは酸化鉄及び酸化モリブデンの安定な沈着をもたらす。もし存在しないならば、酸化物の還元によって形成される鉄粒子及びモリブデン粒子は、原繊維が成長するのに必要とされる温度で、原繊維骨材のグラファイト表面で余りに動きやすく、炭素原繊維が成長を始める前に大きな粒子を溶かして、不活性にするであろう。
【0055】原繊維骨材の存在下における共沈、又は、少ない程度まで、原繊維骨材中のマグネシア粒子上へ原繊維形成金属を結合させる重要な利点は、触媒中のアルミナ又はマグネシアの量が大幅に減少させられることである。この減少により、アルミナ又はマグネシア含量を基準にした炭素原繊維の収率が高まり、生成物中に含まれるアルミナ又はマグネシアの不純物の量が減少する。アルミナ又はマグネシアの量が減少する一方、原繊維形成金属の単位当たりの収率は同じままである。炭素原繊維生成物からアルミナ又はマグネシアを取り除くのに必要とされる洗浄量もまた減少する。
【0056】マグネシアを使用する場合、触媒は細かく酸化マグネシウムを原繊維骨材又は炭素粒子と共に水中に分散させて、スラリーを形成し、鉄若しくは鉄及びモリブデンの塩、例えば硝酸鉄及びモリブデン酸アンモニウム等、からなる溶液を添加することによって作られ得る。原繊維形成金属が、原繊維骨材又は炭素粒子中のマグネシア粒子上に結合される場合は、原繊維形成金属からなる水溶液は、原繊維形成触媒1g当たり、鉄0.01〜1g、好ましくは0.2〜0.5g、モリブデン0.005〜0.25g、好ましくは0.05〜0.1gを含有し、マグネシア粒子並びに原繊維骨材又は炭素粒子からなるスラリーは、担持される原繊維形成触媒1g当たり、マグネシア0.01〜1g、好ましくは0.2〜0.5g、原繊維骨材又は炭素粒子0.01〜0.9g、好ましくは0.4〜0.7gを含有する。得られる触媒の均質性は、濾過で明らかである。充分に分散した、均質な固体触媒は規則正しい呈色を有し、一方濾過の際に固体成分の部分的な分離が行われ、充分に分散されなかった触媒は、濾過ケーキに黒又は灰色の縞を有する。
【0057】細かい水性マグネシア分散液は、酸化マグネシウム/水酸化マグネシウムと原繊維表面との間の物理的引力により、可能である。しかしながら、分散性はまた、マグネシア分散液が調製される出発物質に依存する。酸化マグネシウムの密度が余りに高いか又は分散性が余りに低い場合には、不均質性の触媒となる。それ故に、原繊維骨材及び酸化マグネシウムを完全に分散又は均質にするための方法を、鉄若しくは酸化鉄及び酸化モリブデンの中和が行われる前に、行わなければならない。この様な分散又は均質化方法は、当該技術において知られている。
【0058】アルミナを使用する場合、触媒は原繊維骨材を水中に分散させ、鉄、アルミニウム及びモリブデンの酸化物を、炭酸アンモニウム溶液を同時に添加することによって、pHを6.0±0.5に保持しながら、硝酸鉄、硝酸アルミニウム及びモリブデン酸アンモニウムを含有する溶液から共沈させることによって作られ得る。触媒の均一性は、彩色によって判断される通り優れている。
【0059】本発明の担持された原繊維形成触媒は、全担持された原繊維形成触媒重量を基準にして、鉄若しくは鉄及びモリブデン約1〜約70重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは12〜40重量%;アルミナ及び/又はマグネシア1〜95重量%、好ましくは10〜85重量%、より好ましくは20〜80重量%;及び炭素原繊維骨材又は炭素粒子1〜90重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜50重量%を、鉄若しくは鉄及びモリブデン、アルミナ又はマグネシア、及び、炭素原繊維骨材又は炭素粒子の全重量%が100重量%を超えない範囲で含有する。
【0060】より好ましい担持された原繊維形成触媒を使用して作られる本発明の炭素原繊維は、それらが本質的に純粋な炭素である程度に作られたので、極めて高い純度を有する。これらの炭素原繊維において、原繊維形成触媒金属からの不純物のレベルは、約1.1重量%より小さく、アルミナ又はマグネシア担体からの不純物のレベルは、約5重量%より小さく、全不純物のレベルは、約6重量%より小さい。これにより高純度の製品を提供する。原繊維を製造する際のその前の不純物のレベルは、原繊維形成触媒金属からの不純物のレベルは約1.5重量%であって、アルミナ又はマグネシア担体からの不純物のレベルは約8.5重量%であって、全不純物のレベルは約10重量%であった。本発明で作られるような原繊維の純度は、販売用の原繊維を調製するのに必要な洗浄量及びコストを減少させる。原繊維形成触媒金属からの不純物は、それらが晒されないように主に炭素原繊維に包まれた金属粒子として主に生じる。
【0061】
【実施例】本発明を、実施例に関連して更に詳述する。
【0062】実施例I〜IVは、鳥の巣状、コーム糸状、開放式ネット状の形態学を有する原繊維骨材を、本発明より前に知られていた方法によって製造する方法を記載する。
【0063】実施例VからVIIIは、カルボキシレート洗浄工程を使用する本発明の実施例であり、それらそれぞれ実施例I〜IVと比較される。
【0064】実施例IXは、カルボキシレートの最適量を決定するための実験を記載する。
【0065】実施例Xは、触媒及び担体を共沈する方法を記載する。
【0066】実施例XIは、原繊維骨材を担持した、共沈した触媒生成物を記載する。
【0067】実施例Iこの実施例は、鳥の巣状(BN)原繊維骨材を製造する触媒の調製方法を記載する。ガンマアルミナ800g(酸化物Cとしてデグーサ社(Degussa)から入手可能)及び脱イオン水10リットルからなるスラリーを、多頸の、22リットルの窪んだフラスコで、速くかき混ぜながら製造した。スラリーのpHは、6.0に調節された。脱イオン水500ミリリットルに溶解した、モリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕52g及び41%の硝酸鉄(III)〔Fe(NO33〕溶液(鉄9.5%)1500gを混合することによって、溶液Aを製造した。溶液A及び20重量%の炭酸アンモニウム溶液(溶液B)を、pHを6.0±0.5に維持しながら、速くかき混ぜながら同時に添加した。pHは、溶液A及び溶液Bの相対添加速度によって制御した。シリコーン系消泡剤である、シグマ化学(Sigma Chemical)から入手可能なアンチフォーム(ANTIFOAM)289を、共沈中の泡立ちを抑制するために5〜300ppm添加した。約1時間かけて添加した後、得られたスラリーを、ナンバー50のワットマン(Whatman)の濾紙を使用して、真空濾過した。全体積8リットルの脱イオン水で、中程度の速度で2分間ワーリング(Waring)混合機中で部分的に再スラリーし、引き続いて真空濾過することによって、濾過ケーキを完全に2回洗浄した。2回目の洗浄の伝導率は、約1mMhoであった。濾過ケーキを、一晩対流乾燥機中162℃で乾燥した。試料を−100メッシュに粉砕し、生産性の試験を行った。炭素原繊維を製造するための触媒の生産性を、以下の手順を使用して、1インチの石英管反応器内で測定した。:1インチの石英管には、底から挿入した1/4インチの熱電対管が備わっていた。熱電対管の先端に、ガスは通過するが、触媒の粒子や触媒上に成長する原繊維は通過しない、予め重さを測定した石英ウールのプラグを置いた。石英管の先端には、1又はそれ以上のガスの下降流添加を可能にするガスライン、及び、粉末化した触媒を与えられた量添加するのを可能にする改良されたボールバルブが備わっていた。それがカップ又は密封されたシリンダーになるように、バルブの片開口部を封止した。次いで、触媒をそのカップに装填し、バルブ組み立て品を密封した。次いで、バルブを回して空気による汚染のないように、カップ中の内容物をガス流に添加し得る。熱電対を、熱電対管の上の方に挿入して、反応器の温度を監視した。管反応器をアルゴン流中で680℃に加熱して、反応器をパージした後、ガス流を標準条件下で、400cc/分及び200cc/分の流量の水素及びエチレンからなる混合物に切り換えた。重量を測定した触媒の投入量(約0.02〜0.05g)を、石英プラグ上の下降流ガスに滴下した。反応器を約20分間その温度に保持し、その後反応器をアルゴン中で冷却し、反応器を空にした。製造された炭素原繊維の重量を全ての回収した重量、石英ウールプラグの知っていた重量及び触媒供給量から計算した。炭素原繊維の収率又は生産性を、触媒重量当たり又は触媒中の鉄重量当たりの、製造された炭素重量として計算した。触媒を基準とした収率は、19.5であり、鉄含有量を基準とした収率は、140であった。
【0068】実施例IIこの実施例は、コーム糸状(CY)原繊維骨材を製造する触媒の調製方法を記載する。脱イオン水10リットルとアルミナ担体800gとから、軽く焼成され、細かく粉砕された含水アルミナ〔Al23・3H2O〕(ALCOAからH705として入手可能)からなる水性スラリーを、22リットルの反応器中で製造し、pHを6.0に調節し、0.5時間強くかき混ぜた後、鉄/モリブデンの酸化物を実施例Iに記載の通りに沈着した。脱イオン水500cc中の、モリブデン酸アンモニウム52g及び41%の硝酸鉄(III)溶液(ブルーグラス化学(Blue Grass Chemicals)から入手可能)1500gから、溶液Aを製造した。溶液Bは、20重量%の炭酸アンモニウム溶液であった。触媒の乾燥、洗浄及び試験は、実施例Iに前述記載の通りに行った。触媒を基準とした収率は、14.5であり、鉄含有量を基準とした収率は、103であった。
【0069】実施例IIIこの実施例は、コーム糸状(CY)原繊維骨材を製造する触媒の調製方法を記載する。脱イオン水300cc中の担体20.0gとから、軽く焼成され、細かく粉砕された活性アルミナ(ALCOAからCP2Xとして入手可能)からなる水性スラリーを製造した。スラリーのpHを6.0に調節し、スラリーを0.5時間強くかき混ぜた。ヘプタモリブデン酸アンモニウム1.35gを脱イオン水25ccに溶解させた。硝酸鉄(III)・9水和物29.9gを脱イオン水100ccに溶解させた。次いで、2つの溶液を攪拌しながら混合して、溶液Aを形成した。前記実施例に記載の通りに、混合鉄/モリブデンの酸化物を、溶液A及び20重量%の炭酸アンモニウム溶液を、スラリーのpHを6.0±0.5に維持するのに充分な相対速度で同時に添加することによって、担体に沈着させた。触媒の乾燥、洗浄及び試験は、前記の実施例Iに記載の通りに行った。触媒を基準とした収率は、13.2であり、鉄含有量を基準とした収率は、94であった。
【0070】実施例IVこの実施例は、開放式ネット状(ON)原繊維骨材を製造する触媒の調製方法を記載する。細かく粉砕されたマグネシア(マーティンマリエッタ(Martin−Marietta)から入手可能)からなるバッチ800gを、脱イオン水12.5リットルでスラリー化し、強くかき混ぜながら2時間75℃まで加熱した。加熱を止めて、スラリーを冷却した。モリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕58.4gを脱イオン水300mlに溶解させ、該溶液を、41重量%の硝酸鉄(III)溶液1824gと混合した。この溶液を、強く攪拌しながらスラリーに添加した。スラリーのpHを、添加中約10.5〜11.0に比較的一定にした。赤茶色の得られたスラリーを濾過し、実施例Iと同様に脱イオン水全40リットルで2回洗浄し、162℃で一夜乾燥した。乾燥した触媒を、対流乾燥炉で4時間400℃で焼成し、粉砕し−100メッシュに篩をかけ、実施例Iに記載の手順を使用して、1インチの石英管反応器中で試験を行った。触媒を基準とした収率は、11.4であり、鉄含有量を基準とした収率は、54であった。
【0071】実施例Vこの実施例は、カルボキシレート処理された鳥の巣状(BN)原繊維骨材を製造する触媒の改良された性能を記載する。ガンマアルミナ800g(酸化物Cとしてデグーサ社(Degussa)から入手可能)及び脱イオン水10リットルからなる水性スラリーを実施例Iと同様に調製した後、65%の酢酸アンモニウム水溶液(HEICO Chemicalsから入手可能な活性酢酸アンモニウム196g)302gを添加した。加えて、シグマ化学(Sigma Chemical)から入手可能なシリコーン系消泡剤である、アンチフォーム(ANTIFOAM)289を3g添加した。スラリーを30分間強く攪拌した後、実施例Iに記載の方法を再度始めて、鉄/モリブデンの酸化物を沈着させた。乾燥、洗浄及び試験は、同様の方法で行った。鉄に対する酢酸塩の比は1であった。触媒を基準とした収率は、22.3であり、鉄含有量を基準とした収率は、160であった。
【0072】実施例VIこの実施例は、カルボキシレート処理されたコーム糸状(CY)原繊維骨材を製造する触媒の改良された触媒性能を記載する。実施例IIに記載の通りに軽く焼成されたアルミナ担体800gでスラリーを製造した後、65%の酢酸アンモニウム450gを添加し、実施例IIの手順を再度始めた。触媒を基準とした収率は、34.2であり、鉄含有量を基準とした収率は、244であった。
【0073】実施例VIIこの実施例は、カルボキシレート処理された触媒で得られる、コーム糸状(CY)原繊維骨材を製造する触媒の改良された性能を記載する。実施例IIIで使用された軽く焼成された活性アルミナ試料20.7gを、酢酸アンモニウム5.1gを含有する脱イオン水300ccでスラリー化した。スラリーのpHを6.0に調節し、該スラリーを強く0.5時間攪拌した。次いで、41%の硝酸鉄(III)溶液39.2gとヘプタモリブデン酸アンモニウム1.3gを使用して、実施例IIIの手順に従った。触媒を基準とした収率は、18.2であり、鉄含有量を基準とした収率は、130であった。
【0074】実施例VIIIこの実施例は、カルボキシレート処理された、開放式ネット状(ON)原繊維骨材を製造する触媒の改良された性能を記載する。洗浄液が1Nの酢酸アンモニウムである以外は実施例IVの手順を繰り返した。残りの手順は同様にした。触媒を基準とした収率は、21.9であり、鉄含有量を基準とした収率は、76であった。実施例I及びV、II及びVI、III及びVII、並びに、IV及びVIIIとの比較を、それぞれ以下表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】実施例IXこの実施例は、酢酸塩処理の最適量及び条件を確立するためのプロトコールを記載する。酢酸アンモニウムによる活性化のための最適濃度を、鉄(III)イオンに対する酢酸イオンのモル比をコーム糸(CY)状の骨材を製造する調製手順において変化させ、次いで得られる触媒の生産性を測定することによって測定した。生産性は、実施例Iに記載の手順によって測定した。炭原繊維を製造する様々な触媒の生産性を、実施例Iに記載の手順を使用して、1インチの石英管反応器中で測定した。最適濃度を焼成された含水アルミナ担体から製造されたCY触媒で測定し、表2に示す。
【0077】
【表2】

【0078】実施例Xこの実施例は、原繊維形成触媒を調製する際に、アルミナと混合された金属酸化物触媒の共沈を記載する。脱イオン水500ml中にモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕25g(GFS化学から入手可能)及び脱イオン水0.5リットル中に硝酸鉄(III)・9水和物〔Fe(NO33・9H2O〕(試薬グレードのJT Bakerから入手可能)489gからなる新鮮な溶液を調製し、速く攪拌しながら混合して、透明な、暗赤褐色溶液を得た。次いで、これを60重量%の硝酸アルミニウム・9水和物〔Al(NO33・9H2O〕(技術グレードで、Mineral Research Developmentから入手可能)溶液816gと混合した。必要な時に、10%硝酸を完全に透明になるまで数滴添加した。この溶液を溶液Aと言及する。機械的攪拌機及びpHメーターを備えた、多頸の、5リットルの窪んだフラスコを、周囲温度で酸化アルミニウム及び酸化鉄の共沈に使用した。脱イオン水2リットルをフラスコに添加し、pHを6.0に調節した。溶液A及び25重量%の炭酸アンモニウム溶液(溶液B)を、pHを6.0±0.5に保持するために、速くかき混ぜながら同時に添加した。pHは、2つの流れの相対添加速度によって制御した。約1時間かけて行った後、得られたスラリーを、ナンバー50のワットマン(Whatman)の濾紙を通して、真空濾過した。全8リットルの脱イオン水で、中程度の速度で2分間ワーリング(Waring)混合機中で部分的に再スラリーし、引き続いて真空濾過することによって、濾過ケーキを完全に2回洗浄した。2回目の洗浄後の排水の伝導率は、約1mMhoであった。濾過ケーキを、一晩対流乾燥機中180℃で乾燥した。Fe2349.8%、MoO310.5%及びAl2339.7%の計算組成を有する乾燥した触媒の収率は194gであった。乾燥した触媒を粉砕し、−100メッシュに篩をかけ、実施例Iに記載の1インチの管状反応器で、その実施例に記載の標準手順に従って試験を行った。2つの試料は、20分後に触媒を基準とした収率は、43.5及び42.8であった。触媒上の鉄含有量は34.8%であり、鉄を基準とした収率は124であった。表3は、異なるFe23/Al23及びFe/Moの重量比をもって調製された一連の触媒の結果を示している。
【0079】
【表3】

【0080】最適なFe23/Al23重量比は、1.2付近をピークとして1〜2の範囲にあると思われる。最適なFe/Mo重量比は、5〜20の範囲のプラトーにあると思われる。電子顕微鏡(STEM)によって、製造された原繊維は主に(>99%)炭素原繊維であることが判った。骨材の形態学は鳥の巣状であった。
【0081】実施例XIこの実施例は、鳥の巣状形態学を有する炭素原繊維骨材を製造する、混合した鉄、モリブデン及びアルミニウムの酸化物を含有する原繊維骨材を担持した触媒の調製方法を記載する。500ミリリットルの脱イオン水で、高速度で2分間ワーリング(Waring)混合機を使用して、炭素原繊維28.5gからなるスラリーを製造した。スラリーを多頸の、2リットルの窪んだフラスコに移して、更に500ミリリットルの脱イオン水でスラリーを製造した。移動後のスラリー濃度は約2.8重量%であった。pHを6.0に調節し、スラリーを周囲温度で0.5時間機械的攪拌機を用いて強く攪拌した。モリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕(3.9g)を脱イオン水50ミリリットルに完全に溶解し、40.0重量%の硝酸鉄(III)溶液(ブルーグラス化学(Blue Grass Chemicals)から入手可能)(鉄含量=9.25重量%)75.8gと混合した。次いで、この溶液を、60重量%の硝酸アルミニウム・9水和物(Mineral Research Developmentから入手可能)溶液122.5gに添加して、溶液Aを形成した。必要な時に、10%硝酸を数滴添加して、溶液を完全に透明にした。溶液A及び脱イオン水中の20重量%の炭酸アンモニウム溶液(溶液B)を、強くかき混ぜながら同時にスラリーに添加した。スラリーのpHを、2つの流れの添加を制御することによって、6.0±0.5に維持した。次いで、固体をナンバー50のワットマン(Whatman)の濾紙を使用して、真空濾過し、ワーリング(Waring)混合機中で1リットルの脱イオン水で再スラリーし、再度濾過することによって、回収したケーキを2回洗浄した。濾過ケーキを、一晩180℃で乾燥した。炭素58.0%、Fe2320.4%、MoO36.5%及びAl2315.1%の計算組成を有する乾燥した触媒の収率は49.2gであった。乾燥した触媒の試料を粉砕し、−100メッシュに篩をかけ、実施例Iに記載の1インチの管状反応器で試験を行った。原繊維の収率は、触媒を基準で21.0であり、鉄基準で148であった。この触媒に対する結果を、以下の通り表4に示す。
【0082】
【表4】

【0083】1鳥の巣状の炭素原繊維骨材電子顕微鏡は、全ての場合において、成長した原繊維は主に鳥の巣状(BN)原繊維骨材であることを示した。新しく成長した炭素原繊維骨材は触媒担体であるものから識別出来なかった。
【出願人】 【識別番号】593169485
【氏名又は名称】ハイピリオン カタリシス インターナショナル インコーポレイテッド
【出願日】 平成5年5月12日(1993.5.12)
【代理人】 【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓 (外2名)
【公開番号】 特開2003−205239(P2003−205239A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−345312(P2002−345312)