| 【発明の名称】 |
排ガス処理触媒および排ガス処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】森田 敦 【住所又は居所】兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の1 株式会社日本触媒内
【氏名】岡村 淳志 【住所又は居所】兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の1 株式会社日本触媒内
【氏名】正木 信之 【住所又は居所】兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の1 株式会社日本触媒内
【氏名】杉島 昇 【住所又は居所】兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の1 株式会社日本触媒内
【氏名】小林 基伸 【住所又は居所】兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の1 株式会社日本触媒内
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| 【要約】 |
【課題】触媒成分担持金属酸化物触媒の低濃度CO含有排ガスに対する処理効率を一層向上させる。特に、触媒成分の担持量を増やすことなく、高い処理効率を達成し、かつ、長期にわたり安定して高い処理効率を維持できるようにする。
【解決手段】低濃度CO含有排ガスを処理する触媒であって、Ti系酸化物を担体とし、Pt、Pd、Rh、Ru、IrおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Aと、周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Bとを含有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】低濃度CO含有排ガスを処理する触媒であって、Ti系酸化物を担体とし、Pt、Pd、Rh、Ru、IrおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Aと、周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Bとを含有する排ガス処理触媒。 【請求項2】V、W、Mo、Cu、Mn、Ni、CO、CrおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Cをさらに含有する請求項1に記載の排ガス処理触媒。 【請求項3】前記触媒成分Aが、平均粒子径30nm以下の微粒子である請求項1または2に記載の排ガス処理触媒。 【請求項4】前記担体に対する前記触媒成分Aの全担持量のうち70質量%以上が、触媒の表面から深さ100μmまでの領域に偏在している請求項1〜3の何れかに記載の排ガス処理触媒。 【請求項5】前記低濃度CO含有排ガスが、CO濃度100ppm以下の排ガスである請求項1〜4の何れかに記載の排ガス処理触媒。 【請求項6】低濃度CO含有排ガスを処理する方法であって、CO濃度100ppm以下の排ガスを、請求項1〜4の何れかに記載の排ガス処理触媒に接触させる工程(a)を含む排ガス処理方法。 【請求項7】前記工程(a)が、前記排ガスとして、揮発性有機化合物をさらに含有する排ガスを用いる請求項6に記載の排ガス処理方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、排ガス処理触媒および排ガス処理方法に関し、詳しくは、ボイラー、ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン等の各種燃焼装置から排出される燃焼排ガスに含まれる、100ppm以下の低濃度CO、またあるいは、100ppm以下の低濃度COおよび揮発性有機化合物を効率的に処理する触媒と、このような触媒を利用した排ガス処理方法とを対象にしている。 【0002】 【従来の技術】ボイラー、ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジンなど各種燃焼装置から排出される燃焼排ガス中には、燃焼装置、運転条件などによりそれぞれ異なるが、一般的に未燃燃料由来の揮発性有機化合物、COやNOX、SOXが有害成分として含有されている。これら燃焼装置では、燃焼効率あるいは熱効率を高めるために、また燃焼排ガス中の揮発性有機化合物、CO、NOXを減じることを目的として、燃焼時における供給空気量を、燃料ガスを完全燃焼させるに必要な理論空気量より多くして燃焼をおこなうことが多い。このような燃焼状態の制御などにより燃焼排ガス中の揮発性有機化合物、CO、NOXは減少されてきているが、それでもなお、揮発性有機化合物や微量のCOが残存しており、このためこれら有害成分を処理する必要があるが、これら燃焼排ガス中には、余剰空気量に対応した多量の酸素および燃焼の結果生成する水蒸気が含まれており、このためその中の揮発性有機化合物や微量COを酸化して処理するには、これらが含まれていてもなお有効に適用し得る処理触媒および処理方法の開発が必要となる。 【0003】これまで、燃料に対して理論空気比に近い条件で燃焼を行う燃焼装置から排出される燃焼排ガスの浄化用としては、この排ガスには酸素はほとんど含まれず、NOX、COおよび未燃の揮発性有機化合物が含まれているため、例えばPt,Rh/アルミナ触媒等の三元触媒が用いられ、現に実用化されている。この使用形態としては上記排ガスを約500〜700℃の条件下においてPt,Rh/アルミナ触媒(ハニカム触媒)を通すことにより実施され、これにより排ガス中のNOX、COおよび未燃の揮発性有機化合物を同時に除去するものである。しかし、この方法で対象とする被処理排ガスは、その由来からして、その中に酸素がほとんど含まれず、しかも処理温度として約500〜700℃の条件下において実施することを前提とするため、このCO酸化除去法は、多量の酸素および水蒸気が含まれ、また通常300〜500℃程度で排出され、しかも低濃度のCOを含有する排ガス中におけるCOの酸化処理方法としては直ちに有効に適応することはできない。 【0004】一方、温度300〜500℃程度で排出され、酸素や水蒸気を多量に含有する排ガス中の低濃度COを酸化して無害化する方法としては、例えば、特開平7−241467、特開平7−241468号公報に希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低濃度CO酸化除去方法が記載されている。特開平7−241467号公報では、希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低濃度COを酸化して無害化する触媒および方法に係るものであるが、この触媒はハニカム担体に担持した白金/アルミナ触媒であって、かつ白金担持量を1.2〜2.5g/リットルとすることを特徴とするというものである。他方、特開平7−241468号公報は、希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低濃度COを酸化して無害化する触媒および方法に係るものであるが、触媒としてハニカム担体に担持した白金-パラジウム/アルミナあるいは白金−ロジウム/アルミナ触媒を使用することを特徴とするというものである。 【0005】特開平7−241467号公報記載の技術では、希薄燃焼ガスエンジンから排出される排ガス中の低濃度COを長期にわたり安定して有効に酸化、除去するためにはハニカム担体にアルミナとともに担持される白金の担持量を1.2〜2.5g/リットルの範囲とすることが必要であり、白金担持量を1g/リットル以下へと低減させた場合、排ガス中の低濃度COを長期にわたり安定して有効に酸化、除去することができなかった。また、特開平7−241468号公報記載の技術では、ハニカム担体に担持した白金/アルミナ触媒を白金−パラジウム/アルミナあるいは白金-ロジウム/アルミナ触媒とすることで特開平7−241467号公報技術にみられた問題点、すなわち、排ガス中の低濃度COを長期にわたり安定して有効に酸化、除去するために白金担持量を増加させ、ある特定範囲としなければならないという制限を受けることなく白金担持量を選択できるとしている。しかし、そのためには白金と同類の高価な貴金属であるパラジウムおよびロジウムを白金と同量程度担持させる必要があった。 【0006】貴金属を担持した低濃度CO除去触媒では、貴金属の担持量を増やせば、触媒機能が向上することが予想されるが、担持量を増やす分だけ貴金属の材料コストが増大し、経済性の劣るものとなる。しかも、排ガス中にSOXが含まれる場合には、SO2→SO3転化率が高くなって、SO3による配管腐食などの問題が発生する。また、排ガス中のSOXは触媒性能自体へ影響を及ぼすことが考えられ、低濃度CO含有排ガスを処理する触媒には排ガス中のSOXに対する耐性も有している必要がある。しかし、特開平7−241467号公報、特開平7−241468号公報では排ガス中の低濃度COを酸化・無害化する際のSOXの影響に関してはまったく触れられていない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記した触媒成分担持金属酸化物触媒の低濃度CO含有排ガスに対する処理効率を一層向上させることである。特に、触媒成分の担持量を増やすことなく、高い処理効率を達成し、かつ、長期にわたり安定して高い処理効率を維持することができるようにすることである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれば、排ガス中に含まれている低濃度COを処理するに際し、Ti系酸化物を担体とし、Pt、Pd、Rh、Ru、IrおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Aと、周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Bとを含有する触媒を用いれば、触媒成分Aのみを担持した場合よりも処理性能が向上し、触媒成分Aの使用量を低減できることを見出した。また同時に触媒成分Bが触媒に共存することによってSO2酸化が抑制され、SOxに対する耐性および耐熱性が向上して触媒成分A担持量が少ない場合であっても長期間にわたり安定した処理効率を維持することが可能となることがわかった。 【0009】すなわち、本発明にかかる排ガス処理触媒は、低濃度CO含有排ガスを処理する触媒であって、Ti系酸化物を担体とし、Pt、Pd、Rh、Ru、IrおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Aと、周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Bとを含有する。本発明にかかる排ガス処理方法は、CO濃度100ppm以下の排ガスを、請求項1〜4の何れかに記載の排ガス処理触媒に接触させる工程(a)を含む。 〔低濃度CO含有排ガス〕通常の各種産業装置や設備から排出される低濃度CO含有排ガスに適用できる。具体的には、ボイラー、ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、加熱炉、その他各種工業プロセスの燃焼排ガスが挙げられる。 【0010】燃焼排ガスの場合には、燃料由来の成分であるが燃焼されなかった未燃の揮発性化合物が含まれ、環境への悪影響が問題とされている。本発明の排ガス処理触媒は、低濃度COに加え揮発性化合物を含む排ガスの処理にも有効である。排ガスは、本発明の排ガス処理触媒による処理工程を行なう前に、各種の排ガス処理が施されている場合がある。したがって、前記供給源から排出された段階の排ガスと、本発明の排ガス処理触媒で排ガス処理する段階の排ガスとは、その成分が異なっている場合がある。本発明は、従来の排ガス処理触媒では効率的な処理が行ない難い低濃度CO含有排ガスに有効である。具体的にはCO濃度が100ppm以下の排ガスに適している。 【0011】排ガスは、供給源からの排出条件や排ガス処理を行うまでの履歴によって、温度条件や速度が変わる。 〔触媒材料〕触媒材料としては、基本的には、通常の排ガス処理触媒と共通する材料の中から選択して使用することができる。 <担体>担体としては、Ti系酸化物を使用する。Tiのみからなる酸化物であってもよいし、Tiを主体にして、Si、Zr、Alなどの他の元素成分を組み合わせたものも使用できる。Tiと他の成分を組み合わせる場合、Tiの含有量は、担体全体の5〜95モル%であることが好ましい。さらに好ましくは、20〜95モル%である。 【0012】Ti−Si複合酸化物は、SO2酸化率が低く、固体酸性が強く、貴金属からなる触媒成分Aを化学吸着によって担持させるのに有利である。担体の製造は、通常の触媒材料となる金属酸化物からなる担体の製造技術が適用される。Ti−Si複合酸化物の調製も、通常のTi−Si複合酸化物と同様の手段が採用でき、前記した特開昭53−146991号公報などに開示された技術が挙げられる。特に、本願特許出願人が先に特許出願している特願2000−99593号に開示された技術が、好ましい技術として挙げられる。担体となる金属酸化物を供給する原料として、予め用意された金属酸化物をそのまま使用するほかに、焼成によって酸化物を生成する材料が使用できる。具体的には、無機および有機のいずれの化合物でもよく、例えば、所定の金属を含む水酸化物、アンモニウム塩、アンミン錯体、シュウ酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩などを用いることができる。 【0013】<触媒成分A>触媒成分Aとして、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Auが使用できる。これらの元素を複数組み合わせることもできる。これらの元素を使用することで、排ガスに含まれる低濃度COと同時に未燃の揮発性有機化合物を効率的に処理することができる。 <触媒成分B>触媒成分Bとして、周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも1種の元素が使用できる。具体的には、Na、Li、Mg、Ca、Y、Laなどが挙げられる。 【0014】前記触媒成分Aに触媒成分Bが加わることで、低濃度CO含有排ガスに対する処理効率が格段に向上し、かつ、SO2酸化の抑制、耐SOx性および耐熱性が向上して、長期にわたり安定して高い処理効率を維持することが可能となる。 <触媒成分C>触媒成分A、Bに加え、触媒成分Cとして、V、W、Mo、Cu、Mn、Ni、CO、CrおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を、さらに含有させることができる。触媒成分Cが加わることで、低濃度CO含有排ガスに対する処理効率がさらに向上したり、脱硝機能を付与させることができる。 【0015】〔触媒成分の担持〕触媒成分のうち、触媒成分Aは、通常、粒子の形態で担体に担持される。粒子の形状は、球形その他の形状が採用できる。粒径として、平均粒子径30nm以下のものが好ましい。さらに好ましくは、平均粒径20nm以下である。触媒成分Aの粒子径が小さく、高分散化された状態であるほど、活性が高くなる。担体に触媒成分Aを担持させる手段としては、基本的には通常の貴金属担持金属酸化物触媒と共通する手段が採用できる。担体に触媒成分Aの粒子を担持させる処理工程では、触媒成分粒子を触媒の表面に出来るだけ偏在させることができるように、担持手段および担持条件を選択する。 【0016】具体的には、予め用意された担体の成形体に、触媒成分Aを化学吸着によって担持させる技術が好ましく適用できる。化学吸着によれば、物理吸着などの他の担持技術に比べて、担体の表層に集中的かつ強固に触媒成分粒子を担持させることができる。触媒成分Aを微粒子状で高分散化状態にして、触媒表面に偏在させ得る。物理吸着の場合、少しのエネルギー(加熱等)が加わるだけで、担体上での触媒成分粒子の移動や、それに伴なう触媒成分粒子の凝集や分散性の悪化などが起こり易くなり、排ガスの処理が十分に行なえなくなる場合がある。 【0017】化学吸着の場合には、担体の表面に化学結合で触媒成分粒子が担持されることになるので、物理吸着に比べて格段に、担体からの触媒成分粒子の移動が起こり難くなる。その結果、触媒表面での排ガス処理能が安定し、かつ、処理効率が向上するので、本発明において好ましい触媒成分Aの担持手段となる。化学吸着の具体的手段として、触媒成分Aを含む溶液を加熱した状態で担体に含浸させると、化学吸着が効率的に行なわれ、担体の表層に触媒成分粒子を偏在させて担持させ易い。具体的には、触媒成分Aを含む溶液の温度を、40℃以上に加熱しておくことが好ましく、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上あるいは90℃以上がより好ましい。溶液の温度が低すぎると、化学吸着が起こり難く、本発明の目的が達成できない。 【0018】触媒成分Aの供給源としては、通常の触媒などに利用されている材料が使用できる。具体的には、硝酸塩、ハロゲン化物、アンモニウム塩、アンミン錯体、水酸化物などが挙げられる。アンミン錯体、水酸化物などの塩基性錯体を用いると、効率良く化学吸着させることができる。触媒成分Aの粒子は、担体に対する全担持量のうち70質量%以上を、触媒の表面から深さ100μmまでの領域に偏在させておくことが好ましい。好ましくは、全担持量の80質量%以上を触媒の表面から深さ100μmまでの領域に偏在させておく。より好ましくは、全担持量の90質量%以上を触媒の表面から深さ100μmまでの領域に偏在させておく。さらに好ましくは、全担持量の95質量%以上を触媒の表面から深さ100μmまでの領域に偏在させておく。 【0019】触媒反応は、触媒の表層部分で起こっていると考えられる。触媒成分の担持量が同じであっても、表層部分の触媒成分濃度を高めることで、触媒による排ガスの処理効率が高まる。触媒成分を表層部分に偏在させて担持させることができれば、高効率を維持したまま触媒成分の担持量が低減できる。コストが低減でき、SO2酸化率も低くなる。担体に対する触媒成分粒子の担持量は、材料の組み合わせや担持処理の処理条件などによっても異なるが、通常は、触媒の全体量に対して触媒成分Aを0.005〜2.0質量%の範囲、好ましくは0.01〜1質量%の範囲で用いる。触媒成分Aの担持量が少な過ぎると触媒活性が低くなる。触媒成分Aの担持量が多過ぎても、触媒活性の向上はそれほど望めず材料コストが高くつく。触媒成分Aの担持量が多過ぎると、SO2酸化率が高くなり過ぎたり、触媒成分粒子の分散性が悪くなって触媒活性が却って低下したりすることもある。 【0020】触媒成分Aの粒子を担持させた担体からなる触媒は、微細な細孔を有する多孔質構造である。細孔の量によって、排ガスの流通や触媒成分粒子の担持に影響を与える。通常は、全細孔容積が0.2〜0.8cm3/g(水銀圧入法)の範囲が適切である。細孔容積が少な過ぎると、触媒活性が低くなる。細孔容積が多過ぎると、触媒の機械的強度が低くなる。触媒の比表面積も、性能に影響を与える。通常、比表面積30〜250m2/g(BET法)の範囲が採用され、40〜200m2/gが好ましい。比表面積が小さ過ぎると、触媒活性が十分でなくなる。比表面積が大き過ぎると、触媒活性はそれほど向上しないのに、触媒被毒成分の蓄積が増加したり触媒寿命が低下したりするなどの弊害が生じる。 【0021】触媒成分Bの供給原料としては特に限定されず、通常の触媒製造に利用されている材料を使用することができるが、好ましくは有機酸塩、アルコキシド、有機金属錯体など分子中に有機酸などの有機成分を含んでいるものを例示することができる。触媒成分Bの触媒への担持方法も特に限定されず、通常の触媒製造に利用されている方法にて触媒へ担持させることができる。担持順序に関しても特に限定されないが、触媒成分Aと触媒成分Bを同時に担持するのが好ましい。触媒成分Cの供給原料としては特に限定されず、通常の触媒製造に利用されている材料を使用することができる。担持方法に関しても特に限定されず、通常の触媒製造に利用されている方法にて触媒へ担持させることができる。触媒成分Aと触媒成分Bとの担持順序に関しても特に限定されないが、触媒成分A、触媒成分Bおよび触媒成分Cを同時に担持する、または、触媒成分Aと触媒成分Bとを担持した後に触媒成分Cを担持することが好ましい。なお、触媒成分B、Cは触媒成分Aと同様に触媒の表面に偏在させてもよいし、偏在させなくてもよい。 【0022】触媒成分Bの担持量は、触媒の全体量に対して0.01〜20質量%の範囲、好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。触媒成分Cの担持量は、触媒の全体量に対して0.01〜20質量%の範囲、好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。 〔触媒の使用形態〕触媒形状については特に制限はなく、板状、波板状、網状、ハニカム状、円柱状、円筒状などのうちから選んだ所望の形状が採用できる。粒状や棒状、球状、リング状、円柱状などをなす微小な触媒を、容器に充填したり堆積させたりした状態で使用することもできる。 【0023】触媒は、通常、金属などで構成された容器状の触媒反応器に収容して使用される。触媒反応器には、排ガスの導入口と排出口が設けられ、内部に収容された触媒に排ガスが効率的に接触できるような構造を備えておく。 〔排ガス処理方法〕基本的には、通常の貴金属担持金属酸化物触媒を用いた排ガス処理技術が適用される。通常は、触媒が収容された触媒反応器を、排ガスなどの排出経路の途中に設置しておく。排ガスが触媒反応器を通過する際に、触媒の表面と接触することで、所定の触媒作用を受ける。 【0024】本発明の触媒は、排ガスに含まれる低濃度COと未燃の揮発性有機化合物とを同時に処理することができる。燃焼排ガスの温度や空間速度などの条件を適切に設定することで、触媒による排ガス処理の効率が向上する。例えば、ガス温度250℃〜500℃、空間速度30,000H-1〜1,000,000H-1の燃焼排ガスを処理することが好ましい。より好ましくは、ガス温度300℃〜450℃が採用でき、空間速度50,000H-1〜500,000H-1が採用できる。さらに、LV=0.1m/s(Normal)以上、あるいは、ダスト10mg/m3(Normal)以下の処理条件が好ましい。 【0025】本発明の触媒による排ガス処理工程の、前や後に、別の排ガス処理工程を組み合わせることもできる。別の排ガス処理工程としては、本発明の触媒では処理し難い成分を効率的に処理できる工程が好ましい。例えば、脱硝触媒による排ガス処理工程を、本発明の触媒による排ガス処理工程と組み合わせれば、脱硝触媒で窒素酸化物を効率的に処理することができる。一方、本発明の触媒による排ガス処理工程で、さらに低濃度COおよび未燃の揮発性有機化合物をも効率的に処理することが可能になる。上記の脱硝触媒による排ガス処理技術として、本件特許出願人が先に特許出願している特開平10−235206号公報に開示された技術が適用できる。この技術で使用する脱硝触媒は、触媒成分a(チタン酸化物)と、触媒成分b(バナジウムまたはタングステンからなる金属の酸化物)とを組み合わせ、触媒成分aに触媒成分bを担持させた構造を有する。 【0026】特公昭63−146991号公報、特開昭62−65721号公報、特公平6−4126号公報などに記載された公知の排ガス処理方法を、本発明の排ガス処理方法と組み合わせることもできる。本発明では、排ガス中に含まれる低濃度COを処理する触媒として、Ti系酸化物からなる担体に、Pt、Pd、Rh、Ru、IrおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Aと、周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Bとを含有し、必要に応じてさらにV、W、Mo、Cu、Mn、Ni、CO、CrおよびFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Cを含有してなる触媒を用いているので、非常に高い触媒活性が得られ、かつSO2酸化の抑制、耐SOx性および耐熱性の向上が図られ長期間にわたり安定した処理効率を維持できる。その結果、ガスタービンなどから排出される大風量の低濃度CO含有排ガスを処理する方法として、非常に有効な方法となる。 【0027】 【発明の実施の形態】図1(a)に示す排ガス処理触媒10は、断面が格子状をなすハニカム構造をなしている。触媒10は、Ti−Si複合酸化物などで構成された担体11に、Ptなどの貴金属粒子からなる触媒成分Aと、Na、Caなどからなる触媒成分Bと、V、Wなどからなる触媒成分Cとを担持させてなる。格子状をなす担体11に設けられた多数の貫通する矩形状通路13に、処理対象となる排ガスを流通させて排ガス処理を行う。 【0028】図1(b)に示すように、触媒10のうち、触媒成分Aの担持領域12は、排ガス通路13に面する表面から担体11内部の一定距離の深さ部分に偏在している。触媒成分B、Cは、前記触媒成分Aの担持領域12よりも中央側にも存在している。図1(c)に示すグラフは、図1(b)の横断方向で担体11に担持された触媒成分Aの各位置における濃度の分布を模式的に示している。触媒成分Aの濃度は、担体11の壁体において、両側の表面位置から内部へ向かって急激に増加し、担持領域12の途中で最高濃度に達したあと急激に減少し、担持領域12の内縁位置では、ほとんどゼロに近い極めて低い濃度まで下がる。担持領域12よりも内側になる担体11の中央領域は、ごく少量の触媒成分Aが含まれるだけで、実質的に触媒成分Aは存在しない状態である。担持領域12の内縁位置は、担体11の表面から深さ100μmの位置よりも表面側に配置される。濃度グラフの下側の面積が、触媒成分Aの担持量を表す。したがって、濃度グラフ全体の下側面積に対する、両側表面から内側100μmの位置までの範囲における濃度グラフの下側面積の割合を算出すれば、表面から100μmの位置までの間に存在する触媒成分Aの割合が求められる。 【0029】図1(c)では、担体11に担持された触媒成分Aの粒子のうち、全担持量の90質量%以上は、表面から深さ100μmまでの領域に存在する。本発明における触媒成分Aの濃度は、図1(c)のような濃度グラフが得られるEPMA断面線分析で求められた濃度である。上記のような構造の排ガス触媒10は、ガスタービンなどにおける低濃度CO含有排ガスの排出経路の途中に配置される。比較的に高温で速度の大きな排ガスが、触媒10の排ガス通路13を通過し、排ガス通路13の内壁面で触媒10と接触する。 【0030】触媒10のうち、排ガス通路13の内壁面は、触媒成分Aの濃度が高い担持領域12であるため、排ガスは効率的に触媒作用を受けて、排ガス処理が行われる。高速の排ガスは、触媒10に対する接触時間が短くなるが、前記した効率的な触媒作用によって、排ガスは確実に処理される。ガスタービンなどの燃焼排ガスには、処理対象成分として、低濃度COとともに未燃の揮発性有機化合物、例えばアルデヒドなどが含まれている。触媒10では、これらの低濃度COおよび揮発性有機化合物を同時に処理して、何れの成分をも除去することができる。 【0031】次に、本発明の排ガス処理触媒を具体的に製造し、その性能を評価した結果について説明する。 【0032】 【実施例】〔触媒の製造〕 <実施例1>担体となるTi−Si複合酸化物の調製:10質量%アンモニア水700リットルにスノーテックス−20(日産化学(株)製シリカゾル、約20質量%のSiO2含有)21.3kgを加え、攪拌、混合した後、硫酸チタニルの硫酸溶液(TiO2として125g/リットル、硫酸濃度550g/リットル)340リットルを攪拌しながら徐々に滴下した。得られたゲルを3時間放置した後、ろ過、水洗し、続いて150℃で10時間乾燥した。これを500℃で焼成し、更にハンマーミルを用いて粉砕し、粉体を得た。得られた粉体の組成はTiO2:SiO2=8.5:1.5(モル比)であり、粉体のX線回折チャートではTiO2やSiO2の明らかな固有ピークは認められず、ブロードな回折ピークによって非晶質な微細構造を有するチタンとケイ素との複合酸化物(Ti−Si複合酸化物)であることが確認された。 【0033】ハニカム成形体の製造:上記Ti−Si複合酸化物を、外形80mm角、目開き2.1mm、肉厚0.4mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼成し、ハニカム成形体を得た。ハニカム成形体は、前記図1(a)に示すような格子状構造を有し、個々の排ガス通路の目開きが2.1mm、格子壁の肉厚が0.4mmである。 触媒成分の担持による触媒の製造:ハニカム成形体を、ヘキサアンミン白金水酸塩溶液と酢酸マグネシウムとの混合溶液に含浸したあと、乾燥させた。次いで、450℃で2時間、空気雰囲気下で焼成して、ハニカム成形体からなる担体に、触媒成分AとしてPt、触媒成分BとしてMgが担持された触媒Aを得た。 【0034】得られた触媒Aの組成を分析したところ、Ti−Si複合酸化物:Mg:Pt=98.9:1:0.1(質量比)であった。触媒Aについて、PtのEPMA断面線分析を行った。その結果から、担持したPtの90質量%以上は、触媒Aの表面から深さ100μmまでの領域に存在することが確認された。透過型電子顕微鏡を用いて測定されたPtの平均粒子径は5nm未満であった。 <実施例2>実施例1において、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸マグネシウムとの混合溶液の代わりに、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸カルシウムとの混合溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程で、触媒Bを得た。 【0035】触媒Bの組成は、Ti−Si複合酸化物:Ca:Pt=98.9:1:0.1(質量比)であった。PtのEPMA断面線分析の結果、触媒Bに担持したPtの90質量%以上は、表面から深さ100μmまでの領域に存在することが確認された。透過型電子顕微鏡の測定結果から、Ptの平均粒子径は5nm未満であった。 <実施例3>実施例1において、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸マグネシウムとの混合溶液の代わりに、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸ナトリウムとの混合溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程で、触媒Cを得た。 【0036】触媒Cの組成は、Ti−Si複合酸化物:Na:Pt=98.9:1:0.1(質量比)であった。PtのEPMA断面線分析の結果、触媒Bに担持したPtの90質量%以上は、表面から深さ100μmまでの領域に存在することが確認された。透過型電子顕微鏡の測定結果から、Ptの平均粒子径は5nm未満であった。 <実施例4>実施例1において、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸マグネシウムとの混合溶液の代わりに、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸リチウムとの混合溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程で、触媒Dを得た。 【0037】触媒Dの組成は、Ti−Si複合酸化物:Li:Pt=98.9:1:0.1(質量比)であった。PtのEPMA断面線分析の結果、触媒Bに担持したPtの90質量%以上は、表面から深さ100μmまでの領域に存在することが確認された。透過型電子顕微鏡の測定結果から、Ptの平均粒子径は5nm未満であった。 <実施例5>実施例1において、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸マグネシウムとの混合溶液の代わりに、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸イットリウムとの混合溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程で、触媒Eを得た。 【0038】触媒Eの組成は、Ti−Si複合酸化物:Y:Pt=98.9:1:0.1(質量比)であった。PtのEPMA断面線分析の結果、触媒Bに担持したPtの90質量%以上は、表面から深さ100μmまでの領域に存在することが確認された。透過型電子顕微鏡の測定結果から、Ptの平均粒子径は5nm未満であった。 <実施例6>実施例1において、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸マグネシウムとの混合溶液の代わりに、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸ランタンとの混合溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程で、触媒Fを得た。 【0039】触媒Fの組成は、Ti−Si複合酸化物:La:Pt=98.9:1:0.1(質量比)であった。PtのEPMA断面線分析の結果、触媒Bに担持したPtの90質量%以上は、表面から深さ100μmまでの領域に存在することが確認された。透過型電子顕微鏡の測定結果から、Ptの平均粒子径は5nm未満であった。 <比較例1>実施例1において、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸マグネシウムとの混合溶液の代わりに、ヘキサアンミン白金水酸塩の単独溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程で、触媒Gを得た。 【0040】触媒Gの組成は、Ti−Si複合酸化物:Pt=99.9:0.1(質量比)であった。PtのEPMA断面線分析の結果、触媒Bに担持したPtの90質量%以上は、表面から深さ100μmまでの領域に存在することが確認された。透過型電子顕微鏡の測定結果から、Ptの平均粒子径は7nmであった。 〔性能評価〕各実施例および比較例で得られた触媒を用いて、以下の性能評価試験を行なった。 <CO除去試験>試験条件:排ガス組成=CO:20ppm、O2:10%、H2O:8%、N2:バランスガス温度=340℃空間速度(STP)=75000Hr-1CO除去率算出式:CO除去率(%)=〔(反応器入口CO濃度)−(反応器出口CO濃度)〕/(反応器入口CO濃度)×100暴露試験:製造された触媒が新品状態で、CO除去試験を行なったあと、以下の条件で暴露試験を行ない、暴露後の触媒について、同様のCO除去試験を行なった。 【0041】暴露ガス組成=SO2:100ppm、O2:10%、H2O:8%、N2:バランスガス温度=340℃空間速度(STP)=75000Hr-1暴露時間=500時間<アセトアルデヒド除去試験>試験条件:排ガス組成=CH3CHO:20ppm、CO:20ppm、O2:12%、H2O:8%、N2:バランスガス温度=350℃空間速度(STP)=80000Hr-1アセトアルデヒド除去率算出式:アセトアルデヒド除去率(%)=〔(反応器入口アセトアルデヒド濃度)−(反応器出口アセトアルデヒド濃度)〕/(反応器入口アセトアルデヒド濃度)×100<SO2酸化能評価試験>試験条件:排ガス組成=SO2:30ppm、CO:20ppm、O2:12%、H2O:8%、N2:バランスガス温度=350℃空間速度(STP)=80000Hr-1SO2酸化率算出式:SO2酸化率(%)=反応器出口SO3濃度/反応器入口SO2濃度×100<試験結果>上記性能評価試験の結果を、下表に示す。なお、暴露後CO除去率試験、アセトアルデヒド除去試験およびSO2酸化能評価試験は、実施例1と比較例1について行った。 【0042】 【表1】
【0043】以上の結果、各実施例では、比較例1に比べて、CO除去率について優れた性能が発揮できることが確認された。アセトアルデヒド除去率についても、実施例1は比較例1に比べて優れていることが判る。また、SO2酸化率は、実施例1のほうが比較例1よりも少なく、SO2酸化が抑制されている。実施例1は比較例1に比べて、SO2含有ガスに長時間暴露した後でも、CO除去率がせず、耐SOx性に優れていることも確認された。 【0044】 【発明の効果】本発明の排ガス処理触媒を用いれば、多量の酸素や水蒸気の存在下でも低濃度のCOや揮発性有機化合物を効率よく除去することができる。具体的には、本発明の排ガス処理触媒は、触媒成分として、前記触媒成分Aに加えて前記触媒成分Bを含有していることによって、触媒成分A単独の場合に比べてCO除去性能が向上し、触媒成分Aの使用量の低減が可能になる。また、触媒成分Bを加えることによって、運転時に問題となるSO2→SO3酸化率を抑制することができ、触媒の耐SOx性および熱耐久性も向上する。 【0045】また、触媒成分としてさらに前記触媒成分Cを添加することによって、触媒に脱硝性能を付与すること等もできる。触媒成分Aを触媒の表面に偏在させておくことで、排ガスの処理効率を格段に向上させることもできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004628 【氏名又は名称】株式会社日本触媒 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区高麗橋4丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成14年1月15日(2002.1.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073461 【弁理士】 【氏名又は名称】松本 武彦
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| 【公開番号】 |
特開2003−205238(P2003−205238A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月22日(2003.7.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−6712(P2002−6712) |
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