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【発明の名称】 層状ニオブ酸化物と炭化水素アンモニウムとから成る吸着剤
【発明者】 【氏名】東京都府中市分梅町3丁目3番2号 第一小沢荘2の西号室

【要約】 【課題】層状ニオブ酸化物の層間を炭化水素アンモニウムで修飾した新規な吸着剤を提供する。

【解決手段】本発明は、層状ニオブ酸化物と炭化水素アンモニウムとから成る吸着剤であって、該炭化水素アンモニウムがRNで表される4級アンモニウムであって、該R〜Rの中の2つがそれぞれ炭素数が12以上のアルキル基であり、他の2つがそれぞれ炭素数が3以下のアルキル基であることを特徴とする吸着剤である。また本発明は、層状ニオブ酸化物と炭化水素アンモニウムとから成る吸着剤であって、該炭化水素アンモニウムの炭化水素が芳香族環を含むことを特徴とする吸着剤である。該層状ニオブ酸化物と炭素数が8より大きいアルキル基を含まないアルキルアンモニウムとを水溶液中で反応させる第1段階、及び該第1段階の生成物と所望の炭化水素アンモニウムとを水溶液中で反応させる第2段階から成る吸着剤の製法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 層状ニオブ酸化物と炭化水素アンモニウムとから成る吸着剤であって、該炭化水素アンモニウムがRNで表される4級アンモニウムであって、該R〜Rの中の2つがそれぞれ炭素数が12以上のアルキル基であり、他の2つがそれぞれ炭素数が3以下のアルキル基であることを特徴とする吸着剤。
【請求項2】 前記R〜Rの中の2つが炭素数が18以上の直鎖アルキル基であり、他の2つが炭素数がメチル基又はエチル基である請求項1に記載の吸着剤。
【請求項3】 層状ニオブ酸化物と炭化水素アンモニウムとから成る吸着剤であって、該炭化水素アンモニウムの炭化水素が芳香族環を含むことを特徴とする吸着剤。
【請求項4】 前記炭化水素がベンジル基である請求項3に記載の吸着剤。
【請求項5】 前記層状ニオブ酸化物が、ニオブ酸塩、チタノニオブ酸塩又はペロブスカイト型ニオブ酸塩である請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸着剤。
【請求項6】 被吸着物の濃度が少なくとも1ミリモル/dmである水溶液中において請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸着剤を用いて該被吸着物を除去する方法。
【請求項7】 層状ニオブ酸化物と炭化水素アンモニウムとから成る吸着剤の製法であって、該層状ニオブ酸化物と炭素数が8より大きいアルキル基を含まないアルキルアンモニウムとを水溶液中で反応させる第1段階、及び該第1段階の生成物と所望の炭化水素アンモニウムとを水溶液中で反応させる第2段階から成る吸着剤の製法。
【請求項8】 前記炭化水素アンモニウムがアルキル基を一つ含みその炭素数が4〜8である請求項7に記載の製法。
【請求項9】 前記層状ニオブ酸化物が、ニオブ酸塩、チタノニオブ酸塩又はペロブスカイト型ニオブ酸塩である請求項7又は8に記載の吸着剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、有機物の吸着剤に関し、より詳細には、中性の有害有機化合物(例えば、フェノールやクロロフェノール)を含む廃水を浄化するための吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】層状ニオブ酸化物は水を分解する光触媒として数多くの研究がある(堂免一成, 表面, 26, 450-460 (1988) 等)。光触媒としての性質は、有害有機物の光分解にも応用可能と思われるが研究例はない。またこれまでに知られている層状ニオブ酸化物は親水的であり、そのままでは効率的な有機物の吸着や光分解は行えない。一方、層状ニオブ酸化物は、その結晶層間に他の分子を取り込んで層間化合物を形成する性質がある。例えば層状ニオブ酸化物K4Nb6O17は、層間のカリウムイオンとのイオン交換によってアルキルアンモニウムを挿入することが報告されている(G. Lagaly and K. Beneke, J. Inorg. Nucl. Chem., 38, 1513-1518 (1976))。また、この報告には、アルキルアンモニウムが挿入されたK4Nb6O17を極性有機溶媒(脂肪族1級アルコール、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼンなど)を浸漬することで、溶媒分子が層間に取り込まれることも報告されている。しかし、水溶液中の電気的中性な有機化合物の吸着現象は報告されていない。水中の有害有機物(特に電気的中性な化合物)を除去するための吸着剤として、活性炭や有機分子を挿入した層状粘土鉱物などが実用もしくは研究されているが、両者とも、吸着後に有機物を燃焼除去する必要があり、その際に吸着剤の性能が低下する。この問題を解決するためには、光分解などによって吸着した有機物を除去できる吸着剤の開発が必要であるが、光分解能力を有する物質に吸着能力を付与させた吸着剤の開発例はなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】水中の有害有機化合物の除去技術は、微生物除去と化学的除去に大別でき、化学的除去法としては固体吸着剤を用いた吸着除去が用いられるが、吸着後の有機物の分解無害化に問題がある。活性炭などの固体吸着剤を用いた水中の有害有機化合物の吸着除去では、吸着後の有機物の分解無害化に難がある(主として熱分解が用いられるが、吸着剤もダメージを受ける)。一方、二酸化チタンなどの光触媒を用いて水中の有害有機物を光分解無害化する方法も研究されているが、有機物との親和性が低い(有機物をほとんど吸着しない)ため高効率な分解は達成されていない。これらの問題点を解決するためには、有機物を光分解可能な物質に吸着能力を付与した新しい吸着剤の開発が必要である。
【0004】このような課題を解決するために、本発明者らは、既に、層状ニオブ酸化物(K4Nb6O17)の層間をドデシルアンモニウムイオンやドデシルトリメチルアンモニウムで修飾した化合物が水溶液中でフェノールや2−クロロフェノールを吸着することを見出し、このような化合物が有害有機物を吸着除去する目的に用いることができることを発表した(日本化学会第79春季年会(2001年3月)「アルキルアンモニウムイオンで層間修飾した層状ニオブ酸塩による水中有害有機化合物の吸着」)。しかし、層間修飾に用いる化合物の最適化やその最適な製法についての検討が待たれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、層状ニオブ酸化物の層間に有機分子を挿入(インターカレート)することで、水中の有害有機物(特に、電気的中性な化合物)を吸着する能力が生じることを見出し、更に、挿入する有機分子の種類によって吸着特性が大きく変化することを見出した。即ち、挿入する有機分子を選択することにより、吸着特性を最大化できることを見出した。更に、本発明者らは、層状ニオブ酸化物の層間に有機分子を挿入する方法によって、有機分子の層間への挿入状態が変化し、それにより吸着量が変化することを見出した。即ち、層状ニオブ酸化物の層間に有機分子を挿入する方法を選択することにより、吸着特性を最大化できることを見出した。
【0006】即ち、本発明は、層状ニオブ酸化物と炭化水素アンモニウムとから成る吸着剤であって、該炭化水素アンモニウムがRNで表される4級アンモニウムであって、該R〜Rの中の2つがそれぞれ炭素数が12以上のアルキル基であり、他の2つがそれぞれ炭素数が3以下のアルキル基であることを特徴とする吸着剤である。このアルキル基は直鎖であることが好ましく、その炭素数は最大20程度である。また、前記R〜Rの中の2つが炭素数がそれぞれ18以上の直鎖アルキル基であり、他の2つがそれぞれ炭素数がメチル基又はエチル基、好ましくはメチル基であることが好ましい。また、本発明は、層状ニオブ酸化物と炭化水素アンモニウムとから成る吸着剤であって、該炭化水素アンモニウムの炭化水素が芳香族環を含むことを特徴とする吸着剤である。前記炭化水素はベンジル基であることが好ましい。更に、本発明は、層状ニオブ酸化物と炭化水素アンモニウムとから成る吸着剤の製法であって、該層状ニオブ酸化物と炭素数が8より大きいアルキル基を含まないアルキルアンモニウムとを水溶液中で反応させる第1段階、及び該第1段階の生成物と所望の炭化水素アンモニウムとを水溶液中で反応させる第2段階から成る吸着剤の製法である。前記炭化水素アンモニウムはアルキル基を一つ含みその炭素数が4〜8であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる層状ニオブ酸化物としては、層間にイオン交換可能な陽イオンを有するニオブ酸化物であればよく、例えば、ニオブ酸塩(K4Nb6O17、HNb3O8など)、チタノニオブ酸塩(HTiNbO5など)、ペロブスカイト型ニオブ酸塩(HCa2Nb3O10など)、好ましくはニオブ酸塩、より好ましくはK4Nb6O17又はHNb3O8、更に好ましくはK4Nb6O17を用いることができる。この層状ニオブ酸化物の層間に挿入する有機分子としてはアルキルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、ジベンジルアンモニウムなどを用いることができる。本発明の吸着剤は、層状ニオブ酸化物を挿入させる有機分子の溶液と接触させ、60〜80℃程度で数日から数週間反応させ、水等で十分洗浄することによって製造されることができる。
【0008】本発明の吸着剤は粉体として得られ、通常の粉末X線回折法により特定することができる。正確にはX線回折図形から得られる情報(回折ピークの位置と強度、バックグラウンドレベルなど)を総合して同定するが、通常は基本面間隔(層間距離と層の厚さを足し合わせた距離)から判定する。表1に、後述の実施例で取り上げた各吸着剤の基本面間隔を示す。なお、有機分子挿入前の層状ニオブ酸化物K4Nb6O17の基本面間隔は1.64nm及び0.82nmである(図2(a)参照)。また、同表に示したΔd値とは、図2に示すように、層間化合物の基本面間隔から有機分子挿入前の層状ニオブ酸化物の基本面間隔を引いた値であって、有機分子がインターカレートされることによる層間距離の増分に相当し、インターカレートされた有機分子の層間での配列などを推定するために利用することができる。
【0009】
【表1】
吸着剤 基本面間隔(nm) Δd値1 5.56 3.922 2.37 1.553 1.96 1.114 3.62 1.985 3.15 2.336 5.14 3.50【0010】本発明の吸着剤の被吸着物に特に制限はないが、疎水的かつ常温常圧で液体または気体の有機分子が適当である。純品が固体の化合物であっても、水中に溶解していれば吸着の対象となり、このような例としては、ベンゼンとその誘導体(フェノールなど)やハロゲン置換体(トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロフェノールなど)、アルカンとその誘導体やハロゲン置換体(ヘキサン、トリクロロエチレンなど)などが挙げられる。被吸着物は、水に溶解していることが好ましいが、水溶性である必要はなく、むしろ水となじまない物質の方が吸着されやすいと考えられる。従って、例えば空気中の揮発性有機化合物の吸着にも利用できる。本発明の吸着剤を水中で用いる場合には、被吸着物の濃度は好ましくは少なくとも1ミリモル/dm、より好ましくは少なくとも2ミリモル/dm、更に好ましくは少なくとも6ミリモル/dmである。
【0011】
【発明の効果】本発明は、層状ニオブ酸化物に中性有機分子の吸着能を付与させたもので、層状ニオブ酸化物が光触媒活性を有することから、有害有機化合物の吸着除去と光分解による無害化とを行う水及び大気浄化材料として有用である。また、層間に挿入する有機分子の種類を変えることで吸着特性(高い吸着力を示す濃度領域や有害有機化合物の種類)を変化させられる特徴を利用して、浄化対象に応じて最適な吸着剤を調製することができ、特定の有機化合物を選択的に除去することも可能である。
【0012】
【実施例】以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1炭酸カリウムと酸化ニオブ(V)を2.1:3.0のモル比で混合粉砕してアルミナ匣鉢に入れ、電気炉中で1100℃にて10時間焼成し、層状ニオブ酸化物K4Nb6O17を得た。この酸化物を、臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウムの水-エタノール混合溶液に、K4Nb6O17に対してジオクタデシルジメチルアンモニウムの量が過剰となる仕込み比で浸漬させ、60℃で2週間加熱した。溶液交換を行ってさらに60℃で2週間加熱した後、上澄み液を除去し、洗液に臭化物イオンが確認されなくなるまで水で洗浄し、空気中で乾燥させた。これを吸着剤1とする。得られた吸着剤1による水中のフェノール及び2,4-ジクロロフェノールの吸着を、バッチ反応により行った。吸着剤0.05 gをフェノール又は2,4-ジクロロフェノール水溶液40 cm3に加え、ガラス容器中に密閉して、往復式振盪恒温槽に浸漬させ30℃で24時間反応させた。溶液中のフェノール又は2,4-ジクロロフェノール濃度を紫外可視分光光度計を用いて求め、反応前後の濃度差から吸着量を求めた。その結果本吸着剤は、フェノールに対して溶液初期濃度0.19 mmol/dm3のとき0.003 mmol/g、0.40 mmol/dm3のとき0.004 mmol/g、0.80 mmol/dm3のとき0.007mmol/g、1.00 mmol/dm3のとき0.008 mmol/g、5.98 mmol/dm3のとき0.046 mmol/g、9.98 mmol/dm3のとき0.098 mmol/gの吸着量を、2,4-ジクロロフェノールに対して溶液初期濃度0.20 mmol/dm3のとき0.01 mmol/g、0.59 mmol/dm3のとき0.06 mmol/g、0.99 mmol/dm3のとき0.21 mmol/g、1.98 mmol/dm3のとき0.69 mmol/g、5.97 mmol/dm3のとき1.31 mmol/g、9.89 mmol/dm3のとき1.74 mmol/gの吸着量を、それぞれ示した。
【0013】実施例2実施例1と同様の方法で調製した層状ニオブ酸化物を、塩化ヘキシルアンモニウムの水溶液に、K4Nb6O17に対してヘキシルアンモニウムの量が過剰となる仕込み比で浸漬させ、60℃で2週間加熱した。その後上澄み液を除去し、洗液に塩化物イオンが確認されなくなるまで水で洗浄し、空気中で乾燥させた。この物質を塩化ドデシルトリメチルアンモニウムの水溶液に、K4Nb6O17に対してドデシルトリメチルアンモニウムの量が過剰となる仕込み比で浸漬させ、60℃で2週間加熱した。その後上澄み液を除去し、洗液に塩化物イオンが確認されなくなるまで水で洗浄し、空気中で乾燥させた。これを吸着剤2とする。得られた吸着剤2による水中のフェノール及び2,4-ジクロロフェノールの吸着を、バッチ反応により行った。吸着剤0.05 gをフェノール又は2,4-ジクロロフェノール水溶液40 cm3に加え、ガラス容器中に密閉して、往復式振盪恒温槽に浸漬させ30℃で24時間反応させた。溶液中のフェノール又は2,4-ジクロロフェノール濃度を紫外可視分光光度計を用いて求め、反応前後の濃度差から吸着量を求めた。その結果本吸着剤は、フェノールに対して溶液初期濃度0.20 mmol/dm3のとき0.026 mmol/g、0.40 mmol/dm3のとき0.063 mmol/g、0.80 mmol/dm3のとき0.124 mmol/g、1.00 mmol/dm3のとき0.157 mmol/g、6.01 mmol/dm3のとき0.534 mmol/g、9.989 mmol/dm3のとき0.676 mmol/gの吸着量を、2,4-ジクロロフェノールに対して溶液初期濃度0.20 mmol/dm3のとき0.11 mmol/g、0.59 mmol/dm3のとき0.38mmol/g、0.99 mmol/dm3のとき0.60 mmol/g、1.98 mmol/dm3のとき0.77 mmol/g、5.97 mmol/dm3のとき1.07 mmol/g、9.89 mmol/dm3のとき1.20 mmol/gの吸着量を、それぞれ示した。
【0014】実施例3炭酸カリウム、二酸化チタン、酸化ニオブ(V)を1.0:2.0:1.0のモル比で混合粉砕して白金ルツボに入れ、電気炉中で1100℃にて10時間焼成し、層状ニオブ酸化物KTiNbO5を得た。これを2 mol/dm3の塩酸で室温で72時間(24時間毎に溶液交換した)処理し、上澄み液を除去後、洗液に塩化物イオンが確認されなくなるまで水で洗浄し、空気中で乾燥させ、層状ニオブ酸化物HTiNbO5に変換させた。これを塩化ベンジルアンモニウムの水溶液に、HTiNbO5に対してベンジルアンモニウムの量が過剰となる仕込み比で浸漬させ、澄み液を除去後、洗液に塩化物イオンが確認されなくなるまでアセトンで洗浄し、空気中で乾燥させた。これを吸着剤3とする。得られた吸着剤3による水中の2,4-ジクロロフェノールの吸着を、バッチ反応により行った。吸着剤0.05 gを2,4-ジクロロフェノール水溶液40 cm3に加え、ガラス容器中に密閉して、往復式振盪恒温槽に浸漬させ30℃で24時間反応させた。溶液中の2,4-ジクロロフェノール濃度を紫外可視分光光度計を用いて求め、反応前後の濃度差から吸着量を求めた。その結果本吸着剤は、溶液初期濃度0.79 mmol/dm3のとき0.05 mmol/g、1.49 mmol/dm3のとき0.33 mmol/g、2.03 mmol/dm3のとき0.55 mmol/g、3.96 mmol/dm3のとき0.78 mmol/g、7.89 mmol/dm3のとき0.89mmol/g、の吸着量を示した。
【0015】比較例1実施例1の方法で調製した層状ニオブ酸化物を、塩化ドデシルトリメチルアンモニウムの水溶液に、K4Nb6O17に対してドデシルトリメチルアンモニウムの量が過剰となる仕込み比で浸漬させ、60℃で2週間加熱した。その後上澄み液を除去し、洗液に塩化物イオンが確認されなくなるまで水で洗浄し、空気中で乾燥させた。これを吸着剤4とする。得られた吸着剤4による水中のフェノール及び2,4-ジクロロフェノールの吸着を、バッチ反応により行った。吸着剤0.05 gをフェノール又は2,4-ジクロロフェノール水溶液40 cm3に加え、ガラス容器中に密閉して、往復式振盪恒温槽に浸漬させ30℃で24時間反応させた。溶液中のフェノール又は2,4-ジクロロフェノール濃度を紫外可視分光光度計を用いて求め、反応前後の濃度差から吸着量を求めた。その結果本吸着剤は、フェノールに対して溶液初期濃度0.19 mmol/dm3のとき0.012 mmol/g、0.38 mmol/dm3のとき0.024 mmol/g、0.78 mmol/dm3のとき0.053 mmol/g、0.97 mmol/dm3のとき0.068 mmol/g、1.99 mmol/dm3のとき0.28 mmol/g、5.96 mmol/dm3のとき0.51 mmol/g、9.92 mmol/dm3のとき0.73 mmol/gの吸着量を、2,4-ジクロロフェノールに対して溶液初期濃度0.20 mmol/dm3のとき0.038 mmol/g、0.57 mmol/dm3のとき0.20 mmol/g、0.99 mmol/dm3のとき0.38 mmol/g、2.03 mmol/dm3のとき0.54 mmol/g、6.07 mmol/dm3のとき0.80 mmol/g、10.1 mmol/dm3のとき0.94 mmol/gの吸着量を、それぞれ示した。
【0016】比較例2実施例1の方法で調製した層状ニオブ酸化物を、塩化ドデシルアンモニウムの水溶液に、K4Nb6O17に対してドデシルアンモニウムの量が過剰となる仕込み比で浸漬させ、60℃で2週間加熱した。その後上澄み液を除去し、洗液に塩化物イオンが確認されなくなるまで水で洗浄し、空気中で乾燥させた。これを吸着剤5とする。得られた吸着剤5による水中のフェノール及び2,4-ジクロロフェノールの吸着を、バッチ反応により行った。吸着剤0.05 gをフェノール又は2,4-ジクロロフェノール水溶液40 cm3に加え、ガラス容器中に密閉して、往復式振盪恒温槽に浸漬させ30℃で24時間反応させた。溶液中のフェノール又は2,4-ジクロロフェノール濃度を紫外可視分光光度計を用いて求め、反応前後の濃度差から吸着量を求めた。その結果本吸着剤は、フェノールに対して溶液初期濃度0.20 mmol/dm3のとき0.020 mmol/g、0.40 mmol/dm3のとき0.040 mmol/g、0.08 mmol/dm3のとき0.080 mmol/g、1.00 mmol/dm3のとき0.10 mmol/g、1.99 mmol/dm3のとき0.17 mmol/g、5.96 mmol/dm3のとき0.30 mmol/g、9.92 mmol/dm3のとき0.38 mmol/gの吸着量を、2,4-ジクロロフェノールに対して溶液初期濃度0.20 mmol/dm3のとき0.14 mmol/g、0.57 mmol/dm3のとき0.36 mmol/g、0.99 mmol/dm3のとき0.46 mmol/g、2.03mmol/dm3のとき0.49 mmol/g、6.07 mmol/dm3のとき0.58 mmol/g、10.1 mmol/dm3のとき0.57 mmol/gの吸着量を、それぞれ示した。
【0017】比較例3実施例1の方法で調製した層状ニオブ酸化物を、塩化オクタデシルアンモニウムの水溶液に、K4Nb6O17に対してオクタデシルアンモニウムの量が過剰となる仕込み比で浸漬させ、60℃で2週間加熱した。その後上澄み液を除去し、洗液に塩化物イオンが確認されなくなるまで水で洗浄し、空気中で乾燥させた。これを吸着剤6とする。得られた吸着剤6による水中のフェノール及び2,4-ジクロロフェノールの吸着を、バッチ反応により行った。吸着剤0.05 gをフェノール又は2,4-ジクロロフェノール水溶液40 cm3に加え、ガラス容器中に密閉して、往復式振盪恒温槽に浸漬させ30℃で24時間反応させた。溶液中のフェノール又は2,4-ジクロロフェノール濃度を紫外可視分光光度計を用いて求め、反応前後の濃度差から吸着量を求めた。その結果本吸着剤は、フェノールに対して溶液初期濃度0.20 mmol/dm3のとき0.000 mmol/g、0.40 mmol/dm3のとき0.000 mmol/g、0.60 mmol/dm3のとき0.000 mmol/g、1.00 mmol/dm3のとき0.000 mmol/g、2.00 mmol/dm3のとき0.000 mmol/g、6.01 mmol/dm3のとき0.008 mmol/g、9.99 mmol/dm3のとき0.001 mmol/gの吸着量を、2,4-ジクロロフェノールに対して溶液初期濃度0.20 mmol/dm3のとき0.000mmol/g、0.59 mmol/dm3のとき0.000 mmol/g、0.99 mmol/dm3のとき0.057 mmol/g、1.98 mmol/dm3のとき0.028 mmol/g、5.97 mmol/dm3のとき0.15 mmol/g、9.90mmol/dm3のとき0.31 mmol/gの吸着量を、それぞれ示した。
【0018】上記実施例1〜2及び比較例1〜3における各吸着剤による2,4−ジクロロフェノールの吸着量を図1に示す。以上の結果から、実施例1の吸着剤1が他の吸着剤(実施例2の吸着剤2、比較例1〜3の吸着剤4〜6)に比べて高い吸着量を示していることがわかる。即ち、炭化水素アンモニウムが4級アンモニウムであって、その炭化水素の中の2つが長鎖アルキル基であり、他の2つが短鎖のアルキル基であるような吸着剤が最も吸着性能がよいことが分かる。
【0019】更に、実施例2の吸着剤2と比較例1の吸着剤3とを比べると、吸着剤を製造する場合に、まず比較的短鎖のアルキル基及び/又はアルキル基数が比較的少ないアルキルアンモニウムをニオブ酸化物と一旦反応させ、及びこの生成物に所望の比較的大きな炭化水素アンモニウムとを水溶液中で反応させる2段階から成る製法を採用することにより(実施例2)、この所望の比較的大きな炭化水素アンモニウムとニオブ酸化物とを1段階で反応させる方法(比較例1)により製造した吸着剤よりも、吸着量の大きい吸着剤を製造することができることが分かる。その理由の詳細は記さないが、吸着剤2では、すべての層間にドデシルトリメチルアンモニウムがインターカレートしており、吸着剤4では、一層おきにドデシルトリメチルアンモニウムがインターカレートしているものと考えられる。この場合、ニオブ酸化物K4Nb6O17とドデシルトリメチルアンモニウムとを直接反応させると一層おきにしかインターカレートしないが、予めK4Nb6O17にヘキシルアンモニウム(すべての層間にインターカレートされる)をインターカレートさせた後、ヘキシルアンモニウムとドデシルトリメチルアンモニウムとの交換を行わせることにより、すべての層間にドデシルトリメチルアンモニウムが導入されたものと考えられる。
【出願人】 【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
【出願日】 平成14年1月15日(2002.1.15)
【代理人】 【識別番号】100087631
【弁理士】
【氏名又は名称】滝田 清暉 (外1名)
【公開番号】 特開2003−205236(P2003−205236A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−6338(P2002−6338)