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【発明の名称】 イオン交換体の再生方法及び再生装置
【発明者】 【氏名】斉藤 孝行
【住所又は居所】神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社荏原総合研究所内

【氏名】鈴木 作
【住所又は居所】神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社荏原総合研究所内

【氏名】槙田 裕司
【住所又は居所】神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社荏原総合研究所内

【氏名】山田 かおる
【住所又は居所】神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社荏原総合研究所内

【氏名】白樫 充彦
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【氏名】當間 康
【住所又は居所】神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社荏原総合研究所内

【氏名】小畠 厳貴
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【氏名】粂川 正行
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【氏名】安田 穂積
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【要約】 【課題】イオン交換体を容易かつ迅速に再生することができ、しかも再生後のイオン交換体の洗浄や廃液処理の負荷を極めて小さくできるようにする。

【解決手段】電解加工に使用するイオン交換体を再生するにあたり、再生に付する被処理イオン交換体30aを一対の電極32,34間に配置し、該電極32,34間に液体を供給しつつ、電圧を印加して被処理イオン交換体30aを再生する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電解加工に使用するイオン交換体を再生するにあたり、再生に付する被処理イオン交換体を一対の電極間に配置し、該電極間に液体を供給しつつ、電圧を印加して前記被処理イオン交換体を再生することを特徴とするイオン交換体の再生方法。
【請求項2】 前記流体は、超純水、純水、電気伝導度が500μS/cm以下の液体または電解液であることを特徴とする請求項1記載のイオン交換体の再生方法。
【請求項3】 前記被処理イオン交換体と前記電極の間に、再生用イオン交換体を更に有することを特徴とする請求項1又は2記載のイオン交換体の再生方法。
【請求項4】 前記被処理イオン交換体と前記再生用イオン交換体は、同じ極性のイオン交換基を有することを特徴とする請求項3記載のイオン交換体の再生方法。
【請求項5】 前記被処理イオン交換体及び再生用イオン交換体が陽イオン交換体であるときは、前記被処理イオン交換体側に配置する電極は陽極とし、前記被処理イオン交換体及び再生陽イオン交換体が陰イオン交換体であるときは、前記被処理イオン交換体側に配置する電極は陰極とすることを特徴とする請求項4記載のイオン交換体の再生方法。
【請求項6】 電極板を被覆して電解加工するのに使用するイオン交換体を再生するイオン交換体の再生装置であって、再生電極を有する再生部と、再生に付する被処理イオン交換体を前記電極板と前記再生電極との間に位置させて前記電極板と前記再生電極との間に電圧を印加する再生電源と、前記電極板と前記再生電極との間に液体を供給する液体供給部を有することを特徴とするイオン交換体の再生装置。
【請求項7】 前記流体は、超純水、純水、電気伝導度が500μS/cm以下の液体または電解液であることを特徴とする請求項6記載のイオン交換体の再生装置。
【請求項8】 前記被処理イオン交換体と前記再生電極の間に、再生用イオン交換体を更に有することを特徴とする請求項6又は7記載のイオン交換体の再生装置。
【請求項9】 前記再生用イオン交換体は、前記被処理イオン交換体と同じ極性のイオン交換基を有することを特徴とする請求項8記載のイオン交換体の再生装置。
【請求項10】 前記被処理イオン交換体及び再生用イオン交換体が陽イオン交換体であるときは、前記被処理イオン交換体側に配置する電極は陽極とし、前記被処理イオン交換体及び再生用イオン交換体が陰イオン交換体であるときは、前記被処理イオン交換体側に配置する電極は陰極とすることを特徴とする請求項9記載のイオン交換体の再生装置。
【請求項11】 前記被処理イオン交換体または前記再生用イオン交換体の少なくとも一方は、複数枚のイオン交換材料を積層して構成されていることを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載のイオン交換体の再生装置。
【請求項12】 前記電極板と前記再生電極との間に電圧を印加したときの電解電流及び電解時間、または電気量の少なくとも一方をモニタするモニタ部を有することを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載のイオン交換体の再生装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン交換体の再生方法及び再生装置に関し、特に半導体ウェハ等の基板表面の導電性材料を加工したり、基板表面に付着した不純物を除去したりする電解加工に使用するイオン交換体に取り込まれた金属またはその他のイオンを電気化学的に除去してイオン交換体を再生するようにしたイオン交換体の再生方法及びその再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体ウェハ等の基板上に回路を形成するための配線材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金に代えて、電気抵抗率が低くエレクトロマイグレーション耐性が高い銅(Cu)を用いる動きが顕著になっている。この種の銅配線は、基板の表面に設けた微細凹みの内部に銅を埋込むことによって一般に形成される。この銅配線を形成する方法としては、CVD、スパッタリング及びめっきといった手法があるが、いずれにしても、基板のほぼ全表面に銅を成膜して、化学機械的研磨(CMP)により不要の銅を除去するようにしている。
【0003】図12は、この種の銅配線基板Wの一製造例を工程順に示すもので、先ず、図12(a)に示すように、半導体素子を形成した半導体基材1上の導電層1aの上にSiOからなる酸化膜やLow−K材膜等の絶縁膜2を堆積し、この絶縁膜2の内部に、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホール3と配線用の溝4を形成し、その上にTaN等からなるバリア膜5、更にその上に電解めっきの給電層としてシード層7を形成する。
【0004】そして、図12(b)に示すように、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、コンタクトホール3及び溝4内に銅を充填するとともに、絶縁膜2上に銅膜6を堆積する。その後、化学機械的研磨(CMP)により、絶縁膜2上の銅膜6を除去して、コンタクトホール3及び配線用の溝4に充填させた銅膜6の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図12(c)に示すように銅膜6からなる配線が形成される。
【0005】また、最近ではあらゆる機器の構成要素において微細化かつ高精度化が進み、サブミクロン領域での物作りが一般的となるにつれて、加工法自体が材料の特性に与える影響は益々大きくなっている。このような状況下においては、従来の機械加工のように、工具が被加工物を物理的に破壊しながら除去していく加工法では、加工によって被加工物に多くの欠陥を生み出してしまうため、被加工物の特性が劣化する。従って、いかに材料の特性を損なうことなく加工を行うことができるかが問題となってくる。
【0006】この問題を解決する手段として開発された特殊加工法に、化学研磨や電解加工、電解研磨がある。これらの加工法は、従来の物理的な加工とは対照的に、化学的溶解反応を起こすことによって、除去加工等を行うものである。従って、塑性変形による加工変質層や転位等の欠陥は発生せず、前述の材料の特性を損なわずに加工を行うといった課題が達成される。
【0007】電解加工として、イオン交換体を使用したものが開発されている。これは、被加工物の表面に、加工電極に取付けたイオン交換体と、給電電極に取付けたイオン交換体とを接触乃至近接させ、加工電極と給電電極との間に電源を介して電圧を印加しつつ、加工電極及び給電電極と被加工物との間に液体供給部から超純水等の液体を供給して、被加工物の表面層の除去加工を行うようにしたものである。
【0008】ここで、例えばイオン交換体としてカチオン交換基(陽イオン交換基)を付与したカチオン交換体を使用して銅の電解加工を行うと、銅が陽イオン交換基に捕らえられる。このように銅による陽イオン交換基の消費が進むと、継続的な加工が不能になる。また、イオン交換体としてアニオン交換基(陰イオン交換基)を付与したアニオン交換体を使用して銅の電解加工を行うと、イオン交換体(アニオン交換体)の表面に銅の酸化物の微粒子が生成されて付着し、次の処理基板の表面を汚染するおそれがある。
【0009】そこで、このような場合に、イオン交換体を再生することで、これらの弊害を除去することが考えられる。イオン交換体の再生とは、イオン交換体に捕らえられたイオンを、例えばカチオン交換体の場合は水素イオンに、アニオン交換体の場合は水酸化物イオンにそれぞれ交換することである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】イオン交換体を使用したイオン交換法は、精製、分離、濃縮など様々な目的に利用されており、イオン交換体の再生は、カチオン交換体の場合は酸を、アニオン交換体の場合はアルカリを用い、これらの液体にイオン交換体を浸漬させることで一般に行われる。ここで、例えば、ナトリウムイオンのように、水素イオンとイオン選択係数が近いイオンを捕らえた陽イオン交換体にあっては、酸に浸漬させることによって非常に短時間でイオン交換体を再生することができる。しかし、イオン選択係数の大きいイオンを捕らえたイオン交換体を酸やアルカリを使用して再生すると、この再生速度が非常に遅い。また再生後のイオン交換体には、薬液が高濃度に残留し、このため、イオン交換体の洗浄が必要となり、しかも再生に用いた薬液の処理も必要となる。
【0011】本発明は上記に鑑みてなされたもので、イオン交換体を容易かつ迅速に再生することができ、しかも再生後のイオン交換体の洗浄や廃液処理の負荷を極めて小さくできるようにしたイオン交換体の再生方法及び再生装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、電解加工に使用するイオン交換体を再生するにあたり、再生に付する被処理イオン交換体を一対の電極間に配置し、該電極間に液体を供給しつつ、電圧を印加して前記被処理イオン交換体を再生することを特徴とするイオン交換体の再生方法である。これにより、イオン交換体を固体電解質としたイオン交換反応により、イオン交換体内に取り込んだイオンを一方向に移動させて一方の電極近傍に集め、電極間に供給される液体の流れで、この電極近傍に集めたイオンをイオン交換体から除去してイオン交換体を再生することができる。
【0013】図1は、カチオン交換体を再生するときの本発明の加工原理を示す。カチオン交換体にあっては、カチオン交換体の内部をカチオン(陽イオン)のみが電気的に移動可能である。そこで、図1に示すように、再生に付する被処理イオン交換体としてのカチオン交換体30aを陽極32と陰極34からなる一対の電極で挟み、この陽極32と陰極34との間に液体供給部36から液体を供給しながら、再生電源38から電圧を印加する。すると、カチオン交換体(被処理イオン交換体)30aの内部に加工中に取り込まれた被加工物の溶解イオンMや、加工電極の表面に堆積した被加工物由来の固形生成物がイオンMとなって陽極32側から陰極34側に向かって移動し、この陰極34側に集められたイオンMは、陰極34にめっきされて析出するか、一部は液体の流れでカチオン交換体(被処理イオン交換体)30aから除去される。
【0014】なお、アニオン交換体を再生する時には、アニオン交換体の内部をアニオン(陰イオン)のみが電気的に移動可能であり、上記と同じ操作により、アニオン交換体のアニオンを陽極側に集めて除去することができる。
【0015】請求項2に記載の発明は、前記流体は、超純水、純水、電気伝導度が500μS/cm以下の液体または電解液であることを特徴とする請求項1記載のイオン交換体の再生方法である。ここで、超純水は、例えば電気伝導度(1atom,25℃換算値、以下同じ)が0.1μS/cm以下の水で、純水は、例えば電気伝導度が10μS/cm以下の水ある。このように、液体として、純水、より好ましくは、超純水を使用してイオン交換体を再生することで、イオン交換体に不純物を残さない清浄な再生を行うことができ、これによって、イオン交換体を再生した後の洗浄や廃液の処理を簡素化することができる。
【0016】また、例えば、純水または超純水に界面活性剤等の添加剤を添加して、電気伝導度が500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm、より好ましくは、0.1μS/cm以下にした液体を使用し、液体中に、イオンの局部的な集中を防ぐ役割を果たす添加剤を存在させることで、イオンの局所的な集中を抑えることができる。電解液としては、例えば、NaClやNaSO等の中性塩、HClやHSO等の酸、更には、アンモニア等のアルカリが使用でき、被加工物の特性によって、適宜選択して使用すればよい。
【0017】請求項3に記載の発明は、前記被処理イオン交換体と前記電極の間に、再生用イオン交換体を更に有することを特徴とする請求項1又は2記載のイオン交換体の再生方法である。これにより、再生に付する被処理イオン交換体の内部を一方向に流れたイオンが電極に付着し、この電極に付着した固体が再生後のイオン交換体を汚染してしまうことを防止することができる。
【0018】ここで、前記流体を、超純水、純水、電気伝導度が500μS/cm以下の液体または電解液としてもよい。
【0019】請求項4に記載の発明は、前記被処理イオン交換体と前記再生用イオン交換体は、同じ極性のイオン交換基を有することを特徴とする請求項3記載のイオン交換体の再生方法である。このように、被処理イオン交換体と再生用イオン交換体が同じ極性のイオン交換基を有するようにすることで、イオンが一方のイオン交換体から他方のイオン交換体に移動するようにすることができる。
【0020】請求項5に記載の発明は、前記被処理イオン交換体及び再生用イオン交換体が陽イオン交換体であるときは、前記被処理イオン交換体側に配置する電極は陽極とし、前記被処理イオン交換体及び再生陽イオン交換体が陰イオン交換体であるときは、前記被処理イオン交換体側に配置する電極は陰極とすることを特徴とする請求項4記載のイオン交換体の再生方法である。例えば、イオン交換基としてカチオン交換基を使用したカチオン交換体を再生する時には、このカチオン交換体(被処理イオン交換体)が一対の電極の陽極側に、再生用イオン交換体が陰極側に位置するようにする。つまり、図2に示すように、再生に付する被処理イオン交換体としてのカチオン交換体30aと再生用イオン交換体40を、陽極32と陰極34からなる一対の電極で該陽極32がカチオン交換体(被処理イオン交換体)30a側に位置するようにして挟み、この陽極32と陰極34との間に液体供給部36から液体を供給しながら、再生電源38から電圧を印加する。すると、カチオン交換体(被処理イオン交換体)30aのイオンMは、再生用イオン交換体40側に移動して、カチオン交換体(被処理イオン交換体)30aが再生される。
【0021】一方、イオン交換基としてアニオン交換基を使用したアニオン交換体を再生する時には、このアニオン交換体(被処理イオン交換体)が一対の電極の陰極側に、再生用イオン交換体が陽極側に位置するようにする。つまり、図3に示すように、再生に付する被処理イオン交換体としてのアニオン交換体30bと再生用イオン交換体40を、陽極32と陰極34からなる一対の電極で該陰極34がアニオン交換体(被処理イオン交換体)30b側に位置するようにして挟み、この陽極32と陰極34との間に液体供給部36から液体を供給しながら、再生電源38から電圧を印加する。すると、アニオン交換体(被処理イオン交換体)30bのイオンXは、再生用イオン交換体40側に移動して、アニオン交換体(被処理イオン交換体)30bが再生される。
【0022】請求項6に記載の発明は、電極板を被覆して電解加工するのに使用するイオン交換体を再生するイオン交換体の再生装置であって、再生電極を有する再生部と、再生に付する被処理イオン交換体を前記電極板と前記再生電極との間に位置させて前記電極板と前記再生電極との間に電圧を印加する再生電源と、前記電極板と前記再生電極との間に液体を供給する液体供給部とを有することを特徴とするイオン交換体の再生装置である。これにより、再生に付する被処理イオン交換体を電極板と再生電極との間に位置させ、電極板と再生電極との間に液体を供給しながら、電圧を印加することで、被処理イオン交換体を再生することができる。
【0023】請求項7に記載の発明は、前記流体は、超純水、純水、電気伝導度が500μS/cm以下の液体または電解液であることを特徴とする請求項6記載のイオン交換体の再生装置である。
【0024】請求項8に記載の発明は、前記被処理イオン交換体と前記再生電極の間に、再生用イオン交換体を更に有することを特徴とする請求項6又は7記載のイオン交換体の再生装置である。これにより、再生に付する被処理イオン交換体と再生用イオン交換体とを対面させ、電極板と再生電極との間に液体を供給しながら、電圧を印加することで、被処理イオン交換体を再生することができる。
【0025】ここで、前記流体を、超純水、純水、電気伝導度が500μS/cm以下の液体または電解液としてもよい。請求項9に記載の発明は、前記再生用イオン交換体は、前記被処理イオン交換体と同じ極性のイオン交換基を有することを特徴とする請求項9または10記載のイオン交換体の再生装置である。請求項10に記載の発明は、前記被処理イオン交換体及び再生用イオン交換体が陽イオン交換体であるときは、前記被処理イオン交換体側に配置する電極は陽極とし、前記被処理イオン交換体及び再生用イオン交換体が陰イオン交換体であるときは、前記被処理イオン交換体側に配置する電極は陰極とすることを特徴とする請求項9記載のイオン交換体の再生装置である。
【0026】請求項11に記載の発明は、前記被処理イオン交換体または前記再生用イオン交換体の少なくとも一方は、複数枚のイオン交換材料を積層して構成されていることを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載のイオン交換体の再生装置である。これにより、被処理イオン交換体を複数枚のイオン交換材料を積層して構成した場合には、この複数枚のイオン交換材料(被処理イオン交換体)を同時に再生することができる。また、再生用イオン交換体を複数枚のイオン交換材料を積層して構成した場合には、再生用イオン交換体の実質的なイオン交換容量を増大させて、より多くのイオン交換体(被処理イオン交換体)を連続して再生することができる。
【0027】請求項12に記載の発明は、前記電極板と前記再生電極との間に電圧を印加したときの電解電流及び電解時間、または電気量の少なくとも一方をモニタするモニタ部を有することを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載のイオン交換体の再生装置である。イオン交換体の再生量は、電解電流と電解時間の積、つまり電気量で決まる。従って、電解電流及び電解時間、または電気量の少なくとも一方をモニタ部でモニタすることで、再生量をコントロールして、再生の終点を検知することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下の例では、被加工物として基板を使用し、基板の表面に堆積させた銅を除去(研磨)するようにした電解加工装置(電解研磨装置)に適用した例を示しているが、基板以外にも適用でき、更には、他の電解加工にも適用できることは勿論である。
【0029】図4乃至図7は、本発明の第1の実施の形態のイオン交換体の再生装置を備えた電解加工装置48aを示す。この電解加工装置48aは、水平方向に揺動自在な揺動アーム50の自由端に垂設されて基板Wを下向き(フェイスダウン)に吸着保持する基板保持部52と、円板状で絶縁体からなり、例えば扇状の加工電極54と給電電極56とを該加工電極54と給電電極56の表面(上面)を露出させて交互に埋設し、これらの加工電極54と給電電極56の表面を膜状のイオン交換体58で一体に覆った電極部60と、水平方向に揺動自在な揺動アーム62の自由端に垂設されてイオン交換体58の再生を行う再生部64から主に構成されている。
【0030】ここに、この例では、加工電極54と給電電極56とを有する電極部60として、基板保持部52で保持する基板Wの直径よりやや大きな直径を有するものを使用し、電極部60をスクロール運転させて、基板Wの表面全域を同時に電解加工するようにしている。
【0031】イオン交換体58は、例えば、アニオン交換能またはカチオン交換能を付与した不織布で構成されている。カチオン交換体は、好ましくは強酸性カチオン交換基(スルホン酸基)を担持したものであるが、弱酸性カチオン交換基(カルボキシル基)を担持したものでもよい。また、アニオン交換体は、好ましくは強塩基性アニオン交換基(4級アンモニウム基)を担持したものであるが、弱塩基性アニオン交換基(3級以下のアミノ基)を担持したものでもよい。
【0032】ここで、例えば強塩基アニオン交換能を付与した不織布は、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行う所謂放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖をアミノ化して第4級アンモニウム基を導入して作製される。導入されるイオン交換基の容量は、導入するグラフト鎖の量により決定される。グラフト重合を行うためには、例えばアクリル酸、スチレン、メタクリル酸グリシジル、更にはスチレンスルホン酸ナトリウム、クロロメチルスチレン等のモノマーを用い、これらのモノマー濃度、反応温度及び反応時間を制御することで、重合するグラフト量を制御することができる。従って、グラフト重合前の素材の重量に対し、グラフト重合後の重量の比をグラフト率と呼ぶが、このグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
【0033】強酸性カチオン交換能を付与した不織布は、前記強塩基性アニオン交換能を付与する方法と同様に、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行う所謂放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖を、例えば加熱した硫酸で処理してスルホン酸基を導入して作製される。また、加熱したリン酸で処理すればリン酸基が導入できる。ここでグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
【0034】なお、イオン交換体58の素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、またはその他有機高分子が挙げられる。また素材形態としては、不織布の他に、織布、シート、多孔質材、短繊維、ネット等が挙げられる。
【0035】ここで、ポリエチレンやポリプロピレンは、放射線(γ線と電子線)を先に素材に照射する(前照射)ことで、素材にラジカルを発生させ、次にモノマーと反応させてグラフト重合することができる。これにより、均一性が高く、不純物が少ないグラフト鎖ができる。一方、その他の有機高分子は、モノマーを含浸させ、そこに放射線(γ線、電子線、紫外線)を照射(同時照射)することで、ラジカル重合することができる。この場合、均一性に欠けるが、ほとんどの素材に適用できる。
【0036】このように、イオン交換体58をアニオン交換能またはカチオン交換能を付与した不織布で構成することで、通水性があるために、純水または超純水や電解液等の液体が不織布の内部を自由に移動して、液相中のイオンとイオン交換体のイオン交換基の間で容易にイオン交換反応が行える。
【0037】ここで、イオン交換体58をアニオン交換能またはカチオン交換能の一方を付与したもので構成すると、電解加工できる被加工材料が制限されるばかりでなく、極性により不純物が生成しやすくなる。そこで、イオン交換体58を、アニオン交換能を有するアニオン交換体とカチオン交換能を有するカチオン交換体とを同心状に配置して一体構成としてもよい。また、アニオン交換能を有するアニオン交換体とカチオン交換能を有するカチオン交換体とを重ね合わせたり、扇状に形成して、交互に配置したりしてもよい。更に、イオン交換体58自体にアニオン交換能とカチオン交換能の双方の交換基を付与するようにしてもよい。このようなイオン交換体としては、陰イオン交換基と陽イオン交換基を任意に分布させて存在させた両性イオン交換体、陽イオン交換基と陰イオン交換基を層状に存在させたバイポーラーイオン交換体、更には陽イオン交換基が存在する部分と陰イオン交換基が存在する部分とを厚さ方向に並列に存在させたモザイクイオン交換体が挙げられる。なお、アニオン交換能またはカチオン交換能の一方を付与したイオン交換体58を、被加工材料に合わせて使い分けてもよいことは勿論である。
【0038】基板保持部52を揺動させる揺動アーム50は、上下動用モータ66の駆動に伴ってボールねじ68を介して上下動し、揺動用モータ70の駆動に伴って回転する揺動軸72の上端に連結されている。また、基板保持部52は、揺動アーム50の自由端に取付けた自転用モータ74に接続され、この自転用モータ74の駆動に伴って回転(自転)するようになっている。
【0039】電極部60は、中空モータ76に直結され、この中空モータ76の駆動に伴って、スクロール運転(並進回転運動)するようになっている。電極部60の中央部には、純水、より好ましくは超純水を供給する純水供給部としての貫通孔60aが設けられている。そして、この貫通孔60aは、スクロール運転を行わせるために中空モータ76の駆動軸に直結したクランク軸78に設けた貫通孔78aを介して、中空モータ76の中空部の内部を延びる純水供給管80に接続されている。純水または超純水は、この貫通孔60aを通して供給された後、吸水性を有するイオン交換体58を通じて加工面全域に供給される。
【0040】ここで、純水は、例えば電気伝導度が10μS/cm以下の水であり、超純水は、例えば電気伝導度が0.1μS/cm以下の水である。なお、純水の代わりに電気伝導度500μS/cm以下の液体や、任意の電解液を使用してもよい。加工中に液体を供給することにより、加工生成物、気体溶解等による加工不安定性を除去でき、均一な、再現性のよい加工が得られる。
【0041】この例では、電極部60の上面に複数の扇状の電極板82を円周方向に沿って埋設し、この電極板82に、コントロールボックス84を介して、電源86の陰極と陽極とを交互に接続することで、電源86の陰極と接続した電極板82が加工電極54となり、陽極と接続した電極板82が給電電極56となるようにしている。これは、例えば銅にあっては、陰極側に電解加工作用が生じるからであり、被加工材料によっては、陰極側が給電電極となり、陽極側が加工電極となるようにしてもよい。つまり、被加工材料が、例えば銅、モリブデンまたは鉄にあっては、陰極側に電解加工作用が生じるため、電源86の陰極と接続した電極板82が加工電極54となり、陽極と接続した電極板82が給電電極56となるようにする。一方、例えばアルミニウムやシリコンにあっては、陽極側で電解加工作用が生じるため、電極の陽極に接続した電極を加工電極となし、陰極側を給電電極とすることができる。
【0042】このように、加工電極54と給電電極56とを電極部60の円周方向に沿って分割して交互に設けることで、基板の導電体膜(被加工物)等への固定給電部を不要となして、基板の全面の加工が可能となる。更に、パルス状もしくは周期的に(交流)に正負を変化させることで、電解生成物を溶解させ、加工の繰返しの多重性によって平坦度を向上させることができる。
【0043】ここで、加工電極54及び給電電極56は、電解反応により、電極の酸化または溶出が一般に問題となる。このため、この給電電極56の素材として、電極に広く使用されている金属や金属化合物よりも、炭素、比較的不活性な貴金属、導電性酸化物または導電性セラミックスを使用することが好ましい。この貴金属を素材とした電極としては、例えば、下地の電極素材にチタンを用い、その表面にめっきやコーティングで白金またはイリジウムを付着させ、高温で焼結して安定化と強度を保つ処理を行ったものが挙げられる。セラミックス製品は、一般に無機物質を原料として熱処理によって得られ、各種の非金属・金属の酸化物・炭化物・窒化物などを原料として、様々な特性を持つ製品が作られている。この中に導電性を持つセラミックスもある。電極が酸化すると電極の電気抵抗値が増加し、印加電圧の上昇を招くが、このように、白金などの酸化しにくい材料や酸化イリジウムなどの導電性酸化物で電極表面を保護することで、電極素材の酸化による電極抵抗の増大を防止することができる。
【0044】ここで、例えばイオン交換体58としてカチオン交換基を付与したものを使用して銅の電解加工を行うと、加工終了後に銅がイオン交換体(カチオン交換体)58のイオン交換基の多くを占有しており、次の加工を行う時の加工効率が悪くなる。また、イオン交換体58としてアニオン交換基を付与したものを使用して銅の電解加工を行うと、イオン交換体(アニオン交換体)58の表面に銅の酸化物の微粒子が生成されて付着し、次の処理基板の表面を汚染するおそれがある。
【0045】再生部64は、このような場合に、イオン交換体58を再生して、これらの弊害を除去するためのもので、揺動用モータ88の駆動に伴って回転する揺動軸90の上端に連結した揺動アーム62の自由端に垂設されている。この再生部64は、再生電極保持体94と、この再生電極保持体94で下向きに保持した円板状の再生電極96と、この再生電極96の表面(下面)全面を覆う再生用イオン交換体98とを有している。この再生電極96は、電極部60がスクロール運動を行っても、電極部60の全域を覆う大きさに設定され、更に、揺動アーム62の揺動に伴って、電極部60の全面を覆う位置に移動し、しかもこの電極部60の全面を覆う位置で再生用イオン交換体98が電極部60の加工電極54及び給電電極56を構成する電極板82を覆うイオン交換体58の表面(上面)に接触乃至近接するようになっている。
【0046】更に、再生電極96は、コントロールボックス84を介して、電源86の一方の電極(例えば陰極)と配線100によって電気的に接続し、同時に、加工電極54及び給電電極56を構成する電極板82が電源86の他方の電極(例えば陽極)と電気的に接続するようになっており、これによって、再生電源102が構成されている。
【0047】ここに、再生用イオン交換体98は、電極部60に装着した、再生に付するイオン交換体(被処理イオン交換体)58と同じイオン交換基を有している。つまり、イオン交換体(被処理イオン交換体)58として、カチオン交換基を有するカチオン交換体を使用していれば、再生用イオン交換体98もカチオン交換体が使用され、イオン交換体(被処理イオン交換体)58として、アニオン交換基を有するアニオン交換体を使用していれば、再生用イオン交換体98もアニオン交換体が使用されている。
【0048】更に、前述のように、コントロールボックス84を介して電源86の一方の電極を配線100によって再生電極96に接続し、同時に、加工電極54及び給電電極56を構成する電極板82を電源86の他方の電極に接続する時、再生用イオン交換体98側の電極、すなわち再生電極96がイオン交換体58,98の極性と逆になるように制御する。つまり、イオン交換体58,98として、イオン交換基としては陽イオン交換基を有するカチオン交換体を使用した場合には、再生電極96が陰極で電極板82が陽極となり、イオン交換体58,98として、アニオン交換体を使用した場合には、再生電極96が陽極で電極板82が陰極となるようにする。
【0049】次に、この基板処理装置による基板処理(電解加工)及び再生処理について説明する。先ず、図4及び図5に示すように、電解加工装置48aの基板保持部52で基板Wを吸着保持し、揺動アーム50を揺動させて基板保持部52を電極部60の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ66を駆動して基板保持部52を下降させ、この基板保持部52で保持した基板Wを電極部60の上面に取付けたイオン交換体58の表面に接触させるか、または近接させる。
【0050】この状態で、コントロールボックス84を介して、加工電極54と給電電極56との間に電源86から所定の電圧を印加するとともに、基板保持部52を回転(自転)させ、電極部60をスクロール運動させる。つまり、イオン交換体58と電極部60を接触もしくは近接させ、相対運動を行わせる。また、電極部60はスクロールでなくても、自転型電極でもよく、更に電極とイオン交換体のどちらか一方のみを運動させてもよい。同時に、貫通孔60aを通じて、電極部60の下側から該電極部60の上面に純水または超純水を供給し、加工電極54及び給電電極56と基板Wとの間に純水、超純水、500μS/cm以下の液体又は電解液を満たす。これによって、電極反応およびイオン交換体内のイオンの移動が起こり、基板Wに設けられた、例えば図12に示す銅膜6等の電解加工を行う。ここに、純水または超純水がイオン交換体58の内部を流れるようにすることで、効率のよい電解加工を行うことができる。
【0051】そして、電解加工完了後、コントロールボックス84を介して、電源86と加工電極54及び給電電極56との電気的接続を切り、基板保持部52の回転及び電極部60のスクロール運動を停止させる。しかる後、基板保持部52を上昇させ、揺動アーム50を揺動させて基板Wを次工程に搬送する。
【0052】なお、この例では、電極部60と基板Wとの間に純水、好ましくは超純水を供給するようにした例を示している。このように電解質を含まない純水または超純水を使用して電解加工を行うことで、基板Wの表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくすことができる。更に、電解によって溶解した銅イオン等が、イオン交換体58にイオン交換反応で即座に捕捉されるため、溶解した銅イオン等が基板Wの他の部分に再度析出したり、酸化されて微粒子となり基板Wの表面を汚染したりすることがない。
【0053】超純水は、比抵抗が大きく電流が流れ難いため、電極と被加工物との距離を極力短くしたり、電極と被加工物との間にイオン交換体を挟むことで電気抵抗を低減したりしているが、さらに電解液を組み合わせることで、更に電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。なお、電解液による加工では、被加工物の加工される部分が加工電極よりやや広い範囲に及ぶが、超純水とイオン交換体の組合せでは、超純水にほとんど電流が流れないため、被加工物の加工電極とイオン交換体が投影された範囲内のみが加工されることになる。
【0054】また、純水または超純水の代わりに、純水または超純水に電解質を添加した電解液を使用してもよい。電解液を使用することで、さらに電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。この電解液としては、例えば、NaClやNaSO等の中性塩、HClやHSO等の酸、更には、アンモニア等のアルカリなどの溶液が使用でき、被加工物の特性によって適宜選択して使用すればよい。電解液を用いる場合は、基板Wとイオン交換体58との間に僅かの隙間を設けて非接触とすることが好ましい。
【0055】更に、純水または超純水の代わりに、純水または超純水に界面活性剤等を添加して、電気伝導度が500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下(比抵抗で10MΩ・cm以上)にした液体を使用してもよい。このように、純水または超純水に界面活性剤を添加することで、基板Wとイオン交換体58の界面にイオンの移動を防ぐ一様な抑制作用を有する層を形成し、これによって、イオン交換(金属の溶解)の集中を緩和して加工面の平坦性を向上させることができる。ここで、界面活性剤濃度は、100ppm以下が望ましい。なお、電気伝導度の値があまり高いと電流効率が下がり、加工速度が遅くなるが、500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下の電気伝導度を有する液体を使用することで、所望の加工速度を得ることができる。
【0056】また、加工速度を上げるために電圧を上げて電流密度を大きくすると、電極と基板(被加工物)との間の抵抗が大きい場合では、放電が生じる場合がある。放電が生じると、被加工物表面にピッチングが起こり、加工面の均一性や平坦化が困難となる。これに対して、イオン交換体58を基板Wに接触させると、電気抵抗が極めて小さいことから、このような放電が生じることを防止することができる。
【0057】次に、そして、所定時間経過後、或いは所定の基板を処理した後等、任意の時期に電解加工に共したイオン交換体58を再生する。この再生処理について、図6及び図7を参照して以下説明する。先ず、基板保持部52を電極部60の上方から待避させ、しかる後、揺動アーム62を揺動させて再生部64を電極部60の上方に移動させ、これによって、電極部60の再生用イオン交換体98の下面を、電極部60の上面に装着した、再生に付するイオン交換体(被処理イオン交換体)58の上面に近接乃至接触させる。
【0058】この状態で、コントロールボックス84を介して、再生電極96に電源86の一方の電極(例えば陰極)を接続し、加工電極54及び給電電極56を構成する電極板82に他方の電極(例えば陽極)を接続して、再生電極96と電極板82との間に電圧を印加するとともに、電極部60をスクロール運動させる。同時に、貫通孔60aを通じて、電極部60の下側から該電極部60の上面に純水または超純水を供給し、再生電極96と電極板82との間に純水または超純水を満たして、これによって、再生に付するイオン交換体(被処理イオン交換体)58と再生用イオン交換体98を純水または超純水中に浸漬させる。
【0059】この時、前述のように、コントロールボックス84を介して、再生用イオン交換体98側の電極、すなわち再生電極96がイオン交換体58,98の極性と逆になるように制御する。つまり、イオン交換体58,98として、カチオン交換体を使用した場合には、再生電極96が陰極で電極板82が陽極となり、イオン交換体58,98として、アニオン交換体を使用した場合には、再生電極96が陽極で電極板82が陰極となるようにする。
【0060】これによって、イオン交換体58,98を固体電解質としたイオン交換反応により、被処理イオン交換体58のイオンを再生用イオン交換体98の内部に移動させて、被処理イオン交換体58の再生を行う。この時、イオン交換体58,98として、カチオン交換体を使用した場合には、被処理イオン交換体58に取り込まれたカチオンが再生用イオン交換体98の内部に移動し、アニオン交換体を使用した場合には、被処理イオン交換体58に取り込まれたアニオンが再生用イオン交換体98の内部に移動して、イオン交換体58が再生される。なお、この純水または超純水の代わりに、電気伝導度が500μS/cm以下の液体や電解液を使用してもよいことは前述と同様である。
【0061】そして、再生完了後、コントロールボックス84を介して、電源86と電極板82及び再生電極96との電気的接続を切り、電極部60のスクロール運動を停止させる。しかる後、揺動アーム62を揺動させて再生部64を元の待避位置に戻す。
【0062】図8は、前述の電解加工装置48aを備えた基板処理装置の一例を示す。図8に示すように、この基板処理装置は、例えば、表面に導電体膜(被加工部)としての銅膜6(図12参照)を有する基板Wを収納したカセットを搬出入する搬出入部としての一対のロード・アンロード部110と、基板Wを反転させる反転機112及び電解加工装置48aが直列に配置され、搬送装置としての搬送ロボット114がこれらの各機器と平行に走行して基板Wの搬送と受渡しを行うようになっている。更に、電解加工装置48aによる電解加工の際に、加工電極54と給電電極56との間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流、更には、再生処理の際に加工電極54と給電電極56を構成する電極板82と再生電極96との間に電圧を印加したときの電解電流及び電解時間、または電気量の少なくとも一方をモニタするモニタ部116が備えられている。
【0063】この基板処理装置によれば、例えば、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6(図12参照)を形成した基板Wを収納してロード・アンロード部110にセットしたカセットから、1枚の基板Wを搬送ロボット114で取出し、この基板Wを、必要に応じて反転機112に搬送して反転させた後、電解加工装置48aの基板保持部52で吸着保持する。この状態で、前述と同様にして、基板Wの電解加工を行う。
【0064】この時、加工電極54と給電電極56の間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流をモニタ部116でモニタして、エンドポイント(加工終点)を検知する。つまり、同じ電圧(電流)を印加した状態で電解加工を行うと、材料によって流れる電流(印加される電圧)に違いが生じる。このため、この電流または電圧の変化をモニタすることでエンドポイントを確実に検知することができる。
【0065】そして、電解加工が完了し、基板保持部52を上昇させ、しかる後、揺動アーム50を揺動させて基板Wを搬送ロボット114に受渡す。そして、搬送ロボット114は、この基板Wを受取り、必要に応じて反転機112に搬送して反転させた後、基板Wをロード・アンロード部110のカセットに戻す。
【0066】また、前述のようにして、イオン交換体58の再生を行うときには、加工電極54及び給電電極56を構成する電極板82と再生電極96との間に電圧を印加したときの電解電流及び電解時間、または電気量の少なくとも一方をモニタ部116でモニタする。イオン交換体の再生量は、電解電流と電解時間の積、つまり電気量で決まるため、電解電流及び電解時間、または電気量の少なくとも一方をモニタ部116でモニタすることで、再生量をコントロールして、再生の終点を検知することができる。
【0067】図9及び図10は、本発明の第2の実施の形態のイオン交換体の再生装置を備えた電解加工装置48bを示す。この電解加工装置48bは、前記実施の形態における基板保持部52と電極部60の上下位置関係を逆にして、基板Wの表面を上向きに保持した、いわゆるフェイスアップ方式を採用して基板の表面(上面)に電解加工を行うようにしたものである。すなわち、下方に配置された基板保持部52は、基板Wをこの表面を上向きにして載置保持し、自転用モータ74の駆動に伴って回転(自転)する。一方、加工電極54と給電電極56を有し、この加工電極54と給電電極56をイオン交換体58で覆った電極部60は、基板保持部52の上方に配置され、下向きにして揺動アーム50の自由端に保持され、中空モータ76の駆動に伴って回転(自転)する。そして、電源86から延び、コントロールボックス84を通過する配線は、揺動軸72に設けられた中空部を通ってスリップリング120に達し、このスリップリング120から中空モータ76の中空部を通って加工電極54と給電電極56に給電するようになっている。なお、図示の例では、イオン交換体58として基板Wよりも大きいものを使用した例を示しているが、基板Wよりも小さくてもよいことは勿論である。
【0068】そして、純水または超純水は、純水供給管80から供給され、電極部60の中心部に設けられた貫通孔60aを通じて基板Wの上方から該基板Wの表面(上面)に供給される。
【0069】この実施の形態では、図9に実線で示すように、電極部60を下降させて、電極部60のイオン交換体58を基板保持部52で保持した基板Wの表面に接触乃至近接させる。そして、基板の上面に純水または超純水を供給しつつ、加工電極54及び給電電極56との間に所定の電圧を印加し、同時に基板保持部52と電極部60を回転(自転)させ、更に電極部60を揺動させて、基板Wの表面に電解加工を施すようになっている。
【0070】更に、基板保持部52の側方に位置して、電極部60に取付けたイオン交換体58を再生する再生部64が配置されている。この再生部64は、支柱122の上端に連結した再生電極保持体94と、この再生電極保持体94で保持した再生電極96と、この再生電極96の表面(上面)を覆う再生用イオン交換体98を有している。そして、図9に仮想線で示すように、揺動アーム50を揺動させて電極部60を再生部64の直上方に移動させた後、下降させて、電極部60に装着した、再生に付するイオン交換体(被処理イオン交換体)58を再生部64の再生用イオン交換体98に近接乃至接触させる。そして、電極部60を回転(自転)させ、必要に応じて揺動させながら、加工電極54及び給電電極56を構成する電極板82と再生電極96との間に再生電源102から所定の電圧を印加することで、イオン交換体(被処理イオン交換体)58を再生するようになっている。この再生後のイオン交換体58は、例えば超純水でリンスされる。
【0071】図11は、本発明の第3の実施の形態のイオン交換体の再生装置を備えた電解加工装置48cを示す。この電解加工装置48cの前記図9及び図10に示す例と異なる点は、イオン交換体58を、例えば、一対の強酸性カチオン交換繊維130,132と、この強酸性カチオン交換繊維130,132に挟まれた強酸性カチオン交換膜134との3層構造とした点である。その他の構成は、図9及び図10に示す例と同様である。なお、イオン交換体58を構成するイオン交換材料として、任意のものを使用することができ、また積層数は、3層に限定されないことは勿論である。
【0072】このように、イオン交換体58を、不織布、織布、多孔膜等のイオン交換材料を複数枚重ねた多層構造とすることで、イオン交換体58の持つトータルのイオン交換容量を増加させ、例えば、銅の除去(研磨)加工を行う際に、酸化物の発生を抑制して、酸化物が加工レートに影響することを防止することができる。多層構造を用いなくても、単層でも厚いイオン交換体を用いてイオン交換容量を増やしてもよい。つまり、イオン交換体のトータルのイオン交換容量が除去加工の段階で取り込まれる銅イオンの量よりも小さい場合には、酸化物がイオン交換体の表面もしくは内部に生成されてしまい、加工レートに影響を及ぼす。この原因としては、イオン交換体のイオン交換基の量が影響し、容量以上の銅イオンは酸化物となると考えられる。このため、イオン交換体を、イオン交換材料を複数枚重ねた多層構造として、トータルのイオン交換容量を高めることで、酸化物の発生を抑制することができる。なお、イオン交換体を再生して、イオン交換体内への銅イオン等の蓄積を抑えることによっても、酸化物の発生を抑制することができる。
【0073】この例にあっては、図9及び図10に示す例と同様に、多層構造のイオン交換体58を任意の時期に再生部64で再生するのであるが、この時、強酸性カチオン交換繊維130,132及び強酸性カチオン交換膜134等のイオン交換体58を構成する複数のイオン交換材料を同時に再生することができる。
【0074】なお、この各例では、 被処理イオン交換体を複数枚のイオン交換材料を積層した多層構造とした例を示しているが、再生用イオン交換体を複数枚のイオン交換材料を積層した多層構造としてもよい。このように、再生用イオン交換体を多層構造とすることで、再生用イオン交換体の実質的なイオン交換容量を増大させて、より多くのイオン交換体(被処理イオン交換体)を連続して再生することができる。
【0075】また、前記各例では、電解加工の際に基板とイオン交換体との間に液体を供給する液体供給部が、一対の電極間に液体を供給して、被処理イオン交換体と再生用イオン交換体を液体に浸す液体供給部を兼用した例を示しているが、これらの液体供給部を別々に設けてもよい。更に、再生部として再生用イオン交換体を備え、再生の際に被処理イオン交換体のイオンを再生イオン交換体の内部に移動させることで、移動したイオンが移動した先の電極に付着し、この電極に付着した固体が再生後のイオン交換体を汚染してしまうことを防止するようにしているが、この再生用イオン交換体を省略するようにしてもよい。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、電気化学的作用によって、イオン交換体を容易かつ迅速に再生して、例えば電解加工等を継続的に行うことができる。しかも、超純水のみを使用してのイオン交換体の再生が可能であり、これにより、イオン交換体の汚染や洗浄への負荷、廃液処理の負荷を極めて小さくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号
【出願日】 平成13年11月29日(2001.11.29)
【代理人】 【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇 (外3名)
【公開番号】 特開2003−164768(P2003−164768A)
【公開日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願番号】 特願2001−365147(P2001−365147)