| 【発明の名称】 |
気相反応触媒の迅速探索方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】三村 直樹
【氏名】村田 和久
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| 【要約】 |
【課題】低級炭化水素の分解による水素の製法のような特定の気相反応に好適な触媒を、迅速かつ簡易に低コストで開発する探索手法を提供する。
【解決手段】上端が開口された複数の収納器に、それぞれ相異なる複数種の触媒を導入し、その複数の収納器の全てを反応容器中に配置し、その反応器内に原料含有ガスを導入して、原料含有ガスと前記複数種の触媒とを加熱条件下に接触させる反応を行って、前記複数種の触媒性能を同時に選別評価する気相反応触媒の迅速探索方法であり、特に、メタンから水素を製造する反応触媒の開発に有効である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上端が開口された複数の収納器に、それぞれ相異なる複数種の触媒を導入し、その複数の収納器の全てを反応容器中に配置し、その反応器内に原料含有ガスを導入して、原料含有ガスと前記複数種の触媒とを加熱条件下に接触させる反応を行って、前記複数種の触媒性能を同時に選別評価することを特徴とする気相反応触媒の迅速探索方法。 【請求項2】 上端が開口された複数の収納器に、それぞれ相異なる複数種の触媒を導入し、その複数の収納器の全てを反応容器中に配置し、その反応器内に低級炭化水素含有ガスを導入して、低級炭化水素含有ガスと前記複数種の触媒とを加熱条件下に接触させて、低級炭化水素の熱分解により水素を製造する反応を行わせることにより、前記複数種の触媒性能を同時に選別評価することを特徴とする低級炭化水素の熱分解による水素製造用触媒の迅速探索方法。 【請求項3】 複数種の触媒が、2種以上の活性成分の組合せ又は活性成分と担体の組合せであることを特徴とする請求項2に記載の水素製造用触媒の迅速探索方法。 【請求項4】 低級炭化水素含有ガスが、低級炭化水素と不活性ガスとの混合ガスであることを特徴とする請求項2に記載の水素製造触媒の迅速探索方法。 【請求項5】 低級炭化水素がメタンであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の水素製造触媒の迅速探索方法。 【請求項6】 触媒活性の評価方法が、触媒上に生成した炭素重量を測定することである請求項1〜5のいずれか1項に記載の水素製造触媒の迅速探索方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、気相反応に使用される好適な触媒を迅速に開発する方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、メタン等の低級炭化水素の熱分解に用いる多様な水素製造用触媒を同時に比較することにより好適な触媒を短時間で簡易に開発する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】固体触媒を用いる化学反応では、通常、反応を制御することは困難である場合が多く、なかでも、その反応に好適な触媒の開発には時間をかけて試行錯誤を繰り返すことは避けられず、装置費、労力費などに多大なコストを要するものである。最近、化学反応を液相で行う有機合成反応や錯体触媒反応等においては、コンビナトリアルと呼ばれる手法を利用し、多数の小型反応器と自動反応制御装置を組み合わせて短時間で多種多様な化合物を合成したり、反応に関与する諸因子の最適な組み合わせを探索する簡便な方法が採用されるようになり、様々な成果が得られている。 【0003】ところが、固体触媒を用いる気相反応に同様の手法を適用して触媒開発を行うには、複数種の触媒を同時に試験するのに要する流量制御器、反応管及び分析機器などの装置を、試験対象とする触媒数とそれぞれ同数を用意しなければないうえに、これらをコンピューターなどを用いて制御する必要があり、多大な労力及びコストを要するなどの問題がある。また、温度センサーを用いて吸熱及び発熱の状態を追跡したり、生成物に特有な赤外線吸収を測定する方法或いはガスセンサーを検出器として用いる方法などの分析手法も提案されているが、未だ一般的な方法ではない。 【0004】ところで、水素の製法は、次世代水素エネルギーシステムの中核を担う重要な技術として位置付けられており、特にメタンに代表される低級炭化水素の接触分解による水素の製造はCO2を発生しないため、環境問題を引き起こさないクリーンな方法として注目される反応であるが、未だ十分に満足できる方法は開発されていない。そこで、低級炭化水素の分解による水素製造用触媒には、特に迅速な開発方法が求められている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術における上記した実状に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、低級炭化水素の分解による水素の製法のような特定の気相反応に好適な触媒を、迅速かつ簡易に低コストで開発する探索手法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した問題を解消するために、原料ガスの接触分解反応で固体及び気体を生成する反応について鋭意検討を重ねた結果、その反応に好適な触媒を容易に検出する手法を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明における気相反応触媒の迅速探索方法は、上端が開口された複数の収納器に、それぞれ相異なる複数種の触媒を導入し、その複数の収納器の全てを反応容器中に配置し、その反応器内に原料含有ガスを導入して、原料含有ガスと前記複数種の触媒とを加熱条件下に接触させる反応を行って、前記複数種の触媒性能を同時に選別評価することを特徴とする。 【0007】また、本発明における低級炭化水素の熱分解による水素製造用触媒の迅速探索方法は、上端が開口された複数の収納器に、それぞれ相異なる複数種の触媒を導入し、その複数の収納器の全てを反応容器中に配置し、その反応器内に低級炭化水素含有ガスを導入して、低級炭化水素含有ガスと前記複数種の触媒とを加熱条件下に接触させて、低級炭化水素の熱分解により水素を製造する反応を行わせることにより、前記複数種の触媒性能を同時に選別評価することを特徴とする。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、ガス状原料の気相接触反応によって、ガス状原料が分解して固体及び気体を生成し、出口生成ガスの分析を行わなくとも、反応の進行状況を正確に把握できるような反応系に用いられる好適な触媒を、迅速かつ簡易に開発する方法に使用できるものである。このような本発明方法が適用される代表的な気相反応としては、低級炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパン、エチレンなどの単独またはこれらの混合物を固体触媒の存在下に熱分解させて水素を製造する反応が挙げられる。 【0009】本発明に用いられる原料の低級炭化水素としては、炭素数1〜4の低級アルカン等が挙げられるが、ここではメタンを熱分解させて水素を製造する反応に使用される固体触媒の開発を代表例として詳述する。メタンの熱分解によって水素を製造する反応に使用される固体触媒は、未だ開発途上にあるが、その分解反応の生成物は固体の炭素と水素ガスである。 【0010】メタンの分解反応による水素の製造では、つぎの反応式CH4 → C + 2H2で表され、生成した固体の炭素は触媒表面上に残留し、一方、水素ガスは反応管出口から流出する。また、上記反応以外の副反応は殆ど起こらない。そのため、触媒表面に生成した炭素の量を定量すれば、出口ガスの分析を全く行うことなく、その触媒による生成水素量を計算によって容易かつ正確に求められるから、所定時間における触媒の水素製造能力を容易に導き出すことができる。 【0011】そこで、本発明では、このような反応に使用可能と想定される多様な複数種の触媒を試験の対象とし、それらを同一条件で同時に試験し、各触媒の表面に生成した炭素量等から、それぞれの触媒性能を比較することにより、短時間で好適な触媒を容易にスクリーニングまたは選定するものである。 【0012】メタンの分解反応による水素製造に用いる触媒の場合、試験の対象とする複数の触媒としては、触媒性能に関与する諸因子、例えば、活性成分の種類、触媒担体の種類、活性成分の含有率等について、それらの1種からなる触媒或いはそれらの2種以上を適宜組合せた触媒等、具体的には、2種の活性金属成分の組合せ、金属種と触媒担体との組合せ触媒等が挙げられる。 【0013】また、原料ガスとしては、メタン単独でも良いが、アルゴン、窒素、ヘリウム等の不活性ガスで希釈して用いても良い。この場合のメタン含有率は特に限定されないが、1〜50容量%が好ましい。 【0014】本発明に用いる触媒の収納器としては、反応温度に耐えられる石英、セラミックス、ガラス、金属等の耐熱性材料からなる容器であれば使用可能である。その形状としては、触媒を収納し、上部を流れるメタン含有ガスと内部の触媒とが均一かつ十分に接触できるものであれば良く、上端が開口された円形状物、角状物等からなる同形状のものが好ましく、例えば、同形状の石英製小皿、石英板に触媒を保持する同形状の窪みを設けたもの等が挙げられる。この反応容器は、大気と遮断され、全ての触媒を入れた収納器が均一に加熱される構造であることが好ましい。 【0015】本発明の方法は、まず、管状物等の反応容器内に、試験の対象とする複数の触媒の所定量を、それぞれの小皿に入れて規則的に並べる。その際、それぞれの触媒が反応条件下で混り合わないように配置する。その触媒は、反応開始前に予め水素ガスと500〜700℃程度の温度で接触させ、還元活性化処理を行っておくことが望ましい。次に、反応容器を水素の生成に好適な300〜800℃程度、好ましくは450〜600℃にまで加熱し、その上部にメタン含有ガスを所定時間に亘って流し、各触媒と接触させて熱分解反応を行う。その際、その流速には特に限定されないが、遅すぎると触媒反応で生成した水素により平衡転化率が変化し、他の触媒の水素製造反応に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、毎分50ml以上で流すことが好ましい。また、用いる触媒量には特に限定されないが、1種の触媒に対して5〜500mg程度を用いることが好ましい。 【0016】本発明では、多数の触媒を同時に同条件で所定時間反応させると、生成する水素ガスは全て反応管出口から流出する一方、生成する炭素は全て触媒表面上に残留するから、所定時間の反応後の各触媒上に生成した炭素の重量を測定することにより、それぞれの触媒性能を迅速かつ正確に選別評価することができる。また、反応時間や反応温度を変化させれば、触媒の時間特性及び温度特性の比較も容易に可能である。 【0017】生成炭素量の測定は、公知の方法を用いることができる。例を挙げれば(1)反応前後の触媒重量の比較、(2)生成炭素を燃焼させ、その前後の重量比較、(3)熱重量測定装置でキャリアガスを空気または酸素として燃焼反応を行い重量の追跡を行う、等の方法があるが、これらに限定されるものではない。また、オートサンプリング機構の付いた装置を用いると、より効率良く分析することができる。 【0018】さらに、本発明の態様について例示の図面を参照して詳しく説明する。 (1)図1に見るように、石英等の耐熱材料製の円形小皿内に、縦軸に示したシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、HY型ゼオライト、・・・(m個)の触媒担体と、横軸に示したNi、Fe、Co、・・・(n個)の活性金属種との組合せ触媒(m×n個)を入れて長方形状に並べる。これらの触媒は、小皿の中で活性金属の硝酸塩の溶液を活性金属の担持率が等しくなるように、所定量の触媒担体に含浸させた後、同条件で空気中において乾燥・焼成させることにより得られる。次に、図2に見るように、得られた触媒を、配置した位置と触媒の種類の関係が分別できるようにして反応容器内に入れ、水素ガスと600〜650℃で接触させで還元活性化処理を行った後、所定濃度のメタン含有ガスと450〜550℃で接触させて熱分解反応を行う。この反応を所定時間行った後、メタン含有ガスを窒素等の不活性ガスに切り替えて、触媒を室温まで冷却する。その後、各触媒に付着している炭素の重量を熱重量分析法を用いて求め、水素生成量を計算で求める。この方法によれば、多数の組合せ触媒の中から、一度に有効な触媒担体と活性金属の組合せ触媒を、短時間で容易に見出すことができる。 【0019】(2)前記(1)で明らかになった触媒材料と金属成分の組合せを用い、縦軸に活性金属成分の担持率、横軸に触媒前駆体金属塩のカウンターアニオン(硝酸イオン、酢酸イオン、塩化物イオンなど)を採用し、前記(1)と同様に行う。この方法によれば、有効な担持率と前駆体の組合せ触媒が短時間で明らかになる。 【0020】(3)前記(2)で得られた触媒をもとに、縦軸に助触媒成分、横軸に助触媒の含有率を採用し、前記(1)と同様に行う。この方法によれば、有効な助触媒成分とその含有率を、短時間で容易に求めることができる。 【0021】(4)前記(1)と同様に行い、メタン含有ガスとの接触時間を変化させ、複数回反応実験を行う。この方法によれば、各触媒の時間特性が短時間で明らかになる。 【0022】(5)前記(4)と同様に、変化させる因子を温度に変更すれば、触媒の温度特性が明らかになる。 【0023】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。 実施例112個の窪み(直径2cm、深さ5mm)を有するセラミック製の反応皿に、AlPO4−5からなる担体0.1gを秤取した。次に、その各窪みに硝酸ニッケル水溶液0.25Mol/l(リットル)を滴下し、ガラス棒で担体と十分混合した後、100℃で乾燥させた。その後、750℃で5時間の加熱焼成を行うことにより、触媒を得た。この触媒のニッケル担持率は担体1gあたり1.25mmolであった。反応操作は、図3(a)に示す石英製のカップ(内径5.5mm、外径7.0mm、高さ11.0mm)に触媒3〜5mgを充填し、セラミック製ボートに配置した(図3(b)参照)。本実施例に用いたボートには最大12個のカップを搭載できる。カップが載っているボートを石英反応管(外径28mm、内径24mm)内に配置し、これを管状電気炉で加熱した(図3(c)参照)。触媒の還元活性化処理は、600℃において水素(10vol%)とアルゴン(90vol%)の混合ガスを流速50ml/分で1時間流すことにより行った。メタンの分解反応は、メタン(10vol%)とヘリウム(90vol%)の混合ガスを500℃に加熱された反応器内に流速150ml/分で流すことにより行った。反応を開始させて30分経過した後、メタンガスの供給を停止し、ヘリウムのみを流しながら100℃以下にまで冷却した。その後、カップ内の触媒を取り出し熱重量分析装置を用いて、炭素重量と触媒重量を精密に測定した。カップの配置場所による分解反応の差異を測定するために、ボートの両端部及び中央部の計3箇所に、それぞれ同一組成及び同一量の触媒(AlPO4-5担体、ニッケル担持率:担体1gあたり1.25mmol)を入れたカップを配置し、反応を行った。カップの配置場所による析出炭素量の測定結果を表1に示す。 【0024】 【表1】
表1の結果から、触媒活性の最大値と最小値の差は、6.7%以内の範囲であるので、カップの配置場所による誤差は十分許容範囲内であることがわかった。 【0025】実施例2表2に示す6種類の触媒を用い、本発明の迅速探索方法と、従来から広く使われている管型流通式反応器(縦置き型及び横置き型)を用いた方法との触媒活性(初期平均反応速度)を比較した結果を、表3示した。この実験方法は、上記の実施例1と同様であった。 【0026】 【表2】
【0027】 【表3】
【0028】表3の結果から、本発明の方法は、触媒活性の序列(順位)について上位の3触媒と下位の3触媒との間には、順位に多少の変動はあるものの殆ど一致しており、多数の候補触媒の中から高性能な触媒を選び出す手法として優れていることが明らかになった。さらに、実際に使用する触媒に関する詳細な検討は、触媒活性が上位の触媒のみについて検討すればよいので、研究開発に要する時間が大幅に短縮される。触媒活性は管型反応器の方が低くなっているが、横型反応器を用い触媒上方に空間を取った充填方法を用いることにより、本迅速探索手法とほぼ同等の活性が測定された。このことは、本発明の迅速探索手法で測定された活性の値が十分な信頼性を有することを示すものである。なお、触媒の充填方法や使用量などにより原料ガスの接触効率や局所的な平衡の影響などを受けて、得られる触媒活性に差異が生じたことが考えられる。 【0029】 【発明の効果】本発明によれば、気相反応に使用される活性成分と触媒担体からなる触媒等の最適な組合せを、多数の触媒を同時に試験することにより、労力を低減し、迅速かつ簡易に低コストで短時間に探索できるから、触媒開発の迅速化に寄与するものである。特に、メタンの熱分解により水素を製造する反応触媒の迅速な開発に極めて有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】301021533 【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
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| 【出願日】 |
平成13年12月25日(2001.12.25) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−164767(P2003−164767A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月10日(2003.6.10) |
| 【出願番号】 |
特願2001−391203(P2001−391203) |
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