| 【発明の名称】 |
プロピレン酸化用複合酸化物触媒の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】勅使河原 力 【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
【氏名】嘉糠 成康 【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
【氏名】岩倉 具敦 【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】プロピレンからアクロレイン及びアクリル酸を有利に製造するための活性及び目的生成物の選択性が優れた触媒の新規な製造方法を提供する。
【解決手段】触媒成分として(1)モリブデン、(2)ビスマス、(3)コバルト及び/又はニッケル、(4)鉄を必須成分として含むプロピレン酸化用複合酸化物触媒を製造する方法において、前記成分(3)と前記成分(4)を同一溶液として混合し、その後、少なくとも一部の前記成分(1)を含む溶液に混合する際に、成分(3)と成分(4)の比((4)/(3))が、0.05以上0.2以下になるように規定した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 触媒成分として(1)モリブデン、(2)ビスマス、(3)コバルト及び/又はニッケル、(4)鉄を必須成分として含むプロピレン酸化用複合酸化物触媒を製造する方法において、前記成分(3)と前記成分(4)を同一溶液として混合し、その後、少なくとも一部の前記成分(1)を含む溶液に混合する際に、成分(3)と成分(4)の比((4)/(3))が、0.05以上0.2以下であることを特徴とするプロピレン酸化用複合酸化物触媒の製造方法。 【請求項2】 前記成分(3)及び(4)の溶解及び混合を50〜80℃で行い、前記成分(1)の溶解を50〜80℃で行い、かつ成分(3)及び成分(4)の混合液と成分(1)の混合を両液の温度差が10℃以内の条件にて行い、且つ混合後60〜90℃での加熱を少なくとも1時間以上行うことを特徴とする請求項1記載のプロピレン酸化用複合酸化物触媒の製造方法。 【請求項3】 前記複合酸化物触媒が下記一般式(1)で示される組成を有するものであることを特徴とする請求項1〜3に記載のプロピレン酸化用複合酸化物触媒の製造方法。 MoaBibCocNidFeeXfYgZhSiiOj (1) 式中、Mo、Bi、Co,Ni、Fe、Si及びOはモリブテン、ビスマス、コバルト、ニッケル、鉄、珪素及び酸素を表し、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜2、f=0〜1、g=0.01〜1、h=0〜3、i=0〜48、の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。 【請求項4】 プロピレンを酸化触媒の存在下に分子状酸素又は分子状酸素含有ガスにより気相酸化してアクロレイン及びアクリル酸を製造するに当たり、触媒として請求項1〜3記載の方法により製造された複合酸化物触媒を用いることを特徴とするアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、プロピレンを酸化触媒の存在下に分子状酸素又は分子状酸素含有ガスにより気相酸化してアクロレイン及びアクリル酸を製造する際に使用するモリブデン−ビスマス−鉄−コバルト及び/又はニッケル含有複合酸化物触媒の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】プロピレンを分子状酸素により気相接触酸化して、アクロレイン及びアクリル酸を合成する触媒に関し、従来から数多くの提案がなされており、その触媒系は一般に同一系として取り扱われることが多い。そのなかで、鉄の導入に関してモリブデン成分と鉄成分をあらかじめ混合することが、特開平9−10588号公報に、モリブデン化合物と特定の金属化合物を特定の条件下で混合し、しかる後、鉄化合物を混合して触媒を調製することが、特開2000−37631号公報に、鉄−モリブデートとして添加する方法が、特開平1−168344号公報に開示されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】この発明は、特にプロピレンからアクロレイン及びアクリル酸を有利に製造するための活性及び目的生成物の選択性が優れた触媒の新規な製造方法を提供することを課題としている。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特にプロピレンからアクロレイン及びアクリル酸を製造する際に使用するモリブデン−ビスマス−鉄−コバルト及び/又はニッケル含有複合酸化物触媒を製造するに際し、特定の条件下で鉄とコバルト及び/又はニッケルを含む出発原料を予め特定の比率で混合し、しかる後、モリブデン化合物を混合して複合酸化物触媒を調製することにより、高活性で、且つ目的とする酸化生成物を高い収率で与える複合酸化物触媒が得られるという知見を見いだし、この発明に到達したのである。 【0005】すなわち、本発明は、触媒成分として(1)モリブデン、(2)ビスマス、(3)コバルト及び/又はニッケル、(4)鉄を必須成分として含むプロピレン酸化用複合酸化物触媒を製造する方法において、前記成分(3)と前記成分(4)を同一溶液として混合し、その後、少なくとも一部の前記成分(1)を含む溶液に混合する際に、成分(3)と成分(4)の比((4)/(3))が、0.05以上0.2以下になるように規定して、モリブデン−ビスマス−鉄−コバルト及び/又はニッケル含有複合酸化物触媒を調製するようにしたものである。 【0006】その際、前記成分(3)及び(4)の溶解及び混合を50〜80℃で行い、前記成分(1)の溶解を50〜80℃で行い、かつ成分(3)及び成分(4)の混合液と成分(1)の混合を両液の温度差が10℃以内の条件にて行い、且つ混合後60〜90℃での加熱を少なくとも1時間以上行うことが好ましい。 【0007】この発明において製造する複合酸化物触媒は、下記一般式(1)で示されるものである。 MoaBibCocNidFeeXfYgZhSiiOj (1) 式中、Mo、Bi、Co,Ni、Fe、Si及びOはモリブテン、ビスマス、コバルト、ニッケル、鉄、珪素及び酸素を表し、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜2、f=0〜1、g=0.01〜1、h=0〜3、i=0〜48、の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。このようにして得られた触媒は、プロピレンを気相酸化して、アクロレイン及びアクリル酸を製造するのに有効に用いることができる。 【0008】 【発明の実施の形態】この発明においては、触媒を構成する各元素の出発原料は特に制限されるものではない。例えばモリブデン成分の原料としては三酸化モリブデンのようなモリブデン酸化物、モリブデン酸、パラモリブデン酸アンモニウムのようなモリブデン酸又はその塩、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸のようなモリブデンを含むヘテロポリ酸又はその塩などを用いることができる。ビスマス成分の原料としては硝酸ビスマス、次炭酸ビスマス、硫酸ビスマス、酢酸ビスマスなどのビスマス塩、三酸化ビスマス、金属ビスマスなどを用いることができる。鉄成分、コバルト、ニッケル及びその他の元素の原料としては通常は酸化物あるいは強熱することにより酸化物になり得る硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩、水酸化物等又はそれらの混合物を用いることができる。 【0009】この発明における触媒の調製方法は、前記特定の条件を除けば、特に制限はない。例えば、鉄とコバルト及び/又はニッケルを特定比率で50〜80℃の条件下にて溶解混合し、50〜80℃の条件下にて溶解した少なくとも1部のモリブデンと両液の温度差を10℃以内の条件にて混合し、60〜90℃の条件下にて1時間以上加熱撹拌した後、その他の成分と添加し、加熱混合し、蒸発乾固、必要に応じ短時間の熱処理を施し、粉砕した後、得られた粉体を押出し成型、打錠成型、造粒成型などの成型方法により任意の形状に成型して得られる。この際、触媒の強度、粉化度を改善する効果があるとして一般に知られているガラス繊維などの無機繊維、各種ウィスカーなどを添加してもよい。また、触媒物性を再現よく制御するために、硝酸アンモニウム、セルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、ステアリン酸など一般に粉体結合剤として知られている添加物を使用することもできる。 【0010】この発明において得られる一般式(1)で表される複合酸化物をそれ自体単独で触媒として使用することができるが、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、シリコンカーバイド、酸化チタン、酸化マグネシウム、アルミニウムスポンジ、シリカ−チタニアなど一般に不活性担体として知られている担体に担持して使用してもよい。この際もまた、触媒の強度などを改善するために前記の無機繊維などを添加しても、あるいは触媒物性を再現よく制御するために前記の硝酸アンモニウムなどの添加剤を使用することもできる。 【0011】また、この発明において得られる複合酸化物を触媒として使用する場合、その形状、大きさなどについても特に制限はなく、公知の形状、大きさなどから適宜選ぶことができる。例えば、形状についていえば、球状、円柱状、リング状などのいずれでもよい。 【0012】これら成型体あるいは担持体を、例えば、空気流通下に300〜600℃の温度で1〜10時間程度焼成することにより、プロピレン酸化用の複合酸化物触媒が得られる。 【0013】この発明によって得られる複合酸化物触媒を使用するプロピレン接触気相酸化反応は、原料ガス組成として1〜10容量%のプロピレン、5〜18容量%の分子状酸素、0〜60容量%の水蒸気及び20〜70容量%の不活性ガス、例えば窒素、炭酸ガスなどからなる混合ガスを前記のようにして調製された触媒上に250〜450℃の温度範囲及び常圧〜10気圧の圧力下、0.5〜10秒の接触時間で導入することによって遂行される。 【0014】 【実施例】この発明に係る複合酸化物触媒のより具体的な製造方法と、得られた複合酸化物触媒を用いてプロピレンの酸化反応を実施した結果を以下に示す。 【0015】実施例1(複合酸化物触媒の調製)パラモリブデン酸アンモニウム105.5gを60℃に加温した純水500mlに溶解させる。次に硝酸第二鉄12.3g、硝酸コバルト48.5g及び硝酸ニッケル48.5gを60℃に加温した純水100mlに溶解させる。これらの溶液を、充分に撹拌しながら徐々に混合する。混合後、70℃に温度を上げ、2時間混合を継続した。次に、純水40mlにホウ砂0.96g及び硝酸カリウム0.51gを加温下に溶解させて、上記スラリーに加える。次に、シリカ72.9gを加えて、充分に撹拌する。続いて純水20mlに硝酸2.7mlを加えてさらに硝酸ビスマス24.1gを加えて、撹拌混合する。このスラリーを加熱乾燥して得られた粒状固体を小型成形機にて径5mm、高さ4mmの錠剤に打錠成型し、次に480℃/8時間の焼成を行って、触媒とした。仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合酸化物である。 ((4)/(3))=0.09Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si =12:1:3.3:3.3:0.6:0.1:0.2:0.1:24【0016】(プロピレンの酸化反応)上記のようにして調製した複合酸化物触媒を使用して、プロピレンの酸化反応を実施し、プロピレン転化率、アクロレイン収率、アクリル酸収率を計算した。複合酸化物触媒20mlを内径15mmのステンレス鋼製ナイタージャケット付反応管に充填し、プロピレン8容量%、空気67容量%、水蒸気25容量%の混合ガスを空間速度(SV)1500hr-1で導入し、プロピレンの酸化反応を実施した。反応浴温310℃にて表1に示す結果が得られた。 【0017】比較例1実施例1において硝酸第二鉄を5.5gとした以外は同様に調製した。仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合酸化物である。 ((4)/(3))=0.04Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si =12:1:3.3:3.3:0.27:0.1:0.2:0.1:24実施例1と同一条件にてプロピレンの酸化反応を実施した。結果を表1に示した。 【0018】比較例2実施例1において硝酸第二鉄を27.7gとした以外は同様に調製した。仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合酸化物である。 ((4)/(3))=0.21Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si =12:1:3.3:3.3:1.35:0.1:0.2:0.1:24実施例1と同一条件にてプロピレンの酸化反応を実施した。結果を表1に示した。 【0019】 【表1】
【0020】ここで、プロピレン転化率、アクロレイン収率、アクリル酸収率の定義は、次の通りである。 プロピレン転化率(モル%)=(反応したプロピレンのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100アクロレイン収率(モル数)=(生成したアクロレインのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100アクリル酸収率(モル数)=(生成したアクリル酸のモル数/供給したプロピレンのモル数)×100【0021】 【発明の効果】以上のように、この発明によれば、特にプロピレンからアクロレイン及びアクリル酸を有利に製造するための活性及び目的生成物の選択性が優れた触媒を得ることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005968 【氏名又は名称】三菱化学株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番2号
|
| 【出願日】 |
平成13年12月3日(2001.12.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074206 【弁理士】 【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−164763(P2003−164763A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月10日(2003.6.10) |
| 【出願番号】 |
特願2001−368874(P2001−368874) |
|