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【発明の名称】 金属酸化物焼結構造体及びその製造方法
【発明者】 【氏名】末永 誠一
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内

【氏名】深澤 孝幸
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内

【氏名】五戸 康広
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内

【氏名】丸山 美保
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内

【要約】 【課題】均質な触媒担持能を有する金属酸化物焼結構造体とその製造方法を提供する。

【解決手段】難還元性酸化物粉末と還元性酸化物粉末を混合し、しかる後にバインダーと混錬し、押し出し成型して流体流通孔を備えた構造体を形成し、次いで加熱反応・固溶させた後に、水素を含有する雰囲気下で還元する。これにより、表面に金属粒子が析出している流体流通孔を有する金属酸化物焼結構造体を製造する。この構造体は、燃料電池などの触媒として用いるのに適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】流体が通過可能に形成されている流体流通孔を囲繞するように形成されている還元性金属酸化物と難還元性金属酸化物の固溶相である焼結体から実質的になる隔壁と、該金属酸化物の該隔壁表面に存在する金属粒子とから構成される金属酸化物焼結構造体において、該金属粒子が水素還元により該隔壁を構成する該金属酸化物焼結体から析出されたものであることを特徴とする金属酸化物焼結構造体。
【請求項2】前記還元性金属酸化物が酸化ニッケルおよび/又は酸化銅であり、前記難還元性金属酸化物が酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1記載の金属酸化物焼結構造体。
【請求項3】酸化銅が酸化マグネシウムに対して、原子比で0.1%以上5%以下であることを特徴とする請求項2記載の金属酸化物焼結構造体。
【請求項4】酸化銅が酸化マグネシウムに対して、原子比で10%以上20%以下であることを特徴とする請求項2記載の金属酸化物焼結構造体。
【請求項5】前記流体流通孔の隔壁角部における金属粒子の量が、隔壁平面部の金属粒子量と比較して、2倍以内であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の金属酸化物焼結構造体。
【請求項6】還元性金属酸化物の粉末と難還元性金属酸化物の粉末の少なくとも2種類以上と有機系バインダーを混合し混練する工程、混合物を押し出し成形して流体が流通可能となるように流体流通孔を有する成型体を形成する工程、該成形体中の有機バインダーを除去して金属酸化物焼結構造体前駆体を形成する工程、該金属酸化物焼結構造体前駆体を加熱して、該還元性金属酸化物と該難還元性金属酸化物とを焼結させる工程、該焼結体を水素雰囲気中で還元することにより該還元性金属酸化物を還元し、金属粒子を焼結体表面に析出させる工程からなることを特徴とする金属酸化物焼結構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス改質、ガス合成、脱硫、もしくは燃焼等において触媒として使われる金属酸化物焼結構造体に関し、特に金属酸化物を焼結して形成したハニカム状担体表面に金属触媒を析出させた金属酸化物焼結構造体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、二酸化炭素のエミッションが少なく、環境負荷の少ない発電技術として近年大きく注目されている。従来、燃料電池においては、炭化水素やメタノールなどの原燃料を改質して水素ガスを富化したガスを用いている。この燃料電池の燃料である水素を生成する方法として、炭化水素ガスと二酸化炭素、または水蒸気を触媒上で反応させる二酸化炭素改質法または水蒸気改質法が知られている。この方法においては、アルミナ、マグネシア、シリカ等からなる酸化物セラミックで製作された焼結体表面に、Ni、Coなどの微粒子を主活性物質とする触媒を担持した改質触媒構造体が用いられており、この触媒系(触媒及び担体)には、低温での活性度が高いこと、長寿命であること、高熱伝導性であること等の様々な特性が要求される【0003】また、燃料電池の水素燃料を生成する原料ガスである都市ガス等には、硫黄成分が混在しており、これらを除去する脱硫プロセスがある。この脱硫プロセスにおいては、Mo、W、Nb等とNi,Co等の複合化触媒が、前述の改質触媒と同様の形態で用いられており、この脱硫触媒においても、触媒の活性度、寿命等において様々な特性が要求される。このように、燃料電池の燃料改質プロセスで用いられる触媒においては、触媒を担持する担体上において、触媒となる金属粒子が均一に分散していること、及び担体と金属粒子が密着し、触媒稼働中に触媒粒子が脱離しないこと等の特性が必要不可欠であり、触媒担体と触媒粒子との分散及び付着状態が上記触媒の機能を支配する上で重要な要素となっている。
【0004】従来の燃料改質触媒は、セラミック焼結体の表面に触媒金属粒子を共沈法などの手段により形成して製造されていた。この共沈法は、触媒担体の上に触媒元素を含有する微粒子を沈降させた後に、前記微粒子を還元し、触媒担体上に金属微粒子からなる触媒粒子が分散した触媒系を得るものである。ところで、この方法によれば、触媒金属の粒径は細かくすることができるが、分散状態を制御するのが困難であった。またさらに、沈降した微粒子と担体の界面強度が弱く、密着性が悪く、加熱環境下での運転中に粒子が凝集成長して触媒効率が低下するという問題があった。
【0005】また、特にハニカムのような非円形の流体流通孔を有する構造体を用いた場合、流体流通孔の角部が、触媒金属粒子の優先的析出サイトとなるため、流通孔壁面に触媒が不均一に生成し、角部以外の触媒粒子の数密度が低くなるという問題があった。このように、従来の方法によっては、これら上記の問題のため、寿命、活性度等の点で、未だ、十分満足できる性能を有するものは開発されていなかった。このように、従来の触媒担体構造体製造上の上記問題が解決されないため、例えば、燃料電池用燃料ガスである水素の二酸化炭素改質用触媒、あるいは水蒸気改質用触媒などにおいても触媒性能の点で充分満足できるものが得られていなかった。さらに、脱硫触媒として用いる場合には、上記問題点に加えて硫黄が除去し難いという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の触媒系の上記問題点を解決するためになされたものであり、触媒担体表面に形成される触媒金属が、均一で高密度に形成されており、さらに担体と触媒金属の界面密着性が良好で高機能な触媒系(触媒及び担体)、及びその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち第1の本発明は、流体が通過可能に形成されている流体流通孔を囲繞するように形成されている還元性金属酸化物と難還元性金属酸化物の固溶相である焼結体から実質的になる隔壁と、該金属酸化物の該隔壁表面に存在する金属粒子とから構成される金属酸化物焼結構造体において、該金属粒子が水素還元により該隔壁を構成する該金属酸化物焼結体から析出されたものであることを特徴とする金属酸化物焼結構造体である。
【0008】前記第1の本発明において、前記還元性金属酸化物は、酸化ニッケル、酸化コバルト、および酸化銅それぞれ単独かまたはこれらの混合物であり、前記難還元性金属酸化物は酸化マグネシウムであることが望ましい。
【0009】また、この金属酸化物焼結構造体をメタンなど炭化水素の処理に用いるには、前記酸化銅と酸化マグネシウムとの混合比は、酸化マグネシウムに対して、原子比で0.1%以上5%以下であることが、転換効率が向上し好ましい。一方、この金属酸化物焼結構造体をメタノール、エタノールなど脂肪族低級アルコール類の処理に適用するには、酸化銅が酸化マグネシウムに対して、原子比で0.1%以上20%以下であることが、多孔体の焼結性を向上させ、さらに金属銅を析出させるの点で好ましい。さらに好ましくは1%以上10%以下が良い。
【0010】さらに、前記本発明において、前記流体流通孔の隔壁角部における金属粒子の量が、隔壁平面部の金属粒子量と比較して、2倍以内であることが望ましい。
【0011】第2の本発明は、還元性金属酸化物の粉末と難還元性金属酸化物の粉末の少なくとも2種類以上と有機系バインダーを混合し混練する工程、混合物を押し出し成形して流体が流通可能となるように流体流通孔を有する成型体を形成する工程、該成形体中の有機バインダーを除去して金属酸化物焼結構造体前駆体を形成する工程、該金属酸化物焼結構造体前駆体を加熱して、該還元性金属酸化物と該難還元性金属酸化物とを焼結させる工程、該焼結体を水素雰囲気中で還元することにより該還元性金属酸化物を還元し、金属粒子を焼結体表面に析出させる工程からなることを特徴とする金属酸化物焼結構造体の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の金属酸化物焼結構造体及びその製造方法、さらに複合金属粒子を有する金属酸化物焼結構造体の製造方法について具体的に説明する。
【0013】[金属酸化物焼結構造体]
金属酸化物焼結構造体図1に本発明の金属酸化物焼結構造体の概略図をしめす。同図に示されるように、本発明の金属酸化物焼結構造体1は、金属酸化物焼結体からなる隔壁部2と、触媒粒子となる金属粒子3と、該金属酸化物焼結体隔壁によって囲繞され、ガスあるいは液体などの流体が通過可能に形成された流体流通孔4とより構成される。この焼結構造体は、複数の流体流通孔4が焼結体の一軸方向に平行に延在している形状をしており、いわゆるハニカム構造といわれている構造体であることが望ましい。この流体流通孔4の断面形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形でもよいし、円形でも差し支えない。しかしながら、隔壁部2の中心部は、この焼結構造体を反応触媒として用いた場合、触媒としての機能を果たすことがないことから、焼結構造体が容易に破壊されない程度の機械強度を有していれば、隔壁部2の厚さが均一でかつ薄い方が望ましいことから非円形であることが望ましい。このような構造体は、ガス、液体を効率良く、孔内を通過させることができるとともに、焼結体自体を緻密・高強度に維持できる利点がある。
【0014】また、本発明の金属酸化物焼結構造体の、流体流通孔の配向方向と垂直な断面における、焼結構造体全体の面積当たりの流体流通孔の割合が、20〜75面積%であることが望ましい。なぜなら、この割合が上記範囲以上では、金属酸化物焼結構造体の強度を維持できず、一方、上記範囲以下では、被処理ガスの圧力損失が大きくなるからである。さらに、個々の流体流通孔の面積は、その触媒効率を増大させるためには0.2〜1mmの範囲が望ましい。また、全ての流体流通孔の断面形状が同一であることが、製造の容易性、及び焼結構造体の隔壁部無効部分の増加を抑制することから望ましい。
【0015】金属酸化物焼結体本発明において金属酸化物焼結体は、還元性酸化物と難還元性酸化物との固溶相を主成分として構成されるものであり、流体流通孔を形成する隔壁部として機能している。
【0016】本発明において還元性金属酸化物とは、室温〜1500℃の水素雰囲気下で、金属へ還元され得る金属酸化物をいう。還元性酸化物の好ましい例としては、Cu,Co,Fe,Ni,Zn,Sn,Cd,Pd,Ag,Mo,Nb等の酸化物が挙げられる。これらのうち、ガス改質、ガス合成等のための触媒として用いる場合には、触媒効率が高いことから、ニッケル酸化物,コバルト酸化物,鉄酸化物,銅酸化物が好ましい。さらに好ましい金属酸化物は,ニッケル酸化物,コバルト酸化物,および銅酸化物である。また、上記還元性酸化物を、2種類以上併用することもできる。この還元性酸化物を2種類以上併用することによって、特に触媒として用いる場合には、還元後の触媒機能性を高められることから好ましい。また、2種類以上の還元性酸化物の内の1種として、母相の酸化物より融点が低いもの用いることによって、この添加還元性酸化物が焼結助剤となって、焼結性を促進し、高強度な骨格を形成させることができるため、好ましい。このために用いられる具体的な還元性酸化物としては、酸化銅、酸化錫、酸化銀等を挙げることができる。これらの内で特に、ニッケル酸化物と、コバルト酸化物、銅酸化物からなる複合酸化物が好ましい。
【0017】本発明において難還元性金属酸化物とは、室温〜1500℃の水素雰囲気下で、金属へ還元されない金属酸化物をいう。難還元性金属酸化物の好ましい例としては、Al,Mg,Si,Zr,Ti,Hf,Ce等の酸化物が挙げられる。また、これらの2種以上を併用することもできる。これらのうち、マグネシウム酸化物,ジルコニウム酸化物,セリウム酸化物が安定な固溶体を形成する点で好ましく、さらに好ましくはマグネシウム酸化物である。
【0018】なお、これらの酸化物の詳細としては、例えば、日本金属学会(1974年、第13巻)、第277頁に記載される「金属酸化物及び硫化物の水素還元について」という論文を参照することができる。
【0019】本発明の金属酸化物焼結体は、上記還元性金属酸化物と上記難還元性金属酸化物との固溶体である。このような固溶体としては、NiO−MgO,CoO−MgO,FeO―MgO,NiO−CoO−MgO等の酸化物同士の全率固溶体であっても良く、あるいは、ZrO−NiOや、MgO‐NiO−CuO,MgO−CuO,MgO−CuO−ZnOの様に、難還元性金属酸化物に対する還元性金属酸化物の固溶限が水素還元温度において1原子%以上である系であっても良く、また還元性金属酸化物と難還元性金属酸化物との複合酸化物の固溶体でもよく、特に限定されない。また、上記組み合わせに対して、さらに別の還元性金属酸化物を固溶させることもできる。この場合には、金属粒子を合金化することが可能になるという利点がある。
【0020】本発明において、この還元性金属酸化物として酸化ニッケルまたは酸化コバルトの少なくとも一種類に酸化銅を加えたものを使い、また難還元性金属酸化物として酸化マグネシウムを用いて製造した本発明の金属酸化物焼結構造体をメタンなど炭化水素の処理に用いる場合には、この酸化銅が酸化マグネシウムに対して原子比で0.1〜5%の範囲で用いることが好ましい。その理由は、酸化銅の添加により焼結性を向上させ、さらに触媒使用時の炭素の析出を低減できるからである。この原子比が、上記範囲を下回った場合には、焼結性が向上しない点で不都合があり、また、上記範囲を上回った場合には、炭素の析出が多くなる点で不都合がありそれぞれ好ましくない。
【0021】一方、この金属酸化物焼結構造体を、メタノール、エタノールなど低級脂肪族アルコールの処理に用いる場合には、この酸化銅が酸化マグネシウムに対して原子比で0.1〜20%の範囲で用いることが好ましい。さらに好ましい範囲としては、1%〜10%の範囲である。その理由は、焼結性が向上するとともに、改質機能が向上するためである。この原子比が、上記範囲を下回った場合には、焼結性の低下と改質機能の低下の点で不都合があり、また、上記範囲を上回った場合には、組織の不均一さが生じる点で不都合がありそれぞれ好ましくない。
【0022】本発明における金属酸化物焼結体は、骨格となる金属酸化物焼結体の密度が80%以上であることが望ましい。なぜなら、水素還元時に焼結体骨格内に不必要な金属粒子が生成することを防止できるからである。この密度が、90%以上であることがさらに好ましい。また、本発明の金属酸化物焼結体において隔壁部の厚さは、100μm以上であることが望ましい。なぜなら、これ以下であると、焼結体骨格の強度が弱くなり、破壊等の問題となる可能性があるからである。隔壁好ましい厚さは、200μm以上、さらに好ましくは500μm以上である。本発明における金属酸化物骨格を構成する焼結体粒子の粒径は、特に限定されるものでは無いが、好ましくは1μm以上が良い。なぜなら、粒界等に形成される欠陥を低減できるからである。さらに好ましくは、10μm以上が良く、さらに好ましくは100μm以上が良い。
【0023】金属粒子本発明における金属粒子は、水素還元により前記金属酸化物焼結体骨格から析出されたものであって、金属酸化物焼結体の表面に存在する。すなわち、本発明における金属粒子は、金属酸化物焼結体を水素ガス還元して、焼結体の構成成分である還元性金属酸化物の金属成分を焼結体表面に析出させることにより得られたものである。このようにして得られた金属粒子は、共沈法等により外部から沈着させて得られた金属粒子と比べて、金属酸化物焼結体に対して密着性が良く、密接かつ安定に担持される。すなわち物理的・化学的に界面の構造が安定なものとなる。このため、例えば触媒として用いる場合において、金属粒子の凝集・粒成長を抑制し、触媒効率の長寿命化が行なえる。
【0024】このように、本発明の金属粒子は、還元性金属酸化物が還元されて得られるものであるから、その組成も還元性金属酸化物に依存する。したがって、金属粒子を構成する金属の好ましい例としては、上述の還元性金属酸化物と同じく、Cu,Co,Fe,Ni,Zn,Sn,Cd,Pd,Hg,Ag等が挙げられる。これらのうちガス改質、ガス合成等のための触媒として用いる場合には、Ni,Co,Fe,Pd,Cuが高い触媒効率が得られる点で好ましく、これらの金属を主成分として、その少なくとも一つを50原子%以上含有する金属粒子とすることが良い。また、前記主成分金属以外の添加金属としては、Cu,Sn,Ag,Zn等が挙げられる。Cuは主成分、添加成分のいずれにも使用することができる。
【0025】前述の金属酸化物焼結体骨格と、焼結体表面に形成される金属粒子とから、金属酸化物焼結構造体が構成される。本発明の金属酸化物焼結構造体においては、焼結体表面の金属粒子の平均粒径は500nm以下であり、さらに好ましくは、平均粒径100nm以下の場合が良く、さらに好ましくは、50nm以下が良い。また、数密度は、1×1013個/m以上1×1015個/m以下であることが望ましい。その理由は、この条件の時に触媒として用いる場合の、粒成長を効果的に抑制することができるからである。前記、数密度の測定方法は特に制限されるものではないが、たとえば、電子顕微鏡で表面写真を撮影した時に、100nm×100nmから1μm×1μmの面積の中の数密度を測定することが好ましい。また、数密度の測定に際しては、金属酸化物骨格の表面と接している、金属粒子のみを測定の対象とする。なぜなら、粒子上に存在する粒子は、粒成長につながり有効な触媒と考えられないからである。また、粒子間隔は特に制限されるものではないが、粒径の1/2倍以上が好ましく、また、1倍以上だとさらに良い。なぜなら、この条件の時に、粒成長が抑制しやすいからである。
【0026】また、本発明の金属粒子は、本発明が提供する金属酸化物焼結構造体を構成する流体流通孔の単位孔の体積当りの金属粒子数密度が、1×1016個/m以上1×1019個/m以下であることが望ましい。なぜなら、この条件の範囲に入る、多孔体と触媒粒子の組み合わせ性能を効果的に発揮することができるからである。
【0027】また、本発明の金属粒子は、単位孔内における隔壁部同士の交差部、すなわち角部における金属粒子の量が、隔壁部平面部の金属粒子量と比較して、2倍以内であることが望ましい。上記隔壁部各部の金属粒子の量は、図2の様に空間に対する密度で規定する。すなわち、隔壁のコーナー部の一定の空間X1内(x1cc)における触媒量(m1g)を、x1/m1(g/cc)として、セル隔壁の中央部の壁面における同一容積の空間X2(x2cc)の触媒量(m2g)を、x2/m2(g/cc)とした場合、(x1/m1)/(x2/m2) ≦ 2とするものである。このような条件の時に、例えば、触媒を用途として用いる場合、無駄な触媒を低減できる。
【0028】[金属酸化物焼結構造体の製造方法]次に第2の本発明である金属酸化物焼結構造体の製造方法について説明する。この製造方法は、原料粉末の調整と前駆体の作製、固溶反応、水素還元の3つの工程からなりたっている。
【0029】原料粉末の調整と成型体の作製本発明の金属酸化物焼結構造体の第1の工程は、還元性金属酸化物粉末と、難還元性金属酸化物の粉末とを混合して、原料粉末を得る工程である。本発明においては、原料粉末の混合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、それぞれの粉末を用途に応じて適量秤量して、次いでボールミル等を用いて混合することにより行なうことができる。混合に使用する金属酸化物の粉末としては、平均粒径が0.05〜10μmの範囲のものが望ましい。この平均粒径が上記範囲より大きいと、均一な混合物が得られ難く、焼結体中の還元性金属酸化物と非還元性金属酸化物が不均一系になりやすい。その結果、生成する金属粒子も不均一になり、触媒寿命の短縮を招く。一方、金属酸化物の平均粒径が上記範囲を下回った場合、取り扱いが困難になり、生産性が低下する。
【0030】本発明の好ましい態様によれば、還元性金属酸化物と難還元性金属酸化物粉末との混合比を、モル比で難還元性酸化物が60mol%以上とする。これにより、焼結・水素還元後の焼結体強度を維持し、より高温環境下での使用を可能にすることができるからである。さらに好ましくは、70mol%以上が良く、さらには80mol%以上が良い。
【0031】上記原料粉末を混合した後、混合粉に有機バインダーを添加して、混練機で混練する。この際に添加する有機バインダーの種類は、一般のセラミック成形体の押し出し成形において採用されている条件を適宜選択することが可能であり、特に限定されるものではないが、通常用いられているPVA(ポリビニルアルコール)、エチルセルロース等を採用することができる。また、この有機バインダーの添加量も、特に制限されるものではないが、通常行われている5wt%以上20wt%以下の量で使用することができる。
【0032】有機バインダーを添加して混練された原料粉末は、適当な形状の口金を有する押し出し成型機に導入して、口金を通して押し出し成型する。この際、押し出し速度等は特に規定しないが、押し出し時に破壊しない条件を選択する。次いで、押し出し成型後、脱脂炉に成型体を導入して、加熱して脱脂、すなわち有機バインダー成分の除去を行なう。脱脂の条件は、有機バインダーの種類等により異なるが、500℃程度まで、毎分1℃程度でゆっくり昇温した後、数時間保持し、急冷せずに炉冷するのが好ましい。これらの工程により、本発明の金属酸化物焼結構造体前駆体が得られる。また、特に酸化マグネシウムを難還元性金属酸化物主成分として使い、さらに酸化銅を原料粉末に添加した場合は、フォーム等のハニカム以外の多孔体への適用も可能である。なぜなら、酸化銅が酸化マグネシウムを主成分とするセラミックス焼結体を緻密化させて、焼結性を向上させるためである。これにより、この後の還元過程での耐還元性が向上し、強度劣化を最低限にとどめることができる。
【0033】固溶反応前記工程までで得られた金属酸化焼結体前駆体を、次いで大気炉内に導入して、加熱焼成し、固溶体を作製する。反応温度は、1000℃以上1500℃以下、好ましくは1100℃以上1400℃以下が好ましい。その理由は、焼成温度がこの範囲以下では、焼結が不完全で焼結体の機械的強度が不十分となる一方、焼成温度が上記範囲以上では、原料である還元性金属酸化物の分解・溶融が起こる可能性があるからである。また、昇温・降温速度には特に制限されるものでは無いが、熱歪みによる破壊を防ぐために、毎分1〜5℃程度の条件で行なうことが好ましい。液相温度が母相のセラミックスより低い、酸化銅等を添加した場合の固溶体焼成温度は、前記低融点セラミックスの液相温度より高ければ良い。例えば、酸化銅の場合は、その融点である、酸化銅と銅の共晶温度より高ければ良い。また、酸化ニッケルと酸化マグネシウムの固溶体の場合も、酸化ニッケルとニッケルの共晶温度以上に焼成温度を設定すると焼結性を向上させることができる。
【0034】水素還元工程上記固溶反応により金属酸化物焼結構造体を作製した後、この焼結構造体を水素炉等の還元炉内に導入して、還元処理を行ない、金属粒子を焼結体表面に析出させる。例えば、焼結構造体として、NiO−MgOを採用した場合は、固溶体の一部が還元され、Ni相が金属酸化物焼結構造体の焼結体表面である流体流通孔の内壁面に析出する。これにより、金属粒子を酸化物焼結構造体表面に、高密度かつ均一に分散させることができ、また、焼結体内部から金属が拡散して析出するため、偏析が少なく良好な分散状態の焼結体が得られる。
【0035】この本発明の還元条件は、特に制限されるものでないが、金属酸化物焼結構造体の焼結体表面のみが還元されるような条件を選択することが好ましい。例えば、水素炉内の水素分圧を一定にした後に、昇温・還元・冷却を行なう方法以外に、水素炉内をAr等の不活性ガスでパージした後、還元温度まで昇温して、還元温度到達後、少しづつ水素分圧を上昇させて還元行なう方法が考えられる。この方法の場合、還元が焼結体壁面より徐々に進行するため、焼結体表面のみに金属粒子を析出させることが可能となる。また、2種類以上の還元性金属酸化物を使用している場合にも、上述の方法が有効となる。なぜなら、還元反応開始温度の異なる2種類以上の還元性金属酸化物を用いていたとしても、これらの金属析出の時間差を短縮してほぼ同時に金属粒子を析出させ、均一な複合金属粒子を得ることができるからである。
【0036】本発明においては、前述したように金属酸化物焼結構造体表面の金属粒子の平均粒径は500nm以下、または100nm以下、さらに50nm以下が好ましく、また、数密度は、1×1013個/m以上1×1015個/m以下であることが好ましいことを説明したが、このような表面状態の焼結構造体を製造するには、還元性金属酸化物と非還元性金属酸化物の混合比率、水素還元処理時の水素分圧及び水素還元処理時の処理温度によって、上記生成する金属粒子の性状が異なってくる。還元性金属酸化物と非還元性金属酸化物の混合比率について言えば、還元性金属酸化物の比率が低いほど生成する金属粒子の粒径が小さくなり、また数密度が増加する。従って、反応系に応じて最適な反応条件を選択することによって上記範囲の金属粒子を生成することができる。
【0037】本発明において、特に、メタン、天然ガス、都市ガス用改質触媒の場合は、還元反応開始温度は特に規定しないが、800℃以上の温度とすることが好ましい。なぜなら、本発明の金属酸化物焼結構造体の使用中に還元反応が進行することを防ぐことができるためである。上記還元工程によって、焼結体の流体流通孔表面に析出させた金属粒子は、ディッピング法等従来の方法によって形成した金属粒子と異なり、極めて均一性の高いものとなる。
【0038】このように上述の製造工程を経て、金属酸化物焼結構造体を製造することができる。これは、共沈法等の湿式法と比較してプロセスが単純化されるので、低コストで操業できるというメリットがある。
【0039】[複合金属粒子を有する金属酸化物焼結構造体の製造方法]第3の本発明は、上述の第2の製造方法により得られる金属酸化物焼結構造体の第1の金属粒子、または、還元により金属粒子を析出させた後に骨格構造体表面に出現した凹凸、を核として、前記第1の金属粒子とは異なる第2の金属粒子を生成させ、複合化させることを特徴とするものである。この方法は、Ni,Co,Fe等の金属粒子をさらに合金化させるための方法であって、難還元性金属酸化物に対して固溶限が少ない還元性酸化物、または、金属酸化物が不安定なものに適用するのが好ましい。上記金属としては、Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Ir,Os等の貴金属、または、Mo,Nb,Wなどが挙げられる。これらの金属は、単一で合金化しても良いが、2種類以上を合金化して多限系合金としても良い。
【0040】この第3の本発明は、基本的に、金属酸化物焼結構造体を湿式または乾式により添加元素の酸化物を含有する雰囲気(気体または液体)中へ浸漬するプロセスと、その後の乾燥・還元プロセスから成り立っている。すなわち、上記方法によって得られる金属酸化物焼結構造体に形成される金属粒子に、沈殿法、含浸法またはイオン交換法により金属を複合化させて、触媒を合金化させるものである。
【0041】添加元素雰囲気への浸漬プロセス湿式法の場合、添加目的金属元素を含有する、ヘテロポリ酸,金属錯体,金属塩等からなる液体中に、上記方法によって得られる金属酸化物焼結構造体を浸漬し、金属酸化物焼結構造体表面に添加目的金属元素を含有する化合物を析出させ、これを乾燥・分解して焼結体表面の金属粒子を複合化する工程からなっている。
【0042】まず、添加目的元素含有化合物の析出は、金属酸化物焼結構造体を上記液体中に浸漬した後、酸またはアルカリを添加して、pH調整し、液相からの共沈を行なうことによって行なうこともできるし、また、金属塩類を加熱または酸化分解させておこなうこともできる。添加金属が液相から析出する際に、焼結体表面に析出している金属粒子を、添加金属の核生成サイトとして利用すると、より効果的に添加金属を合金化させることができる。この含浸法においては、特に添加金属成分溶液は制限されるものではなく、複合化のための金属を含み溶液に溶解可能な化合物であれば使用可能である。例えば複合化のための金属としてPtを用いる場合、塩化白金酸水溶液,テトラアンミン塩化白金酸等を使用することができる。また、Mo,Wを採用する場合、アンモニウムメタタングステン,モリブデンアセチルアセトネート等が使用できる。上記添加目的元素含有化合物のpH調整にあたっては、沈殿剤としては、炭酸アンモニウム,炭酸ナトリウム,アンモニア等のアルカリ水溶液を用いることが好ましい。
【0043】上記工程で、第1の金属粒子表面に第2の金属粒子が析出した後は、乾燥させ、さらに加熱して還元・合金化させる。加熱雰囲気は特に規定しないが、Ar,N2,真空中等の不活性雰囲気,水素中等の還元性雰囲気が挙げられる。加熱温度は、材料の組合せに合わせて適宜選択することができる。
【0044】[効果]上記、工程により、金属酸化物焼結構造体表面に、前記金属酸化物焼結構造体骨格である金属酸化物に対して固溶限が少ない還元性酸化物、または、金属酸化物が自身が不安定な金属を、前述の第1の金属粒子と合金化させることができる。本発明で用いることのできる合金系としては、Ni,Co,Feとの2元系以上の多元系合金が考えられ、例えば、NiPt,NiAu,CoPt,CoAu,FePt,FeAu等の貴金属との合金,NiMo,NiW,NiNb,CoMo,CoW,CoNb等の合金等が挙げられる。
【0045】以上詳述したような工程を経て、本発明の異方性複合多項体を製造することができる。このような本発明の製造方法によれば、共沈法等のプロセスで、触媒を多孔体の内壁に担持させる場合と比較して、微細で数密度の制御性が高く、単純で安価なコストで触媒部材が製造できる。また、この時の触媒は、均一で、粒子の偏った担持が起こらない。このため、従来法で見られていた、セル内、特に、角部の不均一性を防ぐことができ、触媒を有効に利用することができる。
【0046】さらにまた、この時の触媒は、大部分の粒子が骨格表面のくぼみに、線または面で接触した形態を有している。このため、点で多孔体の壁面に接触している、従来法の触媒で見られていた、経時的な粒の凝集と成長を防ぐ事ができ、触媒の経時的な性能劣化を抑制することができる。この様な形態を示す理由を以下に説明する。本金属粒子の析出は骨格からの物質移動により起こり、金属粒子が析出するということは基本的に骨格が減肉するということになる。このため、金属粒子の析出が起こった周囲は、骨格がくぼんだ様な組織が生まれる。さらに析出する粒子は、必ず骨格表面で成長するため、このくぼみをトレースしたような析出形態をとる。
【0047】[用途]以上に記載した本発明の金属酸化物焼結構造体は、メタンの改質触媒、メタノールエタノールの改質触媒、あるいは、脱硫触媒として用いることが適している。本発明の金属酸化物焼結構造体をメタンの改質触媒として用いる場合には、Ni,Co,Feの粒子を焼結体表面に析出した構造体とすることが好ましい。また、前記金属酸化物焼結構造体のNi,Co,Feの少なくとも1つをCu,Sn等で合金化したもの、または、Ni,Co,Feの少なくとも1つからなる金属またはその合金に、Pt,Pd,Ir,Ru,Rh等を後プロセスで合金化させたものが考えられる。また、メタノール,エタノールの改質触媒として用いる場合には、Cu,Ni,Co,Feの少なくとも1つまたはその合金と、Pt,Pd,Ir,Ru,Rh等を後プロセスで合金化させたものが考えられる。
【0048】さらに、液体、気体の炭化水素系燃料からの脱硫触媒としては、Ni,CoFeの少なくとも1つまたはその合金と、Mo,Nb,W等から選ばれる少なくとも1つを合金化させたものが考えられる。上記用途は特に限定されるもので無く、相互に異なった用途に応用することも可能である。また、上記金属触媒の担持体または支持体となる金属酸化物焼結構造体の材料は、本発明のメカニズムを用いる場合、特に規定しない。また、本発明の金属酸化物焼結構造体は、メタン改質,メタノール改質,脱硫触媒以外の触媒用途、例えば、エタノール,灯油,ガソリン等の高級炭化水素液体の改質、エタン,プロパン等の高級炭化水素ガスの改質にも使うことができる。
【0049】
【実施例】(実施例1)平均粒径が1μmのNiOと1μmのMgOの粉末をmol比で1:2となるように合わせて秤量し、遊星ボールミルを使って均一に混合した。混合後は、混合粉にエチルセルロース系のバインダーを加えて混練して、セルの一辺が1mmで、壁厚が0.5mmのハニカム用口金を通して、押し出し成型器で成形体を作製した。次いで、成形体を脱脂炉内に導入して、毎分350℃まで5時間かけて昇温して、350℃で1時間脱脂した。脱脂後は、大気炉内に試料を移して、1300℃まで10時間で昇温して、1300℃で5時間焼結した。このようにして得られた、ハニカム焼結体は、目的通り、単位セル(孔)の一辺が1mmで、壁厚が0.5mmのものであった。このハニカム焼結体を、2ccの大きさに切り出し、メタン改質実験用の装置に導入して、アルゴンガスで置換した後に、毎分100mlの水素ガスでさらに置換して、800℃まで10℃/分の速度で昇温して、800℃で5分間還元して、本実施例の金属酸化物焼結構造体を製造した。
【0050】還元後、引き続き、温度を750℃まで下げて、水素ガスを止めて、50ml/分のメタンガスと、50ml/分の二酸化炭素ガスを流しながら、改質反応を行なった。改質反応は、反応後のガスから質量分析でサンプリングを行ない、定量的にガス組成を測定して、改質効率を測定した。改質反応は、5時間連続で行ない、反応開始前後の残存メタン濃度を測定した。残存メタンの濃度が少ない程、改質効率が高く、また、反応前後の変化量が少ない程、経時劣化が少ないことになる。また、改質後は組織観察により、金属粒子の粒径も測定した。その結果を表1に示す。
【0051】一方で、上記製造法で製作した金属酸化物焼結構造体の組織形態をFE−SEMにより観察した。観察は、50000倍の倍率で、一辺が200nmの正方形の視野内の粒子数を数えることにより行なった。尚、この作業は、10視野で行なった。その結果、ハニカム構造体隔壁表面には、平均直径が85nmの微粒子が、約1×1014個/mの密度で存在していた。また、この金属粒子は、その視野内で100%が隔壁に対して接触していた。また、同一試料の、ハニカム隔壁同士の交差部分すなわち角部の観察を行なった。その結果、角部から、1μm以内の範囲での不均一性は見られず、角部から、壁面中央部すべての範囲で、金属粒子の析出形態は一様であった。また、金属粒子は、ハニカム表面にわずかに形成された凹部に面で接触していた。
【0052】(実施例2)NiO粉末の代わりに、NiOとCuOの混合粉末を、混合比MgO:NiO:CuO=2:1:0.05(mol比)で用いたこと以外は実施例1と同様に金属酸化物焼結構造体を製造した。このハニカム焼結体をメタン改質実験用の装置に導入して、アルゴンガスで置換した後に、毎分100mlの水素ガスでさらに置換して、900℃まで10℃/分の速度で昇温して、900℃で10分間還元した。
【0053】還元後、引き続き、温度を750℃まで下げて、水素ガスを止めて、50ml/分のメタンガスと、50ml/分の二酸化炭素ガスを流しながら、改質反応を行なった。改質反応は、反応後のガスから質量分析でサンプリングを行ない、定量的にガス組成を測定して、改質効率を測定した。一方、本実施例で製造した金属酸化物焼結構造体の組織形態をFE−SEMにより観察した。観察は、50000倍の倍率で、一辺が200nmの正方形の視野内の粒子数を数えることにより行なった。尚、この作業は、10視野で行なった。その結果、ハニカム骨格表面には、平均直径が20nmの微粒子が、約1×1013個/mの密度で存在していた。
【0054】(実施例3)NiO粉末に代えて、NiO:MgO=0.5:2(mol比)の混合粉末を使用したこと以外は、実施例1と同様にして金属酸化物焼結構造体を製造した。このハニカム焼結体をメタン改質実験用の装置に導入して、アルゴンガスで置換した後に、毎分100mlの水素ガスでさらに置換して、850℃まで10℃/分の速度で昇温して、850℃で10分間還元した。還元後、引き続き、温度を750℃まで下げて、水素ガスを止めて、50ml/分のメタンガスと、50ml/分の二酸化炭素ガスを流しながら、改質反応を行なった。改質反応は、反応後のガスから質量分析でサンプリングを行ない、定量的にガス組成を測定して、改質効率を測定した。一方で、本実施例で製造した金属酸化物焼結構造体の組織形態をFE−SEMにより観察した。観察は、50000倍の倍率で、一辺が200nmの正方形の視野内の粒子数を数えることにより行なった。尚、この作業は、10視野で行なった。その結果、ハニカム骨格表面には、平均直径が50nmの微粒子が、約5×1013個/mの密度で存在していた。
【0055】(実施例4)実施例3で作製したハニカム多孔体である金属酸化物焼結構造体を、さらに、(NHPt(NOとエタノールを使って浸漬反応を行なった。浸漬後は、110℃で乾燥後、400℃の水素中で加熱して、合金化させた。合金化後の多孔体をFE−SEMにより観察したところ、NiはPtと合金化していた。EDXにより組成を測定したところ、Ni:Pt=1:1(原子比)であった。上記、本実施例で製造した金属酸化物焼結構造体を使って、実施例1と同様の改質実験を行なった。
【0056】(比較例1)実施例1と同じ形状のアルミナ製のハニカムを作製し、硝酸ニッケル中に浸漬した後、ハニカムを引き上げて、炭酸アンモニウム中に浸漬した。次いで、ハニカムを引き上げて、110℃の乾燥機内で乾燥したのち、水素中で、400に過熱して還元を行なった。還元後の組織をFE−SEMにより観察したところ、Niの粒径は、100nmであった、数密度は、5×1012個/mであった。また、ハニカムの隔壁交差部(角)には、Ni粒子の凝集が見られ、交差部より0.5μm以内の体積当りの数密度が、隔壁中央部のものより、3倍以上あった。このときのハニカムを用いて、実施例1と同様の改質実験を行なった。その結果を表1に併せて示す。
【0057】
【表1】

【0058】(実施例5)メタノール改質実験平均粒径が1μmのCuOと1μmのMgOの粉末をmol比で1:20となるように合わせて秤量して、遊星ボールミルを使って均一に混合した。混合後は、混合粉にエチルセルロース系のバインダーを加えて混練して、セルの一辺が1mmで、壁厚が0.5mmのハニカム用口金を通して、押し出し成型器で成形体を作製した。次いで、成形体を脱脂炉内に導入して、毎分350℃まで5時間かけて昇温して、350℃で1時間脱脂した。脱脂後は、大気炉内に試料を移して、1100℃まで10時間で昇温して、1100℃で5時間焼結した。
【0059】このようにして得られた、ハニカム焼結体は、目的通り、単位セル(孔)の一辺が1mmで、壁厚が0.5mmのものであった。ついでこのハニカム焼結体を、2ccの大きさに切り出し、改質装置内に導入して、アルゴンガスで置換した後。毎分100mlの水素ガスでさらに置換して、500℃まで10℃/分の速度で昇温して、500℃で10分還元した。還元後水素ガスを止めて、アルゴンガスで置換した後、上記方法で製造した金属酸化物焼結構造体を使って、メタノール蒸気/水蒸気混合ガス(1:2)を使い改質実験を行なった。改質温度は350℃とした。その結果を表2に示す。
【0060】(実施例6)NiO粉末の代わりに、NiOとCuOの混合粉末を、混合比MgO:NiO:CuO=2:1:0.1(mol比)で用いたこと以外は実施例1と同様に金属酸化物焼結構造体を製造した。このハニカム焼結体を改質実験用の装置に導入して、アルゴンガスで置換した後に、毎分100mlの水素ガスでさらに置換して、900℃まで10℃/分の速度で昇温して、900℃で10分間還元した。こうして得られた構造体を、実施例5と同じ実験により評価し、その結果を表2に示す。
【0061】(比較例2)比較例1で用いたアルミナ製ハニカムを硝酸銅中に浸漬した後、ハニカムを引き上げて、炭酸アンモニウム中に浸漬した。次いで、ハニカムを引き上げて、110℃の乾燥機内で乾燥したのち、水素中で、200℃に過熱して還元を行なった。還元後の組織をFE−SEMにより観察したところ、金属銅の粒径は、90nmであった、数密度は、7×1012個/mであった。また、ハニカムの隔壁交差部である角部には、金属銅粒子の凝集が見られ、角部より0.5μm以内の体積当りの数密度が、隔壁中央部のものより、2.5倍以上あった。このときのハニカムを用いて、実施例2と同様のメタノール改質実験を行なった。その結果を表2に併せて示す。
【0062】
【表2】

【0063】(実施例7)実施例6と同様に金属酸化物焼結構造体を製造した。このハニカム焼結体を改質実験用の装置に導入して、アルゴンガスで置換した後に、毎分100mlの水素ガスでさらに置換して、900℃まで10℃/分の速度で昇温して、900℃で10分間還元した。還元後水素ガスを止めて、アルゴンガスで置換した後、上記方法で製造した金属酸化物焼結構造体を使って、エタノール蒸気/水蒸気混合ガス(1:4)を使い改質実験を行なった。改質温度は600℃とした。その結果を表3に示す。
【0064】(比較例3)比較例1で用いたアルミナ製ハニカムを硝酸銅と硝酸ニッケル中に浸漬した後、ハニカムを引き上げて、炭酸アンモニウム中に浸漬した。次いで、ハニカムを引き上げて、110℃の乾燥機内で乾燥したのち、水素中で、200℃に過熱して還元を行なった。還元後の組織をFE−SEMにより観察したところ、金属銅とニッケルの合金粒径は、100nmであった、数密度は、7×1012個/mであった。また、ハニカムの隔壁交差部である角部には、金属銅粒子の凝集が見られ、角部より0.5μm以内の体積当りの数密度が、隔壁中央部のものより、3倍以上あった。このときのハニカムを用いて、実施例2と同様のエタノール改質実験を行なった。その結果を表3に併せて示す。
【0065】
【表3】

【0066】(実施例8)実施例1で用いたハニカム多孔体である金属酸化物焼結構造体を、さらに、モリブデンアセチルアセトネートを使った含浸法を行なった。含浸後は、110℃で乾燥後、400℃の水素中で加熱して、合金化させた。合金化後の多孔体をFE−SEMにより観察したところ、NiはMoと合体していた。EDXにより組成を測定したところ、Ni:Mo=1:1(原子比)であった。上記方法で製造した金属酸化物焼結構造体を使って、脱硫実験を行なった。脱硫は、400℃、都市ガス(13A)からの脱硫量をモニターした。その結果を表4に示す。
【0067】(比較例4)実施例1と同じ形状のアルミナ製のハニカムを使い、ニッケルアセテートとモリブデンアセチルアセトネートの含浸法によりに触媒粒子を作製した。次いで、ハニカムを110℃の乾燥機内で乾燥したのち、水素中で、400℃に過熱して還元を行なった。還元後の組織をFE−SEMにより観察したところ、NiMoの粒径は、110nmであった、数密度は3×1012個/mであった。また、ハニカムの隔壁交差部である角部には、金属ニッケル粒子の凝集が見られ、角部より0.5μm以内の体積当りの数密度が、隔壁中央部のものより、3.2倍以上あった。このときのハニカムを用いて、実施例6と同じ脱硫実験を行なった。その結果を表4に併せて示す。
【0068】
【表4】

【0069】
【発明の効果】以上に記載したように、本発明によれば、高効率な触媒機能と安価の製造コストを有する金属酸化物焼結構造体及びその製造方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
【出願日】 平成14年6月3日(2002.6.3)
【代理人】 【識別番号】100088487
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 允之 (外1名)
【公開番号】 特開2003−164761(P2003−164761A)
【公開日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願番号】 特願2002−161582(P2002−161582)