| 【発明の名称】 |
ガス吹き込み装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小川 憲二 【住所又は居所】東京都渋谷区千駄ヶ谷5−32−7 奥多摩工業株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】構造的にスケールの滞留を抑制することができ、保守管理の頻度を大幅に低減することが可能なガス吹き込み装置を提供する。
【解決手段】液体を充填した反応槽10の下部に、ガスを導入するためのガス導入管20を備えたガス吹き込み装置において、ガス導入管20の、前記反応槽に接続される部分(第2の管)22を反応槽10に対し、垂直方向に対し斜めになるように接続する。第2の管22が斜めであることにより、液体が滞留しにくくスケールの発生が抑制される。さらに管22内のスケール除去を容易に行うことができるように、ガス導入管の垂直方向の部分(第1の管)21との接続部は、第2の管22の端部よりも内側となるようにし、端部はめくらフランジ23で覆った構造とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体を充填した反応槽と、前記反応槽の下部から反応槽内にガスを導入するためのガス導入管とを備えたガス吹き込み装置において、前記ガス導入管は、前記反応槽の外部に設置される第1の管と、前記第1の管と前記反応槽の底部近傍の側面とを連結し、一端が反応槽内部に挿入された第2の管とを有し、前記第2の管は垂直方向に対し傾斜していることを特徴とするガス吹き込み装置。 【請求項2】 請求項1記載のガス吹き込み装置であって、前記第2の管の他端は、前記第1の管との連結部より外側にあることを特徴とするガス吹き込み装置。 【請求項3】 請求項1又は2に記載のガス吹き込み装置であって、前記第1の管は、少なくとも一部が交換可能であることを特徴とするガス吹込み装置。 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれ1項に記載のガス吹き込み装置であって、前記第2の管の一端は、上部に多孔板で覆われた開口部を有するガス分散函に連結されていることを特徴とするガス吹き込み装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】この発明は、軽質炭酸カルシウムの製造、石油化学における気液接触反応、脱硫酸装置用吸収装置或いは活性汚泥装置用曝気装置等に用いて好適なガス吹き込み装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、気液接触反応を行うための装置においては、気体と液体との接触を良好にするために、液相を充填した反応槽の下部から気体を導入する構造とする必要があり、図4(a)〜(e)に示すような気体導入管の取り付け構造が使用されている。即ち、(a)、(b)は、装置上部から気体導入管を垂直に設置し、その導入口が底部近傍に達するようにしたもの、(c)〜(e)は、気体導入管の垂直部は装置外に設けるとともに垂直部に連続して水平部又は水平部に続く垂直部を設け、水平部又は垂直部を装置の側面又は底部から装値内に導入したものである。 【0003】このような気液接触反応用装置では、時間の経過につれ、ガス導入配管内に反応生成物や件濁物等の沈積(スケール)が生じ、目詰まりや投入ガス量の変動をもたらす。その結果、反応槽内に所定のガス量が投入できず生産効率が低下するという問題があり、これを防ぐためには定期的に清掃を行う等の保守管理が必要である。スケールの除去は、高圧水で配管内を清掃する方法のほかに、図4(e)に示すように、装置の底部に導入される気体導入管の垂直部に、スケーリング除去用清水を供給するための配管を設けたものも提案されている(実開平5-30120号)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなスケーリング除去作業のためには、装置を非稼動とする必要があり、装置の稼働率が低下するという問題がある。また従来の気体導入管は特に垂直方向のスケール除去作業が困難であった。 【0005】そこで本発明は、構造的にスケールの滞留を抑制することができ、保守管理の頻度を大幅に低減することが可能なガス吹き込み装置を提供することを目的とする。また本発明は、ガス導入管の清掃作業、特に垂直部のスケール除去作業が容易なガス吹き込み装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明のガス吹き込み装置は、液体を充填した反応槽と、前記反応槽の下部から反応槽内にガスを導入するためのガス導入管とを備えたガス吹き込み装置において、前記ガス導入管は、前記反応槽の外部に設置される第1の管と、前記第1の管と前記反応槽の底部近傍の側面とを連結し、一端が反応槽内部に挿入された第2の管とを有し、第2の管が垂直方向に対し傾斜していることを特徴とするものである。すなわち、第1の管と第2の管との連結部は、第2の管と反応槽との連結部に対し、垂直方向の上部に設けられているものである。 【0007】このガス吹き込み装置によれば、第2の管は反応槽に対し角度をもって取り付けられており、管内に液が滞留しない構造になっているので、スケールの発生を抑制することができる。その結果、スケール除去作業の頻度を大幅に低減できる。 【0008】本発明のガス吹き込み装置の好適な態様では、第2の管の他端は、第1の管との連結部より外側に延設されている。このガス吹き込み装置では、ガス供給時には他端をめくらフランジ等で密閉し、保守時には、このめくらフランジを外すことにより第2の管内を直接洗浄することができる。従って従来のガス導入管に比べ非常に清掃の作業性がよい。 【0009】本発明のガス吹き込み装置の好適な態様では、第1の管は、少なくとも一部が交換可能である。このガス吹き込み装置では、第1の管を必要に応じてホース配管等の他の配管で取り替えることができるので、例えば第1の管を垂直に設置した場合のスケール除去作業の困難性を解消することができる。 【0010】さらに本発明のガス吹き込み装置は、第2の管の一端に、上部に多孔板で覆われた開口部を有するガス分散函を連結したものとすることができる。このようなすることにより、スケールの生成をさらに低減できるとともに、ガスの圧力を一定にして、ガスの均一な分散を図るとともに、気泡の微細化による気液接触の効率化を図ることができる。尚、本発明のガス吹き込み装置において第1の管は反応槽と平行に垂直に設置することが一般的であるが、垂直以外の設置の仕方であってもよい。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明のガス吹き込み装置の実施形態を図面を参照して説明する。 【0012】図1は、本発明のガス吹き込み装置の一実施形態を模式的に示す図である。このガス吹き込み装置は、例えば、回分式或いは半回分式の軽質炭酸カルシウムの製造装置であり、消石灰の懸濁液を充填した反応槽10と、反応槽10に炭酸ガスを供給するためのガス導入管20を備えている。 【0013】反応槽10は、図示しないが、その上部に所定濃度の消石灰を供給するための配管が接続されるとともに、その内部には攪拌装置11、例えばプロペラ付き攪拌棒や邪魔板付き攪拌棒が設置されている。反応槽10の底部には、反応後の生成物(ここでは軽質炭酸カルシウム)を取り出すための排出バルブ(図示せず)が備えられている。 【0014】ガス導入管20は、反応槽10の外部に垂直方向に設置された第1の管21と、第1の管22に連結された第2の管22とからなり、第1の管21は、例えば、排ガスキルン等の炭酸ガス供給源に、配管、フィルター、ガス量制御バルブ等を介して接続されている。第2の管22は、一端側22aが反応槽10の側面を貫通してその内部(反応槽の下部)に位置するように反応槽10に連結され、他端側22bが第1の管21の下端に連結されている。これにより第1の管21を通して供給されるガスを反応槽10の下部に導入することができる。 【0015】ここで第2の管22は、第1の管21との連結部よりも反応槽10との連結部の方が低い位置となるように、即ち水平方向に対し角度を持つように設置されている。これによって反応槽10内の液体が管22に滞留するのを防止することができ、スケールの発生を最小限にすることができる。第2の管22の角度は特に限定されないが、清掃時の作業性、液の滞留性等を考慮し、水平方向に対し好ましくは10〜80度、より好ましくは20〜70度の範囲とする。また第2の管22の他端側22bの端面は、第1の管21との接続部よりも外側に存在し、通常はめくらフランジ23によって気密が保たれている。 【0016】このような構成とすることにより、清掃時にめくらフランジ23を外すことにより、この他端側22bから容易に管内の清掃を行うことができる。従って、第2の管22の一端側22aは常時液に浸っているが、この部分にスケールが発生しても容易に取り除くことができる。 【0017】第2の管22の一端近傍には、そこから噴出されるガスの液相内拡散を高めるために、公知の多孔板やガス分散装置などを配置することが可能であり、図示する実施形態では、円筒状のガス分散函30が配置されている。 【0018】ガス分散函30は、図2に示すように、上下が開放された円筒状の形状を有し、上部は多孔板31で覆われている。ガス多孔板31は、多数の孔が形成された板で、第2の管22から導入されたガスを微細気泡として反応槽に分散させるものであり、金属や可撓性のある材料で構成することができる。炭酸カルシウムの製造においては、ゴム、エラストマー等の可撓性材料が好適である。 【0019】ガス分散函30の円筒の長さは、ガス分散函30に導入されたガスが下端から飛び出さない長さ、即ちガス分散函30内の液面の高さが下端より上にあることを確保するに十分な長さを有し、これによってガス分散函30内のガスの圧力を一定に保ち、多孔板31から円滑に供給されるようにする。 【0020】尚、図2では、ガス分散函30として比較的深い円筒状のものを示したが、ガス分散函30の円筒自体は浅くして、その底面を閉じた形状とし、底面に圧力を調整するための液封管を別途設けたガス分散函30を用いてもよい。このようなガス分散函30の構成は、特開平3-38232号に開示されており、同様のものを採用できる。 【0021】このような構成のガス吹き込み装置では、第2の管22を角度を持たせて接続したことにより、第2の管22の反応槽内部に設置される距離を短くし第2の管22内への液体の滞留とそれによるスケールの発生を抑制し、保守の頻度を低減し装置の稼働率を高めることができる。また第2の管22の他端側22bの端面をフランジ23で覆った構成とすることにより、管22内の清掃が容易となり、先端にスケールが発生しても容易に除去できる。 【0022】次に、本発明のガス吹き込み装置の他の実施形態を説明する。図3は、他の実施形態を模式的に示す図である。 【0023】図3(a)、(d)に示すガス吹き込み装置は、第2の管22が反応槽10に対し角度を持って接続されていることは図1の実施形態と同様であるが、第1の間21と、第2の管22の端部を連結したものである。図3(b)、(c)は、図1の実施形態と同様に、第2の管の他端側22b端面が第1の管21との接続部よりも外側に存在し、めくらフランジ23によって気密を保っているものである。このように、管21、22の接続部の構造は、反応の種類やスケールの発生しやすさ等を考慮し適宜選択できる。 【0024】また図3(c)、(d)に示すガス吹き込み装置では、第1の管21に交換可能な管やホースを設けたものである。このため、第1の管21の、第2の管22との接続部とは反対側の端部にはフランジ24が設けられ、他のフランジ付き配管25にフランジ接続されている。尚、フランジ接続の代わりに、カップラーを介して耐圧ゴムホース等を着脱するようにしてもよい。この実施形態のガス吹き込み装置では、垂直に設置される第1の管21の一部を他の配管で取り替えることができるので、清掃すべき垂直方向の距離を削減し、スケール除去作業を容易に行うことができる。 【0025】尚、図3では図示を省略しているが、これら各実施形態の装置においても、第2の管22の一端には、図2に示すような分散函30を接続することができ、これにより反応槽中のガス分布の均一性を高め、また気液接触の効率化を図ることができる。 【0026】以上、本発明のガス吹き込み装置の実施形態を説明したが、本発明のガス吹き込み装置は上記実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では第1の管21は、垂直に設置されるものとしたが、水平方向に設置される場合にも本発明を適用することが可能である。また図1及び図3の実施形態では、反応槽10に対し1本のガス導入管20を設けたものを示したが、ガス導入管の数は装置の規模や反応の種類等に応じて任意に変更することができる。ガス導入管が1本の場合には、ガス分散函とは別に分岐用の導管を設けることも可能である。 【0027】更に、上記実施形態は、本発明のガス吹き込み装置の基本的な構成要素を示したものであり、その他、本発明のガス吹き込み装置が適用される用途に応じて公知の機構、例えばオーバーフローする液体の排出管、反応系の温度、圧力、導電率を計測する計測機器やレベル計等を設けることができることは言うまでもない。 【0028】 【実施例】以下、本発明のガス吹き込み装置を軽質炭酸カルシウムの製造に用いた実施例を説明する。 【0029】実施例1ガス吹き込み装置として、高さ4000mm、直径3000mmの反応槽と直径125mmのガス導入管を備え、図3(b)に示す構造のガス吹き込み装置を用いた。まず、反応槽に水酸化カルシウム懸濁液(温度70℃、濃度74g/L)20m3を15分で供給した後、炭酸ガス含有ガス(炭酸ガス濃度30%、温度50℃)を1時間に1500Nm3の吹込み速度でガス導入管から150分間吹込み、反応させた。その後、反応生成物の排出を15分行った。このようなサイクル(180分〜200分)を繰り返し連続反応を行った。 【0030】連続反応開始から1ヶ月後に、ガス量制御バルブの開度を一定にしてガス量の確認を行うとともに、ガス導入管から所定量のガスを出すときのバルブの開度を調べた。またガス導入管のうち横向きの管(第2の管)を外して、内部のスケールを掻き落し、スケール量を測定した。垂直部の管(第1の管)は高圧水で洗浄しスケールを除去し、再度組み立てて、上述した連続反応を1週間行った。1週間後にガス量制御バルブの開度を確認した。バルブ開度及びスケール量の調査の結果を表1に示す。 【0031】実施例2、比較例1、2実施例1と同様の反応槽を備え、ガス導入管の構造の異なるガス吹き込み装置を用いて、実施例1と同様に1ヶ月の連続反応を行った。実施例2では、図3(c)の構造の装置、比較例1、2では図4(c)、(d)の装置をそれぞれ用いた。1ヶ月連続反応後、実施例1と同様にバルブ開度及びスケール量を調査するとともに、洗浄後にさらに1週間稼動した後のバルブ開度を調査した。結果を併せて表1に示す。 【0032】 【表1】
【0033】表1の結果からもわかるように、実施例1、2の装置ではスケール発生量が比較例1、2の装置に比べ少なく、ガス量制御バルブ開度を55%とすることにより、反応時と同じ量のガス量(1500Nm3/hr)を供給することができた。これに対し、バルブ開度55%では反応時と同じガス量を供給することができず(供給ガス量が低下し)、バルブ開度を、それぞれ60%、64%に開くことによって1500Nm3/hrを供給することができた。 【0034】また実施例2の装置では、垂直方向の管へのスケール附着が少ないため、高圧水洗浄によって、初期と同程度のガス供給量が得られた。洗浄後、1週間稼動した結果では、比較例1、2の装置ではすぐにスケールが生じ、ガス供給量が低下した(即ち、開度を大きくしないと一定量のガス量を供給できなかった)のに対し、実施例1、2の装置ではガス供給量の低下が少なく、特に垂直方向にホース配管した実施例2の装置では、非常に優れた結果が得られた。 【0035】 【発明の効果】本発明によれば、ガス吹き込み装置のガス導入管の取り付け構造を改良することにより、構造的にスケールの発生を抑制することができ、それによりガス供給量の低下による生産性の低下や稼働率の低下のないガス吹き込み装置を提供できる。また本発明によれば、ガス導入管の清掃が容易で、確実な清掃を行うことができるガス吹き込み装置を提供できる。さらに本発明によれば、清掃しにくい部分について他の配管への取替えを容易にできるガス吹き込み装置を提供できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】390020167 【氏名又は名称】奥多摩工業株式会社 【住所又は居所】東京都渋谷区千駄ケ谷5丁目32番7号
|
| 【出願日】 |
平成13年12月3日(2001.12.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099852 【弁理士】 【氏名又は名称】多田 公子 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−164753(P2003−164753A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月10日(2003.6.10) |
| 【出願番号】 |
特願2001−368719(P2001−368719) |
|