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【発明の名称】 燃焼排ガスの脱硝方法
【発明者】 【氏名】山本 靖之
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2−6−3 新日本製鐵株式会社内

【氏名】山口 秀雄
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2−6−3 新日本製鐵株式会社内

【氏名】村田 篤
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2−6−3 新日本製鐵株式会社内

【氏名】山崎 良
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2−6−3 新日本製鐵株式会社内

【要約】 【課題】還元剤を用いることなく燃焼排ガスを脱硝し、燃焼排ガス中のNOxを飛躍的に低減する方法を提供する。

【解決手段】燃料および処理物を1100〜1800℃で完全に燃焼ないし焼却した燃焼排ガスを水を噴霧することにより900〜1050℃に短時間で低下させ、低下後の温度を空間速度を調節することで0.5〜2秒間保持することを特徴とする燃焼排ガスの脱硝方法により達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃焼排ガスの温度を900〜1050℃に低下させ、低下後の温度で平衡到達時間以上保持することを特徴とする燃焼排ガスの脱硝方法。
【請求項2】 前記燃焼排ガスが、1100〜1800℃の高温の燃焼排ガスであることを特徴とする請求項1に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【請求項3】 前記燃焼排ガスの温度を900〜1050℃に低下させる手段が、該燃焼排ガスに水を供給することを特徴とする請求項1または2項に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【請求項4】 前記燃焼排ガスの温度低下後の900〜1050℃の温度で0.5〜2秒間保持することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【請求項5】 前記燃焼排ガスの当量比φが、0.83〜0.98の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【請求項6】 前記燃焼排ガスの温度低下後、空気過剰状態で、該温度を平衡到達時間以上保持することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【請求項7】 前記燃焼排ガスが、燃料および/または処理物を完全に燃焼ないし焼却してなるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【請求項8】 前記燃料および/または処理物が、窒素含有化合物を含むことを特徴とする請求項7に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【請求項9】 窒素含有化合物が、安水および/またはアンモニウム塩であることを特徴とする請求項8に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(1)廃棄物焼却処理装置など高温で燃焼処理することで燃焼排ガスの脱硝(NOx低減)が必要となる分野、(2)フューエルNOxを除去する必要のある設備分野に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、廃棄物焼却処理装置などの燃焼装置では、処理物の焼却を完結させるため、高温で燃焼処理を行うが、燃焼排ガス中には燃焼中に生成してできたNOxが含まれているため、この有害物質であるNOxを何らかの方法で除去もしくは分解することで環境基準値以下に抑制することが行われている。現在行われている脱硝方法としては、(1)無触媒脱硝法;アンモニアなどを還元剤として排ガス中に吹き込み、気相無触媒でNOxを分解する方法、(2)触媒脱硝法;触媒を用いてアンモニアとNOxを反応させ、無害な窒素と水蒸気に分解する方法などがとられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の脱硝方法では、何れの方法にせよ、還元剤としてアンモニアもしくは尿素を必要とし、過剰供給により後段にて未反応の還元剤が閉塞や腐食トラブルの原因となる場合があった。
【0004】そこで、本発明の目的は、このような問題を解決し、還元剤を用いることなく燃焼排ガスを脱硝し、燃焼排ガス中のNOxを飛躍的に低減する方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、上記目的を達成すべく、脱硝方法につき鋭意検討した結果、燃焼排ガスに対して還元剤を入れなくても、サーマルNOxができる機構と逆の反応を、ある時間を持たせることによって行うことによってNOxを分解できることができることを知得し、かかる知見に基づき、空気過剰状態で、燃焼排ガスの温度を低温側に変化させ、ある時間を持たせることで、下記■式【0006】
【化1】

【0007】の平衡状態を右にずらすことができ、NOの発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜(9)に記載の燃焼排ガスの脱硝方法により達成されるものである。
【0009】(1) 燃焼排ガスの温度を900〜1050℃に低下させ、低下後の温度で平衡到達時間以上保持することを特徴とする燃焼排ガスの脱硝方法。
【0010】(2) 前記燃焼排ガスが、1100〜1800℃の高温の燃焼排ガスであることを特徴とする上記(1)に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【0011】(3) 前記燃焼排ガスの温度を900〜1050℃に低下させる手段が、該燃焼排ガスに水を供給することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【0012】(4) 前記燃焼排ガスの温度低下後の900〜1050℃の温度で0.5〜2秒間保持することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【0013】(5) 前記燃焼排ガスの当量比φが、0.83〜0.98の範囲であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【0014】(6) 前記燃焼排ガスの温度低下後、空気過剰状態で、該温度を平衡到達時間以上保持することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【0015】(7) 前記燃焼排ガスが、燃料および/または処理物を完全に燃焼ないし焼却してなるものであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【0016】(8) 前記燃料および/または処理物が、窒素含有化合物を含むことを特徴とする上記(7)に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【0017】(9) 窒素含有化合物が、安水および/またはアンモニウム塩であることを特徴とする上記(8)に記載の燃焼排ガスの脱硝方法。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の燃焼排ガスの脱硝方法は、燃焼排ガスの温度を900〜1050℃に低下させ、低下後の温度で平衡到達時間以上保持することを特徴とするものであり、好ましくは、燃料および空気、さらに必要に応じて処理物を1100〜1800℃で完全に燃焼ないし焼却した燃焼排ガスを、空気過剰状態(具体的には当量比φが0.83〜0.98の状態)で、水を噴霧することにより900〜1050℃に、短時間(かつ短区間)で低下させ、低下後の温度を平衡到達時間以上、好ましくは0.5〜2秒間保持することを特徴とするものである。これにより、還元剤、さらには触媒を使用せずNOの分解反応のみでNO低減が達成できるものである。さらに、高温で燃焼処理することで、燃焼時にダイオキシン類やSO3ガスなどの発生を効果的に抑制することができる。
【0019】すなわち、NOxの発生機構としては、サーマルNOx、プロンプトNOx、フューエルNOxなどに分けて考えられるが、一旦発生したNOxの分解反応は、燃焼反応を伴わないので平衡論的にゼルドビッチ機構に従う。図1は、炭化水素系燃料と空気の混合気(すなわち、Cn2n・空気混合気)を燃焼したときのNO発生量と当量比(空気比の逆数=理論空気量/実際の空気量)φの関係を平衡論的に図示したものである。空気過剰状態で、燃焼排ガスの温度を低温側に変化させた場合、例えば、φ=0.9(一定)で、T1:1400K(約1127℃)からT2:1200K(約927℃)に変化させた場合、平衡論的にはNO濃度は220から60ppmに変化する(図1中のφ=0.9の軸線上の矢印参照のこと)。ここで、T1=温度を変化させる前の温度、T2=温度を変化させた後の温度である。
【0020】次に、ゼルドビッチ機構におけるNO生成の温度と反応時間の関係を図2に示す。図2は、本来、NOの発生機構であり、縦軸は、NO生成の温度を表わし、横軸はN2とO2が反応してNOを生成して平衡に達するのに要する時間(平衡到達時間)を表すものであるが、一旦発生したNOの分解反応においても、同様に、NO分解温度(すなわち、T2=温度を変化させた後の温度)と、NOが分解反応してN2とO2を生成して平衡に達するのに要する時間とを表すものとして読み替えることができる。すなわち、図2の縦軸の温度は、温度を変化させた後の温度(T2)を表わし、横軸は、温度を変化させた後の温度(T2)で過剰となったNOが分解反応して平衡状態に達するのに要する時間(平衡到達時間)を表すものといえる。従って、図2において、空気過剰の状態(φ=0.93)で、1200K(約927℃)のときの平衡到達時間は、約300msecと外挿できる。よって、燃焼排ガスのT2温度を400msec以上確保すれば、NOの濃度変化は平衡論で論じることが可能である。かかる知見に基づき、還元剤はなくても、NO濃度は燃焼排ガスの温度を低温側に変化させるだけで、還元剤や触媒を使用せずとも、減少させることができることを見出したものである。
【0021】以下、本発明の実施の形態につき、図面を用いて詳細に説明する。
【0022】図3は、本発明に係る燃焼排ガスの脱硝方法を適用してなる燃焼装置の簡略図である。
【0023】図3に示す燃焼装置301の前半部の燃焼ゾーン303では、燃料と空気の混合気、さらには処理物の燃焼ないし焼却を完結させるため1100〜1800℃の高温で燃焼処理を行う。燃焼時に発生した燃焼排ガスに対し、燃焼装置301の後半部の脱硝ゾーン305の入口側で水を供給(噴霧)して900〜1050℃の低温とし、一定時間(図2のようなゼルドビッチ機構におけるNO発生の温度と反応時間の関係を示すグラフから(外挿により)求められる平衡到達時間(すなわち、平衡論的に温度低下で過剰になったNOが分解反応により減少し低温下で平衡状態になるまでの時間)以上、好ましくは0.5〜2.0秒間)保つことで、NOの平衡状態を右へずらし、燃焼時に発生したNOの分解反応を促進させ、NO濃度を顕著に低減(抑制)させるものである。
【0024】例えば、燃焼装置301の燃焼ゾーン303で燃料と空気の混合気、さらには処理物を高温で完全燃焼ないし焼却させて出てきた高温の燃焼ガスに対して、空気過剰状態(当量比φ=0.97で一定)で、脱硝ゾーン305の入口側で水を噴霧することなく、高温の排ガス温度を低温側に変化させずに脱硝ゾーン305を0.5〜2.0秒間かけて通過させた場合、温度検出部TI1およびTI2では、共に1150℃となり、このとき脱硝ゾーン305を通過後の燃焼排ガス中のNO濃度は60ppmであった。一方、燃焼装置301の燃焼ゾーン303で燃料と空気の混合気、さらには処理物を高温で完全燃焼させて出てきた高温の燃焼排ガスに対して、空気過剰状態(当量比φ=0.97で一定)で、脱硝ゾーン305の入口側で水を噴霧して燃焼排ガス温度を低温側に変化させて低温とし、この低温状態を保って脱硝ゾーン305を0.5〜2.0秒間かけて通過させた場合、温度検出部TI1では1150℃、温度検出部TI2では1000℃となり、このとき脱硝ゾーン305を通過後の燃焼排ガス中のNO濃度は15ppmまで低減(抑制)される(図1中のφ=0.97の軸線上の矢印を参照のこと)。ここで、TI1=燃焼ゾーン303の後部(出口部近傍)の温度検出部をいい、TI2=脱硝ゾーン305の後部(出口部近傍)の温度検出部をいう。
【0025】次に、本発明の実施の形態につき、より詳細に図面を用いて詳細に説明する。
【0026】図4は、本発明に係る燃焼排ガスの脱硝方法を適用してなる燃焼装置の様子を模式的に表した断面概略図である。また、図5(a)は、図4のA−A矢視図であり、図5(b)は、図4のB−B矢視図であり、図5(c)は、図4のC−C矢視図である。なお、図4では、燃焼装置の断面部に位置しない装置構成部材に関しても、説明の都合上、断面図上に描いているため、図5と取付け位置が相違しているものもある。
【0027】図4および図5に示す燃焼装置401では、該装置401の前半部が燃焼ゾーン403となっており、該装置401の後半部が脱硝ゾーン405となっている。
【0028】燃焼ゾーン403には、燃焼装置401の胴径が狭くなった部位の先端部に、装置の軸中心に位置するようにメインバーナー409が設けられている。また、メインバーナー409に燃焼用の酸素源を供給するために燃焼空気入口413が取り付けられている。
【0029】また、上記メインバーナー409には、ガス状の燃焼用燃料を供給するための燃料入口が設けられている。また、燃焼ゾーン403の装置胴部の同一円周上に、図5(b)に示すように、適当数(図5には上部側に4ヶ所等間隔で設置した例を示す)の処理物用インジェクター417が取り付けられており、処理物を供給(噴霧)するための処理物入口419が設けられている。さらに、液状の処理物をそのままを燃焼装置内部に供給するような場合には、素早く燃焼させることができるようにミスト状態で酸素源を伴って供給することが望ましく、こうした場合には、空気を利用して処理物と一緒に燃焼装置内部に圧入すればよく、こうした空気を供給するための噴霧空気入口421が処理物用インジェクター417の側部に設けられている。
【0030】さらに、メインバーナー409ないしこれらの近傍には、燃料と空気の混合気が不安定な燃焼ないし失火していないかどうかを検知する目的で、炎検知器が収納された炎検知器ノズル(図示せず)が設置されている。
【0031】なお、燃焼装置の燃焼ゾーン403では、燃料と空気を混合させ、さらには処理物を完全に燃焼ないし焼却することができるように、内部構造は、旋回流を生みだすものとなっている。また、バーナー部分は、燃料と空気の最適混合比で供給された混合気が、燃焼装置内部に拡散して燃焼効率が低下しないように胴径が他の燃焼ゾーンに比して狭められた構造をしている。
【0032】また、燃焼ゾーン403の後部(出口側近傍)には、燃焼時に生じた燃焼排ガスの温度を測定する目的で、温度検出器(TI1)423が設置されている。
【0033】次に、燃焼装置の後半部の脱硝ゾーン405には、発生したNOが均一に混合されすべてのガスが十分に滞留時間を保てるようにバッフル425が少なくとも1枚(図4では3箇所設置した例を示す)設けられている。
【0034】また、燃焼装置の後半部の脱硝ゾーン405の入口側に冷却水用インジェクター427が取り付けられており、脱硝ゾーン405の入口側のバッフル425aと425bで形成された流路内部を通過する燃焼排ガスの温度を900〜1050℃の温度まで短時間で一時に(急激に)降下させるべく、該冷却水用インジェクター427には該流路に水を供給(噴霧)するめたの冷却水入口(図示せず)が設けられている。さらに、液状の水をそのままを燃焼装置内部に供給(噴霧)するような場合には、蒸発潜熱を利用して素早く冷却させることができるようにミスト状態で酸素源を伴って供給することが望ましく、こうした場合には、空気を利用して水と一緒に燃焼装置内部に圧入すればよく、こうした空気を供給するための噴霧空気入口441が冷却水用インジェクター427の側部に設けられている。
【0035】また、脱硝ゾーン405の後部の燃焼排ガス出口431近傍には、水供給(噴霧)による温度低下後の脱硝ゾーン405内部の燃焼排ガスの温度を計測する目的で温度検出器(TI2)433が設置されている。特に、本発明では、図3で説明したように、脱硝ゾーン405内部を水供給(噴霧)による温度低下後の温度で、所定時間内で通過させるように設計されているため、脱硝ゾーン405内部の適当な箇所での温度を測定すればよく、特に燃焼排ガス出口431での温度測定に制限されるべきものではない。また、燃焼排ガスの空間速度(SV)については、脱硝ゾーン405内部の適当な箇所で測定すればよく、燃焼排ガス出口431以降であっても空間速度が変化しなければ測定することができる。また、脱硝後の燃焼排ガス中のNOxなどのガス分析については、燃焼排ガス出口431以降にガスをサンプリングするなどして測定してもよいし、NOx濃度センサなどを設置して測定してもよいなど、特に制限されるべきものではない。
【0036】次に、上記装置構成を有する燃焼装置を用いてなる本発明の燃焼排ガスの脱硝方法の実施形態につき、説明の都合上、前工程の燃焼ゾーンでの燃焼工程を含めて説明する。
【0037】まず、燃焼ゾーン403内部に燃焼用燃料(通常、気体ないしガス化されたベーパー)と空気の混合気、さらに必要があれば処理物(通常、液状物)を供給して(吹き込んで)高温で完全燃焼させて燃焼ないし焼却させる。
【0038】詳しくは、メインバーナー409から燃焼用燃料を、燃焼空気入口413から燃焼空気をそれぞれ吹き込んで燃焼ゾーン403内で燃焼させる。さらに、処理物入口419と噴霧空気入口421からそれぞれ処理物と空気を供給し、処理物用インジェクター417内部で混合された気液混合物を燃焼中の燃焼装置401内部の燃焼ゾーン403にミスト状にして供給(噴霧)するのが、素早く燃焼できるため望ましい。この際、燃焼空気入口421から燃焼空気を補充することなく液状物の処理物だけをミスト状にして装置内部に噴霧してもよい。さらに、必要があれば、該液状の処理物に気体またはガス化された燃料を加えた気液混合物を処理物入口419から供給して、燃焼中の燃焼装置401内部の燃焼ゾーン403にミスト状にして供給(噴霧)してもよいなど、処理物の供給方法については、特に制限されるべきものではなく、従来公知の供給方法を適宜利用することができる。また、ここでの処理物または処理物と空気の気液混合物または処理物と燃料の気液混合物の供給については、連続的に供給するようにしてもよいし、断続的に供給するようにしてもよいなど、特に制限されるべきものではないが、断続的に供給する場合には、燃焼排ガスの温度や空間速度などが変化することから、脱硝ゾーン405での冷却水の供給量の制御や燃料などの供給圧の調整等が複雑(煩雑)になることから、連続的に流量一定にして供給するのが望ましい。なお、燃焼用燃料と空気の混合気、さらには処理物の燃焼(ないし焼却)方法については、従来公知の各種方法を適用することができるものである。例えば、産業廃棄物および一般廃棄物を焼却する場合には、廃棄物焼却処理装置の2次燃焼室にて、上記に説明したような燃焼処理を行うことができるなど、特に制限されるべきものではない。
【0039】特に、廃棄物焼却処理装置(焼却炉)で産業廃棄物および一般廃棄物を燃焼ないし焼却する際に、ダイオキシン類などの有害物質の発生を防止するには、高温で燃焼ないし焼却処理を行うのが有効であることから、燃焼用燃料と空気の混合気、さらには処理物は、1100〜1800℃、好ましくは1150〜1800℃の高温で燃焼ないし焼却処理を行うことが望ましい。燃焼温度が1100℃未満の場合にはNH3態窒素の未燃分が発生しやすいほか、ダイオキシン類の発生を効果的に抑制できず、最終的にこうした有害物質の捕集装置などを設ける必要がある。さらに燃焼用燃料や処理物に含有される燃焼性硫黄が、かかる低温下で燃焼されることで、SO3の生成を防止することができない。そのため、該SO3は煤塵や壁面に吸着されやすく、燃焼ガス中の水蒸気と、【0040】
【化2】

【0041】のように反応して、硫酸を作る。硫酸水溶液の飽和蒸気圧は低く(95%水溶液の100℃における値は0.24mmHg)、表面温度がかなり高くても凝縮を起こす。これは低温腐食の原因となると共に、酸性煤塵(アシッドスマット)を作り出すことになるためである。そのため、NOx低減技術として、燃料と同質量の大量水をガスバーナーのフレーム(図4のFの部分)に噴霧することにより、火炎の熱を奪って温度を下げると同時に、酸素濃度を低下させることで、NOxの排出濃度を大幅に低減する方法は従来から知られている(例えば、「燃焼工学」(第2版)水谷幸夫著、森北出版、1977年9月28日発行、第218頁、“水噴射と水蒸気噴射”参照のこと)ものの、実際には、こうした大量の水を燃焼ゾーンのバーナー部に噴霧することで燃焼温度が低くなるため、燃料や処理物中に含まれる燃焼性硫黄からSO3が発生するのを効果的に抑制することができないという重大問題があるため、実用上利用できないものであった。一方、燃焼温度が1800℃を超える高温では、こうした燃焼性硫黄の全量がSO2に変わり、燃料や処理物も燃焼ないし焼却を完結することができ、ダイオキシン類などの発生も抑制できるものの、サーマルNOxが多量に発生したり燃料などランニングコストが増大するほか、脱硝ゾーン405での燃焼排ガスの温度調整(温度低下)に必要な冷却水の使用量も増大し、また燃焼ゾーン403での装置の胴部に使用する耐火煉瓦ないし耐熱煉瓦を、より耐熱・耐火性に優れたものに変える必要がある。なお、かかる燃焼ゾーン403の燃焼温度については、燃焼ゾーン403内部の適当な位置に設置した温度検出部(このうちの1つがバーナー409の近傍に設けられた炎検知器であり、また図4、5に示す温度検出部(TI1)423である)にて常に計測(監視)し、かかる燃焼温度が常に上記温度範囲内を保持するように、適宜、燃料、空気および処理物の吹込量を適宜調節するのが望ましい。なお、比較的、燃料と空気の混合気、さらには処理物の混合比率が一定であり、常に一定の燃焼状態を保持できる場合には、複雑(煩雑)な供給(吹込)量の調整を行わなくともよい(実施例の表1参照のこと)。
【0042】次に、燃焼ゾーン403で完全燃焼されて出てきた高温の燃焼排ガスは、好ましくは空気過剰状態で、バッフル425の間隙を抜けて脱硝ゾーン405内に流入される。ここで、燃焼ゾーン403から出てきた高温の燃焼排ガスに、冷却水用インジェクター427から水が噴霧され、所定の温度にまで低下させ、該温度を保持して脱硝ゾーン405を通過させることができる。
【0043】脱硝ゾーン405内に流入される高温の燃焼排ガスは、空気過剰状態であることが望ましく、当量比φが0.83〜0.98、好ましくは0.94〜0.98、の範囲である。該燃焼排ガスの当量比φが0.83未満の場合には、温度を低下させた後でも該燃焼排ガス中にNOを多く含むためさらにNO処理工程が必要のほか、図1に示すように、炭化水素系燃料(Cn2n)の比率が少ないために温度変化に伴うNOの濃度変化量が少なくなる。一方、該燃焼排ガスの当量比φが0.98を超える場合には、該燃焼排ガス中に未処理物や未燃燃料を含み非常に危険であるほか、図1に示すように、空気の比率が少ないために、温度変化に伴うNOの濃度変化量が少なくなる。
【0044】脱硝ゾーン405で水を供給する位置については、該水の供給により、燃焼排ガスを低温とし、これを所定時間保持する必要があるため、仮に脱硝ゾーン405の出口431近傍に設けた場合には、脱硝ゾーン405内で当該所定時間保持できなくなりNOx低減効果が低下するおそれがある。なお、図4に示す実施形態では、便宜的に燃焼装置401の後半部を脱硝ゾーン405としたが、特にこれに制限されるべきものではなく、脱硝ゾーン(ないし脱硝装置)が燃焼装置の後半部から他の装置(脱硝装置に制限されるものではない)にまでわたって形成されていてもよく、燃焼装置とは別に専用の脱硝装置を設けてもよいし、他の装置に至るまでの配管連結部などにおいても、耐火・耐熱煉瓦や保温材等により燃焼排ガスの温度変化が抑えられる構造とすることで、本発明の脱硝方法に適用可能な脱硝ゾーンないし脱硝装置(ないしその一部)として機能させてもよいなど、本発明の脱硝方法の適用を燃焼装置の後半部に限定しなければならないとして本発明の脱硝方法の適用を狭い範囲に限定解釈すべきものではなく、本発明の請求項に規定した構成要件である低温の燃焼排ガスを一定時間保持できさえすれば、本発明が適用できる廃棄物焼却処理装置など高温で燃焼処理することで燃焼排ガスの脱硝(NOx低減)が必要となる設備(装置)やフューエルNOxを除去する必要のある設備(装置)のどこで行ってもさしさえない。
【0045】また、水の供給方法としては、特に制限されるべきものではないが、好ましくは噴霧空気入口441から空気を冷却水用インジェクター427内部に供給し、冷却水用インジェクター427内部の冷却水を燃焼装置401内部の脱硝ゾーン405にミスト状にして供給(噴霧)するのが、素早く気化し所定温度に達することで蒸発潜熱や蒸気顕熱として燃焼排ガスの持つ熱を奪うことができるため、短時間(短期間)に所定温度にまで燃焼排ガス温度を低下させることができる点で優れている。
【0046】また、水での冷却は、蒸発潜熱で冷却するので、水の温度にはあまり左右されるものではない。よって、噴霧する水の温度としては、特に制限されるべきものではないが、燃焼排ガスの温度低下に際し、水の温度が低ければ水の使用量が抑えられるが、水の温度制御に要するコストが発生するため、一般には常用の水を用いる。
【0047】脱硝ゾーン405で水の供給(噴霧)により温度低下された燃焼排ガスの温度としては、上記したように高温の燃焼排ガスを低温としてNOの平衡を右へずらすことで、NO濃度を目的とする濃度レベル、すなわち、排出基準値(例えば、60ppm)以下にできるものであればよく、900〜1050℃、好ましくは970〜1030℃の範囲である。水噴霧後の燃焼排ガスの温度が900℃未満の場合には、NO濃度を目的レベルの排出基準値以下まで大幅に低下させることができる反面、燃焼処理するという主目的が達成されないという問題が発生するほか、図2に示すように水噴霧後の燃焼排ガスの温度が低温になるほどNOの平衡到達時間(NOの分解反応に要する時間)が長くなるため、燃焼排ガスの空間速度を大きくして脱硝ゾーン405の通過時間が長くなるようにすればよいが、あまり空間速度を小さくすると単位時間当たりの燃焼排ガス量が少なく、時間当たりの燃焼処理量が制限されることになる。あるいは脱硝ゾーン405が長い距離必要となるために装置を大型化しなければならなくなり不経済である。一方、水噴霧後の燃焼排ガスの温度が1050℃を超える場合には、図1に示すゼルドビッチ機構により温度を変化させた後のNOの濃度が平衡論的に変化しても、変化後のNOの濃度が高く、環境基準値を満足するには他の脱硝手段と組み合わせる必要が生じることがある。但し、本発明の脱硝方法においては、請求項に規定する構成要件を満足するものであれば、本発明の技術的範囲に含まれるものである。よって、たとえ本発明を回避する目的で、従来公知の還元剤や触媒を用いる方法(およびその装置)を付加したものないし組み合わせたものであっても、本発明の構成構成を満足することで、有効にその作用効果を発現できるものである以上、決して本発明の範囲を外れるものではなく、本発明の技術的範囲(権利範囲)に含まれるものである。なお、ここでの燃焼排ガスの温度としては、水噴霧後の温度を測定するのが望ましいが、上述したように脱硝ゾーンでの温度をほぼ一定に保持できるものであれば、燃焼排ガス出口近傍の温度(TI2)としても特に問題はない。
【0048】水噴霧後に温度低下した燃焼排ガスの脱硝ゾーン405での保持時間としては、図2に示すゼルドビッチ機構における反応時間のグラフから外挿できる当該燃焼ガス温度における平衡到達時間以上であればよく、好ましくは0.5〜2.0秒間、より好ましくは0.6〜2.0秒間、特に好ましくは1.0〜2.0秒間の範囲である。保持時間が平衡到達時間未満の場合には、NOの平衡反応が十分になされずに、未反応のまま脱硝ゾーンを通過することになるため、所望のNO濃度を実現することができない。なお、0.5秒間未満の場合には、平衡到達時間以上であればNOの濃度変化を平衡論で論じることができるが、実際には水噴霧後の燃焼排ガス温度は、すべて一様に均一な温度分布にすることは難しく、ある程度の温度分布に差が生じることが一般的である。そのため、水噴霧後の燃焼排ガス温度(測定平均値)での平衡到達時間ぎりぎりでは未達なところもあり得るため、NO濃度の低減幅が理論値よりも小さくなることがある。一方、保持時間の上限については、特に制限されるべきものではないが、2.0秒間を超える場合には、空間速度を遅く(小さく)する必要があるために、単位時間当たりの燃焼排ガス量が少なく、時間当たりの燃焼処理量が制限されることになる。あるいは脱硝ゾーン405部分の流路を長くしなければならず設備費の増大につながり不経済である。
【0049】また、流路の混合効率を高め燃焼排ガスを均一化する観点から、図4に示すように、適当数のバッフルを設置したり、燃焼排ガス流路をループ状に形成するなどしてもよい。
【0050】なお、本発明の脱硝方法が適用できる設備としては、上述したように(1)廃棄物焼却処理装置など高温で燃焼処理することで燃焼排ガスの脱硝(NOx低減)が必要となる焼却処理設備(装置)、(2)フューエルNOxを除去する必要のある設備(装置)であり、具体的にはアミン系化合物やアンモニア態窒素化合物を多く含む産業廃棄物焼却設備などの設備において幅広く適用することができるものである。
【0051】また、本発明に用いることのできる燃料としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の各種燃料を使用することができる。すなわち、通常、燃焼用酸素源として空気を使用する場合には、燃焼過程で空気中のN2などからサーマルNOxやフューエルNOxなどが生じるため、特に窒素含有燃料でなくとも本発明の方法が使えるものである。かかる燃料としては、例えば、コークス製造過程で発生するコークス炉ガス(COG)、アンモニアリッチガス(例えば、COGやその他のガス精製過程でのアンモニア除去設備のアンモニア再生塔から出てくるガスなど)などが挙げられるが、本発明では、さらに天然ガス(LPG)や都市ガスなどの燃料を少なくともその一部に使用する実施態様を排除するものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、NOx源となる窒素含有化合物を含むものに対して、特に効果的に適用することができる。好ましくは、経済性の面から、燃料自体が廃棄物である場合である。これにより天然資源であるLPGや都市ガスなどを消費(浪費)することなく、廃棄物を有効利用(2次利用)できる点から望ましい。但し、アンモニアリッチガス等の場合においては、完全燃焼に必要な1100℃以上で自燃するカロリーがないので、よりカロリーの高いCOGなどに加えて使用すれば、燃焼による有害物質(例えば、ダイオキシン類やSO3など)の発生を防止することができる。また、燃料は、液体、気体、固体のいずれであってもよく、また混合形態、例えば、気液混合、固液混合などであってもよいなど、特に制限されるものではないが、バーナー部に燃料を供給する場合には、該バーナーの供給経路が詰まったりしないように、気体もしくはガス化されたベーパー(蒸気)として使用するのが望ましい。
【0052】また、本発明の燃焼用空気には、空気以外にも、他の酸素リッチガスが含まれていてもよい。該酸素リッチガスとしては、例えば、曝気槽から排出されるオフガスなどが挙げられる。好ましくは、経済性の面から空気である。
【0053】なお、これらの燃焼用空気は、図4、5に示すように、燃焼ゾーン内のバーナー部のほかに、処理物の吹込と一緒に吹き込んでもよいし、他の燃焼ゾーンの他の部分からも必要に応じて適宜吹き込むことで燃焼ゾーンでの燃料および処理物を完全に燃焼(焼却)することができ、かつ脱硝ゾーンでの燃焼排ガスの当量比φが所定の値になるように吹き込むようにしてもよい。
【0054】また、本発明に用いることのできる処理物としては、廃棄物焼却処理装置で焼却される廃棄物(産業廃棄物および一般廃棄物の双方が含まれる)、各種生産設備(例えば、COG精製設備など)から出てくる廃液や廃油等の廃棄物(例えば、安水、脱硫吸収液、吸収油など)など、可燃物を含有するものであれば特に制限されるべきものではないが、NOx源となる窒素含有化合物を含むものに対して、特に効果的に適用することができる。よって、上記燃料の一部を処理物として用いてもよいし、逆に処理物の一部を燃焼として用いてもよい。図4では、メインバーナー409から気体ないしガス化してベーパーで供給するものについては、燃料に分類し、処理物入口417から液体ないし液状のまま(ミスト状)で装置内部に供給するものについては処理物として分類したが、特にかかる分類によって本発明が制限されるものではなく、該処理物は、液体、気体、固体のいずれであってもよく、また混合形態、例えば、気液混合、固液混合などであってもよいなど、特に制限されるものではない。ここで、安水とは、石炭中の水分を主体とし、水溶性のフェノール、アンモニア塩などが溶け込んだ淡黄色の水溶液をいい、COG精製過程でタールを分離した際に出てくる。
【0055】また、本発明の脱硝ゾーンでの燃焼排ガスの温度低下に用いることのできる冷却方法としては、特に制限されるべきものではなく、例えば、適当な冷媒を燃焼排ガスに供給(噴霧)してもよいし、バッフルや燃焼装置の本体(胴部)構造部に冷媒を通じて熱交換するようにしてもよいなど、従来公知の各種冷却方法を採用することができるが、好ましくは、大きな蒸発潜熱および蒸気顕熱を利用して短時間(短期間)で一気に所定温度にまで燃焼排ガスを冷却することができる観点から、好ましくは燃焼排ガスに水を噴霧する方法が好ましい。
【0056】なお、上記実施形態では、本発明の脱硝方法を脱硝ゾーンを燃焼装置の後半部に適用した場合を例示したが、本発明では、主に燃焼ゾーンからなる燃焼装置に連結された脱硝装置を別途設け、該脱硝装置に本発明の方法を適用してもよいし、あるいは溶融炉からのガスを引き込んで2次燃焼室またはその後方に本発明の脱硝方法を適用してなる脱硝ゾーンまたは脱硝装置を設けてもよいなど、特に制限されるべきものではない。
【0057】また、本発明では、図1および図2から当量比φや燃焼排ガス温度に応じた、NO濃度や平衡到達時間を求めたり、外挿することができるものであるが、これらは、説明の都合上、一定の条件、例えば、装置内圧力一定(図1)であったり、燃料と空気を、炭化水素系燃料と空気とした場合の例(図1)であったり、当量比φが一定(図2)であったりする。そのため本発明を幅広く適用する上で、実際に操業する条件にて、図1および図2に相当するグラフを予め作成しておくのが望ましい。
【0058】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0059】実施例1〜23および比較例1〜7図4および5に示す燃焼装置を用いて、高温で完全に燃焼ないし焼却を行い、燃焼で生じた1150℃(TI1)の高温の燃焼排ガスに、空気過剰状態(当量比φ=0.83;一定)で、本発明に係る方法を適用し、冷却水用インジェクター427を通じて、脱硝ゾーン405内部に冷却水を噴霧して短時間で一時に約1000℃の低温として一定時間保持すべく、燃焼排ガスの脱硝ゾーン405を0.6秒間(φ=0.93一定で、1000℃のときの平衡到達時間は図2より外挿して約0.23秒と求められる。)で通過させ燃焼排ガスのNO低減(脱硝)を行った(実施例)。一方、比較例では、本発明に係る方法を行うことなく(すなわち、水を噴霧することなく)、実施例と同じ0.6秒で脱硝ゾーンを通過させた。以下、より具体的に説明する。
【0060】全ての実施例および比較例につき、燃焼用燃料として、アンモニアリッチのベーパーとCOGとの混合ガスを用い、燃料用空気として空気を用い、処理物としてアンモニウム塩水溶液{(NH42SO4、(NH42SCN、NH3などを含むCOGガスの精製過程で生じた廃液(アンモニウム塩濃度2.4モル/リットル)}を用い、各実施例および比較例ごとにそれぞれT1での温度が約1150℃となるように、下記表1に示す単位時間当りの供給(吹込)量を、メインバーナー409、燃焼空気入口413、421等、処理物用インジェクター417の処理物入口419を通じてそれぞれ燃焼ゾーン403内に加えて燃料および処理物を完全に燃焼ないし焼却した。
【0061】該燃焼ゾーン403において燃料および処理物が完全燃焼(焼却)して発生した燃焼排ガスは、上記空間速度にてバッフル425の隙間から脱硝ゾーン405に流入する。
【0062】ここで、各実施例においては、空気過剰状態(当量比φ=0.83で一定)で、燃焼空気入口441から空気を冷却水用インジェクター427内部に供給し、冷却水用インジェクター427内部の冷却水を脱硝ゾーン405内にミスト状にして適量噴霧することで、燃焼排ガスの温度を短時間で一気に低下させて低温(約1000℃;TI2での測定温度)とし、0.6秒間で脱硝ゾーン405を通過させた。
【0063】一方、各比較例では、空気過剰状態(当量比φ=0.83で一定)で燃焼させ、燃焼排ガスに水を噴霧することなく、脱硝ゾーン405を実施例と同様に0.6秒間で通過させた。
【0064】この間、各実施例および比較例でのTI1およびTI2での温度を測定すると共に、燃焼排ガス出口431以降にて連続分析計にてNOx値の分析を行った。なお、各実施例および比較例は、いずれも3日間以上継続して行い、ガス分析については、12時間ごとに採取したガスの測定値を表す。また、TI1およびTI2の温度測定は、各実験中継続して行った。また、燃料、空気および処理物の供給(吹込)量は、各実験中、常に一定になるように流量バルブやポンプなどで制御しながら連続供給して行い、各供給量の測定は、各実験中継続して行った。
【0065】得られた結果を下記表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】上記表1中の燃焼空気の欄を3つに分けたのは、それぞれ吹込口が異なるためであり、左欄が燃焼用空気吹込口413からの空気量を表わし、中欄が噴霧空気入口417からの空気量を表わし、右欄が冷却水用インジェクター427からの空気量を表わす。
【0068】上記表1中の噴霧空気とは、噴霧空気入口421と441の和をいう。
【0069】
【発明の効果】本発明の燃焼排ガスの脱硝方法では、還元剤を使用せずNOの分解反応のみ燃焼時に発生したNOを極めて低い濃度(NOの排出基準レベルより十分低い濃度)にまで低減することができる。よって、燃焼排ガスの温度低減手段と、低減後の温度を一定時間保持する機能さえ有すれば、還元剤およびその供給装置、触媒も不要となるという、極めて優れた作用効果を発揮し得るものである。また、未反応の還元剤が引き起こすトラブルも解消される。
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目6番3号
【識別番号】390022873
【氏名又は名称】日鐵プラント設計株式会社
【住所又は居所】福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の59
【出願日】 平成14年2月4日(2002.2.4)
【代理人】 【識別番号】100072349
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 幹雄 (外4名)
【公開番号】 特開2003−225536(P2003−225536A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−26556(P2002−26556)