トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般




【発明の名称】 炭素質吸着材のインプラント賦活方法及び排ガス処理方法
【発明者】 【氏名】蜷川 康彦
【住所又は居所】福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社総合研究所内

【氏名】岩永 豊
【住所又は居所】福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社総合研究所内

【氏名】中野 茂吉
【住所又は居所】福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社総合研究所内

【氏名】軽部 勝彦
【住所又は居所】栃木県栃木市国府町1番地 三井鉱山株式会社栃木事業所内

【要約】 【課題】硫黄酸化物を含む130℃以下の排ガスを炭素質吸着材が充填された移動層式反応塔に導入して排ガス処理を行い、反応塔から排出される吸着材を再生塔に導入して加熱再生した後、再び反応塔へ供給する排ガス処理装置を用いて、炭素質吸着材の内部強度を維持し粉化を抑制するインプラント賦活方法を提供する。排ガス処理に伴い損耗する炭素質吸着材を補充し、未賦活の炭素質吸着材の賦活を行いながら130℃以下の排ガスを処理する排ガス処理方法を提供する。

【解決手段】再生塔に供給する賦活中の炭素質吸着材に含まれるアンモニアと硫黄酸化物とのモル比を0.1〜1.0の範囲に調整する炭素質吸着材のインプラント賦活方法。排ガス中に添加するアンモニア量と硫黄酸化物とのモル比を1.0以下とし、かつ、再生塔に供給する炭素吸着材に含まれるアンモニアと硫黄酸化物とのモル比を0.1〜1.0の範囲に調整して行う排ガス処理方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも硫黄酸化物を含む130℃以下の排ガスを炭素質吸着材が充填された移動層式反応塔に導入して排ガス処理を行い、反応塔から排出される吸着材を再生塔に導入して加熱再生した後、再び反応塔へ供給する排ガス処理装置を用いて運転開始当初に系内に初期充填した炭素質吸着材の性能を向上させるインプラント賦活方法であって、再生塔に供給する賦活中の炭素質吸着材に含まれるアンモニアと硫酸換算の硫黄酸化物(共に塩を含む)とのモル比(アンモニア/硫黄酸化物)を0.1〜1.0の範囲に調整することを特徴とする炭素質吸着材のインプラント賦活方法。
【請求項2】 排ガス中にアンモニアを添加して行う請求項1に記載のインプラント賦活方法。
【請求項3】 アンモニアを断続的に添加する請求項2に記載のインプラント賦活方法。
【請求項4】 反応塔から排出された炭素質吸着材にアンモニアを添加して行う請求項1に記載のインプラント賦活方法。
【請求項5】 排ガス中の硫黄酸化物濃度を100ppm以上の濃度に調整して行う請求項1乃至4の何れかに記載のインプラント賦活方法。
【請求項6】 少なくとも硫黄酸化物を含む130℃以下の排ガスにアンモニアを添加し、これを炭素質吸着材が充填された移動層式反応塔に導入して排ガス処理を行い、反応塔から排出される吸着材を再生塔に導入して加熱再生した後、再び反応塔へ供給する排ガス処理方法であって、排ガス処理に伴い損耗する炭素質吸着材を補充しながら行う排ガス処理方法において、排ガス中に添加するアンモニア量と排ガス中に含まれる硫黄酸化物とのモル比(アンモニア/硫黄酸化物)を1.0以下とし、かつ、再生塔に供給する炭素質吸着材に含まれるアンモニアと硫酸換算の硫黄酸化物(共に塩を含む)とのモル比(アンモニア/硫黄酸化物)を0.1〜1.0の範囲に調整し、補充した未賦活の炭素質吸着材の賦活を行いながら排ガス処理することを特徴とする排ガス処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、賦活前の炭素質吸着材を排ガス処理装置内で賦活する炭素質吸着材のインプラント賦活方法に関する。また、本発明は、排ガス処理中に損耗する炭素質吸着材を排ガス処理装置に補充しながら、補充した炭素質吸着材の賦活を行う排ガス処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種のボイラ排ガス、或いは製鉄所の焼結炉排ガス等、硫黄酸化物及び窒素酸化物を含有する排ガスを処理する方法として、従来、活性炭等の炭素質吸着材を用いて脱硫及び脱硝処理を行う方法が採用されている。
【0003】この方法は、炭素質吸着材を充填した移動層式反応塔に排ガスを導入し、移動層を流下する吸着材に対して排ガスを直交流で通過させ、排ガスを吸着材に接触させるものである。
【0004】排ガスと炭素質吸着材を接触させることにより、排ガス中の硫黄酸化物を吸着材に吸着させて除去すると共に、窒素酸化物をアンモニアと反応させ、炭素質吸着材の触媒機能によって窒素と水に分解して除去することができる。
【0005】炭素質吸着材は、排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸着することにより次第に吸着機能及び触媒機能が低下する。従って、反応塔の下部から炭素質吸着材を排出して再生塔へ送り、再生塔で高温加熱して吸着材から硫黄酸化物を放出させる再生処理を行うことが必要となる。
【0006】再生処理した炭素質吸着材は、冷却した後再生塔から取り出し、機械的摩耗等により粉化した炭素質吸着材を除去した後、再び反応塔の上部に供給して循環使用する。
【0007】炭素質吸着材を循環させ使用するうちに、機械的粉化による損耗及び化学的損耗により減量するので、新たな吸着材を補給する必要がある。
【0008】炭素質吸着材の粉化は、排ガスに含まれる硫黄酸化物と排ガスに添加したアンモニアが反応して吸着材の細孔内部で硫安又は酸性硫安が生成し、これらが固体となって吸着材内部に機械的な応力を発生させ吸着材を破壊する現象(硫安劣化)が原因である。
【0009】特に、硫安は排ガス温度が低いときに固体として生成するので、排ガスの温度が比較的低い(例えば100℃)場合には使用する炭素質吸着材が著しく粉化する問題が発生する。
【0010】粉化により発生した微粉は吸着材粒子間に目詰まりを生じ、反応塔を通過する排ガスの偏流や圧力損失の増加を起こすので、装置の運転に支障をきたす。
【0011】また、粉化した吸着材を処理系内から除去して、その分に相当する新しい吸着材を系内に補給することになるので、運転コストが上昇する。
【0012】本発明者等は、炭素質吸着材の粉化の対策として、排ガスへのアンモニアの添加を断続的に行うことにより、硫安劣化を抑制できることを確認し、先に特許出願した(特願2001−178698)。この方法を採用することにより、硫安等は炭素質吸着材の内部細孔で均一に生成し、吸着材の粉化を低減することが可能となった。
【0013】また、粉化の要因として上記の処理方法の他に、使用する炭素質吸着材の性状も重要な要因となると考えられる。炭素質吸着材の性状として重要なものは、機械的強度と比表面積である。
【0014】前述のように、排ガス処理に用いられる炭素質吸着材は、常に反応塔と再生塔との間を循環して使用するものであるから、機械的強度の高いものが要求される。機械的強度は、使用する原料や製造方法によって異なる。
【0015】比表面積は、脱硫性能や脱硝性能に直接係わる物性値であり、比表面積が大きいほど性能は高くなるが、機械的強度は低下するのであまり大きくはできない。比表面積は、賦活処理の条件や使用履歴によって異なる。
【0016】本発明者等は粉化と機械的強度又は比表面積との関係を確認するためテストを行ったところ、機械的強度については多少の相関が見られ、比表面積については相関が見られなかった。また、同一の吸着材であっても、賦活方法や使用履歴の違いによって大きな違いが見られたが、その要因を十分に把握することはできなかった。そこで、賦活方法について引き続き研究を行うことにした。
【0017】炭素質吸着材が十分な脱硫性能や脱硝性能を備えるためには、比表面積を増加させ脱硫及び脱硝に適した細孔構造を形成することが必要である。
【0018】吸着材の賦活処理は、吸着材の製造工程に賦活の工程を設けて硫酸賦活や水蒸気賦活を行うこともできるが、この場合多大なコストを必要とする。
【0019】最も経済的な方法は、排ガス処理装置の系内に未賦活の炭素質吸着材を充填して、排ガス処理を行いながら装置内で賦活する方法である。
【0020】この方法においては、反応塔で炭素質吸着材に吸着した硫黄酸化物が再生塔で加熱処理される際に吸着材中で硫酸(又は塩)となっているので、賦活材として機能する。
【0021】この方法をインプラント賦活と称し、装置の試運転期間(3ヶ月程度)を利用して実施することができる。
【0022】従来、インプラント賦活はアンモニアの添加を行うと賦活速度の低下を招き添加量が多いほど賦活速度が遅くなると考えられ、賦活時間を短くするため排ガス中にアンモニアを添加しないで行うことが好ましいとされていた(特開昭58−159832号)。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、炭素質吸着材を加熱再生して循環使用する排ガス処理方法において、系内に初期充填する未賦活の炭素質吸着材の性能向上を目的として行うインプラント賦活方法であって、炭素質吸着材の内部強度を維持し、粉化を抑制する賦活方法を提供することにある。
【0024】また、本発明の目的は、炭素質吸着材を加熱再生して循環使用する排ガス処理方法において、補充した未賦活の炭素質吸着材の賦活を行いながら排ガスを処理する方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者等はインプラント賦活方法に付き鋭意研究を重ねた結果、排ガス中の硫黄酸化物を吸着させた炭素質吸着材を、一定量のアンモニアの存在下、再生塔において再生処理を行うことにより、賦活の際に生じる吸着材の内部強度の低下を抑制し、しかも速い賦活速度で賦活を行うことができることを見出した。
【0026】更に、アンモニアの存在下再生処理を行うことに加えて排ガス中に添加するアンモニア量を一定の範囲に調整すれば、補充した未賦活の炭素質吸着材の内部強度を維持したまま排ガスの処理を行うことができることを見出した。
【0027】すなわち、上記課題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
【0028】〔1〕 少なくとも硫黄酸化物を含む130℃以下の排ガスを炭素質吸着材が充填された移動層式反応塔に導入して排ガス処理を行い、反応塔から排出される吸着材を再生塔に導入して加熱再生した後、再び反応塔へ供給する排ガス処理装置を用いて運転開始当初に系内に初期充填した炭素質吸着材の性能を向上させるインプラント賦活方法であって、再生塔に供給する賦活中の炭素質吸着材に含まれるアンモニアと硫酸換算の硫黄酸化物(共に塩を含む)とのモル比(アンモニア/硫黄酸化物)を0.1〜1.0の範囲に調整することを特徴とする炭素質吸着材のインプラント賦活方法。
【0029】〔2〕 排ガス中にアンモニアを添加して行う〔1〕に記載のインプラント賦活方法。
【0030】〔3〕 アンモニアを断続的に添加する〔2〕に記載のインプラント賦活方法。
【0031】〔4〕 反応塔から排出された炭素質吸着材にアンモニアを添加して行う〔1〕に記載のインプラント賦活方法。
【0032】〔5〕 排ガス中の硫黄酸化物濃度を100ppm以上の濃度に調整して行う〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載のインプラント賦活方法。
【0033】〔6〕 少なくとも硫黄酸化物を含む130℃以下の排ガスにアンモニアを添加し、これを炭素質吸着材が充填された移動層式反応塔に導入して排ガス処理を行い、反応塔から排出される吸着材を再生塔に導入して加熱再生した後、再び反応塔へ供給する排ガス処理方法であって、排ガス処理に伴い損耗する炭素質吸着材を補充しながら行う排ガス処理方法において、排ガス中に添加するアンモニア量と排ガス中に含まれる硫黄酸化物とのモル比(アンモニア/硫黄酸化物)を1.0以下とし、かつ、再生塔に供給する炭素質吸着材に含まれるアンモニアと硫酸換算の硫黄酸化物(共に塩を含む)とのモル比(アンモニア/硫黄酸化物)を0.1〜1.0の範囲に調整し、補充した未賦活の炭素質吸着材の賦活を行いながら排ガス処理することを特徴とする排ガス処理方法。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明のインプラント賦活方法により賦活を行う炭素質吸着材としては、炭素質のものであれば特に制限されず、賦活が不十分な活性炭、活性コークス、未賦活のコークス等を挙げることができる。本発明の目的を十分達成する観点から未賦活の炭素質材料を用いることが好ましい。
【0035】炭素質吸着材の形状は通常吸着材として用いられるものであれば特に制限されないが、平均粒径5〜20mmの粒状であることが好ましい。
【0036】炭素質吸着材のインプラント賦活において、排ガス中の硫黄酸化物濃度は、賦活速度を確保するために100ppm以上であることが好ましく、150〜300ppmがより好ましい。硫黄酸化物としては、SO2、SO3等のいわゆるSOxである。硫黄酸化物濃度が100ppm未満の場合は、排ガス中に硫黄酸化物を添加して100ppm以上とすることが好ましい。添加する硫黄酸化物は、再生塔で放出した硫黄酸化物を利用することもできる。
【0037】排ガスには他の成分、例えばNO、NO2等の窒素酸化物(いわゆるNOx)が含まれていてもよい。
【0038】排ガスの温度は130℃以下とするが、80〜130℃であることが好ましい。排ガスの温度が130℃以下の場合は硫安等が固体として生成するが、本発明の方法によれば硫安等の固体が生成しても炭素質吸着材の粉化を防止することができる。
【0039】アンモニアは通常排ガス中に添加するが、反応塔から排出された炭素質吸着材や、再生塔上部の比較的温度が低い部分にアンモニアを添加することもできる。
【0040】排ガス中にアンモニアを添加する場合、断続的に添加することが好ましい。断続的に添加する場合の添加時間は1分間〜10時間が好ましく、10分間〜2時間がより好ましい。不添加時間は1分間〜10時間が好ましく、10分間〜2時間がより好ましい。
【0041】本発明のインプラント賦活方法において、再生塔に供給する賦活中の炭素質吸着材に含まれるアンモニアと硫酸換算の硫黄酸化物(共に塩を含む)とのモル比(アンモニア/硫黄酸化物)を0.1〜1.0とするが、0.2〜0.6とすることがより好ましい。0.1未満では、吸着材の内部強度の低下が著しく、1.0を超えると賦活速度が遅くなる。
【0042】再生塔での再生・賦活処理時間は1分間〜10時間とすることが好ましく、10分間〜2時間とすることがより好ましい。
【0043】また、炭素質吸着材を再生塔で再生・賦活処理する際の処理温度は、450〜550℃が好ましい。
【0044】本発明は、炭素質吸着材が反応塔で硫黄酸化物を吸着し、再生塔で加熱再生することによる賦活処理を繰り返すことにより未賦活の炭素質吸着材のインプラント賦活が行われるものである。上記の条件で、このサイクルを5〜15回繰り返すことが好ましい。
【0045】図1は本発明のインプラント賦活方法の一例を示す工程図である。
【0046】移動層式反応塔10には賦活中の炭素質吸着材が充填され、上から下方向に移動する移動層を形成している。
【0047】反応塔10の下部から抜出された炭素質吸着材は、ライン60により再生塔20へ送られて再生・賦活処理される。
【0048】再生塔で再生・賦活処理された吸着材は、ライン70により反応塔10の上部に戻される。
【0049】一方、硫黄酸化物を含有する排ガスは、ライン30より反応塔10へ供給される。
【0050】反応塔10において、排ガスは吸着材の移動層を水平方向に通過した後、処理済ガスはライン40により排出される。
【0051】排ガスライン30には、ライン50からアンモニアが添加される。
【0052】なお、図1においてライン80は、吸着材の賦活処理によって発生する高濃度硫黄酸化物の排出ラインを示す。
【0053】本発明の排ガス処理方法においても、補充する未賦活の炭素質吸着材の賦活を行いながら排ガスの処理を行うため、以下に記載するようにアンモニアの添加を行い炭素質吸着材の内部強度を維持する。
【0054】即ち、本発明の排ガス処理方法は、排ガス中に添加するアンモニア量と排ガス中に含まれる硫黄酸化物とのモル比(アンモニア/硫黄酸化物)を1.0以下とし、かつ、再生塔に供給する炭素質吸着材に含まれるアンモニアと硫酸換算の硫黄酸化物(共に塩を含む)とのモル比(アンモニア/硫黄酸化物)を0.1〜1.0の範囲に調整して行うことを特徴とする。
【0055】本発明の排ガス処理方法においても、排ガス中に窒素酸化物等の他の成分が含まれていてもよい。
【0056】硫黄酸化物と窒素酸化物が含まれる排ガス中にアンモニアを添加した場合、アンモニアと硫黄酸化物との反応が優先する。このため、排ガス中のアンモニアと硫黄酸化物とのモル比(アンモニア/硫黄酸化物)が1.0以下では、脱硝はほとんど起こらない。従って、脱硝を目的とするアンモニアの添加と区別することができる。
【0057】排ガスへのアンモニアの添加量以外の条件は、上記インプラント賦活方法における条件と同様とすることが好ましい。
【0058】また、系へ補充する炭素質吸着材についても、上記インプラント賦活方法に初期充填するものと同様のものを用いることが好ましい。
【0059】
【実施例】実験例1賦活処理におけるアンモニアの影響を確認するために次の実験を行った。未賦活の炭素質吸着材をカラムに充填し、吸着処理と再生処理を10サイクル繰り返すことにより賦活処理を行った。排ガスに添加するアンモニア量を変えて、5回のテストを行った。
NH3/SOx(モル比)=0、0.1、0.3、0.5、1.0【0060】
「吸着処理」
吸着材料 : 260g SV値 : 400h-1 排ガス温度 : 120℃ SOx濃度 : 1000ppm(dry base)
酸素濃度 : 15.0容量%(dry base)
水分濃度 : 10.0容量%(wet base)
通ガス時間 : 50h アンモニア添加量: NH3/SOx=0〜1.0(モル比)
【0061】「再生処理」
再生ガス : 窒素ガスガス温度 : 500℃処理時間 : 1時間【0062】賦活処理した吸着材は、その劣化の程度を評価するために夫々硫安劣化処理を行って強制的に吸着材を紛化させ、粉化率を測定した。
【0063】
「硫安劣化処理」
吸着材料 : 60g SV値 : 1730h-1 排ガス温度 : 120℃ SOx濃度 : 400ppm(dry base)
酸素濃度 : 15.0容量%(dry base)
水分濃度 : 10.0容量%(wet base)
通ガス時間 : 50h アンモニア添加量: NH3/SOx=2.0(モル比)
【0064】「粉化率」硫安劣化処理後、試料を篩い分けして2mm以下となった質量割合を粉化率とした。結果を図2に示す。
【0065】図2から、アンモニアを全く添加しない場合に粉化が最も激しく、アンモニアの添加量が多いほど粉化量が減少することが分かる。これは、加熱再生において、SO3と炭素との反応が激しいために、吸着材の骨格部分まで賦活が進行し、内部強度が低下するためと考えられる。また、内部強度が低下した炭素質吸着材は硫安劣化を生じ易くなると考えられる。
【0066】実験例1により、インプラント賦活においては、吸着材の強度を維持するためにアンモニアの添加が必要であることが判明した。
【0067】実験例2アンモニア添加量の許容範囲を確認するために次の実験を行った。実験例1と同じ条件で吸着処理と再生処理を10サイクル繰り返すことにより未賦活の炭素質吸着材の賦活処理を行った。2サイクル毎に比表面積及び脱硝性能を測定した。排ガスに添加するアンモニア量を変えて、5回のテストを行った。
NH3/SOx(モル比)=0、0.1、0.3、0.5、1.0【0068】「比表面積」比表面積はBET法で測定した。
【0069】「脱硝率」脱硝率は次の条件で測定した。
排ガス温度 : 140℃ NOx濃度 : 200ppm(dry base)
酸素濃度 : 5.0容量%(dry base)
水分濃度 : 7.0容量%(wet base)
SV値 : 400h-1 通ガス時間 : 50h アンモニア添加量: NH3/NOx=1.0(モル比)
【0070】吸着−再生の繰り返したときのサイクル数との関係を、NH3/SOx比が0.3と0の場合を対比して図3に示す。同様にサイクル数と比表面積との関係を図4に示す。
【0071】図3及び4から、吸着−再生を繰り返すことにより脱硝率及び比表面積が大きくなることが分かる。
【0072】また、NH3/SOx比と10サイクル後の脱硝率との関係を図5に示す。
【0073】図5から、脱硝率はNH3/SOxが0.3付近で最高値を示し、賦活速度が最大となることが分かる。
【0074】このように、少量のアンモニアを添加することにより、アンモニアを全く添加しない場合よりも速い賦活速度が得られることは、従来全く知られていなかったことである。
【0075】上記2つの実験例では、排ガス中にアンモニアを添加し、排ガス中のアンモニアと硫黄酸化物のモル比を一定の範囲に調整することにより、最適な賦活条件を求めた。実験例においては窒素酸化物を含まない排ガスを使用したために、反応塔で炭素質吸着材に吸着するNH3/SOx比が、排ガス中での比と同一となるからである。
【0076】実際に賦活の進行や内部強度の低下が起こるのは、吸着材が高温再生されるときであるから、再生塔で処理される炭素質吸着材に含まれるアンモニアと硫酸との比がインプラント賦活の条件となる。
【0077】実施例1「インプラント賦活」図1に示すインプラント賦活処理の工程図に示す装置を用いて、以下の条件によりインプラント賦活を行った。
【0078】
排ガス量 : 1500Nm3/h 排ガス温度 : 125℃ SOx濃度 : 180ppm(dry base)
NOx濃度 : 180ppm(dry base)
酸素濃度 : 15容績%(dry base)
水分 : 13容積%(wet base)
吸着材、粒径 : 活性コークス(未賦活)、9mmφ 反応塔形式 : 移動層式 反応塔SV値 : 400h-1 吸着材滞留時間 : 150時間 NH3添加時間 : 30分 NH3不添加時間 : 30分 NH3添加量 : 110ppm(dry base)(添加時)
NH3/SOx比 : 約0.3(反応塔出口)
再生塔加熱温度 : 500℃ 再生塔加熱時間 : 3時間【0079】インプラント賦活運転は1500時間行った。300時間毎に再生塔出口から吸着材のサンプリングを行い、実験例2の方法で脱硝率の測定を行った。得られた結果を図6に示す。
【0080】「排ガス処理」実施例1の賦活運転に引続き排ガス処理運転を行った。アンモニアの添加量を次のように変えた以外は、賦活運転と同じ条件とした。
NH3添加量 : 470ppm(dry base)
NH3/SOx比: 約1.0(反応塔出口)
【0081】処理結果は次の通りであった。
脱硫率:99%以上脱硝率:40%以上粉化率:1〜1.5%(機械的に粉化したものを含む)
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、炭素質吸着材を加熱再生して循環使用する排ガス処理方法における系内に初期充填した未賦活の炭素質吸着材のインプラント賦活において、賦活の際に生じる炭素質吸着材の内部強度の低下を抑制し、炭素質吸着材の粉化を防止することができ、しかも速い賦活速度で炭素質吸着材の賦活を行うことができる。
【0083】また、本発明によれば、補充した炭素質吸着材の内部強度を維持したまま賦活を行うと同時に排ガスの処理を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000174965
【氏名又は名称】三井鉱山株式会社
【住所又は居所】東京都江東区豊洲3丁目3番3号
【出願日】 平成14年2月7日(2002.2.7)
【代理人】 【識別番号】100083688
【弁理士】
【氏名又は名称】高畑 靖世
【公開番号】 特開2003−225535(P2003−225535A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−30200(P2002−30200)