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【発明の名称】 凝集性ガスの捕集装置
【発明者】 【氏名】瀧口 智志
【住所又は居所】兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内

【要約】 【課題】SO3ミストなどの排ガス中の凝集性ガスを確実に捕集すること。

【解決手段】凝集性のガスを含むガス流の流路と、流路に設けられ、凝集性のガスを液化して捕集する冷却部4と、流路に設けられ、ガス流の温度を凝集性のガスの飽和温度以上に加熱するための加熱部5とを備える。冷却部4は、排ガス中のSO3を凝集させるために、排ガスの温度をSO3の飽和温度以下に冷却する。また、加熱部5は、排ガスの主流濃度に対する飽和温度以上の温度に排ガスの温度を設定するものである。このように、流路に加熱部5を設けたため、凝集性のガスがガス流中でミストとなって大気中に放出されることを抑止できる。冷却部4の近傍には洗浄ノズル6が設けられている。洗浄ノズル6は、適当な時間間隔で洗浄液を噴射して冷却部4を洗浄する。これにより、冷却部4に凝集したSO3ミストが回収される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 凝集性のガスを含むガス流の流路と、前記流路に設けられ、前記凝集性のガスを液化して捕集する冷却手段と、前記流路に設けられ、前記ガス流の温度を前記凝集性のガスの飽和温度以上に加熱する加熱手段と、を備えた凝集性ガスの捕集装置。
【請求項2】 前記冷却手段は、前記凝集性のガスの飽和温度以下の温度に設定される請求項1に記載の凝集性ガスの捕集装置。
【請求項3】 更に、前記冷却手段を洗浄する洗浄ノズルを備えた請求項1または2記載の凝集性ガスの捕集装置。
【請求項4】 複数の前記冷却手段及び前記加熱手段が前記ガス流の方向に延在し、前記ガス流と垂直方向に交互に設けられている請求項1〜3のいずれか一つに記載の凝集性ガスの捕集装置。
【請求項5】 複数の前記冷却手段及び前記加熱手段が前記ガス流と垂直方向に延在し、前記ガス流の方向に交互に設けられている請求項1〜3のいずれか一つに記載の凝集性ガスの捕集装置。
【請求項6】 前記冷却手段および前記加熱手段の形状が平板状である請求項1〜5のいずれか一つに記載の凝集性ガスの捕集装置。
【請求項7】 前記冷却手段及び前記加熱手段の形状が円管状である請求項1〜5のいずれか一つに記載の凝集性ガスの捕集装置。
【請求項8】 前記冷却手段が管状に形成され、管内側の前記流路内に前記加熱手段が設けられた請求項4に記載の凝集性ガスの捕集装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、燃焼排ガス等に含まれるSO3ミストの捕集装置に関する。
【0002】
【従来の技術】硫黄分を多く含む燃料等の排ガス中には酸化硫黄(SO3)などの凝集性物質が含まれている。このような凝集性物質は大気中に放出される前に脱硫システムを用いて処理している。このようなシステムでは、SO3は冷却部においてSO3ミストを形成するため、多くのシステムを用いて処理を行い、更にフィルタ等によりSO3ミストを除去する必要がある。
【0003】また、例えば特開平11−147018号公報には、排ガスを冷却して凝集性物質を捕集する装置が開示されている。このように、排ガス中のSO3ミストは冷却により飽和濃度に達して液化するため、冷却板などに結露したミストを捕集することが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平11−147018号公報のように排ガスを冷却してS3ミストを凝集させる方法では、過度の冷却により排ガスの温度が低下して、排ガス主流中にSO3ミストが生じてしまうという問題が発生していた。冷却板などに結露したSO3ミストの捕集は可能であるが、過冷却により排ガス主流中に発生したSO3ミストは捕集することができなかった。このため、紫煙と呼ばれる排ガス中のSO3ミストが大気中に放出されてしまうという問題が生じていた。
【0005】また、フィルタ等を使用する方法では、装置の構造が複雑になりコストが増大するという問題があった。また、SO3ミストは0.01〜0.1μm程度の微小粒であるため、通常のフィルタでは捕集が困難であり、フィルタで捕集しようとするとガス流の圧力損失が発生するという問題があった。
【0006】この発明は上述のような問題を解決するために成されたものであり、SO3ミストなどの排ガス中の凝集性ガスを確実に捕集することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記のような観点から、この発明は、凝集性のガスを含むガス流の流路と、前記流路に設けられ、前記凝集性のガスを液化して捕集する冷却手段と、前記流路に設けられ、前記ガス流の温度を前記凝集性のガスの飽和温度以上に加熱するための加熱手段とを備えた凝集性ガスの捕集装置である。過度の冷却によりガス流中で凝集性のガスが液化することのないように加熱手段を設け、凝集性のガスの飽和温度以上にガス流を加熱するようにした。加熱手段は温水の循環により加熱されるものでもよいし、電気的に加熱されるものでもよい。
【0008】また、この発明は、前記冷却手段が前記凝集性のガスの飽和温度以下の温度に設定される凝集性ガスの捕集装置である。冷却手段を凝集性のガスの飽和温度以下の温度に設定することで、冷却手段に接触した凝集性ガスを確実に液化できるようにした。
【0009】また、この発明は、前記冷却手段を洗浄する洗浄ノズルを更に備えた凝集性ガスの捕集装置である。洗浄ノズルにより凝集性ガスを捕集した冷却手段を確実に洗浄できるようにした。洗浄ノズルからエアを噴射して、冷却手段に結露した凝集性ガスを吹き飛ばしてもよいし、洗浄ノズルから洗浄液を噴射してもよい。
【0010】また、この発明は、複数の前記冷却手段及び前記加熱手段が前記ガス流の方向に延在し、前記ガス流と垂直方向に交互に設けられている凝集性ガスの捕集装置である。冷却手段及び加熱手段をガス流の方向に延在させることでガス流の圧力損失を最小限に抑えるようにした。また、冷却手段及び加熱手段を交互に設けることで、ガス流の温度の最適化を容易にできるようにした。
【0011】また、この発明は、複数の前記冷却手段及び前記加熱手段が前記ガス流と垂直方向に延在し、前記ガス流の方向に交互に設けられている凝集性ガスの捕集装置である。冷却手段及び加熱手段をガス流と垂直方向に延在させることで、ガス流の方向でガス流温度を適宜設定できるようにした。また、冷却手段及び加熱手段を交互に設けることで、ガス流の温度の最適化を容易にできるようにした。
【0012】また、この発明は、前記冷却手段及び前記加熱手段の形状が平板状である凝集性ガスの捕集装置である。平板とガス流を平行にすることでガス流の圧力損失を最小限に抑えるようにした。また、この発明は、前記冷却手段及び前記加熱手段が円管状である凝集性ガスの捕集装置である。冷却手段及び加熱手段を円管状とすることにより、温水を循環させて所定の温度に設定できるようにした。
【0013】また、この発明は、前記冷却手段が管状に形成され、管内側の前記流路内に前記加熱手段が設けられた凝集性ガスの捕集装置である。管状の冷却手段の内側に凝集性ガスを捕集するとともに、管内に加熱手段を設けてガス流を加熱できるようにした。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものが含まれるものとする。
【0015】図1は、この発明の実施の形態に係る凝集性物質除去システムを示す模式図である。このシステムは、排ガス中のSO3を捕集する捕集装置1からなる。図1において、捕集装置1内に供給された排ガスは、ケーシング2内を水平方向に流れた後、移動方向を転換して下方に向かい、捕集装置1の下部から排出される。
【0016】排ガスが下方へ向かう領域には、排ガス中のSO3の捕集部3が設けられている。捕集部3は、冷却部4と加熱部5を備えており、排ガスが冷却部4と加熱部5を通過できるように構成されている。冷却部4は、排ガス中のSO3を凝集させるために、排ガスの温度をSO3の飽和温度以下に冷却する。また、加熱部5は、排ガスの主流濃度に対する飽和温度以上の温度に排ガスの温度を設定するものである。冷却部4及び加熱部5を所定の温度に設定するため、冷却部4及び加熱部5には温水、水の循環経路が設けられている。なお、温水、水を循環させる方法以外の方法で冷却部4及び加熱部5の温度設定を行ってもよい。冷却部4の近傍には洗浄ノズル6が設けられている。洗浄ノズル6は、適当な時間間隔で洗浄液を噴射して冷却部4を洗浄する。これにより、冷却部4に凝集したSO3ミストが回収される。
【0017】図2は、SO3の飽和濃度曲線を示す特性図である。図2において、横軸はSO3の設定温度を、縦軸は排ガス中のSO3の濃度を示している。ここで、冷却部4の温度はTc(=50〜60℃程度)、加熱部5の温度はTh(=80℃程度)に設定される。そして、温度TcにおけるSO3の飽和濃度が捕集部3の出口における排ガスの目標濃度となるようにTcの値が設定される。そして、この目標濃度以下のSO3の排出は認容される。これにより、目標濃度よりも高い濃度のSO3を冷却部4に凝集させることができる。
【0018】一方、温度ThにおけるSO3の飽和濃度が、捕集部3を流れる排ガス主流のSO3濃度より大きくなるように、Thの値が設定される。これにより、排ガス主流の流れ中でSO3が凝集してミスト状になることを抑止できる。従って、排ガスとともにミスト状のSO3が捕集部3の外に排出されてしまうことを抑止できる。
【0019】捕集装置1内に供給された排ガスは、ケーシング2内を流れて捕集部3に達する。この状態の排ガス温度は130〜200℃程度の高温である。そして、排ガスが冷却部4と接触すると、冷却部4の温度がTcに設定されているため、排ガスが冷却されて排ガス中のSO3がミスト状となって冷却部4に凝集する。 一方、冷却部4に接触しなかった排ガス主流は、加熱部5で温度Thまで加熱される。温度Thでは、排ガス主流のSO3濃度が飽和濃度よりも小さいため、排ガス主流中でSO3が凝集してミスト状になることはない。排ガス主流中のSO3は、捕集部3を流れるうちにいずれ冷却部4と接触し、温度Tcまで冷却されて凝集する。従って、排ガス主流中にはSO3ミストを発生させることなく、冷却部4のみにSO3を凝集させることができる。これにより、目標濃度よりも高い濃度のSO3ミストが捕集部3の外に排出されてしまうことを抑止できる。
【0020】次に、図3〜図9に基づいて、冷却部4、加熱部5の具体的な構成について説明する。図3は、冷却部4及び加熱部5を平板から構成し、これらの平板を排ガスの流れる方向に延在するように配置したものである。図4は、図3の冷却部4及び加熱部5が配置されたケーシング2を図1の上側からみた平面図である。図4に示すように、冷却部4及び加熱部5はケーシング2内に交互に配置され、隙間を排ガスが通過するように構成されている。この構成によれば、冷却部4と加熱部5をともに平板から構成しているため、圧力損失を最小限に抑えることができる。また、ケーシング2内で平板を鉛直方向に配置することで、液化したSO3、又は洗浄ノズル6から噴射された洗浄液を鉛直方向に集約させることが可能となる。従って、冷却部4の洗浄、SO3の捕集を容易に行うことができる。
【0021】図5は、冷却部4及び加熱部5をパイプ状の管によって構成したものである。図5に示すように、排ガス流の向きに沿って交互に冷却部4及び加熱部5を配置することで、複数の冷却部4及び加熱部5のそれぞれを局所的に最適な温度に設定することができる。従って、加熱、冷却の最適化を行うことが可能となる。また、図6は、図5の冷却部4及び加熱部5が配置されたケーシング2の側面図である。図6に示すように、冷却部4及び加熱部5を捕集部3の全域に設けることで、排ガス主流の温度を最適化することができる。この構成によれば、排ガスの流れの上流から下流に向かって冷却部4及び加熱部5の温度を除々に下げることができる。なお、管の内部に温水、水を循環させて温度設定を行うことができる。
【0022】図7は、冷却部4及び加熱部5のそれぞれを独立したユニットとして構成した例を示している。図7の例では、冷却部4から出た排ガスがすべて加熱部5に入り、加熱部5から出た排ガスがすべて冷却部4に入る。このように、冷却部4と加熱部5を独立のユニットとすることにより、冷却部4、加熱部5の増設を容易に行うことができる。また、加熱部5を冷却部4から独立したユニットとすることにより、加熱部5を洗浄する頻度を最小限に抑えることができる。従って、加熱部5での不具合の発生を最小限に抑えることができる。なお、図7の例では、通常用いられているフィン付熱交換器、プレートフィンなどの熱交換器を各ユニットとして用いることができる。
【0023】図8は、排ガス流の向きに沿って2重管を設け、内側又は外側に配置した管の一方を冷却部4とし、他方を加熱部5とし、冷却部4と加熱部5の間のリング状の空間に排ガスを流すようにしたものである。原理的には、図3の平板タイプと同様であるが、内側の管の内部と外側の管の外部に温度設定のための温水、水を流すことによって容易に冷却部4、加熱部5の温度設定を行うことができる。
【0024】図9は、加熱部5を金網状の部材から構成し、電源7から電圧をかけて加熱するようにしたものである。加熱部5はミストを捕集する冷却部4に比べて構造上の制約が少ない。従って、伝導性金属を用いた金網状の部材などにより加熱部5を構成することができる。この金網状の加熱部5は、例えば図3の平板の加熱部5の代わりに配置することができる。この場合、排ガスの流れを乱して温度拡散を促進できるため、効率的なシステムを構成できる。
【0025】図10は、この発明の捕集装置1を備えた燃焼排ガス処理装置の一例を示す模式図である。図10において、ボイラ11から排出された燃焼排ガスは、エアヒータ12によって冷却された後、捕集装置1を通過してSO3ミストが捕集され、更に冷却塔13で冷却され、脱硫装置14で脱硫される。脱硫された排ガスは湿式電気集塵装置15で除塵され、煙突16から排出される。SO3ミストを捕集したことにより煙突16から大気中にSO3ミストによる紫煙が排出されることを抑止できる。
【0026】以上のように、この実施の形態では、捕集部3に冷却部4と加熱部5を設け、冷却部4において排ガスの温度をSO3の飽和温度以下に冷却することで、排ガス中のSO3を冷却部4に凝集させることができる。また、加熱部5において排ガスの主流濃度に対する飽和温度以上の温度に排ガスを加熱するようにしたため、排ガス中にSO3ミストが発生することを抑止できる。これにより、薬剤等の使用が不要となり、また、フィルタによるミスト除去が不要となるため、複雑な機構を用いることなく大気中にSO3ミストが排出されてしまうことを抑止できる。
【0027】なお、この発明はSO3ミストの捕集に限定されるものではなく、凝集性のガスの捕集に広く適用することができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、この発明では、ガス流中で凝集性のガスが液化することのないように加熱手段を設けることで、凝集性のガスがガス流中でミストとなって大気中に放出されることを抑止することができる。
【0029】また、冷却手段を凝集性のガスの飽和温度以下の温度に設定することで、冷却手段に接触した凝集性ガスを確実に液化して捕集することができる。また、洗浄ノズルにより冷却手段を確実に洗浄できるため、冷却手段に結露した凝集性ガスが再び気化することを抑止できる。
【0030】冷却手段及び加熱手段をガス流の方向に延在させたため、ガス流の圧力損失を最小限に抑えることができるため、捕集効率を高めることができる。また、冷却手段及び加熱手段を交互に設けることで、ガス流の温度の最適化が可能となり、ガス流中で凝集性ガスが液化することを抑止できる。
【0031】冷却手段及び加熱手段をガス流と垂直方向に延在させたため、ガス流の流れ方向で温度を適宜設定できる。また、冷却手段及び加熱手段を交互に設けることで、ガス流の温度の最適化が可能となる。従って、ガス流中で凝集性ガスが液化することを抑止できる。
【0032】冷却手段及び加熱手段を平板状としたため、平板とガス流を平行にすることでガス流の圧力損失を最小限に抑えることができる。また、冷却手段及び加熱手段を円管状としたため、温水、水を循環させて所定の温度に設定でき、ガス流の温度の最適化が可能となる。
【0033】管状の冷却手段の内側をガス流路として、管内に加熱手段を設けたため、冷却手段と加熱手段の間のガス流の温度を最適化できる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番5号
【出願日】 平成14年2月6日(2002.2.6)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【公開番号】 特開2003−225534(P2003−225534A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−29984(P2002−29984)