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【発明の名称】 圧力変動吸着装置の減量運転方法
【発明者】 【氏名】大野 隆造
【住所又は居所】大阪府大阪市西区靭本町2丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内

【要約】 【課題】原料空気の消費量を可及的に低減し得て通常運転時と同等又はそれ以上の製造収率を確保することができ、効果的な省エネルギ化を図りうる圧力変動吸着装置の減量運転方法を提供する。

【解決手段】減量運転時においては、吸着工程タイムtを変更することなく、各吸着塔における吸着工程から再生工程への移行を原料空気及び再生ガスが供給されない待機工程を介して行い、サイクルタイムT1を、待機工程に要するタイムw分だけ、通常運転時のサイクルタイムT0より延長するようにする。減量運転時サイクルタイムT1の通常運転時サイクルタイムT0に対する増加率が製品ガス製造量の通常運転時に対する減少率に反比例するように、待機工程タイムwは設定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気中の特定成分を優先的に吸着する吸着剤を充填した一対の吸着塔を、吸着塔に導入された原料空気を吸着処理して製品ガスを製造する吸着工程と吸着工程終了後の吸着塔に再生ガスを供給して吸着剤を再生処理する再生工程とに所定のサイクルタイムで切り替えることにより、吸着工程にある吸着塔からガス使用部に製品ガスを供給させるようにした圧力変動吸着装置において、ガス使用部の負荷に応じて製品ガスの製造量を通常運転時より減少させた場合に、各吸着塔における吸着工程から再生工程への移行を原料空気及び再生ガスが供給されない待機工程を介して行うことにより、吸着工程タイムを変更することなく上記サイクルタイムを延長するようにしたことを特徴とする圧力変動吸着装置の減量運転方法。
【請求項2】 前記サイクルタイムの通常運転時に対する増加率が製品ガス製造量の通常運転時に対する減少率に反比例するように、待機工程タイムを設定するようにしたことを特徴とする、請求項1に記載する圧力変動吸着装置の減量運転方法。
【請求項3】 一方の吸着塔が吸着工程の開始から待機工程の終了に至る間においては、他方の吸着塔が通常運転時と同一の再生ガス供給による再生工程を行なった後、再生ガス供給を停止した状態で当該吸着塔を大気に開放する減圧再生工程を行なうことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載する圧力変動吸着装置の減量運転方法。
【請求項4】 圧力変動吸着装置が、吸着剤として分子篩活性炭を使用した窒素ガス製造装置であることを特徴とする、請求項1、請求項2又は請求項3に記載する圧力変動吸着装置の減量運転方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力変動吸着装置の減量運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】圧力変動吸着装置(以下「PSA装置」という)は、空気中の特定成分を優先的に吸着する吸着剤を充填した一対の吸着塔を、吸着塔に導入された原料空気を吸着処理して製品ガスを製造する吸着工程と吸着工程終了後の吸着塔に再生ガスを供給して吸着剤を再生処理する再生工程とに所定のサイクルタイムで切り替えるようにして、吸着工程にある吸着塔からガス使用部に製品ガスを供給させるように構成されている。
【0003】而して、PSA装置にあっては、ガス使用部における負荷変動に応じて減量運転させる必要があり、例えば、夜間等においてガス使用量が減少した場合、これに応じて吸着塔からガス使用部への製品ガス供給量を減少させる必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、吸着塔に充填される吸着剤としては、例えば、製品ガスが窒素である場合には酸素成分を優先的に吸着する分子篩活性炭が使用されるが、かかる分子篩活性炭は、図6に示す如く、酸素成分と窒素成分との吸着速度が異なり、吸着開始から一定時間t0経過すると酸素成分の吸着量が飽和し、爾後、窒素成分の吸着量が増加するといった吸着特性を有する。
【0005】したがって、分子篩活性炭による吸着処理(窒素ガスの製造)を効率良く行うためには、このような分子篩活性炭の吸着特性に基いて吸着工程を行う時間(吸着工程タイム)を決定することが必要である。すなわち、吸着塔の切替タイム(吸着工程と再生工程とに切り替えるサイクルタイム)は、分子篩活性炭の吸着特性によって一義的に決定され、PSA装置の規模等に拘わらず略一定となる。
【0006】しかし、このように吸着塔の切替タイムを変更できないため、減量運転時においては、製品ガスの製造量の減少割合に比して原料空気の消費量の減少割合が小さくなる。例えば、分子篩活性炭を使用して純度99%の窒素ガスを製造する場合、通常運転(定格運転)では、原料空気:窒素ガス=1:0.3〜0.4の比率で窒素ガスを製造できるが、50%原料運転では、原料空気:窒素ガス=0.8:0.2の比率で窒素ガスが製造されることになり、窒素ガスの製造量が通常運転時の50%に低下しているにも拘わらず、原料空気量は通常運転時の80%が必要となり、消費原料空気は僅かに20%低減されるにすぎない。すなわち、通常運転時においては原料空気の消費量に対する製品ガスの製造量の割合(以下「製造収率」という)は0.3〜0.4であるが、50%減量運転時には製造収率が0.25となるに止まる。このように、減量運転では、通常運転時より製造収率が低くなり、製品ガスの製造量に対する原料空気の消費量が多くなるため、吸着塔に供給される原料空気を圧縮するために必要なエネルギが増大し、PSA装置のランニングコストが高くなる等の問題が生じる。
【0007】本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、原料空気の消費量を可及的に低減し得て通常運転時と同等又はそれ以上の製造収率を確保することができ、効果的な省エネルギ化を図りうるPSA装置の減量運転方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、空気中の特定成分を優先的に吸着する吸着剤を充填した一対の吸着塔を、吸着塔に導入された原料空気を吸着処理して製品ガスを製造する吸着工程と吸着工程終了後の吸着塔に再生ガスを供給して吸着剤を再生処理する再生工程とに所定のサイクルタイムで切り替えることにより、吸着工程にある吸着塔からガス使用部に製品ガスを供給させるようにしたPSA装置において、上記の目的を達成すべく、ガス使用部の負荷に応じて製品ガスの製造量を通常運転時(定格運転時)より減少させた場合に、各吸着塔における吸着工程から再生工程への移行を原料空気及び再生ガスが供給されない待機工程を介して行うことにより、吸着工程タイムを変更することなく上記サイクルタイムを延長するようにしたことを特徴とするPSA装置の減量運転方法を提案する。なお、サイクルタイムとは、具体的には、何れか一方の吸着塔において、吸着工程が開始された時点から当該吸着工程終了後再生工程が開始されるまでの時間(又は再生工程が開始された時点から当該再生工程終了後吸着工程が開始されるまでの時間)を意味する。
【0009】かかる減量運転方法にあっては、前記サイクルタイムの通常運転時に対する増加率が製品ガス製造量の通常運転時に対する減少率に反比例するように、待機工程タイムを設定することが好ましい。すなわち、待機工程タイムは、製品ガスの製造量が通常運転時の(1/X)倍となった場合に前記サイクルタイムが通常運転時のX倍又は略X倍となるように、設定される(Xは1以上の任意の数値である)。また、一方の吸着塔が吸着工程の開始から待機工程の終了に至る間においては、他方の吸着塔が通常運転時と同一の再生ガス供給による再生工程を行なった後、再生ガス供給を停止した状態で当該吸着塔を大気に開放する減圧再生工程を行なうようにすることが好ましい。また、本発明の減量運転方法は、PSA装置が吸着剤として分子篩活性炭を使用した窒素ガス製造装置である場合に、特に好適する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて具体的に説明する。
【0011】図1〜図4に示すPSA装置は窒素ガス製造装置であり、一対の吸着塔1a,1bと、原料空気Aを吸着塔1a,1bに供給する原料空気供給手段2と、吸着塔1a,1bで得られた製品ガス(窒素)Bをガス使用部3に供給する製品ガス供給手段4と、再生ガス(窒素)Cを吸着塔1a,1bに供給する再生ガス供給手段5と、再生ガスCを吸着塔1a,1bから大気中に放出するための再生ガスパージ手段6と、吸着塔1a,1bの圧力を均等に調整する均圧手段(均圧路7,8及び均圧弁71,81)とを具備するものである。
【0012】各吸着塔1a,1bは、空気中の酸素成分を優先して吸着する吸着剤である分子篩活性炭9を充填したものであり、その下部から導入された原料空気Aを吸着処理して、その上部から製品ガスたる窒素ガスBを導出させるようになっている。
【0013】原料空気供給手段2は、空気圧縮機20と、空気圧縮機20から導かれた原料空気供給管路21と、原料空気供給管路21の下流端から分岐されて、一方の吸着塔(以下「第1吸着塔」という)1aの下部に接続された第1管路22及び他方の吸着塔(以下「第2吸着塔」という)1bの下部に接続された第2管路23と、第1及び第2開閉弁26,27とを具備してなる。空気圧縮機20としては、エアドライヤー内蔵型のもの(圧力:0.69MPa)が使用されている。原料空気供給管路21にはミストセパレータ24及び流量計25が配設されている。第1及び第2管路22,23には第1及び第2開閉弁26,27が設けられている。而して、原料空気供給手段2によれば、第1又は第2開閉弁26,27を開操作することにより、空気圧縮機20により圧縮,除湿され且つミストセパレータ24により清浄化(ダスト及び油分の除去)された原料空気Aが第1又は第2吸着塔1a,1bに供給されるようになっている。
【0014】製品ガス供給手段4は、下流端がバッファタンク40、流量計41及び流量制御弁(自動弁)42を経てガス使用部3に導かれた製品ガス供給管路43と、製品ガス供給管路43の上流端から分岐されて、第1吸着塔1aの上部に接続された第3管路44及び第2吸着塔1bの上部に接続された第4管路45と、第3及び第4管路44,45に設けられて、吸着塔1a,1b方向への逆流を阻止する第1及び第2逆止弁46,47とを具備してなる。而して、製品ガス供給手段4によれば、第1又は第2吸着塔1a,1bから排出された製品ガスAが、第3又は第4管路44,45を経て製品ガス供給管路43からバッファタンク40に供給されるようになっている。
【0015】再生ガス供給手段5は、上流端を製品ガス供給管路43におけるバッファタンク40の上流側部位に接続した再生ガス供給管路51と、再生ガス供給管路51の下流端から分岐されて、第1吸着塔1aの上部に接続された第5管路52及び第2吸着塔1bの上部に接続された第6管路53と、第3及び第4逆止弁54,55と、第3開閉弁58とを具備してなる。第5及び第6管路52,53の下流側部分(吸着塔1a,1bに接続されている部分)は、製品ガス供給手段4の第3及び第4管路44,45の上流側部分(第1及び第2逆止弁46,47より吸着塔1a,1b側の部分)によって兼用構成されている。第5及び第6管路52,53の上流側部分(再生ガス供給管路43に接続されている部分であって、第3及び第4管路44,45によって兼用構成されていない部分)には、再生ガス供給管路43方向への逆流を阻止する第3及び第4逆止弁54,55が設けられている。再生ガス供給管路51には、流量計56、流量制御弁(ニードル弁)57及び第3開閉弁58が設けられている。而して、再生ガス供給手段5によれば、第3開閉弁58を開操作することにより、製品ガス供給管路43からバッファタンク40に供給される製品ガスBの一部(窒素ガス)が、再生ガスCとして、再生ガス供給管路51から第5又は第6管路52,53を経て第1又は第2吸着塔1a,1bに供給されるようになっている。
【0016】再生ガスパージ手段6は、第1吸着塔1aの下部に接続された第7管路61と、第2吸着塔1bの下部に接続された第8管路62と、第7及び第8管路61,62の下流端に合流接続された大気開放の放出管路63と、第4及び第5開閉弁64,65とを具備してなる。第7及び第8管路61,62の上流側部分(吸着塔1a,1bに接続されている部分)は、原料空気供給手段2の第1及び第2管路22,23の下流側部分(第1及び第2開閉弁26,27より吸着塔1a,1b側の部分)によって兼用構成されている。第7及び第8管路61,62の下流側部分(放出管路63に接続されている部分であって、第1及び第2管路22,23によって兼用構成されていない部分)には、第4及び第5開閉弁64,65が設けられている。而して、再生ガスパージ手段6によれば、第4又は第5開閉弁64,65を開操作することにより、第1又は第2吸着塔1a,1bに供給された再生ガスCが第7又は第8管路61,62を経て放出管路63から大気中に放出されるようになっている。
【0017】均圧手段は、両吸着塔1a,1bの上部間及び下部間を接続する第1及び第2均圧路7,8と、これらに設けられた均圧弁たる第6及び第7開閉弁71,81とを具備してなる。第1及び第2均圧路7,8の吸着塔側部分は、前記第3及び第4管路44,45(又は第5及び第6管路52,53)の吸着塔側部分及び前記第1及び第2管路22,23(又は第7及び第8管路61,62)の吸着塔側部分で兼用構成されている。而して、均圧手段によれば、第6及び第7開閉弁71,81を開操作することにより、両吸着塔1a,1bを連通して均等圧となしうるようになっている。
【0018】而して、通常運転時にあっては、図5(A)に示す如く、各吸着塔1a,1bが一定のサイクルタイムT0で切り替えられて、吸着工程、均圧工程及び再生工程が順次連続して行なわれる。
【0019】まず、一方の吸着塔、例えば第1吸着塔1aが吸着工程を開始すると共に他方の吸着塔である第2吸着塔1bが再生工程を開始し、かかる工程が一定時間(吸着工程タイムt)継続される。すなわち、図1に示す如く、第1、第3及び第5開閉弁26,58,65が開とされ、他の開閉弁27,64,71,81が閉とされて、原料空気Aが原料空気供給管路21及び第1管路22から第1吸着塔1aに供給される。第1吸着塔1aに供給された原料空気Aは、当該吸着塔1aに充填された吸着剤(分子篩活性炭)9により酸素成分を吸着除去されて、製品ガス(窒素)Bとして当該吸着塔1aの上部から導出され、第3管路44及び製品ガス供給管路43からバッファタンク40に供給される。かかる吸着工程が行なわれる時間(吸着工程タイム)tは、冒頭で述べた吸着剤9の吸着特性が最大限有効に発揮されることを条件として設定される。一方、第2吸着塔1bには、第1吸着塔1bで製造された窒素ガスBの一部が、再生ガスCとして再生ガス供給管路51及び第6管路53から供給されると共に、第2吸着塔1bは第5管路62及び放出管路63を介して大気に開放されて、第2吸着塔1bに充填された吸着剤9の再生が行なわれる。なお、図1〜図4においては、便宜上、閉状態にある開閉弁を黒塗して、開状態にある開閉弁と区別している。
【0020】そして、第1吸着塔1aによる吸着工程が終了すると、図3に示す如く、開状態にある開閉弁26,58,65を閉状態に切り替えて、第1吸着塔1aへの原料空気Aの供給及び第2吸着塔1bへの再生ガスCの供給を停止すると共に、第6及び第7開閉弁71,81を開操作して、両吸着塔1a,1bを均圧工程に移行させる。すなわち、高圧状態にある第1吸着塔1aと低圧状態にある第2吸着塔1bとを均圧路7,8を介して連通させて、両吸着塔1a,1bの圧力を均等化させる。このとき、第1吸着塔1aの上部に残留する濃縮窒素は第1均圧路7から第2吸着塔1bに流入して、第2吸着塔1bの吸着工程への移行を円滑ならしめる。
【0021】そして、均圧工程が終了すると、図4に示す如く、均圧路71,81が遮断されると共に第2〜第4開閉弁27,58,65が開とされて、第1吸着塔1aが再生工程に且つ第2吸着塔1bが吸着工程に切り替えられて、上記と同様の吸着工程及び再生工程が行なわれる。爾後、かかる吸着塔1a,1bの切り替えが一定のサイクルタイムT0で繰り返し行なわれて、製品ガスBの製造が連続して行なわれる。
【0022】而して、ガス使用部3におけるガス使用量が通常運転時より減少すると、PSA装置は、本発明に従って次のように減量運転される。
【0023】減量運転にあっては、図5(B)に示す如く、吸着工程から均圧工程及び再生工程への移行が待機工程を介して行なわれ、吸着工程タイムtは通常運転時と同一であるが、吸着塔1a,1bの切り替え時間つまりサイクルタイムT1が通常運転時のサイクルタイムT0より減量程度に応じて延長される。
【0024】すなわち、一方の吸着塔、例えば第1吸着塔1aは、図1に示す吸着工程を通常運転時と同一時間t行なった後において、図2に示す如く、第1開閉弁26が閉状態に切り替えられて、第1吸着塔1aへの原料空気Aの供給及び当該吸着塔1aによる製品ガスBの製造が停止された待機工程に移行する。待機工程を行なう時間(待機工程タイム)wは、待機工程を含めたサイクルタイムT1の通常運転サイクルタイムT0に対する増加率が製品ガス製造量の通常運転時に対する減少率に略反比例するように、つまり製品ガス製造量が通常運転時の(1/X)倍となった場合にサイクルタイムT1が通常運転サイクルタイムT0のX倍(又は略X倍)となるように、設定される。
【0025】そして、このように設定された待機工程タイムwが経過すると、第1吸着塔1aは待機工程を終了して、通常運転時と同様に、図3に示す均圧工程に移行し、更に図4に示す再生工程に移行する。
【0026】このように、減量運転においては、減量程度に応じて製品ガスBの製造が所定時間(待機工程タイム)w停止されることから、原料空気Aの消費量に対する製品ガスの製造量の割合である製造収率が通常運転時と同等若しくはそれ以上となる。換言すれば、原料空気Aの消費量が、待機工程を設けない場合に比して、大幅に低減されることになる。したがって、空気圧縮機20の負荷が軽減され、省エネルギ化及びランニングコストの低減が図られる。
【0027】一方、他方の吸着塔である第2吸着塔1bにおいては、第1吸着塔1aが吸着工程の開始から待機工程の終了に至る間においては、まず、図1に示す如く、通常運転時と同様に再生ガスCの供給による再生工程が行なわれ、その後、図2に示す如く、第3開閉弁58が閉状態に切り替えられて、第2吸着塔1bへの再生ガスCの供給が停止された状態で当該吸着塔1bを大気に開放する減圧再生工程に移行する。すなわち、減圧再生工程においては、第2吸着塔1bの下部が第8管路62及び放出管路63を介して大気中に開放されるが、再生ガスCの供給を行なわずとも、かかる大気への開放のみによっても当該吸着塔1bの吸着剤9の再生処理が進行する。したがって、通常の再生工程に加えて減圧再生工程を行なうことにより、吸着剤の再生程度が通常運転時よりも高くなり、爾後の吸着処理をより効果的に行なうことができ、製造収率の更なる向上が図られる。特に、吸着剤9が吸着速度及び脱着速度(再生速度)の遅いものである場合においては、かかる減圧再生工程の付加による効果は顕著である。なお、再生ガスCの供給による再生工程は、通常、通常運転時と同一時間(吸着工程タイムt)行なわれ、再生工程から減圧再生工程への移行時期を吸着工程から待機工程への移行時期に一致させておくが、吸着剤9の性状等の吸着条件によっては、これらの移行時期を齟齬させておくこと(例えば、再生工程から減圧再生工程への移行時期を吸着工程から待機工程への移行時期より早くしておくこと)も可能である。
【0028】そして、また、第1吸着塔1aが待機工程から均圧工程に移行すると、第2吸着塔1bも減圧再生工程から均圧工程に移行して、爾後、吸着塔1a,1bは上記した延長サイクルタイムT1で切り替えられて上記各工程を行なうが、サイクルタイムT1つまり待機工程タイムwは減量程度に応じて増減される。
【0029】なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において、適宜に改良,変更することができる。例えば、上記した実施の形態では、再生ガス供給管路51を製品ガス供給管路43におけるバッファタンク40の上流側に接続して、バッファタンク40に向かう製品ガスBの一部を再生ガスCとして使用するようにしたが、製品ガスBの一部を再生ガスCとして使用する場合における再生ガス供給管路51の接続個所(再生ガスCの採取個所)や再生ガスCの供給源の選定は、PSA装置の構成や使用条件に応じて任意である。また、上記した実施の形態にあっては、本発明を吸着剤9として分子篩活性炭を使用する窒素ガス製造用のPSA装置に適用したが、本発明は、吸着剤として窒素成分を優先的に吸着するゼオライト等を使用した酸素ガス製造用のPSA装置に対しても適用することができる。
【0030】
【実施例】実施例として、上記したPSA装置を使用して、サイクルタイムを96秒として通常運転を行う共に、サイクルタイムを146秒(待機工程タイムw:50秒)及び296秒(待機工程タイムw:200秒)とした2種類の減量運転A,B(何れも、吸着工程タイムtは通常運転と同一)を行い、夫々の場合における減量空気消費量及び窒素製造量から製造収率を求めた。その結果は、表1に示す通りであった。
【0031】また、比較例として、待機工程を設けない点(待機工程タイム:w=0)を除いて、実施例と同一の条件で、通常運転及び減量運転a,bを行い、夫々の場合における減量空気消費量及び窒素製造量から製造収率を求めた。その結果は、表2に示す通りであった。なお、何れの場合も、吸着工程タイムt及びサイクルタイムは実施例の通常運転と同一である。また、減量運転aにおける窒素製造量は減量運転Aと同一であり、減量運転bにおける窒素製造量は減量運転Bと同一である。
【0032】而して、実施例については、表1に示す如く、通常運転においては製造収率が0.339であった。そして、サイクルタイムを146秒に延長した減量運転Aでは、製造収率が0.362であり、通常運転時の製造収率を上回った。更に、サイクルタイムを296秒に延長した減量運転Bでは、製造収率が0.411であり、通常運転時の製造収率を大幅に上回った。
【0033】これに対して、比較例については、表2に示す如く、通常運転においては製造収率が当然のことながら実施例の通常運転時と同一(製造収率:0.339)であったが、減量運転aでは、製造収率が0.270であり、通常運転時の製造収率を下回った。更に、減量運転bでは、製造収率が0.183であり、通常運転時の製造収率を大幅に下回った。
【0034】これらのことから、比較例のようにサイクルタイムを同一とする冒頭の一般的な減量運転方法では、製造収率が通常運転時より下回り、減量程度が高くなるに従って製造収率が更に低下するが、実施例のように、本発明の減量運転方法によれば、製造収率が通常運転時より低下することがなく、通常運転時と同等若しくはそれ以上の製造収率を確保することができ、一般的な減量運転方法とは逆に減量程度が高くなるに従って製造収率が高くなることが理解される。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発明の減量運転方法によれば、通常運転時と同等又はそれ以上の製造収率(原料空気の消費量に対する製品ガスの製造量の割合)を確保することができ、原料空気の消費量を可及的に低減し得て、PSA装置の省エネルギ化及びランニングコストの低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000208167
【氏名又は名称】大陽東洋酸素株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市西区靱本町2丁目4番11号
【出願日】 平成14年2月5日(2002.2.5)
【代理人】 【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
【公開番号】 特開2003−225526(P2003−225526A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−27662(P2002−27662)