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【発明の名称】 水処理方法
【発明者】 【氏名】宮崎 泰光
【住所又は居所】大阪府堺市鉄砲町1番地 ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社内

【氏名】熊見 和久
【住所又は居所】大阪府堺市鉄砲町1番地 ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社内

【要約】 【課題】河川水等の天然水系から採取された水の処理方法の提供。

【解決手段】固液分離槽内に濾過媒体を浸漬してダイナミック濾過により固液分離する天然水系から採取した水の処理方法であり、濾過媒体として透過液取出口と集水管を有する枠体に格子状ネットが張り合わされた袋状エレメントを用い、固液分離槽の液面と濾過媒体の透過液取出口との水頭差により濾過媒体にダイナミック層を形成させてダイナミック濾過するとき、原水槽又は固液分離槽に平均粒径0.001〜100μmの活性炭を原水中の懸濁質(SS)濃度100mg/L当たり、粒状又は粉末状活性炭を5〜1000mg/L含有させる天然水系から採取した水の処理方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固液分離槽内に濾過媒体を浸漬してダイナミック濾過により固液分離する天然水系から採取した水の処理方法であり、濾過媒体として透過液取出口と集水管を有する枠体に格子状ネットが張り合わされた袋状エレメントを用い、固液分離槽の液面と濾過媒体の透過液取出口との水頭差により濾過媒体にダイナミック層を形成させてダイナミック濾過するとき、原水中に粒状又は粉末活性炭を含有させることを特徴とする天然水系から採取した水の処理方法。
【請求項2】 原水槽に活性炭を粒状若しくは粉末状態で添加した後、又は粒状若しくは粉状の活性炭の水懸濁液を添加した後、攪拌しながら固液分離槽に送ってダイナミック濾過する請求項1記載の天然水系から採取した水の処理方法。
【請求項3】 固液分離槽に活性炭を粒状若しくは粉末状態で添加した後、又は粒状若しくは粉状の活性炭の水懸濁液を添加した後にダイナミック濾過する請求項1記載の天然水系から採取した水の処理方法。
【請求項4】 活性炭が、平均粒径0.001〜100μmのものである請求項1〜3のいずれか1記載の天然水系から採取した水の処理方法。
【請求項5】 原水中の懸濁質(SS)濃度100mg/L当たり、活性炭を5〜1000mg/L添加する請求項1〜4のいずれか1記載の天然水系から採取した水の処理方法。
【請求項6】 濾過媒体に用いる格子状ネットが、(a)平均孔径が10〜500μm、(b)開孔率が30〜60%、(c)厚みが50〜150μmのものであり、濾過差圧が20kPa以下で、流量が5〜50m3/m2/24hrの範囲で、一定流量により濾過する請求項1〜5のいずれか1記載の天然水系から採取した水の処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、河川水や地下水中の懸濁質(SS)の除去能力が優れており、高い透過水量を長期間安定に維持できる水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、懸濁質(SS)を含む河川水や地下水の水処理の前処理として、糸を緻密に巻いて作製された円筒状の糸巻きフィルターや、円筒状に作製された燒結金網の内側に目詰まり除去のブラシを常時回転させながら濾過処理を行うオートストレーナーが用いられている。また、SS濃度が高い土木工事等で発生する濁水の処理には、凝集・沈殿処理が採用されている。
【0003】しかし、糸巻きフィルターによる処理では、SSを含む場合は短時間で目詰まりを起こし、目詰まりを解消する逆圧洗浄もできないため、頻繁に交換せざるを得ず、不経済であった。オートストレーナーによる処理では、常時回転ブラシが回転作動しているので目詰まりし難いが、金網の孔径(隙間)が分離対象のSS径に比べて大きいため、濾過が不十分となって、透過液中のSS濃度が増大する。凝集・沈殿処理は、原水中のSS濃度に応じた凝集剤を適宜添加して沈殿処理をするが、原水中のSS濃度が変動すると処理水質も変動し、所要沈降時間を確保するための沈降槽が大型化する。更に、凝集・沈殿処理では、凝集剤を添加するため、多量の水分を含む凝集フロックが発生し、それに応じてフィルタープレス等の固化処理や廃棄物処理量が増大する。
【0004】本発明は、上記課題を解決し、河川水や地下水等の天然水系から採取した水中のSSを除去し、かつ高い透過水量を長期間維持できる水処理方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、河川水や地下水等の天然水系から採取した水中のSSを除去する方法としてダイナミック濾過に着目した。しかし、河川水や地下水は、通常工場排水や生活排水に比べるとSS濃度が低いため、SSを利用してダイナミック層を形成させて濾過するダイナミック濾過法を適用した場合、ダイナミック層の形成に時間が掛かりすぎ、濾過効率が大幅に低下するため実用的な方法ではない。そこで本発明者は、無害な活性炭を使用することにより、ダイナミック層の形成に要する時間が大幅に短縮され、濾過性能が飛躍的に向上させることを見出し、本発明を完成したものである。
【0006】即ち本発明は、上記課題を解決する手段として、固液分離槽内に濾過媒体を浸漬してダイナミック濾過により固液分離する天然水系から採取した水の処理方法であり、濾過媒体として透過液取出口と集水管を有する枠体に格子状ネットが張り合わされた袋状エレメントを用い、固液分離槽の液面と濾過媒体の透過液取出口との水頭差により濾過媒体にダイナミック層を形成させてダイナミック濾過するとき、原水中に粒状又は粉末活性炭を含有させることを特徴とする天然水系から採取した水の処理方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水処理方法を、前記水処理方法で用いる水処理装置の一実施形態を示した概念図である図1により説明する。水処理装置は、必要に応じて用いられる原水槽、固液分離槽、透過液槽を少なくとも備えており、これらがパイプ等で連結されているものであるが、図1に示すような又は図1に示されていない水処理に必要な他の構成を含んでいてもよい。なお、図1は、各構成部、各構成部の連結状態、水処理フローを示すものであり、各構成部の配置状態や装置全体の大きさを示すものではない。
【0008】河川水等の天然水系から採取した水は、一旦原水槽10に集められる。原水槽10内には、攪拌機11、送液ポンプ12、水位計13が設置されており、底部に沈降した汚泥は適当間隔をおいて開閉弁14を操作して抜き出す。
【0009】本発明の水処理方法では、原水槽10又は固液分離槽30に所要量の粒状又は粉状活性炭を添加する。
【0010】活性炭を粒状又は粉状のままで添加するときは、粉体フィーダー20から粉体添加ライン70aを経て原水槽10に送る。活性炭を水懸濁液として添加するときは、開閉弁24を開き、ポンプ23を作動させ、活性炭懸濁液槽21から懸濁液添加ライン71aを経て原水槽10に送る。活性炭懸濁液槽21に活性炭が沈殿堆積したときには、開閉弁25を開いて沈殿物を抜き出す。このようにして原水槽10に活性炭を添加した後、攪拌機11で適宜攪拌して活性炭の沈殿を防止すると共に、原水中の活性炭濃度を一定に保持する。
【0011】活性炭は、平均粒径0.001〜100μmのものが好ましく、1〜100μmのものがより好ましく、10〜80μmのものが更に好ましい。
【0012】活性炭の使用量は、原水中の懸濁質(SS)濃度100mg/L当たり、5〜1000mg/Lが好ましく、5〜200mg/Lがより好ましく、5〜100mg/Lが更に好ましい。
【0013】活性炭の平均粒径と使用量が上記範囲内であると、活性炭がSSを吸着し、前記吸着物により、速やかに濾過媒体表面にダイナミック層が形成される。その結果、濾過開始からダイナミック層を形成するまでの時間が短縮され、初期抜水量が減少され、透過水量が増加されるので好ましい。
【0014】次に、開閉弁74を開け、原水槽10内のポンプ12を作動させて、原水供給ライン72から原水を固液分離槽30に送り、ダイナミック濾過する。過剰の原水は、オーバーフローライン73から原水槽10に返送される。固液分離槽30に活性炭を添加するときは、粉体フィーダー20から粉体添加ライン70bを経て送るか、又は活性炭懸濁液槽21から懸濁液添加ライン71bを経て送る。
【0015】固液分離槽30は、図2に示すように、所定の濾過性能が得られるように、所要数の濾過媒体32が浸漬されている。濾過媒体32は、透過液取出口33と集水管が埋設された枠体の両面に格子状ネットが張り合わされた袋状エレメントを用いる。枠体の形状は特に制限されず、四角形やホームベース型のものを用いることができるが、ホームベース型のものは四角形のものに比べて、先細り部分において透過液の集水及び取出が容易であるため好ましい。
【0016】濾過運転は、固液分離槽30の液面と濾過媒体32の透過液取出口33との水頭差により、濾過媒体32の表面にダイナミック層を形成させて濾過をする。このときの濾過条件は、濾過差圧が好ましくは20kPa以下、より好ましくは0.1〜10kPa(=1〜100cmの水頭差)で、流量が好ましくは5〜50m3/m2/24hr、より好ましくは10〜40m3/m2/24hrの範囲で、一定流量により濾過することが好ましい。
【0017】なお、濾過運転初期には、充分なダイナミック層が形成されておらず、透過液中のSS濃度が高いため、開閉弁48を開き、初期の透過液をライン47(初期抜水ライン47)から原水槽10又は固液分離槽30に返送する初期抜水を行うが、本発明の処理方法によれば、ダイナミック層の形成時間が短縮されるため、初期抜水の時間も短くできる。
【0018】濾過運転時には、エアーポンプ35及び開閉弁36を操作し、固液分離槽30の底部に設置した曝気管37から、ダイナミック層の形成を阻害しない程度に曝気して、固液分離槽30の原水中の活性炭濃度を均一にすることができる。なお、この曝気管37は、濾過媒体32表面に形成された過剰なダイナミック層の除去にも適用できる。
【0019】このような濾過条件で濾過運転することで、活性炭添加による効果との相乗作用により、ダイナミック層の形成がより容易となり、濾過性能が飛躍的に向上される。
【0020】濾過媒体32でダイナミック濾過した透過液は、透過液取出口33から取出し、透過液ライン42を経て透過液槽50に送って貯水する。41はエアー抜きライン、43は流量計、44は開閉弁である。透過液槽50には水位計51が設置されており、逆圧洗浄ライン60が接続されている。
【0021】濾過媒体32は、濾過能力の低下を防止するため、定期的に逆圧洗浄を行うことが望ましい。濾過媒体32の逆圧洗浄は、開閉弁52を開け、逆圧洗浄ポンプ53を作動させ、透過液槽50内の透過液を、逆圧洗浄ライン60を経て濾過媒体32の透過液取出口33から圧入して行う。54は流量計である。
【0022】逆圧洗浄は、15〜60分間隔で、5〜15m/dayの流量で行い、逆圧洗浄時には、洗浄効果を高めるため、逆圧洗浄と同時に膜の下方から曝気管37より、濾過媒体32の1m2当たり200〜400L/minの空気量で曝気することが好ましい。逆圧洗浄により濾過媒体32から剥離し、固液分離槽30の底部に溜まったSSは、開閉弁38を操作して、汚泥引抜ライン40から引き抜いた後、原水槽10に返送する。
【0023】逆圧洗浄後、濾過運転を再開した直後の透過液のSS濃度は高いため、運転初期と同様に初期抜水ライン47から原水槽10又は固液分離槽30に返送する初期抜水を行うが、本発明の処理方法によれば、ダイナミック層の形成時間が短縮されるため、初期抜水の時間も短くできる。
【0024】濾過媒体32に用いる格子状ネットは、実質的に均一な孔径の孔を有するものが好ましい。均一な孔径とは、全ての孔の径が完全に均一である場合と、本発明の目的を損なわない範囲内で、製造上の誤差や継続使用に伴う経日的変化による誤差(例えば、±数%程度の誤差)がある場合を含むものである。このような格子状ネットを用いた場合、全ての孔の孔径は実質的に同一であるので、本発明でいう濾過体の平均孔径は、そのまま全ての孔の孔径とほぼ同一となる。格子状ネットは、下記のうち、(a)〜(c)又は(a)〜(d)の要件を備えたものが望ましい。
【0025】(a)平均孔径が、好ましくは10〜500μm、より好ましくは30〜75μmであり、次式:(M−L)/M×100(Lは最小孔径、Mは平均孔径を示す)で規定される孔径分布が、好ましくは±20%以内、より好ましくは±15%以内であるもの。
【0026】(b)開孔率が、好ましくは30〜60%、より好ましくは30〜50%であるもの。
【0027】(c)厚みが、好ましくは50〜150μm、より好ましくは60〜130μmであるもの。
【0028】(d)線径が、好ましくは25〜80μm、より好ましくは30〜70μmであるもの。
【0029】格子状ネットは、次亜塩素酸ナトリウム水溶液耐性を有するものが好ましく、具体的には2×10cmの大きさの濾過体を有効塩素濃度1質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に1ヶ月浸漬したとき、初期の引張強度に対する減少率が30%未満であるものが好ましい。
【0030】格子状ネットは、金属繊維又はプラスチック繊維からなるものであり、金属繊維としては、鉄、銀、銅、銅合金、チタン、ステンレス、基材となる金属に銀や銅をメッキしたものからなるものが挙げられるが、銅、ステンレスが好ましい。プラスチック繊維としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ビスコースレーヨン、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、更にこれらの共重合体、ブレンド物や架橋物等が挙げられるが、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ポリエステル、ポリエチレンがより好ましい。更に、ステンレスとポリエステル等からなる、金属とプラスチック繊維との複合ネットであっても良い。
【0031】本発明の水処理方法は、河川水、地下水、湖沼水等の天然水系から採取した水の処理方法として適用する。
【0032】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0033】実施例1図1に示す水処理装置を用い、東京都荒川の河川水(SS濃度200mg/L)の処理を行った。
【0034】河川水が満たされた原水槽10中に対し、粉体フィーダー20から活性炭粉末(二村化学製の上水用型番W;平均粒径15μm)を50mg/Lになるように添加した。原水槽10は、攪拌機11により125r/分で攪拌した。
【0035】原水槽10から固液分離槽30に原水を送液し、濾過運転を行った。濾過媒体32は、ステンレス板金で作られた厚さ5cm程度の四角枠の両面に、2枚の平織ステンレス製ネット(平均孔径33μm、孔径分布7%、開孔率37%、厚み100ppm、線径55μm)を固定したもの1枚を用いた。(有効膜面積25cm2)水頭差は20cm(膜間差圧2kPa)に設定し、処理流量は10m3/m2/24hrに設定し、30分間濾過運転した後、1分間の逆圧洗浄(10m/day)を行い、この運転サイクルを繰り返した。
【0036】なお、活性炭の添加により、速やかにダイナミック層が形成されたため、初期抜水は、透過液中のSS濃度が2mg/L以下となった運転開始から5分間までの透過液に対して行い、その後は定常運転に移行した。
【0037】固液分離槽30で濾過して得られた透過液は、透過液槽50に送って貯水した。この透過液は、逆圧洗浄水として用いた。運転開始から24時間経過後の透過液中のSS濃度は1.3mg/Lであり、総透過水量は0.05m3/24hrであった。
【0038】なお、逆圧洗浄により固液分離槽30の底部に溜まった汚泥(SS)は、定期的に汚泥引抜ライン40から引き抜き、原水槽10に返送した。
【0039】比較例1活性炭を添加しないほかは実施例1と同様にして、濾過運転を行った。なお、初期抜水は、運転開始から透過液中のSS濃度が実施例1と同程度になった30分間までの透過液に対して行った。運転開始から1時間経過後の透過液中のSS濃度は1.3mg/Lであり、総透過水量は0.025m3/24hrであった。
【0040】実施例1と比較例1との対比から明らかなとおり、実施例1では活性炭を添加したことにより、ダイナミック層の形成時間が大幅に短縮されたため、初期抜水量が大幅に少なくなった。その結果、総透過水量が飛躍的に高められた。
【0041】
【発明の効果】本発明の水処理方法を適用すれば、工場排水等に比べてSS濃度が低い河川水等のSS濃度を低下させることができると共に、透過水量を飛躍的に向上させることができるため、浄水場等の前処理方法として好適である。
【出願人】 【識別番号】594152620
【氏名又は名称】ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社
【住所又は居所】大阪府堺市鉄砲町1番地
【出願日】 平成14年2月5日(2002.2.5)
【代理人】 【識別番号】100063897
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 馨 (外4名)
【公開番号】 特開2003−225519(P2003−225519A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−27666(P2002−27666)