| 【発明の名称】 |
汚染油の処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中条 克彦 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田8番地 株式会社東芝横浜事業所内
【氏名】村松 武彦 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田8番地 株式会社東芝横浜事業所内
【氏名】前沢 幸繁 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田8番地 株式会社東芝横浜事業所内
【氏名】今 雅夫 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田8番地 株式会社東芝横浜事業所内
【氏名】轟木 朋浩 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田8番地 株式会社東芝横浜事業所内
【氏名】西澤 克志 【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株式会社東芝浜川崎工場内
【氏名】小原 敦 【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株式会社東芝浜川崎工場内
|
| 【要約】 |
【課題】吸着剤を用いて、廃油中に存在する残留性の高い有機性の汚染物質を選択的に分離し、廃油中残留性の高い有機性の汚染物質濃度を我が国の環境基準値以下にまで除去する。
【解決手段】残留性の高い有機性の汚染物質を含有する廃油を非プロトン性極性溶媒に連続的に接触させることにより、廃油中の残留性の高い有機性の汚染物質を抽出した後、有機性の汚染物質を含有する非プロトン極性溶媒にプロトン性極性溶媒を混合し、非プロトン性極性溶媒とプロトン性溶媒の混合物極性溶媒中の有機性の汚染物質を吸着剤により吸着除去する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】有機性の汚染物質を含有する油類を非プロトン性極性溶媒に接触させることにより、前記油類中の前記有機性の汚染物質を前記非プロトン性極性溶媒に溶解抽出させる抽出工程と、前記汚染物質を溶解した非プロトン性極性溶媒と前記油類とを分離する分離工程と、分離された前記非プロトン性極性溶媒と疎水性の吸着剤とを接触させ、前記プロトン性極性溶媒に溶解した前記汚染物質を前記吸着剤に吸着させる吸着工程とを具備することを特徴とする汚染油の処理方法。 【請求項2】有機性の汚染物質を含有する油類を非プロトン性極性溶媒に接触させることにより、前記油中の前記有機性の汚染物質を前記非プロトン性極性溶媒に溶解抽出させる抽出工程と、前記汚染物質を溶解した非プロトン性極性溶媒と前記油類とを分離する分離工程と、前記汚染物質を溶解した非プロトン性極性溶媒にプロトン性極性溶媒を混合する親水化工程と、前記非プロトン性極性溶媒と前記プロトン性溶媒の混合物である極性溶媒中の汚染物質を疎水性の吸着剤により吸着させる吸着工程とからなることを特徴とする汚染油の処理方法。 【請求項3】前記吸着剤の表面に、貴金属微粒子を担持させたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の汚染油の処理方法。 【請求項4】前記非プロトン性極性溶媒が、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン(DMI)、プロピレンカーボネート、リン酸トリエチル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよび1,3−ジオキソフランから選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の汚染油の処理方法。 【請求項5】前記プロトン性極性溶媒が、アルコール類、カルボン酸類、水、塩酸、硫酸および硝酸から選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の汚染油の処理方法。 【請求項6】前記吸着剤が、活性炭であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の汚染油の処理方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、汚染油の処理方法に係わり、特に、性状が類似しているため分離が困難とされている油類中の残留性の高い有機性の汚染物質を選択的に分離するのに適した汚染油の処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術】残留性の高い有機性の汚染物質(persistent organic pollutants:POPs)は揮散移動性を有しており、様々な環境媒体中に広い濃度範囲で存在している。このような特徴を有する残留性の高い有機性の汚染物質を燃焼法および化学処理法で効率的に処理するためには、その存在する環境媒体から残留性の高い有機性の汚染物質のみを選択的に分離・回収することが重要となる。特に廃油中に数ppmオーダーという低濃度で存在している残留性の高い有機性の汚染物質の処理は、媒体と高い親和性を有する残留性の高い有機性の汚染物質の選択的な分離回収が困難であるため、その実質的処理量は膨大なものとなりエネルギー的に極めて非効率になる。残留性の高い有機性の汚染物質による汚染油から親油性物質である残留性の高い有機性の汚染物質を選択的に分離回収する方法としては蒸留法および液−液抽出法が従来技術として挙げられるが■エネルギー消費量■精密かつ複雑な操作■分離の不確実性■分離後の無害化処理が既存の無害化技術では困難などの問題を有している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記したように分離が極めて困難とされてきた油類中に溶解している残留性の高い有機性の汚染物質を、選択的にかつ効率的に分離除去が可能な、簡便な分離除去方法を提供することを目的としている。 【0004】 【課題を解決するための手段】第1の本発明は、有機性の汚染物質を含有する油類を非プロトン性極性溶媒に接触させることにより、前記油類中の前記有機性の汚染物質を前記非プロトン性極性溶媒に溶解抽出させる抽出工程と、前記汚染物質を溶解した非プロトン性極性溶媒と前記油類とを分離する分離工程と、分離された前記非プロトン性極性溶媒と疎水性の吸着剤とを接触させ、前記プロトン性極性溶媒に溶解した前記汚染物質を前記吸着剤に吸着させる吸着工程とを具備することを特徴とする汚染油の処理方法である。 【0005】また、第2の本発明は、有機性の汚染物質を含有する油類を非プロトン性極性溶媒に接触させることにより、前記油中の前記有機性の汚染物質を前記非プロトン性極性溶媒に溶解抽出させる抽出工程と、前記汚染物質を溶解した非プロトン性極性溶媒と前記油類とを分離する分離工程と、前記汚染物質を溶解した非プロトン性極性溶媒にプロトン性極性溶媒を混合する親水化工程と、前記非プロトン性極性溶媒と前記プロトン性溶媒の混合物である極性溶媒中の汚染物質を疎水性の吸着剤により吸着させる吸着工程とからなることを特徴とする汚染油の処理方法である。 【0006】また、第3の本発明は、有機性の汚染物質を含有する油類を非プロトン性極性溶媒に接触させることにより、前記油類中の前記有機性の汚染物質を前記非プロトン性極性溶媒に溶解抽出させる抽出工程と、前記汚染物質を溶解した非プロトン性極性溶媒と前記油類とを分離する分離工程と、分離された前記非プロトン性極性溶媒を貴金属微粒子を担持した疎水性の吸着剤と接触させ、前記プロトン性極性溶媒に溶解した前記汚染物質を前記吸着剤に吸着させる吸着工程とを具備することを特徴とする汚染油の処理方法である。 【0007】前記第1、第2および第3の本発明において、前記非プロトン性極性溶媒としては、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン(DMI)、プロピレンカーボネート、リン酸トリエチル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよび1,3−ジオキソフランから選ばれた少なくとも1種類を用いることが好ましい。 【0008】また、前記第1、第2および第3の本発明において、前記プロトン性極性溶媒としては、エタノール、メタノール、1−プロパノ‐ル、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール類、酢酸、蟻酸などのカルボン酸類、水、塩酸、硫酸、および硝酸から選ばれた少なくとも1種類を用いることが好ましい。 【0009】さらに、前記第1、第2および第3の本発明において、前記吸着剤としては、活性炭を用いることが好ましい。 【0010】前記これらの本発明を適用可能な、本発明の処理対象である汚染油とは、動植物油、精油、樹脂油、鉱物油からなる少なくとも1種類または2種類以上の混合物からなる油類であって、残留性の高い有機性の汚染物質を含有するものである。また、本発明の方法を適用するに適した残留性の高い有機性の汚染物質とは、油類に安定的に溶解している有機物であり、人体を始め動植物中に蓄積され悪影響を及ぼす難分解性の有機物質であり、例えば、ポリ塩化ビフェニル類(PCB)、ダイオキシン類、フラン類、クロルデン、ヘプタクロル、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、ヘキサクロロベンゼン、DDT、トキサフェン、マイレックス、ヘキサクロロシクロヘキサン(BHC)、ペンタクロロフェノール(CNP)、クロルニトロフェンなどの有機塩素化合物が挙げられる。 【0011】 【発明実施の形態】[第1の発明の実施の形態]以下に本発明の第1の実施の形態を詳しく説明する。本実施の形態の処理方法は、(1)有機性の汚染物質を含有する油類を非プロトン性極性溶媒に接触させることにより、前記油類中の前記有機性の汚染物質を前記非プロトン性極性溶媒に溶解抽出させる抽出工程と、(2)前記汚染物質を溶解した非プロトン性極性溶媒と前記油類とを分離する分離工程と、(3)分離された前記非プロトン性極性溶媒と疎水性の吸着剤とを接触させ、前記プロトン性極性溶媒に溶解した前記汚染物質を前記吸着剤に吸着させる吸着工程とからなっている。 【0012】以下、本実施の形態の工程の流れを示す図1を用いて本実施の形態を説明する。図1中、1は残留性の高い有機性の汚染物質を含有する廃油のような汚染油を貯める廃油貯槽である。まずこの廃油貯槽中の汚染油1と、非プロトン性極性溶媒が移送ポンプa及びbによって、廃油に混入している残留性の高い有機性の汚染物質を非プロトン性極性溶媒に抽出させるための液−液抽出装置3Aに運ばれる。ここでは、繰り返し液−液抽出させるために非プロトン性極性溶媒を循環させる循環ポンプcが併設されている。ここで用いられる非プロトン性極性溶媒は、必要に応じて、水などのプロトン性極性溶媒が0.1〜10%程度含有している非プロトン性極性溶媒を用いることができる。この液−液抽出装置3によって分離され処理油貯槽5に貯められた処理油からは、汚染成分が非プロトン性極性溶媒側に移行していることから、汚染が解消されており、必要に応じて精製などの手段を講じて再利用される。一方、汚染物質を含有している非プロトン性極性溶媒は、活性炭吸着塔4で活性炭のような吸着剤と連続接触され、吸着処理が行われ、汚染物質は吸着剤に吸着分離される。ここでは繰り返し吸着させるために非プロトン性極性溶媒を循環させる循環ポンプdが併設されている。吸着塔によって回収された汚染物質を吸着している吸着剤は、次いで、熱分解、汚染物質の溶出除去などの手段により無害化され処理される。一方、非プロトン性極性溶媒は移送用ポンプeによって非プロトン性極性溶媒貯槽2へ移送後、再利用される。 【0013】以下に、各工程に従って本実施の形態を詳細に説明する。 (抽出工程)抽出工程は、残留性の高い有機性の汚染物質を含有する廃油を非プロトン性極性溶媒に連続的に接触させることにより、廃油中の残留性の高い有機性の汚染物質を非プロトン性極性溶媒に抽出させる工程である。 【0014】具体的には、残留性の高い有機性の汚染物質が混入している廃油を、通常10℃〜80℃で非プロトン性極性溶媒に連続的に接触させ、廃油中の残留性の高い有機性の汚染物質を非プロトン性極性溶媒中に抽出する。 【0015】本実施の形態で使用する非プロトン性極性溶媒としてはアセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン(DMI)、プロピレンカーボネート、リン酸トリエチル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよび1,3−ジオキソフランから選ばれた少なくとも1種類または2種類以上の混合物を使用できる。好ましくは、DMFまたはDMSOを使用する。前記の残留性の高い有機性の汚染物質を含有する廃油と非プロトン性極性溶媒との接触は、廃油中の残留性の高い有機性の汚染物質の濃度が環境基準以下になるまで1回もしくは複数回繰り返される。抽出操作に関しては、特に限定されないが回分式抽出法、多回抽出法、連続微分抽出法、向流多段抽出法、還流抽出法、分別抽出法が使用できる。好ましくは向流多段抽出法を用いる。 【0016】(分離工程)引続き、廃油と非プロトン性極性溶媒との分離を行う。廃油は疎水性の液体であり、非プロトン性極性溶媒は比較的親水性の高い液体であるため、両液体は相分離するため、例えば底部に排水弁を持った容器に両液体を収納して両液体が相分離した後、排水弁を所定時間開くことで、一方の液体のみを選択的に回収することで、廃油と非プロトン性極性溶媒とを分離することができる。 【0017】(吸着工程)次の吸着除去工程は、分離された非プロトン性極性溶媒中の残留性の高い有機性の汚染物質を吸着剤により吸着除去する工程である。 【0018】前記吸着剤吸着工程で使用する吸着剤の細孔構造、原料、製造方法などは特に限定されるものではない。また、本実施形態で使用される吸着剤は、疎水性を有する材料が使用される。一般にPCBなどの有機性の汚染物質は疎水性であり、非プロトン性極性溶媒は親水性であるが、吸着剤に求められる疎水性とは、有機性の汚染物質に対する親和性が、非プロトン性物質に対する親和性よりも高い性質のものである。このように疎水性の吸着剤を使用することにより、吸着剤表面には選択的に有機性の汚染物質が付着する。特に、有機性の汚染物質よりも疎水性の高い吸着剤を使用することで、汚染物質を付着させる効果は大きくなる。本実施の形態において、吸着剤としては、木炭、骨炭、活性炭、シリカゲル、溶融シリカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、フラースアース、活性白土、ボーキサイト、アルミナ、マグネシア、多孔性ガラスビーズ、キレート樹脂、キトサン、および高分子合成吸着剤、多孔性樹脂からなる多孔性構造を有するものを用いることができる。これらの吸着剤の内、本実施の形態においては、高表面積の活性炭を使用することが、入手の容易性、取り扱いの容易性、優れた吸着能などの点で好ましい。 【0019】吸着操作に関しては、特に限定はされないが、接触濾過法、流動層吸着法、固定層吸着法、移動層吸着法が使用できる。吸着操作は、極性溶媒中の残留性有機汚染物濃度が環境基準値以下になるまで、複数回繰り返される。必要に応じて、吸着効率を向上させる目的で、吸着剤表面の改質を行う。例えば、吸着剤に活性炭を用いた場合、活性炭にスルホン化、硝酸酸化などの化学処理または金属塩の添着を施すことにより活性炭表面を改質し、残留性の高い有機性の汚染物質の吸着能を増加させることができる。 【0020】以上に記載したように本実施の形態によって、残留性の高い有機性の汚染物質を含有する汚染油を処理することによって効果的に残留性の高い有機性の汚染物質を除去することができる。また、吸着剤による残留性の高い有機性の汚染物質吸着処理後の非プロトン性極性溶媒は再利用することができる。 【0021】[第2の発明の実施の形態]以下に本発明の第1の実施の形態を詳しく説明する。本実施の形態の処理方法は、(1)残留性の高い有機性の汚染物質を含有する廃油を非プロトン性極性溶媒に連続的に接触させることにより、廃油中残留性の高い有機性の汚染物質を非プロトン性極性溶媒に抽出させる工程(抽出工程)と、(2)残留性の高い有機性の汚染物質含有非プロトン極性溶媒にプロトン性極性溶媒を混合する工程(混合工程)と、(3)非プロトン性極性溶媒とプロトン性溶媒の混合物極性溶媒中の残留性の高い有機性の汚染物質を吸着剤により吸着除去する工程(吸着除去工程)とからなっている。 【0022】以下、本実施の形態の工程の流れを示す図2を用いて本実施の形態を説明する。図2中、1は残留性の高い有機性の汚染物質を含有する廃油のような汚染油を貯める廃油貯槽である。まずこの廃油貯槽中の汚染油1と、非プロトン性極性溶媒が移送ポンプa及びbによって、廃油に混入している残留性の高い有機性の汚染物質を非プロトン性極性溶媒に抽出させるための液−液抽出装置3Bに運ばれる。ここでは、繰り返し液−液抽出させるために非プロトン性極性溶媒を循環させる循環ポンプcが併設されている。ここで用いられる非プロトン性極性溶媒は、必要に応じて、水などのプロトン性極性溶媒が0.1〜10%程度含有している非プロトン性極性溶媒を用いることができる。この液−液抽出装置3によって分離され処理油貯槽5に貯められた処理油からは、汚染成分が非プロトン性極性溶媒側に移行していることから、汚染が解消されており、必要に応じて精製などの手段を講じて再利用される。一方、汚染物質を含有している非プロトン性極性溶媒は、次いでプロトン性極性溶媒貯槽中7のプロトン性極性溶媒と混合攪拌装置6で混合される。次いで、汚染物質を含有している非プロトン性極性溶媒とプロトン正極性溶媒との混合物には、活性炭吸着塔4で活性炭のような吸着剤と連続接触され、吸着処理が行われ、汚染物質は吸着剤に吸着分離される。ここでは繰り返し吸着させるために非プロトン性極性溶媒とプロトン性極性溶媒の混合物を循環させる循環ポンプdが併設されている。吸着塔によって回収された汚染物質を吸着している吸着剤は、次いで、熱分解、汚染物質の溶出除去などの手段により無害化され処理される。一方、非プロトン性極性溶媒およびプロトン性極性溶媒の混合物は溶媒分溜装置8により分離され、移送用ポンプeおよびfによって非プロトン性極性溶媒貯槽2およびプロトン性極性溶媒貯槽4へ移送後、再利用される。 【0023】以下に、各工程に従って本実施の形態を詳細に説明する。 (抽出工程)抽出工程は、残留性の高い有機性の汚染物質を含有する廃油を非プロトン性極性溶媒に連続的に接触させることにより、廃油中残留性の高い有機性の汚染物質を非プロトン性極性溶媒に抽出させる工程である。この工程は、前述の第1の実施の形態と同等の手段を採用できる。 【0024】(分離工程)引続き、廃油と非プロトン性極性溶媒との分離を行う。廃油は疎水性の液体であり、非プロトン性極性溶媒は比較的親水性の高い液体であるため、両液体は相分離するため、例えば底部に排水弁を持った容器に両液体を収納して両液体が相分離した後、排水弁を所定時間開くことで、一方の液体のみを選択的に回収することで、廃油と非プロトン性極性溶媒とを分離することができる。 【0025】(混合工程)次の工程は、残留性の高い有機性の汚染物質含有非プロトン極性溶媒にプロトン性極性溶媒を混合する工程である。この工程において、前記非プロトン性極性溶媒とプロトン性極性溶媒の混合工程での非プロトン性極性溶媒とプロトン性極性溶媒の混合は特に限定されるものではないが1:100〜1000:1の重量比率で混合するのが好ましい。 【0026】前記プロトン性極性溶媒としては、エタノール、メタノール、水、プロパノ‐ル、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、塩酸、硫酸、硝酸から選ばれた少なくとも1種類または2種類以上の混合物が使用できる。好ましくは、水を使用する。プロトン性極性溶媒の混合により、プロトン性極性溶媒と非プロトン性極性溶媒との混合極性溶媒の極性は増加する(親水性の度合いが高くなる)。そのため、残留性有機汚染物(疎水性)の非プロトン性極性溶媒への溶解度は減少する。その結果、後の吸着工程における吸着剤(疎水性)への残留性の高い有機性の汚染物質(疎水性)の吸着効率が向上する。なお、分離工程と混合工程は、どちらの工程が先であっても構わない。 【0027】(吸着除去工程)次の吸着除去工程は、非プロトン性極性溶媒とプロトン性溶媒の混合物極性溶媒中の残留性の高い有機性の汚染物質を吸着剤により吸着除去する工程で、この工程も前記第1の実施の形態と同様の手法を採用することができる。 【0028】以上に記載したように本実施の形態によって、残留性の高い有機性の汚染物質を含有する汚染油を処理することによって効果的に残留性の高い有機性の汚染物質を除去することができ、汚染油からの残留性の高い有機性の汚染物質の除去率は70〜100%に達する。また、吸着剤による残留性の高い有機性の汚染物質吸着処理後の極性溶媒は蒸留操作などにより非プロトン性極性溶媒と極性溶媒に分離され、再利用することができる。 【0029】[第3の発明の実施の形態]以下に本発明の第3の実施の形態を更に詳しく説明する。本発明の処理方法は、(1)残留性の高い有機性の汚染物質を含有する廃油を非プロトン性極性溶媒に連続的に接触させることにより、廃油中残留性の高い有機性の汚染物質を非プロトン性極性溶媒に抽出させる工程(抽出工程)と、(2)残留性の高い有機性の汚染物質含有非プロトン極性溶媒にプロトン性極性溶媒を混合する工程(混合工程)と、(3)非プロトン性極性溶媒とプロトン性溶媒の混合物極性溶媒中の残留性の高い有機性の汚染物質を触媒を担持した吸着剤により吸着除去する工程(吸着除去工程)とからなっている。 【0030】以下各工程に従って本発明を説明する。 (抽出工程)抽出工程は、残留性の高い有機性の汚染物質含有廃油を非プロトン性極性溶媒に連続的に接触させることにより、廃油中残留性の高い有機性の汚染物質を非プロトン性極性溶媒に抽出させる工程である。この工程は、前述の第1の実施の形態および第2の実施の形態と同等の手段を採用できる。 【0031】(混合工程)次の工程は、汚染物質を溶解した前記非プロトン性極性溶媒に、プロトン性極性溶媒を混合する工程で、この工程も前記第2の実施の形態と同等の手段を採用することができる。 【0032】(吸着除去工程)次の工程は、前の工程で得られる非プロトン性極性溶媒とプロトン性極性溶媒との混合溶媒中に溶解している汚染物質を、貴金属微粒子を担持した吸着剤により吸着する工程である。この工程において採用する吸着剤は、触媒を担持している以外は、前記第1の実施の形態および第2の実施の形態において用いている吸着剤を使用することができる。 【0033】この工程において、活性炭などの吸着材の表面および細孔内にパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの貴金属微粒子から選ばれた少なくとも1種類または2種類以上の混合物を担持させることで、廃油中残留性の高い有機性の汚染物質無害化処理(脱塩素化による無害化処理)のための貴金属微粒子担持吸着剤として使用できる。この時の貴金属微粒子担持量は特に限定されるものではないが、0.5wt%〜10wt%が好ましい。この工程において用いられる貴金属微粒子担持吸着剤は、以下の方法によって製造することができる。すなわち、多孔性担体に、貴金属塩水溶液を毛管吸引力または蒸発乾固により浸み込ませ、乾燥、塩の熱分解および還元などの活性化処理を行なう触媒担持方法によって、本実施の形態において用いるのに適した触媒担持吸着剤が得られる。 【0034】 【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。 (実施例1および2)電気絶縁油中の低濃度ポリ塩化ビフェニル類(PCB)を除去処理した試験につき説明する。本実施例は下記の試験条件下で行なった。すなわち、処理対象物としては、電気絶縁油(鉱物油)200gにPCB(KC300)0.096gを添加したものをサンプルとして用いた。これは、PCB濃度にして、480ppmに相当する。また、非プロトン性極性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いた。さらに、プロトン性極性溶媒としては、純水を用いた。また、吸着剤としては、比表面積が938m2/gで、細孔容積が1.1cm2/gの粉末状活性炭1gを用いた。 【0035】まず、抽出操作は500ml用分液ロートを用いて、回分式抽出法(抽出時間:10分間、抽出回数:5回)で行なった。一回の抽出操作で使用するDMFの量は50mlとした。5回の抽出操作で99.999%以上のPCBをDMFに抽出することができ、DMF中に4085ppmの濃度でPCBを回収した。この工程において、処理温度は25℃で、常圧で行った。 【0036】次いで、前記操作で、有機汚染物質を溶解した非プロトン性極性溶媒溶液にプロトン性極性溶媒を添加して混合溶媒とし、かつ吸着剤を添加して有機汚染物質の吸着を行った。すなわち、吸着試験は接触濾過法で行なった。25℃に調節済みの恒温水槽中の三口フラスコにPCB含有DMF(4085ppm)、活性炭1g、純水を加えて、攪拌機を用いて充分に攪拌した(攪拌の回転数=400rpm以上)。12時間の攪拌後、吸引濾過装置により活性炭とDMFを分離し、DMF中のPCB濃度を測定した。試験はDMFの含水率を0vol%(実施例1:第1の本発明に相当)、5vol%、20vol%、50vol%(実施例2:第2の本発明に相当)と変化させて試験を実施した。この工程で、液−液抽出の時間は、50分(10分×5回抽出)とし、また吸着は12時間かけて行った。これらの実施例によって処理したPCBの回収率を表1に示す。実施例1および実施例2のいずれにおいても、PCBの回収率は50%を越えていた。 【0037】代表的な吸着試験結果を図3に示す。第1の本発明により、PCBの吸着除去率は65%に達した。さらに、DMFの含水率増加に伴い、PCBの吸着除去率は増加し、含水率50vol%では100%近くの除去率が達成できた。本発明により絶縁油中のPCBを100%近く活性炭に回収することが出来た。 【0038】(比較例1)前述のPCB含有電気絶縁油(PCB濃度にして480ppm)に上記活性炭1gを加えて、攪拌機を用いて充分に攪拌した(攪拌の回転数=400rpm以上)。48時間の攪拌後、活性炭が吸着平衡に達しているのを確認し、電気絶縁油中のPCB濃度を測定した。その結果を、表1に併せて示す。 【0039】 【表1】
【0040】比較例の結果では、活性炭吸着平衡時の電気絶縁油中のPCB濃度は456ppmであり、電気絶縁油中のPCBは5%程度しか活性炭に回収されなかった。表の結果から明らかなように、第1の本発明および第2の本発明により、電気絶縁油中のPCBを効果的に回収できることが示された。 【0041】(実施例3)吸着剤として、5wt%のパラジウム貴金属微粒子を担持した活性炭を用いたこと以外には実施例1と同様にして、汚染油の処理を行なった。回収したパラジウム担持活性炭を500mlの2−プロパノールに125mmol/dm−3の水酸化ナトリウムを溶解した溶液に添加して、窒素雰囲気下で攪拌機により攪拌しながら、80℃の温度で無害化処理した。その結果、1時間の反応時間で99.9999%のPCB分解率を達成した。この実施例において、パラジウム貴金属微粒子の担持は次のようにして行った。すなわち、塩化パラジウムを濃塩酸と水とに溶かし、さらに水を加えて希釈したのちカーボンとよく混合し時々かき混ぜながら乾固する。この固体を粉末にして密閉容器中に貯える。必要量の触媒を溶媒中で水素と振って還元する方法によって、本実施例において用いるのに適した貴金属微粒子担持吸着剤を制作することができた。尚、生成する塩酸を除く必要がある場合は、貴金属微粒子が湿った状態を保つようにして濾別し溶媒洗浄して使用する。 【0042】 【発明の効果】上記した本発明によれば、簡便な操作により、分離が極めて困難とされてきた油類中に溶解している残留性の高い有機性の汚染物質を、選択的にかつ効率的に吸着分離することができ、さらには無害化処理ができた。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
|
| 【出願日】 |
平成14年2月5日(2002.2.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088487 【弁理士】 【氏名又は名称】松山 允之 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−225505(P2003−225505A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月12日(2003.8.12) |
| 【出願番号】 |
特願2002−28372(P2002−28372) |
|