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【発明の名称】 だし抽出装置およびその販売方法
【発明者】 【氏名】東 道教
【住所又は居所】三重県北牟婁郡紀伊長島町東長島2646−3 佐太屋株式会社内

【要約】 【課題】だし成分の抽出およびだし原料と抽出液との固液分離を同一装置で行なうことができ作業性、抽出効率に優れただし抽出装置、およびこの高効率を前提としてユーザーが安心して購入できる該抽出装置の販売方法を提供する。

【解決手段】だし原料からだし成分を抽出するためのだし抽出装置であって、該だし抽出装置は、攪拌機を備えた抽出容器と、該抽出容器外部に配設された該抽出容器への液の注入および抽出液の排出を制御する液循環装置と、該抽出容器壁面周囲に配設された加熱器と、該抽出容器底部に開閉可能に蝶合された蓋部と、該蓋部にだし原料液を濾過するための濾過用金網とを備える。また、該装置の販売方法は、該だし抽出装置を用いた場合の抽出率と、既存の抽出装置を用いた場合の抽出率との差を算出し、上記だし抽出装置を購入したユーザーが前記差分に基づく原料費削減額の所定割合を販売者に支払う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 だし原料からだし成分を抽出するためのだし抽出装置であって、該だし抽出装置は、攪拌機を備えた抽出容器と、該抽出容器外部に配設された該抽出容器への液の注入および抽出液の排出を制御する液循環装置と、該抽出容器壁面周囲に配設された加熱器と、該抽出容器底部に開閉可能に蝶合された蓋部と、該蓋部にだし原料液を濾過するための濾過用金網とを備えることを特徴とするだし抽出装置。
【請求項2】 前記液循環装置は、液を前記抽出容器内に注入する液注入用配管と、前記蓋部に接続され、かつ前記液注入配管に連結された液排出用配管と、液の注入および排出用の動力となる前記配管経路に配設されたポンプと、前記抽出容器内部の液高さを検知するセンサーと、該センサーからの情報に基づき所定の液量を前記液注入用配管から注入させる制御装置とを備えることを特徴とする請求項1記載のだし抽出装置。
【請求項3】 請求項1または請求項2記載のだし抽出装置の販売方法であって、前記だし抽出装置を用いた場合の抽出率と、既存の抽出装置を用いた場合の抽出率との差を算出し、前記だし抽出装置を購入したユーザーが前記差分に基づく原料費削減額の所定割合を使用料として販売者に支払うことを特徴とするだし抽出装置の販売方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、かつお節や昆布などのだし原料からだし成分を抽出するための抽出装置に関し、特に抽出と固液分離を同一の装置で行なうことにより作業性および抽出効率に優れただし抽出装置、およびこの高効率を前提とした該抽出装置の販売方法に関する。
【0002】
【従来の技術】かつお節、さば節、むろ節などの節類および昆布などのだし原料から抽出されるイノシン酸、グルタミン酸などは旨味や特有の風味を持つだし成分として調味料などに広く利用されている。食品加工業などで用いられるだしは、その旨味や風味が重要となることから上記のだし原料などを独自のノウハウで組合せて抽出している。
【0003】従来のだし抽出装置を図2により説明する。従来の一般的なだし抽出は、抽出装置11と固液分離装置12とを併用し、抽出は抽出装置11で行ない、だし原料と抽出液との固液分離は固液分離装置12を用いて行なっている。抽出装置11は抽出を効率よく促進させるための攪拌機13と、装置内のだし原料液を加熱するための加熱器(図示省略)を有する。また、固液分離装置12は、固液分離用金網14を有する。抽出装置11において、だし原料からだし成分を所定温度で、所定時間攪拌しながら抽出したのち、固形分であるだし原料を含む抽出液を固液分離装置12に移し、だし原料と抽出液とを分離する。だし原料は数回抽出を行なうことができるので、だし抽出後の残渣として固液分離装置12の固液分離用金網14に残っただし原料を再び抽出装置11へと戻し、前回と同様に抽出を行なう。だし原料の繰り返し抽出は、その抽出液中のだし成分濃度が所定値を保てるかぎり行なうことができ、一般的な抽出限度回数は、だし原料により若干異なるが略 2 〜 3 回である。
【0004】だしの抽出効率を向上させるには、(1)だし原料に対して、抽出溶媒を多くし固液比率を下げて抽出を行なう、(2)図2で示すように抽出容器内に攪拌機を設置し、だし原料および温水などの抽出溶媒を攪拌しながら抽出を行なう、(3)上記のように同じ原料を繰り返して用い、抽出の都度抽出溶媒を新液に代えて繰り返し抽出を行なうなどの方法がある。
【0005】また、高濃度のだし抽出液を得るためには、だし原料および一度抽出された抽出液を再び抽出容器に戻し、該抽出液を用いて再抽出を行なう循環抽出方法がある。
【0006】従来のだし抽出装置の販売方法は、その他の機械装置と同様で、ユーザーは販売時に装置本体費用およびその他諸費用をすべて販売者に支払う方式が一般的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、だし成分の抽出にあたっては、だし原料に対する抽出溶媒量が定まっている場合が多い。このため、原料に対して多量の抽出溶媒を用いることにより抽出効率を上げるといった方法が使用できないという問題がある。また、抽出液を循環させ抽出を繰り返すと、抽出液内のだし成分濃度が上がり、だし原料との濃度差が小さくなるため抽出が進みにくくなるという問題がある。また、抽出容器内に十分な量の液がないと攪拌が行なえないため、この場合でも抽出効率が低下するという問題がある。
【0008】従来のだし成分の抽出、および抽出後のだし原料残渣と抽出液との固液分離とを別々の装置を用いて行なう場合では、だし原料の再循環などの工程が増えて複雑になり必要とする作業員の数も多くなるためコストが多くかかるという問題がある。また、工程が複雑になると抽出装置と固液分離装置との連結部などの箇所も必然的に多くなり、装置の維持管理が煩雑となるという問題がある。
【0009】だし抽出装置などは購入額が高く、購入時には慎重な調査が必要となる。従来の販売方法では、ユーザーは購入後に期待する効果が得られるどうかが分からない。また購入後、十分な効果が得られない場合もあり、安易には新装置の採用にふみきれないという問題がある。
【0010】本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、かつお節や昆布などのだし原料からだし成分を抽出するための抽出装置において、だし成分の抽出およびだし原料と抽出液との固液分離を同一装置で行なうことができ作業性に優れ、かつ抽出率に優れただし抽出装置、およびこの高効率を前提としてユーザーが安心して購入できる該抽出装置の販売方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のだし抽出装置は、だし原料からだし成分を抽出するためのだし抽出装置であって、該だし抽出装置は、攪拌機を備えた抽出容器と、該抽出容器外部に配設された該抽出容器への液の注入および抽出液の排出を制御する液循環装置と、該抽出容器壁面周囲に配設された加熱器と、該抽出容器底部に開閉可能に蝶合された蓋部と、該蓋部にだし原料液を濾過するための濾過用金網とを備えることを特徴とする。
【0012】抽出容器底部の蓋部に濾過用金網を設置することにより、1つの装置で抽出と固液分離を行なうことができる。この結果、作業工程が削減されるので作業時における問題が発生しにくく装置管理が容易になり、かつコストを削減することができる。
【0013】蓋部を該抽出容器下部に開閉可能に蝶合することにより、抽出操作完了後のだし原料残渣を容易に取り出すことができ、また、清掃作業なども容易に行なうことができる。
【0014】上記液循環装置は、液を前記抽出容器内に注入する液注入用配管と、上記蓋部に接続され、かつ上記液注入配管に連結された液排出用配管と、液の注入および排出用の動力となる配管経路に配設されたポンプと、上記抽出容器内部の液高さを検知するセンサーと、該センサーからの情報に基づき所定の液量を前記液注入用配管から注入させる制御装置とを備えることを特徴とする。
【0015】液高さ検知用センサーと制御装置とを組合せ用いることにより、液排出用配管から排出された抽出液量分の新液を液注入用配管より逐次的に注入することができる。また、だし抽出容器内において、だし原料から抽出溶媒へのだし成分の溶出が進行すると、抽出溶媒中のだし成分濃度が増加するため、だし原料と抽出溶媒間での濃度勾配が減少しだし成分の溶出が起こりにくくなるという問題があるが、本発明では、新液を逐次的に注入することにより濃度勾配が一定に保たれ抽出を安定して行なうことができ抽出効率に優れる。
【0016】液排出用配管の経路にポンプを設置することにより、濾過用金網部分での濾過をポンプにより吸引しながら行なうので、濾過時間を短縮することができる。
【0017】液注入用配管と液排出用配管とが連結されることにより、配管経路に設置したポンプを利用して排出した抽出液を再度抽出容器内へ容易に注入することができる。このように一度だし原料からだし成分を抽出した抽出液を循環させ、この抽出液を用いて再度抽出を行なうことにより高濃度の抽出液を得ることができる。
【0018】本発明のだし抽出装置の販売方法は、本発明のだし抽出装置を用いた場合の抽出率と、既存の抽出装置を用いた場合の抽出率との差を算出し、上記だし抽出装置を購入したユーザーが前記差分に基づく原料費削減額の所定割合を販売者に支払うことを特徴とする。
【0019】本発明の抽出効率に優れただし抽出装置を採用することにより、ユーザーはだし原料費を削減することができる。また、ユーザーは原料費削減額の所定割合を販売者に支払うだけで、工程削減、作業の簡易化などその他多くの効果も得ることができる。
【0020】購入時に販売者がデモ機などによる抽出率測定実験を行なうことにより、ユーザーは購入前に該だし抽出装置によって得られる効果を正確に予測できる。結果によっては購入を控えることもでき、ユーザーは、安心して装置を購入・使用できる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のだし抽出装置を図1により説明する。図1は本発明の一実施例に係るだし抽出装置の模式的な断面図である。抽出容器1には、容器内部にだし原料および抽出溶媒からなるだし原料液を攪拌するために攪拌翼3aを有する攪拌機3が、容器側壁面中に容器内のだし原料液の温度を調節するために加熱器4が、容器底部にだし原料と抽出液を固液分離するための濾過用金網5aを備えた蓋部5とがそれぞれ設置されている。蓋部5はクランプなどにより抽出容器1の底面部に開閉可能に蝶合されており、清掃時等には容易に開閉できるようになっている。また、蓋部5には液排出用配管8およびドレン抜き(図示省略)を備えている。
【0022】液循環装置2は、循環時に抽出液を抽出容器1内に再注入するための液注入用配管7と、上記蓋部に接続された固液分離後の抽出液を排出するための液排出用配管8と、注入または排出用の動力として配管経路に設置したポンプ10と、抽出容器1内部の液高さを検知するための液高さ検知用センサー6と、このセンサーからの液高さ情報に基づいて所定の液量を循環させるようにポンプを制御する制御装置(図示省略)とを有している。本発明のだし抽出装置では、抽出液を抽出容器内に戻して、この抽出液で再度抽出を行なう循環抽出を可能とするように、液注入用配管7と液排出用配管8とが連結されている。
【0023】本発明のだし抽出装置によるだし原料からだし成分を抽出する手順を以下の(1)〜(5)に従い説明する。
(1) かつお節、昆布などのだし原料を抽出容器1内に入れた後、エアーバルブ9a、9b、9eを閉じ、9c、9dを開いて液排出用配管8から水、熱水、またはそれらに調味料などを加えたものを抽出溶媒として注入する。
(2) 抽入後、このだし原料および抽出溶媒からなるだし原料液を攪拌機3により攪拌しながら抽出を行なう。また、抽出中はだし成分が溶け出しやすい温度となるよう加熱器4により容器内のだし原料液を加熱し一定温度を保つようにする。
(3) 攪拌による抽出が終了後、ポンプ10で吸引しながら蓋部5の濾過用金網5aによりだし原料液を濾過し抽出液を得る。ここで抽出液の循環を行なう場合には、エアーバルブ9b、9cを閉じ、9a、9d、9eを開いて液注入用配管7と液排出用配管8とを連結し、ポンプ10により得られた抽出液を再び液注入用配管7から抽出容器1内へと注入する。循環は、ポンプ10でだし原料毎に規定された圧力で吸引しながら、所定時間繰り返し行なう。
(4) 循環操作終了後、エアーバルブ9a、9c、9eを閉じ、9b、9dを開いてポンプ10により吸引して液排出用配管8から抽出液を得る。採液中は抽出容器1内の液量が所定量に保たれるように制御装置(図示省略)により制御する。具体的には、エアーバルブ9a、9cを閉じることにより液注入用配管7と液排出用配管8がそれぞれ独立して使用できるため、ポンプ10を利用した液排出用配管8からの採液中に、液高さ検知用センサー6により抽出容器1内の液高さを検知し、液高さがセンサー6を下まわればエアーバルブ9eを開けて液低下量分の新しい抽出溶媒を液注入用配管7より注入する。
(5) 所定量の新液追加が終了後、加熱器4による加熱を停止し、液排出用配管8より脱液を行なう。
【0024】本発明のだし抽出装置は、抽出容器1内で攪拌抽出を行いつつ、蓋部に設けられた濾過用金網5aによりだし原料と抽出液との固液分離が行なえるので、従来抽出と固液分離を別々の装置により行なっていた場合に比べ、だし原料やだしの抽出液を装置間で移動させるなどの作業工程が削減される。この結果、削減された作業工程にかかる人件費等のコストを削減でき、また工程が減ることにより装置の故障箇所も少なくなるので、装置の維持管理が容易となる。
【0025】蓋部5が抽出容器1の底面部に下蓋として開閉可能に蝶合されているので、抽出操作完了後の後処理は、蓋部5をクランプなどを支点にして開き濾過用金網5a上に残っただし原料残渣を、抽出容器1の下に配置した残渣容器(図示省略)に掻き落とすだけで容易に行なうことができる。
【0026】攪拌機3の攪拌翼3aは、使用するだし原料や抽出溶媒などの抽出条件によって、その設置する数および翼形状を変更することができる。また、抽出容器1内壁には攪拌を促進させるためバッフルを設けることもできる。
【0027】抽出容器壁面に設置する加熱器4としては、電磁誘導や蒸気などを利用したものを使用できる。抽出温度はだし原料により異なり、だし抽出時の温度がその風味などに影響を与えやすいことから、加熱ムラが発生しにくい、工場内で再利用しやすいなどの理由で蒸気を利用した加熱器が本発明に好適である。また、本発明のだし抽出装置では抽出と同時に抽出容器底部の蓋部で濾過を行なうので、だし原料は抽出容器1の底部に堆積しやすい。このため、だし成分の溶出は底部周辺で主に起こるので、加熱器4は抽出容器1の底部周囲に設置することが効率的であり好ましい。
【0028】液高さ検知用センサー6は、抽出容器1の任意の位置に配置することができる。また、抽出進行程度により抽出容器1内の液高さも変化するので、液高さ検知用センサー6は、抽出容器1内で高さが異なる複数箇所に設置しておくことが好ましい。
【0029】液高さ検知用センサー6、エアーバルブ9eを制御装置(図示省略)により制御して液低下量分の新しい抽出溶媒を液注入用配管より注入することにより、抽出容器1の液高さを指定高さに保つことができる。この結果、新しい抽出溶媒(新液)が逐次的に供給されるため、抽出効率の低下原因となる抽出進行に伴うだし原料と抽出溶媒間での濃度勾配の減少が抑えられ、常に大きい濃度差を保てるので抽出効率に優れる。
【0030】本発明のだし抽出装置は、抽出溶媒となる新液の注入量は抽出液排出量と等量でよく、抽出を完了するまでに必要となる抽出溶媒量が少量で済む。この必要な溶媒量は、抽出溶媒を全て入れ替えて抽出を繰り返す場合と比較するとはるかに少なく、抽出溶媒量が十分確保できない場合の抽出に好適である。なお、得られた抽出液は所定の濃度範囲を有し十分なだしの旨味および風味を持つ。
【0031】抽出時に必要となる液量が少量で済むため、抽出装置サイズは従来のものと比較して大幅な小型化が図れる。
【0032】本発明での濾過による固液分離は、ポンプにより吸引しながら行なうので、濾過時間を短縮することができる。また、吸引濾過により濾過用金網上5aではだし原料が圧積した状態となり、これが原因で濾過の進行が遅れてしまう。また、抽出容器1内に攪拌機3を備えるが、底部に圧積しただし原料を攪拌するには至らない。そこで本発明では、ポンプ10の吸引を一時的に停止することにより、圧積しただし原料をポンプの吸引圧から開放し、抽出容器1内に拡散させている。また、この操作は濾過用金網5a上のだし原料の圧積によるポンプ10の吸引圧変化を監視し、定期的に自動で行なうことができる。
【0033】エアーバルブ9b、9cを閉じ、9a、9d、9eを開いて液注入用配管7と液排出用配管8とを連結することにより、抽出液を抽出容器内に戻して、この抽出液で再度抽出を行なう循環抽出が可能となる。循環抽出は高濃度の抽出液を得る場合に用いられ、所定時間、所定圧力で循環を繰り返した後バルブ9a、9c、9eを閉じ、9b、9dを開いて液排出用配管8より高濃度の抽出液を得る。
【0034】本発明の抽出装置では、上記新液の連続注入や、循環抽出などの制御を制御装置により自動化することができるので、作業人員を削減できる。
【0035】
【実施例】実施例図1に示す本発明のだし抽出装置を使用し、だし原料にかつお節、さば節、むろ節、昆布からなる混合原料を 10kg、抽出溶媒に熱水を 250 kg(固液比率 4%)用い、抽出容器内のだし原料温度 94〜96 ℃で上述(1)〜(5)の抽出手順に従い約 40 分間抽出を行なった。得られた抽出液の液濃度を1抽出につき 10回測定し、その平均値を抽出における抽出液濃度とし、以下の数1に基づき抽出率(%)を計算した。なお抽出自体は 8回行なった。結果を表1に示す。
【0036】
【数1】

ここで、抽出液濃度(%)は、Brix糖度計(アタゴ社製 PR101)を用い測定した抽出液中の糖度(%)を可溶性固形分とみなし、該濃度を抽出液濃度とした。
【0037】比較例図2に示すように抽出装置と固液分離装置とを併用して抽出を行なった。だし原料には、実施例と同様にかつお節、さば節、むろ節、昆布からなる混合原料を10kg、抽出溶媒に熱水を 250 kg(固液比率 4 %)用い、抽出装置内でだし原料液温度 90〜95 ℃で約 40分間抽出を行なった後、固液分離装置に移し抽出液を得た。得られた抽出液の液濃度(%)を実施例と同様に測定し、数式1に基づき抽出率(%)を計算した。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】表1に示すように、従来の抽出装置と比較して、本発明の抽出装置は抽出率に優れていることがわかる。
【0040】本発明のだし抽出装置の販売方法を説明する。本発明のだし抽出装置は、上記で示したように従来の装置と比較して抽出効率に優れているため、同濃度の抽出液を得るのに必要なだし原料が少なくて済み、原料コストを削減することができる。本販売方法は、この高い抽出効率およびそれに伴う原料費の削減を前提としている。販売者は、本発明のだし抽出装置と、既存のだし抽出装置との抽出率の比較測定を、通常はユーザーの立会いのもと行なう。測定は、実機または縮小スケールのデモ機などを用いて、温度条件などは上記表1の場合と同様の条件で行なう。なお、抽出率の計算は数1に従う。ユーザーは測定結果に満足した場合のみ、購入後の使用料支払い等の規約を含めた販売契約を交わし、だし抽出装置本体の費用を支払う。装置の設置費用については、ユーザー、販売者どちらかが負担してもよく、販売者が負担する場合は、ユーザーが設置時に一括して払うか、各期間毎の使用料へ上乗せして支払うこともできる。
【0041】実機またはデモ機を用いて抽出率測定実験を行なうことにより、抽出率などから算出される原料削減額を正確に予測しやすい。特にデモ機による測定実験では、実機よりも小型のものを用いるため、抽出時においてだし原料にかかる抽出容器側面での抵抗が大きい。よって、実機ではデモ機よりも抽出率に優れると予想できる。この結果ユーザーは安心して装置を購入・使用できる。
【0042】購入後に支払う使用料を予め決定するので、ユーザーはその後予算計画が立てやすい。また、比較測定結果に基づいて原料費削減金額を算出するので、ユーザーは費用回収の正確な予測を立てやすい。
【0043】使用料の支払いは、任意の所定期間毎、または一括などユーザーおよび販売者間で自由に取り決めることができる。
【0044】上記使用料は、従来の所定期間にかかるだし原料費と、上記所定期間と同期間において実際に要しただし原料費との差分の所定割合とすることもできる。この結果使用料は、実際に削減できた分の費用に基づいて計算されるので使用料の支払いによる赤字は発生しない。
【0045】本発明のだし抽出装置は、優れた抽出率の他にも、作業が簡易で安定している、小型であるなどの多くの利点があり、ユーザーは、だし原料費削減以外の本発明のだし抽出装置によって得られる効果についてはすべて購入時の装置費用のみで得ることができる。本発明のだし抽出装置の販売方法の1つの特徴は、このように該装置によって得られる多大な効果・利益の代償としてだし原料費用の所定割合をユーザーが販売者に還元するというものである。
【0046】
【発明の効果】本発明のだし抽出装置は、だし原料からだし成分を抽出するためのだし抽出装置であって、該だし抽出装置は、攪拌機を備えた抽出容器と、該抽出容器外部に配設された該抽出容器への液の注入および抽出液の排出を制御する液循環装置と、該抽出容器壁面周囲に配設された加熱器と、該抽出容器底部に開閉可能に蝶合された蓋部と、該蓋部にだし原料液を濾過するための濾過用金網とを備えることを特徴とするので、1つの装置で抽出と固液分離を行なうことができる。この結果、作業工程が削減されるので作業時における問題が発生しにくく装置管理が容易になり、かつコストを削減することができる。また、蓋部が該抽出容器下部に開閉可能に蝶合されているので、抽出操作完了後のだし原料残渣を容易に取り出すことができ、清掃作業なども容易に行なうことができる。
【0047】上記液循環装置は、液を前記抽出容器内に注入する液注入用配管と、上記蓋部に接続され、かつ上記液注入配管に連結された液排出用配管と、液の注入および排出用の動力となる配管経路に配設されたポンプと、上記抽出容器内部の液高さを検知するセンサーと、該センサーからの情報に基づき所定の液量を前記液注入用配管から注入させる制御装置とを備えることを特徴とするので、新液を逐次的に注入することにより大きな濃度勾配が保たれ抽出を安定して行なうことができ抽出効率に優れる。また、新液の注入量は抽出液排出量と等量でよいため、必要となる抽出溶媒量は、抽出溶媒を全て入れ替えて再抽出を行なう場合と比較して少量で済む。さらに、液注入用配管と液排出用配管とが連結されることにより、液排出用配管の経路に設置したポンプを利用して排出した抽出液を再度抽出容器内へ容易に注入することができる。このように一度だし原料からだし成分を抽出した抽出液を循環させ、この抽出液を用いて再度抽出を行なうことにより高濃度の抽出液を得ることができる。
【0048】本発明のだし抽出装置の販売方法は、本発明のだし抽出装置を用いた場合の抽出率と、既存の抽出装置を用いた場合の抽出率との差を算出し、上記だし抽出装置を購入したユーザーが前記差分に基づく原料費削減額の所定割合を販売者に支払うことを特徴とするので、その優れた抽出効率のためユーザーはだし原料費を削減することができる。また、ユーザーは原料費削減額の所定割合を販売者に支払うだけで、工程削減、作業の簡易化などその他多くの効果も得ることができる。
【出願人】 【識別番号】500451724
【氏名又は名称】佐太屋株式会社
【住所又は居所】三重県北牟婁郡紀伊長島町東長島2646−3
【出願日】 平成14年2月5日(2002.2.5)
【代理人】 【識別番号】100100251
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 操
【公開番号】 特開2003−225503(P2003−225503A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−28183(P2002−28183)