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【発明の名称】 粉塵除去方法およびその装置
【発明者】 【氏名】森山 敏男

【要約】 【課題】分離器を用いずウォータパン部での除塵率をより高めた粉塵除去装置であって、安定性に優れ、装置内部の洗浄がし易い装置を提供すること。

【解決手段】装置内に負圧を発生させるためのファン部Bと、負圧により吸い込まれた空気に含まれる粉塵を水中で捕捉し除去するウォータパン部Aとを備えた粉塵除去装置1であって、該ウォータパン部Aは、水を蓄え可能なウォータパン2と、ウォータパン2に粉塵含有空気を吸い込み水中に案内するための吸込パイプ3と、ウォータパン2を区画する第1仕切り板4と、粉塵含有空気が吹き付けられるための第2仕切り板6とを備える粉塵除去装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 負圧により水中に粉塵含有空気を引き込むことによってその粉塵を捕捉し除去する粉塵除去方法であって、該粉塵含有空気を水中に吸い込み、その後水中から空間に離脱させ、静止する板に吹き付けた後、更に水面に吹き付けることを特徴とする粉塵除去方法。
【請求項2】 その後、更に粉塵含有空気を除塵及び除湿することを特徴とする請求項1記載の粉塵除去方法。
【請求項3】 更にその後、脱臭することを特徴とする請求項1記載の粉塵除去方法。
【請求項4】 装置内に負圧を発生させるためのファン部と、負圧により吸い込まれた空気に含まれる粉塵を水中で捕捉し除去するウォータパン部とを備えた粉塵除去装置であって、該ウォータパン部は、水を蓄え可能なウォータパンと、ウォータパンに粉塵含有空気を吸い込み水中に案内するための吸込パイプと、ウォータパンを区画する第1仕切り板と、粉塵含有空気が吹き付けられるための第2仕切り板とを備えることを特徴とする粉塵除去装置。
【請求項5】 前記ファン部とウォータパン部とが水平方向に並設されていることを特徴とする請求項4記載の粉塵除去装置。
【請求項6】 前記第1仕切り板は、下部に通過穴が設けられていることを特徴とする請求項4記載の粉塵除去装置。
【請求項7】 前記第2仕切り板は、表面に付着し下降する水滴を案内し且つ集束させるためのリブ体とタブ部とを備えることを特徴とする請求項4記載の粉塵除去装置。
【請求項8】 前記第2仕切り板は、撥水性機能を有していることを特徴とする請求項4記載の粉塵除去装置。
【請求項9】 前記第2仕切り板は、縦溝が形成されていることを特徴とする請求項4記載の粉塵除去装置。
【請求項10】 前記吸込パイプは、その吐出口の周囲に鍔部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の粉塵除去装置。
【請求項11】 前記吸込パイプは、ウォータパンの前壁に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項4記載の粉塵除去装置。
【請求項12】 前記第1仕切り板で区画されたウォータパンのうち、吸込パイプの下方の第1槽に、遮蔽板が設けられていることを特徴とする請求項4記載の粉塵除去装置。
【請求項13】 前記ウォータパン部は、その最下流に除塵及び除湿のためのフィルタを備えることを特徴とする請求項4記載の粉塵除去装置。
【請求項14】 前記フィルタの下方に、網を設けることを特徴とする請求項13記載の粉塵除去装置。
【請求項15】 前記ウォータパン部は、内部が視認可能となっていることを特徴とする請求項4記載の粉塵除去装置。
【請求項16】 装置内に負圧を発生させるためのファン部と、負圧により吸い込まれた空気に含まれる粉塵を水中で捕捉し除去するウォータパン部とを備えた粉塵除去装置であって、該ファン部と該ウォータパン部とは、水平方向に並設されており、該ウォータパン部は、内部が視認可能であり、該ウォータパン部は、水を蓄え可能なウォータパンと、ウォータパンに粉塵含有空気を吸い込み水中に案内するための吸込パイプと、ウォータパンを区画する第1仕切り板と、粉塵含有空気が吹き付けられるための第2仕切り板とを備え、該吸込パイプは、ウォータパンの前壁に着脱可能に取り付けられ、その吐出口の周囲に鍔部が形成されており、該第1仕切り板は、下部に通過穴が設けられており、前記第2仕切り板は、表面に付着し下降する水滴を案内し且つ集束させるためのリブ体とタブ部とを備え、前記第1仕切り板で区画されたウォータパンのうち、吸込パイプの下方の第1槽に、遮蔽板が設けられていることを特徴とする粉塵除去装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉塵除去装置に関し、更に詳しくは、ウォータパンを有する空気清浄機能付き湿式電気掃除機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、喘息等の疾病の原因とされるハウスダストやダニ等への関心が高まり、消費者が電気掃除機を選ぶ際、排気がクリーンであることが今や必須条件となっている。しかし、従来型の紙や不織布等のフィルタを用いたいわゆる乾式の電気掃除機では、フィルタの集塵力等が必ずしも十分でなく、どうしても排気に塵埃が混ざってしまった。
【0003】そこで、このような乾式電気掃除機に代わる方法の一つとして、装置内に蓄えた水の中を粉塵を含む空気(粉塵含有空気)を通過させることにより、粉塵を捕捉し除去する方式のいわゆる湿式電気掃除機が開発された。湿式電気掃除機は、その開発の初期から、装置の下部にウォータパンと呼ばれる水槽を備え、その上部に装置内に負圧を発生させるためのモータやファンを備えた円筒形の形状をしたものが多い(例えば特許文献1〜3等参照)。
【0004】図14に、その一例を概略的に示す。この例においては、100は適量の水101を溜めたウォータパン、102はウォータパン100の吸気口、103はメインハウジング、104は複数の吸引孔104aを有する分離器、105は分離器104を吸引作動させるためのファンモータである。また、106は内カバー、107は外カバーであり、この外カバー107には集中排気口107aと拡散排気口107bが設けられている。更に、108はカバーキャップ、109は取手である。
【0005】このような構成を有する従来の湿式電気掃除機では、ファンモータ105と一体となっているファン(図示しない)の回転により、装置内部に負圧が発生する。そして、この負圧により、ウォータパン100の吸気口102から粉塵を含む空気が吸引され、水101の中に吹き込まれる。空気は水中を泡となって通過する際、大きなゴミや埃等は水101に捕捉除去される。
【0006】水101に捕捉除去しきれなかった細かな粉塵等を含む空気は、水中から上方に離脱した後、更にその上方で高速回転している分離器104に引き込まれる。この分離器104の高速回転により、粉塵は水分とともに遠心分離され、空気のみがスリット状の吸引孔104aを通過して、矢印のように集中排気口107aや拡散排気口107bから外気に排気されるように設計されている。
【0007】しかし、実際には、多くの場合、こうした分離器では完全に粉塵を空気から分離することはできず、粉塵の一部、特に細かな粉塵が、空気とともに吸引孔を通過し排気されてしまう。つまり、従来の湿式電気掃除機は、先述した乾式電気掃除機の欠点を必ずしも完全には克服できなかった。
【0008】また、こうした分離器は、その吸引孔に水分や粉塵が溜まって目詰まりを起こし易いという欠点をも有する。そのため、分離器自体の洗浄を頻繁に行わなければならない。しかも、目詰まりや高速回転のために装置内の気流に対する空気抵抗が大きくなり、そのためファンモータに過大な負担がかかり、消費電力が大きくなってしまう問題があった。一方、装置全体を考えた場合、比較的重いファンモータが装置の上部にあるため装置の安定性が悪く、装置内部の洗浄時にはこの重いファンモータをその都度取り外さなければならない等、決して使い勝手のよいものではなかった。
【0009】こうした問題の主な原因は、分離器を用いていることにある。つまり、上記のように分離器の構造上避けられない種々の問題を抱えているうえ、分離器がファンモータと直結しているためにファンモータを装置の上部に取り付けざるを得ないのである。従って、分離器を用いない湿式電気掃除機の開発が求められる。
【0010】
【特許文献1】特開平8−322771号公報【特許文献2】特開平8−322770号公報【特許文献3】特開平8−317887号公報【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる実情を背景に、上記の問題点を克服するためになされたものである。すなわち、分離器を用いることなく粉塵を効率的に捕捉除去する粉塵除去方法およびその装置を提供することである。
【0012】また、ウォータパン部での除塵率をより高めた粉塵除去方法およびその装置を提供することである。更にまた、装置の安定性に優れ、装置内部の洗浄がし易い粉塵除去装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明者は、このような課題背景に対して、鋭意研究を重ねた結果、ウォータパンを2槽に区画し、そのそれぞれの蓄水に繰り返し粉塵含有空気を吹き付けて粉塵含有空気と蓄水との巻き込み攪拌作用を繰り返し生ぜしめることにより飛躍的に除塵率が上がること、更に粉塵含有空気を板(第2仕切り板)に吹き付けることによりさらに効率的に除塵を行えることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0014】即ち、本発明は、(1)、負圧により水中に粉塵含有空気を引き込むことによってその粉塵を捕捉し除去する粉塵除去方法であって、該粉塵含有空気を水中に吸い込み、その後水中から空間に離脱させ、静止する板に吹き付けた後、更に水面に吹き付ける粉塵除去方法に存する。
【0015】そして、(2)、その後、更に粉塵含有空気を除塵及び除湿する粉塵除去方法に存する。
【0016】そしてまた、(3)、更にその後、脱臭する粉塵除去方法に存する。
【0017】そしてまた、(4)、装置内に負圧を発生させるためのファン部と、負圧により吸い込まれた空気に含まれる粉塵を水中で捕捉し除去するウォータパン部とを備えた粉塵除去装置であって、該ウォータパン部は、水を蓄え可能なウォータパンと、ウォータパンに粉塵含有空気を吸い込み水中に案内するための吸込パイプと、ウォータパンを区画する第1仕切り板と、粉塵含有空気が吹き付けられるための第2仕切り板とを備える粉塵除去装置に存する。
【0018】そしてまた、(5)、前記ファン部とウォータパン部とが水平方向に並設されている粉塵除去装置に存する。
【0019】そしてまた、(6)、前記第1仕切り板は、下部に通過穴が設けられている粉塵除去装置に存する。
【0020】そしてまた、(7)、前記第2仕切り板は、表面に付着し下降する水滴を案内し且つ集束させるためのリブ体とタブ部とを備える粉塵除去装置に存する。
【0021】そしてまた、(8)、前記第2仕切り板は、撥水性機能を有している粉塵除去装置に存する。
【0022】そしてまた、(9)、前記第2仕切り板は、縦溝が形成されている粉塵除去装置に存する。
【0023】そしてまた、(10)、前記吸込パイプは、その吐出口の周囲に鍔部が形成されている粉塵除去装置に存する。
【0024】そしてまた、(11)、前記吸込パイプは、ウォータパンの前壁に着脱可能に取り付けられている粉塵除去装置に存する。
【0025】そしてまた、(12)、前記第1仕切り板で区画されたウォータパンのうち、吸込パイプの下方の第1槽に、遮蔽板が設けられている粉塵除去装置に存する。
【0026】そしてまた、(13)、前記ウォータパン部は、その最下流に除塵及び除湿のためのフィルタを備える粉塵除去装置に存する。
【0027】そしてまた、(14)、前記フィルタの下方に、網を設ける粉塵除去装置に存する。
【0028】そしてまた、(15)、前記ウォータパン部は、内部が視認可能となっている粉塵除去装置に存する。
【0029】そしてまた、(16)、装置内に負圧を発生させるためのファン部と、負圧により吸い込まれた空気に含まれる粉塵を水中で捕捉し除去するウォータパン部とを備えた粉塵除去装置であって、該ファン部と該ウォータパン部とは、水平方向に並設されており、該ウォータパン部は、内部が視認可能であり、該ウォータパン部は、水を蓄え可能なウォータパンと、ウォータパンに粉塵含有空気を吸い込み水中に案内するための吸込パイプと、ウォータパンを区画する第1仕切り板と、粉塵含有空気が吹き付けられるための第2仕切り板とを備え、該吸込パイプは、ウォータパンの前壁に着脱可能に取り付けられ、その吐出口の周囲に鍔部が形成されており、該第1仕切り板は、下部に通過穴が設けられており、前記第2仕切り板は、表面に付着し下降する水滴を案内し且つ集束させるためのリブ体とタブ部とを備え、前記第1仕切り板で区画されたウォータパンのうち、吸込パイプの下方の第1槽に、遮蔽板が設けられている粉塵除去装置に存する。
【0030】本発明はこの目的に沿ったものであれば、上記1〜3の中から選ばれた2つ以上、および4〜16の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然採用可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき、本発明の粉塵除去方法および装置の好適な実施の形態について述べる。図1に、この実施の形態における粉塵除去装置の側方から見た内部概略構成の例を示す。また図2に、上方から見た内部概略構成の例を示す。
【0032】粉塵除去装置1は、ウォータパン部Aとファン部Bとが並設されてなる。このように重いファン部Bを低い位置に備えることにより、粉塵除去装置1の重心が下がるため、装置の安定性がよくなる。また、ウォータパン部Aは、内部の汚れ具合を外から確認できるように透明や半透明にするなどして、内部を視認可能にしておくことがより好ましい。
【0033】ウォータパン部Aは、水を蓄え可能な容器状のウォータパン2と、ウォータパン2の前壁2aに着脱可能に取り付けられた吸込パイプ3と、ウォータパン2を2槽に区画する第1仕切り板4と、ウォータパン部Aの上面を形成する蓋体5と、蓋体5から垂下する第2仕切り板6と、ウォータパン部Aとファン部Bとを隔離する隔離壁7とを備える。
【0034】従って、ウォータパン部Aの内部の空間は、ウォータパン2の前壁2aと第1仕切り板4に囲まれた第1空間S1、第1仕切り板4と第2仕切り板6に囲まれた第2空間S2、第2仕切り板6と隔離壁7に囲まれた第3空間S3に区画される。
【0035】ウォータパン2は、第1仕切り板4により、2つの水槽、即ち吸込パイプ3の下方の第1槽T1と、第2仕切り板6の下方の第2槽T2とに区画されている。第1槽T1及び第2槽T2には、それぞれ粉塵を空気中より捕捉除去するための水、即ち第1の蓄水(蓄水W1)及び第2の蓄水(蓄水W2)が溜められる。しかし、第1仕切り板4の下部に後述する通過穴4aが形成されているため、これらの蓄水はそれぞれの水槽を行き来可能である。
【0036】吸込パイプ3は、ウォータパン2の前壁2aに取り付けられ、下方に曲がりその吐出口3bが蓄水W1の水面と向き合うように形成されている。蓄水W1の水位は適宜調節されるが、実験によれば、この実施の形態においては、蓄水W1の量をこの吐出口3bの下5〜10mm程度になるようにウォータパン2に溜めると除塵率が最も向上した。
【0037】吸水パイプ3は、その吐出口3bの周囲に鍔部3cが形成されている。この鍔部3cは、粉塵含有空気と蓄水W1とが巻き込み攪拌作用を生じる際に果たす役割とともに後述する。
【0038】第1仕切り板4は、ウォータパン2の底面に立設されるが、先述したようにその下部に通過穴4aが設けられている。図3は、第1仕切り板を吸込パイプ側から見た場合の概略図である。第1仕切り板4は、通過穴4aの他、その最上部に、具体的には第1仕切り板4の最上端と蓋体5との間に、第1空間S1から第2空間S2に空気が通過するための隙間である空気逃げ穴4bが形成されている。従って、第1仕切り板4は、このように見た場合、上部の空気逃げ穴4bを通して第2仕切り板6の上方領域(後述する図4の6aの部分)が見え、また下部の通過穴4aを通して隔離壁7の最下端が見えるようにそれぞれの穴が設けられている。
【0039】次に、第2仕切り板6は、蓋体5から下方に垂直に配置され、蓋体5やウォータパン2の側壁8と気密が保たれるように形成されている。図4に、第2仕切り板の具体的構成例を示す。第2仕切り板6は、その下部に空気逃げ部6bが開口している。
【0040】また、第2仕切り板6の数か所が下方に延長され、タブ部6cが形成きされている。更に、このタブ部6cの間の逆V字形の切れ込みを覆うように、屋根形のリブ体6dが第2仕切り板6に立設されている。それらの役割については、後で詳しく述べる。
【0041】ところで、第2仕切り板6と隔離壁7の間の第3空間S3には、後述するように、水切りフィルタ9、水切りフィルタ9a及びスポンジフィルタ10が配設されていればより好ましい(図1参照)。ウォータパン部Aとファン部をつなぐ導管13の入口には、取塵器11(通称ヘパ式取塵器という)が設けられている。取塵器11は、0.3μm径程度の微細粉塵を99.97%捕捉除去できる性能を有していることが好ましく、ここで最終的な除塵が行われる。
【0042】因みに、スポンジフィルタや取塵器は、水滴が付くなどして濡れると除塵効率が落ちる。そのため、装置が転倒するなどしてスポンジフィルタ等の所まで水が上がってくるのを監視するために、スポンジフィルタの吸気部に水滴センサー12を設置しておけばより好ましい。
【0043】ファン部Bは、その容器状の内部に少なくとも導管13、ファン14、ファンモータ15、脱臭フィルタ16aを備えており、その他必要に応じて適宜消音装置等(図示しない)が備えられる。ファン14は、ファンモータ15により駆動され、導管13を通じてウォータパン部Aに負圧を生じさせる。ファン14の外側の空間17は、ファン14の外周の全周を取り巻くように連続して形成されており、その一部が排気口16として外部に開口している。
【0044】ファンモータ15の下部にはクーリングファン15aが付設されており、点線矢印のように外気を送風することにより、ファンモータ15を効率良く冷却することができる。ファン部Bの最下流である装置の排気口16に、脱臭フィルタ16aを設けておけば、そこで最終的な脱臭が可能となり好ましい。
【0045】以上、本発明の粉塵除去装置の構成について述べたが、次に、この粉塵除去装置における空気の流れについて除塵作用とともに述べる。図1の矢印に示すように、先ず、吸込パイプ3の吸気口3aから装置内に引き込まれたゴミや粉塵等を含む空気は、吸込パイプ3の形状に従って下向きに方向を変え、吐出口3bより第1槽T1の蓄水W1に吹き込まれる。そして、蓄水との間で巻き込み攪拌作用を生じる。
【0046】図5に、吸込パイプの下方で粉塵含有空気と蓄水とが巻き込み攪拌現象を起こしている状態を概念的に示す。ここで破線は、巻き込み攪拌現象が生じている際の平均的な蓄水W1の水面の位置を表しており、水面は、吐出口3bの下方で押し下げられた分だけ吐出口3bの外側の部分で上昇する。
【0047】しかし、実際には、吐出口3bの下方では粉塵含有空気と蓄水とが激しく巻き込みと攪拌を起こしており、事実上水面は確認できない状態である。そして、この激しい巻き込み攪拌の中で、空気中のゴミや粉塵等が蓄水W1に捕捉除去され、結果的に空気中より除去される(巻き込み攪拌作用)。
【0048】ここで、吸込パイプ3の吐出口3bの周囲に鍔部3cが形成されていると、巻き込み時、この鍔部3cが、蓄水W1が激しく飛び跳ねるのを効果的に抑えるため、巻き込みがより安定し、より好ましい。そのため、空気と蓄水W1との接触時間が十分に確保されるようになり、巻き込み攪拌作用がより効率良く行われるのである。
【0049】もっとも、吸込パイプ3に鍔部3cを有していない場合でも、巻き込み攪拌作用を生じさせることは可能で、粉塵は十分捕捉除去される。このように、巻き込み攪拌作用を積極的に活用し、蓄水による除塵率を向上させるのが、本発明の特徴の一つである。
【0050】また、吸込パイプの下方での空気と蓄水の激しい巻き込み攪拌によって、蓄水とともに跳ね上がった粉塵含有空気は、第1仕切り板4に激しく衝突する。そして、水とともに跳ね飛びまき散る効果により、空気中よりゴミや粉塵等が更に捕捉除去される。
【0051】空気は、このようにして蓄水W1や第1仕切り板4でゴミや粉塵等を捕捉除去された後、上方の空間S1に離脱する。しかし、まだ空気中には細かな粉塵が残存しており、この細かな粉塵は単独で又は蓄水W1由来の微水滴に内包される状態で空気中を浮遊している。
【0052】こうした細かな粉塵を含む空気は、負圧により空間S1を上方に向かって進み、今度は、空間S1の上方で水平方向に向きを変え、第1仕切り板4の最上部の空気逃げ穴4bを通過して空間S2に移る。そして、静止している第2仕切り板6の上方領域6aに直に激しく吹き付けられる(衝突効果)。
【0053】第2仕切り板6の上方領域6aでは、それまでに吹き付けられて付着した微水滴が、互いに結びついて表面水を形成し、上方領域一面を濡らす状態となっている。そして、この衝突効果により、微水滴に含まれる粉塵や空気中にまだ単独で浮遊している粉塵が、この第2仕切り板6の表面水に表面張力等によって捕捉除去される。
【0054】そして、粉塵を含む表面水は第2仕切り板6に沿って、下方の水中(蓄水W2)に落下する。このように、相当の速度を有する微水滴を含む空気を、静止する第2仕切り板に積極的に吹き付けて粉塵を捕捉除去するのが、本発明の第2の特徴である。
【0055】本発明のもう一つの特徴は、この後更に空気をウォータパンの第2槽の蓄水に吹き付けて、除塵率を飛躍的に向上させることである。すなわち、空気は第2仕切り板6に吹き付けられた後、気流に乗り、第2空間S2を下降し、その勢いのまま蓄水W2の水面に衝突する。そこでなおも空気中に残存する微細な粉塵を蓄水W2に捕捉させ除去するのである。
【0056】ここで、第2仕切り板は、図4に示したような構造となっているが、この点について述べる。第2仕切り板6には、空気逃げ穴4bを通過した空気が吹き付けられ、空気中の微水滴が付着することは既に述べた。
【0057】また、こうした微水滴とは別に、吸込パイプ3直下の激しい巻き込みにより、飛び跳ねた比較的大きな水滴の一部も、気流に乗り、空気逃げ穴4bを通過して第2仕切り板6の上方領域6aに衝突する。そして、こうした微水滴や比較的大きな水滴も、第2仕切り板6の表面水と結びついて表面を伝って下降していく。
【0058】この際、例えば図6に具体的に示すように、第2仕切り板6の空気逃げ部6bを切り口が直線状になるように開口させた場合、下降してきた水は、その直線上のいたる所で小さな水滴となり蓄水W2の水面に落下する。しかし、実際には、相当な速度を有する気流が、空気逃げ部6aを通過して空間S3に向けて流れている。
【0059】そのため、こうした水滴は、気流に容易に吹き飛ばされて、蓄水W2には落下せず、その多くが空間S3に運ばれる恐れがある。その結果、空間S3に負担がかかる。後述するように、空間S3に第1水切りフィルタ9、第2水切りフィルタ9aが配設されているが(図1参照)、水滴を嫌うスポンジフィルタ10や取塵器11等まで水分が達してしまう恐れがある。
【0060】こうした事態は、装置内の負圧や流量を調節することにより回避することも可能であるが、その場合、一般的に、空気の流量をも小さくする方向に調節せざるを得ない。しかし、こうした事態は、第2仕切り板6の構造を工夫することによって、空気の流量や装置の吸引力を弱めることなく、空間S3に流れる水滴を極力少なくすることが可能となる。
【0061】図4は、そうした構造を有する第2仕切り板の一例を示したものである。第2仕切り板6の上方領域6aに衝突し付着した水滴は、下降してリブ体6dに捕らえられる。リブ体6dは、隣り合ったリブ体同士の間隔が下に行くほどが狭くなるように形成されており、各リブ体6dの間には、タブ部6cが延長されて設けられている。
【0062】そのため、リブ体6dに捕らえられた水滴は、リブ体6dに沿って案内され、集束しながらタブ部6cを伝って更に下降し、その先端から大きなかたまりとなって落下する。こうして集束して大きなかたまりとなった水は、空気逃げ部6bを通過する気流には容易に吹き飛ばされることはなく、その大部分が蓄水W2に到達して蓄水に戻ることができるのである。リブ体6dの高さは、空間S2の空気の流量や流速に影響するが、実験によれば、数mm程度の高さがあれば、その効果を十分発揮することが可能である。
【0063】以上が、本発明の第2仕切り板の大きな特徴であるが、更に水滴が下降し易く水滴同士が集まり易くするために、第2仕切り板の表面に縦溝を形成すればより好ましい。また、水滴を表面に付着した状態に滞留しないように、第2仕切り板を撥水性の素材より形成したり、その表面を撥水加工したりして撥水機能を付与しておけば、より水滴が集まり易くしかも下降し易くなりより好ましい。
【0064】さて、ここで、第2仕切り板6に付着し下降する水滴は、もともと第1の蓄水W1であったものである。第1仕切り板でウォータパンを完全に仕切ってしまうと、蓄水W2は水滴が落下してくる分だけ水量が増していき、蓄水W1は次第に水量が減ってしまう。
【0065】先述したように、吸込パイプ直下の激しい巻き込みにより生じた比較的大きな水滴が第2仕切り板に衝突するが、装置内の空気の流量設定によっては、かなりの量が蓄水W1から蓄水W2に移ることも起こり得る。そのため、バランス上、増えた蓄水W2の水量を蓄水W1に戻す必要があり、本発明においては、第1仕切り板の下部に通過穴4aを設けているのである。
【0066】それにより、両方の蓄水の水量を常に一定に保つことが可能となる。更に、通過穴4aを通して蓄水W2から蓄水W1への水の流れができることにより、次々とゴミや粉塵等が吸い込まれてサチレートし易い蓄水W1に、より新鮮な蓄水W2を供給することが可能となるのである。また、蓄水W2から蓄水W1へ水を戻すことにより、重量のあるファン部方向への重量の偏りを修正できる。
【0067】ここで、ウォータパンの第1槽T1に遮蔽板を設けると、この蓄水W2から蓄水W1への水の流れがよりスムーズになる。図7に、具体的な遮蔽板の一例を示す。この例では、第1槽T1の吸込パイプ3の下方に、第1仕切り板4から、例えば長方形の形状を有する遮蔽板21が2枚立設されている。
【0068】遮蔽板21がないと、吸込パイプ3から蓄水W1(ここでは図示しない)に吹き付けられる空気の圧力によって、通過穴4aで蓄水W1から蓄水W2に向かう流れが生じる場合がある。しかし、遮蔽板21を立設することにより、このような流れが阻止され、蓄水W2から蓄水W1への水の移動(図中の矢印方向)がスムーズに行われるようになるのである。
【0069】さて、第2仕切り板の空気逃げ部6bを通過した空気は、第2仕切り板6と隔離壁7に囲まれた第3空間S3に入る(図1参照)。この際、空気中には、第2仕切り板で捕捉除去されなかった微水滴や、空気が蓄水W2に吹き付けられることにより飛び散った水滴が含まれているため、空間S3に除湿のための水切りフィルタを配設するとよい。
【0070】装置内の空気の流量やフィルタ材の目の粗さ等の関係で、水切りフィルタ9で完全に水滴や水分を捕捉除去しきれない場合は、水切りフィルタ9の下流(図中ではフィルタの上側)にもう1枚の水切りフィルタ9aを配設することにより十分に水分を捕捉除去ことができる。つまり、多段化することにより、水切りフィルタ9で捕捉除去しきれなかった水は、上方の水切りフィルタ9aで捕捉除去されて集められ、比較的大きな水滴となって水切りフィルタ9に戻されるのである。
【0071】2枚の水切りフィルタ9、9aが接していたり間隔が近過ぎると、フィルタ9からフィルタ9aに水が容易に移動してしまい効果が少ない。実験によれば、2枚のフィルタの間隔を7mm程度離せば、上記の効果を十分に発揮させることが可能であることが分かっている。
【0072】また、水切りフィルタ9に達した空気中には、蓄水や第2仕切り板でも捕捉除去されない極微細な粉塵や細かな綿埃等が含まれている。そのため、水切りフィルタ9(及び9a)は微細粉塵を捕捉除去する機能を有するものであれば、後述するスポンジフィルタや取塵器にかかる負担が減るため、より好ましい。
【0073】こうして除湿された空気は、空間S3を更に上昇しスポンジフィルタ10に到達する。スポンジフィルタ10は、数10μm径の極微細な粉塵や微細な油滴を捕捉除去し、空気中より除去する。そして、空気はその下流に配設された取塵器11に到達する【0074】これまで述べてきたように、空気は2つの蓄水や仕切り板、水切りフィルタ、スポンジフィルタ等を経ることにより、数10μm以上の径を有する粉塵はほぼ完全に捕捉除去され、また水滴は水切りフィルタで空気中より捕捉除去されている。そのため、取塵器11として、0.3μm以上の径を有する粉塵を99.97%捕捉除去可能な高いレベルのものを使用することが可能となる。
【0075】従って、本発明の粉塵除去装置は、空気清浄機に求められる基準をも達成できるほど十分且つ確実に粉塵を捕捉除去できるものとなるのである。最後に、空気はファン部Bに送られ、導管13を通ってファン14により四方に吹き出され、空間17を通過して排気口16から排気される。この際、排気口16に脱臭フィルタ16aを備えていれば、確実に脱臭を行うことが可能となる。
【0076】ところで、本発明においては、ウォータパン部Aを装置から取り外し自在にすることにより、ウォータパン部A及び装置の内部を簡単に洗浄することが可能である。図8に、装置からウォータパン部を取り外した状態を示す。
【0077】図示はしないが、重いファン部Bを動かすことなくウォータパン部Aをワンタッチで簡単に取り外せるようになっている。また、図のようにすれば、洗浄のため装置からウォータパン部Aを取り外した際、スポンジフィルタ10等の洗浄や交換も容易に行うことが可能となる。
【0078】図9に、ウォータパン部の蓋体を取り外し、吸込パイプと水切りフィルタを取り出した状態を示す。ウォータパン部Aの蓋体5は、図示しないが、パッキン等のシール材を介してウォータパンの前壁や側壁等と接しており、通常の状態では、該前壁等に押し付けられて気密を保持している。
【0079】しかし、装置からウォータパン部Aを取り外すと、押し付けから解放され、図のように簡単に蓋体5をウォータパン部Aから取り外すことができる。また、図9に示したように、吸込パイプ3と水切りフィルタ9、9aを取り外し可能に形成することにより、ウォータパンの内部が洗浄し易くなり、蓄水の入れ替えを非常に楽に行うことが可能となるのである。
【0080】ここで、水切りフィルタ9及び9a、及び吸込パイプ3について具体例を挙げて述べる。水切りフィルタ9及び9aは、1つのカセットケースに収めてウォータパン部Aに嵌め込めるようにしておけば、簡単に取り出して洗うことができる。
【0081】図10に、水切りフィルタ及びカセットの構成例を示す(簡単のためもう1枚の水切りフィルタ9aは省略)。この構成例においては、水切りフィルタ9は、格子状の上板9bと下板9cに挟まれた状態で、カセットケース9dに嵌め込まれて使用される。この際、上板9bに取手9eが形成されていれば、カセットケース9dから水切りフィルタ9を取り出し易くなる。
【0082】カセットケース9dの底部は格子状に形成されており、この底部及び上板9bの格子の目の部分にはそれぞれ網9f、網9gが形成されている。先述したように、空気が蓄水W2に吹き付けられると水滴が飛び散り、水切りフィルタ9に到達することがある。
【0083】そうした水滴に髪の毛が混入していると、髪の毛が水切りフィルタ9に絡み付き、除去するのに非常に面倒な状態になる。しかし、上記のように水切りフィルタ9の下方に網9fを設けることにより、そうした蓄水W2からの髪の毛の飛び散りを抑えることができ、水切りフィルタ9の洗浄を非常に楽に行えるようになるのである。
【0084】一方、先述したように、吸込パイプ3はウォータパンの前壁に着脱できるように設けられている。吸込パイプをウォータパンの前壁に着脱自在に取り付ける取り付け構造について例を挙げて述べる。
【0085】具体的には、例えば、図11に示すように、ウォータパンの前壁2aに内側にガイドレール18aを備えたジョイントナット18を設け、吸込パイプ3には吸気口側に嵌め込み板19を一体的に設けておく。そして、嵌め込み板19をジョイントナット18に当接しながらガイドレール18aをスライドさせて嵌め込むのである。
【0086】このように形成することにより、吸込パイプ3は前壁2aに着脱自在に取り付けることが可能となり、ウォータパンの洗浄時には前壁2aから簡単に取り外すことができる。吸込パイプを着脱自在に形成することは、先述したようにウォータパン内部の洗浄がし易くなる利点があるのみならず、吸込パイプ自体の内側に溜まったヘドロ状のゴミを容易に洗浄できるようになる点で、大きなメリットとなる。
【0087】以上、本発明を説明してきたが、本発明は実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質から逸脱しない範囲で、他の種々の変形例が可能であることは言うまでもない。吸込パイプ、第1および第2仕切り板等の形状や、ウォータパン部やファン部の内部の構成、吸込パイプとウォータパンの前壁への取り付け構造は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる限り変形可能である。
【0088】特に、第2仕切り板のリブ体やタブ部は、仕切り板の表面を下降する水滴を確実に第2の蓄水に戻すものであれば、形状は限定されず、例えばタブ部が第2の蓄水中にまで延長され柱状となっていることも可能である。各フィルタの必要な変更も適宜可能である。
【0089】また、上記のようにこの粉塵除去装置は、その特有の機能を利用する限り、掃除機X(通常取手X1や移動用車輪X2を備える、図12、図13参照)のみならず、空気清浄機、布団乾燥機、更には衣類乾燥機としても使用可能である。尚、図12、図13の掃除機Xにおいては、先述したウォータパン部とファン部とが装備されているものである。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、水と空気の巻き込み攪拌作用及び第2仕切り板への空気の積極的な吹き付け効果を用いているため、従来の湿式電気掃除機と比較して格段に高い除塵率を達成できる。しかも、分離器を使用しないため、分離器の目詰まり等による不都合が全くなくなる上、装置内の気流に抵抗する構造がほとんどなく装置の吸引力を向上させることが可能となる。
【0091】更に、2槽に区画された蓄水を流通させることにより、蓄水の減少やサチレーションの問題も解消でき、効率的な除塵を行うことが可能となる。また、ウォータパン部とファン部を水平方向に並設することにより、装置が安定性に優れたものとなり、ウォータパン部を取り外し可能とすることで装置内部の洗浄がし易くなる。
【0092】そして、吸込パイプを着脱可能にすることにより、ウォータパンの内部のみならず吸込パイプの内側をも容易に洗浄することが可能となる。更にまた、ウォータパン部の内部を視認可能にすることで、内部の汚れ具合等が容易に把握できる。
【出願人】 【識別番号】599128251
【氏名又は名称】株式会社欣輪産業
【出願日】 平成14年10月28日(2002.10.28)
【代理人】 【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
【公開番号】 特開2003−205214(P2003−205214A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−313527(P2002−313527)