トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般




【発明の名称】 フィルター装置
【発明者】 【氏名】石部 英臣
【住所又は居所】大阪府枚方市池之宮4丁目7番1号 日本精線株式会社枚方工場内

【要約】 【課題】例えば半導体に使用されるプロセスガスなどの気体、その他の流体を精度よくかつ効率よく濾過しうるフィルター装置を提供する。

【解決手段】外側に位置する外フィルターと、その内側に配置した内フィルターとを具え、外フィルターの一方の端部と内フィルターの一方の端部とが接合し、かつこの内フィルターの他方の端部を実質的に封止することによって、前記外フィルターと内フィルターとで囲まれた濾過室を形成するとともに、少なくとも前記内フィルターは、多孔質の支持体と、前記濾過室に面する外周面側に積層され、かつ該支持体より微細な空孔を持つ微細層との積層濾材からなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】外側に位置する外フィルターと、その内側に配置した内フィルターとを具え、外フィルターの一方の端部と内フィルターの一方の端部とを接合し、かつこの内フィルターの他方の端部を実質的に封止することによって、前記外フィルターと内フィルターとで囲まれた濾過室を形成するとともに、少なくとも前記内フィルターは、多孔質の支持体と、前記濾過室に面する外周面側に積層され、かつ該支持体より微細な空孔を持つ微細層との積層濾材からなることを特徴とするフィルター装置。
【請求項2】前記内フィルターの前記微細層は、該内フィルターの横断面において、折れ曲りを繰り返す凹凸状濾過面を形成することを特徴とする請求項1に記載のフィルター装置。
【請求項3】前記凹凸状濾過面は、該内フィルターの長さ方向にのびる峰部と谷部とを交互に設けることにより形成されたことを特徴とする請求項2に記載のフィルター装置。
【請求項4】前記外フィルターと内フィルターとは、多孔質の支持体と、その外表面に積層され該支持体より微細な空孔を持つ微細層とからなる同種の積層濾材によって形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルター装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体に使用されるプロセスガスなどの気体、その他の流体を精度よくかつ効率よく濾過しうるフィルター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属短繊維、金属粉末などの微細金属体を焼結成形した多孔質金属焼結体は、各種流体内の不純粒子を濾過により除去処理するための金属フィルターとして、特に近年では例えば半導体製造用のプロセスガス中に含まれている0.1μmという微細粒子を高精度で除去するフィルターとして利用されている。
【0003】またこのような金属フィルターは、さらに次のような多くの利点を有することから、前記プロセスガス以外にも、各種の腐食性ガスなどの気体、ポリマーなどの高粘度液体を含む流体の濾過のために幅広い用途で使用されている。
■ 用いる金属粉末、金属短繊維の材料の種類、大きさによって濾過特性の調整が可能なこと。
■ 機械加工性に優れ、溶接、後加工ができ、ハウジングなど他の部品との接合が容易であること。
■ 機械的強度が大きく、高い耐圧性と延性とを有すること。
■ 耐熱性、耐食性に優れ、腐食環境や高温環境下での使用ができ、ベーキングなどの加熱処理することができること。
【0004】ところで、一般にフィルター製品は、特に濾過精度と圧力損失、寿命特性などの濾過特性とともに、設置されるスペースを小としつつ濾過面積を確保する体積効率性も重要な因子となる。
【0005】本出願人は、濾過特性の向上を図るものとして、例えば国際公開WO−93/06912号公報では、多孔質金属からなる支持体と、その表面に微細粒子を吸引成形することで形成した微細層とからなる積層フィルター、特開2000−185209号公報では、前記支持体の表面を凹凸状に形成するとともに、その凹凸に沿って微細層を形成することで濾過面を凹凸状とした金属フィルターを提案している。
【0006】そして、後者の提案にかかる金属フィルターは、表面を平坦とする場合に比して、凹凸状濾過面を有することによって1.3倍以上、例えば2.03倍にまで濾過面積を高めうることを記載している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような金属フィルターにおいて、より濾過面積を増すには、凹凸、即ち起伏の程度をさらに大きくすることが考えられるが、まずフィルター径が例えば20mm以下のような小径フィルターでは、周面が小さいことから形成しうる凹凸数には限界があり、またその凹凸、起伏部の高さを増大し、又は起伏形状を複雑にして濾過面積を増すことは、複雑な金型を要し、かつ生産を困難にするとともに、得られる製品の品質、特性にバラツキが生じるなどの新たな問題が発生する。
【0008】換言すると、濾過面積を大きくする為に、起伏の高さを大きくしかも起伏の間隔を狭くすることは、吸引成形により微細層を形成する場合において、その微細粒子が、吸引とともに起伏部の谷を橋絡して埋め尽くしがちとなり、大して濾過面積を増加しえない。
【0009】本発明は、かかる課題を解決し、濾過面積を増しうるフィルター装置の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願請求項1に係る発明は、外側に位置する外フィルターと、その内側に配置した内フィルターとを具え、外フィルターの一方の端部と内フィルターの一方の端部とを接合し、かつこの内フィルターの他方の端部を実質的に封止することによって、前記外フィルターと内フィルターとで囲まれた濾過室を形成するとともに、少なくとも前記内フィルターは、多孔質の支持体と、前記濾過室に面する外周面側に積層され、かつ該支持体より微細な空孔を持つ微細層との積層濾材からなることを特徴とするフィルター装置である。
【0011】さらに請求項2に係る発明は、前記内フィルターの前記微細層は、該内フィルターの横断面において、折れ曲りを繰り返す凹凸状濾過面を形成することを特徴とし、請求項3に係る発明は、前記凹凸状濾過面が、該内フィルターの長さ方向にのびる峰部と谷部とを交互に設けることにより形成されたこと、請求項4に係る発明は、前記外フィルターと内フィルターとが、多孔質の支持体と、その外表面に積層され該支持体より微細な空孔を持つ微細層とからなる同種の積層濾材によって形成されたことを特徴としている。
【0012】このような構成にすることによって、フィルター装置における濾過面として、外フィルターと内フィルターとを活用することができ、濾過面積を拡大しうる。しかも少なくとも、内フィルターの外周面側に微細層、即ち実質的な濾過層を濾過室に面して形成しているため、小径の内フィルターでありながらも、より広い濾過面を有するフィルターとして活用できる。
【0013】また、これらフィルターには、種々な流体を濾過処理するに際して被処理流体の濾過圧が加わることから、この濾過圧によって変形、破壊が生じない耐圧強度を備えることが要請されるが、本発明のような2筒式のフィルター装置の内フィルターではそれ自体の形状は比較的小さいものであるため、支持体の外周面側に微細層を有する積層濾材を用いることにより、全体的な耐圧を下層側の支持体によって担持させることができ、またこのように少なくとも前記内フィルターの微細層を、比較的厚さの厚い支持体の表面、即ち外周面側に形成させることとしているため、仮にその外径が例えば10mm以下のような小径フィルターである場合にあっても、前記凹凸の繰り返し数を増すことができ、濾過面積の増大を図ることとなる。また内フィルターの前記微細層は、例えば特開2000−185209号公報に記載のように、それ単体では濾過圧に耐え得ない程度の比較的薄い層状で形成した薄膜層が利用でき、低圧損で濾過特性にすぐれたものとなる。
【0014】なお、請求項2の発明のように、支持体として外表面に複数の凹凸を形成した比較的肉厚の多孔質体を用いたときには、凹凸表面上に沿って微細粒子による微細層を形成するものであって、実質的な濾過は該微細層で行うものとしており、前記微細層の形成厚さは例えばフィルター全体厚さの1/5以下、好ましくは1/10以下の厚さとするのがよい。
【0015】また、小径となる内フィルターの特に外周面側にこのような凹凸状に起伏した微細層を形成することは、その内周面側に設けた場合に比して曲率径が大きいことから、該凹凸部を大きくできるとともにその数を多くすることもでき、結果的に濾過面積を高めることとなる。このように、内フィルターに微細層を設ける場合にはその外周面側に設けるのがよいことが判る。
【0016】さらに、このような微細層を凹凸形成した積層濾材を前記外フィルターとして用いることも可能であり、このとき前記支持体は、空孔が比較的大きいことから濾過室の一部と見ることができるため、例えば内フィルターの外径を太くし外フィルターの内径に近づけた場合にあっても、両フィルターの微細層間には外フィルターの前記支持体によって十分な濾過室を確保することができ、被処理流体の流過量、流出特性が低下するのを防ぎうる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるフィルター装置1の一実施の形態を図面に基づき説明する。図1,2において、フィルター装置1は、外フィルター2と、その内側に配した内フィルター3とを具え、この外フィルター2と内フィルター3との一方の端部2a,3aとを接合し、かつこの内フィルター3の他方の端部3bを実質的に封止することによって、前記外フィルター2と内フィルター3との間に濾過室12を形成している。
【0018】また少なくとも内フィルター3は、多孔質の支持体4Aと、この支持体4Aの外周面側に積層した微細な空孔を有する微細層5Aとを積層した積層濾材からなることにより、前記微細層5Aは濾過室12側に位置している。
【0019】なお、本形態では、前記外フィルター2は比較的太径の円筒体であり、また内フィルター3としては、外フィルター2の内腔に間隙を有して挿入しうる該外フィルター2よりもより小径かつ短寸であって,しかも本形態ではその他端側3bは一体な底部を有することにより他方の端部3bを実質的に封止する有底筒状体を用いている。また外、内のフィルター2,3の前記一方の端部2a,3aは、図1、2に示すように、中央に被処理流体が流通する通孔10aを有する基板部10Aの外周側に鍔10Bを形成した第1の端板10に、リークのない気密状態でともに固着されることにより、前記一方の端部2a,3aとは、この第1の端板10を介して接合されている。
【0020】前記鍔10Bは、例えば外フィルター2の位置決めを容易にし、かつ外フィルターとの結合面積を増して補強するが、過度に深くすることは濾過面積を減ずることとなる。なお第1の端板10は鍔10Bを具えない単なる平板状とすることもできる。
【0021】さらにこの第1の端板10と、前記端部2a,3aとの接合は、例えばろう付けや溶着などが簡易かつ確実な方法であるが、かしめやねじ込みなどの機械的方法によるもの、又は第1の端板10を用いることなく両フィルターの端部同士を直接結合することも、さらにはこのような接合によることなく外フィルター2,内フィルター3を前記濾過室12を有する一体成形品として形成することもできる。また外、内フィルター2,3は、前記のように円筒状体とすることも、例えば角形筒状、円錐状、角錐状などの種々な形状とすることもできる。
【0022】また前記外フィルター2の他端部2bは、第2の端板11に例えばろう付けによって密に固着され、またこの第2の端板11は、基板部11Aの内向き面外周に前記外フィルター2を嵌入しうる鍔11Bを形成し、外向き面には取付用のボス11Cを突設するとともに、通孔11aを中心に透設している。又前記鍔11Bには、該外フィルター2、及び前記第1の端板10と間隙を有してフィルター装置1を包む主部13Aに、取付用のボス13Bを中心に設け、かつ前記第1の端板10の通孔10aと同心な通孔13aを有するハウジング13を固着しており、従ってフィルター装置1は、前記通孔11a、13aを残して該ハウジング13によって遮蔽されている。
【0023】なお、ハウジング13の前記ボス11C、13Bの外面には例えばねじ部が形成され、図示しない配管に接続されることにより、被処理流体Aは、例えば通孔13aからハウジング13内に送られ、通孔10a、及び前記ハウジング13とフィルター装置1との間の前記間隙を通り、外、内フィルター2,3で濾過された後、濾過室12を経て通孔11aから取り出される。
【0024】前記のごとく、内フィルター3は、多孔質の支持体4Aと、この支持体4Aの外周面側に積層した微細な空孔を有する微細層5Aとを積層した積層濾材からなり、また本形態では、図4に示すごとく、外フィルター2も、前記内フィルター3と同種の多孔質の支持体43と、この支持体4Bの外側面側に積層した同種の微細層5Bとを有し一体焼結された積層濾材を用いている。なお、区別する場合を除いて、以下支持体4A、4Bを支持体4と、微細層5A、5Bを微細層5と総称する。
【0025】図4に示すように、前記支持体4は、この外フィルター2、内フィルター3の強度を保ちかつ前記微細層5を支持するものであり、又微細層5はフィルターとしての実質的な濾過機能を発揮するものであって、濾過に必要な微細空孔を有している。従って支持体4は微細層5に比して肉厚で、比較的大きな径の空孔を有し、ステンレス鋼、ニッケルなどの例えば直径10〜100μm程度の金属粉末の焼結体が用いられる。
【0026】また支持体4は、ともに前記微細層5を凹凸に起伏させ濾過面積を増大するため、図1〜3に示すように、本形態ではその外周面を長手方向にのびる山状の峰部6,谷部7を交互に周方向に隔設することにより、横断面において、外周面を、折れ曲りを繰り返す凹凸状の起伏形状としている。なおその周方向ピッチは不等間隔でもよいが、好ましくは等間隔とし、濾過特性の均一性を高めるのがよい。なお内周面、乃至双方を凹凸状とすることができる。
【0027】このような支持体4は通常、図7に示すような、内型20と外型21との間に粉末を充填し加圧成形した型成形品を焼結することにより製造でき、例えば外型21の内面に切り込み溝21Aを形成することにより峰部6を有する凹凸の前記外周面を形成する。
【0028】このような凹凸状の外周面に、前記小厚さの微細層5を形成することによって、微細層5はその表面、即ち外周面に沿って凹凸状に起伏させた形状の凹凸状濾過面5aを形成でき、これにより、単なる円筒状の場合に比して濾過面積を増加できる。
【0029】この起伏状態としては、図5に例示するごとく、凹凸状濾過面5aの峰部6aが周方向に隣り合う周方向ピッチPを、前記峰部6a,6a間の谷部7a(凹凸状濾過面5a)の谷底7a1からの該峰部6aの山頂6a1までの隆起高さHの1.2〜4.0倍程度とするのがよく、例えば、隆起高さHが過大、周方向ピッチPが相対的に過小である場合には、橋絡現象によって高さHを減じたり、谷底7a1まで微細層5を被覆することが困難となる。また好ましくは、周方向ピッチPを例えば0.5〜10mm(好ましくは1〜8mm程度、さらに好ましくは2〜6mm程度)とし、かつ隆起高さHも例えば0.5〜6mm程度(好ましくは1〜3mm程度)とするのがよく、フィルタの使用目的に応じて、また必要となる濾過精度、濾過効率により適当な範囲に設定される。
【0030】また前記峰部6a及びその間の谷部7aでは、山頂6a1、谷底7a1を含めて被覆面全体に亘って鋭部が生じないようにその全面を滑らかな曲面状し、しかも山頂6a1に向かって溝巾が増大する半径方向外に拡がる末広がり状あるいは波型状に形成する。
【0031】微細層5は前記のように凹凸状濾過面5aを具えることにより、この凹凸状濾過面5aの実濾過面積S1と、凹凸に形成しない場合の基準濾過面積S0との面積比S1/S0を1.3以上とする。なお実濾過面積S1とは、前記凹凸状濾過面5aをその起伏面に沿って実際に計測した濾過面面積をいい、基準濾過面S0とは前記の峰部6からなる凹凸を有しないときの中間高さ(1/2・H)を通る面に前記濾過層の平均厚さの微細層5を設けた場合の濾過面積をいう。
【0032】この面積比が1.3未満の場合には、前記したように濾過面積の増大が充分とはいえず、起伏間隔を広くしたものでは製品取扱い時などでの不注意による例えば落下や打ち当てによって表面損傷を招きやすいものとなる。なおこの面積比が過大となると成形性に劣り、従って5以下、好ましくは1.5〜3.0程度とするのがよい。
【0033】前記微細層5は、実質的に濾過機能を発揮する部分であって、前記支持体4よりも空孔径を小とするため、使用する粉状体を微細としている。またこのフィルタが半導体製造用のプロセスガスなどの精密濾過用として使用される場合にあっては、0.01μm以上、より好ましくは0.003μm以上の大きさを対象とする微小パーティクルを10-10 個以下乃至それ以下とする精度を具えるために、使用する粉状体を選択する。粉状体として、微小な金属粒子、金属短繊維、又はその混合体などを用いうる。
【0034】前記金属粒子としては例えば0.5μm以下程度の直径の粉状体を使用するのがよく、またたとえばステンレス鋼SUS316Lなど耐食性に優れた材料が好ましい。
【0035】また前記金属短繊維としてアスペクト比(L/d)の平均値が2〜20程度のものを20%〜80%の重量比で含ませる(100%とすることもできる)ことにより、焼結体は、各短繊維の絡み付きが大きく、バインダーを要することなく保形でき、形成される空孔も立体的な三次元空孔となって空孔率を高くすることができる。更に金属短繊維の直径を例えば0.5〜5μm程度の太さとするのがよい。またこうした金属短繊維としては、例えば特公昭63−63645号が開示する結晶調整化熱処理によりえられる切断端部にダレ発生が無いものが好適に使用できる。
【0036】また微細層5は前記のように凹凸状濾過面5aを具えるとともに、微細層5の厚さTについて、図5に示す如く、前記谷部7aの谷底7a1における前記微細層5の平均厚さT7を峰部6aの山頂6a1の平均厚さT5よりも厚くしている。
【0037】なお、前記金属短繊維を用いるときには、例えば谷底7a1での濾過層の平均厚さT7は0.2〜1mm、山頂6a1での平均厚さT5を0.05〜0.8mm程度とし、実質的にはそれ単独では濾圧に耐えない程の薄さとして濾過特性の向上を図るのがよく、又全体にわたり厚さの急激な変化部分がなく徐々に厚さが変化する部分を有してなめらかに厚さが変化するようにされている。
【0038】このような厚さTの分布は、支持体4の厚さが大となる峰部6aの山頂6a1での微細層3の平均厚さT5を減じることとなり、前記のように濾過面を滑らかな曲面状に形成したことと相まって、支持体2の厚さの変動を吸収して、フィルター全体における流れ特性のバランスを図っている。
【0039】このように、峰部6a,谷部7aにおいて微細層5の厚さTを変化させることにより支持体4の厚さ変化による濾過抵抗を相殺し、凹凸状濾過面5aの全体的な濾過抵抗を均一化しつつ濾過面積を増大させている。なお凹凸状濾過面5aは、前記したようなフィルター中心軸方向に連なる峰部6a以外に、例えば半球状の断続、乃至散在形状に形成したものでもよい。
【0040】また、このような微細層5は、例えば前記した本出願人の提案にかかる国際公開W093/06912号公報において開示した、支持体4の凹凸の外周面に沿わせて懸濁液中の粉状体を吸引することにより積層、成形できる懸濁浸漬法が採用できる。
【0041】なお、本形態では外フィルター2の前記支持体4Bは、予め有底筒状に成形して懸濁浸漬成形後に微細層5Bと一体焼結された焼結品の底部を切り落として円筒状とし、また両端開口の円筒状の支持体4Bを用いるときにはその一端を閉止して浸漬する。他方、内フィルター3の支持体4Aは、前記のように、有底の筒状体として形成することにより前記他端部3bを閉じている。また、その形状については、前記筒型以外にも例えば円錐形などにすることもできる。
【0042】こうして得られた成型品は各々焼結炉内にセットして、温度1050℃程度の無酸化雰囲気中での焼結を行ない多孔性焼結品である外フィルター2、内フィルター3を形成する。この積層濾材として金属短繊維を用いたものでは、各短繊維が三次元的にランダム配向した微細層5となることから、例えば0.003μmのパーティクルを10-11 個の精度で濾過でき、しかも圧力損失を低減できる。
【0043】なお本発明の前記形態では、外フィルター2と内フィルター3とを同種の積層濾材とし、また微細層5を共に外周面側に位置させている。このように構成したフィルター装置では、内フィルター3上の微細層5Aと外フィルター2上の微細層5Bとの間に前記粗な支持体4Bが介在しているため、この支持体4Bが抵抗の少ない流通部材となることから実質的に濾過室12そのものとして活用され、その結果、外、内フィルター2,3間の間隙を減じて内フィルター3の外径を大とし濾過面積の増大を図ることが可能となる。また本発明では例えば外フィルター2には微細層5Bのみを有するフィルターを用いてもよく、また外フィルター2、又は内フィルター3として支持体4と微細層5との間に数種の異なる第2層、第3層を介在させた積層部材とすることもできる。さらに図4に示すように、外フィルター2の内部に複数個、例えば2個の円形、非円形の内フィルター2,2を挿着することもできる。
【0044】(具体例1)ステンレス鋼アトマイズド粉末(平均粒径5μm)を図7に示す内型20、外型21間の間隙内に充填し加圧成形するとともに焼結することにより、比較的長い外径15mm、内径9mmの多孔性焼結の筒状体を得た。筒状体は平均空孔率38%、空孔5μmであり、かつその外周には周ピッチ(本例では谷巾ともなる)2mm、高さ2mm程度の12本の峰部が連続して形成されている。なお成形は金型において19.6MPaで加圧しさらに温度1150℃×30min の条件で焼結を行った。なお、前記成形型は処理途中での任意の早い段階で取り去ることとし、製品への型具による影響を極力軽減した。
【0045】次にこの筒状体を長さ50mmに切断して外フィルター用の支持体とし、その一端を閉じた。同様にして、外方に6mmの峰部を有する外径7mm、内径3mmの内フィルター用の有底支持体を形成した。これらをステンレス鋼短繊維(繊維径2μm、平均アスペクト比8)を純水中に所定濃度で懸濁した懸濁液中に、前記両支持体を浸漬して真空ポンプ24によって、例えば0.1MPaの圧力で約5秒間吸引させ、前記金属短繊維の微細層層を支持体2の表面上に0.2mmの厚さを付与し積層成形した。
【0046】こうして得られた2つの金属フィルタは、その外面側を前記微細層で覆われ、かつ凹凸状濾過面を持つ積層品であり、つぎに焼結炉内にセットして、温度1050℃の無酸化雰囲気中での焼結を行った。図6はこの処理で得られた焼結品の断面写真(100倍)の一例である。
【0047】またこの断面における濾過層3の厚さ分布を調べた結果、その谷底では0.5mm、山頂では0.1mmの厚さで、同時にその表面積は滑らかに湾曲して積層されていることが確認され、前記面積比S1/S0は2.03となっていた。またこのフィルターは、0.01μmm以下の精度を有し、また濾過層表面欠陥の有無を調べたが、起伏構造で有りながらも亀裂や剥離などの発生がなく、濾過層全面を有効に使用できる特性のものであった。
【0048】(具体例2)次に、こうして作成したフィルター装置の濾過性能を評価する為、図9の流量差圧測定装置にセットし、試験流体として窒素ガスを0〜50SLM送給した時のフィルター前後の圧力差(圧損)を求めた。その図8はその結果を示したもので、実線は本発明による2筒式のもの、また破線は外フィルターのみ用いたものの結果である。
【0049】この結果から明らかなように、本発明によるフィルター装置は、各流量とも圧損を3〜4割程度軽減でき、所定容積当たりの濾過効率を高めることができた。
【0050】
【発明の効果】このように、請求項1に係る発明のフィルター装置は、外、内フィルターを用いて濾過面積の増加を可能とし、かつ内フィルターが支持体の外周面に微細層を設けた構造としているため、例えば半導体製造用ガスをはじめ、空気、水などに幅広く用い得るとともに、高精度で高効率の濾過特性を達成することができる。
【0051】又請求項2に係る発明は、内フィルターの前記微細層は、該内フィルターの長さ方向中心線と直角な断面において、折れ曲りを繰り返す凹凸状濾過面を形成するため濾過面積を増しうることとなる。
【0052】又請求項3に係る発明では、前記凹凸状濾過面が、内フィルターの長さ方向にのびる峰部と谷部とを交互に設けることにより形成されているため、形状、品質が安定したものとなり、また請求項4の発明のごとく、前記外フィルターをも、多孔質の支持体と、その外表面に積層され該支持体より微細な空孔を持つ微細層とからなる積層濾材によって形成することにより、フィルター装置全体としての濾過性能の向上させうる。
【出願人】 【識別番号】000231556
【氏名又は名称】日本精線株式会社
【住所又は居所】大阪市中央区高麗橋四丁目1番1号
【出願日】 平成14年1月15日(2002.1.15)
【代理人】 【識別番号】100082968
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 正 (外1名)
【公開番号】 特開2003−205213(P2003−205213A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−6456(P2002−6456)