| 【発明の名称】 |
凝集沈殿装置及びその運転方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】安部 俊彦 【住所又は居所】東京都品川区北品川五丁目9番11号 住友重機械工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ブランケット層を形成しない運転方式にて清澄な処理済み液を得ることのできる凝集沈殿装置を提供すること。
【解決手段】沈殿槽12内に直立状態で配設されたチャンバ14と、チャンバ内の被処理液を沈殿槽内に分配供給するよう複数の吐出孔40が長手方向に沿って形成されている吐出管38とを備える凝集沈殿装置10において、吐出孔から沈殿槽内の液面までの距離D1が1.9m以上、好ましくは2.5m以上となるように、且つ、吐出孔から沈殿槽側壁12の最下端までの距離D2が1m以上、好ましくは1.2m以上となるようにしたことを特徴とする。この構成では、吐出管から噴出された被処理液によって汚泥層の界面は乱されず、凝集フロック等の沈降時間も十分に確保される。よって、ブランケット層無し型の運転においても、清澄な処理済み液が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被処理液中の懸濁物質や凝集フロック等を沈降分離させて被処理液を清澄化する凝集沈殿装置において、底面と、前記底面上に立設された筒状の側壁とからなる沈殿槽と、前記沈殿槽内に直立状態で配設されており、被処理液が導入されるチャンバと、前記チャンバ内の被処理液を前記沈殿槽内に分配供給すべく前記チャンバの内部と連通し且つ複数の吐出孔が長手方向に沿って形成されている吐出管と、を備え、前記側壁の最下端から前記沈殿槽内のトラフまでの垂直方向の距離(D)に対する前記吐出孔が設けられている位置から前記トラフまでの垂直方向の距離(D1)の比(D1/D)が0.475以上、好ましくは0.625以上となるように、且つ、前記側壁の最下端から前記トラフまでの垂直方向の距離(D)に対する前記側壁の最下端から前記吐出孔が設けられている位置までの垂直方向の距離(D2)の比(D2/D)が0.25以上、好ましくは0.3以上となるように、前記吐出管を配置したことを特徴とする凝集沈殿装置。 【請求項2】 前記側壁の最下端から前記トラフまでの垂直方向の距離(D)に対する前記側壁の最下端から前記沈殿槽の底部に形成される汚泥層の界面までの垂直方向の距離(H)の比(H/D)が0〜0.125の範囲内に維持されるように、運転が制御されることを特徴とする請求項1に記載の凝集沈殿装置。 【請求項3】 底面と、前記底面上に立設された筒状の側壁とからなる沈殿槽と、前記沈殿槽内に直立状態で配設されており、被処理液が導入されるチャンバと、前記チャンバ内の被処理液を前記沈殿槽内に分配供給すべく前記チャンバの内部と連通し且つ複数の吐出孔が長手方向に沿って形成されている吐出管と、を備える、被処理液中の懸濁物質や凝集フロック等を沈降分離させて被処理液を清澄化するための凝集沈殿装置の運転方法において、前記側壁の最下端から前記沈殿槽内の液面までの垂直方向の距離(D)に対する前記吐出孔が設けられている位置から前記液面までの垂直方向の距離(D1)の比(D1/D)が0.475以上、好ましくは0.625以上となるように、且つ、前記側壁の最下端から前記液面までの垂直方向の距離(D)に対する前記吐出孔が設けられている位置から前記沈殿槽の底部に形成される汚泥層の界面までの垂直方向の距離(D3)の比(D3/D)が0.125以上、好ましくは0.175以上となるように、運転を制御することを特徴とする凝集沈殿装置の運転方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、沈殿槽内で被処理液中の懸濁物質等を凝集・沈殿させて被処理液を清澄化する凝集沈殿装置に関し、特にスラッジブランケット層を形成することなく被処理液を効率的に清澄化することのできる凝集沈殿装置及びその運転方法に関する。 【0002】 【従来の技術】凝集沈殿装置は、沈降分離方式の水処理装置の一種であり、工場廃水等の被処理液に含まれている懸濁物質等を適当な添加剤により凝集しフロック化し、被処理液から懸濁物質等を沈殿除去しようとするものである。 【0003】この種の凝集沈殿装置としては、特公平1−38523号公報によって開示されたものが知られている。この公報に記載された凝集沈殿装置においては、懸濁物質等の凝集を行う筒状のミキシングチャンバが沈殿槽内の中心に直立状態で設けられており、ミキシングチャンバ内の凝集フロックを有する被処理液は、ディストリビュータにより沈殿槽の内部空間(ミキシングチャンバ内は除く)に分配供給されるようになっている。 【0004】従来一般のディストリビュータは、基本的には、ミキシングチャンバの下部に配設され放射状に延びる複数本の吐出管から構成されている。各吐出管はミキシングチャンバ内と連通しており、各吐出管の下側部分にはその長手方向に沿って複数の吐出孔が形成されている。また、吐出管は、ミキシングチャンバと共に、或いはミキシングチャンバとは別個に回転されるようになっている。従って、ディストリビュータを回転駆動させると、各吐出孔は円の軌跡を描き、そこからフロック含有被処理液が沈殿槽内に均等に分配される。これによって、沈殿槽内には均等な上昇流が形成されることになる。 【0005】沈殿槽内に供給された被処理液中の凝集フロックは沈降分離し、沈殿槽の底部にて濃縮された汚泥層を形成する。その一方で、沈殿槽の上部には上澄液が上昇していき、沈殿槽内のトラフを越流して清澄化された処理済み液として沈殿槽から流出される。 【0006】このような凝集沈殿装置では、均等な上昇流を沈殿槽内に形成することができるので、スラッジブランケット型の運転が可能となっている。すなわち、均等な上昇流が得られることから、沈殿槽内の中間部にスラッジの流動層であるスラッジブランケット層(以下「ブランケット層」という)を作ることができ、上昇流に随伴される微細なフロックやその他の微細粒子をそのブランケット層にて捕捉して被処理液をより清澄化することが可能となっている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような凝集沈殿装置においてスラッジブランケット型の運転を行う場合、いくつかの問題が生じることがある。 【0008】まず、被処理液の流入流量や水質変動が大きい場合には、ブランケット層の界面が大きく上昇或いは下降し、ブランケット層の管理が困難になる。ブランケット層の界面が上昇しすぎると、上澄液に微細なフロックや粒子が混入し、処理済み液の水質が悪化する。一方、ブランケット層の界面が下降しすぎると、ブランケット層での微細なフロックや粒子の捕捉量が減少するため、この場合も処理済み液の水質が悪化する。 【0009】また、被処理液に腐敗性の汚泥が含まれる場合、ブランケット層を形成することにより沈殿槽内に滞留する汚泥量が全体として多くなる。このため、汚泥の滞留時間が長くなり、汚泥が腐敗し凝集フロックが破砕され、ブランケット層が崩れたり、嫌気性ガスにより汚泥が浮上したりし、処理済み液の水質が悪化するおそれがある。 【0010】更に、被処理液が硝酸態窒素や亜硝酸態窒素を含む場合は、汚泥が嫌気性の状態となり、窒素ガスが発生して汚泥の浮上による水質悪化のおそれがある。 【0011】これらの問題点はブランケット層の存在が原因であるため、ブランケット層を形成せずに運転を行うことでその解決を図ることができると考えられる。 【0012】しかしながら、実際には、従来の凝集沈殿装置で単にブランケット層を形成せずに運転を行ったとしても、上述したような状況下では処理済み液の水質が悪化していることがあった。 【0013】そこで、本発明の目的は、ブランケット層を形成しない運転方式にて清澄な処理済み液を得ることのできる凝集沈殿装置及びその運転方法を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明者は鋭意検討した結果、従来一般の凝集沈殿装置においては、ディストリビュータの吐出管が比較的低い位置にあることに着目した。従来の凝集沈殿装置では、スラッジブランケット型の運転を効率的に行うことができるように、ディストリビュータの吐出管はブランケット層の最下部に配置されている。すなわち、吐出管の吐出孔はブランケット層の下側に形成される汚泥層の直上、近傍に位置している。このため、ミキシングチャンバからディストリビュータを通って吐出される被処理液が汚泥層の界面を乱し、汚泥が巻き上がる。スラッジブランケット型の運転では、巻き上げられた汚泥はブランケット層にて捕捉されるため問題はないが、ブランケット層無し型の運転では、沈殿槽内の上澄液にまで汚泥が達して処理済み液の水質が悪化する場合があると考えられる。 【0015】しかし、ディストリビュータの吐出管の位置を単に高くしたのでは、凝集フロック等の沈降時間が短くなるため、所望の効果が得られない。 【0016】本発明は上記知見及び実験結果に基づいてなされたものであり、底面上に立設された筒状の側壁からなる沈殿槽と、沈殿槽内に直立状態で配設されており、被処理液が導入されるミキシングチャンバ等のチャンバと、チャンバ内の被処理液を沈殿槽内に分配供給すべく当該チャンバの内部と連通し且つ複数の吐出孔が長手方向に沿って形成されている吐出管とを備える凝集沈殿装置において、側壁の最下端から沈殿槽内のトラフまでの垂直方向の距離(D)に対する吐出孔が設けられている位置からトラフまでの垂直方向の距離(D1)の比(D1/D)が0.475以上、好ましくは0.625以上となるように、且つ、側壁の最下端からトラフの上縁までの垂直方向の距離(D)に対する側壁の最下端から吐出孔が設けられている位置までの垂直方向の距離(D2)の比(D2/D)が0.25以上、好ましくは0.3以上となるように、吐出管を配置したことを特徴としている。 【0017】また、本発明の凝集沈殿装置は、側壁の最下端からトラフまでの垂直方向の距離(D)に対する側壁の最下端から前記沈殿槽の底部に形成される汚泥層の界面までの垂直方向の距離(H)の比(H/D)が0〜0.125の範囲内に維持されるように、運転が制御されることを特徴としている。 【0018】かかる構成では、吐出管の吐出孔から汚泥層までの距離は比較的長く、吐出管から噴出された被処理液によって汚泥層の界面は乱されず、汚泥の巻き上がりが防止される。また、吐出管の吐出孔から沈殿槽内の液面までの距離も凝集フロック等の沈降時間を十分に確保できる程度となっている。従って、ブランケット層無し型の運転においても、清澄な処理済み液が得られる。 【0019】また、本発明は、底面上に立設された筒状の側壁とからなる沈殿槽と、沈殿槽内に直立状態で配設されており、被処理液が導入されるチャンバと、チャンバ内の被処理液を沈殿槽内に分配供給すべくチャンバの内部と連通し且つ複数の吐出孔が長手方向に沿って形成されている吐出管とを備える凝集沈殿装置の運転方法にも係るものであり、側壁の最下端から沈殿槽内の液面までの垂直方向の距離(D)に対する吐出孔が設けられている位置から前記液面までの垂直方向の距離(D1)の比(D1/D)が0.475以上、好ましくは0.625以上となるように、且つ、側壁の最下端から前記液面までの垂直方向の距離(D)に対する吐出孔が設けられている位置から沈殿槽の底部に形成される汚泥層の界面までの垂直方向の距離(D3)の比(D3/D)が0.125以上、好ましくは0.175以上となるように、運転を制御することを特徴としている。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。 【0021】図1は、本発明による凝集沈殿装置の一実施形態を概略的に示す断面図である。図1に示す凝集沈殿装置10は、原廃水等の被処理液から懸濁物質や凝集フロック等を沈降分離し、清澄化された上澄液を処理済み液として取り出すことのできる沈殿槽12と、その内側に配置され、被処理液中の懸濁物質等を予め凝集しフロック化するためのミキシングチャンバ14とを備えている。 【0022】沈殿槽12は、凝集沈殿装置10を設置するエリアに設けられたコンクリート等の基礎16上に鋼板製の円筒形側壁18を立設して形成されている。基礎16の上面は沈殿槽12の底面となるもので、中心側ほど低い円錐形となっている。 【0023】ミキシングチャンバ14は、沈殿槽12の側壁18の上縁部に掛け渡された架台20の中央部から垂設された細長い略円筒体である。ミキシングチャンバ14の上部には、被処理液が輸送されてくる導入管22が接続されている。また、ミキシングチャンバ14には、被処理液中の懸濁物質等を凝集させフロックを形成する各種添加剤を注入するための注入ノズル24が配置されている。 【0024】ミキシングチャンバ14内には、被処理液と添加剤とを混合し撹拌するためのミキサ26が内蔵されており、架台20に取り付けられた駆動装置28により回転駆動されるようになっている。また、ミキサ26の中心部にはセンタシャフト30が垂直方向に延びている。センタシャフト30の上部は架台20にて軸支されており、架台20上の駆動装置32により回転駆動される。 【0025】センタシャフト30の下部部分はミキシングチャンバ14の下端よりも下方に突出している。センタシャフト30のこの下部部分にはディストリビュータ34が固定されている。ディストリビュータ34は、基本的には、センタシャフト30に同軸に固定されミキシングチャンバ14の下端部を閉じるよう配置されたカップ状の回転支持体36と、回転支持体36の内部と連通し且つ回転支持体36の外周面から径方向外方に水平に延びる複数本の吐出管38とから構成されている。各吐出管38の外端部は閉じられている。また、各吐出管38の最下部には、その長手方向に沿って一列に複数の吐出孔40が穿設されている。凝集沈殿装置10の運転時には、ディストリビュータ34が駆動装置32によってセンタシャフト30と共に回転され、ミキシングチャンバ14内の凝集フロックを含む被処理液は吐出管38の吐出孔40から円を描きながら沈殿槽12内に吐出される。 【0026】本実施形態においては、側壁18の最下端と沈殿槽12内の液面との間の垂直方向の距離(水深)Dが4mとなっており、ディストリビュータ34の吐出管38は、その最下部の高さ位置、すなわち吐出孔40が設けられている位置と沈殿槽12内の液面との間の垂直方向の距離D1から1.9m以上、好ましくは2.5m以上(水深Dに対する比(D1/D)では0.475以上、好ましくは0.625以上)、下方の位置となるように配置されている。また、吐出管38の吐出孔40と側壁18の最下端との間の垂直方向の距離D2は1m以上、好ましくは1.2m以上(水深Dに対する比(D2/D)では0.25以上、好ましくは0.3以上)とされている。従来一般の凝集沈殿装置においては、吐出孔40の位置は側壁18の最下端から0.5〜1.0m程度上方の位置とされていることに比すると、本実施形態における吐出管38は比較的高い位置に配置されていることになる。 【0027】センタシャフト30は、ディストリビュータ34よりも下方に延長されており、その先端にはレーキ42及びコーンスクレーパ44が固定されている。レーキ42は、被処理液中の凝集フロックが沈降して形成する汚泥を濃縮すると共に、槽底面中央の汚泥引抜き用凹部46に汚泥を掻き寄せるためのものである。コーンスクレーパ44は汚泥引抜き用凹部46に配されている。この凹部46は沈殿槽12の基礎16に形成された汚泥引抜管48に接続されている。汚泥引抜管48は、汚泥引抜ポンプ50及び汚泥返送ポンプ52に接続されている。汚泥引抜ポンプ50は沈殿槽12の底部の汚泥を引き抜いて系外に排出することができ、また、汚泥返送ポンプ52は引き抜いた汚泥をスラッジ循環運転のために凝集沈殿装置10の上流側の反応槽(図示しない)又はミキシングチャンバ14に返送することができる。 【0028】更に、沈殿槽12内の上部にはトラフ(集水樋)54が設けられており、このトラフ54の上縁を越えた沈殿槽12内の被処理液の上澄液が処理済み液として、沈殿槽12に設けられた流出口56から槽外部に流出されるようになっている。従って、凝集沈殿装置10の運転中、沈殿槽12内の液面はトラフ54の上縁によって一定の高さ位置に維持される。 【0029】次に、上述したような構成の凝集沈殿装置10にて、ブランケット層を形成せずに運転し、清澄な処理済み液を回収する場合の運転方法について説明する。 【0030】ブランケット層無し型の運転時、被処理液は導入管22からミキシングチャンバ14内に供給される。ミキシングチャンバ14内においては、注入ノズル24から添加剤が任意のタイミングで添加される。そして、ミキシングチャンバ14内の被処理液と添加剤とはミキサ26によって撹拌混合され、被処理液中の懸濁物質等が凝集して凝集フロックを形成する。 【0031】凝集フロックを含む被処理液は、ディストリビュータ34における回転支持体36から吐出管38の吐出孔40を通って沈殿槽12内に供給される。ディストリビュータ34は駆動装置32により回転駆動されているので、吐出管38の吐出孔40からの被処理液は沈殿槽12内に均等に分配される。これにより、沈殿槽12内には均等な上昇流が発生する。被処理液の上昇流における粗大な凝集フロック等は重力により沈降分離して、沈殿槽12の底部に汚泥層58を形成する。沈殿槽12の底部ではレーキ42によって汚泥層58が濃縮されると共に、槽中央部の汚泥引抜き用凹部46に掻き寄せられるので、汚泥層58は濃縮された均質なものとなる。この濃縮汚泥層58からは汚泥引抜きポンプ50又は汚泥返送ポンプ52によって汚泥が随時或いは間欠的に引き抜かれ、汚泥層58の界面(上面)60の高さHは常時、側壁18の最下端から上方に0〜0.5m(水深Dに対する比(H/D)では0〜0.125)の範囲内で維持される。 【0032】汚泥層58の界面60の高さが前記範囲内に維持されている場合、界面60が最高位にあるときでさえも、ディストリビュータ34の吐出管38と汚泥層58との間は0.5m以上、好ましくは0.7m以上の垂直方向距離D3が確保されることになる(水深Dに対する比(D3/D)では0.125以上、好ましくは0.175以上)。この大きさの距離D3は、被処理液が吐出管38の吐出孔40から汚泥層58に向かって噴出された場合であっても、汚泥層58の界面60を実質的に乱さず、或いは、汚泥層58の界面60から汚泥を実質的に巻き上げることのない距離である。また、この距離D3は、ディストリビュータ34の回転によっても、汚泥層58の界面60を実質的に乱さず、或いは、汚泥層58の界面60から汚泥を実質的に巻き上げることのない距離である。 【0033】一方、吐出管38の吐出孔40から吐出された被処理液は沈殿槽12内にて均等に上昇していくが、この際、吐出管38の吐出孔40から沈殿槽12内の液面までの距離は1.9m以上、好ましくは2.5m以上となっているため、上昇流に随伴している凝集フロック等が被処理液から沈殿分離するための沈殿時間は十分に確保される。 【0034】このように、十分な沈降時間が得られ、且つ、汚泥層58の界面60が乱されることがないため、ブランケット層が形成されていない状態でも、沈殿槽12内の被処理液の上層は極めて清澄な上澄液となる。沈殿槽12内の上層の上澄液はトラフ54を越え、清澄な処理済み液として沈殿槽12の流出口56から流出し、回収される。 【0035】次に、本発明の効果を検証するために行った2種類の実験の結果について述べる。 【0036】第1及び第2の実験では、上述した構成を有し、沈殿槽12の水深が4m、内径が5mである凝集沈殿装置10において、懸濁物質の濃度が500mg/lである被処理液を100m3/hrの流量で導入し、表面積負荷が5.092958m3/hr/m2となるようにしてブランケット層無し型の運転を行った。この時、汚泥層58の界面60が沈殿槽12の側壁18の最下端から0.5m上方の位置に維持されるよう汚泥の引抜き量を制御した。 【0037】また、第1の実験では、沈殿槽12内の液面とディストリビュータ34の吐出管38の最下部(吐出孔40が設けられた位置)との間の垂直方向距離D1が3m一定となるようポンプ(図示しない)にて沈殿槽12内の上澄液を排出した。そして、吐出管38の設置高さを種々変更し、汚泥層58の界面60から吐出管38の最下部までの距離D3を変えて運転し、それぞれの処理済み液の懸濁物質濃度を測定し評価した。次表がその結果である。なお、次の表1及び第2の実験結果を示す表2において、「◎」は測定した懸濁物質濃度が目標値の半分以下であり、目標値を大幅に達成している場合、「○」は「◎」よりも劣るが、常に目標値を達成している場合、「△」は平均的には目標値を達成しているが、被処理液の流入状態によっては達成しないおそれがあると考えられる場合、「×」は目標値を達成していない場合をそれぞれ示している。 【0038】 【表1】
第2の実験では、汚泥層58の界面60からディストリビュータ34の吐出管38の最下部までの距離D3を1.0m一定となるように吐出管38を設置し、汚泥引抜き量を制御した。そして、吐出管38の最下部から沈殿槽12内の液面までの距離D2を種々変えて運転し、それぞれの処理済み液の懸濁物質濃度を測定し評価した。次の表2にその結果を示す。 【0039】 【表2】
上記2つの実験から、ディストリビュータ34の吐出管38は、その最下部の高さ位置が沈殿槽12内の液面から1.9m以上、好ましくは2.5m以上、下方の位置となるように配置され、且つ、吐出管38の最下部の高さ位置が側壁18の最下端から1m以上、好ましくは1.2m以上、別言するならば汚泥層58の界面60の最高位から0.5m以上、好ましく0.7m以上となるよう配置されていることが、処理済み液の水質を清澄に維持することに寄与していることがわかる。 【0040】以上、本発明の好適な実施形態について詳細に述べたが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。 【0041】例えば、上記実施形態では、水深が4mの沈殿槽を有する凝集沈殿装置について述べたが、沈殿槽の水深は様々であり、4m以外の水深の場合には、吐出管の位置や汚泥層の厚さは、上でカッコ書きで示したように水深に対する比で定めることとなる。 【0042】また、上記実施形態では、沈殿槽内にミキシングチャンバが配置され、そこに被処理液と添加剤が導入されて攪拌・混合されることとなっているが、被処理液のみが導入され、添加剤は添加されず攪拌もされないチャンバが沈殿槽内に配置される型式の凝集沈殿装置にも本発明は適用可能である。 【0043】更に、本発明は固定型の吐出管を用いた凝集沈殿装置にも適用可能である。 【0044】 【発明の効果】以上述べたように、本発明による凝集沈殿装置とその運転方法によれば、ブランケット層を形成しないタイプの運転方式においても、清澄な処理済み液を得ることが可能となる。特に、ブランケット層を形成するスラッジブランケット型の運転に不向きな被処理液、例えば腐敗性汚泥、硝酸態窒素や亜硝酸態窒素を含む被処理液を処理する場合にも、本発明の凝集沈殿装置を用いれば、ブランケット層無し運転を行って清澄な処理済み液を得ることができるので、極めて有効である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002107 【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社 【住所又は居所】東京都品川区北品川五丁目9番11号
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| 【出願日】 |
平成14年1月15日(2002.1.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−205206(P2003−205206A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月22日(2003.7.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−6357(P2002−6357) |
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