| 【発明の名称】 |
高分子凝集剤の溶解方法および凝集剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】天野 芳男 【住所又は居所】静岡県浜松市寺島町200番地 株式会社河合楽器製作所内
【氏名】柿沢 勝利 【住所又は居所】静岡県浜松市寺島町200番地 株式会社河合楽器製作所内
|
| 【要約】 |
【課題】難溶性の高分子凝集剤を溶解させる際のママコ現象を解消でき、それにより、高分子凝集剤の溶解時間の短縮および低コスト化を図れるとともに、少量の添加量で十分な凝集効果および脱水効果を得ることができる高分子凝集剤の溶解方法、および凝集剤を提供する。
【解決手段】本発明の高分子凝集剤の溶解方法は、粉末状または顆粒状の難溶性の高分子凝集剤1と、吸水性を有する粉末状のシリカゲル2とを所定の割合で混合し、混合された高分子凝集剤1およびシリカゲル2を流水中に投入することによって、高分子凝集剤1を水Wに溶解させる。また、本発明の凝集剤4は、粉末状または顆粒状の難溶性の高分子凝集剤1と、高分子凝集剤1に対して所定の割合で混合された、吸水性を有する粉末状のシリカゲル2と、を含む。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 粉末状または顆粒状の難溶性の高分子凝集剤と、吸水性を有する粉末状のシリカゲルとを所定の割合で混合し、混合された前記高分子凝集剤および前記シリカゲルを流水中に投入することによって、前記高分子凝集剤を水に溶解させることを特徴とする高分子凝集剤の溶解方法。 【請求項2】 請求項1に記載の溶解方法によって得られた、前記高分子凝集剤を水に溶解させた凝集剤。 【請求項3】 粉末状または顆粒状の難溶性の高分子凝集剤と、当該高分子凝集剤に対して所定の割合で混合された、吸水性を有する粉末状のシリカゲルと、を含むことを特徴とする凝集剤。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、各種の廃水の固液分離処理に用いられる高分子凝集剤の溶解方法、および高分子凝集剤を含む凝集剤に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の廃水の固液分離処理は、一般に次のようにして行われている。 ■ まず、硫酸アルミニウム(以下「硫酸バンド」という)や塩化アルミニウム、または硫酸鉄や塩化鉄などの無機金属塩から成る凝結剤を、廃水に添加する(凝結工程)。これにより、通常は負電荷をもって帯電している廃水中のコロイド状のけん濁粒子が中性化され、より大きな細粒状に凝結する。 ■ 次に、ポリアクリルアミドなどの高分子凝集剤をあらかじめ溶解させた凝集剤溶液を、中性化させた廃水に加える(凝集工程)。この高分子凝集剤としては、一般に顆粒状のものが用いられており、これを水中に少量ずつ投入し、徐々に溶解させることによって、凝集剤溶液が作られる。廃水中のけん濁粒子は、添加された高分子凝集剤の架橋作用によって凝集し、その集合体であるフロックが形成される。粒子の沈降速度はその径の2乗に比例するので、形成されたフロックが迅速に沈降し、スラッジとして沈殿する。 ■ 次いで、廃水から上澄液を除去し、スラッジを含む残りの廃水に、脱水性を向上させるための高分子凝集剤をさらに加えた後、フィルタプレスなどの脱水装置を用いてスラッジを脱水する(脱水工程)。これにより、スラッジが含水比40〜60%程度まで脱水され、最終的にケーキとして処理される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来の廃水の固液分離処理では、フロックを形成させるための高分子凝集剤として、顆粒状のものが用いられている。これは、次の理由による。すなわち、高分子凝集剤は一般に難溶性を有するため、これをできるだけ速く溶解させるには、粉末状あるいは微粉末状のものを用いることが好ましい。しかし、その場合には、粉末状の高分子凝集剤を廃水に投入した際に、まず粉末状の高分子凝集剤同士が吸着し合うことで粉体が形成され、次いで粉体の表面が吸水するため、内部は粉末状のままで表面のみが濡れた状態になるという、いわゆる「ママコ現象」が発生する。そして、このようなママコ現象が一旦発生すると、ママコの表面に形成された膜の表面張力によって、その内部への水分の浸入・接触が妨げられる結果、高分子凝集剤の溶解が困難になり、溶解に非常に長い時間がかかるとともに、得られる高分子凝集剤の濃度にも限界がある。 【0004】このため、従来においては、顆粒状の高分子凝集剤が用いられている。しかし、この場合には、前述したように高分子凝集剤を水中に少量ずつ投入しながら、徐々に溶解させなければならず、結局はその溶解に非常に時間がかかってしまう。また、顆粒状の高分子凝集剤は、粉末状や微粉末状のものと比較して、顆粒状への加工を必要とするため、一般には高価であるので、その分、廃水の処理コストを押し上げてしまう。なお、粉末状の高分子凝集剤を用いた際の上述したママコ現象の発生を防止する技術として、例えば特開昭59−102408号公報に提案されたものが知られている。しかし、この技術では、ママコの発生防止のために無機塩を用いるため、正の電荷量が多く、高分子凝集剤の活性基を多量に消費する。その結果、高分子凝集剤本来の凝集効果が低下してしまい、添加量を増やさなければならないなどの欠点がある。 【0005】本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、難溶性の高分子凝集剤を溶解させる際のママコ現象を解消でき、それにより、高分子凝集剤の溶解時間の短縮および低コスト化を図れるとともに、少量の添加量で十分な凝集効果および脱水効果を得ることができる高分子凝集剤の溶解方法、および凝集剤を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明の請求項1による高分子凝集剤の溶解方法は、粉末状または顆粒状の難溶性の高分子凝集剤と、吸水性を有する粉末状のシリカゲルとを所定の割合で混合し、混合された高分子凝集剤およびシリカゲルを流水中に投入することによって、高分子凝集剤を水に溶解させることを特徴としている。 【0007】この高分子凝集剤の溶解方法によれば、所定の割合であらかじめ混合された高分子凝集剤およびシリカゲルを流水中に投入するので、シリカゲルが核となって、粉末状または顆粒状の高分子凝集剤同士が吸着するのを抑制する。また、吸水性を有するシリカゲルが高分子凝集剤よりも先行して吸水することで、その周囲の高分子凝集剤を濡れやすくする。以上の結果、高分子凝集剤の溶解が促進されることによって、高分子凝集剤を投入した際のママコ現象を解消することができる。その結果、溶解時間を大幅に短縮することができる。また、シリカゲルが高分子凝集剤よりも安価であることから、凝集剤全体としてのコストを削減することができる。 【0008】さらに、前述したように、粉末状の高分子凝集剤は顆粒状のものと比較して、溶解性が高くかつ安価であるので、高分子凝集剤として特に粉末状を用いることによって、その溶解時間の短縮と材料コストの削減をさらに図ることができる。また、高分子凝集剤の溶解性が向上することで、高分子凝集剤の濃度を高めることが可能になるので、溶解を行うための水槽などの設備をコンパクト化できるとともに、水溶液を運搬して用いる場合の運搬量を軽減し、運搬性を向上させることができる。 【0009】また、本発明の溶解方法により高分子凝集剤を溶解させた水溶液を用いて、廃水を固液分離処理した場合には、シリカゲルを併用せずに高分子凝集剤を単独で溶解させた通常の水溶液を用いた場合と比較して、凝集工程におけるフロックの形成状況、および脱水工程におけるケーキの脱水状況が改善され、凝集効果および脱水効果が向上することが判明した。これは、シリカゲルが核となることで高分子凝集剤の分散性が向上していることや、無機塩を用いる従来の場合と異なり、シリカゲルが高分子凝集剤の活性基を消費しないことなどによるものと推定される。したがって、従来と同等の凝集効果および脱水効果を、より少ない添加量の高分子凝集剤で得ることができ、その使用量の低減によって、低コスト化をさらに図ることができる。さらに、凝集工程においてフロックを形成したときの上澄液の清澄性が向上することも確認されている。これは、シリカゲルが廃水中のけん濁粒子を吸着する性質を有するためと推定される。 【0010】本発明の請求項2による凝集剤は、請求項1に記載の溶解方法によって得られた、高分子凝集剤を水に溶解させた凝集剤である。 【0011】この凝集剤は、請求項1の溶解方法によって高分子凝集剤を水にすでに溶解させた水溶液状のものであるので、これをそのままあるいは適当に希釈した状態で、処理すべき廃水に投入するだけで、ママコ現象を生じることなく、請求項1による前述した作用を容易に得ることができる。 【0012】また、本発明の請求項3による凝集剤は、粉末状または顆粒状の難溶性の高分子凝集剤と、高分子凝集剤に対して所定の割合で混合された、吸水性を有する粉末状のシリカゲルと、を含むことを特徴とする。 【0013】この凝集剤によれば、上記のような高分子凝集剤とシリカゲルが所定の割合であらかじめ混合されているので、これを流水中に投入するだけで、請求項1による溶解方法に従って、高分子凝集剤を、ママコ現象を生じることなく溶解させることができ、したがって、請求項1による前述した作用を容易に得ることができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明を適用した高分子凝集剤の溶解方法を示している。この溶解方法では、同図(a)に示すように、まず高分子凝集剤1とシリカゲル2を、所定の割合で容器3内に投入し、ミキサー(図示せず)で均一に混合することによって、粉体状の凝集剤4を調合する(同図(b))。 【0015】この高分子凝集剤1の種類としては、処理すべき廃水の性状に応じ、アニオン系、ノニオン系およびカチオン系の中から、その処理に適したものが適宜、選択して使用される。また、上水の処理に適用される場合には、無害な澱粉などの糖類が使用される。また、高分子凝集剤1の形態としては、粉末状だけでなく、顆粒状やフレーク状のものが使用可能であるが、溶解速度およびコストなどの観点からは、粉末状のものが好ましい。 【0016】一方、シリカゲル2は、80メッシュ・アンダー程度の粉末状であって、含水比10%程度の乾燥した、吸水性および吸湿性を有するものが用いられる。また、シリカゲル2は、市販のAタイプ(比重大、吸湿量小で、吸水した水分を逃がさないタイブ)およびBタイプ(比重小、吸湿量大で、水分を脱着するタイブ)のいずれでもよく、本実施形態ではAタイプを用いている。 【0017】また、高分子凝集剤1とシリカゲル2との配合割合は、例えば、重量比で2:1〜1:3の範囲から選択される。シリカゲル2の比率を上げると、高分子凝集剤1の溶解性を高めることができる。 【0018】次いで、図1(c)に示すように、水槽5内の水Wを攪拌機6で攪拌しながら、上述した粉体状の凝集剤4を所定量、水槽5内に徐々に投入する。この場合の凝集剤4の投入量は、例えば、1リットルの水Wに対して0.02〜0.5gである。なお、この凝集剤4の投入は、図2に示すように、ノズル8から水槽5に噴き出される水流中に直接、行うようにしてもよい。そして、攪拌機6による攪拌を1時間程度、続けると、高分子凝集剤1を含む凝集剤4が、ママコ現象を生じることなくすべて溶解し、透明な凝集剤原液7(凝集剤)が得られた(同図(d))。 【0019】以上のように、本実施形態の高分子凝集剤の溶解方法によれば、粉末状の高分子凝集剤1およびシリカゲル2を所定の割合で混合した凝集剤4を流水中に投入するので、シリカゲル2の前述した作用により、高分子凝集剤1の吸着が抑制され、水分との接触が促進されることによって、ママコ現象を生じることなく、1時間程度の短い時間で高分子凝集剤1を溶解させることができ、溶解時間を大幅に短縮することができる。 【0020】また、シリカゲル2が高分子凝集剤1よりも安価であるとともに、高分子凝集剤1として、顆粒状よりも溶解性が高くかつ安価な粉末状のものを用いることによって、その溶解時間の短縮と材料コストの削減をさらに図ることができる。また、高分子凝集剤1の溶解性が向上することで、その濃度を高めることが可能になるので、水槽5などの設備をコンパクト化できるとともに、凝集剤原液7を運搬して用いる場合の運搬量を軽減し、運搬性を向上させることができる。 【0021】図3は、上述した凝集剤原液7を用いた廃水の凝集処理方法を示している。まず、同図(a)に示すように、所定量の凝集剤原液7を、希釈槽9内の水Wに投入することによって250倍程度に希釈し、凝集剤希釈液10とする(同図(b))。次いで、処理槽11内の廃水Hに、所定量の凝集剤希釈液10を投入する(同図(c))。この廃水Hは、硫酸バンドや塩化アルミニウムなどの凝結剤による従来と同様の凝結処理をすでに施したものである。この場合の凝集剤希釈液10の投入量は、例えば、1リットルの廃水Hに対して、高分子凝集剤1が0.5g(0.5PPM)になるように設定される。 【0022】そして、この状態で所定時間、放置すると、廃水H中にフロックが良好に形成され、スラッジSとして沈殿した(同図(d))。これに対し、シリカゲル2を併用せずに高分子凝集剤1を単独で溶解させた通常の水溶液を用いた場合には、同等のフロックの形成状況を得るのに、廃水に対して2.0PPMの高分子凝集剤1を投入していた。すなわち、本実施形態によれば、凝集効果が飛躍的に向上しており、従来と同等の凝集効果を、従来の1/4程度の添加量の高分子凝集剤1で得ることができ、その使用量の低減によって、低コスト化をさらに図ることができる。さらに、フロックを形成したときの上澄液の清澄性が向上することも確認された。 【0023】次いで、図示しないが、前述した従来と同様の方法で、脱水処理を行った。すなわち、廃水Hから上澄液を除去し、スラッジSを含む残りの廃水Hに、所定量の凝集剤希釈液10を加え、フロックをさらに形成させた後、フィルタプレスなどの脱水装置を用いてスラッジを脱水した。この場合においても、フロックが良好に形成されるとともに、含水比の低いケーキが得られた。すなわち、本実施形成によれば、脱水効果もまた向上し、従来と同等の脱水効果を、より少ない添加量の高分子凝集剤1で得られることが分かる。 【0024】なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、高分子凝集剤1とシリカゲル2との混合による凝集剤4の調合、および凝集剤4の溶解による凝集剤原液7の調合を、廃液Hの処理場で行うものとして説明したが、これらの調合をあらかじめ行ってもよいことはもちろんである。例えば、所定の割合で調合した凝集剤4をあらかじめ用意しておけば、これを流水中に投入するだけで、凝集剤原液7を容易に得ることができ、また、所定の割合で調合した凝集剤原液7をあらかじめ用意しておけば、これを適当に希釈した状態で廃水に投入するだけで、凝集処理を容易に行うことができる。 【0025】また、高分子凝集剤1およびシリカゲル2の各材料や、両者の配合割合、廃水Hへの添加量などについても、本発明の趣旨に合致する限り、例示した以外のものを適宜、採用することができる。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することができる。 【0026】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明の高分子凝集剤の溶解方法および凝集剤は、難溶性の高分子凝集剤を溶解させる際のママコ現象を解消でき、それにより、高分子凝集剤の溶解時間の短縮および低コスト化を図れるとともに、少量の添加量で十分な凝集効果および脱水効果を得ることができるなどの効果を有している。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001410 【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所 【住所又は居所】静岡県浜松市寺島町200番地
|
| 【出願日】 |
平成14年1月15日(2002.1.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095566 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 友雄
|
| 【公開番号】 |
特開2003−205205(P2003−205205A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月22日(2003.7.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−5862(P2002−5862) |
|