| 【発明の名称】 |
フッ素系水切り溶剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】黒河 勇治
【氏名】村田 潤治
【氏名】飯島 征宏
【氏名】関屋 章
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| 【要約】 |
【課題】オゾン層破壊や温暖化等の地球環境に与える影響を小さくでき、不燃性で、かつ水切り性能が高い、水切り溶剤を提供する。
【解決手段】ヒドロフルオロエーテルにペルフルオロカルボン酸のアミン塩を添加してなる水切り溶剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヒドロフルオロエーテルとペルフルオロカルボン酸のアミン塩とからなる水切り溶剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、精密機器、光学機器、電子機器等の洗浄に使用する水切り溶剤に関する。 【0002】 【従来の技術】光学レンズ、電子部品等の精密機器等の多くは、加工途中で水を使用している為、後処理としてその表面に付着した水分を除去する乾燥工程が必要である。乾燥方法としては、熱風乾燥、真空乾燥、遠心分離等があるが、エネルギー効率や仕上がり(シミや傷)等の面で問題がある。これに対して、被洗浄物を有機溶剤に浸漬し、水との濡れ性又は比重差を利用して、付着した水を物品表面より剥離し、浮上させる方法がある。このような方法で用いる洗浄剤として、これまで1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(以下、CFC−113と言う)や、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素に界面活性剤を混合した組成物が使用されてきた。しかし、このようなクロロフルオロカーボン(CFC)類や1,1,1−トリクロロエタンは、塩素原子を有する為、成層圏のオゾン層を破壊するという重大な欠点が指摘され、その生産と使用を停止することが国際的に決められ、我が国でも1995年末に全廃された。また、代替フロンの一種であるヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類等も、CFC程ではないものの、オゾン層破壊能を有するため規制対象となり、2020年に先進国では原則的に生産を中止とする事になった。これに対し、オゾン層を破壊しないペルフルオロカーボン(PFC)又はヒドロフルオロカーボン(HFC)と界面活性剤とからなる水切り剤についての報告(特開平5−140776号公報、特開平6−71103号公報)がなされたが、PFC類及びHFC類は、1997年12月に京都で行われた第3回気候変動枠組み条約締約国会合(COP3)において、規制対象の温暖化物質に含まれることになった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、塩素を含むフロン系炭化水素や塩素系炭化水素が有する洗浄性や低毒性等の優れた性質を損なうことなく、オゾン層破壊の心配がなく、且つ温室効果の小さい水切り溶剤を提供することをその課題としている。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、ヒドロフルオロエーテルとペルフルオロカルボン酸のアミン塩とからなる水切り溶剤が提供される。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明で用いるヒドロフルオロエーテル(以下、HFEとも略記する)において、その沸点は、好ましくは30〜150℃、より好ましくは40〜120℃である。HFEの構造は特に制約されないが、好ましくは下記一般式(1)で表されたものが用いられる。 【化1】 R1OR2 (1) 前記式中、R1及びR2は炭素数1〜7のアルキル基又はフルオロアルキル基を示すが、その分子中に含まれる総炭素数は4〜8である。また、分子中に含まれるフッ素原子数と水素原子数との総数[F+H]に対するフッ素原子数[F]の割合[F]/[F+H]は、30〜90%、好ましくは50〜80%である。 【0006】本発明で好ましく用いられるHFEの具体例を示すと、ジフルオロメチル2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、メチル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチル2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルエーテル、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル等を挙げることができる。 【0007】本発明で用いるHFEには、分子中にエーテル結合(−O−)を複数個、好ましくは2〜4個、より好ましくは2個有するポリエーテルも包含される。このポリエーテルにおいても、その分子中に含まれるフッ素原子数の割合[F]/[H+F]は30〜90%、好ましくは50〜80%である。 【0008】本発明で用いるHFEは、単独又は混合物であることができるが、その沸点は、前記したように、水切り操作及びその後のすすぎ・乾燥操作の点から、40〜120℃であるのが好ましい。 【0009】本発明で用いるペルフルオロカルボン酸アミン塩(以下、PFCAとも略記する)において、そのペルフルオロカルボン酸としては、下記一般式(2)で表されるものを好ましく用いることができる。 【化2】 RfCOOH (2) 前記式中、Rfは炭素数1〜10、好ましくは3〜8のペルフルオロアルキル基を示す。このようなペルフルオロカルボン酸の具体例としては、ペルフルオロヘキサン酸、ペルフルオロオクタン酸等が挙げられる。 【0010】前記PFCAにおけるそのアミンとしては、炭素数2〜10、好ましくは3〜8のアルキル基を1〜3つ、好ましくは1つ持つアルキルアミンが用いられる。このアルキルアミンには、直鎖状及び分岐鎖状のものが包含されるが、好ましくは直鎖状アルキルアミンが用いられる。このようなアルキルアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等が挙げられる。 【0011】前記PFCAの具体例を示すと、例えば、ペルフルオロヘキサン酸n−ヘキシルアミン塩、ペルフルオロオクタン酸n−オクチルアミン塩等が挙げられる。 【0012】本発明で用いるPFCAは、界面活性剤として作用する。本発明の溶剤中に含まれるPFCAの量は、0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。その含有量が少なすぎると、物品表面からの付着水除去率が低下し、一方、多すぎると、物品表面からのそのPFCAの除去が不十分となる。 【0013】本発明の水切り溶剤により、一般的な水切り工程、すすぎ・乾燥工程を経て水の付着した物品を完全に乾燥することが出来る。水切り工程では、水切り槽中に水の付着した物品を浸漬し、付着水を物品表面から剥離し浮上させる。浮上した水は水分離槽に導き、水切り溶剤と分離する。この工程では、物品表面に不揮発性の界面活性剤が付着するが、HFEによるすすぎ・乾燥工程で、すすぎ落とすことが出来る。さらに、水切り工程及び乾燥工程に供せられる物品の材質はとくに限定する必要はないが、例えば、ガラス、セラミックス、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、真鍮その他各種合金が挙げられる。これらの物品に対して腐食を防止したり溶剤の分解を抑止する目的で本発明のフッ素化ケトン含有水切り溶剤に各種の安定剤、例えばニトロメタン等のニトロアルカン類、1,4−ジオキサン等の環状エーテル類、1,2−ブチレンオキシド−エポキシアルカン類、ベンゾトリアゾール類、エチレンジアミン等のアミン類を加えることができる。 【0014】 【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細する。勿論、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。 【0015】実施例1〜1525mlのメスシリンダーにパテントブルーで着色した水3ccを入れ、その上から直径0.3mmのガラスビーズ15g(約8cc)を静かに入れた。5分間静置した後、水切り剤をメスシリンダーの25mlの標線まで注ぎ込み、注入直後から5分後までに水切り剤の上部に浮遊した着色水の量を測定し、これを初めに加えた着色水の量(3cc)で割ることにより付着水除去率を算出した。この方法で得られた結果を表−1に示した。 【0016】比較例1〜2HFE単独で実施例1〜15と同様の方法で試験を行ったところ、着色水は全く上昇しなかった。 【0017】比較例3〜4特開平11−209798号公報の記載内容を参考に、HFE(59.7重量%)と1,2−ジクロロエチレン(39.8重量%)の混合溶媒に界面活性剤としてジメチルジラウリルアンモニウムブロミド(0.5重量%)添加した組成物を水切り剤として実施例1〜15と同様の方法で試験を行ったところ、付着水除去率はそれぞれ93%および87%であった。 【0018】比較例5比較例4から1,2−ジクロロエチレンを除いた条件すなわち、HFE(99.5重量%)に界面活性剤としてジメチルジラウリルアンモニウムブロミド(0.5重量%)を添加した組成物を水切り剤として同様の試験を行った結果、付着水除去率は20%であった。 【0019】 【表1】
【0020】なお、表1に示した符号の具体的内容は以下の通りである。 HFE−1:ジフルオロメチル 2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエーテルHFE−2:1,1,2,2−テトラフルオロエチル 2,2,2−トリフルオロエチル エーテルHFE−3:ジフルオロメチル 2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル エーテルHFE−4:メチル ノナフルオロブチル エーテルS−1:ペルフルオロヘキサン酸のn−ヘキシルアミン塩S−2:ペルフルオロヘキサン酸のn−オクチルアミン塩S−3:ペルフルオロオクタン酸のn−ブチルアミン塩S−4:ペルフルオロオクタン酸のn−ヘキシルアミン塩S−5:ペルフルオロオクタン酸のn−オクチルアミン塩S−6:ジメチルジラウリルアンモニウムブロミド【0021】表−1から明らかなように、該HFEと含フッ素界面活性剤からなる水切り剤は、優れた水切り性能を有していることがわかる。また、既に報告されている特許(特開平11−209798号公報)を参考に、HFEと1,2−ジクロロエチレンの混合溶媒に界面活性剤としてジメチルジラウリルアンモニウムブロミドを添加した組成物を水切り剤として用いた場合、付着水除去率良好であったが、1,2−ジクロロエチレンが無い場合は極端に水切り性能が低下したことから、この界面活性剤には、1,2−ジクロロエチレンが必要であることがわかる。一方、本発明の溶剤では、このような塩素系溶剤を混合することなく溶剤としてはHFEのみで良好な結果を得ることが出来た。 【0022】 【発明の効果】本発明の水切り溶剤は、不燃性で、被洗浄物からの水分除去能力が優れており、従来使用されてきたCFC−113と同様な使用方法で付着水の除去を効率よく行うことが出来る。また、本発明の水切り溶剤は、塩素原子を含まないため、オゾン層破壊の心配がなく、水素原子を含む為、大気中の水酸ラジカルとの反応性が高く対流圏で分解され易い為、地球温暖化に対する影響が小さいという利点を有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】301021533 【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所 【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成株式会社 【識別番号】000000044 【氏名又は名称】旭硝子株式会社 【識別番号】000157119 【氏名又は名称】関東電化工業株式会社 【識別番号】000002004 【氏名又は名称】昭和電工株式会社 【識別番号】000002200 【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社 【識別番号】000002853 【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社 【識別番号】000003034 【氏名又は名称】東亞合成株式会社 【識別番号】000174851 【氏名又は名称】三井・デュポンフロロケミカル株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年1月15日(2002.1.15) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−205201(P2003−205201A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月22日(2003.7.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−6167(P2002−6167) |
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