| 【発明の名称】 |
排気ガス浄化方法および難分解性ハロゲン化合物分解処理施設 |
| 【発明者】 |
【氏名】神山 昌士 【住所又は居所】新潟県中頸城郡中郷村大字藤沢950 日本曹達株式会社二本木工場内
【氏名】相羽 孝弘 【住所又は居所】新潟県中頸城郡中郷村大字藤沢950 日本曹達株式会社二本木工場内
【氏名】大塚 哲郎 【住所又は居所】新潟県中頸城郡中郷村大字藤沢950 日本曹達株式会社二本木工場内
|
| 【要約】 |
【課題】難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを完全に浄化する排気ガス浄化方法、及び該排気ガスの浄化方法の実施に好適な難分解性ハロゲン化合物を容器から抜き出し、該容器を洗浄し、さらには難分解性ハロゲン化合物の分解処理する施設を提供する。
【解決手段】難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスと吸収剤と接触させることにより、前記排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物を前記吸収剤に吸収させる吸収工程と、前記吸収工程により処理された排気ガスをコンデンサーにより冷却する冷却工程と、及び前記コンデンサーにより冷却された排気ガスを活性炭と接触させる活性炭処理工程とを有する排気ガス浄化方法、及び該排気ガス浄化方法の実施に好適な難ハロゲン化合物の分解処理施設。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスと吸収剤と接触させることにより、前記排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物を前記吸収剤に吸収させる吸収工程と、前記吸収工程により処理された排気ガスをコンデンサーにより冷却する冷却工程と、及び前記コンデンサーにより冷却された排気ガスを活性炭と接触させる活性炭処理工程とを有する排気ガス浄化方法。 【請求項2】前記冷却工程と活性炭処理工程との間に、前記コンデンサーにより冷却された排気ガスをミストセパレーターに通過させる工程をさらに有する請求項1に記載の排気ガス浄化方法。 【請求項3】前記排気ガスが、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応槽から発生する排気ガスである請求項1又は2に記載の排気ガス浄化方法。 【請求項4】前記吸収剤として、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に使用可能な溶剤を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の排気ガス浄化方法。 【請求項5】難分解性ハロゲン化合物を吸収した吸収剤を回収し、該吸収剤に含まれる難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう工程をさらに有する請求項1〜4のいずれかに記載の排気ガス浄化方法。 【請求項6】難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物の前処理を行なう前処理設備と、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応設備と、前記脱ハロゲン化反応により生成した反応生成物の後処理を行なう後処理設備と、及び前記分解反応設備から発生する排気ガスを浄化する排気ガス浄化設備とを有する難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設であって、前記排気ガス浄化設備が、難分解性ハロゲン化合物を吸収する吸収剤が充填され、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを該吸収剤と接触させることにより、前記排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物を前記吸収剤に吸収させる吸収塔と、前記吸収塔を通過した排気ガスを冷却するコンデンサーと、及び活性炭が充填され、前記コンデンサーにより冷却された排気ガスを活性炭と接触させる活性炭充填塔とを有する難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設。 【請求項7】前記排気ガス浄化設備が、前記コンデンサーと活性炭充填塔との間にミストセパレーターをさらに有するものである請求項6に記載の難分解性ハロゲン化合物の分解処理設備。 【請求項8】前記吸収塔が、前記分解処理設備にて行なう難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に使用可能な溶剤が充填され、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを前記溶剤と接触させることにより、前記排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物を前記溶剤に吸収させるものである請求項6又は7に記載の難分解性ハロゲン化合物の分解処理設備。 【請求項9】難分解性ハロゲン化合物を吸収した吸収剤を前記吸収塔から回収し、前記分解反応設備にて、該吸収剤に含まれる難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう請求項6〜9のいずれかに記載の難分解性ハロゲン化合物の分解処理設備。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ塩化ビフェニル(PCB)等の難分解性ハロゲン化物を含有する排気ガスの浄化方法、及び難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設に関する。 【0002】 【従来の技術】ポリ塩化ビフェニル(PCB)等の難分解性ハロゲン化合物は、一般的に化学的に安定であり、自然環境中で容易に分解されない(本発明では、かかるハロゲン化合物を「難分解性ハロゲン化合物」という。)。また、これらは動植物体内に取り込まれて、蓄積・濃縮され、深刻な悪影響を与えるため、今日ではその製造が禁止されているが、未だ、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物が大量に保管等されているのが現状である。従って、難分解性ハロゲン化合物が保管中に紛失、漏出等によって環境が汚染されるおそれを防止する必要があり、これらの難分解性ハロゲン化合物の無害化処理の促進が重要な課題となっており、難分解性ハロゲン化合物の無害化処理技術の開発も急速な進歩を遂げている。 【0003】かかる難分解性ハロゲン化合物等の無害化処理技術としては、例えば、「PCB処理技術ガイドブック」(編集:財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団、(株)ぎょうせい、1999年)には、(1)PCBを水素供与体、添加剤及びアルカリを添加した後、窒素雰囲気下で、常圧で300〜350℃に加熱して脱塩素化処理を行なう方法、(2)PCBを水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル等の非プロトン性極性溶媒の存在下でPCB中の塩素を食塩等のアルカリ塩とする方法、(3)PCBをパラジウム/カーボン触媒の存在下で、水素ガスにより常圧で脱塩素化する方法、(4)PCBとカリウム ターシャリーブトキシド等の有機金属化合物とを加熱反応させる方法、等が記載されている。 【0004】難分解性ハロゲン化合物等の無害化処理は、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物を前処理する前処理設備と、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応設備と、反応混合物の後処理を行なう後処理設備を有する難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設で行なわれている。また、前記前処理施設は、容器内に収納されている難分解性ハロゲン化合物を容器内から抜き出し、容器を洗浄する工程をも含むものである。 【0005】前記難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応設備等からは、反応生成物のガスや蒸散した難分解性ハロゲン化合物等の環境汚染物質(以下、「難分解性ハロゲン化合物等」という。)を含む排気ガスが発生する。環境汚染物質を含む排気ガスがそのまま外部に排出されると自然環境を再汚染することになるため、この排気ガスから難分解性ハロゲン化合物等を除去する必要がある(以下、この操作を「浄化」という。)。特に、難分解性ハロゲン化合物は規制対象物質であり、微量でも外部に漏出しないように、排気ガスの浄化を完全に行なう必要がある。 【0006】また、トランス、コンデンサー等の容器に収納されている難分解性ハロゲン化合物をその容器から抜き出し洗浄するためには、例えば、真空加熱炉を使用する方法や、洗浄液を使用し容器内部を洗浄する方法などがある。いずれの方法においても、容器処理装置近辺からは難分解性ハロゲン化合物の蒸気が発生するため、局所排気装置で換気し、その浄化が必要となる。また、真空加熱炉を使用する場合には、さらに真空ポンプの排気の浄化も必要になる。 【0007】これらの排気ガスを浄化する方法としては、従来、分解反応設備に活性炭を充填した活性炭充填塔を連結して設置し、該活性炭充填塔内を排気ガスを通過させることにより、難分解性ハロゲン化合物等を吸着除去する方法が知られている(前掲、「PCB処理技術ガイドブック」等参照。)。 【0008】しかしながら、この方法では、活性炭の吸着量が飽和した場合には活性炭を新しいものに交換する必要があるが、使用済の活性炭には難分解性ハロゲン化合物が相当量吸着しているので、大量の使用済活性炭の処理を行なう場合には、作業者が難分解性ハロゲン化合物を体内に取り込む危険が伴う。また、使用済活性炭をそのまま難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に供することができないため、難分解性ハロゲン化合物を取り出して、再度脱ハロゲン化処理を行なう必要があり、活性炭の交換及び使用済活性炭の処理作業が煩雑となっていた。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであって、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを完全に浄化する排気ガス浄化方法、及び該排気ガスの浄化方法の実施に好適な難分解性ハロゲン化合物を容器から抜き出し、該容器を洗浄し、さらには難分解性ハロゲン化合物の分解処理する施設を提供することを課題とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題の解決を図るべく鋭意検討した結果、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを、先ず吸収剤と接触させ、次いでコンデンサーで冷却し、さらに活性炭と接触させることにより、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを完全に浄化できることを見出した。また、用いる吸収剤として難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に使用可能なものを用いると、難分解性ハロゲン化合物を吸収した吸収剤を回収し、該吸収剤に含まれる難分解性ハロゲン化合物を脱ハロゲン化反応に供することにより、外部への流出が規制されている難分解性ハロゲン化合物を、完全にかつ効率よく無害化処理することができることを見出し、本発明を完成するに到った。 【0011】かくして本発明の第1によれば、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスと吸収剤と接触させることにより、前記排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物を前記吸収剤に吸収させる吸収工程と、前記吸収工程により処理された排気ガスをコンデンサーにより冷却する冷却工程と、及び前記コンデンサーにより冷却された排気ガスを活性炭と接触させる活性炭処理工程とを有する排気ガス浄化方法が提供される。 【0012】本発明の浄化方法においては、前記冷却工程と活性炭処理工程との間に、前記コンデンサーにより冷却された排気ガスをミストセパレーターに通過させる工程をさらに有するのが好ましく、前記排気ガスが、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応槽から発生する排気ガスであるのが好ましい。 【0013】また、本発明の浄化方法においては、前記吸収剤として、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に使用可能な溶剤を用いるのがより好ましく、難分解性ハロゲン化合物を吸収した吸収剤を回収し、該吸収剤に含まれる難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう工程をさらに有するのがより好ましい。 【0014】本発明の第2によれば、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物の前処理を行なう前処理設備と、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応設備と、前記脱ハロゲン化反応により生成した反応生成物の後処理を行なう後処理設備と、及び前記分解反応設備から発生する排気ガスを浄化する排気ガス浄化設備とを有する難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設であって、前記排気ガス浄化設備が、難分解性ハロゲン化合物を吸収する吸収剤が充填され、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを該吸収剤と接触させることにより、前記排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物を前記吸収剤に吸収させる吸収塔と、前記吸収塔を通過した排気ガスを冷却するコンデンサーと、及び活性炭が充填され、前記コンデンサーにより冷却された排気ガスを活性炭と接触させる活性炭充填塔とを有する難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設が提供される。 【0015】本発明の分解処理施設においては、前記排気ガス浄化設備が、前記コンデンサーと活性炭充填塔との間にミストセパレーターをさらに有するものであるのが好ましく、前記吸収塔が、前記分解処理設備にて行なう難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に使用可能な溶剤が充填され、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを前記溶剤と接触させることにより、前記排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物を前記溶剤に吸収させるものであるのがより好ましい。 【0016】また、本発明の分解処理施設においては、難分解性ハロゲン化合物を吸収した吸収剤を前記吸収塔から回収し、前記分解反応設備にて、該吸収剤に含まれる難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なうものであるのが好ましい。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の排気ガスの浄化方法及び難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設を詳細に説明する。本発明の対象とする難分解性ハロゲン化合物は、一般的に化学的に安定であり、自然環境中で容易に分解されないハロゲン化合物である。難分解性ハロゲン化合物としては、例えば、PCB、ダイオキシン類、ポリ塩素化ベンゾフラン類、ポリ塩素化ベンゼン、DDT等の芳香族ハロゲン化合物;BHC等の脂環族ハロゲン化合物;等が挙げられる。 【0018】難分解性ハロゲン化合物の無害化処理は、一般的には、難分解性ハロゲン化合物を脱ハロゲン化反応させることにより行なわれる。難分解性ハロゲン化合物の無害化処理は、■難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物を受入れし、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物を脱ハロゲン化反応に供する状態にする前処理設備と、■難分解性ハロゲン化合物を脱ハロゲン化反応させる分解反応設備と、及び■脱ハロゲン化反応生成物の後処理を行なう後処理設備とを有する難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設で行なわれる。また、■の前処理工程には、容器内に収納されている難分解性ハロゲン化合物を抜き出し、該容器を洗浄する工程が含まれていてもよい。 【0019】1)排気ガスの浄化方法本発明の排気ガスの浄化方法は、吸収工程と、冷却工程と及び活性炭処理工程とを有する。本発明の排気ガスの浄化方法は、難分解性ハロゲン化合物を含むガスであれば、上記■の前処理設備、■の分解反応設備、■の後処理設備のいずれかから排出される排気ガスも浄化の対象とすることができる。 【0020】本発明の排気ガスの浄化方法は、例えば、図1に示す排気ガス浄化設備1により実施することができる。図1に示す排気ガス浄化設備1は、分解反応槽13から発生する排気ガスを浄化するものであり、基本的には、吸収剤が充填された吸収塔2、コンデンサー3、ミストセパレーター4及び活性炭が充填された活性炭充填塔5とからなる。 【0021】図1に示す排気ガス浄化設備1においては、次のようにして排気ガスの浄化が行なわれる。 (a)分解反応槽から発生した排気ガスは、先ず、コンデンサー6により冷却され、溶媒蒸気が液化(凝縮)して、分解反応槽に戻される。 (b)次いで、シールトラップ7を通過して、吸収塔2へ送られる。シールトラップ9は、排気ガスの逆流を防止するために設置される。 コンデンサー6及びシールトラップ7は、本発明においては必須ではないが、それぞれ設置されているのが好ましい。 【0022】(c)吸収塔2に送り込まれた排気ガスは、吸収剤と接触して、排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物等が吸収除去される。使用できる吸収剤としては、難分解性ハロゲン化合物等を吸収する物質であれば特に制限されないが、吸収効率及び吸収剤の交換作業の効率化等の観点から、液状の吸収剤を使用するのが好ましい。 【0023】液状の吸収剤の中でも、本発明においては、難分解性ハロゲン化合物等に対して溶解力に優れ、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう際に反応を妨害しない溶剤を用いるのがより好ましく、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう際に用いられる溶剤を使用するのがさらに好ましい。難分解性ハロゲン化合物を吸収した吸収剤をそのまま脱ハロゲン化反応の溶剤として使用して、吸収した難分解性ハロゲン化合物を脱ハロゲン化反応に供することができるからである。 【0024】液状の吸収剤の具体例としては、n−ヘキサン、n−ヘプアン、n−オクタン、n−デカン、ケロシン、デカリン、流動パラフィン、電気絶縁油(例えば、JIS C2320−1993に記載の電気絶縁油)、重油(例えば、JIS K2205に記載の重油)等の炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1,3−ジメチルイミダゾリン、スルホラン、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル等の非プロトン性極性溶剤;及びこれらの混合物;等が挙げられる。これらの中でも、比較的蒸気圧が低く、引火点が高く、かつ、難分解性ハロゲン化合物の吸収能に優れることから、n−デカン、デカリン、流動パラフィン等の飽和炭化水素;ケロシン、電気絶縁油、重油等の鉱油類;及びこれらの混合物の使用が好ましい。 【0025】吸収塔2を用いる吸収工程の一例を図2に示す。図2中、9は排気ガスの流れを、10は吸収剤の流れをそれぞれ示す。ここでは、吸収剤としてトランス油を使用している。トランス油は全体で5〜10リットルであり、その流速は通常5リットル/min〜30リットル/分である、トランス油の流れはダイアフラムポンプ11によって作り出され、その流量は流量計12によって制御されている。 【0026】また、トランス油の流れ良さを確保するためにヒーター(図示を省略)によってトランス油は25〜30℃に加熱して,用いるのが好ましい。吸収塔2は、吸収剤と排気ガスとを接触させることにより、排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物等を吸収剤に吸収させて排気ガスを浄化させる装置である。吸収塔2の大きさは特に制限されず、浄化する排気ガスの流量等によって適宜設定することができる。図2に示す吸収塔2では、内径が80mm、高さが220mm程度であるが、塔の直径はガスの流量により種々の大きさのものを使用できる。また、吸収塔2の吸収剤の充填量及びその流量も浄化処理するガスの流量により適宜設定することができる。例えば、処理する排気ガス量が20リットル/分程度であるなら、塔の直径は80mm、吸収剤の流量は5L/時間から30L/時間程度である。 【0027】また、吸収塔2の中段部には充填物14が充填された充填部8が設けられており、該充填物の細かな隙間をトランス油がゆっくりと流れる間に排気ガスがトランス油と十分に接触するようになっている。排気ガスと吸収液の接触が十分であれば充填物14の種類に制限はない。例えば、スルーザーパッキング、スルーザーラボパッキングのような金網を組み上げることにより作成された帰巣性充填物や、ラシヒリング、ペルルサドルのような不規則性充填物等を用いることができる。 【0028】難分解性ハロゲン化合物等の吸収量が所定濃度に達した場合には、新しい吸収剤を交換する必要がある。図2に示す吸収塔2では、吸収剤であるトランス油を閉鎖系で循環使用するものであるため、分解反応設備の運転を停止させた後、吸収剤の交換を行なう。また、例えば、図2に示すトランス油の循環流路のいずれかの場所にジョイントを結合して、そのジョイントを介して新しい吸収剤(絶縁油)を送り込みながら、一方の側から使用済の吸収剤を抜き出すことにより、吸収剤の交換を行なうことができる。この方法によれば、分解反応設備の運転を継続しながら、吸収剤の交換が可能である。 【0029】使用済の吸収剤は、難分解性ハロゲン化合物を含有する。したがって、このものを脱ハロゲン化反応によって無害化処理する必要がある。使用済の吸収剤は、直接分解処理設備に移送して難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に供してもよく、受入れ槽に移送して貯蔵し、一定量ずつをまとめて脱ハロゲン化反応に供することもできる。また、使用済の吸収剤を貯蔵する槽を別個設置して、その槽に使用済の吸収剤を移送して貯蔵し、一定量ずつを脱ハロゲン化反応に供することもできる。この場合、吸収剤として、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に使用可能な溶剤を使用すれば、使用済の吸収剤をそのまま脱ハロゲン化反応に供することができる。したがって、吸収剤と難分解性ハロゲン化合物との分離工程が不要となり、作業効率及び分離工程における難分解性ハロゲン化合物の再汚染の危険を回避できる。 【0030】(d)吸収工程を経た排気ガスは冷却工程に送られる。冷却工程では、排気ガスをコンデンサー3により10℃から−10℃、好ましくは3℃から−10℃に急冷して、排気ガスに含まれる気体成分を液化(凝縮)させる。コンデンサー3としては、通常のコンデンサーに比して冷却温度が低く、かつ急激に冷却することができる深冷コンデンサーの使用が好ましい。深冷コンデンサーとしては特に制限されず、公知のものを使用することができる。 【0031】前記吸収工程において、ほとんどの難分解性ハロゲン化合物等は排気ガス中から吸収除去されるが、微量の難分解性ハロゲン化合物等が吸収されずに排気ガス中に残存する場合がある。吸収剤と接触させた排気ガスをコンデンサー3を使用して冷却することにより、微量の難分解性ハロゲン化合物等を凝縮・除去することができる。 【0032】即ち、吸収工程を経た排気ガスの温度は、通常20〜30℃に温められているが、コンデンサー3を通過させることによって、10〜−10℃、好ましくは3℃から−10℃に冷却され、排気ガス中の殆どのガス成分が液化し、凝縮する。凝縮した液体は凝縮器(図示を省略)により捕集される。凝縮器に捕集された難分解性ハロゲン化合物等は分解反応設備へ送られ、脱ハロゲン化反応に供せられる。 【0033】(e)コンデンサー3を通過した排気ガスはミストセパレーター4に送られる。ミストセパレーター4は、ミスト状物(液滴状物)を気体から除去するための分離装置である。コンデンサー3により冷却された排気ガスをミストセパレーター4を通過させることにより、コンデンサー3の凝縮器に回収されなかった微粒子状のミスト状物を気体成分から完全に分離することができる。ミストセパレーターの設置は省略することができるが、活性炭の寿命を長くする観点から設置するのが好ましい。 【0034】(f)次いで、ミストセパレーター4を通過した排気ガスを活性炭が充填された活性炭充填塔5内に通過させることにより、活性炭による吸着処理を行なう。排気ガスを活性炭と接触させる温度は、通常0℃から30℃である。また、活性炭の使用量は特に制限されず、排気ガスの流量等に応じて使用量適宜を設定することができる。 【0035】活性炭充填塔5に充填する活性炭としては特に制限はなく、ヤシ殻系、木質系、石炭系のいずれも用いることができるし、粒状炭や破砕炭を粉砕して使用することもできる。活性炭は、例えば、原料を不活性カス中、800℃以下の温度で炭素化したのち、800〜1,000℃で水蒸気、炭酸ガス等を用いて酸化、賦活する(ガス賦活法又は水蒸気賦活法と呼ばれる。)ことによって製造することができる。前記賦活過程では炭素化過程で生じた炭素材の表面がゆっくりと、しかも選択的に酸化され、吸着に適した細孔が生成する。また、活性炭は、塩化亜鉛等の化学薬品を原料に混合したのち、不活性ガス中で炭素化する方法によっても製造することができる。 【0036】本発明の浄化方法によれば、従来の活性炭のみによる排気ガス浄化方法に比して、活性炭の使用量を大幅に軽減することができる。また、活性炭に吸着される難分解性ハロゲン化合物は極微量であるため、活性炭の寿命(使用可能時間)も長くなる。従って、従来のように、頻繁に活性炭を交換する必要がなく、交換を要する活性炭の量も大幅に減少するため、作業中に活性炭に吸着された難分解性ハロゲン化合物を体内に取り込む危険性が少なくなっている。 【0037】(g)以上のようにして浄化された排気ガスは外部に放出される。本発明の浄化方法は、特に難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応槽から発生する排気ガスを浄化の対象とする。従って、水素ガス等の可燃性ガスが排気ガスに含まれる場合があるので、逆火防止器(図示を省略)等の安全装置を設置するのが好ましい。以上のようにして難分解性ハロゲン化合物等を含有する排気ガスを安全に浄化することができる。 【0038】2)難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設本発明に好適な難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の概要を図3に示す。図3に示す難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設は、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物含有物の前処理設備、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応設備及び後処理設備からなり、各設備には、各設備から発生する排気ガスを浄化する排気ガス浄化設備がさらに設置されている。 【0039】(1)前処理設備前処理設備では、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物を受入れし、その種類に応じて分別が行なわれる。難分解性ハロゲン化合物の含有物は、その種類により難分解性ハロゲン化合物の濃度や部材の性状が異なる。例えば、変圧器等の電気機器の場合、メーカー、型番号等により構造や材質が異なり、それらに応じて以後の工程設計を行なう必要がある。 【0040】前処理設備に受入れられる難分解性ハロゲン化合物の含有物としては、難分解性ハロゲン化合物を含有する廃棄物が挙げられる。その具体例としては、難分解性ハロゲン化合物含有熱媒体、難分解性ハロゲン化合物含有電気絶縁体、難分解性ハロゲン化合物使用製品製造用の難分解性ハロゲン化合物、難分解性ハロゲン化合物混入汚染油、難分解性ハロゲン化合物使用機器洗浄剤廃液等の廃難分解性ハロゲン化合物及び難分解性ハロゲン化合物を含む廃油類;廃感圧紙、電気機器内の絶縁紙、清掃時のワイプ紙、電気機器内のスペーサー、漏電場所の建材、コンデンサ素子用PPフィルム、シーラント材、使用済み保護具類、電線の被覆材、絶縁テープ類、難燃樹脂、電気機器内の絶縁物質、トランス・コンデンサ等の電気機器、電気機器容器、発熱交換器、コンデンサ素子用アルミ、電気機器内の各種留め金具、トランス巻線用銅線等の難分解性ハロゲン化合物含有の紙、木材、合成樹脂又は金属類;難分解性ハロゲン化合物を含有する難分解性ハロゲン化合物処理物;難分解性ハロゲン化合物入りコンデンサ;難分解性ハロゲン化合物入りトランス;等が挙げられる。 【0041】これらの中でも、難分解性ハロゲン化合物を多く含むものとして、難分解性ハロゲン化合物を含むケロシン、デカリン、電気絶縁油(JIS C2320−1993に記載の電気絶縁油)、重油(JIS K2205に記載の重油)、潤滑油及びこれらの混合物等が挙げられる。具体的には、難分解性ハロゲン化合物含有のトランス又はコンデンサー等である。 【0042】受入れした難分解性ハロゲン化合物の含有物の解体、切断、破断、分別等を行ない、これらの解体、切断、破断し、分別した物から難分解性ハロゲン化合物を回収するための洗浄が行なわれる。洗浄方法としては、浸漬法、液循環法、超音波法、バブリング法などが挙げられる。用いられる洗浄剤としては、洗浄力が優れ、火災、爆発の危険性が少なく、毒性が低く、洗浄後の乾燥が容易であること等が必要である。洗浄により回収された難分解性ハロゲン化合物は、洗浄剤とともに保管容器に保管され、必要に応じて洗浄剤との分離を行なって、次の脱ハロゲン化反応工程に送られる。 【0043】また、難分解性ハロゲン化合物を含有するトランス又はコンデンサーの場合には、難分解性ハロゲン化合物の含有物は密閉容器に封入されている。そのため、上記した洗浄等による回収法は作業効率上好ましくない。そこで、この場合には、トランス又はコンデンサーから難分解性ハロゲン化合物を抜き出す作業を行なうのが好ましい。 【0044】例えば、PCB含有のトランス(又はコンデンサー)の場合には、トランス(又はコンデンサー)を固定し、該トランス(又はコンデンサー)の所定の位置にドリル等で穴を明け、該穴を真空ラインに連結し、トランス(又はコンデンサー)内を加圧しながら該穴から難分解性ハロゲン化合物を吸引することにより、難分解性ハロゲン化合物を取り出すことができる。 【0045】また、上記のようにして難分解性ハロゲン化合物を取り出したトランス又はコンデンサ内部には、繊維等に染み込んだ難分解性ハロゲン化合物が残存している場合がある。この場合には、例えば、内部を洗浄剤により洗浄したり、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物を含有する部材を真空加熱炉に入れ、該真空加熱炉内を0.01〜50mbarに減圧にし、減圧を継続しながら前記部材を250℃から650℃に加熱して、前記部材を炭化させるとともに難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物を含有する絶縁油を蒸発させ、前記真空加熱炉からの排気系上で凝縮することにより、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物を含有する絶縁油を回収することができる。 【0046】また、以上の前処理工程は、難分解性ハロゲン化合物の再汚染を防止するために、密閉された空間内において行ない、該空間から発生する排気ガスは、排気ガス浄化設備により浄化した後に屋外に排出するようにするのが好ましい。浄化方法としては、例えば、活性炭を吸着した活性炭充填塔内を用いる方法や、前記図2に示した排気ガス浄化設備を用いる方法等が挙げられる。排気ガス浄化設備で回収された難分解性ハロゲン化合物は、次の脱ハロゲン化工程へ送られる。 【0047】(2)難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応設備分解反応設備は、一般的には、難分解性ハロゲン化合物及び薬剤(アルカリ)を、所望により活性剤及び溶媒等とともに反応槽に入れ、所定温度で、所定時間、撹拌装置を用いて反応槽内を撹拌することにより、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行う設備である。 【0048】分解反応設備としては特に制限はなく、種々の難分解性ハロゲン化合物の分解反応方法に適用できるものが挙げられる。具体的には、■アルカリ金属分散体を用いて難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なうアルカリ金属分散体法を使用する分解処理設備、■難分解性ハロゲン化合物に水素供与体、添加剤及びアルカリを添加した後、窒素雰囲気下、常圧で加熱するアルカリ触媒分解法(BCD法)を使用する分解処理設備、■難分解性ハロゲン化合物を、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル等の非プロトン性極性溶媒中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリと反応させる化学抽出分解法を使用する分解処理設備、■難分解性ハロゲン化合物に、カリウム ターシャリーブトキシド等の有機アルカリ金属を添加し、加熱することより、脱ハロゲン化反応を行なう有機アルカリ金属法を使用する分解処理設備、■難分解性ハロゲン化合物をパラジウム/カーボン等の水素化触媒の存在下、水素ガス中、常圧で加熱する触媒水素化脱塩素化法(Pd/C法)を使用する分解反応設備等が例示される。 【0049】これらの中でも、分解反応設備としては、難分解性ハロゲン化合物に由来する化合物の物質収支が明確であり、有害物質を副生せず、分解後の後処理が容易であること等の理由から、前記■のアルカリ金属分散体法を使用する分解反応設備が好ましく、アルカリ金属分散体として金属ナトリウム分散体を用いる分解処理設備であるのがより好ましい。 【0050】分解処理設備は、通常、撹拌装置付きの反応槽、反応温度制御装置等(図示を省略)からなる。撹拌装置は、少なくとも撹拌翼と撹拌モータからなり、撹拌翼の回転速度を自由に調節でき、難分解性ハロゲン化合物と必要な薬剤、触媒、溶剤等を十分に撹拌でき、所定の分解反応を安定的かつ均一に行わせる撹拌装置を用いるのが好ましい。温度制御装置は、反応槽内の温度(分解反応の温度)を所定温度に調節する装置であり、難分解性ハロゲン化合物の濃度に応じて定められた分解反応設備の運転管理基準に従って、反応前から反応終了までを通じて、温度、圧力等が基準の範囲内で適切かつ安全な運転が確保されるように制御する機能を有するのが好ましい。 【0051】また、上記したいずれの脱ハロゲン化反応方法による場合にも、脱ハロゲン化反応を安全に行なうために、脱ハロゲン化反応は窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。 【0052】上述したいずれの脱ハロゲン化反応を使用する分解反応槽からは、難分解性ハロゲン化合物等を含む排気ガスが発生する。従って、この排気ガスを完全に浄化する必要がある。 【0053】浄化方法としては本発明の浄化方法を用いる。具体的には、前記図2に示した排気ガス浄化設備を用いる方法等が挙げられる。この場合には、図3に示す排気ガス浄化装置は、分解反応槽と連結して設置される。 【0054】(3)後処理設備前記分解反応設備において難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なって得られる反応生成物は後処理設備に送られる。後処理設備は、反応生成物中に含まれる難分解性ハロゲン化合物の分解物、未反応の薬剤、活性化剤、溶剤等を分離し、回収を行なって、最終的に廃棄又は再利用可能な状態にする設備である。 【0055】後処理設備としては、具体的には、遠心分離機、ろ過装置、中和洗浄装置、分液装置、蒸留装置等が挙げられる。そして、これらの装置を用いて、反応生成物から固形分の分離及び回収、過剰のアルカリ分の分解、溶媒の回収、生成塩の分離、触媒の分離等の作業が行なわれる。 【0056】例えば、高濃度の難分解性ハロゲン化合物含有物をアルカリ金属分散体を用いて脱ハロゲン化反応した反応生成物には、絶縁油等の溶媒及び固形物(ポリフェニレン型重合体、絶縁油、水酸化ナトリウム、食塩、水分等を含む。)が含まれる。後処理設備では、固液分離する遠心分離機、洗浄装置、分液装置等からなり、これらの装置を使用して、油分と固形物を分離する作業が行なわれる。 【0057】また、低濃度の難分解性ハロゲン化合物の含有物を脱ハロゲン化反応させた場合には、反応生成物に水を加えることにより、ビフェニル類、食塩水及び絶縁油の混合物が得られる。次いで、前記混合物を洗浄し静置した後、油分、タール分及び排水に分液装置を用いて分液し、排水を蒸発装置により水分を蒸発させ、得られた固形分を回収し、蒸発した水分を水分回収装置によりプロセス水として回収する作業が行なわれる。 【0058】この場合、水洗に用いられたアルカリ性洗浄液から水分及びアルカリ成分を回収し、このものを、再度を前記難分解性ハロゲン化合物の分解物の洗浄液として再利用することができる。また、低濃度の難分解性ハロゲン化合物含有物をアルカリ金属分散体を用いて分解処理する場合にはアルカリ金属分散体及び溶媒のほかに活性化剤を添加するが、この活性剤として、前記難分解性ハロゲン化合物の分解物の洗浄に使用した水溶液を用いることもできる。 【0059】このようにすることで、大規模な排水設備を用いることなく短工程で分解後の後処理を行なうことができ、反応生成物に用いられる高極性成分を洗浄除去することができ、かつ、アルカリ性洗浄液を濃縮濃度を調整することで、アルカリ成分を裁量することができるので好ましい。 【0060】(4)その他の設備また、本発明の難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設においては、図示を省略しているが、難分解性ハロゲン化合物の分解反応が完了し、難分解性ハロゲン化合物の含有量が一定の基準値以下に達したのを確認するための測定設備がさらに設置されているのが好ましい。かかる測定設備としては、例えば、ECD−GC(エレクトロンキャプチャー検出器付きガスクロマトグラフィー)、GC−MS(ガスクロマト−マススペクトル測定装置)等の難分解性ハロゲン化合物の含有量を測定する装置や、反応開始から所定時間経過した時点で、反応混合物の一部を抜き取り(サンプリング)、このものを精製して、上記測定装置により測定可能状態にするためのシリカゲルカラム等の分離装置や精製装置が挙げられる。 【0061】 【実施例】実施例1図3に示す難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設を使用してPCB含有のトランス油の無害化処理を行なった。先ず、前処理設備にて、廃棄されたトランスから抜油してKC−50048mg/kg、TCB11mg/kg、水54mg/kg含有のトランス油を4400kgを得た。次いで、このPCB含有のトランス油4400kgを分解反応槽に入れ、内部を窒素置換した後、内温が60℃になるまで加熱した。そこへ、金属ナトリウム分散体(金属ナトリウム11kgを含む。)65kgを入れ、水を4.31kg添加して、60〜70℃で2時間撹拌して脱ハロゲン化反応を行なった。 【0062】分解反応槽から発生した排気ガスは、図4に示す反応排気ガス浄化設備に送り込み、浄化を行なった。図4に示す反応排気ガス浄化設備は、図2に示す浄化設備と同様であり、ベントコンデンサー16、空槽15、吸着塔17、深冷コンデンサー18、ミストセパレーター19及び活性炭充填塔20とからなる。 【0063】下記A〜Eポイントにおける排気ガスの分析結果を第1表に示す。 Aポイント:吸収塔入口Bポイント:吸収塔出口Cポイント:コンデンサー出口Dポイント:ミストセパレータ出口Eポイント:活性炭充填塔出口【0064】排気ガスの分析は、図6に示す排気ガスサンプリング装置にて測定用サンプルを得た後、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を使用して行なった。即ち、前記A〜Eの各サンプリング口から排気ガスを第1表に示す量(採取量)を採集し、蒸留水250ml(内容積500mlのガス吸収瓶に入れたもの)中を氷冷下に通過させ、さらにXAD−2−樹脂(スチレン系樹脂吸着剤)チューブ及びジエチレングリコール(250ml)中を氷冷下に通して難分解性ハロゲン化合物以外の不純物を除去して測定用サンプルを得、このものを高分解能GC−MSを使用して分析した。 【0065】また、第1表中、略号は次の意味で用いている。 Mono−CBs:モノクロロビフェニールDi−CBs:ジクロロビフェニールTri−CBs:トリクロロビフェニールTetra−CBs:テトラクロロビフェニールPenta−CBs:ペンタクロロビフェニールHexa−CBs:ヘキサクロロビフェニールHepta−CBs:ヘプタクロロビフェニールOcta−CBs:オクタクロロビフェニールNona−CBs:ノナクロロビフェニールDeca−CBs:デカクロロビフェニールTotal−PCBs:上記Mono−CBs〜Deca−CBsの合計量【0066】 【表1】
【0067】第1表から、活性炭充填塔出口から排出される排気ガスは、ほとんど難分解性ハロゲン化合物が検出されず、排気ガスの浄化がほぼ完全に行なわれたことを示している。 【0068】次いで、得られた反応液を後処理設備に設置された加熱可能な分液装置に移送した。この分液装置の上部には、図6に示すような排気ガス浄化設備が設置されている。この排気ガス浄化設備は、図4に示す反応排気ガス浄化設備とほぼ同様の構成であって、吸収塔がない点のみ相違している。即ち、ベントコンデンサー21、深冷コンデンサー22、ミストセパレーター23及び活性炭充填塔24からなる。また、逆流を防止するために、ベントコンデンサー21と深冷コンデンサー22との間に空槽15が設置されている。 【0069】反応液を攪拌しながら、水を10.93kgを60〜70℃で1時間かけて滴下した。水の滴下終了後、さらに同温度で30分攪拌して過剰の金属ナトリウム分散体を完全に分解させた。その後、反応槽の温度を80℃まで昇温させながら、アルカリ水479.9kg(水酸化ナトリウム0.3kg含有)を添加し、30分間撹拌した。80℃前後で14.5時間静置して、処理油層と水層とに分液し、水層を分取した。分取した水層は蒸発回収した。回収量は、474.4kgであった。 【0070】水層を除いた処理油層に、水25.6kg及び前記蒸発回収した水474.4kgを添加して、80℃で1時間攪拌し、80℃で5時間静置して、処理油層と水層とに分液し、水層を分取し、処理油層を得た。この水層は、これに水酸化ナトリウムを添加して所定のアルカリ濃度になるように濃度調整を行なうことにより、反応液の洗浄用のアルカリ水として再利用することができる。 【0071】以上のようにして得られた処理油層は全体で4465.17kgであり、トランス油4440kg、水25.02kg、水酸化ナトリウム0.02kg、ビフェニル0.1kg及びベンゼン0.02kgがそれぞれ含まれていた。 【0072】また、図7に示す排気ガス浄化設備のFポイント(ミストセパレーター24の出口)及びGポイントにおける排気ガスの分析を反応排気ガスの分析と同様にして行なった。測定結果を第2表に示す。なお、第2表中の略号は、第1表と同様の意味で用いている。 【0073】 【表2】
【0074】第2表から、活性炭充填塔出口(Gポイント)から排出される排気ガスは、ほとんど難分解性ハロゲン化合物(ポリ塩化ビフェニル類)を含有しないものであった。 【0075】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを完全に浄化する排気ガス浄化方法、及び該排気ガスの浄化方法の実施に好適な難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設が提供される。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004307 【氏名又は名称】日本曹達株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目2番1号
|
| 【出願日】 |
平成13年12月7日(2001.12.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100108419 【弁理士】 【氏名又は名称】大石 治仁
|
| 【公開番号】 |
特開2003−170021(P2003−170021A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月17日(2003.6.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−374880(P2001−374880) |
|