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【発明の名称】 排ガス処理装置
【発明者】 【氏名】坂口 正美
【住所又は居所】大阪府大阪市西区靭本町2丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内

【氏名】永野 修次
【住所又は居所】大阪府大阪市西区靭本町2丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内

【氏名】大嶋 仁英
【住所又は居所】鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株式会社総合研究所内

【氏名】小山 辰雄
【住所又は居所】滋賀県八日市市蛇溝町長谷野1166番地の6 京セラ株式会社八日市工場内

【要約】 【課題】半導体製造装置等から排出される排ガスを効率よく効果的に無害化処理することができる排ガス処理装置を提供する。

【解決手段】バルクガス、パーフルオロ化合物ガス及び酸性ガスを含む排ガス1を無害化処理する排ガス処理装置は、排ガス1に含まれる酸性ガスを除去する湿式スクラバー2と、スクラバー2を通過した排ガスたる一次処理ガス11を過熱する過熱装置5と、過熱された一次処理ガス11からセラミックフィルタ31によりバルクガス12を分離除去する分離フィルタ装置3と、分離フィルタ装置3を通過した排ガスであってバルクガス12を分離除去された二次処理ガス13を熱分解して無害化する無害化装置4と、分離フィルタ装置3で分離されたバルクガス12を精製した上でバルクガス回収部61に回収するバルクガス回収装置6とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バルクガス及びパーフルオロ化合物ガスを含む排ガスを無害化処理する排ガス処理装置であって、排ガスを前処理するスクラバーと、スクラバーを通過した排ガスたる一次処理ガスからバルクガスを分離除去する分離フィルタ装置と、分離フィルタ装置を通過した排ガスであってバルクガスを分離除去された二次処理ガスを熱分解して無害化する無害化装置と、分離フィルタ装置で分離されたバルクガスを回収するバルクガス回収装置とを具備することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】 バルクガス回収装置が、分離フィルタ装置から排出されたバルクガスをこれに同伴するパーフルオロ化合物ガスを分離除去して精製すると共に当該分離除去ガスを分離フィルタ装置の一次処理ガス導入側に返戻するバルクガス精製装置を具備するものであることを特徴とする、請求項1に記載する排ガス処理装置。
【請求項3】 バルクガス精製装置が、分離フィルタ装置から排出されたバルクガスに同伴する不純物を活性炭により吸着除去するものであることを特徴とする、請求項2に記載する排ガス処理装置。
【請求項4】 バルクガス精製装置が、パーフルオロ化合物ガスより分子径の小さなガスを透過するセラミックフィルタを具備するものであることを特徴とする、請求項2に記載する排ガス処理装置。
【請求項5】 分離フィルタ装置が、パーフルオロ化合物ガスより分子径の小さなガスを透過するセラミックフィルタを具備するものであることを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載する排ガス処理装置。
【請求項6】 セラミックフィルタが、セラミック製の多孔質支持体と、その少なくとも一方の表面に多数の細孔を有するSiとZrとを含有する非晶質の酸化物からなる分離膜とを具備するものであることを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載する排ガス処理装置。
【請求項7】 スクラバーが湿式のものであり、スクラバーから分離フィルタ装置に至る一次処理ガス路には、一次処理ガスを過熱する過熱装置が配置されていることを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載する排ガス処理装置。
【請求項8】 過熱装置が、その主熱源として無害化装置の廃熱を利用する熱交換器であることを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7に記載する排ガス処理装置。
【請求項9】 無害化装置が、二次処理ガスを燃料バーナにより燃焼させて分解させる燃焼式のもの又は二次処理ガスを加熱した上で触媒により分解させる触媒燃焼式のものであることを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7又は請求項8に記載する排ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造装置等から排出される排ガスであってバルクガス及びパーフルオロ化合物ガス(Per Fluoro Compound Gases)を含む排ガスを無害化処理する排ガス処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造装置にあっては、種々のパーフルオロ化合物ガスが使用されている。例えば、ドライエッチング工程においてはエッチングガスとしてCF4等が使用されており、CVD工程においてはクリーニングガスとしてC26等が使用されている。
【0003】而して、かかるパーフルオロ化合物ガスの未反応分は、キャリアガス,パージガス等として使用されたN2,Ar,He等のバルクガスと共に、半導体製造装置から排ガスとして排出される。
【0004】ところで、排ガスに含まれるパーフルオロ化合物ガスは、バルクガスに比して極く微量であり、人体に無害なものであるが、CO2等に比して温暖化係数が極めて大きい(例えば、温暖化係数はCO2に対してCF4は6500倍、C26は9200倍またSF6は23900倍である)ことから、かかる排ガスはそのまま大気に放出させることは好ましくない。
【0005】そこで、従来からも、半導体製造装置から排出される排ガスを燃焼装置により燃焼させて、これに含まれるパーフルオロ化合物ガスを熱分解による無害化させることが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、排ガスには窒素ガス等の不活性なバルクガスが大量に含まれているため、半導体製造装置から排出された排ガスをそのまま燃焼させた場合には、燃料消費量が多くなり、燃焼装置も必要以上に大型化して、ランニングコスト,イニシャルコストが大幅に高騰する等の問題があった。
【0007】また、パーフルオロ化合物ガスのように半導体製造プロセスに必要な原料ガスではないが、当該プロセスにおいてHF,SiF4,SiHF3等の酸性ガスが副生し、排ガスに含まれることがある。したがって、かかる酸性ガスを含む排ガスを燃焼装置に導入させた場合、装置部品が腐食する虞れがあり、燃焼装置の耐久性を低下させる問題がある。
【0008】本発明は、このような問題を生じることなく、半導体製造装置等から排出される排ガスを効率よく効果的に無害化処理することができる排ガス処理装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、バルクガス及びパーフルオロ化合物ガスを含む排ガスを無害化処理する排ガス処理装置であって、特に、上記した目的を達成すべく、排ガスを前処理するスクラバーと、スクラバーを通過した排ガスたる一次処理ガスからバルクガスを分離除去する分離フィルタ装置と、分離フィルタ装置を通過した排ガスであってバルクガスを分離除去された二次処理ガスを熱分解して無害化する無害化装置と、分離フィルタ装置で分離されたバルクガスを回収するバルクガス回収装置とを具備することを特徴とする排ガス処理装置を提案するものである。
【0010】かかる排ガス処理装置にあっては、バルクガス回収装置を、分離フィルタ装置から排出されたバルクガスをこれに同伴するパーフルオロ化合物ガスを分離除去して精製すると共に当該分離除去ガスを分離フィルタ装置の一次処理ガス導入側に返戻するバルクガス精製装置を具備するものとしておくことが好ましい。バルクガス精製装置としては、分離フィルタ装置から排出されたバルクガスに同伴する不純物を活性炭により吸着除去するもの、又はパーフルオロ化合物ガスより分子径の小さなガスを透過するセラミックフィルタを具備するものが使用される。
【0011】また、分離フィルタ装置は、パーフルオロ化合物ガスより分子径の小さなガスを透過するセラミックフィルタを具備するものであることが好ましい。セラミックフィルタとしては、セラミック製の多孔質支持体と、その少なくとも一方の表面に多数の細孔を有するSiとZrとを含有する非晶質の酸化物からなる分離膜とを具備するものを使用することが好ましい。かかるセラミックフィルタは、上記したバルクガス精製装置において使用するセラミックフィルタとしても使用される。
【0012】また、スクラバーは、排ガスにバルクガス,パーフルオロ化合物ガス以外の不純物(例えば、HF等の酸性ガス又はSiO2微粉末,塵埃等の微粒固形分)が含まれている場合に、これらを除去する(前処理)ものであり、一般に湿式のものを使用ことが好ましい。かかる湿式スクラバーを使用する場合には、スクラバーから分離フィルタ装置に至る一次処理ガス路に、一次処理ガスを過熱する過熱装置を配置しておくことが好ましい。過熱装置としては、その主熱源として無害化装置の廃熱を利用する熱交換器を使用することが好ましい。
【0013】さらに、無害化装置としては、二次処理ガスを燃料バーナにより燃焼させて分解させる燃焼式のもの又は二次処理ガスを加熱した上で触媒により分解させる触媒燃焼式のものを使用することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて具体的に説明する。
【0015】図1は本発明に係る排ガス処理装置の実施の形態を示したもので、この実施の形態における排ガス処理装置は、半導体製造プロセスから排出される排ガス1を無害化処理するためのものであり、スクラバー2と分離フィルタ装置3と無害化装置4と過熱装置5とバルクガス回収装置6とを具備する。
【0016】半導体製造プロセスから排出される排ガス1は、大量のバルクガス(N2,Ar,He等)、微量のパーフルオロ化合物ガス(CF4,C26,C38,C410等のパーフルオロカーボン(Perfluoro Carbon)又はCHF3,CH22,SF6,NF3等の有機系,無機系フッ素化合物ガスであり、以下「PFCガス」という)及び半導体製造プロセスで副生される酸性ガス(HF,SiF4,SiHF3等)を含むものである。
【0017】スクラバー2は、図1に示す如く、半導体製造装置の排気路7から導入された排ガス1に水又はアルカリ水21をスプレーするように構成された湿式のものであり、排ガス1をスプレー水21と接触させることにより、排ガス1に含まれる酸性ガスを溶解除去(スプレー水21として水を使用した場合)又は中和除去(スプレー水21としてアルカリ水を使用した場合)する。ところで、CVD装置において反応ガスとしてSiH4を使用する場合、スクラバー2に導入される排ガス1にはSiH4の酸化物であるSiO2の微粉末が同伴されることがあり、排気路7を含む配管系において塵埃が排ガス1に混入することがあるが、このような微粒固形分(SiO2の微粉末等)が排ガス1に含まれる場合には、かかる微粒固形分もスプレー水21との接触により排ガス1から除去されることになる。酸性ガス及び微粒固形分を除去された排ガスたる一次処理ガス11は、スクラバー2から一次処理ガス路8を経て分離フィルタ装置3に導入される。
【0018】分離フィルタ装置3は、図1に示す如く、セラミックフィルタ31により一次処理ガス11からバルクガス12を分離除去するものである。セラミックフィルタ31としては、特開2000−62241号公報に開示される如く、セラミックス製の多孔質支持体の少なくとも一方の表面に、多数の細孔(平均孔径2.5〜10Å)を有するSiとZrとを含有する非晶質の酸化物からなる分離膜を被着形成して、分離膜の一方の表面に一次処理ガスを接触させることにより、PFCガスより分子径の小さなバルクガスが選択的に分離膜の他方の表面へ透過するように構成されたものが最適する。この例では、分離フィルタ装置3は、図2に示す如く、装置内部に一対の仕切壁32,33により区画された3室34,35,36を形成すると共に、両仕切壁32,33に上記構成をなす多数の円筒状のセラミックフィルタ31…を貫通固定してなる。仕切壁32,33間に形成されたガス透過室36は、その両側のガス導入室34及びガス導出室35より低圧に保持されており、ガス導入室34には一次処理ガス路8が接続されている。各セラミックフィルタ31は内径を2mm程度とした円筒形状をなすものであり、図3に示す如く、α−アルミナ質のセラミックスで円筒形状に構成した多孔質支持体31aの外周面又は内周面に、γ−アルミナ質セラミックスからなる通気性を有する中間層31cを形成した上で、上記分離膜31bを被着させてなる。
【0019】而して、かかる分離フィルタ装置3によれば、一次処理ガス路8から導入室34に導入された一次処理ガス11が各セラミックフィルタ31内を通過してガス導出室35へと流動する間において、一次処理ガス11に含まれるバルクガス12が各セラミックフィルタ31の分離膜31bからガス透過室36に透過して分離除去される。バルクガス12を分離除去された排ガスたる二次処理ガス13は、ガス導出室35から二次処理ガス路9を経て無害化装置に導入される。
【0020】無害化装置4は、図1に示す如く、二次処理ガス路9から導入された二次処理ガス13を燃焼バーナにより燃焼,熱分解させて無害化する燃焼式のものである。この例では、無害化装置4として、特開2001−280629公報に開示されたものを使用している。この無害化装置4は、図4及び図5に示す如く、外筒42及び内筒43からなる燃焼筒41と、上端部を内筒43の底部中心に取付けた燃焼バーナ44と、内筒43内の底部側領域に支燃性ガス45aを導入する支燃性ガス導入路45とを具備する。内筒43は複数の円筒状部材43a…を若干の隙間43b…を有する状態で上下に齟齬させてなり、外筒42の下部から導入された二次燃焼空気46が、内外筒42,43間を通過して上記隙間43b…から内筒43に供給されるようになっている。燃焼バーナ44は、上面に環状をなして等間隔に並列する複数のノズル口44aを形成すると共に、ノズル口群44aで囲繞されるバーナ上面領域に開口する被燃焼ガス流路44bとこれを同心状に囲繞してノズル口44a…に連通する燃料ガス供給路44cとを具備する。被燃焼ガス流路44bは、二次処理ガス路9に接続されていて、分離フィルタ装置3を通過した二次処理ガス13を内筒43内に導入する。燃料ガス供給路44cは、被燃焼ガス流路44bの開口部を同心状に囲繞するノズル口群44aから燃料ガス(メタン,プロパン,ブタン,エチレン,天然ガス,都市ガス或いはこれらの混合ガスが使用される)44dを噴出させる。バーナ44には、図示しない着火器が付設されていて、ノズル口44aから噴出された燃料ガス44dを着火する。ノズル口44aの形成面は、図5に示す如く傾斜面とされていて、ノズル口44aから噴出された燃料ガス44dによる火炎44eが被燃焼ガス流路44bからの噴出ガス(二次処理ガス)13に向くように工夫されている。なお、ノズル口44aの形成面の傾斜角βは、通常、火炎44eの安定性等を考慮して30度程度に設定しておくことが好ましい。支燃性ガス導入路45は、被燃焼ガス流路44bからの噴出ガス13に対して所定角度θ(通常、60〜90度)をなして支燃性ガス45aを噴出する。支燃性ガス45aとしては、大気圧以上の圧力(通常、1.5×105Pa程度)の圧縮空気、圧縮酸素富化空気、圧縮酸素が使用される。
【0021】而して、かかる無害化装置4によれば、被燃焼ガス流路44bから内筒43に導入された二次処理ガス13が800〜1500℃の火炎44eにより燃焼され熱分解されて、PFCガスを含む二次処理ガス13が無害化される。このとき、火炎44eが二次処理ガス13に向けて形成されることから、二次処理ガス13が火炎44eに直接接触することになり、二次処理ガス13の燃焼が効果的に行われる。さらに、火炎44eの外周から大気圧以上の支燃性ガス45aが供給されることにより、火炎44eの燃焼が促進され、二次処理ガス13中の難燃性PFCガスも確実に燃焼分解される。なお、燃焼ガス(廃ガス)14は、燃焼筒41の上部排気口41aから廃ガス路10へと排出される。
【0022】過熱装置5は、図1に示す如く、一次処理ガス路8に配置されており、湿式スクラバー2を通過した一次処理ガス11を過熱して、スプレー水21との接触により一次処理ガス11に含まれる水分(水滴)を気化,除去するものである。すなわち、過熱装置5は、一次処理ガス11を100℃以上(一般に、100〜500℃)に過熱することによって、水滴を気化して水蒸気となすものである。この例では、過熱装置5の主熱源として、無害化装置4から排出される廃熱を利用している。すなわち、過熱装置5を、無害化装置4の廃ガス路10に設けた熱交換器で構成して、一次処理ガス11を廃ガス14との熱交換により過熱するように工夫してある(廃ガス14からの熱回収を行い得ない運転開始時等にあっては、電気ヒータ等の補助熱源により一次処理ガス11を過熱する)。なお、過熱装置5は、後述する如くセラミックフィルタ31の機能(透過機能)を阻害する水滴を気化,除去するものであり、一次処理ガス11を乾燥させるものではない。
【0023】バルクガス回収装置6は、図1に示す如く、分離フィルタ装置3のガス透過室36から適宜のバルクガス回収部61に至るバルクガス回収路62を設けて、分離フィルタ装置3で分離されたバルクガス12をバルクガス回収部61に回収して再利用するようになっている。ここに、バルクガス回収部61とは、バルクガス12を再利用すべき装置,機器又はその一部であり、例えばバルクガス12を無害化装置4のパージガスとして使用する場合には当該無害化装置4がバルクガス回収部61となる。ところで、分離フィルタ装置3で分離されるバルクガス12には、PFCガス,CO,CO2,水分等のバルクガスの再利用に弊害となる不純物が同伴されてくる虞れがある。そこで、バルクガス回収装置6にあっては、バルクガス回収路62に上記不純物を分離除去するバルクガス精製装置63を配置してある。バルクガス精製装置63としては、例えば、分離フィルタ装置3のガス透過室36から排出されたバルクガス12に同伴する上記不純物を活性炭63aにより吸着除去するもの又は上記したセラミックフィルタ31と同一構造をなすセラミックフィルタ63bによりバルクガスとPFCガス等の不純物とを分離するものが使用される。すなわち、前者のものでは、活性炭63aを充填した1対の吸着塔を設けて、両吸着塔を交互に吸着工程と再生工程(脱着工程)とに切り替えるように構成される。そして、吸着工程にある吸着塔に分離装置3からバルクガス12を供給して、これに含まれる不純物を活性炭63aにより吸着除去し、不純物を除去されたバルクガス(精製バルクガス)12aをバルクガス回収部61に供給する。一方、再生工程にある吸着塔においては、パージガスの供給等により活性炭63aからこれに吸着された不純物を離脱させると共に、その不純物12cを返戻路64から一次処理ガス路8に返戻して、一次処理ガス11に混合させる。また、後者のものでは、分離フィルタ装置3と同様に、セラミックフィルタ63bを透過したバルクガス(精製バルクガス)12aがバルクガス回収部61に供給されると共に、セラミックフィルタ63bを透過しない不純物12cを返戻路64から一次処理ガス路8に返戻して、一次処理ガス11に混合させる。但し、後者のものでは、分離フィルタ装置3におけると同様に、セラミックフィルタ63bを透過したバルクガス12aに、極く微量ではあるが、PFCガスが同伴される虞れがある。したがって、バルクガス12の精製をより高精度に行うためには、バルクガス精製装置63として前者の活性炭吸着方式のものを使用することが好ましい。なお、返戻路64は、一次処理ガス路8における過熱装置5の上流側部分に接続されている。
【0024】以上のように構成された排ガス処理装置によれば、排ガス1に含まれるPFCガスを効果的に無害化処理することができ、且つ排ガス1に大量に含まれるバルクガスを有効利用することができる。
【0025】すなわち、排ガス1は、湿式スクラバー2により酸性ガス及び微粒固形分(SiO2等)を除去された上で、分離フィルタ装置3及び無害化装置4に導入されることから、酸性ガスによる装置部品の腐食や微粒固形分によるセラミックフィルタ31の目詰まりを生じることなく、各装置3,4による処理が良好に行われる。
【0026】また、分離フィルタ装置3に導入される一次処理ガス11は、過熱装置5により100℃以上に過熱されて、スプレー水21との接触により発生する水滴を気化されたものであるから、水滴によりセラミックフィルタ31による透過機能を著しく低下するようなことがなく、バルクガス12の分離を良好に行われる。しかも、一次処理ガス11は過熱装置5による100℃以上に加熱されたものであるから、セラミックフィルタ31におけるガス透過作用がガス分子運動の活発化により効果的に行われる。かかる分子運動の活発化によるガス透過作用の向上度は、分離フィルタ装置3に導入される一次処理ガス11が高温となるに従って高くなる。したがって、過熱装置5による一次処理ガス11の加熱温度は、分離フィルタ装置3の耐熱範囲(一般に、100〜500℃程度)において、可及的に高くなるようにしておくことが好ましい。なお、耐熱性がセラミックフィルタに比して劣る有機膜フィルタを使用した場合には、このような一次処理ガス11の過熱ないし加熱は行い得ず、上記した作用効果は奏し得ない。
【0027】また、過熱装置5の主熱源として、無害化装置4から排出される廃熱を回収,利用するようにしていることから、排ガス処理装置全体としてのランニングコストを低減させることができる。
【0028】そして、排ガス1を、PFCガスを分離フィルタ装置3で濃縮させた二次処理ガス13として、無害化装置4に導入させるから、PFCガスが大量のバルクガスで希釈された排ガス1をそのまま無害化装置4に導入させる場合に比して、PFCガスの燃焼分解に必要な燃料消費量を大幅に低減させることができ、ランニングコストの低減及び無害化処理装置4の小型化を図ることができる。
【0029】また、分離フィルタ装置3で分離されたバルクガス12を、更にバルクガス精製装置63で精製した上で、回収するようにしたから、排ガス1に大量に含まれるバルクガスを有効に再利用することができる。
【0030】ところで、上記した分離フィルタ装置3及び無害化装置4による排ガス1の処理効果は、次のような実験により確認された。
【0031】(実験1) CF4:1%,N2:99%の混合ガスを表1に示す条件で上記分離フィルタ装置3のガス導入室34に導入させて、ガス導出室35から導出される濃縮ガスの流量及びCF4濃度を膜流量計及びガスクロマトグラフィーにより測定すると共に、バルクガスの回収率を算出した。なお、混合ガスは大気圧,200℃とし、ガス透過室36は−0.09MPaに減圧した。その結果は表1に示す通りであった。
【0032】
【表1】

【0033】表1から理解されるように、上記したセラミックフィルタ31を使用し且つ一次処理ガス11を過熱装置5により100℃以上に加熱することにより、PFCガスを効果的に濃縮できることが確認された。
【0034】(実験2) 上記セラミックフィルタ31をヘリウム雰囲気350℃で前処理し、CHF3:0.5気圧,N2:0.5気圧の混合ガス(100cc/min)をガス導入室34に導入して、ガス透過室36から排出されるガスの流量を膜流量計により測定すると共に、当該ガスにおけるCHF3濃度及びN2濃度を夫々ガスクロマトグラフィーにより測定した。なお、実験1と同様に、混合ガスは大気圧,200℃とし、ガス透過室36は−0.09MPaに減圧した。そして、これらの測定値に基いて透過率=透過量/(フィルタ面積×差圧×時間)からCHF3及びN2の透過率を求めた。さらに、CHF3の透過係数比(N2の透過率/CHF3の透過率)を求めた。その結果は表2に示す通りであった。
【0035】
【表2】

【0036】(実験3) 上記セラミックフィルタ31をヘリウム雰囲気350℃で前処理し、SF6:0.5気圧,N2:0.5気圧の混合ガス(100cc/min)をガス導入室34に導入して、ガス透過室36から排出されるガスの流量を膜流量計により測定すると共に、当該ガスにおけるSF6濃度及びN2濃度を夫々ガスクロマトグラフィーにより測定した。なお、実験1,2と同様に、混合ガスは大気圧,200℃とし、ガス透過室36は−0.09MPaに減圧した。そして、これらの測定値に基いて透過率=透過量/(フィルタ面積×差圧×時間)からSF6及びN2の透過率を求めた。さらに、SF6の透過係数比(N2の透過率/SF6の透過率)を求めた。その結果は表3に示す通りであった。
【0037】
【表3】

【0038】表2及び表3から明らかなように、セラミックフィルタ31(分離膜31b)の細孔による透過率制御によりN2ガスとPFCガス(CHF3又はSF6)との分離において高い選択性を有することが確認された。
【0039】(実験4) 上記した無害化装置4におけるCF4濃度変化による分解効率への影響を確認した。すなわち、被燃焼ガス流路44bから内筒43にN2,CF4の混合ガスを導入させると共に、燃料ガス供給路44cからプロパンガスを供給して、混合ガスを燃焼させた。そして、混合ガスの導入量を一定(50L/min)に保持した状態で、導入させる混合ガスのCF4濃度を0〜9%の範囲で変化させて、燃焼筒41から排出される廃ガスのCF4濃度を測定した。導入させる混合ガス及び廃ガスのCF4濃度はFTIR(フーリェ変換赤外分光計)で測定し、その測定値から分解率((混合ガスのCF4濃度/廃ガスのCF4濃度)×100)を求めた。その結果は図6に示す通りであった。
【0040】図6から明らかなように、上記構造の無害化装置4によれば、PFCガス濃度(CF4濃度)に拘わらずほぼ一定の分解率を確保することができ、分離フィルタ装置3によるPFCガスの濃縮に適した無害化処理(PFCガスの分解処理)を行い得ることが理解される。
【0041】(実験5) 実験4と同一の燃焼条件において、N2,CF4の混合ガスを上記無害化装置4で燃焼させた。そして、混合ガスにおけるCF4量を一定(1L/min)としてN2量を100〜600L/minの範囲で変化させつつ、実験4と同様にして分解率を求めた。その結果は図7に示す通りである。
【0042】ところで、実験1から理解されるように、上記した分離フィルタ装置3によるN2,CF4の混合ガスの分離能力つまりN2の除去率は約25%である(表1に示す如く、1%のCF4は約4%まで濃縮される)から、N2量を600L/minとする混合ガスを分離フィルタ装置3で処理するとすれば、無害化装置4に導入される混合ガスのN2量は約150L/minに低減されることになるはずである。そして、図7から理解されるように、N2量が約150L/min以下であるときは、分解率が98%で安定しているが、N2量が増加するに従って分解率は急激に低下している。したがって、これらのことから、排ガスを分離フィルタ装置3により処理(PFCガスの濃縮)した上で無害化装置4による処理(PFCガスの燃焼)を行うことにより、排ガスをそのまま燃焼処理する場合に比して、極めて効率の良い無害化処理を行いうることが理解される。なお、図7に示す実験5の結果は、分離フィルタ装置3によるPFCガスの濃縮度と無害化装置4による分解率との関係を間接的に示すものである。
【0043】(実験6) 上記した排ガス処理装置を使用して600L/minの排ガス1を無害化処理して、無害化装置4から排出される廃ガスのPFC濃度を測定した。また、この排ガス処理装置の無害化装置4と同一構成をなす複数台の無害化装置を並列使用して、同一性状,流量の排ガス1を無害化処理した。その結果、無害化装置のみにより排ガス1を処理した場合、廃ガスのPFC濃度が排ガス処理装置を使用した場合と同等となるには、3台の無害化装置が必要であった。そして、排ガス処理装置を使用した場合の設置スペース、イニシャルコスト及びランニングコストは、夫々、3台の無害化装置を使用した場合の90%、80%及び50%であった。このことから、本発明の排ガス処理装置によれば、設置スペース、イニシャルコスト及びランニングコストの低減を図りつつ良好なPFCガスの無害化処理を行い得ることが理解される。
【0044】なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。例えば、無害化装置4として、特開平11−319485号公報に開示される如く、二次処理ガスを加熱した上で触媒により分解させる触媒燃焼式のものを使用することができる。また、分離フィルタ装置3における分離膜31bの水分吸着による性能低下を抑制する為には、図8に示す如く、過熱装置5の前段(上流側)に、水分を除去する為の冷凍式、加圧式、膜分離方式等による方式により、湿式スクラバー2を通過した一次処理ガス11中の水分を予め除去する水分除去装置51を設けておくことがより好ましい。なお、図8に示す排ガス処理における水分除去装置51以外の構成は、上記した実施の形態における排ガス処理装置におけると同一である。また、本発明は、上記した如くバルクガス,PFCガスに加えて酸性ガス及びSiO2微粉末が含まれる排ガスのみならず、酸性ガスを含まない排ガスやSiO2微粉末を含まない排ガスを無害化処理する場合にも当然に適用することができる。
【0045】
【発明の効果】以上の説明からも容易に理解されるように、本発明の排ガス処理装置によれば、PFCガスを含む排ガスを冒頭で述べた問題を生じることなく効率良く経済的に無害化処理することができ、しかも排ガスに大量に含まれるバルクガスを効果的に回収,再利用することができる。
【出願人】 【識別番号】000208167
【氏名又は名称】大陽東洋酸素株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市西区靱本町2丁目4番11号
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【住所又は居所】京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地
【出願日】 平成13年12月4日(2001.12.4)
【代理人】 【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
【公開番号】 特開2003−170020(P2003−170020A)
【公開日】 平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願番号】 特願2001−370575(P2001−370575)