| 【発明の名称】 |
薄膜蒸発器 |
| 【発明者】 |
【氏名】矢田 修平 【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
【氏名】高崎 研二 【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
【氏名】小川 寧之 【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
【氏名】鈴木 芳郎 【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】熱により重合し易い成分を含む被処理液を、長期間連続して処理することのできる薄膜蒸発器を提供する。
【解決手段】薄膜形成のために取り付けてある攪拌翼よりも下方にワイパーを取り付けることによって、薄膜蒸発器において攪拌翼に対応する内壁面よりも、下方の内壁面上に蒸発残渣が堆積して重合するのを防止する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外面に加熱手段、上部に液供給口と蒸気抜出口、下部に残渣排出口を有している、主体部が円筒状の蒸発器本体と、その内部に設置されている回転軸と、これに取り付けられていて蒸発器本体の内壁面に沿って周方向に移動する攪拌翼とを有する縦型薄膜蒸発器において、攪拌翼の下端と残渣排出口との間の内壁面に接して周方向に移動するワイパーを有することを特徴とする薄膜蒸発器。 【請求項2】 外面に加熱手段、上部に液供給口と蒸気抜出口、下部に残渣排出口を有している、主体部が円筒状で、その下部が逆円錐状の集液部となっている蒸発器本体と、その内部に設置されている回転軸と、これに取り付けられていて蒸発器本体の内壁面に沿って周方向に移動する攪拌翼とを有する縦型薄膜蒸発器において、逆円錐状の集液部の内壁面に接して周方向に移動するワイパーを有することを特徴とする薄膜蒸発器。 【請求項3】 外面に加熱手段、上部に液供給口と蒸気抜出口、下部に残渣排出口を有している、主体部が円筒状で、その下部が逆円錐形と円筒形の形状を組み合わせた漏斗状の集液部となっている蒸発器本体と、その内部に設置されている回転軸と、これに取り付けられていて蒸発器本体の内壁面に沿って周方向に移動する攪拌翼とを有する縦型薄膜蒸発器において、漏斗状の集液部の内壁面に接して、周方向に移動するワイパーを有することを特徴とする薄膜蒸発器。 【請求項4】 外面に加熱手段を有しており、対応する内面が伝熱面となっており、上部に液供給口と蒸気抜出口、下部に残渣排出口を有している、主体部が円筒状の蒸発器本体と、その内部に設置されている回転軸と、これに取り付けられていて蒸発器本体の内壁面に沿って周方向に移動する攪拌翼とを有する縦型薄膜蒸発器において、蒸発器本体下部の非伝熱面である内壁面に接して周方向に移動するワイパーを有することを特徴とする薄膜蒸発器。 【請求項5】 ワイパーが攪拌翼が取り付けられている回転軸と同一の回転軸上に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の薄膜蒸発器。 【請求項6】 ワイパーが可動翼式であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の薄膜蒸発器。 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の薄膜蒸発器に、上部の液供給口から易重合性成分を含む液を供給して内壁面上を流下させ、発生した蒸気を上部の蒸気抜出口から外部に抜き出し、蒸発残渣は下部の残渣排出口から外部に抜き出すことを特徴とする、易重合性成分を含む液を蒸気と蒸発残渣とに分離する方法。 【請求項8】 請求項1ないし6のいずれかに記載の薄膜蒸発器に、その上部の液供給口から(メタ)アクリル酸又はそのエステルを含む液を供給して内壁面上を流下させ、発生した(メタ)アクリル酸又はそのエステルの蒸気を上部の蒸気抜出口から外部に抜き出し、蒸発残渣は下部の残渣排出口から外部に抜き出すことを特徴とする(メタ)アクリル酸又はそのエステルの蒸留残渣からの(メタ)アクリル酸又はそのエステルの回収方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内部に攪拌翼が取り付けられた回転軸を有する薄膜蒸発器に関する。 【0002】 【従来の技術】外面に加熱手段、上部に液供給口と蒸気抜出口、下部に残渣排出口を有している、主体部が円筒状の蒸発器本体と、その内部に設置されている回転軸と、これに取り付けられていて蒸発器本体の内壁面に沿って周方向に移動する攪拌翼とを有する縦型薄膜蒸発器は公知である。この薄膜蒸発器では、加熱手段の設けられている外面に対応する内面が伝熱面であり、上部の液供給口より供給された被処理液は、回転する攪拌翼によって円筒内壁面上に膜状に押し広げられ、この液膜が重力によって落下する過程で、加熱手段により供給された熱により被処理液中の低沸点成分を蒸発させるというものである。この装置は、被処理液中の低沸点成分を短時間で蒸発させることが可能なため、熱に対して敏感な物質、例えば昜重合性化合物を含んだ液を処理するには好適である。また、処理液が回転する攪拌翼によって強力に攪拌され、伝熱面と接する液が常に新しい液と更新されるため、被処理液が局部的に過熱されて、液の焦げ付きやスケーリングが発生しにくいという利点がある。 【0003】回転軸への攪拌翼の取り付け方には多くの方式があるが、たとえば可動翼式では攪拌翼は支点、またはスプリングを介して回転軸に取り付けられ、回転軸に関して円周方向に動くことが出来るようになっているため、回転軸の回転により、遠心力によって円筒の内壁面と接触しながら、或いはこれとわずかな隙間を保ちながら回転する。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(メタ)アクリル酸やそのエステル(本明細書において(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びメタクリル酸の両者を意味する。)の蒸留精製に際し、蒸留塔の塔底から排出される(メタ)アクリル酸やそのエステルを含む重質成分から、薄膜蒸発器を用いて(メタ)アクリル酸やそのエステルを回収しようとすると、薄膜蒸発器の集液部の出口部分や液抜出管がしばしば閉塞を起こすという問題がある。本発明者らはその原因を追究した結果、薄膜蒸発器の内壁面上を流下してきた液が、攪拌翼の下端よりも下方の内壁面上で重合すること、及び薄膜蒸発器に導入された液が濃縮されることにより、予め添加されていた(メタ)アクリル酸やそのエステル用の重合防止剤が析出すること、によるものであることを見いだした。すなわち薄膜蒸発器では、蒸発が起こる伝熱面上の液膜を攪拌翼が攪拌するように構成されており、伝熱面より下方の内壁面部分、特に円筒状部分に続く逆円錐形状、又は逆円錐形と円筒形とを組み合わせた漏斗状の集液部には攪拌翼の設置がされていない。従って、この部分では、流下する液は低沸点成分が大部分除去されており本来的に流動性が良くないことに加えて、攪拌翼による攪拌がないので、内壁面と接している液は新しい液と更新され難い。その結果、内壁面と接している液の帯留時間が異常に長くなり、液中に残存している(メタ)アクリル酸やそのエステルが徐々に重合して液が重質化する。これにより、この液の流動性はますます小さくなり、内壁面上に重合物が堆積するようになる。また液が濃縮されることにより、予め添加されていた(メタ)アクリル酸やそのエステル用の重合防止剤が析出するようになる。堆積した重合物及び析出物は、液の流れを阻害するだけでなく、これらが内壁面から剥離すると集液部の出口部分やこれに続く液抜出管を閉塞する。従って、本発明はこの様な閉塞を生じない薄膜蒸発器を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明に係る薄膜蒸発器は、攪拌翼の下端よりもさらに下方の内壁面部分にも、この内壁面に接して周方向に移動するワイパーを有することを特徴とするものである。これにより薄膜蒸発器の攪拌翼の下端よりもさらに下方の内壁面上に堆積物が生ずるのを防止し、薄膜蒸発器を長期間安定して運転させることができる。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明に係る薄膜蒸発器は、公知の薄膜蒸発器と同じく、外面に加熱手段、上部に液供給口と蒸気抜出口、下部に残渣排出口を有している、主体部が円筒状の蒸発器本体と、その内部に設置されている回転軸と、これに取り付けられていて蒸発器本体の内壁面に沿って周方向に移動する攪拌翼とを有している。この様な薄膜蒸発器の代表的な例としては、スミス式薄膜蒸発器やLuwa薄膜蒸発器などが挙げられる。薄膜蒸発器本体部の下部にある集液部の形状は、蒸発残渣がスムーズに残渣排出口から液抜出管に流入するように、蒸発面に対して傾斜を持つ様な形状とするのが望ましいとされており、集液部の形状が逆円錐状や逆円錐形と円筒形の形状を組み合わせた漏斗状の形状のものが実用化されている。 【0007】本発明に係る薄膜蒸発器は、この様な公知の薄膜蒸発器において、回転軸に取り付けられている攪拌翼の下端に対応する内壁面よりもさらに下方の内壁面に接して、周方向に移動するワイパーを備えている。攪拌翼は液膜からの蒸発を促進する為のものであるから、通常は伝熱面に対応する位置に有り、攪拌翼の下端は伝熱面の下端とほぼ同じ位置になる。 【0008】従って、本発明においてはワイパーは伝熱面より下方の非伝熱面に対応するように取り付ける。例えば、円筒状の薄膜蒸発器本体の下部が非伝熱面となっている場合には、この部分に対応するようにワイパーを取り付ける。円筒状の薄膜蒸発器本体に、逆円錐状や逆円錐形と円筒形とを組み合わせた漏斗状の集液部が接続されている場合には、この集液部に対応するようにワイパーを取り付ける。取り付けるワイパーは1個であっても良く、また幾つかに分割されていても良い。なお、ワイパーは通常、これらの部分の全面に対応するように取り付けるのが好ましいが、非伝熱面上に蒸発残渣が堆積するのを防止するというワイパーの目的が達成される限り、必ずしも全面に取り付ける必要はない。ワイパーは通常、薄膜形成の為の攪拌翼が取り付けられている回転軸、ないしはそれを下方に延長した軸上に取り付ける。これにより、攪拌翼とワイパーの駆動源を共用することができ、装置の構造を簡単にすることができる。また、ワイパーの取り付け方式は任意であるが、攪拌翼と同じく、支点またはスプリングを介して回転軸に取り付け、回転軸に関して円周方向に動くことが出来るような可動翼式で取り付けるのが望ましい。 【0009】ワイパーを構成する材質としては、薄膜蒸発器で処理する被処理液の物性に合わせた材質を選定すればよい。例えば、被処理液がアクリル酸等の腐食性の高い液である場合には、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L、SUS329JL、SUS329J2L等のステンレス鋼、或いはハステロイ類、インコネル類等のニッケル合金類を挙げることが出来るが、耐食性、経済性の点からSUS304、SUS316、SUS316Lが好ましい。また、ワイパーの薄膜蒸発器内面と物理的に接触する部分の材質としては、薄膜蒸発器の内壁面を傷つけないような材質のものを用いるのが望ましい。好ましくはカーボンに樹脂や金属を真空加圧含浸させ、機械的強度及び耐シール性を向上させた、高温下においても使用可能なハイブリットカーボン、例えば、日本カーボン(株)製のスライディングコンポジットカーボン NC−07Eや、テフロン(登録商標)等の薄膜蒸発器内壁面を傷つけず、腐食に強いものを用いる。中でも好ましいのは長期形状安定性に優れ、高温下においても使用可能なハイブリットカーボンである。 【0010】本発明に係る薄膜蒸発器は、常用の薄膜蒸発器と同じく、種々の被処理液から低沸点成分を蒸発させるのに用いることができるが、特に熱により重合し易い成分を含む被処理液から低沸点成分を蒸発させるのに好適である。この様な被処理液としては(メタ)アクリル酸やそのエステルを蒸留精製するに際し、塔底から排出される(メタ)アクリル酸やそのエステルが残存している重質成分が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの例としてはメチル、エチル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル等を挙げることができる。 【0011】また、これらの重合し易いものの蒸留精製に際しては、一般に液中に重合防止剤を添加することが行われている。例えばアクリル酸の蒸留精製に際しては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール系の重合防止剤や、フェノチアジン、N−オキシル化合物など有機物や、ジアルキルジチオカルバミン酸銅、アクリル酸銅、酢酸銅等の銅塩が一般に用いられている。従って蒸留塔の塔底から排出される塔底液にはこれらの重合防止剤が濃縮されている。重合防止剤が濃縮されている塔底液を薄膜蒸発器で処理すると、重合防止剤が更に濃縮されて析出し、壁面上に堆積したり蒸発残渣の流動性を悪化させるので、通常の薄膜蒸発器では円滑な処理が困難であるが、本発明に係る薄膜蒸発器によれば、容易に処理することができる。 【0012】図1〜4に本発明に係る回転スライダー式薄膜蒸発器の1例の概略図を示すが、本発明はその要旨を越えない限り、この例に限定されるものではない。本装置は外面に加熱用ジャケット(1)を有する円筒形の主体部(2)を持つ薄膜蒸発器であり、内部の回転軸(3)と、それを回転させるモーター(4)を有している。回転軸(3)には攪拌翼(5)が取り付けられており、攪拌翼は、主体部の内壁とごくわずかに隙間を保ちながら回転する。薄膜蒸発器上部の液供給口(6)より供給された被処理液は、回転する攪拌翼によって主体部の内壁に沿って、膜状に押し広げられつつ、重力により流下する。この流下する過程で、加熱用ジャケットからの熱によって被処理液中の低沸点成分が蒸発する。蒸発した低沸点成分は薄膜蒸発器の上部にある蒸気抜出口(7)より系外へ導かれ、低沸点成分の大部分が除去されて流動性が悪くなった蒸発残渣は集液部(9)に導かれる。そして、回転軸に取り付けられたワイパー(10)、(11)が集液部の壁面に接して回転することにより、この集液部に流入した蒸発残渣は内壁面上より定常的に除去され、薄膜蒸発器の下部にある残渣排出口(8)より抜き出される。これにより、従来の集液部において発生していた、蒸発残渣による集液部の出口部分やこれに続く液抜出管の閉塞を防止することができ、薄膜蒸発器の長期間安全運転が可能となる。 【0013】本発明に係る薄膜蒸発器を用いて易重合性成分を含む被処理液を処理した1例を示すと、 図1〜図4に示すような、集液部の逆円錐状部分及び円筒状部分のそれぞれに対応する箇所にワイパーを持つ本発明に係る薄膜蒸発器を用いて、アクリル酸の蒸留精製工程で、蒸留塔の塔底から排出された塔底液(アクリル酸69.4重量%、アクリル酸2量体20.9重量%、無水マレイン酸6.9重量%、その他2.8重量%)からアクリル酸を回収する操作を行ったところ、10ヶ月間の連続運転を達成することができた。これに対し、ワイパーが取り付けられていないこと以外は、全く同一の薄膜蒸発器を用いて同様の運転を行ったところ、5ヶ月を経過したところで残渣排出口の配管ラインが閉塞し、運転を停止せざるを得なかった。 【0014】 【発明の効果】本発明に係る薄膜型蒸発器によれば、蒸発器内部における重合物の発生を抑止することができ、また重合物や析出物が発生した場合においても、それらの堆積を防止することができ、薄膜蒸発器の長期安定運転が可能である。これにより生産の安定化を図ることができる。よって、本発明に係る薄膜蒸発器は工業上非常に有用な機器であるといえる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005968 【氏名又は名称】三菱化学株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番2号
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| 【出願日】 |
平成13年12月7日(2001.12.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103997 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 曉司
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| 【公開番号】 |
特開2003−170001(P2003−170001A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月17日(2003.6.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−373671(P2001−373671) |
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