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【発明の名称】 舞台演出用吊物の昇降装置のアシスト装置
【発明者】 【氏名】榊山 淳

【要約】 【課題】既設の手動式の吊物の昇降装置に追加して付設することにより手動式と電動式のそれぞれの利点を実現できる舞台演出用吊物の昇降装置のアシスト装置を提供すること。

【解決手段】一端部に吊物であるバトン1を吊下げるひも状体3と、ひも状体3が調帯される第1の滑車5と、ひも状体3の他端部に取り付けられたカウンターウエイト6と、第2の滑車10と、この第2の滑車10に調帯されてその一端部がカウンターウエイト6に取り付けられ、他端部側を手動操作することによりカウンターウエイト6を昇降させて吊物であるバトン1を昇降させる手動操作用ひも状体11とを備えた舞台演出用吊物の昇降装置に後付けするアシスト装置20であって、第1の滑車5に当接する回転車23と、この回転車23をカウンターウエイト6を上昇又は下降させる方向へ回転させるモータ21と、モータ21を制御するスイッチ部15、制御部30を備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端部に吊物を吊下げるひも状体と、ひも状体が調帯される第1の滑車と、ひも状体の他端部に取り付けられたカウンターウエイトと、第2の滑車と、この第2の滑車に調帯されてその一端部がカウンターウエイトに取り付けられ、他端部側を手動操作することによりカウンターウエイトを昇降させて前記吊物を昇降させる手動操作用ひも状体とを備えた舞台演出用吊物の昇降装置に後付けするアシスト装置であって、前記第1の滑車に押接する回転車と、この回転車を回転させるモータと、モータを制御するスイッチ部とを備えたことを特徴とする舞台演出用吊物の昇降装置のアシスト装置。
【請求項2】 前記回転車がばね材のばね力により前記第1の滑車に押接するようにしたことを特徴とする請求項1記載の舞台演出用吊物の昇降装置のアシスト装置。
【請求項3】 前記第2の滑車の回転を検出する回転検出手段を設け、この回転検出手段が検出した前記第2の滑車の回転方向により、前記モータの回転方向を制御する制御部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の舞台演出用吊物の昇降装置のアシスト装置。
【請求項4】 前記回転車の回転を検出する第1の回転検出手段と、前記第2の滑車の回転を検出する第2の回転検出手段を設け、この第1の回転検出手段と第2の回転検出手段により前記回転車と前記第2の滑車の回転速度を検出し、前記回転車の周速度が前記第2の滑車の周速度と等しくなるように前記モータの回転速度を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の舞台演出用吊物の昇降装置のアシスト装置。
【請求項5】 制動用スイッチ部と、この制動用スイッチ部の操作により前記モータを制動する制動部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の舞台演出用吊物の昇降装置のアシスト装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、舞台演出用吊物の昇降装置のアシスト装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】劇場、ホール等の舞台には、背景パネル、幕、大道具などの所謂舞台演出用の吊物が用いられる。かかる吊物は舞台の場面が変わる毎等に昇降させて取り替える必要があり、このため吊物の昇降装置が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】吊物の昇降装置は、手動式と電動式に大別される。手動式は舞台の隅などで作業者が手作業でロープを操作することにより吊物を昇降させるものである。手動式のものは、演出家の要求や出演者の動きなどに合わせて適切なタイミングで速度を微妙に可変することができるという利点があるが、人力によるため多大な労力を要するという欠点がある。このため吊物のカウンターウエイトを設けて作業者の労力の軽減を図ることが行われている。
【0004】しかしながら吊物の重量は様々であって、重いものは100kg以上もあり、吊物の重量に対応してカウンターウエイトを交換することは面倒であり、重いカウンターウエイトの場合には作業者が多大な労力で手動操作している実情にある。
【0005】一方、電動式のものは人力を不要にできる利点はあるが微妙な動きの実現は困難であり、また舞台演出に合わせた動きを実現するためにはコンピュータや複雑なコンピュータソフトが必要となり、多大なコストを要する。
【0006】そこで本発明は、手動式と電動式のそれぞれの利点を実現できる舞台演出用吊物の昇降装置のアシスト装置を提供することを目的とする。より詳しくは、既設の手動式の吊物の昇降装置に後付けで追加して付設することにより手動式と電動式のそれぞれの利点を実現できる舞台演出用吊物の昇降装置のアシスト装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、一端部に吊物を吊下げるひも状体と、ひも状体が調帯される第1の滑車と、ひも状体の他端部に取り付けられたカウンターウエイトと、第2の滑車と、この第2の滑車に調帯されてその一端部がカウンターウエイトに取り付けられ、他端部側を手動操作することによりカウンターウエイトを昇降させて前記吊物を昇降させる手動操作用ひも状体とを備えた舞台演出用吊物の昇降装置に後付けするアシスト装置であって、前記第1の滑車に押接する回転車と、この回転車を回転させるモータと、モータを制御するスイッチ部とを備えた。
【0008】また望ましくは、前記回転車がばね材のばね力により前記第1の滑車に押接するようにした。
【0009】また望ましくは、前記第2の滑車の回転を検出する回転検出手段を設け、この回転検出手段が検出した前記第2の滑車の回転方向により、前記モータの回転方向を制御する制御部を設けた。
【0010】また望ましくは、前記回転車の回転を検出する第1の回転検出手段と、前記第2の滑車の回転を検出する第2の回転検出手段を設け、この第1の回転検出手段と第2の回転検出手段により前記回転車と前記第2の滑車の回転速度を検出し、前記回転車の周速度が前記第2の滑車の周速度と等しくなるように前記モータの回転速度を制御する制御部を備えた。
【0011】また望ましくは、制動用スイッチ部と、この制動用スイッチ部の操作により前記モータを制動する制動部を設けた。
【0012】本発明によれば、作業者はアシスト装置の動力の助けを借りながら、小さな労力により吊物を容易に昇降させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は舞台演出用吊物の昇降装置の全体を示す正面図、図2はアシスト装置の側面図、図3は制御系のブロック図である。
【0014】図1において、1は舞台2上のバトンであり、背景パネルや幕などの舞台演出用の吊物を保持する。バトン1は複数本のひも状体としてのロープ3の一端部に取り付けて吊下げられている。
【0015】バトン1の上方の天井部にはロール4が複数個設けられている。ロープ3はロール4を周回し、舞台2の上方隅部に設けられた第1の滑車5に調帯され、ロープ3の他端部には止具7や吊棒8を介してカウンターウエイト6が取り付けられている。
【0016】第1の滑車5の下方には第2の滑車10が配設されている。第2の滑車10には手動操作用ひも状体としてのロープ11が調帯されている。ロープ11の一端部は止具7や吊ひも8を介してカウンターウエイト6の上部に取り付けられている。ロープ11の他端部側を作業者が手に保持して下方へ引くと(矢印a)、カウンターウエイト6は上昇し(矢印b)、バトン1は下降する(矢印c)。なお、カウンターウエイト6の重量は、吊物(バトン1側)の重量よりも重い場合と軽い場合があるが、吊物(バトン1側)の重量よりも重い場合には、ロープ11から手を離すと、カウンターウエイト6は自重により下降し、バトン1は上昇する。
【0017】12は舞台2上に設けられたロープ11の固定具である。固定具12には第3の滑車13が設けられており、ロープ11の他端部は第3の滑車13に調帯されてカウンターウエイト6の下部に取り付けられている。14はロープ固定用の止具であり、この止具14をねじ込むと、ロープ11の下端部は固定具12に固定される。
【0018】第1の滑車5の側部にはアシスト装置20が設けられている。次に図2を参照してアシスト装置20を説明する。図2において、16は第2の滑車10が装着されるフレーム、17はフレーム16の上方に設けられた台座であり、この台座17に第1の滑車5やアシスト装置20が装着されている。このアシスト装置20は、既設の昇降装置に後付けして付設されたものである。
【0019】アシスト装置20は、動力部としてのモータ21と、減速機22を介してモータ21に駆動されて回転する回転車23とを備えている。モータ21としては、安価な汎用のモータを使用できる。モータ21は第1の回転検出手段としての第1のエンコーダ24を有している。第1のエンコーダ24はモータ21の回転速度を検出するものであるが、回転車23の回転速度はモータの回転速度のパラメータであるので、第1のエンコーダ24は回転車23の回転検出手段にもなっている。後述するように、このモータ21はカウンターウエイト6を上昇させる方向や下降させる方向に回転する。
【0020】25は台座17上に固定された固定部材であり、複数本(本例では2本)のボルト26が装着されている。ボルト26にはコイルばねなどのばね材27が装着されており、そのばね力により回転車23の周面は第1の滑車5およびまたは第1の滑車5に調帯されたロープ3に横方向から弾性的に押接されている。第1の滑車5及び又はロープ3に当接する回転車23の空回り(空滑り)を防止するために、回転車23の周面には凹凸を付すなどして摩擦係数を大きくすることが望ましく、あるいは回転車23と第1の滑車5を互いに係合する歯車にして空回りを防止するようにしてもよい。
【0021】図2において、カウンターウエイト6が上昇するときは、第1の滑車5は時計方向dへ回転するが、後述するように、このときモータ21の駆動により回転車23が反時計方向eへ回転することにより、第1の滑車5の時計方向(すなわちカウンターウエイト6を上昇させる方向)dへの回転をアシストする。図1において、15は固定具12の近傍などに設けられたモータ21制御用の足踏式のスイッチ部であり、このスイッチ部15を操作することによりモータ21は駆動可能状態となる。そしてロープ11が下方aへ引き下げられ始めたことを第2のエンコーダ28(後述)が検知すると、モータ21は駆動を開始する。スイッチ部としては手動式等の他のスイッチ部でもよい。
【0022】図2において、第2の滑車10には第2の回転検出手段としての第2のエンコーダ28が当接している。29は第2のエンコーダ28を台座17の下面に装着するための取付部材である。第2のエンコーダ28は、第2の滑車10の回転速度と回転方向を検出する。すなわち第2のエンコーダ28は、第2の滑車10の回転方向検出手段を兼務している。カウンターウエイト6の重量がバトン1側のそれよりも重い場合において、カウンターウエイト6を上昇させるときは、作業者はロープ11を下方へ引くが(矢印a)、このとき第2の滑車10は時計方向fへ回転し、その回転方向や回転速度は第2のエンコーダ28で検出される。
【0023】図3は制御系のブロック図である。第1のエンコーダ24と第2のエンコーダ28は制御部30に接続されており、制御部30はモータ21を制御する。スイッチ部15を足踏みし、且つロープ11の操作により第2の滑車10が回転を開始したことを第2のエンコーダ28が検出すると、制御部30はモータ21を駆動して回転させる。
【0024】図1において、18は舞台2上に設けられた制動(ブレーキ)用スイッチ部である。このスイッチ部18も足踏式が望ましい。図3において、制御部30は制動部31を有している。制動用スイッチ部18を足踏みするなどして操作すると、制動部31はモータ21の駆動を停止させる。制動用スイッチ部18は、バトン1を所定の位置で停止させるためのものであるが、危険防止のためにモータ21を停止させるためのものでもある。制動部31は電気的なトルクブレーキであって、公知のものである。
【0025】このアシスト装置20は上記のような構成より成り、次にその取り扱い動作を説明する。まず、カウンターウエイト6の重量がバトン1側の重量よりも重い場合について説明する。図1において、作業者はスイッチ部15を足で踏み、ロープ11を保持して下方aへ引っ張る。このとき(すなわち引き始めのとき)の第2の滑車10の回転方向fとロープ11の引っ張り下降速度V1(図2)は第2のエンコーダ28により検出される。このロープ11の下降速度V1は第2の滑車10の周速度に等しい。そこで制御部30は、回転車23の周速度V2(図2)が第2の滑車10の周速度V1と等しくなるようにモータ21の回転速度を制御する。周速度V2は、第1のエンコーダ24の出力のパラメータとして判明する。
【0026】以上のように、回転車23のアシスト速度(すなわち回転車23の周速度V2)をロープ11の引っ張り下降速度、すなわち第2の滑車10の周速度V1と等しくすることにより、作業者Pの労力を著しく軽減できる。勿論、周速度V2は下降速度V1と完全に等しくする必要はなく、これに近づけることにより、作業者Pの労力を軽減できる。そしてロープ11を下方aへ引き下ろすことによりバトン1を所定の高さまで下降させたならば、制動用スイッチ部18を操作してモータ21を停止させ、固定具12の止具14を操作してロープ11を固定する。
【0027】バトン1を上昇させるときは、止具14によるロープ11の固定状態を解除すれば、カウンターウエイト6は自重により下降し、バトン1は上昇する。そしてバトン1が所定高さまで上昇したならば、止具14でロープ11を固定する。
【0028】次に、バトン1側の重量がカウンターウエイト6の重量よりも重い場合を説明する。まず、バトン1を上方位置から下降させる場合を説明する。この場合、止具14を緩めれば、バトン1はカウンターウエイト6よりも重いので自重により下降する。そしてバトン1が所定位置まで下降したならば、止具14によりロープ11を固定する。
【0029】次にバトン1を下方位置から上昇させる場合を説明する。この場合、カウンターウエイト6は、破線で示す上方位置にあるものとする。そこで作業者Pは、カウンターウエイト6の下部から下方へ延出するロープ11を引き下げる(矢印g)。すると第2の滑車10は反時計方向hへ回転し、この回転方向hは第2のエンコーダ28で検出される。すると制御部30はカウンターウエイト6が下降する方向(図2において回転車23が時計方向iへ回転する方向)へモータ21を逆回転させ、作業者Pをアシストする。そしてバトン1が所定高さまで上昇したならば、制動用スイッチ部18を操作してモータ21を停止させ、ロープ11を止具14で固定する。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、吊物の昇降作業をする作業者の労力を大巾に軽減できる。しかも本アシスト装置は、既設の手動式の吊物の昇降装置に簡単に後付けで追加して付設することができ、あるいは移設も簡単にできる。
【出願人】 【識別番号】000130802
【氏名又は名称】株式会社サンケン・エンジニアリング
【出願日】 平成14年2月4日(2002.2.4)
【代理人】 【識別番号】100083699
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 利行
【公開番号】 特開2003−225478(P2003−225478A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−26509(P2002−26509)