| 【発明の名称】 |
人形毛髪用繊維 |
| 【発明者】 |
【氏名】上本 元一 【住所又は居所】三重県鈴鹿市平田中町1番1号 旭化成株式会社内
【氏名】伊能 雅彦 【住所又は居所】三重県鈴鹿市平田中町1番1号 旭化成株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】地球環境に対する負荷を低減でき、人形毛髪用に用いる事の出来る性能を備えた繊維を提供する。
【解決手段】生分解性樹脂を繊維材料として用い、生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂であり、繊維径が0.01〜0.15mmであり、かつ繊維径と見掛ヤング率の関係が下記式(1)を満足する事を特徴とする人形毛髪用繊維。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生分解性樹脂からなる人形毛髪用繊維。 【請求項2】 生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂の群から選ばれた樹脂である事を特徴とする請求項1に記載の人形毛髪用繊維。 【請求項3】 生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂であり、繊維径が0.01〜0.15mmであり、かつ繊維径と見掛ヤング率の関係が下記式(1)を満足する事を特徴とする請求項1または2に記載の人形毛髪用繊維。 130≦Ym×√D≦1000 (1) D:繊維径(mm) Ym:見掛ヤング率(N/mm2) 【請求項4】 可塑剤を1〜25wt%含有する事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の人形毛髪用繊維。 【請求項5】 可塑剤がポリエチレングリコールである事を特徴とする請求項4に記載の人形毛髪用繊維。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の人形毛髪用繊維を用いてなる人形。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、人形毛髪用繊維に関する。詳しくは、人形毛髪用繊維として重要な要素である光沢、透明性等の外観とヘアースタイリング性に優れた生分解性の人形毛髪用繊維に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より人形毛髪用繊維としては、光沢、透明性等の外観やヘアースタイリング性に優れるポリ塩化ビニリデン系繊維やモダアクリル系繊維に代表される合成繊維が広く用いられている。一方、近年、人形等玩具に用いられている塩化ビニル系樹脂について、廃棄時の処理(焼却、地中投棄等)における地球環境に対する負荷低減を図る為、脱塩化ビニル素材への開発が進みつつある。人形本体の素材については、オレフィン系樹脂の開発と切り替えが始まっているが人形毛髪については、その特殊な要求性能として、優れた風合を有する外観(透明性、光沢、着色性)とヘアースタイリング性を兼備していることが必要であり、適した代替素材が見つかっていないのが現状である。人形毛髪の脱塩化ビニル素材の探求、研究にあたり、最近開発が活発に行われている生分解性樹脂に着目した。 【0003】これらの生分解性樹脂を繊維とした場合、上記の従来の人形毛髪用繊維に比較して光沢、透明性に劣る場合がある。さらに生分解性樹脂は、一般に剛性が低く柔らかいものが多く、人形毛髪用繊維として用いた場合、一度形成されたヘアースタイルが形くずれし、良好なヘアースタイリング性が得られない場合があり、逆に最近開発された高剛性の樹脂を用いても、硬くて所望のヘアースタイルにまとまり難く、良好なヘアースタイリング性が得られないといった人形毛髪としては、致命的な問題がある場合があり、実用化はおろか考案さえなされていなかった。ここでいう良好なヘアースタイリング性とは、具体的にはストレートヘアーであればヘアーが櫛で簡単にまとまり、下向きに整然としたストレートヘアースタイルが得られ、またカールヘアーであれば一度形成されたカールヘアースタイルが形くずれする事なく保てるといった人形毛髪として、最も重要な性能を意味する。さらに人形によっては、前髪はカールヘアー、後髪はストレートヘアーといった両方を混植する場合も少なくなく、両方を兼ね備えた微妙なバランスを有する生分解性人形毛髪用繊維は現在まで開発された事がなかった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題を解決し、生分解性を有しながら、光沢、透明性に優れかつ人形毛髪用に適した優れたヘアースタイリング性を有する繊維を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、生分解性樹脂の種類の選定に加え、繊維の繊維径と見掛ヤング率の関係に注目し、ある特定な関係を満たす事により、あらゆるヘアースタイルが可能になり得る優れたヘアースタイリング性能を付与し、かつ透明性、光沢に優れる生分解性繊維を得られる事を見出し、生分解性樹脂を人形毛髪に応用することに初めて成功し、ついに本発明をなすに至った。 【0006】すなわち本発明は下記の通りである。 1) 生分解性樹脂からなる人形毛髪用繊維。 2) 生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂の群から選ばれた樹脂である事を特徴とする上記1)の人形毛髪用繊維。 3) 生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂であり、繊維径が0.01〜0.15mmであり、かつ繊維径と見掛ヤング率の関係が下記式(1)を満足する事を特徴とする上記1)または2)の人形毛髪用繊維。 130≦Ym×√D≦1000 (1) D:繊維径(mm) Ym:見掛ヤング率(N/mm2) 4) 可塑剤を1〜25wt%含有する事を特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載の人形毛髪用繊維。 5) 可塑剤がポリエチレングリコールである事を特徴とする上記4)の人形毛髪用繊維。 6) 上記1)〜5)のいずれかに記載の人形毛髪用繊維を用いてなる人形。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明する。本発明の生分解性樹脂とは、土壌中や淡水・海水中などの自然環境下で微生物により生分解する樹脂であり、微生物産出系ではポリヒドロキシブチレート系樹脂(例えば三菱ガス化学株式会社製ビオグリーン)等があげられ、天然物系では、酢酸セルロース系樹脂(例えばダイセル化学工業株式会社製セルグリーンPCA)等が挙げられ、また化学合成系としてはポリ乳酸系樹脂(例えば株式会社島津製作所製ポリ乳酸ラクティ)、ポリカプロラクトン系樹脂(例えばダイセル化学工業株式会社製セルグリーンPH)、ポリブチレンサクシネート系樹脂(例えば昭和高分子株式会社製ビオノーレ)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)系樹脂(例えば三菱ガス化学株式会社製ユーペック)、ポリエチレンサクシネート系樹脂(例えば日本触媒株式会社製ルナーレSE)、ポリグリコール酸系樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(例えばDuPont社製Biomax)等が挙げられ、これらの樹脂を単体、あるいは2種以上を混合した組成物として用いてもよい。 【0008】これらの生分解性樹脂の中でも、人形毛髪用繊維として重要な特性である光沢、透明性に優れるポリ乳酸系樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂、酢酸セルロース系樹脂がより好ましい。その中でも特にポリ乳酸系樹脂は、農産物を原料とするため安価にポリマーが得られ、しかも熱安定性がよく溶融紡糸法で効率的に繊維が得られ、かつ適度な剛性を有する事から最も好ましい。 【0009】本発明の人形毛髪用繊維に好適なポリ乳酸系樹脂とは、ポリ(L−乳酸)と、ポリ(D−乳酸)と、ポリ(D/L−乳酸)と、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体と、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体の群から選ばれた重合体と、あるいはこれらのブレンド体を主成分とした生分解性を有する樹脂である。これらの中で、L−乳酸とD−乳酸の光学異性体の共重合体であるポリ(D/L−乳酸)は、L−乳酸とD−乳酸の比率により結晶性のコントロールが出来、人形毛髪として適度な剛性が得られる事から好ましい。 【0010】ポリ(D/L−乳酸)のL−乳酸とD−乳酸の比率は、通常光学純度(%)で表され、本発明で用いるポリ乳酸系樹脂の光学純度は、特に制限されるものではないが、人形毛髪として適度な剛性を得られる光学純度50〜99%が好ましい。より好ましくは85〜95%である。また重量平均分子量としては、特に制限されるものではないが、人形毛髪として十分な繊維強度が得られかつ、溶融紡糸における可紡性が良好な10×104〜16×104が好ましい。 【0011】本発明における繊維径とは単糸一本あたりの断面の直径を意味するものである。なお異形断面を有する繊維においては、糸の断面積と同一の真円の直径を言う。人形毛髪用繊維としては、繊維径は、0.01〜0.15mmが外観上適しており、0.01mmを下回ると糸が細く人形毛髪としては外観上不自然であったり、強度不足で植毛部分が脱毛したり、使用時に毛髪が絡まるといった不具合を生じる場合がある。逆に0.15mmを上回ると糸が太く外観上不自然であったり、また人形ヘッドへの植毛後、毛髪の隙間から人形ヘッド表皮が露出し、人形毛髪として商品価値を損なう場合がある。より好ましくは0.02〜0.1mmである。 【0012】また一般に人形毛髪用繊維はマルチフィラメントが用いられるが、糸の総デニールは、植毛ミシンの針のサイズと植毛密度の面から200〜2000デニールが好ましい。本発明における見掛ヤング率とは、JIS L1013(1999年)に記載された繊維の剛性を表す指標である。本発明の繊維において、繊維径と見掛ヤング率の関係が、繊維径をD〔mm〕、見掛ヤング率をYm〔N/mm2〕とした場合に、下記式(1)の関係が成立する微妙なバランスが、良好なヘアースタイリング性能を確保する上で重要である。 【0013】130≦Ym×√D≦1000 (1) (1)式の値が130以上であれば、繊維のカール保持性が高く、植毛した人形毛髪にカール加工を行うことで所望のカールヘアーを得ることが容易である。より好ましくは200以上である。(1)式の値が1000以下であれば、植毛した人形毛髪のヘアー収束性が高く、ヘアーブラシでブラッシングを行った時に所望のヘアースタイルにまとめることが容易である。より好ましくは800以下である。 【0014】これを達成せしめる為には、ポリ乳酸系樹脂繊維の見掛ヤング率に応じて(1)式の範囲内に繊維径を調整する方法、あるいは逆に繊維径に応じて見掛ヤング率を調整する方法がある。前者の方法の場合、通常の紡糸設備においては、例えば巻取速度が一定の場合、押出機の吐出量を変更する事で所望の繊維径に調整し(1)式の値を達成せしめる方法があるが、人形によっては繊維径が特定される場合があり、後者の方法を選択しなければならない場合も多い。 【0015】後者の場合、(1)式の値を達成せしめる為には、所望の繊維径に応じて、(1)式の範囲に入る適切な見掛ヤング率を付与する事が必要である。その方法としては、例えばポリ(D/L−乳酸)の場合は光学純度が見掛ヤング率を左右する為、適度な光学純度を有するポリ乳酸樹脂を選定する方法や、あるいは可塑剤を用いるといった方法で繊維径に応じた適度な見掛ヤング率に調整する事が可能である。 【0016】これらの方法の中で、可塑剤を添加する方法は適度な見掛ヤング率を得る方法として容易かつ効果があり、所望の見掛ヤング率をきめ細かく増減せしめる得る事が可能であることから好ましい。この場合、元の生分解性樹脂の見掛ヤング率が所定の繊維径に対して(1)式の範囲内かそれ以上であるときに、可塑剤を添加する事で見掛ヤング率を低下させて適度な見掛ヤング率を得ることができる。可塑剤の添加量については、(1)式の範囲をとるための量であれば良く特に限定されるものではないが、可塑化効果の発現および樹脂との分散性の面から1〜25wt%が好ましい。より好ましくは7〜20wt%である。 【0017】また可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えばポリ乳酸系樹脂に用いる場合は、フタル酸ジオクチル、アセチルトリブチルクエン酸、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中でポリ乳酸系樹脂との相容性の良いポリエチレングリコールがより好ましい。 【0018】本発明の繊維には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、染料、蛍光染料、顔料、蛍光顔料、夜光顔料、蓄光顔料、フォトクロミック材料、エレクトロクロミック材料、感温変色顔料、パール顔料、体質顔料、ガラスビーズ、金属粉、可塑剤、ワックス、撥水剤、難燃剤、ダル化剤、艶消剤、架橋剤、香料、消臭剤、光触媒、防虫剤、防カビ剤、忌避剤、抗菌剤などの従来公知の各種添加剤を支障のない範囲で含有してもよい。 【0019】本発明の繊維を得る方法は、特に限定されるものではないが、低コストで高品質の繊維が得られる溶融紡糸法が好ましい。例えばポリ乳酸系樹脂を用いる場合は、溶融紡出し一旦冷却固化した樹脂を再加熱し延伸することにより配向と結晶化が促進され、適度な強度を有する繊維が効率よく得られるのである。本発明における繊維の好適な具体的生産条件を挙げると、例えばポリ乳酸系樹脂の場合、ペレットを溶融押出ししてノズルより紡出し、ついで冷水槽で急冷した後、ポリ乳酸樹脂のガラス転移点温度より約10℃高い温水槽に浸せきしながら速度差のあるローラーにより繊維を3倍程度に延伸し、さらに高温の加熱槽で熱処理した後、巻取機でボビンに巻き取り、所望の繊維を得る事が出来る。さらに本繊維の形態としては特に制限はないが、人形への植毛性の面から、マルチフィラメントが好ましい。 【0020】以下、本発明を実施例に基づき詳しく説明する。なお、本発明で用いる評価方法は下記の通りである。 《見掛ヤング率の測定》JIS L1013(1999年版)に準じて測定を行った。 《生分解性の評価方法と判定基準》試料繊維を、土壌中に埋没させ、6ヶ月後に掘り起こし繊維の分解状態を走査型電子顕微鏡にて評価した。 ◎:表面に凹凸が生じたり、破断して形状を失われており、生分解性は良好である。 ×:表面の凹凸もなく、破断しておらず、生分解性は不良である。 【0021】《カール保持性の評価方法と判定基準》得られた繊維をロッド径が15mmで、雰囲気温度が140℃に設定されたF.C.F ENGINEERING CO.社製カーリングマシン(図1)に20分間供給し、この出口から得られるスプリング状カールに賦形された繊維を袋に詰め、その後28℃雰囲気中で2日間保管した。次に塩化ビニルシート(厚さ1mm)で出来た直径2.5cmの球形の人形ヘッドに人形植毛用ミシン(DOLLY CO.LTD社製TUNF−28B 植毛速度1000RPM 繊維カット長20cm)(図2)を使用し、上記のカール加工を行った繊維を、図3の様に人形ヘッドの頭頂部(水平部分)から後頭部(垂直部分)と側頭部(垂直部分)にかけて約7cm2の面積を植毛した。 【0022】さらに地面から垂直に立てた長さ30cmの固定棒の頂部に、植毛した上記の人形ヘッドを固定し、室温23℃、湿度80%RHの条件下で、毛髪を市販の犬猫ペット用スリッカーブラシで真下に20回ブラッシングした後、繊維束の下面をハサミで切りそろえ、直径15mmのヘアーカーラーに下側から上側に3周巻き付け、巻き付け終了後カールが崩れない様にカーラーから抜き取り、カール部分がぶら下がる形(図4)で2日間保管した後、外巻カールの形状を確認し、カール保持性を下記基準にて3段階評価した。 ◎:外巻きカールが2周以上しており(図5)人形毛髪としては実用上優れたカール保持性である。 ○:外巻きカールが1周以上2周未満であり(図6)人形毛髪として実用上使用可能なカール保持性である。 ×:外巻きカールが1周未満であり(図7)人形毛髪として実用上使用不可能なカール保持性である。 【0023】《ヘアー収束性の評価方法と判定基準》ストレートヘアースタイルとして、上記のカール加工はせずに、繊維を直接塩化ビニルシート(厚さ1mm)で出来た直径2.5cmの球形の人形ヘッドに上記の人形植毛用ミシンを使用し、図8の様に人形ヘッドの頭頂部(水平部分)から後頭部(垂直部分)と側頭部(垂直部分)にかけて約7cm2の面積を植毛した。なおこの時の植毛ミシンの繊維カット長は12cmとした。さらに地面から垂直に立てた長さ30cmの固定棒の頂部に、植毛した上記の人形ヘッドを固定し、室温23℃、湿度80%RHの条件下で、毛髪を市販の犬猫ペット用スリッカーブラシで真下にゆっくり20回ブラッシングした。ブラッシング終了後、図9に示す様に人形ヘッドの頭頂中央部を通る垂直な中心線Aに対して、毛髪の最外層Bの距離を測定し下記基準により、ヘアー収束性を3段階評価した。 ◎:AとBの差が5cm未満にまとまり人形毛髪として実用上優れたヘアー収束性である。 ○:AとBの差が5〜6cmにまとまり、人形毛髪として実用可能なヘアー収束性である。 ×:AB間の距離が6cmを越えて広がり人形毛髪としては、実用上使用不可能なヘアー収束性である。 【0024】《総合判定》下記の通り人形毛髪用繊維としての性能を総合判定した。 ◎:カール保持性、ヘアー収束性とも◎であり、人形毛髪としてヘアースタイリング性が非常にすぐれている。また生分解性も良好である。 ○:カール保持性、ヘアー収束性が○と◎、または両方とも○であり、人形毛髪としてヘアースタイリング性が優れている。また生分解性も良好である。 △:カール保持性、ヘアー収束性がいずれも○以上であり、人形毛髪としてヘアースタイリング性には優れているが、生分解性がない。 ×:カール保持性、ヘアー収束性のいずれか一方、または両方が×であり人形毛髪としてヘアースタイリング性に劣り、かつ生分解性も不良であり商品価値が低い。 【0025】 【実施例1】ポリ乳酸系樹脂として株式会社島津製作所のポリ乳酸ラクティー(登録商標)#9030(ポリD/L乳酸、重量平均分子量14×104、光学純度92%、ガラス転移転60℃、融点150℃)をスクリュー直径30mmφサイズの押出機で溶融紡出し、紡口ノズル(200ホール)から吐出された樹脂(吐出量3kg/hr)を冷却した後、80℃の加熱槽で加熱すると同時に速度差ローラーで3.5倍に延伸し、90℃の加熱槽でヒートセットした後、1台の巻取機により紙管に巻き取り、断面が円形で単糸の繊維径が0.014mmであり、糸の総デニールが350デニールであるマルチフィラメントの繊維を得た。得られた繊維について、上記方法により生分解性とカール保持性とヘアー収束性を評価し、総合判定を行った結果を表1に示す。得られた繊維は、光沢、透明性があり、良好な生分解性と格段に優れたヘアースタイリング性能を有する繊維であることが確かめられた。 【0026】 【実施例2】実施例1のポリ乳酸系樹脂を、スクリュー直径30mmφサイズの押出機で押出すと同時に、ポリエチレングリコール(分子量1000)が樹脂途出量に対して13wt%になる様に、押出機中央部の注入部から注入添加しながら樹脂との混練溶融紡出を行い、実施例1と同様の方法で、単糸の繊維径が0.014mmであり、糸の総デニールが350デニールであるマルチフィラメントの繊維を得た。得られた繊維について、上記方法により生分解性とカール保持性とヘアー収束性を評価し、総合判定を行った結果を表1に示す。得られた繊維は、光沢、透明性があり、良好な生分解性と優れたヘアースタイリング性能を有する繊維であることが確かめられた。 【0027】 【実施例3】実施例1のポリ乳酸系樹脂を、スクリュー直径40mmφサイズの押出機で押出すと同時に、ポリエチレングリコール(分子量1000)が樹脂途出量に対して20wt%になる様に、押出機中央部の注入部から注入添加しながら樹脂との混練溶融紡出を行い、紡口ノズル(40ホール)から吐出された樹脂(吐出量15kg/hr)を冷却した後、80℃の加熱槽で加熱すると同時に速度差ローラーで3.5倍に延伸し、90℃の加熱槽に通した後、各20フィラメントに分けて2台の巻取機により紙管に巻き取り、断面が円形であり単糸の繊維径が0.07mmであり、糸の総デニールが860デニールであるマルチフィラメントの繊維を得た。得られた繊維について、上記方法により生分解性とカール保持性とヘアー収束性を評価し、総合判定を行った結果を表2に示す。得られた繊維は、光沢、透明性があり、良好な生分解性と優れたヘアースタイリング性能を有する繊維であることが確かめられた。 【0028】 【実施例4】実施例1のポリ乳酸系樹脂に対して黒色顔料であるカーボンブラック(三菱化学株式会社製MA100)を0.2%ドライブレンドした組成物を用い、スクリュー直径40mmφサイズの押出機で押出すると同時に、ポリエチレングリコール(分子量1000)が樹脂途出量に対して13wt%になる様に、押出機中央部の注入部から注入添加しながら樹脂との混練溶融紡出を行い、実施例3と同様の方法で、単糸の繊維径が0.07mmであり、糸の総デニールが860デニールであるマルチフィラメントの繊維を得た。得られた繊維について、上記方法により生分解性とカール保持性とヘアー収束性を評価し総合判定を行った結果を表2に示す。得られた繊維は、人形頭髪としてふさわしい黒色と光沢を有する繊維であると同時に良好な生分解性があり、なおかつ格段に優れたヘアースタイリング性能を有する繊維であることが確かめられた。 【0029】 【実施例5】実施例1のポリ乳酸系樹脂を、スクリュー直径40mmφサイズの押出機で押出すと同時に、ポリエチレングリコール(分子量1000)が樹脂途出量に対して7wt%になる様に、押出機中央部の注入部から注入添加しながら樹脂との混練溶融紡出を行い、実施例3と同様の方法で、単糸の繊維径が0.07mmであり、糸の総デニールが860デニールのマルチフィラメントの繊維を得た。得られた繊維について、上記方法により生分解性とカール保持性とヘアー収束性を評価し、総合判定を行った結果を表2に示す。得られた繊維は、光沢、透明性があり、良好な生分解性と優れたヘアースタイリング性能を有する繊維であることが確かめられた。 【0030】 【比較例1】塩化ビニリデンモノマー83wt%、塩化ビニルモノマー17wt%の仕込み比からなる塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体樹脂(PVDC)と、可塑剤としてクエン酸アセトトリブチル7wt%、熱安定剤としてエポキシ化アマニ油2wt%を配合し、V型ブレンダーで混合して混合物とし、次に該混合物をスクリュー直径30mmφサイズの押出機で溶融紡出し、紡口ノズル(40ホール)から吐出された樹脂(吐出量20kg/hr)を冷却した後、50℃の加熱槽で加熱すると同時に速度差ローラーで4.5倍に延伸し、各20フィラメントに分けて2台の巻取機により紙管に巻き取り、断面が円形で単糸の繊維径が0.07mmであり、糸の総デニールが1150デニールであるマルチフィラメントの繊維を得た。得られた繊維について、上記方法により生分解性とカール保持性とヘアー収束性を評価し、総合判定を行った結果を表1に示す。得られた繊維は、光沢、透明性があり、優れたヘアースタイリング性能を有する繊維であったが、生分解性のない繊維であった。 【0031】 【比較例2】ポリプロピレン樹脂(モンテル・エスディーケー・サンライズ株式会社製サンアロマーPM604)を用い、スクリュー直径40mmφサイズの押出機で溶融紡出し、紡口ノズル(40H)から吐出された樹脂(吐出量13.3kg/hr)を冷却した後、80℃の温水槽で加熱すると同時に速度差ローラーで6倍に延伸し、各20フィラメントに分けて2台の巻取機により紙管に巻き取り、断面が円形であり単糸の繊維径が0.07mmであり、糸の総デニールが620デニールであるマルチフィラメントの繊維を得た。 【0032】得られた繊維について、上記方法により生分解性とカール保持性とヘアー収束性を評価し、総合判定を行った結果を表2に示す。得られた繊維は、生分解性がなく、ヘアー収束性にも劣り、人形毛髪としては商品価値の低いものであった。以上の実施例1〜5、比較例1〜2からも明らかなように、本発明の生分解性樹脂からなる人形毛髪用繊維は、生分解性は勿論の事、光沢等外観に優れ、かつヘアースタイリング性能が優れ商品価値の高いものであることが確認された。また実施例1〜5の繊維を用いて植毛した人形は、従来の合成繊維を植毛した人形に比較しても、人形遊びを行った後、櫛でヘアーを整えると元のヘアースタイルに容易に整える事が出来、さらに光沢等外観、ヘアースタイルの質感、手触り等、同等以上に優れたものであった。 【0033】 【表1】
【0034】 【発明の効果】本発明によれば、生分解性樹脂を人形毛髪として用いた時の欠点であるヘアースタイリング性を低下せしめる事がなく、かつ光沢等外観にも優れた人形毛髪用繊維を提供できる。かかる繊維は生分解性を有し、玩具として使用された後の廃棄処理が容易ならしめるものであり、地球環境上も産業上も有用なものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜1丁目2番6号
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| 【出願日】 |
平成13年12月7日(2001.12.7) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−169967(P2003−169967A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月17日(2003.6.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−373812(P2001−373812) |
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