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【発明の名称】 ライン誘導型競走ゲーム装置における乗り換え制御システム
【発明者】 【氏名】厚地 悟
【住所又は居所】東京都港区虎ノ門四丁目3番1号コナミ株式会社内

【要約】 【課題】ライン誘導型競走ゲーム装置について、その乗り換え走行制御における乗り換え角度を可及的に緩やかにして、乗り換え走行の走行経路の外側への膨らみを小さくして、できるだけ予定通りの経路を経て、スムーズに乗り換えがなされるように、乗り換え走行制御システムを工夫すること。

【解決手段】ライン誘導型競走ゲーム装置の乗り換え制御システムにおいて、自走体が進度線と誘導線とから現在位置を認識して、誘導線に沿って走行させ、自走体の走行制御手段MPU3が、目標進度と目標誘導線の指令を受け、これらの目標進度と目標誘導線とによる目標位置と、上記現在位置とに基づいて、乗り換え方向及び乗り換え走行速度を算定して、自己完結的に乗り換え走行を制御し、直近の目標進度、目標誘導線とともに次の第2の目標進度、目標誘導線を同時に指令し、現在位置と、第2の目標進度と第2の目標誘導線とによる第2の目標位置とを結ぶ線の方向を乗り換え走行方向とすること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】上段走行面を走行する模型体を、下段走行面を走行する自走体で磁石を介して牽引して、模型体によるレースを環状トラックで展開するものであって、自走体を誘導レーンによって誘導し、中央制御装置からの指令によって、誘導レーンを乗り換えながら自走体が走行するライン誘導型競走ゲーム装置の乗り換え制御システムにおいて、自走体が進度線と誘導線とから現在位置を認識し、誘導線に沿って走行し、自走体の走行制御手段MPU3が、目標進度と目標誘導線の指令を受け、これらの目標進度と目標誘導線とによる目標位置と、上記現在位置とに基づいて、乗り換え方向及び乗り換え走行速度を算定して、自己完結的に乗り換え走行を制御し、直近の目標進度、目標誘導線とともに次の第2の目標進度、目標誘導線を同時に指令し、現在位置と、第2の目標進度と第2の目標誘導線とによる第2の目標位置とを結ぶ線の方向を乗り換え走行方向とする、ライン誘導型競走ゲーム装置における乗り換え制御システム。
【請求項2】請求項1のライン誘導型競走ゲーム装置における乗り換え制御システムにおいて、自走体の目標進度線(y3)への到達点の、当該目標進度線(y3)上の位置(y3,xm)を、乗り換え方向の角度に基づく走行制御手段(MPU3)の演算によって決定するようにしたライン誘導型競走ゲーム装置における乗り換え制御システム。
【請求項3】請求項1のライン誘導型競走ゲーム装置における乗り換え制御システムにおいて、誘導線間に多数の仮想誘導線を走行制御手段のCPU内で規定し、誘導線追跡用受光素子の受光量の変化を分析して、上記仮想誘導線の順番を特定することにより、自走体の進度線(y3)との交点の、当該進度線上における誘導線と誘導線との間の位置(xn)を決定するようにしたライン誘導型競走ゲーム装置における乗り換え制御システム。
【請求項4】自走体の走行制御手段(MPU3)が目標進度到達時間を指令され、当該目標進度到達時間と目標進度までの距離とに基づいて走行速度を演算して決定する、請求項2または請求項3のライン誘導型競走ゲーム装置における乗り換え制御システム。
【請求項5】目標進度までの走行距離と目標進度到達時間とに基づいて、目標進度に到達するまでの間に、走行速度を複数回繰り返して演算して決定する請求項4のライン誘導型競走ゲーム装置における乗り換え制御システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、上段走行面を走行する模型体を、下段走行面を走行する自走体で磁石を介して牽引して、模型体によるレースを環状トラックで展開するものであって、自走体を誘導レーンによって誘導し、中央制御装置からの指令によって、誘導線を乗り換えながら自走体が走行する競走ゲーム装置において、中央制御装置からの走行指令に応じて誘導レーンを逐次乗り換えるについて、自走体の相互干渉、スリップなどの外乱による乗り換え走行の不安定さを可及的に低減して、乗り換え走行の不安定化によるレースの乱れを回避することができるものである。
【0002】
【従来の技術】上段の模型体走行面上で模型体を走行させ、下段を走行する自走体で上記模型体を磁石を介して牽引する競走ゲーム装置として、個々の自走体を下段の走行面に敷設したレールで誘導するタイプのものがあり、また、2次元座標上の自走体の位置を逐次検出し、2次元座標上の目標位置と位置検出手段で検出した位置とによってフィードバック制御しながら目標位置を順次追跡走行させるようにして、自走体を無軌道走行させるものもある(特許第2645851号公報)。また、走行面に密に敷設した誘導レーンを、自走体が備えているレーン検出手段で検出しながら、自走体の走行制御装置で自己完結的にフィードバック制御して、誘導レーンを追跡走行させるものもある(特開平10−232712号公報)。2次元座標上の目標位置と、逐次検出した位置(2次元座標位置)とでフィードバック制御して、目標位置を順次経由しながら所定の走行経路を走行させる上記従来技術は、2次元座標上の位置を細かく表示する位置表示装置が必要であるとともに、これに対応する自走体の位置を検出する位置検出装置が必要である。また、2次元座標上の目標位置を逐次経由して走行させるために、自走体の向きを検出して、自走体の向きと次の目標位置との関係で、走行速度を勘案しながら操向角度を演算して操向制御することが必要であるので、走行制御のための情報処理が単純でなく、その制御は複雑なものとなる。また2次元座標上の目標位置を順次経由するように、プログラム上、微小間隔で目標位置を定め、これをフィードバック制御するものであるから、走行の円滑性、安定性に問題がある。さらに、ゲーム機本体に設けた中央制御装置は複雑な情報処理を行いながら自走体の走行を位置情報に基づいてフィードバック制御するものであるから制御システムが複雑であり、それだけコスト高になることが避けられない。
【0003】他方、誘導レーンを追跡走行させるものは、基本的には走行経路を誘導ライン(又は誘導線)で誘導するからその走行の円滑性、安定性において優れている。しかし、走行経路の単純さ、競走の不自然さがあることは否めず、これを解消するために誘導レーンの乗り換えを適宜行わせることが必要である。また、誘導レーンを追跡走行する自走体の走行制御は、基本的には速度制御と乗り換え制御であるからその走行制御及びその制御システムは単純である。しかし、レースの進行状況からして乗り換えのタイミングがずれると、レースのリアルさが著しく損なわれることになる。したがって、レースの進行状況からして違和感のないように適切なタイミングでの乗り換え制御、速度制御などの走行制御を行って、レースのリアルさを如何に実現するかが残された問題である。
【0004】特開平10−232712号公報に記載されたものは、レースのスタート段階で、乗り換え位置と乗り換え方向、及び途中の走行速度を、自走体の制御メモリに一括して記憶させ、個々の自走体はこの一括記憶された走行制御指令どおりに、所定の速度で、所定のとおりに誘導レーンを順次乗り換えながらゴールまで走行することになる。しかし、実際には、スタート時に一括記憶させた走行制御指令速度で自走体が走行しない(スリップなどのため)ことが多々あるので、レースが予定どおりに実行されない場合が少なくない。このためにレースの進行状況からすれば乗り換えのタイミングがずれ、不自然な状態で乗り換えが行われ、その結果、レース進行が極めて不自然なものになりかねない。これは、実際のレース状況とは関わり無く、レーススタート時点で一括して入力された走行制御指令によってゴールまで走行制御されるために生じる問題である。
【0005】ところで、多数の自走体をまとまりのとれた一群のものとして一括して走行制御するには、全ての自走体の散らばりが、ある範囲内にあることが必要である。特定の自走体が予定速度よりも速く走行することはないが、予定よりも大きく遅れることが多々あり、そのためにレースが壊される場合が少なくない。自走体のメモリに予め一括して記憶させた制御データと、検出した自走体の走行速度を基準にして速度制御するもの、あるいは、予め用意した制御データを中央制御装置から機械的に順次自走体に送信し、検出した走行速度データに基づいて速度制御するものにおいては、少数の自走体の走行遅延によって生じるレースの乱れを修正することはできない。予め用意した制御データを中央制御装置から機械的に順次送信するものについては、自走体からの速度検知データをフィードバックして補正をかけることもできないではないが、走行制御のための中央制御装置と自走体の走行制御装置との間の情報交換の単純さが失われ、ライン誘導型の走行制御装置の利点が失われることになる。
【0006】
【この発明の先行技術】以上の公知技術の存在を前提として、自走体が誘導レーンを追跡しながら、模型体を磁力を介して牽引する競走ゲーム装置について、自走体の走行制御手段による自走体の走行制御を可及的に単純にするとともに、レース状況に応じた乗り換え制御、速度制御などの走行制御データを適宜送信できるように、レース実行システムを工夫したものがある(特願2001−221752号。以下これを「先行技術」という)。上記の先行技術は、上段走行面を模型体が走行し、下段走行面を自走体が走行し、磁力を介して自走体で模型体を牽引して走行させる、いわば二階建構造の競走ゲーム装置であって、自走体が下段走行面に付設した多数の誘導線を乗り換えながら、指定された誘導線を追跡走行する競走ゲーム装置を基本とするものである。そして、レース進行管理部(MPU1)のレース作成部で模擬レース(コンピュータ上の模擬レース)を実行し、上記模擬レースに基づいて模型体の走行制御データを作成し、この走行制御データを中継制御装置(MPU2)を介して自走体の走行制御手段(MPU3)に送信し、走行制御手段(MPU3)の自己完結的なフィードバック制御によって指定された誘導線を追跡走行し、乗り換えを行うものである。なお、上記の走行制御データは、目標レーン、目標進度、走行速度などの極めて単純なものである。自走体は走行している誘導線番号、走行進度を認識し、これらのデータと中央制御装置からの走行制御データとに基づいて、誘導線を逐次乗り換えながら、指令された速度でゴールまで走行する。
【0007】次いで、上記「先行技術」を図1乃至図7を参照して具体的に説明する。下段走行面に多数の環状の誘導線1が密に付設されており、また、誘導線1に対して直角方向の進度計測線2が所定間隔で多数設けられている。この実施の形態においては進度計測線2は磁気ラインである。
【0008】この進度線を赤、青、緑の3本の有色線を組み合わせて用い、進度センサを、赤、青、緑に対して感度の高い3つの受光素子を組み合わせたものとすることもできる。しかし、この場合は、進度線と誘導線との検知が混線しないように、誘導線について別途工夫する必要がある。また図1に示すように、競走トラックTの一周に、誘導線1に直角方向の位置表示線3が計6個配置されている。この位置表示線3は、光信号(赤外線信号)発信器であって、誘導線番号と正確な進度とを、当該位置表示線3を横切る自走体に送信するものである。この位置表示線3は自走体のメモリに記録された誘導線番号、進度を所定間隔で修正して、走行精度を向上させるものであるから、その個数は適宜選択すればよいことであるが、4個以上であれば実用上支障はない。
【0009】自走体10の下面前方の中央に3つの受光素子10a,10b,10cを互いに近接して設けており、中央の受光素子10aが誘導線1の中心に位置し、左右の受光素子10b,10cで誘導線1を左右から挟む位置関係にある。受光素子は反射光を検知するものであり、自走体が誘導線1の中心からずれると、受光素子10aと、左右の受光素子10bまたは10cのいずれかとの2つが誘導線1を検知するようになるので、自走体の走行制御手段(MPU3)によって、受光素子10aだけで誘導線1が検知されるように自走体の走行が制御される。自走体の下面に磁気センサ11があって、進度計測線2である磁気線を横切る度に一つのパルス信号が発生する。このパルス信号を上記走行制御装置で加算することで、進度計測線(磁気線)2を横切る度に進度(スタート位置からの進度)が一つ加算されて、その時点での進度が検出されることになる。
【0010】さらに、自走体の下面に赤外線受信器12が設けられており、誘導線1を追跡しながら走行して上記位置表示線3(赤外線発信器)を横切るときに、そのときの誘導線番号と進度を位置表示線3から受信する。そして、自走体の走行制御装置のメモリに記録されている誘導線番号、進度が位置表示線3から受信した真値に書き換えられる。したがって、走行制御装置のメモリに記録された誘導線番号、進度が位置表示線3から受信した真値と一致しないときはこれで修正されるから、走行中の誘導線、進度に狂いを生じることがあっても、レース全体としては中央制御装置の中継制御装置20からの指令どおりに走行して、指令どおりにレースが実行されることになる。
【0011】ゲーム機本体の中継制御装置(MPU2)20と自走体の走行制御手段(MPU3)30との間の信号のやり取りは図6に示すとおりである。中継制御装置(MPU2)20からの走行指令(目標誘導線番号、目標進度、走行速度など)がコマンド送信部から自走体の走行制御手段(MPU3)30に送信される。中継制御装置(MPU2)20の送信部は走行指令を送信したことを契機として受信モードに切り替わり、他方、走行制御手段(MPU3)30の受信部は走行指令の受信を契機として送信モードに切り替わる。そして、メモリに記録されている進度が走行指令中の目標進度と一致しないときは、NG信号を中継制御装置(MPU2)20に返信する。自走体の進度が目標進度に到達するまで同じ走行指令が0.2秒間隔(自走体の数が10個の場合)で繰り返し送信され、進度計測値が走行指令中の進度目標に一致すると、走行制御手段(MPU3)30からOK信号が中継制御装置(MPU2)20に返信される。この走行指令は、走行トラックTを走行方向において多数の区分に区画した1区画毎に、模型体の走行に2〜5区画(段階)ほど先行して、レース進行管理部(MPU1)40のレース作成部で作成され、作成された2〜5区画のそれぞれの走行制御データのうちの最先の区画の走行制御データが中継制御装置(MPU2)20のメモリに順次設定されるが、上記区画は時間にして0.6〜1.0秒(通常走行時の走行距離にして90〜150mm)である。この区画が余り長いとレースが単調になり、他方、短すぎると走行制御が細かくなりすぎる。これらの兼ね合いからして、上記の程度が一つの目安である。
【0012】自走体10の走行は、走行制御手段(MPU3)30によって自己完結的にフィードバック制御されるが、基本的には誘導線1を受光素子で検知しながら、中央制御装置の中継制御装置(MPU2)20からの指令された走行速度で、指定された誘導線1を追跡しなから上記目標進度まで走行する。目標進度に達すると走行制御手段(MPU3)30からOK信号が送信されるから、このOK信号を受信したことを契機として、中継制御装置(MPU2)20のメモリに設定されている走行指令が次の区画のコマンドに更新され、このコマンドが送信されることになる。なお、走行指令が更新されるときは、次の走行指令を走行制御手段(MPU3)30が受信するまでの間、直前の走行指令における走行速度で走行を継続するので、走行は滑らかに継続される。受信した走行指令の目標誘導線番号が、自走体の走行制御手段(MPU3)30のメモリに記録されている誘導線番号と一致しない場合は、当該誘導せん番号と目標誘導線番号との差がゼロになるように、必要な誘導線の乗り換えを行い、一致したところでその誘導線を追跡走行するようになる。誘導線を一つ乗り換えるとき、中央の受光素子10aの出力が変化するので、この変化をカウントすることで自走体が誘導線を乗り換えた数を検知することができる。
【0013】また、自走体は誘導線1に対して所定の乗り換え角度(図7参照)で乗り換え走行するが、この乗り換え方向の角度(図7参照)については、中央制御装置から指定してもよく、また、走行速度との関係で走行制御手段(MPU3)30が適宜選択するようにしてもよい。中央制御装置から指令する場合は、自走体の走行制御手段(MPU3)30のメモリに予め多数の乗り換え角度を用意しておいて、乗り換え角度をコード番号で自走体の走行制御手段に送信し、これを受信した自走体が当該コードに対応する乗り換え角度を上記メモリから選択するようにすればよく、また、この乗り換え角度を、自走体の左右の駆動輪の回転速度差として用意しておいてもよい。さらに、自走体の走行制御手段(MPU3)が走行速度との関係で自ら選択する方式にしてもよい。この場合は、適宜に区分された走行速度範囲毎に乗り換え角度を用意しておいて、個々の走行速度から適宜の乗り換え角度を選択するようにするのもよい。
【0014】ゲーム機本体のレース進行管理部(MPU1)40のレース作成部は、個々の模擬レースにおける制御条件(出走馬、出走馬それぞれの特性、着順など)等を基礎データとして、個々の出走馬の脚足などの特性による走行を基本としつつ、追突、干渉を避けるために必要な所定の計算条件に従って演算を繰り返して、馬群の纏まりを保ちつつ整然とした模擬レースをコンピュータ内で進行させる。そして、この模擬レースにおける走行制御データから、ライン誘導型競走ゲーム装置における目標誘導線、目標進度、走行速度等の走行制御データを作成して、これを順次バッファメモリに設定する。なお、模擬レースの演算は、自走体走行面の誘導線と進度目盛り線(進度計測線又は進度線と同じ)とによるxy座標と符合するXY座標の下でなされるから、模擬レースが展開されるXY座標上の位置は、自走体走行面の誘導線番号と進度とによる位置との相関関係から、レーン番号と進度とによる走行面上の位置に変換される。また、模擬レースのための演算はこの例では、上記走行区画にして4区画(レース進行の観点からすれば4段階)だけ模型体のレースよりも先行して行われ、模擬レースの制御データがレース進行管理部(MPU1)40のレース作成部のバッファメモリに蓄積され、一区画(レース進行の一段階)分レースが進行する毎に、メモリに蓄積されている制御データが順次更新される。また、MPU2からのOK信号の返信に応答して、レース進行管理部(MPU1)40のレース作成部のメモリ内の制御データを順に中継制御装置(MPU2)20に送信して、そのメモリに記録されている指令を更新させる。
【0015】なお、上記MPU1のレース作成部による模擬レースは、スタート時点において制御条件の一つとして与えられた着順になるようにする。上記レース作成部は各模型体に与えられた馬脚などの特性(模型体の馬脚、年齢、性別などによる特性)によって模擬レースを行うことを基本とし、中継制御装置(MPU2)20が管理するレース進行タイマー50が、模擬レースの制御タイマーを兼ねている。何等かの障害によって、特定の自走体が目標進度に遅れて到達した場合は、その遅れに合わせるように、レース進行タイマー50の計時速度が遅らされ、これによって、上記MPU1のレース作成部で実行される模擬レースの進行速度が遅らされる。他方、中継制御装置(MPU2)20が目標進度への到達が遅れていない他の自走体に対する走行速度を、レース進行タイマー50の計時速度の遅延に応じた割合で減速処理して、当該自走体の走行速度を遅延させ、これによって模型体のレース進行を遅らせる。
【0016】上記のように中継制御装置(MPU2)20が管理するレース進行タイマー50がMPU1のレース作成部による模擬レースの制御タイマーを兼ねており、かつ、上記中継制御装置(MPU2)20が模型体のレースを遅延させることによって、模擬レースの進行速度と自走体によるレースの進行速度が同期するようになる。また、実際のレースの進行状況に合わせて上記レース作成部による模擬レースが進行される。
【0017】
【先行技術の問題点】ライン誘導型の競走ゲーム装置では、誘導ライン(誘導線と同じ、以下「誘導線」という)に沿って走行している限り、相互干渉、スリップなどの外乱があっても、誘導線によって走行基準が明確に規定されているので、フィードバック制御によってその走行は安定的に制御される。ところで、乗り換え走行制御時の乗り換え走行方向を定めるには、走行方向の角度を予め選定してあってその角度方向に走行するように左右の駆動輪を駆動して目標誘導線に向けて走行させる手法、あるいは、指令された次の目標誘導線と目標進度線の交点を目標点として走行方向を算定し、その角度方向に走行するように左右の駆動輪を駆動して目標誘導線に向けて走行させる手法など、種々の手法を採用することができる。この発明は後者の手法による場合についてのものである。後者の手法による場合は、上記先行技術によれば、乗り換え誘導線の変更がない場合は、自走体はそのままの誘導線を単純に追跡走行するが、乗り換え誘導線の変更がある場合は、指令された目標進度と目標誘導線との交点を目標位置にして、その方向への走行角度を算定し、この算定した走行角度を基にして必要な転向操作を行い、やがて目標誘導線に乗せる(乗り継がせる)ことになる。ところが、乗り換え走行においては、外側に膨らんだ経路wを辿る(図8の一点鎖線の経路参照)ので、乗り換え走行が予定どおりに行われず、このためにレースがスムーズに進行しなくなる場合がある。
【0018】
【解決しようとする課題】そこで、この発明は、ライン誘導型競走ゲーム装置について、その乗り換え走行制御における乗り換え角度を可及的に緩やかにして、乗り換え走行の走行経路の外側への膨らみを小さくして、できるだけ予定通りの経路を経て、スムーズに乗り換えがなされるように、乗り換え走行制御システムを工夫することをその課題とするものである。
【0019】
【課題解決のために講じた手段】上記課題解決のための手段は、先行技術における乗り換え走行制御を次のようにしたことである。
(イ)自走体が進度線と誘導線とから現在位置を認識して、誘導線に沿って走行させること、(ロ)自走体の走行制御手段MPU3が、目標進度と目標誘導線の指令を受け、これらの目標進度と目標誘導線とによる目標位置と、上記現在位置とに基づいて、乗り換え方向及び乗り換え走行速度を算定して、自己完結的に乗り換え走行を制御すること、(ハ)直近の目標進度、目標誘導線とともに次の第2の目標進度、目標誘導線を同時に指令し、現在位置と、第2の目標進度と第2の目標誘導線とによる第2の目標位置とを結ぶ線の方向を乗り換え走行方向とすること。
【0020】
【作用】図8を参照して作用を説明する。誘導線x0を走行中、目標進度y0に達すると、そのときのOK信号に応答して中継制御装置(MPU2)から目標進度y3が走行制御手段(MPU3)に指令される。このとき、目標進度y3,誘導線x0とともに第2の目標進度y6、目標誘導線x2が指令され、第2の目標において誘導線の変更があるから、走行制御手段MPU3は、進度y0に達したとき、その交点(y0,x0)と上記の目標進度y6、目標誘導線x2の交点(y6,x2)とを結ぶ線L1(いわば乗り換え線)に向けて転向させるように制御し、上記線L1の方向に走行して目標進度y3に達したときに、OK信号を中継制御装置(MPU2)に送信する。このOK信号に応答して、目標進度6y、目標誘導線x2が指令されるとともに第2の目標進度y9、目標誘導線x2が指令される。このとき、走行制御手段MPU3は、自走体の目標進度線y3と上記線L1との交点の位置(xm)を、走行制御手段のCPUの適宜の演算によって判別し、当該位置(y3,xm)と第2の目標進度y9、目標誘導線x2の交点(y9,x2)とを結ぶ線L2の方向に転向させるように制御して目標誘導線x2に乗り継がせる。以上のように、乗り換え開始点(y3,x0)の1つ手前の段階(y0,x0)で、乗り換え目標位置(y6,x2)に向けた乗り換えを開始するので、所定の乗り換え開始位置(y3,x0)で乗り換え目標位置(y6,x2)に向けて乗り換えを開始する場合に比して、転向角度(図8における(90度−Θ)の角度)が緩やかになる。したがって、この乗り換え開始後の走行経路の外側への膨らみが著しく低減される。また、自走体が目標進度y3に達した場合の当該目標誘導線x2と上記線L2との間の角度は乗り換え開始の場合と同様に緩やかになるので、その分だけ目標誘導線x2への乗り継ぎも滑らかになる。したがって、乗り換え開始点(y0,x0)及び乗り換え点(y9,x2)における、走行経路の膨らみが低減され、全体として比較的滑らかな経路に沿ってほぼ予定どおりに乗り換え走行がなされる。
【0021】
【実施態様1】実施態様1は、上記解決手段において、(ホ)自走体の目標進度y3への到達点の、当該目標進度線(y3)上の位置(y3,xm、図8参照)を、乗り換え方向の角度Θに基づく走行制御手段(MPU3)の演算によって決定するようにすることである。
【0022】
【作用】次いで図8を参照して作用を説明する。乗り換え開始点(y0,x0)と第2の目標進度(y6)と目標誘導線(x2)の交点を結ぶ線Lの方向を乗り換え方向とし、上記線L1の角度Θに基づいて上記線L1と目標進度線(y3)との交点(y3,xm)を求める。この交点の位置(y3,xm)と、進度線y3に到達したときに指令される第2の目標進度y9と目標誘導線x2の交点(y9,x2)とを結ぶ線L2の方向が、いわば目標誘導線x2への進入方向となる。上記線L2と目標進度線x1との間の角度は、乗り換え開始点(y0、x0)における上記線L1と誘導線x0の間の角度(角度(90度−Θ))よりも小さいので、交点(y3,xm)から目標誘導線x2への走行経路の膨らみが低減され、目標誘導線x2への乗り継ぎが極めて滑らかになる。
【0023】
【実施態様2】実施態様2は、上記解決手段において、(ヘ)誘導線間に多数の仮想誘導線を走行制御手段のCPU内で規定し、誘導線追跡用受光素子の受光量の変化を分析して、上記仮想誘導線の順番を特定することにより、自走体の進度線(y3)への到達点の、当該進度線(y3)上における誘導線と誘導線との間の位置(xn、図9参照)を決定することである。
【0024】
【作用】次いで図9を参照して作用を説明する。走行制御手段(MPU3)のCPUによって誘導線追跡用受光素子の受光量の変化を分析して、自走体と目標誘導線x1との実際の位置関係が決定されるので、乗り換え走行中の走行経路の乱れ(外乱などによる)の影響が排除される。したがって、目標進度y3への到達点の目標進度y3上の位置(y3,xn)と第2の目標位置(y9,x1)とを結ぶ線L2の方向(角度)の設定、すなわち乗り換え走行経路の第2段階の方向(角度)の設定が実際の走行状態に基づいて成され、乗り換え走行制御の精度が向上し、安定した乗り換え走行がなされる。
【0025】
【実施態様3】実施態様3は、実施態様1又は実施態様2において、自走体の走行制御手段(MPU3)が目標進度到達時間を指令され、当該目標進度到達時間と目標進度までの距離とに基づいて走行速度を演算して決定することである。
【作用】走行速度に関する走行指令が、目標進度と目標進度到達時間とによって与えられ、自走体の走行制御手段(MPU3)によって走行速度を決定するから、模型体の走行遅延が自走体の走行制御手段の速度制御によって回復されることになる。したがって上記遅延回復のための情報処理をレース進行管理部で行う場合に比して単純化される。
【0026】
【実施態様4】実施態様4は、実施態様3において目標進度までの走行距離と目標進度到達時間とに基づいて、目標進度に到達するまでの間に走行速度を複数回繰り返して演算し、決定することである。
【作用】目標進度に到達するまでの間、残り距離と残り時間とに基づいて走行速度の演算・決定を複数回繰り返すので、目標進度到達時間を基準としたフィードバック制御がなされ、したがって、スリップなどの外乱による走行遅延を速やかに回復して目標進度到達時間に正確に目標進度に到達する。それゆえ、自走体の走行がレース作成部で実行される模擬レースにおける模型体の走行に確実に倣うことになって、レース進行が円滑になされる。
【0027】
【実施の形態】誘導線1の幅が6mm、ピッチが12mmで、進度線の間隔(ピッチ)10mmのライン誘導型競馬ゲーム装置の自走体の走行制御システムにこの発明を適用した例を説明する。この競馬ゲーム装置においては1回の走行指令によって、目標進度、目標誘導線番号、目標進度への到達時間が与えられ、指令された目標到達時間と目標進度と基づいて、走行制御手段MPU3がその間の走行速度を演算して決定する。図9の例は、この発明による乗り換え制御を最も単純にしたものである。自走体10は、誘導線x0を追跡走行していて、その進度がy0の位置にあって、進度y0に到達してOK信号を中継制御装置MPU2に返信し、目標進度y3、目標誘導線x0を受信した状態にある。このとき、目標進度y3、目標誘導線x0とともに、次の第2目の目標進度y6と目標誘導x1をも受信するので、この時点で、走行制御手段(MPU3)は進度y0において、現在位置(y0,x0)から乗り換え目標位置(y6,x1)へ向う角度(いわば乗り換え角度)Θを演算する。この角度Θは、現在位置(y0,x0)から乗り換え目標位置(y6,x1)とを結ぶ線L1の角度(すなわち6進度/1誘導線間隔の角度)である。そこで、目標進度y3に到達するまでの目標到達時間tを勘案して、走行制御手段(MPU3)が上記線L1の方向での走行速度を演算し、これに基づいて上記線L1の方向への転向を開始させる。いうまでもないが、乗り換え方向での走行速度は、上記線L1の方向での走行距離と目標進度到達時間とに基づいて演算され、上記線L1の方向での走行距離は、当該線L1の方向の角度と、目標進度数3(y3−y1)と乗り換え幅1(x1−x0)とによって幾何学的に演算される。このようにして乗り換え走行中に目標進度y3に到達すると、走行制御手段(MPU3)はOK信号を中継制御装置(MPU2)に返信し、これに応答して、MPU2が目標進度y6,目標誘導線x1を指令し、同時に次の第2の目標進度y9,誘導ラインx1を指令する。目標進度線y3に到達した段階で、当該位置(進度線y3上の位置)を判別し、当該位置と次の目標位置(y9,x1)とを結ぶ線L2の角度Θ1を演算し、当該方向へ指向させるために第2段階の転向制御を行う。上記角度Θ1の演算は、上記Θの演算と同様であり、自走体の走行方向は第2段階の転向制御によって、上記角度ΘからΘ1の方向に変更されることになる。
【0028】進度線y3上の上記位置は、上記線L1の進度線y3との交点(y3,xm)として幾何学的演算によって求めることもできるが、乗り換え走行開始位置(y0,x0)からの第1段階の実際の走行経路は外側に膨らむので、計算上の位置(xm)と誤差を生じる。この実施例においては、実際の位置xnを光学的に検出して、当該位置(y3,xn)と目標位置(y9,x1)とを結ぶ線L2の方向の角度Θ1を求め、当該角度Θ1を基にして、目標進度y6への目標到達時間を勘案して、乗り換え走行における第2段階での走行速度を演算する。上記の実際の位置(y3,xn)は、走行制御手段のCPU内での仮想位置であり(以下これを「仮想位置」という)、ライン追跡用の3つの受光素子10a,10b,10cの出力変化を利用して、次のようにして検出される。
【0029】
【仮想位置の検出方法】図10、図11を参照して仮想位置検出方法の概略を説明する。自走体裏面の中央の受光素子10aの検出範囲の中心が誘導線1の中心線sに一致している状態から、例えば進行方向右方(図10におけるy方向)に移動すると、受光素子10aによる誘導線1の検出幅が減少し、その分だけ受光素子10aの受光量が変化する。他方、右方の受光素子10cによる誘導線1の検出幅が減少し、その分だけ右方の受光素子10cの受光量が変化し、他方、左方の受光素子10bによる誘導線1の検出幅が増大し、その分だけ左方の受光素子10bの受光量が変化する。上記の右方向への移動量(誘導線1の中心sからのずれ量)が誘導線1の1ピッチに達したとき、3つの受光素子の受光量は元に戻る。この間の受光量を電気量に変換することによって、上記ずれ量を電気量の変化量として検出することができる。左右の受光素子による受光量の上記の変化は互いに反対方向であるから、この変化量の差の変化によって、自走体の誘導線1の中心線sからのずれの方向が検知される。
【0030】他方、誘導線1,1の中心線間の仮想誘導線を自走体の走行制御手段(MPU3)において規定し、この規定値と受光素子の受光量に比例する電気量とを比較することで、上記走行制御手段が自走体の誘導線1の中心線sからのずれ量を判別することができる。そして、上記のずれ量から誘導線1,1の間における自走体の位置(図9におけるxn)が特定される。
【0031】例えば、誘導線1,1間を上記仮想誘導線p1,p2,・・・pnで等分し、この仮想誘導線をp1,p2,p3,・・・pnとするとき、走行制御手段(MPU3)によって制御されて、自走体10は誘導線1の中心から仮想誘導線p1の方向へ向かって斜め(例えば、図10における矢印方向)に走行することになる。このとき、3つの受光素子の受光量が図11のように変化するから、この変化量と仮想誘導線p1,p2,p3,・・・pnとの相関関係から、上記変化量を検出することによって仮想誘導線p1,p2,p3,・・を判別することができる。この位置検出システムによる場合は、図8、図9の誘導線x0,x1,x2・・・の間に位置する上記仮想誘導線p1,p2,p3が走行制御手段(MPU3)で規定されていて、自走体の誘導線間の位置が仮想誘導線の番号として走行制御手段(MPU3)によって順次特定されることになる。なお、各誘導線と仮想誘導線p1,p2,p3との位置関係は走行制御手段(MPU3)において認識されているから、誘導線x0,x1,x2・・・と仮想誘導線p1,p2,p3とは走行制御手段(MPU3)において関連付けられている。
【0032】以上の実施例は、走行速度を走行指令として与えるのではなく、目標進度への目標到達時間が与えられるものであるが、走行指令として速度情報が与えられる場合は、目標進度へ所定の時間で到達するために必要な走行速度がレース進行管理部で演算されて、これが自走体の走行制御手段(MPU3)に指令される。したがって、自走体は目標進度に到達するまで指令された速度で走行することになる。しかし、実際には、自走体の相互接触、スリップなどのために走行速度は一定せず、したがって、目標進度への到達時刻が安定しない。これに対して上記実施例のように目標到達時間が指令される場合は、目標進度までの走行距離(進度によって計測される走行距離)と残り目標到達時間とによって走行速度が繰り返し演算され、目標進度に到達するまでこれを複数回繰り返すことができる。このように目標進度に到達するまで走行速度の演算を複数回繰り返す場合は、その間の走行速度が残り距離と残り時間とに応じて逐次変動し、その結果、予定どおりの時間で目標進度に到達することになる。すなわち走行制御手段(MPU3)によって目標到達時間を基準にして走行速度がフィードバック制御されることになる。
【0033】
【発明の効果】レース進行管理部(MPU1)のゲーム作成部でコンピュータ上の模擬レースを展開させて、これを模型体のレースで模倣させる先行技術においては、誘導線間の乗り換えが鋭角的になることが避けられず、また、このために乗り換え走行経路が大きく外側に膨らみ、その結果、予定どおりの経路にそって乗り換え走行させることは難しい。このために、自走体の走行経路が上記模擬レースにおける模型体の走行と必ずしも一致せず、レース進行上の種々の不都合を生じる。しかし、自走体からのOK信号に応答して中継制御手段MPU2から発信される走行指令によって、直近の制御データとともにその一つ先の制御データを走行制御手段(MPU3)に与えておくことによって、走行制御手段は、乗り換え位置を1ステップだけ先読みして、これを取り込んだ形で乗り換えを開始するので、乗り換え走行の転向角度が滑らかになり、乗り換え走行をよりスムーズにし、これによって、乗り換え走行の上記模擬レースにおける模型体の進路変更とのずれを可及的に減少させることができる。それゆえ、乗り換え走行時の走行経路の大きな乱れを回避し、模型体によるレースを、上記模擬レールに倣ってスムーズに進行させることができる。
【出願人】 【識別番号】000105637
【氏名又は名称】コナミ株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内2丁目4番1号
【出願日】 平成13年11月30日(2001.11.30)
【代理人】 【識別番号】100110386
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 敏雄
【公開番号】 特開2003−164659(P2003−164659A)
【公開日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願番号】 特願2001−366855(P2001−366855)