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【発明の名称】 ゲーム機におけるアーム把持力調整機構
【発明者】 【氏名】椎野 隆司
【住所又は居所】東京都大田区多摩川2丁目8番5号 株式会社ナムコ内

【氏名】廣瀬 博和
【住所又は居所】東京都大田区多摩川2丁目8番5号 株式会社ナムコ内

【要約】 【課題】景品を挟持するアームの把持力を簡単に調整することができるものを提供する。

【解決手段】景品を把持する複数のアーム9が、景品を把持する方向に付勢された状態でアームブラケット21に開閉可能に支持されたゲーム機のアーム把持力調整機構であって、アーム9とアームブラケット21との間にアーム9を閉じる方向に付勢するコイルスプリング38を介装し、コイルスプリング38とアーム9あるいはアームブラケット21との間に、蝶ナット39によりコイルスプリング38の取付長Lを調整可能なバネ用ポストボルト36を設けたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 景品を把持する複数のアームが、景品を把持する方向に付勢された状態でアーム支持部に開閉可能に支持されたゲーム機のアーム把持力調整機構であって、アームとアーム支持部との間にアームを閉じる方向に付勢する弾性部材を介装し、弾性部材とアームあるいはアーム支持部との間に、ロック部材により弾性部材の取付長を調整可能な調整ロッドを設けたことを特徴とするゲーム機におけるアーム把持力調整機構。
【請求項2】 上記ロック部材が締め込みのためのレバー部を有しており、このレバー部を受容し、ロック部材の回転を規制するストッパ部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のゲーム機におけるアーム把持力調整機構。
【請求項3】 前記ロック部材は、レバー部とナット部とを有し、ナット部よりもレバー部全幅が大きく、かつ、ストッパ部材の内幅がレバー部全幅より小さく設定されていることを特徴とする請求項2に記載のゲーム機におけるアーム把持力調整機構。
【請求項4】 前記ストッパ部材にレバー部の動きを規制するスリットを設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のゲーム機におけるアーム把持力調整機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ゲーム機におけるアーム把持力調整機構に関するものであり、特に、景品の把持力を多段階かつ簡単に微調整できるものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、景品獲得ゲームとしてクレーンゲーム機が広く知られている。このクレーンゲーム機は、複数の景品が配置されたケース内で目的とする景品の上方位置に把持つめ装置を移動させ、次いで、把持つめ装置を下降させて把持つめ装置の爪部材により景品を把持しその後上昇させ、把持された景品を落とし口まで運んで景品を獲得するものである。
【0003】例えば、実公平7−15585号公報に記載されているクレーンゲーム機においては、対向する一対の把持つめを開閉可能に軸支し、これら把持つめを開閉することにより景品を把持するものであるが、把持つめを閉じる方向に付勢するコイルスプリングを設けて、このコイルスプリングの付勢力により景品を把持するようになっている。また、特許第2564653号公報に記載されているように、一対の把持爪を支持軸に設けたトーションスプリングにより景品を把持する方向に付勢して開閉可能に支持したものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、クレーンゲーム機では、景品を挟持することで景品を獲得する構造が一般的であるが、この挟持力が大きすぎると、景品の獲得率が高くなり過ぎ採算性が悪化するという問題がある。一方、上記挟持力が小さ過ぎると景品の獲得率が低下するため、当初は採算性は上がるが、景品が獲得できる可能性が低くなるため、ゲームを行う遊技者の数が減少し稼働率が低下するという問題がある。
【0005】ところが上述した従来技術の前者においては、このような微妙な挟持力の調整を行うためには、その都度コイルスプリングを取り外しバネ定数の異なるコイルスプリングを付け替えなければならず、調整に時間がかかるという問題がある。また、従来技術の後者においては、把持爪の支持軸に設けたトーションスプリングを取り外すために場合によっては、把持爪自体を取り外す必要があり、作業が面倒であるという問題がある。そこで、この発明は、景品を挟持するアームの把持力を簡単に調整することができるゲーム機におけるアーム把持力調整機構を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、景品を把持する複数のアーム(例えば、実施形態における右アーム9b、左アーム9a)が、景品を把持する方向に付勢された状態でアーム支持部(例えば、実施形態におけるアームブラケット21)に開閉可能に支持されたゲーム機のアーム把持力調整機構であって、アームとアーム支持部との間にアームを閉じる方向に付勢する弾性部材(例えば、実施形態におけるコイルスプリング38)を介装し、弾性部材とアームあるいはアーム支持部との間に、ロック部材(例えば、実施形態における蝶ナット39)により弾性部材の取付長を調整可能な調整ロッド(例えば、実施形態におけるバネ用ポストボルト36)を設けたことを特徴とする。このように構成することで、ロック部材により調整ロッドを変位させアームとアーム支持部との間に設けられた弾性部材の取付長を調整することで、弾性部材の弾性力によりアームに作用する景品を挟持する把持力を微妙に調整できる。
【0007】請求項2に記載した発明は、上記ロック部材が締め込みのためのレバー部(例えば、実施形態におけるレバー部40)を有しており、このレバー部を受容し、ロック部材の回転を規制するストッパ部材(例えば、実施形態におけるストッパ部材41)を設けたことを特徴とする。このように構成することで、ロック部材が振動等により回ろうとしても、ストッパ部材によりロック部材の回転が規制されて、ロック部材で設定された調整ロッドの位置は保持され、セットされたアーム把持力が変化するのを防止できる。
【0008】請求項3に記載した発明は、前記ロック部材は、レバー部とナット部とを有し、ナット部よりもレバー部全幅(例えば、実施形態における全幅L2)が大きく、かつ、ストッパ部材の内幅(例えば、実施形態における内幅L3)がレバー部全幅より小さく設定されていることを特徴とする。このように構成することで、ストッパ部材によりロック部材が確実に回り止めされる。
【0009】請求項4に記載した発明は、前記ストッパ部材にレバー部の動きを規制するスリット(例えば、実施形態におけるスリット44)を設けたことを特徴とする。このように構成することで、スリットにより、レバー部の動きを確実に規制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1はこの発明の実施形態のクレーンゲーム機の全体斜視図、図2は把持装置の斜視図である。この実施形態は1つの筐体1に2つのクレーンゲーム機2が左右に設けられたものであるが、1つの筐体1に1つ、あるいは3つ以上のクレーンゲーム機2を備えたものであってもよい。図1に示すように、筐体1の下半部には前面の上部にクレーンゲーム機2の操作ボタン3とコイン投入口5が各々設けられ、前面の下部には景品出口4が各々設けられている。前記操作ボタン3は左側が前進用スイッチSW1、真ん中が左アーム用スイッチSW2、右側が右アーム用スイッチSW3である。
【0011】筐体1の上半部は前面と側面が透明ケース6に覆われていて、左右方向中央部に設けた仕切部7により2つのクレーンゲーム機2の領域が区画されている。尚、透明ケース6は前面部6bと両側部6aとが開放可能に設けられ、景品の出し入れを筐体1の横からも行えるようになっている。よって、場合によってはゲーム中に景品の補充を行うことも可能となる。
【0012】透明ケース6内の各床部8には景品が配置され、この景品の上方には、前記操作ボタン3の操作により床部8の景品を2本のアーム9により把持する把持装置10が昇降可能に設けられている。床部8には景品出口4に連通する落とし口11が幅方向の全域に形成されている。ここで、Sは取り外し可能な仕切壁を示し、この仕切壁Sはアーム9により把持された景品を景品出口4に移動する際に越えなければならない障壁として機能している。尚、仕切壁Sは景品の視認性を確保するため透明の樹脂などで形成されている。また、床部8は床下の照明装置により光るような構造のものを採用し照明効果により意匠性を高めるようにしてもよい。
【0013】図2に示すように、把持装置10は、レールユニット20と左アーム9a、右アーム9bとで構成されている。そして、左アーム9aと右アーム9bはレールユニット20に水平方向に設けられたレール12に移動可能に支持され、これら左アーム9aと右アーム9bとが接近離反することで、景品を挟持開放するようになっている。各アーム9a,9bの先端には爪13が取り付けられている。ここで、上記レールユニット20はカバー14Aで覆われ、このカバー14Aの前面には、複数のLEDランプ15が配設されている。尚、各アーム9もアームカバー14Bにより覆われている。そして、上記把持装置10が2つの伸縮筒16内の各ワイヤ17を介して、後述する図示しない昇降移動装置により昇降可能、かつ、筐体1の奥行き方向に移動可能に支持されている。
【0014】図3は、図2のA−A線に沿う把持装置10の正断面図を示している。前記レールユニット20は、レール12とアームブラケット21を備えている。アームブラケット21は、両アーム9を接近離反可能、かつ、揺動可能に支持するものである。具体的にはアームブラケット21,21に設けたローラ22を介して、アームブラケット21,21がレール12に沿って移動可能に設けられると共に、後述するピン28を介して両アーム9がアームブラケット21,21に対して揺動可能に支持されている。
【0015】レール12には、右端部側と左端部側にステッピングモータM1,M2が設けられ、ステッピングモータM1の軸に固定された駆動プーリ24(右側のみを示す)と、レール12の左端部側に回転可能に支持された従動プーリ26とが両者に巻回されたタイミングベルト25を介して連係されている。このステッピングモータM1により左アーム9aが左右に移動できることとなる。同様にステッピングモータM2等により右アーム9bが左右に移動できることとなる。そして、各タイミングベルト25に固定具27を介して各アームブラケット21が固定されている。したがって、各タイミングベルト25が回動すると各アームブラケット21が移動して、左アーム9aと右アーム9bとが独立してレール12に沿って移動し、図3に鎖線で示すように景品を挟持する。
【0016】図4(a)にアーム9bを例にして示すように、アーム9bの上部右側壁には、断面L字状のスプリングブラケット29がボルト30,ナット31により取り付けられている。スプリングブラケット29には係止部32が設けられ、この係止部32はアーム9の上部右側壁の孔33から内側に突出して配置されている。一方、アームブラケット21にはスプリングブラケット29に対向する位置に取付部ブラケット34が取り付けられている。
【0017】取付ブラケット34には、前記スプリングブラケット29の係止部32に対応する位置に挿入孔35が形成され、この挿入孔35にスプリングブラケット29に向かいバネ用ポストボルト36の貫通部分36aが挿入されている。バネ用ポストボルト36の先端には係止孔37が設けられ、バネ用ポストボルト36の係止孔37と、前記スプリングブラケット29の係止部32との間にコイルスプリング38が張設されている。つまり、バネ用ポストボルト36の係止孔37と、前記スプリングブラケット29の係止部32との間がコイルスプリング38の取付長Lとなる。
【0018】そして、バネ用ポストボルト36の基端には蝶ナット39が螺着され、蝶ナット39をレバー部40を握って回動させることで、コイルスプリング38の取付長L、つまり弾性力が変化して、アーム9bの景品に対する挟持力を調整できるようになっている。
【0019】取付ブラケット34の底部には、バネ用ポストボルト36、コイルスプリング38及び蝶ナット39を包み込むようにして断面コの字形状のストッパ部材41がボルト42により着脱可能に取り付けられている。ストッパ部材41の下壁43には、図4(b)に示すように、蝶ナット39の一方のレバー部40を受容して蝶ナット39の回動を規制するスリット44が形成されている。取付ブラケット34の内幅L3は、レバー部全幅L2より小さく、かつ、蝶ナット39のレバー部40を除いた部分(ナット部)の幅よりも大きく設定されている。
【0020】次に、作用について説明する。遊技者がコイン投入口4にコインを入れ、前進用スイッチSW1を押すと、図示しない昇降移動装置により把持装置10は筐体1の奥行き方向に沿って移動し、目的とする景品の位置に対応した位置で遊技者が前進用スイッチSW1を放すとその位置で停止する。
【0021】遊技者が左アーム用スイッチSW2を押すと左アーム9aがステッピングモータM1の駆動により右方向へ移動し、遊技者が目的とする景品の左で左アーム用スイッチSW2を放すと左アーム9aは停止する。次に、遊技者が右アーム用スイッチSW3を押すと右アーム9bがステッピングモータM2の駆動により左方向へ移動し、遊技者が目的とする景品の右で右アーム用スイッチSW3を放すと右アーム9bは停止する。これにより遊技者は自らの意図した位置に両アーム9をセットできる。
【0022】そして、上記右アーム用スイッチSW3を放して右アーム9bが停止すると同時に、昇降移動装置によりワイヤ17が巻き出され把持装置10は下降する。そして、把持装置10が下降し、床8に爪13が当接したことが検知されると把持装置10の下降は停止し、両アーム9は更に近接する方向に移動して、図3に鎖線で示すようにハの字状になって景品を把持する。このとき、図6にも示すように、各アーム9の把持動作によりコイルスプリング38は伸び方向に変形して長さが(L+α)となるため、このコイルスプリング38が復帰しようとする弾性力も相俟って景品は確実に把持される。その後、昇降移動装置によりワイヤ17が巻き取られ把持装置10を上昇させた後に、把持装置10を落とし口11上に移動させて両アーム9による把持動作を解除すれば景品を景品出口4から取り出すことができる。
【0023】ここで、景品の獲得率が低すぎるため、遊技者が少なくなり稼働率が低下したような場合には景品の獲得率を調整する必要がある。景品の獲得率を上げるために、コイルスプリング38の弾性力を強くして景品の把持力を高めればよいが、以下に示すような簡単な作業でこれを行うことができる。先ず、作業に先立って透明ケース6の前面部6bを開放する。次に、ボルト42によりストッパ部材41を取り外して蝶ナット39をフリーな状態にする。そして、前記蝶ナット39をレバー部40により回動させ、図5に示すように、バネ用ポストボルト36の貫通部分36aが長くなるように調整する。つまり、これによりコイルスプリング38の取付長Lが取付長L1(L1>L)となる。
【0024】そして、ストッパ部材41のスリット44で蝶ナット39のレバー部40を回り止めした状態で、ストッパ部材41をボルト42により取付ブラケット34に固定してアーム把持力を増加させる調整作業を終了する。また、これとは逆に景品の獲得率が高すぎるため、採算性が悪化した場合には、バネ用ポストボルト36の貫通部分36aを短く調整して、コイルスプリング38の取付長Lを短くする調整作業を行えばよい。
【0025】上記実施形態によれば、蝶ナット39を締め込めばバネ用ポストボルト36の貫通部分36aの長さは長くなり、これによりコイルスプリング38の取付長Lが長くなって、アーム把持力をその分だけ増加することができると共に、蝶ナット39を緩めればバネ用ポストボルト36の貫通部分36aの長さは短くなり、これによりコイルスプリング38の取付長Lが短くなって、アーム把持力をその分だけ減少することができるため、コイルスプリング38を付け替える必要がなく、簡単な作業で上記把持力の増減を無段階で微妙に調整することができる。
【0026】また、蝶ナット39が振動等により回り方向に力を受けても、ストッパ部材41により蝶ナット39の回転が規制されて、蝶ナット39で設定されたバネ用ポストボルト36の位置は保持され、セットされたアーム把持力が変化するのを防止できるため、経時的使用によっても蝶ナット39が緩むことはなく信頼性が高まる。
【0027】尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、蝶ナット39を例にして説明したが、バネ用ポストボルト36の貫通部分36aの長さを調整してコイルスプリング38の取付長Lを調整でき、かつ、ストッパ部材41により回り止めができれば、蝶ナット39に限られるものではない。また、アーム9側にバネ用ポストボルト36を貫通させるようにしてもよい。また、バネ用ポストボルト36に替えて棒状の調整ロッドを設け、蝶ナット39に替えて調整ロッドを任意の位置で係止可能なロック部材を設け、ロック部材により最適な長さに調整した調整ロッドをロック部材により固定してコイルスプリングの取付長を調整できるようにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、ロック部材により調整ロッドを変位させアームとアーム支持部との間に設けられた弾性部材の取付長を調整することで、弾性部材の弾性力によりアームに作用する景品を挟持する把持力を多段階、かつ、簡単に微調整できるため、弾性部材を付け替える必要がなく簡単な作業で上記把持力を調整することができる効果がある。
【0029】請求項2に記載した発明によれば、ロック部材が振動等により回ろうとしても、ストッパ部材によりロック部材の回転が規制されて、ロック部材で設定された調整ロッドの位置は保持され、セットされたアーム把持力が変化するのを防止でき、請求項3に記載した発明によれば、更にストッパ部材によりロック部材が確実に回り止めされ、請求項4に記載した発明によれば、スリットによりレバー部の動きを確実に規制することができるため、経時的使用によってもロック部材が緩むことはなく信頼性が高まるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000134855
【氏名又は名称】株式会社ナムコ
【住所又は居所】東京都大田区多摩川2丁目8番5号
【出願日】 平成13年9月14日(2001.9.14)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2003−79936(P2003−79936A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−280522(P2001−280522)