| 【発明の名称】 |
ゴルフボール |
| 【発明者】 |
【氏名】大濱 啓司 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内
【氏名】遠藤 誠一郎 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】飛行性能と打球感との両方に優れたゴルフボール1の提供。
【解決手段】ゴルフボール1は、コア2と、中間層3と、カバー4とを備えている。中間層3は、ゴム又は合成樹脂を基材とするマトリクスと、このマトリクス中に分散する粒状固形物とからなる。マトリクスの硬度(ショアD)Hmは、粒状固形物の硬度Hgよりも大きい。両者の差(Hm−Hg)は、5以上である。粒状固形物の粒度Dは、0.5mm以上である。粒状固形物の粒度Dの、中間層3の厚みTに対する比(D/T)は、0.1以上である。中間層3に占める粒状固形物の比率は、3質量%以上40質量%以下である。マトリクスの硬度Hmは、30以上である。粒状固形物の硬度Hgは、40以下である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コアと、中間層と、カバーとを備えており、この中間層が、ゴム又は合成樹脂を基材とするマトリクスと、このマトリクス中に分散しかつ粒度Dが0.5mm以上である粒状固形物とを含んでおり、このマトリクスのショアD硬度がHmとされ粒状固形物のショアD硬度がHgとされたとき、(Hm−Hg)の値が5以上であるゴルフボール。 【請求項2】 上記粒状固形物の粒度Dの中間層の厚みTに対する比(D/T)が0.1以上である請求項1に記載のゴルフボール。 【請求項3】 上記中間層に占める粒状固形物の比率が3質量%以上40質量%以下である請求項1又は請求項2に記載のゴルフボール。 【請求項4】 上記マトリクスのショアD硬度Hmが30以上である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゴルフボール。 【請求項5】 上記粒状固形物のショアD硬度Hgが40以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゴルフボール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はゴルフボールに関し、詳細には、コアと中間層とカバーとを備えたソリッドゴルフボールに関するものである。 【0002】 【従来の技術】ゴルフ場でのプレーに用いられるゴルフボールは、糸ゴムが巻かれなるコアを有する糸巻きゴルフボールと、ソリッドゴムからなるコアを有するソリッドゴルフボールとに大別される。糸巻きゴルフボールは古くから使用されており、ほぼ全ての一級品ゴルフボールが糸巻きゴルフボールである時代もあった。しかし、その後に開発されたソリッドゴルフボールは製造が容易であり低コストで得られることから、最近では糸巻きゴルフボールよりもソリッドゴルフボールの方がより多く市場に供給されている。概してソリッドゴルフボールは、糸巻きゴルフボールに比して打球感が硬いという欠点を有する。一方、一般的なソリッドゴルフボールは、飛距離の点では糸巻きゴルフボールよりも優れている。打球感の改良又は飛行性能の更なる向上を意図して、コアとカバーとの間に中間層を備えたソリッドゴルフボールが提案され、市販されている。 【0003】ところで近年、ソリッドゴルフボールのコアに架橋ゴム又は合成樹脂からなる粒子(固形物)を配合する技術が種々提案されている。例えば、特開昭61−94666号公報には、高硬度ゴムであるエボナイトの粒子が配合されたコアが開示されている。特開平6−91019号公報には、ショアD硬度が約65である高分子量ポリエチレン(商品名「ミペロンXM220」)が配合されたコアが開示されている。特開平7−185039号公報には、粒径が0.8mmから7.0mmである加硫ゴム粉末がコアに配合されることで打球時の衝撃力が緩和されたゴルフボールが開示されている。特開平10−314342号公報には、中心コア層、外側コア層、内側カバー層(この内側カバー層は、コアの最外層とも見なされうる)及び外側カバー層を備えており、コアにポリプロピレン粉末が配合されたゴルフボールが開示されている。 【0004】特開2001−583公報には、コアの表面硬度よりも高硬度である粒子がコアに配合されたゴルフボールが開示されている。特開2001−584公報には、コアとの比重差が小さな粒子がコアに配合されたゴルフボールが開示されている。特開2001−587公報には、コアに粒子が配合され、かつこの粒子がコア表面に露出していないゴルフボールが開示されている。特開2001−29511公報には、熱可塑性樹脂中にゴム粒子が分散してなる中間層を備えたゴルフボールが開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】粒子が配合されたこれらのゴルフボールであっても、良好な飛行性能とソフトな打球感との両立は未だ達成されていない。本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、飛行性能と打球感との両方に優れたゴルフボールの提供をその目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明に係るゴルフボールは、コアと、中間層と、カバーとを備えている。この中間層は、ゴム又は合成樹脂を基材とするマトリクスと、このマトリクス中に分散しかつ粒度Dが0.5mm以上である粒状固形物とを含んでいる。このマトリクスのショアD硬度がHmとされ粒状固形物のショアD硬度がHgとされたとき、(Hm−Hg)の値は5以上である。 【0007】このゴルフボールの中間層は、比較的低硬度で、かつ大径の粒状固形物を含んでいる。この粒状固形物は、ゴルフボールの打球感のソフト化に寄与する。この中間層のマトリクスは、比較的高硬度である。このマトリクスは、ゴルフボールの飛行性能向上に寄与する。 【0008】好ましくは、粒状固形物の粒度Dの中間層の厚みTに対する比(D/T)は、0.1以上である。この粒状固形物の配合により、ゴルフボールの打球感がより向上する。 【0009】好ましくは、中間層に占める粒状固形物の比率は、3質量%以上40質量%以下である。この中間層を備えたゴルフボールでは、極めて優れた打球感と大きな飛距離とが達成される。 【0010】飛行性能の観点から、マトリクスのショアD硬度Hmは30以上が好ましい。さらに、打球感の観点から、ショアD硬度Hgが40以下である粒状固形物が好ましい。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。 【0012】図1は、本発明の一実施形態にかかるゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。このゴルフボール1は、コア2と、中間層3と、カバー4とを備えている。カバー4の表面には、多数のディンプル5が形成されている。このゴルフボール1は、カバー4の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。このゴルフボール1の直径は40mmから45mm、特には42mmから44mmである。米国ゴルフ協会(USGA)の規格を満たす範囲で空気抵抗を低減するという観点から、直径は42.67mm以上42.80mm以下が好ましい。このゴルフボール1の質量は、40g以上50g以下、特には44g以上47g以下である。米国ゴルフ協会の規格を満たす範囲で慣性を高める観点から、質量は45.00g以上45.93g以下が好ましい。 【0013】図2は、図1のゴルフボール1の中間層3の一部が示された拡大断面図である。中間層3は、ゴム又は合成樹脂を基材とするマトリクス6と、このマトリクス6中に分散する粒状固形物7とからなる。マトリクス6の硬度Hmは、粒状固形物7の硬度Hgよりも大きい。両者の差(Hm−Hg)は、5以上である。換言すれば、この中間層3は比較的高硬度なマトリクス6と比較的低硬度な粒状固形物7とからなる。硬度は、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して、スプリング式硬度計ショアD型によって測定される。測定の対象が樹脂組成物からなる場合は、この樹脂組成物から成形されたスラブによって硬度が測定される。測定の対象がゴム組成物が架橋されてなる場合は、このゴム組成物が対象の架橋条件と同じ条件で架橋されてなるスラブによって硬度が測定される。 【0014】高硬度なマトリクス6の採用により、ゴルフボール1の反発性能が向上する。しかも、高硬度なマトリクス6の採用によりゴルフボール1の打ち出し角が大きくなり、弾道が最適化される。優れた反発性能と最適化された弾道とによって、ゴルフボール1の飛距離が増大する。高硬度なマトリクス6の採用によって打ち出し角度が大きくなる理由は詳細には不明であるが、打撃時のミクロ的変形がゴルフボール1の中心近傍にまで至ることに起因すると推測される。 【0015】飛行性能の観点から、マトリクス6の硬度Hmは30以上が好ましく、35以上がより好ましく、40以上が特に好ましい。マトリクス6の硬度Hmが大きすぎると、低硬度な粒状固形物7の配合によっても打球感の改善が困難となるので、硬度Hmは70以下が好ましく、68以下が特に好ましい。 【0016】低硬度な粒状固形物7によって、マトリクス6が高硬度であっても、ゴルフボール1の打球感がソフトになる。換言すれば、高硬度なマトリクス6と低硬度な粒状固形物7とによって、優れた飛行性能とソフトな打球感とが両立される。低硬度な粒状固形物7によって打球感がソフトになる理由は詳細には不明であるが、打撃時に中間層3の一部(すなわち粒状固形物7)が局所的に変形するためと推測される。 【0017】打球感の観点から、粒状固形物7の硬度Hgは40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下がさらに好ましく、25以下が特に好ましい。粒状固形物7の硬度Hgが小さすぎるとゴルフボール1の耐久性が不十分となるので、粒状固形物7の硬度Hgは3以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が特に好ましい。 【0018】マトリクス6の硬度Hmと粒状固形物7の硬度Hgとの差(Hm−Hg)は、前述のように5以上である。これにより、優れた飛行性能とソフトな打球感とが両立される。この観点から、差(Hm−Hg)は10以上がより好ましく、15以上が特に好ましい。差(Hm−Hg)が大きすぎると、マトリクス6による打球感の低下が顕著となるか、又は粒状固形物7による耐久性の低下が顕著となるので、差(Hm−Hg)は50以下が好ましい。 【0019】中間層3は、粒度Dが0.5mm以上の粒状固形物7、すなわち大径の粒状固形物7を含む。大径の粒状固形物7は、ゴルフボール1の打球感を向上させる。この観点から、粒度Dが0.7mm以上の粒状固形物7がより好ましく、0.9mm以上の粒状固形物7が特に好ましい。粒度Dの上限は、後述される中間層3の厚みTとの関係で決定される。粒度Dが0.5mm以上の粒状固形物7と、粒度Dが0.5mm未満の粒状固形物7とが混在してもよい。粒度Dは、「JISZ 8801」に規定された篩が用いられ、「JIS K 6316」の規定に準拠して測定される。 【0020】中間層3の厚みTに対する粒度Dの比(D/T)が0.1以上である粒状固形物7を、中間層3が含むことが好ましい。この粒状固形物7は、ゴルフボール1の打球感を向上させる。この観点から、比(D/T)が0.2以上の粒状固形物7がより好ましく、0.3以上の粒状固形物7が特に好ましい。比(D/T)が大きすぎると中間層3の内側面又は表側面に粒状固形物7が露出してしまうので、比(D/T)が1.1以下の粒状固形物7が好ましく、0.9以下の粒状固形物7が特に好ましい。比(D/T)が0.1以上である粒状固形物7と、比(D/T)が0.1未満である粒状固形物7とが混在してもよい。中間層3の厚みTは、通常は0.3mm以上7.0mm以下、特には0.5mm以上5.0mm以下である。 【0021】中間層3に占める粒状固形物7の比率は、3質量%以上40質量%以下が好ましい。比率が上記範囲未満であると、打球感の向上が不十分となることがある。この観点から、比率は5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。比率が上記範囲を超えると、ゴルフボール1の反発性能が不十分となることがある。この観点から、比率は30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。 【0022】粒度Dが0.5mm以上の粒状固形物7と粒度Dが0.5mm未満の粒状固形物7とが混在する場合は、粒度Dが0.5mm以上の粒状固形物7が中間層3に占める比率が3質量%以上、さらには5質量%以上、特には10質量%以上とされるのが好ましい。粒度Dが0.5mm以上の粒状固形物7と粒度Dが0.5mm未満の粒状固形物7とが混在する場合は、粒状固形物7の総量が中間層3に占める比率が40質量%以下、さらには30質量%以下、特には25質量%以下とされるのが好ましい。 【0023】比(D/T)が0.1以上である粒状固形物7と、比(D/T)が0.1未満である粒状固形物7とが混在する場合は、比(D/T)が0.1以上の粒状固形物7が中間層3に占める比率が3質量%以上、さらには5質量%以上、特には10質量%以上とされるのが好ましい。比(D/T)が0.1以上である粒状固形物7と、比(D/T)が0.1未満である粒状固形物7とが混在する場合は、粒状固形物7の総量が中間層3に占める比率が40質量%以下、さらには30質量%以下、特には25質量%以下とされるのが好ましい。 【0024】マトリクス6は、ゴム又は合成樹脂を基材とする。通常は、ゴム組成物が架橋されることでマトリクス6が得られる。ゴム組成物の基材ゴムには、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、天然ゴム等が好適である。これらのゴムの2種以上が併用されてもよい。反発性能の観点からは、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合でも、ポリブタジエンが主成分とされるのが好ましい。具体的には、全基材ゴムに占めるポリブタジエンの比率が50質量%以上、特には80質量%以上とされるのが好ましい。ポリブタジエンのなかでも、シス−1,4結合の比率が40%以上、特には80%以上であるハイシスポリブタジエンが好ましい。 【0025】マトリクス6の架橋形態は特には制限されない。架橋剤としては、共架橋剤、有機過酸化物、硫黄等が用いられうる。ゴルフボール1の反発性能が高まるとの理由から、共架橋剤と有機過酸化物とが併用されるのが好ましい。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩が好ましい。好ましい共架橋剤の具体例としては、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが挙げられる。特に、高い反発性能が得られるアクリル酸亜鉛が好ましい。 【0026】共架橋剤として、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸と酸化金属とが配合されてもよい。両者はゴム組成物中で反応し、塩が得られる。好ましいα,β−不飽和カルボン酸としてはアクリル酸及びメタクリル酸が挙げられ、特にアクリル酸が好ましい。好ましい酸化金属としては亜鉛酸化物及びマグネシウム酸化物が挙げられ、特に亜鉛酸化物が好ましい。 【0027】共架橋剤の配合量は、基材ゴム100部(ハ゜ーツ ハ゛イ ウェイト)に対して10部以上40部以下が好ましい。配合量が上記範囲未満であると、ゴルフボール1の反発性能又は耐久性が不十分となることがある。この観点から、配合量は15部以上がより好ましく、20部以上が特に好ましい。配合量が上記範囲を超えると、マトリクス6が硬くなりすぎ、粒状固形物7の配合によっても打球感が改善されないことがある。この観点から、配合量は35部以下がより好ましく、30部以下が特に好ましい。 【0028】マトリクス6に用いられるゴム組成物には、有機過酸化物が配合されるのが好ましい。有機過酸化物は、前述のα,β−不飽和カルボン酸金属塩とともに架橋剤として機能し、また、硬化剤として機能する。有機過酸化物の配合により、ゴルフボール1の反発性能が高められうる。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。特に汎用性の高い有機過酸化物は、ジクミルパーオキサイドである。 【0029】有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100部に対して0.1部以上6.0部以下が好ましい。配合量が上記範囲未満であると、マトリクス6が軟らかくなってゴルフボール1の反発性能が不十分となることがある。この観点から、配合量は0.2部以上がより好ましく、0.5部以上が特に好ましい。配合量が上記範囲を超えると、マトリクス6が硬くなりすぎ、粒状固形物7の配合によっても打球感が改善されないことがある。この観点から、配合量は5.0部以下がより好ましく、4.0部以下が特に好ましい。 【0030】マトリクス6には、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機塩、及びタングステン、モリブデン等の高比重金属からなる粉末が挙げられる。充填剤の配合量は、中間層3の意図した比重が達成されるように適宜決定される。単なる比重調整のみならず架橋助剤としても機能するという理由から、好ましい充填剤は酸化亜鉛である。 【0031】マトリクス6には、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合されてもよい。 【0032】粒状固形物7は、通常はゴム組成物が架橋されることで得られる。粒状固形物7には、上記マトリクス6の場合と同様の基材ゴムが用いられうる。また、上記マトリクス6の場合と同様の架橋剤、充填剤及びその他の添加剤が配合されうる。各種添加剤の配合量も、上記マトリクス6の場合と同等とされる。所定寸法のキャビティを備えた金型内でゴム組成物が架橋されることで粒状固形物7が得られてよく、架橋後のゴム塊が粉砕されることで粒状固形物7が得られてもよい。いずれの場合も、架橋温度は130℃から180℃に設定され、架橋時間は10分から60分に設定される。 【0033】粒状固形物7が、樹脂組成物から成形されてもよい。通常は、熱可塑性樹脂が用いられる。好適な熱可塑性樹脂としては、アイオノマー樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン及びポリスチレン系熱可塑性エラストマーが例示される。樹脂組成物には、必要に応じ、充填剤、着色剤等の添加剤が配合されてもよい。所定寸法のキャビティを備えた金型に樹脂組成物が充填されることで粒状固形物7が得られてよく、樹脂塊が粉砕されることで粒状固形物7が得られてもよい。 【0034】粒状固形物7の形状の例としては、球、立方体、直方体及び円柱が挙げられる。中間層3の成形性の観点から、実質的に球状の粒状固形物7が好適である。粒状固形物7の比重は、通常は0.8以上1.5以下とされる。 【0035】マトリクス6が架橋ゴムからなる中間層3は、ハーフシェル方式の圧縮成形法によって得られる。この方法では、粒状固形物7が分散しているマトリクス用のゴム組成物からハーフシェルが成形され、2枚のハーフシェルでコア2が覆われる。そして、このコア2とハーフシェルとが金型内で加圧・加熱される。加熱により、ゴムが架橋反応を起こす。架橋温度は140℃から170℃に設定され、架橋温度は10分から40分に設定される。射出成形法によって中間層3が成形されてもよい。マトリクス6が樹脂組成物からなる中間層3も、ハーフシェル方式の圧縮成形法又は射出成形法によって得られる。 【0036】通常コア2(図1参照)は、架橋ゴムからなる。コア2には、上記マトリクス6の場合と同様の基材ゴムが用いられうる。また、上記マトリクス6の場合と同様の共架橋剤及び有機過酸化物が配合されうる。共架橋剤の配合量は、基材ゴム100部に対して10部以上50部以下が好ましい。配合量が上記範囲未満であると、ゴルフボール1の反発性能が不十分となることがある。この観点から、配合量は15部以上が特に好ましい。配合量が上記範囲を超えると、ゴルフボール1の打球感が硬くなることがある。この観点から、配合量は45部以下が特に好ましい。 【0037】コア2における有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100部に対して0.1部以上3.0部以下が好ましい。配合量が上記範囲未満であると、ゴルフボール1の反発性能が不十分となることがある。この観点から、配合量は0.3部以上がより好ましく、0.5部以上が特に好ましい。配合量が上記範囲を超えると、ゴルフボール1の打球感が硬くなることがある。この観点から、配合量は2.5部以下が特に好ましい。 【0038】コア2には、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機塩、及びタングステン、モリブデン等の高比重金属からなる粉末が挙げられる。充填剤の配合量は、コア2の意図した比重が達成されるように適宜決定される。単なる比重調整のみならず架橋助剤としても機能するという理由から、好ましい充填剤は酸化亜鉛である。コア2には、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合されてもよい。 【0039】コア2は、金型のキャビティにゴム組成物が投入され、加圧・加熱されることで得られる。加熱により、ゴムが架橋反応を起こす。架橋温度は140℃から180℃に設定され、架橋温度は10分から60分に設定される。コア2の直径は、通常は25mm以上41mm以下、特には27mm以上40mm以下である。 【0040】通常カバー4は、樹脂組成物からなる。特に好ましい基材樹脂としてはアイオノマー樹脂及び熱可塑性エラストマーが例示され、これらの混合物が用いられてもよい。 【0041】アイオノマー樹脂の中でも、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との共重合体におけるカルボン酸の一部が金属イオンで中和されたものが好適である。α−オレフィンとしては、エチレン及びプロピレンが好ましい。α,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。中和のための金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオン;亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の2価金属イオン;及びアルミニウムイオン、ネオジムイオン等の3価金属イオンが挙げられる。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール1の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。 【0042】好適なアイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1601」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1652」、「ハイミラン1705」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1855」、「ハイミラン1856」;デュポン社の商品名「サーリン9945」、「サーリン8945」、「サーリンAD8511」、「サーリンAD8512」;及びエクソン社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK8000」が挙げられる。2種以上のアイオノマー樹脂が併用されてもよい。 【0043】好ましい熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び末端にOH基を備えた熱可塑性エラストマーが挙げられる。2種以上の熱可塑性エラストマーが併用されてもよい。ゴルフボール1の反発性能の観点から、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性エラストマーが特に好適である。 【0044】スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレンブロックを含有する熱可塑性エラストマー)には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物としては、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物としては、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。 【0045】ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、BASFポリウレタンエラストマーズ社の商品名「エラストラン」が挙げられ、詳細には「エラストランET880」が挙げられる。ポリアミド系熱可塑性エラストマーの具体例としては、東レ社の商品名「ペバックス」が挙げられ、詳細には「ペバックス2533」が挙げられる。ポリエステル系熱可塑性エラストマーの具体例としては、東レ・デュポン社の商品名「ハイトレル」が挙げられ、詳細には「ハイトレル3548」及び「ハイトレル4047」が挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、三菱化学社の商品名「ラバロン」が挙げられ、詳細には「ラバロンSR04」が挙げられる。 【0046】カバー4の樹脂組成物に、ジエン系ブロック共重合体が配合されてもよい。ジエン系ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロックとを有する。ジエン系ブロック共重合体は、共役ジエン化合物に由来する二重結合を有する。部分水添されたジエン系ブロック共重合体も好適に用いられうる。 【0047】ジエン系ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン及び1,1−ジフェニルスチレンが挙げられ、これらの中から1種又は2種以上が選択される。特にスチレンが好適である。共役ジエン系化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが挙げられ、これらの中から1種又は2種以上が選択される。特にブタジエン及びイソプレン並びにこれらの組み合わせが好適である。 【0048】好ましいジエン系ブロック共重合体としては、エポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)構造のもの、及びエポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するSIS(スチレン−イソプレン−スチレン)構造のものが挙げられる。ジエン系ブロック共重合体の具体例としては、ダイセル化学社の商品名「エポフレンド」が挙げられ、詳細には「エポフレンドA1010」が挙げられる。 【0049】カバー4には、必要に応じ、二酸化チタン等の着色剤、硫酸バリウム等の充填剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が適量配合されてもよい。比重調整の目的で、カバー4にタングステン、モリブデン等の高比重金属の粉末が配合されてもよい。 【0050】カバー4の厚みは、通常は0.5mm以上2.5mm以下、特には1.0mm以上2.3mm以下である。カバー4の成形には、射出成形法、圧縮成形法等の既知の手段が用いられうる。成形型のキャビティ面に多数の凸部が設けられることにより、この凸部が反転された形状のディンプル5がカバー4の表面に形成される。ディンプル5の平面形状(無限遠からゴルフボール1の中心を見た場合のディンプル5の輪郭)は通常は円形であるが、非円形(楕円、長円、多角形、星形、涙形等)であってもよい。円形ディンプルの場合の断面形状は、シングルラジアス形状(円弧状)であってもよく、ダブルラジアス形状(台皿状)であってもよい。飛行性能の観点から、ディンプル5の総数は、250個から540個、特には300個から450個が好ましい。飛行性能の観点から、ディンプル容積の総和は、300mm3以上700mm3以下、特には400mm3以上600mm3以下が好ましい。ディンプル容積とは、ディンプル5の表面とボール仮想球面とに囲まれた空間の容積を意味する。飛行性能の観点から、ディンプル5による表面積占有率は65%以上90%以下が好ましく、70%以上85%以下が特に好ましい。表面積占有率とは、ディンプル5の平面形状面積の総和の、ボール仮想球の表面積に対する比率である。 【0051】コア2の圧縮変形量は、3.0mm以上8.0mm以下が好ましく、3.5mm以上7.0mm以下が特に好ましい。コア2と中間層3とからなる球体の圧縮変形量は、3.0mm以上7.0mm以下が好ましく、3.5mm以上6.0mm以下が特に好ましい。ゴルフボール1の圧縮変形量は、2.8mm以上4.0mm以下が好ましく、3.0mm以上3.8mm以下が特に好ましい。圧縮変形量の測定では、まず対象となる球体が金属製の剛板の上に置かれる。次に、球体に向かって金属製の円柱が徐々に降下し、この円柱の底面と剛板との間に挟まれた球体が変形する。そして、球体に98Nの初荷重がかかった状態から1274Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離が測定され、この値が圧縮変形量とされる。 【0052】図1のゴルフボール1のコア2は単一層からなるが、2以上の層からなるコアが用いられてもよい。図1のゴルフボール1のカバー4は単一層からなるが、2以上の層からなるカバーが用いられてもよい。コア2と中間層3との間に他の中間層が設けられてもよく、中間層3とカバー4との間に他の中間層が設けられてもよい。 【0053】 【実施例】以下、実施例に基づいて本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。 【0054】[粒状固形物C3の製作]ポリブタジエン(ジェイエスアール社の商品名「BR11」)100部、アクリル酸亜鉛22部、酸化亜鉛10部及びジクミルパーオキサイド1.0部を密閉式混練機で混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を金型に投入し、155℃で20分間保持して、シート状の架橋成形体を得た。この架橋成形体の硬度Hgは、41であった。この架橋成形体を粉砕機で粉砕し、粒子を篩で選別して、粒度Dが0.7mmである粒状固形物C3を得た。 【0055】[粒状固形物C1、C2及びC4の製作]粒度Dを下記の表1に示されるように変更した他はC3と同様にして、粒状固形物C1、C2及びC4を得た。 【0056】[粒状固形物A、B、D及びFの製作]ゴム組成物の配合を下記の表1に示される通りとした他はC3と同様にして、粒状固形物A、B、D及びFを得た。 【0057】[粒状固形物Eの製作]ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(前述の「エラストランET880」)を金型に射出して架橋成形体を得た他はC3と同様にして、粒状固形物Eを得た。 【0058】 【表1】
【0059】[実施例1]ポリブタジエン(前述の「BR11」)100部、アクリル酸亜鉛24部、酸化亜鉛10部、ジクミルパーオキサイド1.0部及び硫酸バリウム適量を密閉式混練機で混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を球状キャビティを備えた成形型に投入し、155℃に30分間保持して、直径が34.8mmであるコアを得た。なお、ゴルフボールの質量が45.4gとなるように、硫酸バリウムの配合量を調整した。 【0060】次に、ポリブタジエン(前述の「BR11」)100部、アクリル酸亜鉛30部、酸化亜鉛20部及びジクミルパーオキサイド0.8部を密閉式混練機で混練し、さらに粒状固形物C3(硬度:41、粒度D:0.7)を20部(11.7質量%)投入して混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を成形型に投入して加圧し、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚を、コアに被覆した。コア及びハーフシェルを成形型に投入し、155℃に20分間保持して、マトリクスと粒状固形物とからなる中間層を成形した。中間層の厚みTは2.0mmであり、コアと中間層とからなる球体の直径は38.8mmであり、マトリクスの硬度Hmは51であり、硬度差(Hm−Hg)は10であり、比(D/T)は0.35であった。 【0061】次に、アイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1605」)50部、他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1706」)50部、酸化チタン2部及び硫酸バリウム2部を混練し、樹脂組成物を得た。一方、球状キャビティを備えた成形型にコアを投入し、このコアの周りに加熱によって溶融した樹脂組成物を射出して、厚みが2mmのカバーを成形した。このカバーの硬度(ショアD)は63であった。このカバーの周りに塗装を施し、実施例1のゴルフボールを得た。 【0062】[実施例4から7]粒状固形物C3の配合量を下記の表2及び表3に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例4から7のゴルフボールを得た。 【0063】[実施例3及び8並びに比較例2]粒度Dの異なる粒状固形物(C1、C2及びC4)を用いた他は実施例1と同様にして、実施例3及び8並びに比較例2のゴルフボールを得た。 【0064】[実施例2、9、10及び11並びに比較例1]硬度Hgの異なる粒状固形物(A、B、D、E及びF)を用いた他は実施例1と同様にして、実施例2、9、10及び11並びに比較例1のゴルフボールを得た。 【0065】[比較例3]粒状固形物を配合しなかった他は実施例1と同様にして、比較例3のゴルフボールを得た。 【0066】[反発係数の測定]ゴルフボールに、質量が200gであるアルミニウム製の中空円柱を40m/sの速度で衝突させた。そして、衝突前後における中空円柱の速度及び衝突後のゴルフボールの速度を計測し、運動量保存の法則に従ってゴルフボールの反発係数を求めた。12回測定されて得られたデータの平均値が、実施例1のゴルフボールの反発係数が1.00とされたときの指数として、下記の表2及び表3に示されている。 【0067】[飛距離試験]スイングマシン(ツルテンパー社製)にメタルヘッドを備えたドライバー(W1)を装着し、ヘッド速度が40m/sとなるようにマシンコンディションを調整して、ゴルフボールを打撃した。そして、飛距離(発射地点からボール静止地点までの距離)を測定した。5回測定されて得られたデータの平均値が、下記の表2及び表3に示されている。 【0068】[打球感の評価]上級ゴルファー10名にメタルヘッドが装着されたドライバーを持たせ、各実施例及び各比較例のゴルフボールを打撃させた。そして、打球感を評価させた。10名のゴルファーのうち打球感がよいと答えたゴルファーが8名以上のものを「◎」とし、6名以上7名以下のものを「○」とし、4名以上5名以下のものを「△」とし、3名以下のものを「×」とした。この結果が、下記の表2及び表3に示されている。 【0069】 【表2】
【0070】 【表3】
【0071】実施例1、4、5、6及び7並びに比較例3の対比より、中間層に占める粒状固形物の比率の好ましい範囲が3質量%以上40質量%以下であることが解る。実施例1、3及び8並びに比較例2の対比より、粒状固形物の粒度Dが0.5mm以上である必要があることが解る。実施例1、2、9、10及び11並びに比較例1の対比より、硬度差(Hm−Hg)が5以上である必要があることが解る。これらの評価結果から、本発明の優位性は明らかである。 【0072】 【発明の効果】以上説明されたように、本発明ゴルフボールは、飛行性能と打球感との両方に優れる。このゴルフボールを使用するゴルファーは、爽快なプレーを楽しむことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183233 【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
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| 【出願日】 |
平成14年2月6日(2002.2.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107940 【弁理士】 【氏名又は名称】岡 憲吾 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−225329(P2003−225329A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月12日(2003.8.12) |
| 【出願番号】 |
特願2002−29919(P2002−29919) |
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