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【発明の名称】 ソリッドゴルフボール
【発明者】 【氏名】伏原 和久
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【氏名】藤澤 光一
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】本発明により、優れた反発性能および飛行性能を有し、かつ優れた耐久性を有するソリッドゴルフボールを提供する。

【解決手段】本発明は、(a)1,2‐構造含有率4〜30%、シス‐1,4‐構造含有率65〜95%、トランス‐1,4‐構造含有率5%以下、1,2‐構造/1,4‐構造の比が0.05〜0.42、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)が0.5〜3.5であるポリブタジエン、(b)共架橋剤、(c)有機過酸化物、および(d)充填材を含有するゴム組成物から得られるゴム層を少なくとも一層含むソリッドゴルフボールに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)1,2‐構造含有率4〜30%、シス‐1,4‐構造含有率65〜95%、トランス‐1,4‐構造含有率5%以下、1,2‐構造/1,4‐構造の比が0.05〜0.42、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)が0.5〜3.5であるポリブタジエン、(b)共架橋剤、(c)有機過酸化物、および(d)充填材を含有するゴム組成物から得られるゴム層を少なくとも一層含むソリッドゴルフボール。
【請求項2】 前記ポリブタジエンが(A)周期律表第V族遷移金属化合物のメタロセン型錯体、および(B)非配位アニオンとカチオンとのイオン性化合物および/またはアルミノキサンから得られる触媒を用いて合成される請求項1記載のソリッドゴルフボール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた反発性能および飛行性能を有し、かつ優れた耐久性を有するソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ワンピースゴルフボール、ソリッドゴルフボール用のソリッドコア、または糸巻きゴルフボールの固体の芯部(ソリッドセンター)には、シス‐1,4構造80%以上を有する、いわゆるハイシスポリブタジエンを含有するゴム組成物が、高い反発性を有していることから好適に用いられている。これらのポリブタジエンは通常ニッケル系触媒またはコバルト系触媒を用いて合成されており、高い反発性を得るために分子量を大きくしているが、それに伴なって分子量分布が広くなり、結果として反発性が若干低下する。そこで最近、比較的シャープな分子量分布を有することが知られているランタノイド触媒等の希土類触媒を用いて合成されたポリブタジエンが注目されている。
【0003】例えば、特開平11‐319148号公報等には、(a)シス‐1,4結合80%以上を含有し、ムーニー粘度50〜69ML+4(100℃)を有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.0〜8.0であるニッケル系触媒および/またはコバルト系触媒を用いて合成されたポリブタジエン、および(b)シス‐1,4結合少なくとも40%以上を含有し、ムーニー粘度20〜90ML1+4(100℃)を有するランタノイド触媒を用いて合成されたポリブタジエンの重量比(a)/(b)が30/70〜90/10であるポリブタジエン混合物、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸の金属塩、有機過酸化物および無機充填剤を含有するゴム組成物から得られるゴム層を少なくとも一層有するコアと該コアを被覆するカバーから成るマルチピースソリッドゴルフボールが開示されている。
【0004】しかしながら、上記のようなハイシス化や分子量分布をシャープにするだけでは反発性能のみが優れて、相反する性能としての耐久性が低下するという問題点があった。また、シス構造含有率を低くすると、反発性能が低下することを考慮に入れても、耐久性の向上は十分には得られないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような従来のゴルフボールの有する問題点を解決し、優れた反発性能および飛行性能を有し、かつ優れた耐久性を有するソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、1,2‐構造含有率、シス‐1,4‐構造含有率、トランス‐1,4‐構造含有率、1,2‐構造/1,4‐構造の比および重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)を特定範囲内に規定したポリブタジエンを用いたゴム組成物から得られるゴム層を少なくとも一層含むことにより、優れた反発性能および飛行性能を有し、かつ優れた耐久性を有するソリッドゴルフボールが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、(a)1,2‐構造含有率4〜30%、シス‐1,4‐構造含有率65〜95%、トランス‐1,4‐構造含有率5%以下、1,2‐構造/1,4‐構造の比が0.05〜0.42、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)が0.5〜3.5であるポリブタジエン、(b)共架橋剤、(c)有機過酸化物、および(d)充填材を含有するゴム組成物から得られるゴム層を少なくとも一層含むソリッドゴルフボールに関する。
【0008】更に、本発明を好適に実施するためには、上記ポリブタジエンが(A)周期律表第V族遷移金属化合物のメタロセン型錯体、および(B)非配位アニオンとカチオンとのイオン性化合物および/またはアルミノキサンから得られる触媒を用いて合成されることが好ましい。
【0009】本発明においては、ゴム組成物中のポリブタジエンのシス‐1,4‐構造含有率を比較的高めに設定し、分子量分布をシャープにすることで高反発を維持し、またシス構造以外の成分としてトランス‐1,4‐構造より1,2‐構造を主体とすることにより耐久性を向上して、反発性能と耐久性とを両立したソリッドゴルフボールを実現したものである。
【0010】更に、上記のように本発明に用いられる分子量分布がシャープで1,2‐構造含有率が比較的大きなポリブタジエンは、(A)周期律表第V族遷移金属化合物のメタロセン型錯体、および(B)非配位アニオンとカチオンとのイオン性化合物および/またはアルミノキサンから得られる触媒を用いて合成することが好ましい。また、上記のようなポリブタジエンは、従来のニッケル系触媒、コバルト系触媒や希土類触媒を用いるだけでは合成することが困難であり、上記のような触媒を用いて合成することにより可能となる。
【0011】上述のように、本発明の特定のポリブタジエンの混合物を用いるゴム組成物は、それを加熱加圧成形してゴルフボールとすると、ワンピースソリッドゴルフボールになる。また、ゴム製コアと熱可塑性樹脂製のカバーから成る、ツーピースソリッドゴルフボールやスリーピースソリッドゴルフボール等のマルチピースソリッドゴルフボールのコアの少なくとも一部または全部を上記ゴム組成物から形成してもよい。以下、簡略化のため、ツーピースソリッドゴルフボールのコアへの使用を中心に説明する。
【0012】本発明のソリッドゴルフボールは、上記のようなゴム組成物を加硫成形して得られたコア上にカバーを被覆して形成される。本発明のコアは、上記ポリブタジエン、共架橋剤、有機過酸化物、充填剤、要すれば老化防止剤等を含有するゴム組成物を加硫成形することにより得られる。
【0013】本発明のゴルフボールのコア用ゴム組成物において、上記ポリブタジエンは1,2‐構造含有率4〜30%、シス‐1,4‐構造含有率65〜95%、トランス‐1,4‐構造含有率5%以下、1,2‐構造/1,4‐構造の比0.05〜0.42、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)0.5〜3.5を有することを要件とする。
【0014】上記1,2‐構造含有率は、好ましくは5〜25%、より好ましくは7〜15%である。上記1,2‐構造含有率が4%より小さいとポリブタジエンのグラフト効率が低下しポリスチレンの耐衝撃性改良効果が低下し、30%より大きいとポリブタジエンのグラフトが進みすぎ同様にポリスチレンの耐衝撃性改良効果が低下する。
【0015】上記シス‐1,4‐構造含有率は、好ましくは70〜95%、より好ましくは85〜95%である。上記シス‐1,4‐構造含有率が65%より小さいかまたは95%より大きいと、ポリスチレンの耐衝撃性改良効果が低下する。
【0016】上記トランス‐1,4‐構造含有率は、好ましくは4.5%以下である。上記トランス‐1,4‐構造含有率が、5%より大きいと、反発特性が悪いものとなる。
【0017】上記1,2‐構造/1,4‐構造の比は、好ましくは0.08〜0.20、より好ましくは0.09〜0.18である。上記1,2‐構造/1,4‐構造の比が0.05より小さいと耐久性が悪くなり、0.42より大きくなると反発性能が不十分となる。
【0018】上記比(Mw/Mn)は、分子量分布のシャープさを表し、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.5〜2.5である。上記比(Mw/Mn)が0.5より小さいと分子量分布がシャープになり過ぎ加工性が低下し、3.5より大きいと分子量分布がブロードになり過ぎて低分子量成分がある程度存在し反発性能が低下する。
【0019】上記重量平均分子量(Mw)は10×10〜100×10、好ましくは20×10〜80×10、より好ましくは40×10〜50×10である。上記Mwが、10×10より小さいと反発性能が劣り、100×10より大きいと加工性が悪く、作業性が悪いものとなる。上記数平均分子量(Mn)は3×10〜50×10、好ましくは10×10〜40×10、より好ましくは15×10〜25×10である。上記Mnが、3×10より小さいと反発性能が劣り、50×10より大きいと作業性が悪いものとなる。
【0020】本発明のポリブタジエンの製造方法としては、例えば、(A)周期律表第V族遷移金属化合物のメタロセン型錯体、及び(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルミノキサンから得られる触媒を用いて、ブタジエンを重合させて製造できる。
【0021】(A)周期律表第V族遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、(1)RMX・L(2)RMX3-n・L(3)RM(O)X・L(4)RMX3-n(NR')
(5)MX(NR')
(式中、nは1または2、aは0、1または2である)などの一般式で表される化合物が挙げられ、RMX、RM(O)Xなどが好ましい。
【0022】Mは周期律表第V族遷移金属化合物を示す。具体的にはバナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはタンタル(Ta)であり、好ましい金属はバナジウムである。
【0023】Rはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基又はフルオレニル基を示す。
【0024】Xは水素、ハロゲン、炭素数1から20の炭化水素基、アルコキシ基、またはアミノ基を示す。
【0025】ハロゲンの具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0026】Lは、ルイス塩基であり、対電子をもって金属に配位できるルイス塩基性の一般的な無機、有機化合物である。その内、活性水素を有さない化合物が特に好ましい。具体例としては、エーテル、エステル、ケトン、アミン、ホスフィン、シリルオキシ化合物が挙げられる。
【0027】NR'はイミド基であり、R'は炭素数1から25の炭化水素置換基である。R'の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、s‐ブチル、t‐ブチル、ヘキシル、オクチル、ネオペンチルなどの直鎖状脂肪族炭化水素基または分岐状脂肪族炭化水素基、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、メチルフェニルメチル、ジメチルフェニル、2,6‐ジメチルフェニル、3,4‐ジメチルフェニルなどの芳香族炭化水素基などが挙げられる。さらにトリメチルシリルなどのケイ素原子を含有する炭化水素基も含まれる。
【0028】具体的な化合物としては、シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライドなどが好適に用いられる。
【0029】(B)成分のうち、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物を構成する非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレート、テトラ(フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリイル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル,ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル),フェニル]ボレート、トリデカハイドライド‐7,8‐ジカルバウンデカボレートなどが挙げられる。
【0030】一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどを挙げることができる。
【0031】カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンを挙げることができる。アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n‐ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N‐ジエチルアニリニウムカチオン、N,N‐2,4,6‐ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N‐ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(i‐プロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
【0032】ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンを挙げることができる。
【0033】該イオン性化合物は、上記で例示した非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを好ましく用いることができる。
【0034】中でも、イオン性化合物としては、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラ(フルオロフェニル)ボレート、N,N‐ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1'‐ジメチルフェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが好ましい。
【0035】イオン性化合物を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】また、(B)成分として、アルモキサンを用いてもよい。アルモキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(‐Al(R')O‐)で示される鎖状アルミノキサン、あるいは環状アルミノキサンが挙げられる(R'は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R'としてはメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
【0037】トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムの混合物を原料として用いたアルモキサンを好適に用いることができる。
【0038】また、縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられるが、この他に該トリアルキルアルミニウムが縮合反応する任意のもの、例えば無機物などの吸着水やジオールなどが挙げられる。
【0039】(A)成分及び(B)成分に、さらに(C)成分として周期律表第I乃至III族元素の有機金属化合物を組合せて共役ジエンの重合を行ってもよい。(C)成分の添加により重合活性が増大する効果がある。周期律表第I乃至III 族元素の有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物などが挙げられる。
【0040】具体的な化合物としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ベンジルリチウム、ネオペンチルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、ビストリメチルシリルメチルリチウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、トリフッ化ホウ素、トリフェニルホウ素などを挙げられる。
【0041】さらに、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドのような有機金属ハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドのような水素化有機金属化合物も含まれる。また有機金属化合物は、二種類以上併用できる。
【0042】また、(B)成分としてイオン性化合物を用いる場合は、(C)成分として上記のアルモキサンを組み合わせて使用してもよい。
【0043】各触媒成分の配合割合は、各種条件により異なるが、(A)成分のメタロセン型錯体と(B)成分のアルミノキサンとのモル比は、好ましくは1:1〜1:10,000、より好ましくは1:1〜1:5,000である.【0044】(A)成分のメタロセン型錯体と(B)成分のイオン性化合物とのモル比は、好ましくは1:0.1〜1:10、より好ましくは1:0.2〜1:5である。
【0045】(A)成分のメタロセン型錯体と(C)成分の有機金属化合物とのモル比は、好ましくは1:0.1〜1:1,000、より好ましくは1:0.2〜1:500である。
【0046】触媒成分の添加順序は、特に、制限はないが、例えば次の順序で行うことができる。
(i)重合すべきブタジエンモノマーと(B)成分との接触混合物に(A)成分を添加する。
(ii)重合すべきブタジエンモノマーと(B)成分及び(C)成分を任意の順序で添加した接触混合物に(A)成分を添加する。
(iii)重合すべきブタジエンモノマーと(C)成分の接触混合物に(B)成分、次いで(A)成分を添加する。
(iv)重合すべきブタジエンモノマーに、(A)成分と(B)成分を任意の順序で接触させた混合物を添加する。
(v)重合すべきブタジエンモノマーに、(A)成分と(B)成分と(C)成分を任意の順序で接触させた混合物を添加する。
【0047】ここで重合すべきブタジエンモノマーとは、全量であっても一部であってもよい。モノマーの一部の場合は、上記の接触混合物を残部のモノマーあるいは残部のモノマー溶液と混合することができる。
【0048】ブタジエンモノマー以外にイソプレン、1,3‐ペンタジエン、2‐エチル‐1,3‐ブタジエン、2,3‐ジメチルブタジエン、2‐メチルペンタジエン、4‐メチルペンタジエン、2,4‐ヘキサジエンなどの共役ジエン、エチレン、プロピレン、ブテン‐1、ブテン‐2、イソブテン、ペンテン‐1,4‐メチルペンテン‐1、ヘキセン‐1、オクテン‐1等の非環状モノオレフィン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等の環状モノオレフィン、及び/又はスチレンやα‐メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、ジシクロペンタジエン、5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン、1,5‐ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン等を少量含んでいてもよい。
【0049】重合方法は、特に制限はなく、塊状重合、溶液重合などを適用できる。溶液重合での溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n‐ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、1‐ブテン、2‐ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒や、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、1,3‐ブタジエンそのものを重合溶媒としてもよい。
【0050】重合温度は−100〜100℃の範囲が好ましく、−50〜60℃の範囲が特に好ましい。重合時間は10分〜12時間の範囲が好ましく、30分〜6時間が特に好ましい。
【0051】所定時間重合を行った後、重合槽内部を必要に応じて放圧し、洗浄、乾燥工程等の後処理を行う。
【0052】本発明のゴルフボールのコア用ゴム組成物において、上記共架橋剤としては、アクリル酸またはメタクリル酸等のような炭素数3〜8個のα,β‐不飽和カルボン酸、またはその亜鉛、マグネシウム塩等の一価または二価の金属塩が挙げられるが配合量は基材ゴム100重量部に対して、5〜40重量部、好ましくは10〜35重量部である。40重量部より多いと硬くなり過ぎて打球感が悪くなり、5重量部未満では、適当な硬さを得るために有機過酸化物の配合量を増加する必要があり、高い反発性が得られない。上記α,β‐不飽和カルボン酸の金属塩は、別々に配合しゴム組成物の混合中に反応させてα,β‐不飽和カルボン酸の金属塩とする上記のα,β‐不飽和カルボン酸と酸化亜鉛等の金属酸化物との組合せとして配合してもよく、または両者の混合物として配合してもよい。耐久性が重視されることが多いワンピースソリッドゴルフボールの場合、メタクリル酸やメタクリル酸の金属塩が好ましい。
【0053】有機過酸化物は架橋開始剤または硬化剤として作用し、例えばジクミルパーオキサイド、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ‐t‐ブチルパーオキサイドが挙げられ、ジクミルパーオキサイドが好適である。配合量は、基材ゴム100重量部に対して、0.1〜5.0重量部、好ましくは0.2〜2.0重量部である。0.1重量部未満では軟らかくなり過ぎて高い反発性が得られず、5.0重量部を越えると適当な硬さを得るために共架橋剤の配合量を減少する必要があり、高い反発性が得られない。かかる有機過酸化物は、熱により分解してラジカルを生じ、上記共架橋剤と基材ゴムとの間の架橋度を高めて反発性を向上させるものである。
【0054】充填材は、主として最終製品として得られるゴルフボールの比重を1.0〜1.5の範囲に調整するための比重調整剤として配合されるが、必要に応じてこれを配合できゴルフボールのコアに通常配合されるものであればよく、例えば無機充填材(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、加硫助剤としての機能も発揮する酸化亜鉛である。酸化亜鉛を用いる場合、配合量は、基材ゴム100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部であり、50重量部を超えるとゴム成分が少なくなって、高い反発性が得られなくなり、1重量部未満では上記のような比重調整が困難となる。
【0055】更に本発明のゴルフボールのコアには、反発性を向上するために有機硫黄化合物を適量配合してもよく、また軟化剤、老化防止剤またはしゃく解剤、その他ソリッドゴルフボールのコアの製造に通常使用し得る成分を適宜配合してもよい。
【0056】コアは前述のゴム組成物を、混練ロール等の適宜の混練機を用いて均一に混練し、金型内で加硫成形することにより得ることができる。この際の条件は特に限定されないが、通常は130〜240℃、圧力2.9〜11.8MPa、15〜60分間で行われる。
【0057】本発明では、コアの直径は35.8〜42.2mm、好ましくは37.8〜41.8であることが望ましい。35.8mmより小さいと反発性が低下して飛距離が低下し、42.2mmより大きいとカバーが薄くなり過ぎて、耐久性が低下する。
【0058】前述のように本発明のゴルフボールは、上記のような配合を有するゴム組成物から得られるゴム層を少なくとも1層含むことを要件とするが、ワンピースゴルフボール以外の場合、上記のような配合を有するコア部分の体積がコア全体の5〜100%、好ましくは10〜100%、より好ましくは15〜100%であるように設定することが好ましい。上記のようにして得られたコア上には、次いでカバーを被覆する。
【0059】本発明のゴルフボールに用いられるカバーは、単層構造であっても2層以上の多層構造であってもよい。本発明のカバーは熱可塑性樹脂、特に通常ゴルフボールのカバーに用いられるアイオノマー樹脂を基材樹脂として含有する。上記アイオノマー樹脂としては、エチレンとα,β‐不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、またはエチレンとα,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものである。上記のα,β‐不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸とメタクリル酸が好ましい。また、α,β‐不飽和カルボン酸エステル金属塩としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n‐ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルが好ましい。上記エチレンとα,β‐不飽和カルボン酸との共重合体中や、エチレンとα,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、錫、ジルコニウム、カドミウムイオン等が挙げられるが、特にナトリウム、亜鉛、マグネシウムイオンが反発性、耐久性等からよく用いられ好ましい。
【0060】上記アイオノマー樹脂の具体例としては、それだけに限定されないが、ハイミラン(Hi‐milan)1555、ハイミラン1557、ハイミラン1605、ハイミラン1652、ハイミラン1702、ハイミラン1705、ハイミラン1706、ハイミラン1707、ハイミラン1855、ハイミラン1856(三井デュポンポリケミカル社製)、サーリン(Surlyn)8945、サーリン9945、サーリンAD8511、サーリンAD8512、サーリンAD8542(デュポン社製)、アイオテック(Iotek)7010、アイオテック8000(エクソン(Exxon)社製)等を例示することができる。これらのアイオノマーは、上記例示のものをそれぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよい。
【0061】更に、本発明のカバーの好ましい材料の例としては、上記のようなアイオノマー樹脂のみであってもよいが、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラストマーやジエン系ブロック共重合体等の1種以上とを組合せて用いてもよい。上記熱可塑性エラストマーの具体例として、例えば東レ(株)から商品名「ペバックス」で市販されている(例えば、「ペバックス2533」)ポリアミド系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル」で市販されている(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)ポリエステル系熱可塑性エラストマー、武田バーディシュ(株)から商品名「エラストラン」で市販されている(例えば、「エラストランET880」)ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0062】上記ジエン系ブロック共重合体は、ブロック共重合体または部分水添ブロック共重合体の共役ジエン化合物に由来する二重結合を有するものである。その基体となるブロック共重合体とは、少なくとも1種のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1種の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとから成るブロック共重合体である。また、部分水添ブロック共重合体とは、上記ブロック共重合体を水素添加して得られるものである。ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐t‐ブチルスチレン、1,1‐ジフェニルスチレン等の中から1種または2種以上を選択することができ、スチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3‐ペンタジエン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン等の中から1種または2種以上を選択することができ、ブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。上記ジエン系ブロック共重合体の具体例としては、例えばダイセル化学工業(株)から商品名「エポフレンド」市販されているもの(例えば、「エポフレンドA1010」)、(株)クラレから商品名「セプトン」で市販されているもの(例えば、「セプトンHG‐252」)等が挙げられる。
【0063】上記の熱可塑性エラストマーやジエン系ブロック共重合体等の配合量は、カバー用の基材樹脂100重量部に対して、0〜60重量部、好ましくは10〜40重量部である。60重量部より多いとカバーが軟らかくなり過ぎて反発性が低下したり、またアイオノマー樹脂との相溶性が悪くなって耐久性が低下しやすくなる。
【0064】本発明に用いられるカバーには、上記樹脂以外に必要に応じて、コアに用いたものと同様の充填材や、種々の添加剤、例えば二酸化チタン等の顔料、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を添加してもよい。
【0065】上記カバーを被覆する方法についても、特に限定されるものではなく、通常のカバーを被覆する方法で行うことができる。カバー用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記カバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が用いられる。
【0066】上記カバーの厚さは、0.3〜3.5mm、好ましくは0.5〜3.0mm、より好ましくは0.7〜2.5mmである。0.3mmより小さいと薄くなり過ぎて耐久性が低下し、反発性能も低下し、3.5mmより大きいと打球感が悪くなる。
【0067】カバー成形時に、ボール表面には通常ディンプルと呼ばれるくぼみを形成し、また、カバー表面にはマーキングが施される。ボール表面にはペイント仕上げを行い、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系等のクリアペイントが用いられ、必要に応じて蛍光増白剤、紫外線吸収剤(劣化防止)や酸化防止剤、光安定剤等が適宜配合される。本発明のゴルフボールは、ゴルフボール規則に基づいて、直径42.67mm以上(好ましくは42.67〜42.82mm)、重量45.93g以下に形成される。
【0068】本発明のゴルフボールは、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量2.0〜5.0mm、好ましくは2.5〜4.5mm、より好ましくは2.5〜3.5mmを有することが望ましい。2.0mm未満では打球感が硬くて悪いものとなり、5.0mmを越えると軟らかくなり過ぎて反発性能が不十分となる。
【0069】上記のように、ゴルフボールの直径は規格にて42.67mm以上と制限されているが、直径が大きくなると飛行中の空気抵抗が増大して飛距離が低下するので、通常のゴルフボールの直径は42.67〜42.82mmに設定されており、本発明はこの直径のゴルフボールに適用し得る。また、ゴルフボールの直径を大きくして打ち易さの向上を狙った大径のゴルフボール等も存在し、更に顧客の要望や目的に応じて規格を外れるゴルフボールが必要とされる場合もあり、それらも含めると、ゴルフボールの直径は42〜44mm、更には40〜45mmの範囲も想定し得るものであり、本発明はこれら直径範囲のゴルフボールにも適用し得るものである。
【0070】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0071】コアの作製以下の表1に示すポリブタジエンゴムを用いて、以下の表2に示す配合のゴム組成物を混練し、金型内で160℃で20分間プレス成形することにより、直径38.5mmを有するコアを作製した。
【0072】
【表1】

【0073】(注1)赤外吸収スペクトル分析(シス740cm−1、トランス967cm、ビニル910cm−1
(注2)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン)
【0074】カバー用組成物の調製以下の表2に示すカバー用配合材料を二軸混練押出機によりミキシングし、ペレット状のカバー用組成物を得た。押出条件は、スクリュー径 45mmスクリュー回転数 200rpmスクリューL/D 35であり、配合物は押出機のダイの位置で200〜260℃に加熱された。
【0075】実施例1および比較例1得られたカバー用組成物を上記コア上に射出成形することによってカバー層を形成し、直径42.7mmを有するゴルフボールを得た。成形時にボール表面に付着した離型剤を除去するためにボール表面を適度に研磨処理し、ウレタンクリアペイントを塗装して、ゴルフボールを仕上た。得られたゴルフボールの圧縮変形量、飛距離および耐久性を測定または評価し、その結果を以下の表2に示した。試験方法は以下の通り行った。
【0076】
【表2】

【0077】(注3)商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイオン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂【0078】(試験方法)
(1)圧縮変形量ゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量を測定した。
【0079】(2)飛距離ツルーテンパー社製スイングロボットにメタルヘッド製ウッドl番クラブ(W#1、ドライバー)を取付け、ヘッドスピード40m/秒、打出角11度およびスピン量(バックスピン)3000rpmとなるように装置条件を調整して各ゴルフボールを打撃し、停止点までの飛距離(トータル)を測定した。測定は各ゴルフボールについて20個ずつ行って、その平均値を算出して各ゴルフボールの結果とした。
(3)耐久性ツルーテンパー社製スイングロボットにメタルヘッド製ウッド1番クラブ(ドライバー、W#1)を取付け、ゴルフボールをヘッドスピード45m/秒で繰返し打撃し、衝突板に衝突させて評価する。評価はゴルフボールに割れが生じるまでの打撃回数を調べた。その結果を、比較例1の割れが生じるまでの回数を100とした時の指数で示した。
【0080】(試験結果)
【表3】

【0081】以上の結果から明らかなように、比較例1に比較して、実施例1は1,2‐構造含有率が高く、かつ分子量分布(Mw/Mn)がシャープであるため、優れた飛距離を維持しながら、かつ優れた耐久性を有することがわかった。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、1,2‐構造含有率、シス‐1,4‐構造含有率、トランス‐1,4‐構造含有率、1,2‐構造/1,4‐構造の比および重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)を特定範囲内に規定したポリブタジエンを用いたゴム組成物から得られるゴム層を少なくとも一層含むことにより、優れた反発性能および飛行性能を有し、かつ優れた耐久性を有するソリッドゴルフボールを提供し得たものである。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
【出願日】 平成13年12月12日(2001.12.12)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2003−225327(P2003−225327A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2001−378561(P2001−378561)