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【発明の名称】 金属製ウッドゴルフクラブおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】木村 卓司
【住所又は居所】大阪府大阪市住之江区南港北1丁目12番35号 美津濃株式会社内

【要約】 【課題】金属製ウッドゴルフクラブのヘッド部を大型化するとともに反発性能を向上する。

【解決手段】本発明の金属製ウッドゴルフクラブは、金属製外殻構造のヘッド部1を備える。該ヘッド部1は、フェース部4を有するフェース側パーツ2と、バック側パーツ3とを備える。そして、フェース部4をチタンで構成し、フェース部4を保持するフェース側パーツ2の周縁部5と、バック側パーツ3とをマグネシウム合金で構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製外殻構造のヘッド部(1)を備えた金属製ウッドゴルフクラブであって、前記ヘッド部(1)におけるフェース部(4)を第1の材質で構成し、前記ヘッド部(1)において前記フェース部(4)以外の部分を前記第1の材質とは異なる第2の材質で構成し、前記第1の材質の引張強度は前記第2の材質の引張強度よりも高く、かつ前記第2の材質の比重は前記第1の材質の比重よりも小さい、金属製ウッドゴルフクラブ。
【請求項2】 前記第1の材質の引張強度は700MPa以上2500MPa以下であり、前記第2の材質の引張強度は100MPa以上600MPa以下であり、前記第1の材質の比重は2.5以上9.0以下であり、前記第2の材質の比重は1.0以上3.0以下である、請求項1に記載の金属製ウッドゴルフクラブ。
【請求項3】 前記第1の材質は、チタン、チタン合金、ニッケル合金、高強度ステンレス、高強度アルミニウム合金およびベリリウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の材質あるいはこれらの燒結合金で構成され、前記第2の材質は、マグネシウム合金、アルミニウム合金およびリチウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の材質で構成される、請求項1または請求項2に記載の金属製ウッドゴルフクラブ。
【請求項4】 前記第1の材質はチタンあるいはチタン合金であり、前記第2の材質はマグネシウム合金である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の金属製ウッドゴルフクラブ。
【請求項5】 前記ヘッド部(1)は、フェース側パーツ(2)と、バック側パーツ(3)とで構成され、前記フェース側パーツ(2)は、前記フェース部(4)と、該フェース部(4)を取り囲む周縁部(5)とを含み、前記フェース部(4)は外周部に屈曲部(4a)を有し、前記周縁部(5)は前記屈曲部(4a)を挟持固定する挟持部(6)を有する、請求項4に記載の金属製ウッドゴルフクラブ。
【請求項6】 前記フェース側パーツ(2)と前記バック側パーツ(3)とを接着剤により固着した、請求項5に記載の金属製ウッドゴルフクラブ。
【請求項7】 金属製外殻構造のヘッド部(1)を備えた金属製ウッドゴルフクラブであって、前記ヘッド部(1)は、フェース側パーツ(2)とバック側パーツ(3)とを固着して形成され、前記フェース側パーツ(2)は、フェース部(4)と、該フェース部(4)よりも比重の小さい材質からなり前記フェース部(4)を取り囲む周縁部(5)とを含み、前記バック側パーツ(3)は、前記フェース部(4)よりも比重の小さい材質からなり、前記フェース部(4)を鋳ぐるみとして前記周縁部(5)を鋳造で成形することにより、前記フェース部と前記周縁部(5)とを固着した、金属製ウッドゴルフクラブ。
【請求項8】 金属製外殻構造のヘッド部(1)を備えた金属製ウッドゴルフクラブの製造方法であって、鍛造により前記ヘッド部(1)におけるフェース部(4)を形成する工程と、前記フェース部(4)を鋳型内に設置した状態で鋳造を行うことにより、フェース側パーツ(2)を形成する工程と、鋳造によりバック側パーツ(3)を形成する工程と、前記フェース側パーツ(2)と前記バック側パーツ(3)とを固着することにより前記ヘッド部(1)を形成する工程と、を備えた、金属製ウッドゴルフクラブの製造方法。
【請求項9】 前記フェース側パーツ(2)は、前記フェース部(4)と、該フェース部(4)を取り囲む周縁部(5)とを含み、前記フェース部(4)はチタンあるいはチタン合金で構成され、前記周縁部(5)と前記バック側パーツ(3)はマグネシウム合金で構成され、前記鋳造後の前記周縁部(5)の熱収縮により前記周縁部(5)と前記フェース部(4)とを固着し、前記フェース側パーツ(2)と前記バック側パーツ(3)とを接着剤により固着した、請求項8に記載の金属製ウッドゴルフクラブの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属製ウッドゴルフクラブおよびその製造方法に関し、特に、反発性能に優れ、かつ大型化されたヘッド部を備えた金属製ウッドゴルフクラブおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からウッドゴルフクラブのヘッド部として、ステンレス、アルミニウム合金、チタン合金等の金属で作製した金属製のヘッド部は知られているが、近年ヘッド部におけるフェース部を拡大してスイートエリアを拡大するためヘッド部の大型化が図られている。
【0003】たとえば特開2000−254262号公報には、ヘッド材にマグネシウム合金を用いることによりヘッドを軽量化し、剛性を大きくかつ前重心にする発明が開示されている。このようにヘッド材にマグネシウム合金を用いることにより、ヘッド部を大型化し、スイートエリアを拡大することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら特開2000−254262号公報に記載のヘッドでは、フェース部を厚くする必要が生じ、フェース部が撓み難くなる。そのため、ヘッド部の反発性能が低下するという問題が生じる。
【0005】そこで、本発明の目的は、金属製ウッドゴルフクラブのヘッド部を大型化するとともに反発性能をも向上することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る金属製ウッドゴルフクラブは、1つの局面では、金属製外殻構造のヘッド部を備える。そして、該ヘッド部におけるフェース部を第1の材質で構成し、ヘッド部においてフェース部以外の部分を第1の材質とは異なる第2の材質で構成する。第1の材質の引張強度は第2の材質の引張強度よりも高く、かつ第2の材質の比重は第1の材質の比重よりも小さい。
【0007】上記のようにフェース部を強度の高い材質で構成することにより、フェース部を薄くすることができ、打球時にフェース部を撓み易くすることができる。またフェース部以外の部分を低比重の材質で構成することにより、この部分を大型化することができ、ヘッド部を大型化することができる。
【0008】上記第1の材質の引張強度は700MPa以上2500MPa以下であり、第2の材質の引張強度は100MPa以上600MPa以下である。また、第1の材質の比重は2.5以上9.0以下であり、第2の材質の比重は1.0以上3.0以下である。
【0009】第1の材質は、チタン、チタン合金、ニッケル合金、高強度ステンレス、高強度アルミニウム合金およびベリリウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の材質あるいはこれらの燒結合金で構成され、第2の材質は、マグネシウム合金、アルミニウム合金およびリチウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の材質で構成される。より好ましくは、第1の材質はチタンあるいはチタン合金であり、第2の材質はマグネシウム合金である。
【0010】第1と第2の材質として上記のような材質を採用することで、フェース部を薄くして打球時にフェース部を撓み易くしながらヘッド部を大型化することができる。
【0011】ヘッド部は、フェース側パーツとバック側パーツとで構成され、フェース側パーツは、フェース部と、該フェース部を取り囲む周縁部とを含み、フェース部は外周部に屈曲部を有し、周縁部は該屈曲部を挟持する挟持部を有する。
【0012】このように挟持部でフェース部の外周部を挟持することにより、フェース部と周縁部の重ね代を短くすることができ、たとえば図3に示すように打球時にフェース部が撓み得る長さであるフェース部の有効撓み長さLを長く確保することができる。このことも、フェース部を撓み易くすることに寄与し得る。
【0013】フェース側パーツの周縁部とバック側パーツとをマグネシウム合金で構成した場合、フェース側パーツとバック側パーツとを接着剤により固着することが好ましい。
【0014】マグネシウム材の溶接は困難であり、また溶接後に研磨工程が必要であるがマグネシウムの研磨粉は発火する危険性がある。そこで、フェース側パーツとバック側パーツとを接着剤で固着することにより、フェース側パーツとバック側パーツとを容易に固着することができるのみならず、マグネシウム材の溶接をする必要がなくなり、ヘッド部の製造工程を容易化することができるとともに製造時の安全性も向上する。
【0015】本発明に係る金属製ウッドゴルフクラブは、他の局面では、金属製外殻構造のヘッド部を備え、該ヘッド部は、フェース側パーツとバック側パーツとを固着して形成され、フェース側パーツは、フェース部と、該フェース部よりも比重の小さい材質からなりフェース部を取り囲む周縁部とを含み、バック側パーツは、フェース部よりも比重の小さい材質からなり、フェース部を鋳ぐるみとして周縁部を鋳造で成形することによりフェース部を周縁部に固着する。
【0016】上記のようにフェース部を鋳ぐるみとしてフェース側パーツの周縁部を鋳造で成形することにより、鋳造後の周縁部の熱収縮によりフェース部をフェース側パーツの周縁部によって挟持することができる。それにより、フェース部と周縁部とを固着することができるとともにフェース部と周縁部との重ね代を短くすることができる。その結果、フェース部の有効撓み長さを長くすることができ、打球時にフェース部を撓み易くすることができる。またフェース側パーツの周縁部とバック側パーツとを、フェース部よりも比重の小さい材質で構成することにより、ヘッド部を大型化することができる。
【0017】本発明に係る金属製ウッドゴルフクラブの製造方法は、下記の各工程を備える。鍛造によりヘッド部におけるフェース部を形成する。フェース部を鋳型内に設置した状態で鋳造を行うことにより、フェース側パーツを形成する。鋳造によりバック側パーツを形成する。フェース側パーツとバック側パーツとを固着することによりヘッド部を形成する。
【0018】上記のように鍛造により成形したフェース部を鋳型内に設置した状態で鋳造を行うことにより、鋳造後の熱収縮によりフェース部をフェース側パーツの周縁部によって挟持することができる。それにより、フェース部と周縁部とを固着することができる。また、上述のようにフェース部の有効撓み長さを長くすることもでき、打球時にフェース部を撓み易くすることができる。さらに、フェース側パーツの周縁部やバック側パーツをフェース部よりも比重の小さい材質で構成することにより、ヘッド部を大型化することができる。
【0019】上記フェース側パーツは、フェース部と、該フェース部を取り囲む周縁部とを含む。フェース部はチタンあるいはチタン合金で構成され、周縁部とバック側パーツはマグネシウム合金で構成されることが好ましい。そして、鋳造後の周縁部の熱収縮力により周縁部とフェース部とを固着し、フェース側パーツとバック側パーツとを接着剤により固着することが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の金属製ウッドゴルフクラブは、金属製外殻構造のヘッド部と、シャフトおよびグリップとを備える。ヘッド部は後述する構成を有し、シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用する。
【0021】本発明のヘッド部は、フェース側パーツとバック側パーツとで構成される。フェース側パーツは、フェース部側に位置する部分であり、フェース部と、該フェース部を取り囲む周縁部とを含む。バック側パーツは、バック部側に位置する部分である。ヘッド部は、典型的にはフェース側パーツとバック側パーツとに2分割されるが、ヘッド部を3分割以上してもよい。
【0022】本発明では、上記のヘッド部におけるフェース部とそれ以外の部分とを異なる材質で構成する。より詳しくは、フェース部を相対的に引張強度が高く、かつ相対的に比重の大きい材質で構成し、フェース部以外の部分を相対的に引張強度が低く、かつ相対的に比重の小さい材質で構成する。
【0023】このようにフェース部を強度の高い材質で構成することにより、フェース部を薄くすることができ、打球時にフェース部を撓み易くすることができる。またフェース部以外の部分を低比重の材質で構成することにより、ヘッド部を大型化することができる。したがって、ヘッド部の反発性能を向上させながらヘッド部を大型化してスイートエリアを拡大することができる。
【0024】フェース部の材質(第1の材質)の引張強度は700MPa以上2500MPa以下であり、フェース部以外の部分の材質(第2の材質)の引張強度は100MPa以上600MPa以下である。好ましくは、フェース部の材質の引張強度は1000MPa以上2500MPa以下であり、フェース部以外の部分の材質の引張強度は250MPa以上600MPa以下である。
【0025】また、フェース部の材質の比重は2.5以上9.0以下であり、フェース部以外の部分の材質の比重は1.0以上3.0以下である。好ましくは、フェース部の材質の比重は2.5以上5.0以下であり、フェース部以外の部分の材質の比重は1.5以上3.0以下である。
【0026】フェース部の材質としては、チタン、チタン合金、ニッケル合金、高強度ステンレス、高強度アルミニウム合金およびベリリウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1種あるいはこれらの燒結合金を挙げることができ、フェース部以外の部分の材質は、マグネシウム合金、アルミニウム合金およびリチウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の材質を挙げることができる。典型的には、フェース部をチタンあるいはチタン合金で構成し、フェース部以外の部分をマグネシウム合金で構成する。
【0027】フェース部は外周部(周縁部)に屈曲部を有する。該屈曲部は、フェース部の外周部をフェース裏面側に屈曲することにより形成され、フェース部の全周に沿って設けられることが好ましいが、一部に設けられてもよい。屈曲部のフェース裏面側へ向かう方向の長さ(図3におけるL1)は3mm以上10mm以下程度であり、屈曲部の内周面とフェース部裏面とのなす角度(図3におけるθ)は90度でなければよいが、90度より大きく120度以下程度であることが好ましい。
【0028】上記の屈曲部を、フェース側パーツの周縁部によって挟持固定する。このとき屈曲部の長さや角度を上記のものとすることにより、フェース部をフェース側パーツの周縁部に強固に固着することができる。他方、フェース側パーツの周縁部は屈曲部を挟持する挟持部を有する。
【0029】挟持部は、典型的には略U字状の断面構造を有し、上記の屈曲部を挟む1組の凸部と、該凸部間に屈曲部を受け入れる凹部を有する。かかる挟持部でフェース部の外周部を挟持固定することにより、フェース部と、フェース側パーツの周縁部との重ね代を短くすることができ、たとえば図3に示すように打球時にフェース部が撓み得る長さであるフェース部の有効撓み長さLを長く確保することができる。
【0030】フェース側パーツの周縁部は上記フェース部を鋳ぐるみとして鋳造により成形することが好ましい。それにより、鋳造後の該周縁部の熱収縮力によりフェース部を挟持部で保持することができ、フェース部をフェース側パーツの周縁部に固着することができる。
【0031】フェース側パーツの周縁部とバック側パーツとをマグネシウム合金で構成した場合、フェース側パーツとバック側パーツとを接着剤により固着することが好ましい。
【0032】マグネシウム材の溶接は困難であり、また溶接後に研磨工程が必要である。研磨工程では研磨粉が発生するが、マグネシウムの研磨粉は発火する可能性があるため危険である。
【0033】そこで、上記のようにフェース側パーツとバック側パーツとを接着剤で固着することにより、フェース側パーツとバック側パーツとを容易に固着することができるのみならず、マグネシウム材の溶接をする必要がなくなる。そのため、ヘッド部の製造工程を容易化することができるとともに製造時の安全性も向上する。
【0034】次に、本発明に係る金属製ウッドゴルフクラブの製造方法について説明する。まず、鍛造によりヘッド部におけるフェース部を形成する。具体的には、たとえばチタンの丸棒を鍛造し、平板状のフェース部を作製する。このとき、フェース部の周縁部にフェース裏面側に屈曲する屈曲部を形成しておく。
【0035】上記のフェース部を鋳型内に設置した状態でダイカスト(鋳造)を行う。つまりフェース部を鋳ぐるみとしてインサート成形を行う。このとき、鋳造時に金型キャビティ内でフェース材が動かないように中子で押えておき、フェース部の外周の表面側と裏面側の双方にマグネシウム合金の湯を流し込む。それにより、フェース部の外周部を挟持する挟持部を有するフェース側パーツの周縁部を形成することができる。該周縁部は冷却されるが、この時の熱収縮力によりフェース部の外周部をフェース側パーツの周縁部で挟持することができる。
【0036】他方、ダイカストによりバック側パーツを形成しておく。このバック側パーツにおけるフェース部側端部(開口端)には、フェース側パーツと嵌合する嵌合部を設けておく。たとえば、バック側パーツの開口端に段差部を設けておく。フェース側パーツの後方側端部(開口端)にも、上記のダイカストの際に、バック側パーツの段差部と噛合う段差部を設けておく。
【0037】そして、フェース側パーツとバック側パーツにおける上記段差部の少なくとも一方に接着剤を塗布し、段差部同士が噛合うようにフェース側パーツとバック側パーツとを組み合わせる。それにより、フェース側パーツとバック側パーツとを接着剤により固着することができ、ヘッド部を作製することができる。このようにしてヘッド部を作製した後、周知の手法でシャフトおよびグリップをヘッド部と接合する。それにより、本発明のゴルフクラブが製造される。
【0038】
【実施例】以下、図1〜図5を用いて、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の1つの実施例における金属製ウッドゴルフクラブのヘッド部1の平面図である。図2は、図1に示すヘッド部1の分解図である。なお、シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用できるので、図示および説明は省略する。
【0039】図1に示すように、ヘッド部1は、フェース部を含むフェース側パーツ2と、バック側パーツ3とを有する。フェース側パーツ2は、図2に示すように、フェース部4と、周縁部5とを含む。フェース部4は、チタンにより構成し、周縁部5はマグネシウム合金(AZ91,AM60,AS42,AE42などダイキャストに適したもの)により構成する。他方、バック側パーツ3も、周縁部5と同様のマグネシウム合金で構成する。
【0040】フェース部4をチタンで構成することにより、フェース部4を2.0mm〜3.0mm程度と薄くすることができ、フェース部4の反発係数を0.8以上と高くすることができる。また、周縁部5およびバック側パーツ3を低比重のマグネシウム合金で構成することにより、ヘッド部1の体積を増大することができ、たとえばヘッド部1の体積を400cm3以上600cm3以下程度とすることができる。したがって、ヘッド部1の反発性能を高く維持しながら、ヘッド部1を大型化することができる。
【0041】なお、上記の反発係数は次のようにして算出する。まず、静止したヘッド部1のスイートスポットを標的に面直方向からエアガンによって48.8m/sで発射したボールを衝突させ、ボールの反射速度を測定する。ここで、スイートスポットとは、ヘッド部1の重心からフェースに面直に伸ばした直線とフェースとの交点のことである。そして反発係数eを、下記の数式(1)により算出する。
【0042】e=((反射速度/入射速度)×(MH+MB)+MB)/MH…(1)上記数式(1)において、MHはヘッド部1の質量であり、MBはボールの質量である。
【0043】次に、図1および図2に示すヘッド部1の断面構造について説明する。図3はフェース側パーツ2の部分断面図であり、図4はフェース側パーツ2とバック側パーツ3との接合部分を示すヘッド部1の部分断面図である。
【0044】図3に示すように、フェース部4は周縁に屈曲部4aを有する。屈曲部4aのバック部側への突出長さL1は4mmであり、屈曲部4aの内側表面とフェース部4の裏面とのなす角度θは110度である。
【0045】上記の屈曲部4aを、フェース側パーツ2における周縁部5の挟持部6によって挟持し、フェース部4と周縁部5とを固定している。挟持部6は略U字状の断面形状を有し、中央の凹部に屈曲部4aを受け入れて挟持する。
【0046】このように周縁部5の挟持部6によってフェース部4外周の屈曲部4aを挟持することにより、周縁部5とフェース部4の重なり部を小さくすることができ、フェース部4の有効撓み長さLを45mm程度と長くすることができる。
【0047】図4に示すように、フェース側パーツ2は、後方側(バック部側)の端部である開口端に段差部8を有している。この段差部8の長さL2は2mm〜10mm程度である。
【0048】バック側パーツ3も、前方側(フェース部側)の端部である開口端に段差部7を有している。この段差部7の長さL3は上記の長さL2と同じ長さである。この段差部7と段差部8とを組み合わせて接着することにより、フェース側パーツ2とバック側パーツ3とを固定する。
【0049】次に、図1および図2に示すヘッド部1の製造方法について図5を用いて説明する。
【0050】図5に示すように、まず鍛造によりチタンからなるフェース部4を製造する。このときフェース部4の外周部に上述の屈曲部4aを形成しておく。このフェース部4を研磨し、フェース面にスコアラインを形成する。
【0051】次に、上記フェース部4を金型内にセットする。そして、中子を用いてフェース部4を金型内で固定する。この状態で金型内にマグネシウム合金の湯を流し込み、ダイカスト成形を行う。つまり、フェース部4を鋳ぐるみとしてフェース部4と周縁部5とを一体成形する。
【0052】このとき、該フェース部4の屈曲部4aの表裏面にマグネシウム合金の湯を流し込むことにより、図3に示すように、周縁部5の冷却時の熱収縮力によりフェース部4の外周部を周縁部5で挟持することができる。また、金型形状を調節してフェース側パーツ2の開口端に図4に示す段差部8を形成する。
【0053】他方、ダイカストによりバック側パーツ3を形成する。このバック側パーツ3における開口端にも、同様に図4に示す段差部7を形成しておく。この段差部7とフェース側パーツ2の段差部8との少なくとも一方に接着剤を塗布し、これらを組み合わせる。それにより、フェース側パーツ2とバック側パーツ3とを一体化する。
【0054】その後、ヘッド部1に研磨処理等を施して仕上げを行い、ヘッド部1を作製する。そして、該ヘッド部1に周知の手法でシャフトおよびグリップを固定することにより、本発明のゴルフクラブを製造することができる。
【0055】このように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示した実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、打球時にフェース部を撓み易くすることができるので、フェース部の反発特性を向上することができる。また、フェース部以外の部分を低比重の材質で構成することにより、ヘッド部を大型化することもできる。したがって、金属製ウッドゴルフクラブのヘッド部の反発性能を向上させながらヘッド部を大型化してスイートエリアを拡大することができる。
【出願人】 【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目1番23号
【出願日】 平成13年12月6日(2001.12.6)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外3名)
【公開番号】 特開2003−169868(P2003−169868A)
【公開日】 平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願番号】 特願2001−372677(P2001−372677)