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【発明の名称】 ゴルフクラブ
【発明者】 【氏名】田嶋 良平
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内

【氏名】藤村 昌樹
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内

【要約】 【課題】ヘッドが十分に大きく、スイートエリアが広く、打球が左右に逸れにくく、飛距離が大きいゴルフクラブを提供する。

【解決手段】ゴルフクラブ1において、シャフト2及びヘッド3を設け、ヘッド3をヘッド本体4及び質量体5により形成する。ヘッド本体4は比重が5.0以下の材料により形成する。また、質量体5は、比重が8.0以上の材料により形成し、ヘッド本体4の内部におけるシャフト2の中心軸6が通る位置に配置する。また、ヘッド3のヘッド本体4には、シャフト2の中心軸6から95mm以上離れた部分7を設ける。更に、ヘッド3全体の質量に対するシャフト2の中心軸6から7mm以下の距離にある部分8の質量の比率を15%以上とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シャフトと、このシャフトの先端に設けられロフト角が5乃至15°であるヘッドとを有し、前記ヘッドの一部が前記シャフトの中心軸から95mm以上離れており、前記ヘッドにおける前記中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量が前記ヘッドの全質量の15%以上であることを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項2】 前記ヘッドは、比重が5.0以下の材料により形成されたヘッド本体と、このヘッド本体内における前記中心軸上に配置され比重が8.0以上の材料により形成された質量体と、を有することを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ。
【請求項3】 前記ヘッド本体がチタン又はチタン合金により形成されており、前記質量体が銅、銅合金、ステンレス、タングステン又はタングステン合金により形成されていることを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスイートエリアが広く、飛球方向が逸れることを防止できるゴルフクラブに関し、特に、アマチュアゴルファー用のドライバーとして好適なゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】ゴルフクラブはそのヘッドのスイートエリアが広いほど、ミスショットする確率が低くなり、打球を所望の位置に飛ばすことが容易になる。従来、ゴルフクラブにおけるヘッドのスイートエリアを広げるために、ヘッドを比重が小さく強度が高い材料により形成して、ヘッドを大型化することが行われてきた。ヘッドを大型化することにより、ヘッドの重心まわりの慣性二次モーメントを増大させ、スイートエリアを広げることができる。
【0003】しかしながら、一般に、ヘッドを大型化してヘッドの重心まわりの慣性二次モーメントを増大させると、シャフトの中心軸(以下、シャフト軸ともいう)まわりの慣性二次モーメントも増大する。この結果、特にアマチュアゴルファーがこのようなシャフト軸まわりの慣性二次モーメントが大きいゴルフクラブを使用すると、ショットの際にシャフト軸を中心とするヘッドの回転が遅れ、例えば右利き用のゴルフクラブを使用する場合、飛球方向が右に逸れやすいという問題点がある。
【0004】この問題点を解決するために、従来、例えば右利き用のゴルフクラブにおいては、ヘッドのフェース面に垂直な方向(以下、フェースの向きという)を左に傾け(即ち、フェースをフックフェースとして)、飛球方向が右に逸れることを防止する技術が開発されている。また、ヘッドの形状を、ヘッドの中心がシャフト軸付近に位置するような形状にして、ヘッドの重心位置をシャフト軸に近づける技術が開発されている。即ち、ヘッドの形状を、ヘッドの外周部が可及的にシャフト軸に近くなるような形状にする。これにより、シャフト軸まわりの慣性二次モーメントを小さくすることができ、ヘッドの返りを良くすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の従来の技術には以下に示すような問題点がある。ヘッドのフェースの向きを左向きにすると、アドレスする際に、最終的にボールを打出したい方向とフェースの向き(フェース面に垂直な方向)とが一致せず、ボールを打出したい方向に対してフェースが左に傾くことになる。このため、フェースの向きから飛球方向を予測することが困難になり、結果的に、飛球方向をコントロールしにくくなる。また、フェースの向きを左向きにする技術は、ヘッドを返りやすくする技術ではなく、スイング時にヘッドが返らないことを前提として、予めヘッドを返しておく技術である。このため、打球時のヘッドスピードにヘッドの返りによる速度が加算されず、打球の飛距離が短くなるという問題点がある。
【0006】また、ヘッドを外周部が可及的にシャフト軸に近くなるような形状にして、ヘッドの重心位置をシャフト軸に近づける技術においては、シャフト軸まわりの慣性二次モーメントは小さくなるが、ヘッドの重心まわりの慣性二次モーメントも小さくなってしまう。この結果、ヘッドのスイートエリアが小さくなるという問題点がある。また、アドレス時にヘッドが小さく見えてしまい、ゴルファーに不安感を抱かせるという問題点もある。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ヘッドが十分に大きく、スイートエリアが広く、打球が左又は右に逸れにくく、飛距離が大きいゴルフクラブを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るゴルフクラブは、シャフトと、このシャフトの先端に設けられロフト角が5乃至15°であるヘッドとを有し、前記ヘッドの一部が前記シャフトの中心軸から95mm以上離れており、前記ヘッドにおける前記中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量が前記ヘッドの全質量の15%以上であることを特徴とする。
【0009】本発明においては、ヘッドの一部をシャフトの中心軸から95mm以上離すことにより、ヘッドを大型化し、ヘッドの重心まわりの慣性二次モーメントを増大させることができる。これにより、スイートエリアを拡大することができる。また、ヘッドを大型化することにより、アドレス時のヘッドの視認性も良好になる。
【0010】また、ヘッドにおける中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量を、前記ヘッドの全質量の15%以上とすることにより、シャフトの中心軸まわりの慣性二次モーメント値を5000gcm以下にすることができる。シャフトの中心軸まわりの慣性二次モーメント値を5000gcm以下にすると、ショットの際にシャフト軸を中心とするヘッドの回転が遅れることを防止できる。これにより、例えば右利き用のゴルフクラブを使用する場合に、飛球方向が右に逸れることを防止することができると共に、ヘッドの返りの速度が大きくなるため、ヘッドスピードが向上し、打球の飛距離を伸ばすことができる。更に、ヘッドのフェース面を極端に左右に傾ける必要がないため、アドレス時に飛球方向を予測することが容易になる。
【0011】また、前記ヘッドは、比重が5.0以下の材料により形成されたヘッド本体と、前記中心軸上に配置され比重が8.0以上の材料により形成された質量体と、を有することができる。これにより、一部が前記シャフトの中心軸から95mm以上離れており、且つ、ヘッドにおける中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量が前記ヘッドの全質量の15%以上であるヘッドを、簡略な構成により実現することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施例に係るゴルフクラブを示す側面図であり、図2はこのゴルフクラブを示す上面図である。図1に示すように、本実施例に係るゴルフクラブ1には、シャフト2及びヘッド3が設けられている。ヘッド3はヘッド本体4及び質量体5により形成されている。ヘッド本体4は比重が5.0以下の材料により形成されており、例えば、比重が4.5であるチタンにより形成されている。また、質量体5は、ヘッド本体4の内部におけるシャフト2の中心軸6が通る位置に配置されている。質量体5は比重が8.0以上の材料により形成されており、例えば、比重が19.3のタングステンにより形成されている。ヘッド3全体の質量は例えば190gであり、質量体5の質量は例えば15gである。なお、ゴルフクラブ1は右利き用のウッド型ゴルフクラブであり、例えば、ドライバーである。
【0013】また、図1及び図2に示すように、ヘッド3のヘッド本体4には、シャフト2の中心軸6から95mm以上離れた部分7が存在する。即ち、ヘッド3におけるシャフト2の中心軸6から最も離れている部分は、中心軸6からの距離が95mm以上であり、例えば97mmである。なお、図2に示す円9は、シャフト2の中心軸6から95mmの距離にある点を結ぶ仮想上の円である。また、ヘッド3においては、シャフト2の中心軸6から7mm以下の距離にある部分8の質量は、例えば30gである。従って、ヘッド3全体の質量に対する部分8の質量の比率は、例えば15.8%となる。更に、ヘッド3のロフト角は5乃至15°である。
【0014】以下、本発明の各構成要件における数値限定理由について説明する。
【0015】ロフト角:5乃至15°ロフト角が5°未満であると、飛球方向と水平方向とのなす角度が小さくなり、打球の軌道が低くなるため、打球の飛距離が短くなる。一方、ロフト角が15°を超えると、飛球方向と水平方向とのなす角度が大きくなり過ぎ、打球の軌道が高くなりすぎるため、やはり打球の飛距離が短くなる。従って、ロフト角は5乃至15°とする。
【0016】ヘッドにおけるシャフトの中心軸から最も遠い部分とこの中心軸との間の距離:95mm以上ヘッドにおけるシャフトの中心軸から最も遠い部分と前記中心軸との間の距離を95mm以上とすることにより、ヘッドを大型化し、ヘッドのスイートエリアを広くすることができる。これにより、ミスショットが少なくなり、打球を所望の位置に飛ばすことが容易になる。従って、ヘッドにおけるシャフトの中心軸から最も遠い部分と前記中心軸との間の距離は95mm以上とする。
【0017】ヘッドの全質量に対するシャフトの中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量の割合:15%以ヘッドの全質量に対するシャフトの中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量の割合を15%以上とすることにより、ヘッドにおけるシャフトの中心軸から最も遠い部分と前記中心軸との間の距離を95mm以上としても、ヘッドのシャフトの中心軸まわりの慣性二次モーメントを5000gcm以下とすることができる。これにより、ショットの際に前記中心軸を中心とするヘッドの回転が遅れることを防止できる。この結果、例えば右利き用のゴルフクラブを使用する場合に、飛球方向が右に逸れることを防止することができる。また、ヘッドの返りの速度を向上させることができるため、ヘッドスピードが向上する。この結果、打球の飛距離を伸ばすことができる。従って、ヘッドの全質量に対するシャフトの中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量の割合は15%以上とする。
【0018】ヘッド本体を形成する材料の比重:5.0以下ヘッド本体を形成する材料の比重を5.0以下とすることにより、ヘッドを大型化すると共にヘッド本体の質量を低減することが容易になる。この結果、ヘッドにおけるシャフトの中心軸から最も遠い部分と前記中心軸との間の距離が95mm以上であり、且つ、ヘッドの全質量に対するシャフトの中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量の割合を15%以上とすることが容易になる。従って、ヘッド本体を形成する材料の比重を5.0以下とすることが好ましい。なお、このような材料には、例えばチタン及びチタン合金がある。
【0019】中心軸上に配置される質量体を形成する材料の比重:8.0以上質量体を形成する材料の比重を8.0以上とすることにより、ヘッドにおけるシャフトの中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量を増大させることができる。これにより、ヘッドの全質量に対するシャフトの中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量の割合を15%以上とすることが容易になる。従って、質量体を形成する材料の比重を8.0以上とすることが好ましい。なお、このような材料には、例えば銅、銅合金、ステンレス、タングステン及びタングステン合金がある。
【0020】例えば、チタン板をプレスすることによりヘッド本体4を形成し、このヘッド本体4の内部に例えばタングステンからなる質量体5を取り付けることにより、ヘッド3を作製することができる。また、ゴルフクラブ1は、ヘッド3にシャフト2を連結することにより製造される。
【0021】本実施例のゴルフクラブ1においては、シャフト2の中心軸6から95mm以上離れた部分7を設けているため、ヘッドを十分大きくすることができる。このため、ヘッドの重心まわりの慣性二次モーメントを増大させ、スイートエリアを大きくすることができる。また、ヘッドが大きく、アドレス時におけるヘッドの視認性が良好になるため、ゴルファーに安心感を抱かせることができる。
【0022】また、シャフト2の中心軸6から7mm以下の距離にある部分8の質量を、ヘッド3全体の質量に対して15%以上とすることにより、ヘッド3の中心軸6まわりの慣性二次モーメント値を5000gcm以下にすることができる。これにより、本実施例のゴルフクラブ1をアマチュアゴルファーが使用する場合においても、ショットの際に中心軸6を中心とするヘッド3の回転が遅れることを防止できる。この結果、飛球方向が右に逸れることを防止することができる。また、ヘッドの返りの速度が大きくなるため、ヘッドスピードが向上し、打球の飛距離を伸ばすことができる。更に、本実施例のゴルフクラブ1においては、フェース面を極端に左又は右に傾ける必要がないため、アドレス時に飛球方向を予測することが容易になる。
【0023】更にまた、本実施例のゴルフクラブ1は、ヘッド3がヘッド本体4及び質量体5により構成されているため、その構成が簡略であり、製造が容易である。このため、本実施例のゴルフクラブ1は低コストで製造することができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例の効果について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。図3は本実施例の試験方法を示す模式図である。図3に示すように、ドライバー11として2種類のゴルフクラブNo.1及びNo.2を作製した。この2種類のクラブのヘッドにおけるシャフトの中心軸から最も遠い部分と前記中心軸との間の距離(以下、外周距離という)、ヘッドの全質量に対するシャフトの中心軸からの距離が7mm以下の部分の質量の比率(以下、質量比率という)、及びシャフト軸まわりの慣性二次モーメントを表1に示す。なお、ゴルフクラブNo.1及びNo.2のロフト角は5乃至15°とした。上記以外のゴルフクラブNo.1及びNo.2の構成は、前述の実施例に係るゴルフクラブ1(図1参照)の構成と同一である。
【0025】次に、ゴルファー12がドライバー11を持ち、スイングした。ゴルファー12は、通常、ドライバーを約40m/秒のヘッドスピードでスイングすることができるゴルファーである。このスイング時において、ドライバー11のヘッドスピードを測定した。ヘッドスピードは、ゴルファー12の身体を軸としてドライバー11が回転することによる回転速度Aと、ドライバー11のヘッドがシャフト軸を回転軸として回転することによる回転速度Bとの和となる。この回転速度A及びB並びに合計のヘッドスピードを表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】表1に示すゴルフクラブNo.1は本発明の実施例である。ゴルフクラブNo.1は外周距離が95mm以上であり、質量比率が15%以上であり、シャフト軸まわりの慣性二次モーメントが4856gcmと5000gcm以下であった。このため、ゴルフクラブNo.1をスイングすると、回転速度Bが4.1m/秒と大きくなり、ヘッドスピードが40.9m/秒と大きくなった。従って、ゴルフクラブNo.1を使用してボールを打てば、打球が右に逸れることなく、飛距離が大きくなる。
【0028】これに対して、ゴルフクラブNo.2は比較例である。ゴルフクラブNo.2は質量比率が15%未満であり、シャフト軸まわりの慣性二次モーメントが5288gcmと5000gcmを超えていた。このため、ゴルフクラブNo.2をスイングすると、回転速度Aは36.9m/秒とゴルフクラブNo.1を使用したときの回転速度A(36.8m/秒)と同程度であったが、回転速度Bが3.2m/秒とゴルフクラブNo.1の回転速度B(4.1m/秒)よりも小さくなり、その分ヘッドスピードが40.1m/秒と、ゴルフクラブNo.1のヘッドスピード(40.9m/秒)よりも小さかった。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、ヘッドが大きく、スイートエリアが広く、フェース面が極端に左右に傾いておらず、シャフトの中心軸まわりの慣性二次モーメントが小さいゴルフクラブを得ることができる。このゴルフクラブを使用すれば、アドレスが容易で、ミスショットが少なく、飛球方向が逸れることを防止でき、飛距離を伸ばすことができる。
【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号
【出願日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【代理人】 【識別番号】100090158
【弁理士】
【氏名又は名称】藤巻 正憲
【公開番号】 特開2003−169867(P2003−169867A)
【公開日】 平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願番号】 特願2001−374799(P2001−374799)