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【発明の名称】 ゴルフクラブヘッド
【発明者】 【氏名】藤村 昌樹
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内

【要約】 【課題】製造コストが低く、重心位置及び質量配分を自在に調節できるゴルフクラブヘッドを提供する。

【解決手段】ウッドクラブ1のヘッド3に、ヘッド本体4及び質量付加部材5を設ける。ヘッド本体4をヘッド3の殻を形成する殻部4a及びヘッド本体4の内部を2つの空洞部6a及び6bに区画する仕切板4bから構成する。空洞部6aはヘッド3の下部後方側に形成し、その容積を1cmとする。また、殻部4aの蓋部4eには空洞部6aを外部に連結する開口部7を設ける。更に、ナイロン樹脂とタングステン粉末とからなり密度が14g/cmである高比重樹脂を、開口部7から空洞部6aの内部に射出成形して質量付加部材5を成形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 殻部の内部に1又は複数の空洞部が区画されたヘッド本体と、少なくとも1の前記空洞部内に樹脂を射出成形することにより形成された質量付加部と、を有することを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】 前記樹脂の密度が10g/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】 前記樹脂が熱可塑性樹脂と金属粉末とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】 前記金属粉末がタングステン又はその合金の粉末であることを特徴とする請求項3に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】 前記質量付加部は前記ヘッド本体のソール内面に接していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】 樹脂注入用の開口部の合計面積が1cm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重心位置及び質量配分の最適化が容易であり、且つ製造コストが低いゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】ゴルフクラブの性能を向上させるためには、ゴルフクラブヘッドの重心位置及び質量配分を最適化することが有効である。例えば、ゴルフクラブヘッドの重心位置をヘッド内の低く且つ後方の位置とすることにより、打球を上方に打ち出すことが容易になる。
【0003】そこで従来、ゴルフクラブヘッドの重心位置及び質量配分を調節するために、いくつかの技術が提案されてきた。図5(a)及び(b)は従来のゴルフクラブヘッドの外観を示す斜視図であり、(a)はウッドクラブのヘッドの外観を示し、(b)はアイアンクラブのヘッドの外観を示す。また、図6(a)は図5(a)に示すヘッドのA−A断面を示す断面図であり、図6(b)は図5(b)に示すヘッドのB−B断面を示す断面図である。
【0004】図6(a)に示すように、この従来の技術においては、ウッドクラブのヘッド41におけるヘッド本体42の肉厚をその部位によって異ならせる。例えば、ヘッド41の下部においてヘッド本体42の肉厚を厚くすることにより、質量付加部43を形成する。これにより、ヘッド41の重心位置を低くする。同様に、図6(b)に示すように、アイアンクラブのヘッド44において、ヘッド本体45の肉厚を局部的に厚くして、ヘッド44の下部に質量付加部46を形成する。これにより、ヘッド44の重心位置を低くする。この技術は、例えば実開平06−048722号公報に開示されている。
【0005】また、図7(a)は他の従来のウッドクラブのヘッドを示す断面図であり、(b)は他の従来のアイアンクラブのヘッドを示す断面図である。図7(a)及び(b)に示すヘッドの外観は、夫々図5(a)及び(b)に示す外観と同じである。即ち、図7(a)に示す断面は図5(a)に示すA−A断面に相当し、図7(b)に示す断面は図5(b)に示すB−B断面に相当する。図7(a)に示すように、この従来の技術においては、ウッドクラブのヘッド本体47に高密度部材48を装着している。ヘッド本体47はチタン又はステンレス等により形成され、高密度部材48はヘッド本体47を形成する材料よりも密度が大きいタングステン等の金属材料で形成されている。これにより、ヘッドの重心位置を低くすることができる。なお、高密度部材48はヘッド本体47に対して、接着、粘着、かしめ、ネジ止め、鋳ぐるみ成形等の方法により装着されている。同様に、図7(b)に示すように、アイアンクラブのヘッド本体49に、タングステン等からなる高密度部材50を装着してヘッドの重心位置を調節する。この技術は、例えば特開平10−211304号公報に開示されている。
【0006】更に、図8(a)は更に他の従来のウッドクラブのヘッドを示す断面図であり、(b)は更に他の従来のアイアンクラブのヘッドを示す断面図である。図8(a)及び(b)に示すヘッドの外観は、夫々図5(a)及び(b)に示す外観と同じである。即ち、図8(a)に示す断面は図5(a)に示すA−A断面に相当し、図8(b)に示す断面は図5(b)に示すB−B断面に相当する。図8(a)に示すように、この従来の技術においては、ウッドクラブのヘッドのヘッド本体51にポケット部52を設け、このポケット部52内において高密度合金53を自然注型する。即ち、ポケット部52内に溶融状態の高密度合金53を流し込み、ポケット部52内において凝固させることにより、質量付加部を形成する。これにより、ヘッドの重心位置を調節することができる。同様に、図8(b)に示すように、アイアンクラブのヘッド本体54にポケット部55を設け、このポケット部55内において高密度合金56を自然注型する。これにより、質量付加部を形成する。高密度合金には錫−ビスマス合金等を使用する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の従来の技術には以下に示すような問題点がある。図6(a)及び(b)に示すヘッド本体の肉厚を厚くして質量付加部を設ける技術においては、ヘッド本体を構成する材料の体積変化分しか質量を変化させることができず、質量の変化幅が小さいという問題点がある。このため、付加できる質量が小さく、重心位置及び質量配分を調節する効果が不十分である。
【0008】また、図7(a)及び(b)に示すヘッド本体にタングステン等からなる高密度部材を装着する技術においては、ヘッド本体に高密度部材を固定することが困難であり、このための加工コストが高くなるという問題点がある。また、このような高コストな加工を行っても、高密度部材の質量を大きくすると、高密度部材をヘッド本体に固定する強度が不足し、ゴルフクラブの使用中に高密度部材が脱落する可能性がある。このため、高密度部材の質量を十分に大きくすることができない。更に、高密度部材の体積に制約があるため、高密度部材を形成する金属材料には、タングステン等の密度が高い金属を使用する必要がある。このため、材料コストが高くなるという問題点がある。更にまた、高密度部材をヘッド本体に装着する際に、高密度部材を研削して形状を整える必要があるため、材料の歩留が低くなり、材料コストが更に増加する。更にまた、高密度部材を形成する金属材料の密度を任意の密度に調整することが困難である。このため、ヘッドの総質量、重心位置及び質量配分を微調節することが困難である。
【0009】更に、図8(a)及び(b)に示すヘッド本体にポケット部を設け、このポケット部において高密度合金からなる質量付加部を自然注型する技術においては、以下に示す問題点がある。ポケット部に注入する高密度合金は融点が低い合金である必要があり、代表的な合金として錫−ビスマス合金がある。しかしながら、錫−ビスマス合金の密度は約9.8g/cmであり、鋼又はステンレス等のヘッド本体を形成する材料の密度と比較してそれほど大きくない。このため、質量付加効果には限界がある。また、このような高密度合金の密度を任意に調節することは困難である。更に、高密度合金をポケット部内において自然注型するため、ポケット部の注入口をある程度大きくする必要がある。このため、自然注型後、この注入口を別途塞ぐ必要があり、加工コストが増加すると共に、ヘッドのデザインにも制約が生じる。
【0010】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、製造コストが低く、重心位置及び質量配分を自在に調節できるゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係るゴルフクラブヘッドは、殻部の内部に1又は複数の空洞部が区画されたヘッド本体と、少なくとも1の前記空洞部内に樹脂を射出成形することにより形成された質量付加部と、を有することを特徴とする。
【0012】本発明においては、質量付加部を設けることにより、ヘッドの重心位置及び質量配分を調節することができる。また、質量付加部を形成する材料として樹脂を使用することにより、タングステン等の高密度金属を使用する場合と比較して、材料コストを低減することができる。また、樹脂の密度を調節することは金属の密度を調節するよりも容易であるため、ヘッドの質量、重心位置及び質量配分の微調整が容易になる。これにより、最終製品の質量、重心位置及び質量配分を均一化することができる。
【0013】更に、前記質量付加部を射出成形により形成することにより、質量付加部を短時間で簡便に低コストで形成することができる。また、任意の形状の質量付加部を形成することができる。また、射出成形によれば樹脂の歩留を極めて高くできるため、材料コストをより一層低減することができる。
【0014】更にまた、質量付加部を自然注型により形成する場合と比較して開口部を小さくすることができ、開口部を塞ぐための加工が容易になり、加工コストを低減できる。また、デザイン上の制約を小さくすることができる。更にまた、前記質量付加部を射出成形により形成することにより、異なる種類のヘッド間において開口部を共通化することができる。これにより、種類及び形状が異なるヘッドにおいて、樹脂の充填作業を共通化することができ、ヘッドの加工コストをより一層低減することができる。
【0015】また、前記樹脂の密度は10g/cm以上であることが好ましい。これにより、質量付加部に大きな質量を持たせることができ、ヘッドの重心位置及び質量配分を調節する際の自由度が増大する。なお、この樹脂は射出成形に適した熱可塑性のものであれば特に限定されない。
【0016】更に、前記樹脂は熱可塑性樹脂と金属粉末とからなっていてもよく、前記金属粉末はタングステン又はその合金の粉末であってもよい。これにより、密度が大きい樹脂を低コストで得ることができる。
【0017】更にまた、質量付加部はヘッド本体のソール内面に接していてもよい。これにより、ヘッドの重心位置を低い位置とすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施例について説明する。図1(a)は本第1実施例に係るウッドクラブを示す斜視図であり、(b)は(a)に示すA−A断面を示す断面図である。図1(a)に示すように、本実施例のウッドクラブ1にはシャフト2及びこのシャフト2に連結されたヘッド3が設けられている。図1(b)に示すように、ヘッド3はヘッド本体4及びヘッド本体4の内部に設けられた質量付加部5を備えている。ヘッド本体4はヘッド3の殻を形成する殻部4a及びヘッド本体4の内部を2つの空洞部6a及び6bに区画する仕切板4bからなる。また、殻部4aはフェース部4c、クラウン部4d、蓋部4e及びソール部4fからなる。空洞部6aはヘッド3の下部後方側に形成されており、空洞部6aの上方及び前方が空洞部6bになっている。また、殻部4aの蓋部4eには、空洞部6aを外部に連結する開口部7が設けられている。
【0019】ヘッド本体4は例えば密度が4.5g/cmのチタンからなり、空洞部6aの容積は例えば1cmである。質量付加部5は密度が10g/cm以上の樹脂を開口部7から空洞部6aの内部に射出成形して成形されている。なお、本明細書においては、密度が10g/cm以上の樹脂を高密度樹脂という。この高密度樹脂は例えば熱可塑性樹脂と金属粉末とからなり、この熱可塑性樹脂は例えばナイロン樹脂であり、前記金属粉末は例えばタングステン粉末である。ナイロン樹脂とタングステン粉末とからなる樹脂の密度は例えば14g/cmであり、このような樹脂には、例えばカネボウ合繊株式会社製の品番MCTS00117の高密度樹脂がある。質量付加部5の体積は例えば1cmであり、従って、質量は例えば14gである。また、開口部7の開口面積は1cm以下である。
【0020】以下、本発明の各構成要件における数値限定理由について説明する。
【0021】質量付加部を形成する樹脂の密度:10g/cm以上質量付加部を形成する樹脂の密度が10g/cm未満であると、密度が約7.8g/cmのステンレスにより形成する場合に、樹脂とヘッド本体との間の密度の差が小さくなり、質量付加効果が小さくなってしまう。このため、前記密度は10g/cm以上であることが好ましい。上述の如く、密度が10g/cm以上の樹脂には、例えばナイロン樹脂にタングステン粉末を混合したものがある。なお、ヘッド本体をチタン及びカーボン等の材料により形成する場合には、樹脂の密度が10g/cm未満であっても、一定の質量付加効果が得られる。密度が10g/cm未満の樹脂には、例えばナイロン樹脂に鉄粉末を混合したものがある。
【0022】開口部の合計面積:1cm以下開口部の合計面積が1cm以下であれば、開口部を塞ぐための加工が容易になり、加工コストを削減することができる。また、ヘッドのデザインに与える影響を抑制することができる。従って、開口部の合計面積は1cm以下であることが好ましい。
【0023】次に、本実施例のゴルフクラブの製造方法について説明する。先ず、チタン板をプレス成形することにより、フェース部4c、クラウン部4d及び蓋部4eを別個に作製する。このとき、蓋部4eには開口部7を形成する。同様に、チタン板をプレス成形することにより、ソール部4f及び仕切板4bを一体的に作製する。次に、フェース部4c、クラウン部4d並びにソール部4f及び仕切板4bを溶接により相互に接合する。その後、仕切板4bが隠れるように、クラウン部4d及びソール部4fに蓋部4eを取り付ける。取り付ける手段は、溶接、ロウ付け、圧接又は接着等によることができ、例えば溶接により接合することができる。このとき、仕切板4bと蓋部4eとの間が空洞部6aになる。次に、開口部7から、空洞部6a内に前述の高密度樹脂を射出成形して質量付加部5を成形する。このとき、特別に空気抜きの工夫をする必要はない。その後、開口部7を塞ぐ。これにより、ヘッド3を作製する。そして、このヘッド3にシャフト2を連結してウッドクラブ1を作製する。
【0024】本実施例のゴルフクラブヘッドにおいては、質量付加部5を例えばナイロン樹脂とタングステン粉末とからなり密度が14g/cmの高密度樹脂により形成しているため、質量付加部5に十分な質量を持たせることができる。また、チタンからなるヘッド本体に対して密度差が大きいため、ヘッドの重心位置を調節する自由度が大きい。例えば、質量付加部5をヘッド3の下部後方側に設ければ、ヘッドの重心位置を低い位置とすることができる。この結果、このウッドクラブ1を使用する際に、打球を上方に打ち出すことが容易になる。
【0025】また、高密度樹脂の密度は容易に調節することができ、このため、ヘッドの質量を容易に調節することができる。これにより、最終製品の質量を均一化することが容易である。また、逆に、使用者のニーズに合わせて最終製品の質量を個別に調節することも容易である。
【0026】更に、本実施例において使用するナイロン樹脂とタングステン粉末とからなる高密度樹脂はタングステンよりも価格が低い。このため、従来のタングステンからなる高密度部材を設けたヘッドと比較して、材料コストを削減することができる。
【0027】更にまた、ヘッド本体4に空洞部6aを設け、この空洞部6a内に高密度樹脂を充填することにより質量付加部5を形成しているため、質量付加部5をヘッド本体4に固定する加工が不要であり、加工コストを削減できる。また、質量付加部5のヘッド本体4に対する固定強度が極めて高く、質量付加部5がヘッド本体4から脱落する虞がない。
【0028】更にまた、質量付加部5を高密度樹脂の射出成形により形成しているため、質量付加部5の成形が容易であり、成形にかかる時間、手間及びコストを極めて小さくすることができる。即ち、質量付加部5の成形コストが小さい。また、開口部7の開口面積を例えば1cm以下と、自然注型により形成する場合と比較して小さくすることができる。このため、開口部7を塞ぐ加工が容易であり、加工コストが低いと共に、開口部7がヘッドのデザインに加える制約が小さい。
【0029】更にまた、射出成形によれば、高密度樹脂の歩留を極めて高くできるため、材料コストをより一層低減させることができる。
【0030】更にまた、質量付加部を射出成形により形成することにより、異なる種類のヘッド間において開口部を共通化することができる。これにより、種類及び形状が異なるヘッドの作製工程において、樹脂の充填作業を共通化することができ、ヘッドの加工コストをより一層低減させることができる。
【0031】次に、本第1実施例の変形例について説明する。本変形例に係るウッドクラブ1の構成は、前述の第1の実施例と同じである。但し、本変形例においては、第1実施例に対して、ヘッド3の製造方法が異なる。以下、本変形例のヘッド3の製造方法について説明する。先ず、鋳造によりフェース部4c及びクラウン部4dを一体的に成形する。一方、プレス成形又は鋳造により、ソール部4f及び仕切板4bを一体的に成形する。また、プレス成形又は鋳造により蓋部4eを成形する。次に、フェース部4c及びクラウン部4dを一体化した部材に、ソール部4f及び仕切板4bを一体化した部材を溶接により接合し、これに蓋部4eを接合する。その後、開口部7から、空洞部6a内に前述の高密度樹脂を射出成形して質量付加部5を成形し、開口部7を塞ぐ。これにより、ヘッド3を作製する。
【0032】次に、本第1実施例の他の変形例について説明する、本変形例においても、ウッドクラブ1の構成は、前述の第1の実施例と同じであり、ヘッド3の製造方法が異なる。先ず、鋳造によりクラウン部4d、仕切板4b及びソール部4fを一体的に成形する。一方、フェース部4cをプレス成形又は鋳造により成形する。また、蓋部4eをプレス成形又は鋳造により成形する。次に、前述のクラウン部4d、仕切板4b及びソール部4fを一体化した部材に、フェース部4cを溶接により接合し、これに蓋部4eを接合する。その後、開口部7から、空洞部6a内に前述の高密度樹脂を射出成形して質量付加部5を成形し、開口部7を塞ぐ。これにより、ヘッド3を作製する。
【0033】次に、本発明の第2の実施例について説明する。図2(a)は本第2実施例に係るウッドクラブを示す断面図であり、(b)はこのウッドクラブの使用方法を示す側面図である。図2(a)に示すように、本実施例のウッドクラブ11にはシャフト12及びこのシャフト12に連結されたヘッド13が設けられており、ヘッド13はヘッド本体14及びヘッド本体14の内部に設けられた質量付加部15を備えている。ヘッド本体14はヘッド13の殻を形成する殻部14a及びヘッド本体14の内部を2つの空洞部16aと16bとに区画する仕切板14bからなる。殻部14aはフェース部14c、クラウン部14d及び蓋部14eからなる。空洞部16aはヘッド13のソール側に形成されており、空洞部16aの上方が空洞部16bになっている。また、殻部14aの蓋部14eには、空洞部16aを外部に連結する開口部(図示せず)が設けられている。
【0034】ヘッド本体14は例えば密度が7.8乃至8.0g/cmのステンレスからなり、空洞部16aの容積は例えば2cmである。質量付加部15は高密度樹脂を開口部から空洞部16aの内部に射出成形して空洞部16a内に充填することにより形成されている。高密度樹脂は前述の第1の実施例における高密度樹脂と同じ樹脂である。また、開口部の開口面積は1cm以下である。
【0035】次に、本実施例のゴルフクラブの製造方法について説明する。先ず、ステンレス板をプレス成形することにより、フェース部14c、クラウン部14d、蓋部14e及び仕切板14bを別個に作製する。このとき、蓋部14eには開口部(図示せず)を形成する。次に、クラウン部14dに仕切板14bを溶接により接合し、クラウン部14d及び仕切板14bにフェース部14cを溶接により接合し、クラウン部14d及びフェース部14cに蓋部14eを取り付ける。取り付ける手段は、溶接、ロウ付け、圧接又は接着等によることができ、例えばロウ付けにより接合することができる。このとき、仕切板14bと蓋部14eとの間が空洞部16aになる。次に、開口部から、空洞部16a内に前述の高密度樹脂を射出成形して質量付加部15を成形する。その後、開口部を塞ぐ。これにより、ヘッド13を作製する。そして、このヘッド13にシャフト12を連結してウッドクラブ11を作製する。
【0036】図2(b)に示すように、本第2実施例のヘッド13においては、重心18の位置を従来よりも低くすることができる。これにより、本実施例のウッドクラブ11を使用すれば、球19を上方に打ち出すことが従来よりも容易になる。本第2実施例における他の効果は、前述の第1の実施例の効果と同様である。
【0037】次に、本第2実施例の変形例について説明する。本変形例に係るウッドクラブ11の構成は、前述の第2の実施例と同じであるが、ヘッド13の製造方法が異なる。以下、本変形例のヘッド13の製造方法について説明する。先ず、鋳造によりフェース部14c及びクラウン部14dを一体的に成形する。一方、プレス成形又は鋳造により仕切板14bを成形する。また、プレス成形又は鋳造により蓋部14eを成形する。次に、フェース部14c及びクラウン部14dを一体化した部材に、仕切板14bを溶接により接合し、これに蓋部14eを溶接により接合する。その後、開口部から、空洞部16a内に前述の高密度樹脂を射出成形して質量付加部15を成形し、その後、開口部を塞ぐ。これにより、ヘッド13を作製する。
【0038】次に、本第2実施例の他の変形例について説明する、本変形例においても、ウッドクラブ11の構成は、前述の第2の実施例と同じであり、ヘッド13の製造方法が異なる。先ず、鋳造によりクラウン部14d及び仕切板14bを一体的に成形する。一方、フェース部14cをプレス成形又は鋳造により成形する。また、蓋部14eをプレス成形又は鋳造により成形する。次に、前述のクラウン部14d及び仕切板14bを一体化した部材に、フェース部14cを溶接により接合し、これに蓋部14eを溶接により接合する。その後、開口部から、空洞部16a内に前述の高密度樹脂を射出成形して質量付加部15を成形し、開口部を塞ぐ。これにより、ヘッド13を作製する。
【0039】次に、本発明の第3の実施例について説明する。図3(a)は本第3実施例に係るウッドクラブを示す断面図であり、(b)はこのウッドクラブの使用方法を示す側面図である。図3(a)に示すように、本実施例のウッドクラブ21においては、シャフト22及びヘッド23が設けられている。ヘッド23においては、ヘッド本体24並びにヘッド本体24の内部に設けられた質量付加部25a及び25bが設けられている。ヘッド本体24はヘッド23の殻を形成する殻部24a並びにヘッド本体24の内部を3つの空洞部26a、26b及び26cに区画する2枚の仕切板24bからなる。殻部24aはフェース部(図示せず)、クラウン部24d及び蓋部24eからなる。空洞部26aはヘッド23の下部におけるシャフト22から遠い側の端部に形成されており、空洞部26bはヘッド23の下部におけるシャフト22に近い側に形成されており、空洞部26aと空洞部26bとの間及び上方が空洞部26cになっている。また、殻部24aの蓋部24eには、空洞部26a及び26bを外部に連結する2つの開口部(図示せず)が設けられている。
【0040】ヘッド本体14は例えば密度が4.5g/cmのチタンからなり、空洞部26a及び26bの容積は例えば夫々1cmである。質量付加部25aは密度が10g/cm以上の高密度樹脂を開口部から空洞部26aの内部に充填することにより射出成形されている。また、質量付加部25bは前記高密度樹脂を開口部から空洞部26bの内部に充填することにより射出成形されている。高密度樹脂は、例えば前述の第1の実施例における高密度樹脂と同じ樹脂を使用する。また、開口部の開口面積は合計で1cm以下である。
【0041】本実施例のゴルフクラブの製造方法について説明する。先ず、チタン板をプレス成形することにより、フェース部(図示せず)、クラウン部24d、蓋部24e及び2枚の仕切板24bを別個に作製する。このとき、蓋部24eには2つの開口部(図示せず)を形成する。次に、クラウン部24dに2枚の仕切板24bを溶接により接合する。次いで、クラウン部24d及び仕切板24bにフェース部を溶接により接合し、クラウン部24d、仕切板24b及びフェース部からなる結合体に蓋部24eを取り付ける。取り付ける手段は、溶接、ロウ付け、圧接又は接着等によることができ、例えば圧接により接合することができる。このとき、クラウン部24d、仕切板24b及び蓋部24eにより囲まれた空間が空洞部26a及び26bになる。次に、開口部から、空洞部26a内及び26b内に前述の高密度樹脂を射出成形して、夫々質量付加部25a及び25bを成形する。その後、開口部を塞ぐ。これにより、ヘッド23を作製する。そして、このヘッド23にシャフト22を連結してウッドクラブ21を作製する。
【0042】図3(b)に示すように、本第3実施例のヘッド23においては、ヘッド23の質量をヘッド23の回転中心軸28から遠い位置に配分している。これにより、回転中心軸28を中心とするヘッド23の回転に対して、ヘッド23の慣性モーメントを増大させることができる。この結果、本実施例のウッドクラブ21を使用すれば、球をミスヒットした場合、即ち、球をヘッド23のスイートエリア(図示せず)以外の位置で叩いた場合においても、ヘッド23が回転しにくい。このため、ミスヒットしても飛球方向がぶれにくい。本第3実施例における他の効果は、前述の第1の実施例の効果と同様である。
【0043】次に、本第3実施例の変形例について説明する。本変形例に係るウッドクラブ21の構成は、前述の第3の実施例と同じであり、ヘッド23の製造方法が異なる。以下、本変形例のヘッド23の製造方法について説明する。先ず、鋳造によりフェース部(図示せず)及びクラウン部24dを一体的に成形する。一方、プレス成形又は鋳造により2枚の仕切板24bを成形する。また、プレス成形又は鋳造により蓋部24eを成形する。次に、フェース部及びクラウン部24dを一体化した部材に、2枚の仕切板24bを溶接により接合し、これに蓋部24eを溶接により接合する。その後、開口部から、空洞部26a及び26b内に前述の高密度樹脂を射出成形して質量付加部25a及び25bを夫々成形し、その後、開口部を塞ぐ。これによりヘッド23を作製する。
【0044】次に、本第3実施例の他の変形例について説明する、本変形例においても、ウッドクラブ21の構成は、前述の第3の実施例と同じであり、ヘッド23の製造方法が異なる。先ず、鋳造によりクラウン部24d及び2枚の仕切板24bを一体的に成形する。一方、プレス成形又は鋳造によりフェース部を成形する。また、プレス成形又は鋳造により蓋部24eを成形する。次に、前述のクラウン部24d及び2枚の仕切板24bを一体化した部材に、フェース部を溶接により接合し、これに蓋部24eを溶接により接合する。その後、開口部から、空洞部26a及び26b内に前述の高密度樹脂を射出成形して質量付加部25a及び25bを夫々成形し、開口部を塞ぐ。これにより、ヘッド23を作製する。
【0045】次に、本発明の第4の実施例について説明する。図4(a)は本第4実施例に係るアイアンクラブを示す斜視図であり、(b)は(a)に示すB−B断面を示す断面図である。図4(a)に示すように、本実施例のアイアンクラブ31にはシャフト32及びこのシャフト32に連結されたヘッド33が設けられている。図4(b)に示すように、ヘッド33はヘッド本体34、蓋部34e及びヘッド本体34の内部に設けられた質量付加部35を備えている。蓋部34eはヘッド本体34のソール部に接合されている。ヘッド33のソール部分におけるヘッド本体34と蓋部34eとの間には空洞部36が形成されている。また、蓋部34eには、空洞部36を外部に連結する開口部37が設けられている。
【0046】ヘッド本体34は例えば密度が4.5g/cmのチタンからなり、空洞部36の容積は例えば7cmである。質量付加部35は密度が10g/cm以上の高密度樹脂を開口部37から空洞部36の内部に充填することにより射出成形されている。高密度樹脂は例えばナイロン樹脂とタングステン粉末とからなり、密度は例えば14g/cmである。質量付加部35の体積は例えば7cmであり、従って、質量は例えば98gである。また、開口部37の開口面積は1cm以下である。なお、ヘッド本体34はステンレスにより形成されていてもよい。
【0047】次に、本第4実施例のゴルフクラブの製造方法について説明する。先ず、チタンを鋳造又は鍛造することにより、ヘッド本体34を成形する。一方、鋳造法又はプレス法により、チタンからなる蓋部34eを成形する。このとき、蓋部34eには開口部37を形成する。次に、ヘッド本体34に蓋部34eを取り付ける。取り付ける手段は、溶接、ロウ付け、圧接又は接着等によることができ、例えば接着することができる。このとき、ヘッド本体34及び蓋部34eにより囲まれた空間が空洞部36になる。次に、開口部37から、空洞部36内に前述の高密度樹脂を射出成形して、夫々質量付加部35を成形する。その後、開口部37を塞ぐ。これにより、ヘッド33を作製する。そして、このヘッド33にシャフト32を連結してアイアンクラブ31を作製する。
【0048】本第4実施例のゴルフクラブヘッドの効果は、前述の第1の実施例の効果と同様である。即ち、質量付加部に十分な質量を持たせることができるため、ヘッドの重心位置を低い位置とすることができ、高性能なアイアンクラブを提供することができる。また、質量付加部をナイロン樹脂とタングステン粉末とからなる高密度樹脂を射出成形することにより形成するため、材料コスト及び加工コストを低減することができる。更に、高密度樹脂を射出するための開口部を小さくできるため、この開口部を塞ぐ加工が容易であると共に、ヘッドのデザインに加える制約が小さい。このため、高性能なアイアンクラブを低コストで製造することができる。
【0049】次に、本発明の第5の実施例について説明する。本実施例のアイアンクラブの外観は前述の第4の実施例のアイアンクラブ(図4(a)参照)の外観と同じである。本実施例においては、ヘッド本体を密度が7.8g/cmのステンレスにより形成し、高密度樹脂を充填する空洞部の容積を2cmとする。従って、質量付加部の体積は2cmとなり、質量は28gとなる。本第5実施例のアイアンクラブにおける上記以外の構成は前述の第4の実施例に係るアイアンクラブの構成と同じである。本第5実施例のゴルフクラブヘッドの効果は、前述の第4の実施例の効果と同様である。
【0050】上述の第1乃至第5の実施例においては、ヘッド本体をチタン又はステンレスにより形成したが、本発明のゴルフクラブヘッドはこれに限定されず、鋼等の他の金属材料又は非金属材料により形成されてもよい。また、第1乃至第5の実施例においては、高密度樹脂としてナイロン樹脂及びタングステン粉末からなる樹脂を使用したが、本発明においてはタングステン粉末以外の金属粉末を使用してもよい。例えば、金属粉末として貴金属粉末を使用すれば、材料コストは増加するものの、密度を18g/cm程度まで増加させることができ、ヘッドの重心位置及び質量配分を調節する効果をより大きくすることができる。この結果、より高性能なゴルフクラブヘッドを得ることができる。また、ベース材料としてナイロン樹脂以外の樹脂を使用してもよい。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、製造コストが低く、重心位置及び質量配分を自在に調節できるゴルフクラブヘッドを得ることができる。例えば、ヘッドの重心位置をヘッドの下部後方側の位置とすれば、打球を上方に打ち出すことが容易になり、ヘッドの回転モーメントを大きくすれば、飛球方向のぶれを抑制することができる。本発明によれば、このような高性能クラブヘッドを低コストで作製することができる。
【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号
【出願日】 平成13年12月6日(2001.12.6)
【代理人】 【識別番号】100090158
【弁理士】
【氏名又は名称】藤巻 正憲
【公開番号】 特開2003−169866(P2003−169866A)
【公開日】 平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願番号】 特願2001−373051(P2001−373051)