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【発明の名称】 ソリッドゴルフボール
【発明者】 【氏名】横田 政利
【住所又は居所】神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、成形性、打球感や飛距離などのボール特性を満足できるポリウレタンカバーを有するソリッドゴルフボールを提供する。

【解決手段】本発明のソリッドゴルフボールは、ソリッドセンターと、中間層と、ポリウレタンカバーとから成り、打球感と飛距離を満足するために、中間層として曲げ弾性率が150〜420MPaの材料を使用する。さらに、ジフェニルジスルフィド類を含有するゴム組成物の加硫体をソリッドセンターに用いることにより、飛距離を長くすることができる。また、カバー成形性を高めるために、残存イソシアネート単量体の含有量が0.5質量%以下のウレタンプレポリマーを用いることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ソリッドセンターと中間層とポリウレタンカバーとからなるソリッドゴルフボールであって、前記ソリッドセンターの外径は、36.7mm〜40.8mmであり、前記中間層は、厚みが0.5〜1.5mmであり、曲げ弾性率が150〜420MPaの材料からなり、前記ポリウレタンカバーは、厚みが0.5〜1.5mmであり、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと芳香族ポリアミン化合物とを含む組成物の硬化体で構成され、前記硬化体のショアD硬度は35〜55であることを特徴とするソリッドゴルフボール。
【請求項2】 前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中における残存ポリイソシアネート単量体の含有率は0.5質量%以下である請求項1に記載のソリッドゴルフボール。
【請求項3】 前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート成分は、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート及び、パラフェニレンジイソシアネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種類である請求項1又は2に記載のソリッドゴルフボール。
【請求項4】 前記ソリッドセンターは、シス−1,4−ポリブタジエン、有機過酸化物、共架橋剤と下記一般式で表わされる有機硫黄化合物とを含有するゴム組成物を加硫したものであり、始荷重98Nから終荷重1275N負荷した時の変形量が2.8mmから3.5mmである請求項1〜3のいずれかに記載のソリッドゴルフボール。
【化1】

(式中、X1〜X10は、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びシアノ基よりなる群から選択される少なくとも1種であり、それぞれ同一であっても異なっていても良い。)
【請求項5】 前記有機硫黄化合物は、ジフェニルジスルフィドまたはビス(ペンタクロロフェニル)ジスルフィドである請求項4に記載のソリッドゴルフボール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ソリッドセンターと中間層とポリウレタンカバーとを含むマルチピースソリッドゴルフボールに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び解決しようとする課題】加硫ゴム球体をソリッドコアとして用いるソリッドゴルフボールのカバーには、耐久性に優れているという点から、主に、アイオノマー樹脂製カバーが用いられている。しかし、アイオノマー樹脂製カバーは、バラタゴム製カバーに比べて打撃時にゴルファーが受ける衝撃が大きく打球感が劣る傾向にある。
【0003】アイオノマーカバーの打球感を向上するために、例えば、特許文献1では、オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体のナトリウム塩又は亜鉛塩の硬質アイオノマーと、オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル・ターポリマーのナトリウム塩または亜鉛塩の軟質アイオノマーとを混合して用いた混合アイオノマーカバーが提案されている。軟質アイオノマーをブレンドすることにより、打球感をソフトにすることができるが、その反面、反発性が低下し、さらには打撃時の耐擦過傷性(チャンキング性)が低下するなど、アイオノマーカバー本来の長所が損なわれる。
【0004】近年、バラタカバーに近い打球感を達成し、バラタよりも耐久性を有する安価なカバー材料として、ポリウレタンが注目され、例えば、以下のようなポリウレタンカバーを有するゴルフボールが提案されている。
【0005】特許文献2には、ウレタンプレポリマーとポリアミン硬化剤との反応が速く、急激に粘度上昇するため、カバーの成形が困難という問題に鑑みて、反応の遅いポリアミン硬化剤でウレタンプレポリマーを硬化したポリウレタンカバーが開示されている。反応の遅いポリアミン硬化剤を用いることで、ウレタンプレポリマーとポリアミン硬化剤の反応進行による急激な粘度上昇を抑えているものの、ウレタンプレポリマーの種類、硬化剤の種類、これらの組み合わせ等によって、粘度上昇が速くて、カバー成形が困難な場合がある。また、成形できた場合であっても、反発性、スピン性能、チャンキング性の点で十分とは言えず、更なる向上が求められている。
【0006】また、特許文献3では、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いたカバーが提案されている。熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる場合、成形性という点で二液硬化型ポリウレタンカバーより優れているものの、3次元的架橋点を有していないため、二液硬化型ポリウレタンカバーやアイオノマーカバーと比べて耐摩耗性、引き裂き強度、チャンキング性が劣っている。
【0007】特許文献4は、カバーを2層構造にして、外層の熱硬化性ポリウレタンカバーの厚さを0.127cmより薄くし、内層のカバー材料の曲げ弾性率を高くして、ドライバーなどの長いショットでは飛距離が良好で、ウエッジなどの短いショットではスピン性の良好なゴフルボールを提案している。しかし、内層カバー材料が硬すぎるために打球時に硬いフィーリング(打球感)があるなどの問題点があった。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、成形性、打球感や飛距離などのボール特性を満足できるポリウレタンカバーを有するソリッドゴルフボールを提供することにある。
【0009】
【特許文献1】特許2,709,950号公報、第1項【特許文献2】特許第2,662,909号公報、第1項【特許文献3】特開平9−215,778号公報、第2項【特許文献4】特表平2,000−513,609号公報、第1項【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のソリッドゴルフボールは、ソリッドセンターと中間層とポリウレタンカバーとからなるソリッドゴルフボールであって、前記ソリッドセンターの外径は、36.7mm〜40.8mmであり、前記中間層は、厚みが0.5mm〜1.5mmであり、曲げ弾性率が150〜420MPaの材料からなり、前記ウレタンカバーは、厚みが0.5mm〜1.5mmであり、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと芳香族ポリアミン化合物とを含む組成物の硬化体で構成され、前記硬化体のショアD硬度は35〜55であることを特徴とする。前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中における残存イソシアネート単量体の含有量は0.5質量%以下であることが好ましい。前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート成分は、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート及び、パラフェニレンジイソシアネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。前記ソリッドセンターは、シス−1,4−ポリブタジエン、有機化酸化物、共架橋剤と下記一般式で表わされる有機硫黄化合物とを含有するゴム組成物を加硫したものであり、始荷重98Nから終荷重1275N負荷した時の変形量が2.8mmから3.5mmであることが好ましい。
【0011】
【化2】

【0012】(式中、X1〜X10は、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びシアノ基よりなる群から選択される少なくとも1種であり、それぞれ同一であっても異なっていても良い。)また、前記有機硫黄化合物は、ジフェニルジスルフィドまたはビス(ペンタクロロフェニル)ジスルフィドであることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のソリッドゴルフボールは、ソリッドセンターと中間層とポリウレタンカバーとからなり、前記ソリッドセンターの外径は、36.7mm〜40.8mmであり、前記中間層は、厚みが0.5〜1.5mmで、曲げ弾性率が150〜420MPaの材料からなり、前記ポリウレタンカバーは、厚みが0.5〜1.5mmであり、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと芳香族ポリアミン化合物とを含む組成物(以下、ポリウレタンカバー用組成物)の硬化体で構成され、前記硬化体のショアD硬度は35〜55であることを特徴とする。
【0014】まず、本発明で使用されるポリウレタンカバーについて説明する。前記ポリウレタンカバーは、ポリウレタンカバー用組成物の硬化体で構成されている。本発明で使用されるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、ウレタンプレポリマー分子鎖中に少なくとも2以上のイソシアネート基を有するものであれば、限定されない。また、ウレタンプレポリマー分子鎖中のイソシアネート基の位置は限定されず、ウレタンプレポリマー分子鎖主鎖末端にあってもよいし、側鎖末端にあってもよい。
【0015】前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、ポリオールのヒドロキシル基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル比を過剰にした状態で、両者を反応させて得られる。また、本発明では、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中の残存ポリイソシアネート単量体の含有率が0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であることが好ましい。残存ポリイソシアネート単量体とは、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中に残存している未反応のポリイソシアネート化合物のことをいい、例えば、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを作製する際に使用した過剰のポリシソシアネート化合物が未反応のまま残存しているものである。前記残存ポリイソシアネート単量体の含有率が0.5質量%を超えると、ポリウレタンカバー用組成物中に析出物が発生しやすくなる。前記析出物が発生する機構は明確でないが、残存ポリイソシアネート単量体と芳香族ポリアミン化合物との反応生成物が析出するものと推定される。このような析出物の発生は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと芳香族ポリアミン化合物との反応を不均一にする原因となり、その結果、均質なポリウレタンカバーの作製が困難となる。不均質なポリウレタンカバーは、カバーの耐久性に影響を及ぼし、特に耐擦過傷性(チャンキング性)が低下する。また、ひどい場合には、カバー作製前に硬化してしまって、実質上カバーを成形できなくなる。
【0016】前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中の残存ポリイソシアネート単量体の含有率は、(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中に残存しているポリイソシアネート単量体の質量/イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの全質量)×100で定義され、ガスクロマトグラフィーによって定量することができる。前記残存ポリイソシアネート単量体の含有率が0.5質量%以下であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの具体例としては、ユニロイヤル社から市販されているアジプレンLF600D,LF800A,LF900A、LF950A等が挙げられる。
【0017】前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート成分は、特に限定されないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、又はこれらの混合物(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート又はこれらの多核体、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3'−ビトリレン−4,4'−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族ジイソシアネート;4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環式ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネート等のうちの1種または2種以上の混合物が挙げられる。これらの中でも、前記イソシアネート成分は、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。得られるポリウレタンカバーの機械的特性及びゴルフボールの反発性や耐候性・耐水性が良好であるからである。
【0018】前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのポリオール成分としては、水酸基を複数有するものであれば、低分子量化合物、高分子量化合物の如何を問わない。低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。高分子量のポリオールとしては、活性水素を持つ開始剤とアルキレンオキサイドとの反応によって得ることができるポリエーテルポリオール;アジピン酸等の2塩基酸とグリコール又はトリオールとの脱水縮合によって得られる縮合系ポリエステルポリオール;ε−カプロラクタム等のラクタムの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;環状ジオールを用いて合成されるポリカーボネートジオール;アクリル系共重合体に適宜水酸基を導入してなるアクリルポリオールなどのポリマーポリオールが挙げられる。前記ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)等が挙げられ、縮合系ポリエステルポリオールとしてはポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などが挙げられ、ラクトン系ポリエステルポリオールとしてはポリ−ε−カプロラクトン(PCL)などが挙げられる。反発性及び耐水性に優れているという点からは、好ましくはポリエーテルポリオール、さらに好ましくはポリオキシテトラメチレングリコールが使用される。これらのうち、ポリオキシテトラメチレングリコールが好ましく用いられる。
【0019】本発明で使用されるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとしては、トリレンジイソシアネート系ウレタンプレポリマー、MDI系ウレタンプレポリマー及びPPDI系ウレタンプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種であること好ましい。ここで、前記トリレンジイソシアネート系ウレタンプレポリマーとは、トリレンジイソシアネート又はトリレンジイソシアネートを主成分とするポリイソシアネートとポリオール(好ましくはポリオキシテトラメチレングリコール)とを反応することにより得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのことをいい、前記MDI系ウレタンプレポリマーとは、MDI又はMDIを主成分とするポリイソシアネートとポリオール(好ましくはポリテトラメチレングリコール)とを反応することにより得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのことをいい、PPDI系ウレタンプレポリマーとは、PPDI又はこれを主成分とするポリイソシアネートとポリオール(好ましくはポリテトラメチレングリコール)とを反応することにより得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのことをいう。
【0020】本発明で使用される芳香族ポリアミン化合物とは、少なくとも2以上のアミノ基が芳香環に直接又は間接的に結合している化合物であれば、特に限定されない。ここで、間接的に結合しているとは、アミノ基が、例えばスルフィド結合、低級アルキレン結合を介して芳香環に結合していることをいう。前記芳香族ポリアミン化合物としては、例えば、1つの芳香環に2以上のアミノ基が結合している単環式芳香族ポリアミン化合物でもよいし、少なくとも1つのアミノ基が1つの芳香環に結合しているアミノフェニル基を2個以上含む多環式芳香族ポリアミン化合物でもよい。
【0021】前記単環式芳香族ポリアミン化合物としては、例えば、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミンなどのアミノ基が芳香環に直接結合しているタイプ;ジメチルチオトルエンジアミンのようなアミノ基がスルフィド結合を介して芳香環に結合しているタイプ;キシリレンジアミンのようなアミノ基が低級アルキレン基を介して芳香環に結合しているタイプなどが挙げられる。特に、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとの適度の反応性を有しているという点からは、ジメチルチオトルエンジアミンやジエチルトルエンジアミンを用いることが好ましい。
【0022】前記多環式芳香族ポリアミン化合物としては、少なくとも2つのアミノフェニル基が直接結合しているポリアミノベンゼンでもよいし、少なくとも2つのアミノフェニル基が低級アルキレン基やアルキレンオキシド基を介在して結合していてもよい。これらのうち、低級アルキレン基を介して2つのアミノフェニル基が結合しているジアミノジフェニルアルカンが好ましく、特に4,4'−ジアミノジフェニルメタン及びその誘導体が好ましい。パラ体でしかもアミノフェニル基間に介在する分子鎖がそれ程長くない場合には、ハードセグメントにあたるベンゼン核が直線状に平面的に並列することが可能となり、ウレタン結合、尿素結合、及びベンゼン核の水素結合や分子間の凝集エネルギーが効率よく活かせることになるため、反発性が向上し、また引張強度、引き裂き強度が向上することから、チャンキング性等のカバー強度、カバーの耐久性も向上する傾向にあるからである。前記4,4'−ジアミノジフェニルメタン誘導体としては、例えば、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−5,5'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトライソプロピル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−5,5'−ジイソプロピル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジエチル−5,5'−ジイソプロピル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−5,5'−ジ−t−ブチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジクロロ−5,5'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2'−ジクロロ−3,3',5,5'−テトラエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2',3,3'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられ、2,2'−ジクロロ−3,3',5,5'−テトラエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタンは毒性が低いので、特に好ましい。
【0023】前記ポリウレタンカバー用組成物におけるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと芳香族ポリアミン化合物の配合比は特に限定しないが、アミノ基とイソシアネート基のモル比がNH2/NCO=0.7〜1.2、好ましくは0.8〜1.05、より好ましくは0.85〜1.0になる様に配合をすることが好ましい。また、前記配合比を、前記ポリウレタンカバー組成物の硬化体がビュレット架橋・アロハネート架橋を有する様にしておくと、ポリウレタンカバーが3次元架橋構造を有するので、耐久性、耐擦過傷性に優れるポリウレタンカバーが得られる。
【0024】本発明で使用されるポリウレタンカバー用組成物には、ウレタン反応で使用される従来より公知の触媒を含有してもよい。前記触媒としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン等のポリアミン類;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミン等の環状ジアミン類;ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンジアセテートなどの錫系触媒などが挙げられ、好ましくは1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミンである。また、イソシアネート基の反応性が速すぎる場合の反応性調整(遅延)触媒としては、酢酸、アゼライン酸、アジピン酸等の有機カルボン酸類が挙げられ、好ましくはアゼライン酸を使用できる。
【0025】前記ポリウレタンカバー用組成物は、さらに必要に応じて、硫酸バリウム等の充填剤;二酸化チタン等の着色剤;分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料、蛍光増白剤等の添加剤等をゴルフボールカバーによる所望の特性が損なわれない範囲で含有してもよい。前記ポリウレタンカバー用組成物の調製は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと芳香族ポリアミン化合物とを均一に混合する必要があることから、芳香族ポリアミン化合物が溶融状態となる温度で両者を混合することが好ましい。従って、芳香族ポリアミン化合物を溶融状態とし、ウレタンプレポリマーをその温度近くにまで昇温して両者を混合することが好ましい。
【0026】本発明のソリッドゴルフボールのポリウレタンカバーとして使用されるポリウレタンカバー組成物の硬化体の硬度(硬化体単独の硬度を「スラブ硬度」ということがある)は、ショアD硬度で35以上であり、好ましくは40以上である。35未満では軟らかすぎてスピンがかかりやすくなり、反発性が低くなり、または、アイアン、サンドウェッジで打撃したときの耐擦過傷性(チャンキング性)が低下しすぎるからである。一方、ショアD硬度(スラブ硬度)が大きくなるにしたがって、カバーが硬くなることを意味するため、打球感が硬くなる上に、スピン量が少なくなりすぎて、アプローチショットでのコントロール性を確保できなくなるからである。よって、ポリウレタンカバーを構成する硬化体のショアD硬度は55以下とし、好ましくは52以下とする。
【0027】本発明のソリッドゴルフボールの中間層は、曲げ弾性率が150MPa以上、好ましくは、200MPa以上であり、420MPa以下、好ましくは400MPaの材料で構成されている。前記曲げ弾性率は、中間層を構成する材料の弾性を示す指標であり、特にゴルフボールの飛距離に影響を及ぼす因子である。前記中間層の曲げ弾性率が150MPaより小さいと反発性が低下して、ゴルフボールの飛距離が短くなる。また、曲げ弾性率が420MPaを超えると硬すぎて打球感が低下するからである。尚、本発明では、ゴルフボールの打撃時の変形挙動を反映するものとして中間層の曲げ弾性率を上述の範囲とするが、曲げ弾性率を上述の範囲とすれば、前記中間層の硬度の範囲は、ショアD硬度で55以上、より好ましくは60以上、70以下、より好ましくは68以下となる。中間層の硬度が55未満であれば、中間層が柔らかすぎてゴルフボールの反発性が低下し、70超では、硬すぎて打球感が低下する傾向になる。
【0028】前記中間層の材質は、曲げ弾性率が前記範囲内であれば、特に限定はされず、例えば、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂;ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、反発性、耐久性に優れるという点から、アイオノマー樹脂であることが特に好ましい。ここで、アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも1部を金属イオンで中和したもの、またはエチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸とメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プルピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルが好ましい。カルボキシル基を中和するための金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、錫、ジルコニウム、カドミウムイオンなどが挙げられるが、反発性、耐久性が良好になるという点から、ナトリウム、亜鉛、マグネシウムイオンが好ましい。本発明において、前記アイオノマー樹脂中の酸価や金属イオン含有量は、特に限定されるものではなく、曲げ弾性率が前記範囲内に入る様に、アイノマー樹脂の1種又は複数種を配合して使用すればよい。
【0029】前記中間層には、さらに、硫酸バリウム、タングステン等の比重調整剤を配合してもよい。これらの充填材を配合した場合には、充填材を配合した材料の曲げ弾性率が前記範囲内に入ればよい。また、本発明の中間層の厚みは、0.5mm以上、好ましくは0.7mm以上で、1.5mm以下、好ましくは1.2mm以下である。前記厚みが0.5mm未満であると反発性が低下し、1.5mm超であると打球感が硬くなったり、反発が低下する。
【0030】次に、本発明のソリッドゴルフボールのセンターについて説明する。
【0031】前記センターの外径は、36.7mm以上、好ましくは38.0mm以上で、40.8mm以下であり、好ましくは40.0mm以下とする。前記外径が36.7mm未満であると中間層またはポリウレタンカバーのいずれかが厚くなり過ぎるので、反発性が低下したり、打球感が低下する原因となる。また、前記外径が40.8mm超であると、中間層やポリウレタンカバーが薄くなり過ぎるので、中間層やポリウレタンカバーの効果を発揮することができない。前記ソリッドセンターは、外径が前記範囲内のものであれば、特に限定されず、一般にソリッドゴルフボールに使用されているセンター用ゴム組成物の加硫体である。前記センター用ゴム組成物は、基材ゴムと架橋剤としての有機過酸化物や有機硫黄化合物と、共架橋剤とを含むことが好ましく、さらに必要に応じて比重調整剤、老化防止剤、色粉などの添加剤を含むことができる。前記基材ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、エチレンプロピレンゴムジエン3元共重合体(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。これらの中でも、反発性に優れるという点から、ブタジエンゴムが好ましく、さらに好ましくは、シス−1,4−ポリブタジエンである。また、シス−1,4−ポリブタジエン中の1,4−シス結合の割合が40%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上のハイシス−1,4−ポリブタジエンを用いることも本発明の好ましい実施態様である。
【0032】有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1―ビス(t―ブチルパーオキシ)−3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.1〜3.0質量部が好ましく、より好ましくは0.2〜2.0質量部である。
【0033】前記共架橋剤としては、α,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩が挙げられる。前記α,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸又はメタクリル酸等のような炭素数3〜8のα、β−不飽和カルボン酸が好ましく、金属塩を形成する金属としては、亜鉛、マグネシウム等の一価又は二価の金属が好ましい。これらのなかでも、共架橋剤としてアクリル酸亜鉛を用いることが好ましい。ゴルフボールに高い反発性を付与できるからである。前記共架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して15質量部以上、より好ましくは20質量部以上で、50質量部以下、より好ましくは40質量部以下であることが望ましい。
【0034】本発明で用いられるセンター用ゴム組成物は、下記一般式で表されるジフェニルジスルフィド類を含むことが好ましい。
【0035】
【化3】

【0036】式中、X1〜X10は水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びシアノ基よりなる郡から選択される1種で、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、対称体であっても非対称体であってもよいが、対称体(ビス体)であることが好ましい。具体的には、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド,ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド等のモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド等のジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド等のトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド等のテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィド等のペンタ置換体等が挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム加硫体の加硫状態に何らかの影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタクロロフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。
【0037】前記センター用ゴム組成物の加硫条件は、ゴム組成物の組成に応じて適宜設定するが、130℃以上、好ましくは160℃以上で、200℃以下、好ましくは、180℃以下で、10〜60分とすることが好ましい。また、センター用ゴム組成物の加硫を130℃〜150℃の比較的低温で20分〜40分加熱後、160℃から180℃で5分〜15分間加熱することも本発明の好ましい実施態様である。加硫を2段階ですると、センター内の表面と内部で均一な硬度を有するセンターを得ることができる。
【0038】前記ソリッドセンターは、始荷重98N(10kgf)から終荷重1275N(130kgf)負荷した時の変形量が2.8mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.85mm以上であり、3.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.3mm以下である。前記変形量が2.8mm未満では、センターが硬くなり過ぎるため、打球感におけるセンターの影響が現れて、打撃時に受けるゴルファーの衝撃が大きくなる(打球感が硬くなる)。一方、前記変形量が3.5mm超であると、コアが軟らかくなり過ぎて飛距離が出なくなる。
【0039】また、本発明のソリッドゴルフボールは、始荷重98N(10kgf)から終荷重1275N(130kgf)負荷した時の変形量が2.7mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.8mm以上であり、3.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.3mm以下である。前記変形量が2.7mm未満では、打球感が硬くなり、前記変形量が3.5mm超であると、反発性が低く、飛距離が出なくなる。
【0040】本発明のソリッドゴルフボールは、ポリウレタンカバーで被覆されたゴルフボールの従来より公知の製造方法により製造することができる。例えば、加硫成形体であるソリッドセンターに中間層を被覆してソリッドコアを形成する。前記中間層の被覆は、例えば、中間層形成用材料を予め半球殻状のハーフシェルに形成し、それを2枚用いてソリッドセンターを包み、加圧成形するか、または前記中間層用材料を直接ソリッドセンターの上に射出成形してソリッドセンターを包み込む方法を用いてもよい。次ぎに、得られたソリッドコアを半球状の金型に保持させた状態で、この金型内にカバー用組成物を注入し、次にこれを反転させて、ポリウレタンカバー組成物を注入した別の半球状の金型と合わせて硬化反応を行なって、カバーを成形すればよい。前記ポリウレタンカバー組成物の硬化反応は、30℃〜120℃、好ましくは50℃〜80℃で、2〜60分間、好ましくは5〜30分間行うことが望ましい。さらに、ポリウレタンカバー成形時には、必要に応じてディンプルを多数表面上に形成する。また本発明のゴルフボールは、美観および商品価値を高めるために、通常ペイント仕上げ、マーキングスタンプ等を施して市場に投入される。
【0041】なお、本発明において、カバーは一層とすることもできるが、複数のカバーとして構成することもできる。
【0042】
【実施例】以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】[測定・評価方法]■圧縮変形量(mm)
ソリッドセンター、ソリッドゴルフボールを始荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷した状態までにおける変形量(負荷方向へゴルフボールが縮む量)を測定した。
■ソリッドゴルフボール反発係数各ソリッドゴルフボールに198.4gのアルミニウム製円筒物を45m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびソリッドゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各ソリッドゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ソリッドゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値を各ソリッドゴルフボールの反発係数とした。尚、反発係数は、ゴルフボールNo.12の反発係数を基準(100)とし、指数で示した。
■飛距離(キャリー)及びスピン量(rpm)
ツルーテンパー社製スイングロボットにチタンヘッド製ウッドクラブ(ドライバー、W#1)を取付け、ヘッドスピード45m/秒でゴルフボールを打撃した際の打撃地点から落下地点までの距離を測定した。また、スピン量は、前記スイングロボットにサンドウエッジを取付け、ヘッドスピード20m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによって求めた。
■打球感プロゴルファーと上級アマチュアゴルファー10人により、W#1クラブを用いて実打テストを行なって、打撃時の衝撃の大きさにより評価し、最も多い評価を各ゴルフボールの打球感とした。判定基準は以下の通りとした。
判定基準:◎:打撃時の衝撃が非常に小さくて打球感が非常にソフトで良好である。
○:打撃時の衝撃が小さくて打球感がソフトで良好である。
△:打撃時の衝撃が普通である。
×:打撃時の衝撃が大きくて打球感が悪い。
■曲げ弾性率JIS−K7171に準じて、厚さ4mm、長さ20mm、幅10mmの板を作製して、3点曲げ試験を行ない、歪ε1=0.0005とε2=0.0025に対応する応力から、曲げ弾性率を求めた。
■ポリウレタンカバー用組成物硬化体の硬度(スラブ硬度)
ポリウレタンカバー用組成物を用いて、熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板等の影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を用いて測定した。
■耐擦過傷性(チャンキング性)
市販のピッチングウエッジをロボットマシンに取付け、ヘッドスピード36m/sでボールの2箇所を1回づつ打撃し、打撃部分を目視で観察し、下記判定基準に基づいて3段階で評価し、2箇所の評価結果の内、悪い方の結果を評価結果とした。
○:ボール表面に傷がわずかに残るがほとんど気にならない程度。
△:ボール表面に傷がくっきり残り、若干毛羽立ちが見られる。
×:ボール表面がかなり削れ、毛羽立ちが目立つ。
【0044】[ゴルフボールの製造]表1に示す配合組成のソリッドセンター用ゴム組成物を160℃×30分で加硫を行なって、S1〜S10までの10種類のソリッドセンターを作製した。
【0045】
【表1】

【0046】BR18:JSR製のハイシス−1,4−ポリブタジエン次に、前記ソリッドセンターに、表2に示した様な中間層用材料をインジェクション成形して、ソリッドセンターが中間層で被覆されたソリッドコアを作製した。
【0047】
【表2】

【0048】前記ソリッドコアを半球状の金型(ディンプル有り)で保持し、表3に示したC1〜C4の4種類のポリウレタンカバー用組成物を注入し、次いでこれを反転して、前記カバー用組成物を注入した別の半球状金型(ディンプル有り)と合わせた後、硬化反応を行なってポリウレタンカバーを作製した。
【0049】
【表3】

【0050】アジプレンLF800A:ユニロイヤル(株)製、TDI/PTMG系プレポリマー、NCO含量2.9%、残存トリレンジイソシアネート含有量0.1%以下。
アジプレンLF900A:ユニロイヤル(株)製、TDI/PTMG系プレポリマー、NCO含量3.8%、残存トリレンジイソシアネート含有量0.1%以下。
アジプレンLF950A:ユニロイヤル(株)製、TDI/PTMG系プレポリマー、NCO含量6.1%、残存トリレンジイソシアネート含有量0.1%以下。
アジプレンLF600D:ユニロイヤル(株)製、TDI/PTMG系プレポリマー、NCO含量7.3%、残存トリレンジイソシアネート含有量0.1%以下。
ロンザキュアM−CDEA:ロンザ製、2,2'−ジクロロ−3,3',5,5'−テトラエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタンパンデックスT1198:熱可塑性ポリウレタンエラストマーサーリン8120:デュポン製、Na中和タイプのエチレン/メタクリル酸系アイオノマーハイミラン1855:三井デュポン製、Zn中和タイプのエチレン/メタクリル酸系アイオノマー樹脂【0051】また、カバー材料として、熱可塑性ウレタン樹脂C5またはアイオノマー樹脂C6を用いた場合は、インジェクション成形によりカバーを作製した。得られたゴルフボールを取り出して、バリ取りをした後、表面に白色ペイントとクリアーペイントを施して、直径42.8mm、質量45.2〜45.7gのソリッドゴルフボールを得た。これらのソリッドゴルフボールについて、飛行性能、打球感などについて評価した結果を表4及び表5に示した。
【0052】
【表4】

【0053】ゴルフボールNo.1〜No.10は、ソリッドセンターの外径、中間層の厚み及び曲げ弾性率、ポリウレタンカバーの組成、厚み及びショアD硬度について、本発明の要件を満足するゴルフボールである。いずれのゴルフボールも反発係数が高く、ウッド(W#1)の飛距離、サンドエッジ(SW)のスピン量、打球感に優れていることが分かった。また、ソリッドセンター用ゴム組成物の加硫剤としてジフェニルジスルフィド系の有機硫黄化合物を使用したゴルフボールNo.1からNo.8は、No.9のジベンジルジスルフィドを使用した場合や、No10の有機硫黄化合物(スルフィド化合物)を使用しなかった場合に比べて反発係数が高く、飛距離が長くなっていることが分かる。特に有機硫黄化合物としてビス(ペンタクロロフェニル)ジスルフィドを用いたゴルフボールNo.8の反発係数は高くなり、飛距離が極めて長くなっていることが分かる。これらの結果より、センター用ゴム組成物がジフェニルジスルフィド系有機硫黄化合物を含有していると、反発係数の高く、飛距離の長いゴルフボールが得られることが分かる。
【0054】
【表5】

【0055】ゴルフボールNo.11は、ポリウレタンカバーの厚みが1.8mmと厚すぎるために、反発係数が小さくなり、飛距離が短くなった。ゴルフボールNo.12は、中間層として、曲げ弾性率70MPaの材料を用いたので、軟らかすぎて反発が低く、飛距離が短くなった。また、打球感も低下した。ゴルフボールNo.13は、中間層として、曲げ弾性率が490MPaの材料を用いた場合である。反発係数が高く、飛距離は長くなるが、中間層が硬すぎるので硬い打球感になった(打球感が低下した)。
【0056】これらの結果より、打球感及び反発係数をバランスよく両立させるためには、中間層として、曲げ弾性率が150〜420MPaの範囲のものを用いることが好ましいことが分かった。ゴルフボールNo.14は、ポリウレタンカバーのスラブ硬度(ショアD硬度)が33の場合であり、打球感が低下した。また、カバーが柔らかくなり過ぎて反発性が低下したので、飛距離も短くなった。ゴルフボールNo.15は、ポリウレタンカバーのスラブ硬度(ショアD硬度)が62の場合である。カバーが硬すぎるので、打球感が悪い。また、カバーが滑り易くなっているために、サンドエッジによるスピン量も低下したものと考えられる。ゴルフボールNo.16及びNo.17は、それぞれ、カバー材料として熱可塑性ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂を用いた場合である。いずれのカバーも本発明で使用するポリウレタンカバーを用いた場合のような反発係数が得られないために、飛距離が低下した。ゴルフボールNo.18は、中間層の厚みが1.8mmである場合のゴルフボールであり、中間層が厚すぎるために、打球感が硬くなった(打球感が低下した)。
【0057】
【発明の効果】本発明のソリッドゴルフボールは、ソリッドセンターと中間層と硬化型ポリウレタンカバーとからなり、ポリウレタンカバーの厚みを0.5mm〜1.5mm及びショアD硬度を35〜55とし、さらに、中間層として、曲げ弾性率が150MPa〜420MPaの材料を用いて、中間層の厚みを0.5mm〜1.5mmとすることにより、打球感、飛距離のバランスのとれたゴルフボールが得られる。また、ジフェニルジスルフィド類を含むセンター用ゴム組成物を加硫したソリッドセンターを用いれば、さらに反発性を高めることができ、長飛距離のゴルフボールを得ることができる。
【0058】また、本発明のソリッドゴルフボールのポリウレタンカバーは、ビュレット架橋やアロハネート架橋のような3次元架橋構造のポリウレタンで構成されているので、耐擦過傷性、耐久性に優れる。特に、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中における残存イソシアネート単量体の含有率が0.5%以下のものを使用することにより、硬化反応を均一に行なうことができ、耐擦過傷性、耐久性さらに高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
【出願日】 平成14年9月26日(2002.9.26)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外1名)
【公開番号】 特開2003−169862(P2003−169862A)
【公開日】 平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願番号】 特願2002−281415(P2002−281415)