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【発明の名称】 ゴルフボール
【発明者】 【氏名】佐嶌 隆弘
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】飛距離と空力的対称性とに優れたゴルフボールの提供。

【解決手段】ゴルフボールは、AからEの5種類のディンプルを備えている。Eディンプルは特定横長ディンプルであり、他のディンプルは円形ディンプルである。特定横長ディンプルは、下記(I)及び(II)を満足する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 輪郭形状が横長である横長ディンプルと輪郭形状が円である円形ディンプルとを表面に多数個備えており、横長ディンプルであって下記(I)及び(II)を満足するものである特定横長ディンプルの数が全ディンプル数に占める比率が、2%以上12%以下であるゴルフボール。
(I)その長さ方向寸法Lxが円形ディンプルの平均直径Dの1.4倍以上3.0倍以下であること。
(II)その幅方向寸法Lnが円形ディンプルの平均直径Dの0.75倍以上であること。
【請求項2】 上記特定横長ディンプルの輪郭形状が楕円又は長円である請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】 上記特定横長ディンプルの輪郭形状が、互いに寸法の異なる円弧同士の組み合わせ、互いに寸法の異なる楕円弧同士の組み合わせ、又は円弧と楕円弧との組み合わせを含む請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項4】 上記特定横長ディンプルの輪郭形状が内向きに凸である部分を有さない請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゴルフボール。
【請求項5】 上記特定横長ディンプルの輪郭形状が頂点を有さない請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゴルフボールに関するものであり、特にゴルフボールのディンプルの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴルフボールは、その表面に250個から550個程度のディンプルを備えている。ディンプルの役割は、ゴルフボール飛行時にゴルフボール周りの空気の流れを乱すことによって境界層の乱流遷移を促進し、乱流剥離を起こさせることにある(以下「ディンプル効果」とも称される)。乱流遷移の促進により空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、圧力抵抗が小さくなってゴルフボールの飛距離が増大する。しかも、乱流遷移の促進により、バックスピンに起因するゴルフボールの上側と下側とにおける剥離点の差が助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。乱流遷移を促進しやすいディンプル、換言すれば空気の流れをよりよく乱すことができるディンプルは、空力特性に優れたものである。
【0003】一般的なディンプルの輪郭形状は円形であるが、近年、空力特性向上を意図したディンプル形状の改良が試みられており、非円形ディンプルが形成されたゴルフボールが種々提案されている。例えば、特開昭64−8982号公報には、全ディンプル数の7%以上のディンプルが非円形であるゴルフボールが開示されている。特開平8−191905号公報には、輪郭形状が長円であるディンプルの数が全ディンプル数の20%以上であるゴルフボールが開示されている。特開2000−185113公報には、輪郭形状が楕円であるディンプルを備えたゴルフボール、輪郭形状が長円であるディンプルを備えたゴルフボール及び輪郭形状が涙形であるディンプルを備えたゴルフボールが開示されている。非円形ディンプルは、円形ディンプルに比べてディンプル効果が高い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ゴルファーにとっての大きな関心事として、好スコアでプレーすることと共に、ゴルフボールを遠くまで飛ばすことが挙げられる。多くのゴルファーは、少しでも飛行性能に優れたゴルフボールを望んでいる。ゴルファーの要求を満たすゴルフボールは、未だ得られていない。非円形ディンプルの輪郭形状に関しては、未だ改良の余地がある。
【0005】一方、ゴルフボールに対する他の要求特性として、空力的対称性が良好であることが挙げられる。空力的対称性が良好であるとは、バックスピンの回転軸の位置に対する弾道の依存性が小さいことを意味する。非円形ディンプルは輪郭形状に方向性があるので、ゴルフボールの空力的対称性を損なうおそれがある。
【0006】本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、飛距離と空力的対称性とに優れたゴルフボールの提供をその目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するためになされた発明は、輪郭形状が横長である横長ディンプルと輪郭形状が円である円形ディンプルとを表面に多数個備えており、特定横長ディンプルの数が全ディンプル数に占める比率が、2%以上12%以下であるゴルフボール、である。ここで特定横長ディンプルとは、輪郭形状が横長であり、かつ下記(I)及び(II)を満足するものを意味する。
(I)その長さ方向寸法Lxが円形ディンプルの平均直径Dの1.4倍以上3.0倍以下であること。
(II)その幅方向寸法Lnが円形ディンプルの平均直径Dの0.75倍以上であること。
【0008】このゴルフボールでは、特定横長ディンプルと円形ディンプルとの相乗効果によって、大きな飛距離と優れた空力的対称性とが達成される。
【0009】空力的対称性の観点から好ましい特定横長ディンプルとしては、(1)輪郭形状が、楕円又は長円であるもの、(2)輪郭形状が、互いに寸法の異なる円弧同士の組み合わせを含むもの、(3)輪郭形状が、互いに寸法の異なる楕円弧同士の組み合わせを含むもの、及び(4)輪郭形状が、円弧と楕円弧との組み合わせを含むものが挙げられる。
【0010】好ましくは、特定横長ディンプルの輪郭形状は、内向きに凸である部分を有さない。この特定横長ディンプルは、空力的対称性に与える悪影響が少ない。
【0011】好ましくは、特定横長ディンプルの輪郭形状は、頂点を有さない。この特定横長ディンプルは、空力的対称性に与える悪影響がさらに少ない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された平面図である。また、図2はその正面図である。このゴルフボールの直径は、40mm以上45mm以下、特には42mm以上44mm以下である。米国ゴルフ協会(USGA)の規格を満たす範囲で空気抵抗を低減するという観点から、直径は42.67mm以上42.80mm以下が好ましい。このゴルフボールの質量は、40g以上50g以下、特には44g以上47g以下である。米国ゴルフ協会の規格を満たす範囲で慣性を高める観点から、質量は45.00g以上45.93g以下が好ましい。
【0014】このゴルフボールは、156個のAディンプルと、84個のBディンプルと、84個のCディンプルと、18個のDディンプルと、18個のEディンプルとを備えている。ディンプル総数は、360個である。図1には、球面が6等分されて得られる1個のユニットに関し、ディンプルの種類が符号(A〜E)で表示されている。このユニットのディンプルパターンが球面全体に展開されることにより、このゴルフボールのディンプルパターンが得られる。
【0015】Aディンプル、Bディンプル、Cディンプル及びDディンプルは、円形ディンプルである。円形ディンプルは、輪郭形状が円であるディンプルである。本明細書において「輪郭形状」という用語は、仮想球面(ディンプルが存在しないと仮定されたときのゴルフボール表面)とディンプルとの境界であるエッジが無限遠から見られたときの形状を意味する。Aディンプルの直径は4.20mmであり、Bディンプルの直径は3.90mmであり、Cディンプルの直径は3.40mmであり、Dディンプルの直径は2.50mmである。
【0016】図3(a)は図1のゴルフボールのEディンプルが示された平面図であり、図3(b)は図3(a)のB−B線に沿った断面図である。図3から明らかなように、Eディンプルの輪郭形状は、長径が7.90mmであり短径が3.30mmである楕円である。このEディンプルは、後に詳説される横長ディンプルであり、かつ特定横長ディンプルでもある。
【0017】図3(a)において符号Sで示されているのは、基準線分である。本明細書において「基準線分」という用語は、その両端が輪郭線上に位置する線分の中で最長のものを意味する。この基準線分Sの長さLxは、長さ方向寸法である。図3(a)において両矢印Lnで示されているのは、幅方向寸法である。この幅方向寸法Lnは、基準線分Sと直交方向におけるディンプルの幅である。その両端が輪郭線上に位置する線分の中で最長のものが2本以上画かれうるディンプルの場合は、これらの線分の中で幅方向寸法Lnが最短となるものが、基準線分Sとされる。
【0018】本明細書において「横長ディンプル」という用語は、長さ方向寸法Lxが幅方向寸法Lnよりも大きなディンプルを意味する。円形ディンプルや輪郭形状が正方形であるディンプルは、長さ方向寸法Lxと幅方向寸法Lnとが同一なので、横長ディンプルではない。横長ディンプルには、基準線分が3本以上画かれうるディンプルは含まれない。輪郭形状が正三角形であるディンプル、輪郭形状が正五角形であるディンプル、輪郭形状が正六角形であるディンプル等は、基準線分が3本以上画かれうるので、横長ディンプルではない。
【0019】本明細書において「特定横長ディンプル」という用語は、横長ディンプルであって、且つ下記(I)及び(II)を満足するものであるディンプルを意味する。
(I)その長さ方向寸法Lxが円形ディンプルの平均直径Dの1.4倍以上3.0倍以下であること。
(II)その幅方向寸法Lnが円形ディンプルの平均直径Dの0.75倍以上であること。
【0020】平均直径Dは、全ての円形ディンプルの直径が平均されることによって算出される。例えば、直径がD1であるN1個の円形ディンプルと、直径がD2であるN2個の円形ディンプルと、直径がD3であるN3個の円形ディンプルとの平均直径Dは、下記数式によって算出される。
D=(D1×N1+D2×N2+D3×N3)/(N1+N2+N3)
【0021】特定横長ディンプルでは、長さ方向寸法Lxが幅方向寸法Lnよりも大きいので、空気の流れを乱すというディンプル効果が大きい。この観点から、長さ方向寸法Lxが幅方向寸法Lnの1.16倍以上、さらには1.25倍以上、特には2.0倍以上である特定横長ディンプルが設けられるのが好ましい。長さ方向寸法Lxが幅方向寸法Lnに対して大きすぎると、輪郭形状の方向性が大きくなってゴルフボールの空力的対称性が損なわれるおそれがある。この観点から長さ方向寸法Lxが幅方向寸法Lnの10.0倍以下、さらには5.0倍以下、特には3.0倍以下である特定横長ディンプルが設けられるのが好ましい。
【0022】特定横長ディンプルでは、長さ方向寸法Lxが円形ディンプルの平均直径Dの1.4倍以上とされているので、空気の流れを乱すというディンプル効果が大きい。この観点から、長さ方向寸法Lxが円形ディンプルの平均直径Dの1.5倍以上、特には1.7倍以上である特定横長ディンプルが設けられるのが好ましい。特定横長ディンプルでは、長さ方向寸法Lxが円形ディンプルの平均直径Dの3.0倍以下とされているので、ゴルフボールの良好な空力的対称性と外観とが維持される。これらの観点から、長さ方向寸法Lxが円形ディンプルの平均直径Dの2.9倍以下、さらには2.8倍以下、特には2.0倍以下である特定横長ディンプルが設けられるのが好ましい。
【0023】特定横長ディンプルでは、幅方向寸法Lnが円形ディンプルの平均直径Dの0.75倍以上とされているので、空気の流れを乱すというディンプル効果が大きい。この観点から、幅方向寸法Lnが円形ディンプルの平均直径Dの0.80倍以上、特には0.84倍以上である特定横長ディンプルが設けられるのが好ましい。
【0024】特定横長ディンプルの数が全ディンプル数に占める比率Rsは、2%以上12%以下に設定される。この比率Rsが上記範囲未満であると、ゴルフボー全体として得られるディンプル効果が不十分となるおそれがある。この観点から、比率Rsは3%以上がより好ましく、4%以上が特に好ましい。比率Rsが上記範囲を超えると、ゴルフボールの空力的対称性が損なわれるおそれがある。この観点から、比率Rsは10%以下がより好ましく、7%以下が特に好ましい。
【0025】特定横長ディンプルにおける深さFは、0.10mm以上0.60mm以下が好ましい。深さFがこの範囲とされることにより、空気の流れを乱すという特定横長ディンプルの効果が促進される。この観点から、深さFの下限は0.15mmがより好ましく、0.20mmが特に好ましい。同様の理由から、深さFの上限は0.55mmがより好ましく、0.50mmが特に好ましい。深さFとは、図3(b)において両矢印で示されているように、仮想球面(図3(b)において二点鎖線で示されている)とディンプルの最深部との距離のことである。
【0026】図1及び図2に示されたゴルフボールには単一種類の特定横長ディンプル(すなわち、輪郭形状が楕円であるEディンプル)が形成されているが、2種以上の特定横長ディンプルが形成されてもよい。通常は1種以上4種以下、特には1種以上3種以下の特定横長ディンプルが形成される。2種以上の特定横長ディンプルが形成される場合は、その合計数が全ディンプル数に占める比率Rsが、上記範囲内に設定される。
【0027】図1及び図2に示されたゴルフボールには円形ディンプルと特定横長ディンプルとのみが形成されているが、他の種類のディンプルが共に形成されてもよい。他の種類のディンプルとしては、非円形であるが横長ではないディンプル(例えば正五角形ディンプル)、及び横長ディンプルではあるが特定横長ディンプルではないディンプルが挙げられる。他の種類のディンプルが共に形成される場合でも、空力的対称性の観点から、円形ディンプルの数が全ディンプル数に占める比率Rcは50%以上、さらには70%以上、特には85%以上とされるのが好ましい。
【0028】円形ディンプルの直径は、2.0mm以上6.0mm以下、さらには2.4mm以上5.5mm以下、特には2.4mm以上5.0mm以下に設定される。円形ディンプルの深さFは、0.08mm以上0.35mm以下、さらには0.10mm以上0.30mm以下、特には0.13mm以上0.28mm以下に設定される。円形ディンプルの直径とは、この円形ディンプルの輪郭形状である円の直径のことである。
【0029】飛距離向上の観点から、互いに直径又は深さFが異なる複数種の円形ディンプルが形成されるのが好ましい。円形ディンプルの種類数は、通常は2以上10以下とされる。互いに直径が異なるとは、直径差が0.15mm以上異なる場合を意味する。設計上同一種類であるが加工上の誤差によって直径が多少異なるディンプル同士は、同一種類のディンプル同士である。互いに深さFが異なるとは、深さFの差が0.005mm以上異なる場合を意味する。設計上同一種類であるが加工上の誤差によって深さFが多少異なるディンプル同士は、同一種類のディンプル同士である。
【0030】ディンプル総数は、250個以上500個以下が好ましい。ディンプル総数が上記範囲未満であると、仮想球の表面積に対するディンプル面積の占有率が適正値よりも小さくなり、飛距離が低下するおそれがある。この観点から、ディンプル総数は280個以上がより好ましく、300個以上が特に好ましい。ディンプル総数が上記範囲を超えると、個々のディンプルが小さくなり、飛距離が低下するおそれがある。この観点から、ディンプル総数は440個以下がより好ましく、390個以下が特に好ましい。
【0031】ディンプル容積の総和は、430mm以上650mm以下が好ましい。総和が上記範囲未満であると、ホップする弾道となって飛距離が不十分となるおそれがある。この観点から、総和は440mm以上がより好ましく、450mm以上が特に好ましい。総和が上記範囲を超えると、低い弾道となって飛距離が不十分となるおそれがある。この観点から、総和は620mm以下がより好ましく、600mm以下が特に好ましい。ディンプル容積とは、ボール仮想球面とディンプル表面とによって囲まれた部分の容積を意味する。
【0032】ディンプルの表面積占有率Yは、65%以上90%以下が好ましい。表面積占有率Yが上記範囲未満であると、ディンプルが疎であることに起因してゴルフボールの飛行性能が不十分となることがある。この観点から、表面積占有率Yは70%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。表面積占有率Yが上記範囲を超えると、ディンプルの配置が困難となる。この観点から、表面積占有率Yは88%以下がより好ましく、85%以下が特に好ましい。表面積占有率Yとは、仮想球面の面積に対するディンプル面積の総和の比率のことである。
【0033】長さ方向寸法Lx、幅方向寸法Ln、平均直径D、深さF、ディンプル容積等は、ゴルフボールが実測されることで求められる。ゴルフボールは表面に塗装層を備えているのが一般的であり、この塗装層の影響で寸法の正確な実測に困難を伴うことがある。本発明では、便宜上塗装前のゴルフボールが実測されてもよく、成形型の寸法が実測されてもよい。
【0034】図4は、本発明の他の実施形態に係るゴルフボールに形成された特定横長ディンプル1が示された平面図である。このゴルフボールにおいても、特定横長ディンプル1と共に円形ディンプルが形成されている。特定横長ディンプル1の数が全ディンプル数に占める比率は、2%以上12%以下である。この特定横長ディンプル1の輪郭形状は、長円である。長円とは陸上競技場のトラックに類似の形状であり、2個の半円3が平行な2本の線分5で結ばれた形状である。
【0035】図5は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールに形成された特定横長ディンプル7が示された平面図である。このゴルフボールにおいても、特定横長ディンプル7と共に円形ディンプルが形成されている。特定横長ディンプル7の数が全ディンプル数に占める比率は、2%以上12%以下である。この特定横長ディンプル7の輪郭形状は、円弧9と楕円弧11(楕円の一部)との組み合わせから形成されている。円弧9は半円であり、楕円弧11は半楕円である。円弧9の直径は、楕円弧11の短径に等しい。この特定横長ディンプル7は、当業者間において「涙形(ティアドロップタイプ)」と称されている。
【0036】図6(a)は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールに形成された特定横長ディンプル13が示された平面図である。このゴルフボールにおいても、特定横長ディンプル13と共に円形ディンプルが形成されている。特定横長ディンプル13の数が全ディンプル数に占める比率は、2%以上12%以下である。この特定横長ディンプル13の輪郭形状は、第一円弧15と第二円弧17との組み合わせから形成されている。第一円弧15と第二円弧17とは、互いに寸法が異なる。第一円弧15は、半円である。第二円弧17は、第一円弧15よりも直径が大きな円の一部である。第一円弧15と第二円弧17との結合点には、頂点19が形成されている。
【0037】図6(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールに形成された特定横長ディンプル21が示された平面図である。このゴルフボールにおいても、特定横長ディンプル21と共に円形ディンプルが形成されている。特定横長ディンプル21の数が全ディンプル数に占める比率は、2%以上12%以下である。この特定横長ディンプル21の輪郭形状は、円弧23と楕円弧25との組み合わせから形成されている。円弧23は、半円である。円弧23の直径は、楕円弧25の短径よりも小さい。円弧23と楕円弧25との結合点には、頂点27が形成されている。
【0038】図7(a)は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールに形成された特定横長ディンプル29が示された平面図である。このゴルフボールにおいても、特定横長ディンプル29と共に円形ディンプルが形成されている。特定横長ディンプル29の数が全ディンプル数に占める比率は、2%以上12%以下である。この特定横長ディンプル29の輪郭形状は、第一円弧31と第二円弧33との組み合わせから形成されている。第一円弧31と第二円弧33とは、互いに寸法が異なる。第一円弧31は、半円である。第二円弧33は、第一円弧31のよりも直径が大きな円の一部である。第一円弧31と第二円弧33との結合点には、頂点35が形成されている。この特定横長ディンプル29の輪郭形状は、頂点35の近傍において、内向きに凸である。
【0039】図7(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールに形成された特定横長ディンプル37が示された平面図である。このゴルフボールにおいても、特定横長ディンプル37と共に円形ディンプルが形成されている。特定横長ディンプル37の数が全ディンプル数に占める比率は、2%以上12%以下である。この特定横長ディンプル37の輪郭形状は、円弧39と楕円弧41との組み合わせから形成されている。円弧39は、半円である。円弧39と楕円弧41との結合点には、頂点43が形成されている。この特定横長ディンプル37の輪郭形状は、頂点43の近傍において、内向きに凸である。
【0040】図8(a)は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールに形成された特定横長ディンプル45が示された平面図である。このゴルフボールにおいても、特定横長ディンプル45と共に円形ディンプルが形成されている。特定横長ディンプル45の数が全ディンプル数に占める比率は、2%以上12%以下である。この特定横長ディンプル45の輪郭形状は、長方形である。この特定横長ディンプル45は、4個の頂点47を備えている。この特定横長ディンプル45には、2本の基準線分Sが画かれうる。
【0041】図8(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールに形成された特定横長ディンプル49が示された平面図である。このゴルフボールにおいても、特定横長ディンプル49と共に円形ディンプルが形成されている。特定横長ディンプル49の数が全ディンプル数に占める比率は、2%以上12%以下である。この特定横長ディンプル49の輪郭形状は、扇形である。扇形の中心角度は、60°未満である。この特定横長ディンプル49は、3個の頂点51を備えている。この特定横長ディンプル49には、その両端が輪郭線上に位置する線分の中で最長のものが無数に存在する。これら線分の中で基準線分S(すなわち幅方向寸法Lnが最短となるもの)は、2本である。基準線分Sは、半径線と一致している。
【0042】図8(c)は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールに形成された特定横長ディンプル53が示された平面図である。このゴルフボールにおいても、特定横長ディンプル53と共に円形ディンプルが形成されている。特定横長ディンプル53の数が全ディンプル数に占める比率は、2%以上12%以下である。この特定横長ディンプル53の輪郭形状は、4本の線分55からなる。この特定横長ディンプル53は、外向きに凸な3個の頂点57と、内向きに凸な1個の頂点59とを備えている。
【0043】図3から図8に係るそれぞれのゴルフボールにおいても、(I)その長さ方向寸法Lxが円形ディンプルの平均直径Dの1.4倍以上3.0倍以下であること及び(II)その幅方向寸法Lnが円形ディンプルの平均直径Dの0.75倍以上であることが達成されているので、これらゴルフボールは飛距離と空力的対称性とに優れる。
【0044】図3から図7のそれぞれに示された特定横長ディンプルは、いずれも、下記(1)から(4)のいずれかに相当する。
(1)輪郭形状が、楕円又は長円であるもの。
(2)輪郭形状が、互いに寸法の異なる円弧同士の組み合わせのみからなるもの。
(3)輪郭形状が、互いに寸法の異なる楕円弧同士の組み合わせのみからなるもの。
(4)輪郭形状が、円弧と楕円弧との組み合わせのみからなるもの。
これら特定横長ディンプルは輪郭形状が滑らかであり、従って空力的対称性に与える悪影響が少ない。
【0045】図3から図6のそれぞれに示された特定横長ディンプルは、いずれも内向きに凸である部分を有さない。これら特定横長ディンプルの輪郭形状は、方向性が少ない。従って空力的対称性に与える悪影響がより少ない。
【0046】図3から図5のそれぞれに示された特定横長ディンプルは、いずれも頂点(接点は除かれる)を有さない。これら特定横長ディンプルの輪郭形状は、方向性が特に少ない。従って空力的対称性に与える悪影響が特に少ない。
【0047】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0048】[実施例1]ソリッドゴムからなるコアの周りにアイオノマー樹脂組成物を射出してカバーを成形し、平面図が図1であり正面図が図2であるディンプルパターンを備えた実施例1のゴルフボールを得た。ボールの外径は42.74mm±0.03mmであり、コンプレッションは85±2であり、ディンプルの総容積は550.9mmであった。ディンプル仕様の詳細が、下記の表1に示されている。
【0049】[実施例2から6及び比較例1から5]成形型を変更し、下記表1及び表2に示されるディンプル仕様とした他は実施例1と同様にして、実施例2から6及び比較例1から5のゴルフボールを得た。各ゴルフボールの平面図及び正面図の図番が、下記表3に示されている。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】[飛距離テスト]各実施例及び各比較例のゴルフボールをそれぞれ40個ずつ用意し、23℃に保温した。一方、ゴルフラボラトリーズ社製のスイングロボットにメタルヘッドを備えたドライバー(W1)を取り付け、ヘッド速度が約49m/s、打ち出し角度が約11°、バックスピンの回転速度が約3000rpmとなるように、マシン条件を調整した。そして、ゴルフボールを打撃し、飛距離(発射地点から落下地点までの距離)を測定した。40個のゴルフボールのうち20個はポール打ちで打撃され、他の20個はシーム打ちで打撃された。ポール打ちとは、ゴルフボール表面のうちゴルフボール用成形型のパーティングラインに相当する大円が地球儀の赤道と仮定され、赤道を含む平面が赤道面とされたとき、バックスピンの回転軸が赤道面上に存在するような打撃方法である。シーム打ちとは、バックスピンの回転軸が北極と南極とを結ぶ直線となるような打撃方法である。テスト中の風は、概ね0.5m/s以下であった。飛距離の平均値が、下記の表3に示されている。
【0053】
【表3】

【0054】表3において、各実施例のゴルフボールは、各比較例のゴルフボールに比べて飛距離が大きい。しかも、各実施例のゴルフボールでは、ポール打ちとシーム打ちとの飛距離差が少ない。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【0055】
【発明の効果】以上説明されたように、本発明のゴルフボールは、飛距離と空力的対称性との両方に優れている。このゴルフボールは、ゴルファーのスコア向上に寄与しうる。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
【出願日】 平成13年12月6日(2001.12.6)
【代理人】 【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾
【公開番号】 特開2003−169861(P2003−169861A)
【公開日】 平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願番号】 特願2001−372365(P2001−372365)