| 【発明の名称】 |
ゴルフクラブヘッド及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】藪 眞徳 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】打球音を向上しかつ寸法安定性を高める。
【解決手段】フェース部材1Aと、このフェース部材1Aを前面に配する開口部Oを有するヘッド本体1Bとからなるゴルフクラブヘッド1である。ヘッド本体1Bは、クラウン殻部14と、ソール殻部15と、サイド殻部16とを少なくとも一体に具えた鋳造品からなる。クラウン殻部14の内面14i及び/又はソール殻部15の内面14iに、該内面から隆起しかつフェース面と略直交する向きにのびる複数本の線状突起9を具える。しかも開口部Oの近傍に、ヘッド本体1Bの内面間で突っ張り該開口部Oの変形を防止する少なくとも1本の補強リブ10又はこの補強リブ10を切除した切除痕を有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】フェース部材と、このフェース部材を前面に配する開口部を有するヘッド本体とからなり、かつ内部に中空部を有した金属製のゴルフクラブヘッドであって、前記ヘッド本体は、ヘッド上面をなすクラウン殻部と、ヘッド底面をなすソール殻部と、前記クラウン殻部とソール殻部との間を継ぐサイド殻部とを少なくとも一体に具えた鋳造品からなり、かつ前記ヘッド本体の内面に、該内面から隆起しかつフェース面と略直交する向きにのびる複数本の線状突起を具え、しかも前記開口部の近傍にヘッド本体の内面間で突っ張り該開口部の変形を防止する少なくとも1本の補強リブ又はこの補強リブを切除した切除痕を有することを特徴とするゴルフクラブヘッド。 【請求項2】前記線状突起は、クラウン殻部の内面及び/又は前記ソール殻部の内面に設けられていることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。 【請求項3】前記クラウン殻部又は前記ソール殻部の厚さが0.6〜1.2mmであることを特徴とする請求項1又は2記載のゴルフクラブヘッド。 【請求項4】前記線状突起の総体積が400〜1200mm3 であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。 【請求項5】前記クラウン殻部及びソール殻部には、隣り合ってのびる長さが42〜75mmである少なくとも2本の長尺な線状突起がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。 【請求項6】フェース部材と、このフェース部材を前面に配する開口部を有するヘッド本体とからなり、かつ内部に中空部を有した金属製のゴルフクラブヘッドを製造するゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ヘッド本体を鋳造するためのワックスモデルを成形するワックスモデル成形工程と、前記ワックスモデルと同形状の成形キャビティを有する鋳型を形成しかつ該鋳型により前記ヘッド本体を鋳造する鋳造工程とを含むとともに、前記ワックスモデルは、ヘッド上面をなすクラウン殻部模型と、ヘッド底面をなすソール殻部模型と、前記クラウン殻部模型とソール殻部模型との間を継ぐサイド殻部模型とを一体に具えかつ前面に開口部を有し、かつ前記ワックスモデルの内面に、該内面から隆起しかつフェース面と略直交する向きでのびる複数本の線状突起模型を具え、しかも前記開口部の近傍に該ワックスモデルの内面間で突っ張り該開口部の変形を防止する少なくとも1本の補強リブ模型を有することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、打球音を改善しかつ寸法安定性を向上しうるゴルフクラブヘッド及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】例えばウッド型のゴルフクラブヘッドは、近年、ステンレス鋼、チタン合金といった比強度の高い金属材料を用いたものが主流となっている。このような金属製のゴルフクラブヘッドは、従来の柿の木材を用いたパーシモンヘッドに比べると、重量配分設計の自由度が高く慣性モーメントや重心深度の増大を容易に図ることができる。これにより、金属製のゴルフクラブヘッドは、芯を外して打球したときでも打球の方向性のぶれや飛距離の低下が最小限に抑えられ、パーシモンヘッドに比べると打ち易さが格段に向上している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、一般的に金属製のゴルフクラブヘッドの打球音は、パーシモンヘッドの打球音を聞き慣れたゴルファにとっては味気なく聞こえ、かねてから打球音の改善が望まれていた。 【0004】そこで、金属製のゴルフクラブヘッドの打球音を改善するために、例えばボールを打球するフェース板に複数段の所定の熱処理を施す技術(例えば特開平10−33724号公報)やヘッドの中空部に形状が複雑な音叉等を配する技術等が知られている。しかしながら、前者の方法では複雑な熱処理工程を行わねばならず、また後者の方法では、ヘッド内部への音叉等の取付や成形が困難になるという不具合があり、いずれもヘッドの生産性を大巾に低下させるという問題がある。 【0005】また、近年では、図15に示すように、フェース部材bと、このフェース部材bを前面に配する開口部Oを有ししかも鋳造品からなるヘッド本体cとで構成された2ピース構造のヘッドdが主流となりつつある。このようなヘッドdは、フェース部材bには反発性に優れた材料が使用されるとともに、ヘッド本体cは通常ロストワックス精密鋳造に適した金属材料が使用される。 【0006】前記ヘッド本体cを鋳造により成形する場合、先ずこのヘッド本体cと実質的に同一形状をなすワックスモデルを製造する必要がある。ところが、上述のようなヘッド本体cと同形状を有するワックスモデルは、フェース部側に前記開口部Oを有するため強度が比較的低く、時間の経過によるワックスの収縮や取扱中に作用する外力等で変形し易い。とりわけヘッド体積が250cm3 を超える大型ヘッドでは、クラウン部、ソール部の厚さが非常に薄く設定されているため、そのワックスモデルの開口部がひしゃげるなどクラウン、ソール方向(上下方向)の変形が大きくなり易い。このようなワックスモデルを用いて鋳型を製造すると、設計寸法とは大きくかけ離れたヘッドが製造されてしまい、寸法的に安定したヘッドを供給することが困難になる。 【0007】本発明は、以上のような2つの問題点に鑑み案出なされたもので、ヘッド本体の内面に、該内面から隆起しかつフェース部と略直交する向きにのびる複数本の線状突起と、フェース部側の開口部の近傍にヘッド本体の内面間で突っ張り該開口部の変形を防止する少なくとも1本の補強リブ又はこの補強リブを切除した切除痕を有することを基本として、生産性を低下させることなく打球音を心地よく改善し、かつ寸法安定性に優れるゴルフクラブヘッドを提供することを目的としている。また、このような打球音に優れしかも寸法安定性に優れたゴルフクラブヘッドを製造しうるゴルフクラブヘッドの製造方法を提供することを目的としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記載の発明は、フェース部材と、このフェース部材を前面に配する開口部を有するヘッド本体とからなり、かつ内部に中空部を有した金属製のゴルフクラブヘッドであって、前記ヘッド本体は、ヘッド上面をなすクラウン殻部と、ヘッド底面をなすソール殻部と、前記クラウン殻部とソール殻部との間を継ぐサイド殻部とを少なくとも一体に具えた鋳造品からなり、かつ前記ヘッド本体の内面に、該内面から隆起しかつフェース面と略直交する向きにのびる複数本の線状突起を具え、しかも前記開口部の近傍にヘッド本体の内面間で突っ張り該開口部の変形を防止する少なくとも1本の補強リブ又はこの補強リブを切除した切除痕を有することを特徴としている。 【0009】また請求項2記載の発明は、前記線状突起は、クラウン殻部の内面及び/又は前記ソール殻部の内面に設けられていることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッドである。 【0010】また請求項3記載の発明は、前記クラウン殻部又は前記ソール殻部の厚さが0.6〜1.2mmであることを特徴とする請求項1又は2記載のゴルフクラブヘッドである。 【0011】また請求項4記載の発明は、前記線状突起の総体積が400〜1200mm3 であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドである。 【0012】また請求項5記載の発明は、前記クラウン殻部及びソール殻部には、隣り合ってのびる長さが42〜75mmである少なくとも2本の長尺な線状突起がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドである。 【0013】また請求項6記載の発明は、フェース部材と、このフェース部材を前面に配する開口部を有するヘッド本体とからなり、かつ内部に中空部を有した金属製のゴルフクラブヘッドを製造するゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ヘッド本体を鋳造するためのワックスモデルを成形するワックスモデル成形工程と、前記ワックスモデルと同形状の成形キャビティを有する鋳型を形成しかつ該鋳型により前記ヘッド本体を鋳造する鋳造工程とを含むとともに、前記ワックスモデルは、ヘッド上面をなすクラウン殻部模型と、ヘッド底面をなすソール殻部模型と、前記クラウン殻部模型とソール殻部模型との間を継ぐサイド殻部模型とを一体に具えかつ前面に開口部を有し、かつ前記ワックスモデルの内面に、該内面から隆起しかつフェース面と略直交する向きでのびる複数本の線状突起模型を具え、しかも前記開口部の近傍に該ワックスモデルの内面間で突っ張り該開口部の変形を防止する少なくとも1本の補強リブ模型を有することを特徴としている。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態としてのウッド型のゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1の斜視図、図2はその平面図、図3はその分解斜視図をそれぞれ示している。 【0015】図において、本実施形態のヘッド1は、ボールを打球するフェース面Fを有するフェース部2と、このフェース部2の上縁2aに連なりヘッド上面をなすクラウン部3と、前記フェース部2の下縁(リーディングエッジ)2bに連なりヘッド底面をなすソール部4と、前記クラウン部3とソール部4との間を継ぎフェース部2のトウ側縁2cからバックフェース部6を通りフェース部2のヒール側縁2dに至ってのびるサイド部5とを具え、内部には中空部i(図3参照)が形成される。またフェース部2とクラウン部3とサイド部5とのヒール側の交わり部の近傍には、シャフトの一端が挿入されかつ固着されるシャフト取付部7が形成されている。 【0016】またヘッド1は、図3に示す如く、フェース部材1Aと、このフェース部材1Aを前面に配する開口部Oを有しかつ鋳造品からなるヘッド本体1Bとから構成され、本例ではいわゆる2ピース構造を例示している。このような2ピース構造のヘッド1は、3ピース構造のものに比して溶接箇所を減じ作業工程を削減し生産性を向上しうる他、ヘッドの諸寸法や諸角度のバラツキなどを抑制するのにも役立つため、精度の良いヘッドの提供に役立つ。 【0017】前記フェース部材1Aは、本例では、板状をなし、前記開口部Oの端縁に例えば溶接により固着される。フェース部材1Aとしては、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、ステンレスなどの各種の金属材料により形成することができ、本例ではチタン合金が採用される。フェース部材1Aの加工法は特に限定されない。なお図示していないが、フェース部材1Aは、フェース面Fを形成するフェース板部と、その周縁からヘッド後方にのびる延長部とを一体に具えたお椀状ないし断面コ字状で構成することもでき、その他、必要に応じて種々の構成が採用できる。 【0018】前記ヘッド本体1Bは、本例ではクラウン部3の全部ないし主要部をなすクラウン殻部14と、ソール部4の全部ないし主要部をなすソール殻部15と、前記クラウン殻部14とソール基体部15との間を継ぎかつヘッド周囲をなすサイド殻部16と、前記シャフト取付部7とを一体に具えた鋳造品からなる。またヘッド本体1Bは、前面に前記フェース部材1Aが配される開口部Oを有する。本例のヘッド1は、ヘッド体積を例えば200〜500cm3 程度に大型化しているため、クラウン殻部14及びソール殻部15の各厚さを、いずれも0.8〜1.2mmの小厚さとしたものが例示される。なおサイド殻部16の厚さは、例えば0.8〜1.2mm程度で形成される。 【0019】またヘッド本体1Bは、例えばアルミニウム合金、チタン合金、ステンレスなどの鋳造可能な各種の金属材料により形成される。好適にはチタン合金(Ti−6Al−4V)が採用され、ロストワックス精密鋳造法によって前記各部を一体成形する。このようなヘッド本体1Bは、ソール殻部15に対してシャフト取付部7を精度良く成形でき、ライ角のバラツキを減じるなど寸法精度を向上するのに役立つ。ただしヘッド本体1Bは、図示の態様に限定されるものではなく、例えばシャフト取付部7を別体とし後付けすることもできる。 【0020】また本実施形態のヘッド本体1Bは、ヘッド本体1Bの内面として、中空部iに臨むクラウン殻部14の内面14i及びソール殻部15の内面15iに、各内面14i、15iから隆起しかつフェース面Fと略直交する向きにのびる複数本の線状突起9…が形成されたものを示す。またヘッド本体1Bは、その開口部Oの近傍に、その内面間で突っ張り該開口部Oの変形を防止する補強リブ10を有するものが例示される。 【0021】ヘッド本体1Bの上記構成による作用の説明に先立ち、先ずヘッド本体1Bの製造方法について説明する。ヘッド本体1Bは、このヘッド本体1Bを鋳造するためのワックスモデルを成形するワックスモデル成形工程と、該ワックスモデルと同形状の成形キャビティを有する鋳型を形成しかつ該鋳型により前記ヘッド本体1Bを鋳造する鋳造工程と経て製造される。 【0022】図4には、ヘッド本体1Bを鋳造するためのワックスモデル20の一例を示す。ワックスモデル20は、例えば金型にて射出成形され、ヘッド上面の全部ないしその主要部に相当するクラウン殻部模型21と、ヘッド底面の全部ないしその主要部に相当するソール殻部模型22と、前記クラウン殻部模型21とソール殻部模型22との間を継ぐサイド殻部模型23とを一体に具えている。また本例では、クラウン殻部模型21とソール殻部模型22とサイド殻部模型23とのヒール側の交わり部にシャフト差込部模型24を一体に具えるものが例示される。 【0023】またワックスモデル20は、フェース面側となる前面に、内部に通じる比較的大きな開口部Oを有する。このような開口部Oを有するワックスモデル20は、大型ヘッドであることと相まって、一般に強度が低下しやすく、射出成形された後に変形しやすのは前述の通りである。このため、クラウン殻部模型21の内面21i及びソール殻部模型22の内面22iに、各内面21i、22iから隆起しかつフェース面と略直交する向きでのびる複数本の線状突起模型25を設けている。このような線状突起模型25は、クラウン殻部模型21やソール殻部模型22の曲げ剛性などを高め各部の変形を抑制しうる。 【0024】さらにワックスモデル20は、前記開口部Oの近傍に該ワックスモデル20の内面間で突っ張り該開口部Oの変形を防止する補強リブ模型26が設けられている。このため、射出成形された後のワックスモデル20の全体的な変形、とりわけ開口部付近の変形が非常に小さく抑えられる。このように本例では、線状突起模型25と補強リブ模型26との相乗作用により、ワックスモデル20の全体的な剛性をバランス良く高め、各殻部模型21、22ないし開口部O付近の変形量を大幅に減じるのに役立つ。なお図示していないが、ワックスモデル20には、湯口を形成するための湯口形成部などが適宜付設されることがある。 【0025】またワックスモデル20は、ワックスを金型内に射出成形することにより前記形状で一体に形成される。しかし、例えば、図5に示すように、線状突起模型25及び/又は補強リブ模型26を有しないワックスモデル本体部20Aを第1の金型(図示省略)で成形するとともに、第2の金型(図示省略)で線状突起模型25及び/又は補強リブ模型26を別成形し、これらを前記ワックスモデル本体部20Aの内面に熱溶着等の手段で固着することにより、前記ワックスモデル20を形成することもできる。このように、ワックスモデル20を成形する方法は、必要に応じて種々選択しうる。 【0026】また鋳造工程では、図6(A)に示すように、前記ワックスモデル20の表面には、鋳型の原料となるスラリー状の耐火性材料と粗めの砂粒(スタッコ)とからなる鋳型材gを付着させる。そして、オーブンhなどで鋳型材gを乾燥、固化させるとともに、加熱により内部のワックスモデル20を外部へ溶出(脱ろう)させる。これにより内部にワックスモデル20が占めていた空間を成形キャビティi1を有する鋳型Mを製造することができる。なお符号i2は湯口である。 【0027】そして、同図(B)のように、鋳型Mの中に溶融金属kを流し込んで固化させた後、同図(C)のようにハンマー等により該鋳型Mを粉砕することで、ヘッド本体1Bを取り出すことができる。このように、本発明では、一旦成形された後の変形が非常に少さく抑えられたワックスモデル20に基づいて形成された鋳型Mを用いることにより、設計寸法にきわめて近いヘッド本体1Bを鋳造でき寸法のバラツキを大幅に低減しうる。 【0028】上述の効果を高めるために、前記補強リブ模型25(又はヘッド基体1Bの補強リブ10であって、以下同じ)は、図3に示すように、ヘッド本体1Bの開口部Oの端縁からバックフェース部6側に5mm以内、より好ましくは3mm以内の領域Yに設けること、特に好ましくは開口部Oの端縁部に設けることが好ましい。これによって、より効果的に開口部Oの変形を抑制しうる。なおヘッド本体1Bが鋳造された直後は補強リブ10が残存しているが、金属材料からなるヘッド本体1Bはワックスモデルとは異なり十分な剛性を具えるため、フェース部材1Aとの接合に先立ちこの補強リブ10を切除しても良い。この場合、ヘッドの軽量化などを図り、かつ設計自由度を向上しうる。なお補強リブ10が前記領域Yに設けられていると、切除作業を能率良く行いうる点でも好ましい。 【0029】本実施形態の補強リブ模型部25は、クラウン殻部模型21とソール殻部模型22との各内面21i、22i間で上下に突っ張る柱状のものを例示する。ワックスモデル20は、薄肉化と開口部Oとの影響他、その伝統的なヘッド形状により、クラウン−ソール方向に変形しやすい。そこで、前記態様とすることにより効果的にワックスモデル20の剛性補強をなしうる。なおサイド殻部16のトウ側の内面とヒール側の内面との間を水平方向にのびて突っ張るような補強リブ模型25(図示省略)を設けることも勿論可能である。 【0030】また補強リブ模型25は、特に限定はされないが、その突っ張り方向と直角な断面積が例えば2〜25mm2 、より好ましくは4〜9mm2 であることが望ましい。補強リブ模型部25の断面積が2mm2 未満であると、ワックスモデル20の開口部Oの変形を妨げる補強効果が低下し易くなり、逆に25mm2 を超える場合にはヘッド基体1Bに大きな形状で残存し、ヘッド重量を大としたり、また切除に手間を要する傾向がある。なお前記断面積は、補強リブ模型25が1本のときは、その1本当たりのものであるが、複数本の場合にはこれらの合計の断面積とする。また断面形状は、成形性の観点より長方形ないし正方形断面が好適である。 【0031】また補強リブ模型25の配置本数や配置形状などは、特に限定されることなく種々の態様で実施することができる。例えば図7(A)〜(C)に示すように、II字状、N字状、H字状のほか、図8(A)〜(C)に示すように逆N字状、W字状、十字状など種々の態様を少なくとも含む。より好適にはH字状、逆N字状、W字状が望ましい。 【0032】また発明者らの種々の実験の結果、鋳造されたヘッド本体1Bに形成される線状突起9は、意外にも打球音の改善に大きな効果があることが判明した。図9に示す如く、前記内面14i又は15iに線状突起9を複数本形成した場合、隣り合う線状突起9、9により、該線状突起9にて挟まれる溝状の気柱管状部Bが形成される。そして打球時の衝撃によって中空部iに生じる空気の振動は、この気柱管状部Bを通過する際に突起壁面を利用して該気柱管状部B内で気柱共鳴音(図9では2次のものを示す)を発生させ、打球時の残響音を長く響き渡らせることが分かった。そして、発明者らが種々のモニターテストを繰り返したところ、多くのゴルファは、打球した後に残響する残響音を長く含む打球音に心地良さを感じることが判明した。このように、本発明の線状突起9は、打球時に中空部i内で積極的に共鳴、干渉等を生じさせて打球音を心地良く改善しうる。 【0033】前記線状突起9は、フェース面Fと略直交する向きにのびることが好ましい。打球時には、フェース面Fからバックフェース部6に向かって空気振動が伝達されていく。このため、フェース面Fと略直交する向きに沿って線状突起9を設けることで気柱管状部Bに振動した空気を効果的に導くことができる。またこのような向きでのびる線状突起を形成するための線状突起模型25も効果的にワックスモデル20のクラウン殻部模型14、ソール殻部模型15を補強できる。なおフェース面Fに直角な垂直面と線状突起9とが挟む鋭角側の角度は20度以下であるのが好ましい。 【0034】また図10には、図2のA−A線拡大断面を示す。前記線状突起9は、その突起高さHが小さすぎると、前記気柱管状部Bによる共鳴効果が低下する傾向があり、突起巾Wが小さすぎると剛性補強効果が小さく鋳造成形が困難になる傾向がある。また線状突起9の突起巾W又は突起高さHが大きすぎると、ヘッドの大巾な重量増加をもたらしやすい。このような観点より、線状突起9の突起巾Wは、特に限定されるわけではないが、例えば0.5〜3.0mm、より好しくは1.0〜2.0mmとすることが望ましく、前記突起高さHは、前記突起巾Wのいずれかとの組合せにおいて0.3〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mmであることが望ましい。本実施形態では、ほぼ一定の突起巾、突起高さで形成されたものを示す。より好ましくは、線状突起9の突起高さHは、クラウン殻部14の厚さの0.5〜3.0倍程度とすることが望ましい。 【0035】また前記線状突起9は、突起中心線9C、9C間の距離である配設ピッチPが過度に小さすぎると、その配設本数にもよるがクラウン殻部14又はソール殻部15の剛性が著しく高められ易く、打球音の音圧レベル自体が低下する他、残響音の周波数が高くなり過ぎてフィーリングの悪い音に近づきやすい。逆に線状突起9の配設ピッチPが過度に大きすぎると、残響音の周波数が低くなりすぎてフィーリングの悪い音に近づきやすい他、線状突起9の配設本数が制限されてしまい共鳴が生じ難くなる傾向がある。このような観点より、線状突起9の前記配設ピッチPは、特に限定されるものではないが、例えば0.85〜15.0mm、より好ましくは3.0〜15.0mm、さらに好ましくは3.0〜12.0mmとすることが望ましい。 【0036】また線状突起9の断面形状は、図10に示す如く矩形断面の隅部を円弧で面取りした矩形状の他、図11(A)に示すように、先端部を直径が突起巾Wにほぼ等しいような半円弧で形成したもの、さらには図11(B)に示す如く、略三角形状のものなど種々の形状が採用できる。これらの断面形状は、より好ましくは鋳造に際して湯流れの良いものが望ましい。 【0037】なお線状突起9の本数は、特に限定されるものではないが、クラウン殻部14の内面14i又はソール殻部15の内面15iに、例えば2〜10本、より好ましくは5〜10本程度形成されることがワックスモデル20の補強効果と残響音を長引かせる点で望ましい。 【0038】また、ヘッド1の内面に形成された全ての線状突起9の体積の総和である線状突起9の総体積Vが大きすぎるとヘッド1の大幅な重量増加を招いたり、配設ピッチPが著しく小さくならざるを得ない場合があり、逆に線状突起の総体積Vが小さすぎると、各線状突起9の長さ、突起巾W、突起高さH又は本数などが小となり、共鳴を生じさせる効果が低下する傾向がある。このような観点より、線状突起の総体積Vは、例えば400〜1200mm3 、より好ましくは500〜1000mm3 とすることが望ましい。 【0039】また、発明者らのさらなる実験の結果、打球音のより一層の向上については、4500〜8000Hz、特に好ましくは5000〜6300Hzの周波数帯域の残響音をより強調しかつ長く響かせることが効果的であるとの知見を得た。一般に、両端を開放した気柱管で生じる場合、n次の振動数fは、次式(1)にて表される。 f=C・n/2・L …(1) ここで、Cは音速、nは振動の次数、Lは気柱管の長さである。 【0040】音圧エネルギーの高い2次の振動数に着目した場合、その振動数fが4500〜8000Hzの周波数帯域となるためには、上記式(1)から、気柱管の長さLが42〜75mmであることが分かる。隣り合う線状突起9、9が形成する前記気柱管部Bについても、上記式(1)とほぼ同様の関係が成立することが判明している。このため、図2に示すように、本例の線状突起9には、隣り合ってのびる長さLが42〜75mmである少なくとも2本の長尺の線状突起30、30が含まれている。これにより、好ましい気柱管状部Bが形成され、4500〜8000Hzの周波数帯域での残響音を効果的に生じさせることができる。 【0041】また線状突起9は、図2のB−B線断面図である図12に示すように、フェース部側の端部9Aと、バックフェース部側の端部9Bとを具える。これらの各端部9A、9Bの位置は特に限定されず種々の位置に設けることができる。本例では線状突起9のフェース部側の端部9Aは、フェース部2の内面2iにほぼ近接した位置に形成される。これにより、より効果的にフェース部2で振動された空気を気柱管状部Bに取り込みしうる。 【0042】またクラウン部3の内面3iにおいて、線状突起9のバックフェース部側の端部9Bは、クラウン部3とサイド部5とが交わる上方の交わり部19から水平距離S1を控えた手前側に形成されている。これは、ワックスモデルを作成する際の射出成型不良などを減じるためである。前記距離S1は、例えば5mm以上、より好ましくは5〜15mmとするこのが望ましい。 【0043】また図12及びヘッド1のフェース部2をその内面側から見た分解図である図13に示すように、本例のフェース部2は、厚さT1が2.5〜3.5mmで略一定厚さのフェース中央部2Aと、このフェース中央部2Aの周囲に環状で形成されかつ巾GWが3〜5mmでかつ厚さT2が前記フェース中央部2Aの厚さT1よりも0.3〜0.7mm小としたフェース薄肉部2Bとを具える。このように、厚肉のフェース中央部2Aの周囲に薄肉のフェース薄肉部2Bを形成することにより、打球時に最も大きく振動する該フェース部2の振動減衰作用を抑え、より長くフェース部2を振動させることにより、残響音を長く響かせることが可能になる。 【0044】なお前記フェース中央部2Aの厚さT1が2.5mm未満の場合、フェース部2の耐久性が低下しやすく、逆に3.5mmをフェース部2の撓み特性が損なわれ、ボールへの反発性能が低下しやすくなる。特に好ましくは、前記厚さT1を2.6〜3.0mmとするのが望ましい。またより好ましくは、フェース中央部2Aの厚さT1と前記フェース薄肉部2Bの厚さT2との差を0.3〜0.5mmとするのが特に望ましい。また本例ではヘッド本体から補強リブ10を切除したヘッド1を示しているが、切除しない場合、フェース部2の内面2iと補強リブ10とが打球時に接触しないように配するのが好適である。 【0045】本発明は、種々のヘッドに適用することができるが、特に好ましいのは次のような態様である。例えばヘッド体積が200〜500cm3 、より好ましくは250〜450cm3 程度の大型ヘッドに適用するのが効果的である。ヘッド体積が200cm3 未満のものは、そのワックスモデルの剛性が比較的高いため本発明を用いなくてもワックスモデルの変形量を小さく抑えやすいためであり、逆に500cm3 を超えるものでは、ヘッド本体1Bを鋳造する際に薄肉化による鋳造不良が生じ易い。 【0046】また本発明は、ヘッド本体1Bの前記開口部Oの開口面積が、好ましくは20〜80cm2 、より好ましくは25〜75cm2 程度をなすヘッドに適用するのが効果的である。前記開口部Oの開口面積が20cm2 未満ののものでは、ワックスモデルの剛性が比較的高いため該ワックスモデルの変形量を小さく抑えやすいためであり、逆に80cm2 を超えるヘッド本体は、現在の鋳造技術では成型不良が生じやすいためである。また前記開口面積と同様の趣旨から、本発明は、ヘッド本体1Bの前記開口部Oの上下方向の最大の高さが、好ましくは30〜85mm、より好ましくは40〜70mm程度、開口部Oの水平方向の最大の巾が45〜120mm、より好ましくは50〜110mmのヘッドに適用するのが効果的である。 【0047】以上本発明の実施形態についてウッド型のゴルフクラブヘッドを例に挙げ詳述したが、本発明は、中空部を有する金属製のヘッドであれば、アイアン型、パター型、さらにはウッド型とアイアン型との中間的な形状を有するユーティリティ型のヘッドなどにも適用可能である。また上記実施形態では、クラウン殻部14及びソール殻部15の各内面14i、15iに線状突起9を形成したものを例示したが、いずれか一方の内面にのみ線状突起9を形成することでも良い。またサイド殻部16の内面にも線状突起を設けることも勿論可能である。 【0048】 【実施例】次に、ウッド型のゴルフクラブヘッド(実施例、比較例)を表1の仕様に基づき試作し、打球音の残響度、官能評価、ヘッド本体の変形量、不良発生率などをテストし性能を比較した。なおヘッドは、チタン合金(Ti−6Al−4V)とし、線状突起の巾を1.5mm、高さを1.0mm、配設ピッチは6mmとし、図1の配設方法で統一した。テスト方法は次の通りである。 【0049】<打球音の残響度>各供試ヘッドに同一のシャフトを装着してウッド型ゴルフクラブを試作するとともに、該クラブをスイングロボットに取り付けゴルフボール(住友ゴム工業社製の「マックスフライハイブリッド」)をフェース部の中央部で打球しその打球音を測定した。打球音の測定は、図14に示すように、打球時のヘッドのトウ端から300mm離れた位置に日本リオン社製の精密騒音計のマイクロフォンmを設置することにより行った。また精密騒音計では、人間の聴覚に最も近いと言われているA型周波数補正を行った。 【0050】前記精密騒音計にて打球音を電気信号に変換した後、その出力を小野測器社製のFFTアナライザ(CF−6400)にて、分析周波数0〜16kHz、サンプリング数2048、サンプリング時間を打撃から約48msとしFFT処理、及び時間軸サンプリングを行った(FFTのウインドウ処理は、ハニングウインドウにて実施)。またマイクロフォン、FFTアナライザでの電気信号のキャリブレーションは、ピストフォン(ブリュウエル&ケアー社製)にて250Hz、124dBのキャリブレーション信号にて装置としての絶対音圧の校正を行った。また打球音のピーク周波数及びその音圧は、PWR処理により行った。そして打球音の残響度は、小野測器社製のウェーブレット解析ソフトDS−9100を用いて解析時間フレーム長2048、ガボール関数:1/12オクターブ相当、解析範囲6オクターブに設定し、打球時から0.04秒後の周波数帯の音圧を該周波数帯のピーク音圧で除すことにより求めた。この残響度が大きいほど、残響音が大きくかつ長く持続するため良好であることを示す。なお周波数帯の決定は、4000〜7000Hzの範囲で0.04秒後の音圧が最大値を示す周波数をピーク周波数とする。 【0051】<打球音の官能評価>10名のゴルファ(ハンディキャップ5〜20)にて各クラブで前記ゴルフボールを試打し、そのときの打球音を各ゴルファの官能により5点満点で評価しその平均値で示した。数値が大きいほど良好である。 【0052】<ヘッド本体の変形量>鋳造されたヘッド本体のクラウン殻部、ソール殻部の定点間の距離(高さ)をノギスにより測定し、設計目標値からの誤差量を求めた。数値が小さいほど誤差が少なく良好である。 【0053】<鋳造不良発生率>鋳造されたヘッド本体の前記変形量の絶対値が0.5mm以上のものを不良品とし、その発生率を求め(n=100の平均値)、比較例3を100とする指数で表示した。数値が小さいほど良好である。テスト結果などを表1に示す。 【0054】 【表1】
【0055】テストの結果、実施例のものは、比較例に比べて残響度が大きくかつフィーリングにおいても良好な結果が得られた。またヘッド本体の変形量が小さく寸法安定性にも優れていることが確認できた。 【0056】 【発明の効果】上述したように、本発明のゴルフクラブヘッドでは、ヘッド本体、より好ましくはクラウン部の内面又はソール部の内面に、該内面から隆起しかつフェース部と略直交する向きにのびる複数本の線状突起を形成しているため、該線状突起が打球時に中空部内で生じる空気の粗密波に積極的に共鳴、干渉を生じさせ残響音を長く響き渡らせうる。これにより、打球音が向上する。またヘッド本体の開口部の近傍に、ヘッド本体の内面間で突っ張り該開口部の変形を防止する少なくとも1本の補強リブ又はこの補強リブを切除した切除痕を有するため、ヘッド本体の変形を抑制しうる。 【0057】またヘッド本体は、鋳造品からなり、鋳造に際しては、該ヘッド本体と同形のワックスモデルを使用して鋳型を形成する。この際、ワックスモデルにも線状突起や補強リブに相当する部分が形成されるため、ワックスモデル自体の剛性を高め、該ワックスモデルの成形後の変形量を減じうる。従って、精度の高い鋳型を形成でき、ひいてはヘッド本体の寸法安定性を向上しうる。 【0058】また請求項3記載の発明のように、クラウン殻部ないしソール殻部の厚さが小で変形しやすいヘッドに本発明を適用することにより、より効果的に寸法安定性を向上することができる。 【0059】また請求項4ないし5記載の発明のように、線状突起の総体積や隣り合う長さなどを一定範囲に限定したときには、より効果的に共鳴を生じさせ残響音を長引かせるなど打球音をさらに心地よく改善しうる。 【0060】また請求項6記載の発明のように、ヘッド本体を鋳造するためのワックスモデルを成形するワックスモデルに、線状突起模型と補強リブ模型とを設けておくことにより、ワックスモデル自体の剛性を効果的に高め、成形後のワックスモデルの変形量を減じる。従って、設計目標値に対して誤差の少ない鋳型を形成でき、ひいては寸法安定性に優れたヘッド本体を鋳造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183233 【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
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| 【出願日】 |
平成13年11月28日(2001.11.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082968 【弁理士】 【氏名又は名称】苗村 正 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−159354(P2003−159354A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月3日(2003.6.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−363072(P2001−363072) |
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