| 【発明の名称】 |
ゴルフボール、ゴルフボール組成物及びゴルフボールの製法 |
| 【発明者】 |
【氏名】ヒュン ジン キム
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| 【要約】 |
【課題】多くのゴルフボール性能特性を、他の諸特性を一層悪くはしないで、最適化するゴルフボール組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するため、結晶化度及び他の特定の物理特性を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する、ゴルフボール;及び、ボールコア、カバー及び中間層に使用するための組成物、を開示する。本発明の組成物を含有するゴルフボールは、ゴルフボールの構造に可とう性を与え、該ゴルフボールの剪断抵抗に悪影響を及ぼすことなく、打撃感触、スピン速度等のボール性能を改善する。更に、ゴルフボールの製法は、結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する組成物を調製する工程と、前記組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程とを含む。その製法は、射出成形のみ;又は、射出成形及び圧縮成形;を含むことがある。成形される組成物が、架橋剤、ヘテロ架橋剤、又は架橋促進剤を含有するとき、好ましい方法は、ゴルフボールを造る好ましい工程において、該組成物の部分的又は全体的架橋を生じさせる工程を含む。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有するゴルフボール。 【請求項2】 約10%〜約40%の結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する、請求項1に記載のゴルフボール。 【請求項3】 約15%〜約30%の結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する、請求項2に記載のゴルフボール。 【請求項4】 約50000〜約300000の平均分子量を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する、請求項1に記載のゴルフボール。 【請求項5】 約80000〜約200000の平均分子量を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する、請求項4に記載のゴルフボール。 【請求項6】 約100000〜約150000の平均分子量を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する、請求項5に記載のゴルフボール。 【請求項7】 1,2−結合の割合が約80%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する、請求項1に記載のゴルフボール。 【請求項8】 1,2−結合の割合が約90%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する、請求項7に記載のゴルフボール。 【請求項9】 紫外線安定剤、光安定剤、光重合開始剤、共開始剤、酸化防止剤、着色剤、分散剤、離型剤、加工助剤、無機充填剤、有機充填剤、又はそれらの混合物を更に含有する、請求項1に記載のゴルフボール。 【請求項10】 約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンと、イオノマー重合体、非イオノマー重合体又はそれらの混合物とを含有するゴルフボール組成物であって、[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン]対[イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比が約5:90〜約90:5の範囲にある、上記ゴルフボール組成物。 【請求項11】 [シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン]対[イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比が約10:90〜約80:20の範囲にある、請求項10に記載のゴルフボール組成物。 【請求項12】 [シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン]対[イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比が約10:90〜約70:30の範囲にある、請求項11に記載のゴルフボール組成物。 【請求項13】 イオノマー重合体が、共重合体、三元共重合体、又はそれらの混合物を含有する、請求項10に記載のゴルフボール組成物。 【請求項14】 架橋剤、ヘテロ架橋剤、架橋促進剤、又はそれらの混合物を更に含有する、請求項10に記載のゴルフボール組成物。 【請求項15】 [架橋剤]対[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比が約0.1:100〜約10:100の範囲にある、請求項14に記載のゴルフボール組成物。 【請求項16】 [架橋剤]対[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比が約0.1:100〜約5:100の範囲にある、請求項15に記載のゴルフボール組成物。 【請求項17】 [架橋促進剤及びヘテロ架橋剤]対[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比が約0.1:100〜約20:100の範囲にある、請求項14に記載のゴルフボール組成物。 【請求項18】 [架橋促進剤及びヘテロ架橋剤]対[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比が約0.1:100〜約10:100の範囲にある、請求項17に記載のゴルフボール組成物。 【請求項19】 グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基又はカルボキシル基を有する共重合体を更に含有する、請求項10に記載のゴルフボール組成物。 【請求項20】 [グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基又はカルボキシル基を有する共重合体]対[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比が約1:100〜約20:100の範囲にある、請求項19に記載のゴルフボール組成物。 【請求項21】 [グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基又はカルボキシル基を有する共重合体]対[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比が約1:100〜約15:100の範囲にある、請求項20に記載のゴルフボール組成物。 【請求項22】 ゴルフボールを製造する方法において、約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する組成物を調製する工程と、前記組成物を前記ゴルフボールの中に組み入れる工程と、を含む、上記方法。 【請求項23】 組成物を調製する工程が、該組成物をドライブレンディングする工程を含む、請求項22に記載の方法。 【請求項24】 組成物を調製する工程が、ロール機、密閉式ミキサー又は押出し機を用いて該組成物を混合する工程を含む、請求項22に記載の方法。 【請求項25】 組成物を混合する工程が、該組成物を溶融する工程を含む、請求項24に記載の方法。 【請求項26】 組成物を調製する工程が、(a)約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、並びに架橋剤;架橋促進剤;ヘテロ架橋剤;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する共重合体;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する三元共重合体;又はそれらの混合物を含有する濃縮物を調製する工程と、(b)約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン;イオノマー重合体;非イオノマー重合体;又はそれらの混合物;に前記濃縮物を添加する工程とを含む、請求項22に記載の方法。 【請求項27】 組成物を調製する工程が、(a)イオノマー重合体、並びに架橋剤;架橋促進剤;ヘテロ架橋剤;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する共重合体;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する三元共重合体;又はそれらの混合物を含有する濃縮物を調製する工程と、(b)約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン;イオノマー重合体;非イオノマー重合体;又はそれらの混合物;に前記濃縮物を添加する工程とを含む、請求項22に記載の方法。 【請求項28】 組成物を調製する工程が、(a)非イオノマー重合体、並びに架橋剤;架橋促進剤;ヘテロ架橋剤;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する共重合体;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する三元共重合体;又はそれらの混合物を含有する濃縮物を調製する工程と、(b)約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン;イオノマー重合体;非イオノマー重合体;又はそれらの混合物;に前記濃縮物を添加する工程とを含む、請求項22に記載の方法。 【請求項29】 組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程が、該組成物を射出成形して、該ゴルフボールの球状層を形成する工程を含む、請求項22に記載の方法。 【請求項30】 ゴルフボールが中心部分を有し、且つ、組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程が、該組成物を射出成形して第1の半殻及び第2の半殻を形成する工程であって、第1の半殻及び第2の半殻が、適切に噛み合って球状層を形成するように構成される該工程と;前記中心部分の全面に渡って第1の半殻及び第2の半殻を圧縮成形して球状層を形成する工程と;を含む、請求項22に記載の方法。 【請求項31】 組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程が、架橋剤、ヘテロ架橋剤、架橋促進剤又はそれらの混合物を含有する組成物を該ゴルフボールの中に組み入れる工程を含む、請求項22に記載の方法。 【請求項32】 組成物を調製する工程が、該組成物を混合する間、該組成物中に架橋を生じさせる工程を含む、請求項31に記載の方法。 【請求項33】 組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程が、該組成物を射出成形して該ゴルフボールの一部分を形成することによって、該組成物中に架橋を生じさせる工程を含む、請求項31に記載の方法。 【請求項34】 組成物を射出成形することによって該組成物中に架橋を生じさせる工程が、ゴルフボールの一部分の外面に複数の窪みを形成する工程を含む、請求項33に記載の方法。 【請求項35】 組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程が、該組成物を射出成形して該ゴルフボールの一部分を形成する工程と;前記ゴルフボールの一部分を圧縮成形することによって前記組成物中に架橋を生じさせる工程と;を含む、請求項31に記載の方法。 【請求項36】 組成物を圧縮成形する間に該組成物中に架橋を生じさせる工程が、ゴルフボールの一部分の外面に複数の窪みを形成する工程を含む、請求項35に記載の方法。 【請求項37】 組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程が、架橋を生じさせるのに十分な強度と種類の放射線に該組成物をさらすことによって、該組成物中に架橋を生じさせる工程を含む、請求項33に記載の方法。 【請求項38】 組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程が、該組成物を射出成形して2つの半殻を形成する工程であって、該2つの半殻が、一緒に接合されたとき球状層を形成するように構成される該工程と;2つの半殻を圧縮成形して該2つの半殻を接合し、前記ゴルフボールの球状層を形成することによって、該組成物中に架橋を生じさせる工程と;含む、請求項31に記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は概して、ゴルフボール及びゴルフボール組成物に関し、一層詳しく言えば、ボール性能を最適化するように構成されたゴルフボール及びゴルフボール組成物に関する。本発明はまた、そのようなゴルフボール及びゴルフボール組成物の製法にも関する。 【0002】 【従来の技術】ゴルフボールは通常、コア(core)と、該コアを取り囲む少なくとも1つの層とから成る。ゴルフボールは、ツーピース(two-piece;2つの部分から成る)・ボール、巻線状(wound)ボール、及び多層ボールに分類することができる。ツーピース・ボールは、球状の内部コアと、外部カバー層とから成る。巻線状ボールは、コアと、所望の直径になるように該コアの周りに張力を加えて巻いたゴム糸と、カバー層とから成る。巻線状ボールのカバー層は通常、トランス−ポリイソプレン又は熱硬化性ポリウレタンで造られている。多層ボールは、コアと、カバー層と、1つ以上の中間層とから成る。 【0003】ツーピース・ボールは通常、打ったとき、耐久性に優れており、かなりの距離が得られる。しかし、ボールを打っている間の「感触(feel)」[即ち、ゴルファーに伝わる総合的感動(overall sensation)]が悪く、また、スピン速度(spin rate;回転速度)が遅く、それによって、ボール・コントロールが悪くなる結果となる。バラタ(balata)カバーを有する巻線状ボールは通常、優れたコントロールに役立つ速いスピン速度を有し、また、優れた感触(feel)をも有する。しかし、それら巻線状ボールは、ツーピース・ボールと比べて、耐久性が悪く、短い距離しか得られない。多層ボールは通常、ツーピース・ボールの性能特性と巻線状ボールの性能特性の中間の性能特性を有する;即ち、多層ボールは、耐久性及び距離についてはツーピース・ボールよりも劣るが、巻線状バラタボールよりも優れており、また、多層ボールは、感触及び回転速度については巻線状バラタボールよりも劣るが、ツーピース・ボールよりも優れている。 【0004】ゴルフボールのコア、カバー及びあらゆる中間層に使用される組成物の材料特性は、ボールの性能を決定する重要な要因である。とりわけ、カバー層の組成は、ボールの耐久性、剪断抵抗(shear-cut resistance)、速度、スピン速度、打撃音(hitting sound)(ボールがゴルフクラブ・ヘッドで打たれるとき、ゴルフクラブ・ヘッドによって発せられる音)、及び感触を決定する上で重要である。中間層の組成は、ボールのスピン速度及び速度を決定する上で重要である。カバー及び中間層を造って、最も望ましい性能を可能にするボールを創り出すために、異なる物理特性を有する種々の材料が使用される。とりわけ、市販されている多くのボールのカバー層は、軟質又は硬質のイオノマー樹脂(ionomeric resins)、エラストマー樹脂(elastomeric resins)、又はこれらの混合物を使用して造られる。 【0005】通常使用されるイオノマー樹脂は、オレフィンと不飽和カルボン酸の金属塩とのイオノマー共重合体;又は、イオノマー三元共重合体であってその構造内にコモノマーを含有するもの;である。これらの樹脂は、酸分の違い、中和度の違い、及び中和に使用される金属カチオンの違いに基づき、弾力性、曲げ弾性率、及び硬度が変化する。これら樹脂の例には、「E.I.DuPont de Nemours & Company of Wilmington,デラウェア州(Delaware)」製造の、SURLYN(登録商標)で市販されているもの;「Exxon Mobil Corporation of Irving,テキサス州(Texas)」製造のIOTEK;が包含される。イオノマー共重合体によって優れた耐久性と高い弾性とを有するボールカバーが製造されるので、イオノマー共重合体は、とりわけ、ゴルフボールカバーに使用するのに好都合であった。イオノマー三元共重合体は、ボールの速度及び耐久性を犠牲にして、スピン及び感触が改善されたカバーを製造するのに使用される。ゴルフボールカバーに使用されるエラストマー樹脂には、ポリウレタン、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等、市販の種々の熱可塑性又は熱硬化性エラストマーが包含される。 【0006】上記で説明した諸材料の各々は、ゴルフボール組成物に使用してボールカバー又は中間層を造るとき、優れたゴルフボール特性に通じる特定の特徴を有する。しかし、通常、1つの材料を用いてゴルフボール層の重要な諸特性の全てを最適化することは不可能である。感触、速度、スピン速度、弾性、耐久性等の諸特性は全て重要であるが、特定の材料を使用することによって、これらの諸特性の1つを改善しようとすれば、しばしば、もう1つの特性を劣悪化させることになりかねない。例えば、ゴルフボールカバーは理想的には、ボールの速度、距離又は耐久性を犠牲にすることなく、優れた感触(feel)と可制御性(controllability)とを有すべきである。共重合体イオノマーがゴルフボールに広く使用されているにもかかわらず、共重合体イオノマーのみを、例えばボールカバーに使用しても、満たされない傾向にある。高い曲げ弾性を有する共重合体イオノマー樹脂のみを使用して、優れた耐久性、可制御性及び感触を与えるカバーを造ることは困難である。なぜなら、得られたカバーは、同時に優れた距離と耐久性とを有しているが、感触が悪く、スピン速度が遅く、ボールの可制御性が低下することにもなるからである。また、特定のエラストマー樹脂のみを使用しても、耐久性に乏しい、ボール速度が遅い等、満足できない諸特性を有する組成物が得られる傾向にある。 【0007】従って、ゴルフボールの諸特性を改善するためには、上記で解説した諸材料を混合して改善されたボール層を造ることができる。ゴルフボールのための従来の組成物は、高弾性共重合体イオノマーを、例えば、低弾性共重合体イオノマー、三元共重合体イオノマー又はエラストマーと混合することを伴うものであった。上記で解説した通り、ゴルフボールカバーは理想的には、ボールの距離及び耐久性を犠牲にすることなく、優れた感触と可制御性とを与えるべきである。従って、低い曲げ弾性を有するエラストマー又は三元共重合体イオノマーを有するカバー組成物の中にしばしば、高い曲げ弾性を有する共重合体イオノマーが組み入れられる。得られた中程度の弾性の混合物は、硬度、スピン及び耐久性の優れた組合せを有する。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、諸材料を混合して諸特性を改善しようとしても、上記で解説した諸材料及び混合方法の使用では十分に満足を与えることはできなかった。1つの特性を改善すれば、もう1つの特性が悪くなる傾向があった。例えば、高曲げ弾性を有するイオノマーを低曲げ弾性を有するイオノマーと混合しても、その高曲げ弾性を有するイオノマーのみを使用したときに比べて、弾性及び耐久性が低下する傾向にある。また、これらの混合物から得ることのできる組成物の硬度は、限界がある。なぜなら、これら混合物中の三元共重合体の含有量を増加させることによって硬度が低下するとき、耐久性も弾性も一層悪くなるからである。例えば、優れた感触、高速度、高弾性、及び優れた剪断耐久性(shear durability)を有し、且つ、広範囲の硬度内にあるゴルフボールカバー層に使用するための諸材料を造ることは一般的に困難である。従って、これらの規準を満たす補足的組成物が必要である。 【0009】上記を考慮すると、多くのボール性能特性を、他の諸特性を一層悪くはしないで、最適化するゴルフボール組成物が必要であることは明らかである。これらのボール組成物はまた、現行の諸組成物に比べて、加工処理及び調製方法があまり困難でないか又は全く困難ではないものでなければならない。本発明は、この必要事項及び他の必要事項を満たし、且つ、更に関連する利点を提供する。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合(1,2-bond)の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有するゴルフボールを包含する。このゴルフボールは好ましくは、約10%〜約40%(一層好ましくは約15%〜約30%)の結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する。このゴルフボールは好ましくは、約50000〜約300000(一層好ましくは約80000〜約200000、最も好ましくは約100000〜約150000)の平均分子量を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する。このゴルフボールは好ましくは、1,2−結合の割合が約80%より大きい(一層好ましくは約90%より大きい)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する。このゴルフボールは、紫外線安定剤、光安定剤、光重合開始剤、共開始剤(co-initiators)、酸化防止剤、着色剤、分散剤、離型剤、加工助剤、無機充填剤、有機充填剤、又はそれらの混合物を更に含有しうる。 【0011】本発明はまた、約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンと;イオノマー重合体、非イオノマー重合体又はそれらの混合物と;を含有するゴルフボール組成物であって、[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン]対[イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比が約5:90〜約90:5の範囲にある、上記ゴルフボール組成物を包含する。その[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン]対[イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比は、一層好ましくは約10:90〜約80:20の範囲にあり、最も好ましくは約10:90〜約70:30の範囲にある。それらイオノマー重合体は、共重合体、三元共重合体(terpolymeric polymer)、又はそれらの混合物を含有することができる。 【0012】該ゴルフボール組成物は、架橋剤、ヘテロ架橋剤(co-crosslinking agent)、架橋促進剤、又はそれらの混合物を更に含有することができる。該組成物が架橋剤を含有するとき、[架橋剤]対[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比は、好ましくは約0.1:100〜約10:100(一層好ましくは約0.1:100〜約5:100)の範囲にある。該組成物が架橋促進剤、ヘテロ架橋剤、又はそれらの混合物を含有するとき、[架橋促進剤及びヘテロ架橋剤]対[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比は好ましくは約0.1:100〜約20:100(一層好ましくは約0.1:100〜約10:100)の範囲にある。 【0013】該ゴルフボール組成物は好ましくは、グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基又はカルボキシル基を有する共重合体を更に含有しうる。該組成物がそのような共重合体を含有するとき、[該共重合体]対[シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体及び非イオノマー重合体]の重量比は、好ましくは約1:100〜約20:100(一層好ましくは約1:100〜約15:100)の範囲にある。 【0014】本発明は更に、ゴルフボールを製造する方法において、約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する組成物を調製する工程と;前記組成物を前記ゴルフボールの中に組み入れる工程と;を含む、上記方法を与える。前記組成物を調製する工程は、該組成物をドライブレンディング(dry-blending)する工程;又は、ロール機(mill)、密閉式ミキサー若しくは押出し機を用いて該組成物を混合する工程;を含むことがある。前記組成物を混合する工程は、該組成物を溶融する工程を含むことがある。 【0015】前記ゴルフボールの製法は、(a)約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、並びに架橋剤;架橋促進剤;ヘテロ架橋剤;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する共重合体;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する三元共重合体;又はそれらの混合物を含有する濃縮物を調製する工程と、(b)約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン;イオノマー重合体;非イオノマー重合体;又はそれらの混合物;に前記濃縮物を添加する工程とを含むことがある。 【0016】前記製法はまた、(a)イオノマー重合体、並びに架橋剤;架橋促進剤;ヘテロ架橋剤;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する共重合体;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する三元共重合体;又はそれらの混合物を含有する濃縮物を調製する工程と、(b)約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン;イオノマー重合体;非イオノマー重合体;又はそれらの混合物;に前記濃縮物を添加する工程とを含むことがある。 【0017】前記製法はまた、(a)非イオノマー重合体、並びに架橋剤;架橋促進剤;ヘテロ架橋剤;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する共重合体;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する三元共重合体;又はそれらの混合物を含有する濃縮物を調製する工程と、(b)約5%〜約50%の結晶化度及び約10000〜約350000の平均分子量を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きいシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン;イオノマー重合体;非イオノマー重合体;又はそれらの混合物;に前記濃縮物を添加する工程とを含むことがある。 【0018】前記ゴルフボールの製法において、前記組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程は、該組成物を射出成形して、該ゴルフボールの球状層を形成する工程を含むことがある。更に、該ゴルフボールは中心部分を有し、且つ、該組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程が、該組成物を射出成形して第1の半殻(half shell)及び第2の半殻を形成する工程であって、第1の半殻及び第2の半殻が、適切に噛み合って球状層を形成するように構成される該工程と;前記中心部分の全面に渡って第1の半殻及び第2の半殻を圧縮成形して球状層を形成する工程と;を含むことがある。 【0019】前記組成物をゴルフボールの中に組み入れる工程は、架橋剤、ヘテロ架橋剤、架橋促進剤又はそれらの混合物を含有する組成物を、該ゴルフボールの中に組み入れる工程を含むことがある。本製法の好ましい態様において、前記組成物を調製する工程は、該組成物を混合する間、該組成物中に架橋を生じさせる工程を含む。又、該組成物を射出成形して該ゴルフボールの一部分を形成すること(好ましくは、射出成形を行う間にゴルフボールの一部分の外面に複数の窪み(dimples)を形成すること)によって、該組成物中に架橋を生じさせることもできる。本製法の好ましい更なる態様は、該組成物を射出成形して該ゴルフボールの一部分を形成する工程と、前記ゴルフボールの一部分を圧縮成形することによって前記組成物中に架橋を生じさせる工程(好ましくは、圧縮成形を行う間にゴルフボールの一部分の外面に複数の窪みを形成すること)とを含むか;又は、架橋を生じさせるのに十分な強度と種類の放射線に前記組成物をさらすことによって、該組成物中に架橋を生じさせる工程を含む。本発明の好ましい更なる態様は、前記組成物を射出成形して2つの半殻を形成する工程であって、該2つの半殻が、一緒に接合されたとき球状層を形成するように構成されている該工程と、2つの半殻を圧縮成形して該2つの半殻を接合し、前記ゴルフボールの球状層を形成することによって、該組成物中に架橋を生じさせる工程と含む。本発明の他の特徴及び利点は、好ましい諸態様に関する次の詳細な記述から明らかとなる。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明は、ゴルフボールと;結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有するゴルフボールを造るのに使用される諸組成物と;を与える。本発明はまた、上記に特定される組成物で造られたゴルフボールのコア、カバー、中間層を与える。本発明は更に、これら組成物を含有するボールの製法を与える。本発明の範囲内にある諸組成物は、ゴルフボールの構造に可とう性を与え、ゴルフボールの剪断抵抗に悪影響を及ぼすことなく、打撃感触、スピン速度等のボール性能を改善する。 【0021】多くの異なる種類の1,2−ポリブタジエンであって、それらの異なる立体規則性、結晶化度及び分子量に基づき広範囲に渡って変わる諸物理的特性を有する1,2−ポリブタジエンが存在する。異なる立体規則性を有する1,2−ポリブタジエンの例は、アタクチック1,2−ポリブタジエン、アイソタクチック1,2−ポリブタジエン、及びシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンである。シンジオタクチック重合体は、各々の鏡像異性体である交互基本単位(alternating base units)を包含する。とりわけ、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの構造は、式(I): によって表される。これら1,2−ポリブタジエンはまた、結晶化度によっても区別され、本質的に結晶化度がない無定形1,2−ポリブタジエンから、構造中に種々の結晶化度を有する半結晶性1,2−ポリブタジエンまでの範囲に及ぶ。これら1,2−ポリブタジエンの分子量もまた、広範囲に及ぶことがある。これらの立体規則性、結晶化度及び分子量の種々の組合せによって、化学特性、熱的性質、機械特性及び流動学的性質の他に、非常に異なる加工性を有する多くの異なる種類の1,2−ポリブタジエンが与えられる。 【0022】本発明の範囲内の組成物に使用するのに適した結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、ブタジエンの1,2−付加によって重合される。本発明の範囲内のゴルフボールは、結晶化度を有し、1,2−結合の割合が約70%より大きい(好ましくは約80%より大きい、最も好ましくは約90%より大きい)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する。本発明の範囲内のゴルフボールは、約5%〜約50%(好ましくは約10%〜約40%、最も好ましくは約15%〜約30%)の間の結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する。本発明の範囲内のゴルフボールは、結晶化度と、約10000〜約350000(好ましくは約50000〜約300000、更に好ましくは約80000〜約200000、最も好ましくは約100000〜約150000)の間の平均分子量とを有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する。本発明の範囲内のゴルフボールに使用するのに適した、結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの例は、JSR社(日本、東京)によって商品名「RB810」、「RB820」及び「RB830」で販売されている。これらの商品は、1,2−結合の割合が約90%より大きく、約120000の平均分子量を有し、また、約15%〜30%の間の結晶化度を有する。 【0023】ゴルフボールのコア、中間層又はカバーを造るために使用するのに適した、本発明の好ましい態様は、(a)結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンと;(b)共重合体若しくは三元共重合体を含むイオノマー重合体、又は(c)非イオノマー重合体、又はイオノマー重合体(b)及び非イオノマー重合体(c)の混合物と;を含有するゴルフボール組成物であって、[結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン]対[(b)及び(c)の合計量]の重量比が約5:90〜約90:5の範囲にある上記ゴルフボール組成物を包含する。この重量比は好ましくは、約10:90〜約80:20の範囲にあり、また、この重量比は最も好ましくは、約10:90〜約70:30の範囲にある。これらゴルフボール組成物は好ましくは、(d)架橋剤;(e)ヘテロ架橋剤又は架橋促進剤;(f)グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する共重合体又は三元共重合体;等の1種以上の補足的成分を更に含有する。架橋促進剤が使用されるとき、前記ゴルフボール組成物は該架橋促進剤のための活性剤を更に含有することがある。[架橋剤]対[結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体(b)及び非イオノマー重合体]の重量比は好ましくは、約0.1:100〜約10:100の範囲にある。この重量比は更に好ましくは、約0.1:100〜約5:100の範囲にある。[架橋促進剤及びヘテロ架橋剤]対[結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体(b)及び非イオノマー重合体(c)の合計量]の重量比は好ましくは、約0.1:100〜約20:100の範囲にある。この重量比は好ましくは、約0.1:100〜約10:100の範囲にある。[グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基又はカルボキシル基を有する共重合体又は三元共重合体(f)]対[結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体(b)及び非イオノマー重合体(c)の合計量]の重量比は好ましくは、約1:100〜約20:100の範囲にある。この重量比は好ましくは、約1:100〜約15:100の範囲にある。 【0024】本発明の範囲内にあるゴルフボール組成物及びゴルフボールはまた、ゴルフボール及びゴルフボール組成物に通常使用される1種以上の補足的成分を適切な量で含有することができる。添加剤、安定剤等の、特定の機能を達成するために与えられる作用物質が存在することがある。適切な成分には、紫外線安定剤、光安定剤、酸化防止剤、着色剤、分散剤、離型剤及び加工助剤が包含される。放射線を用いて架橋を行うのに適した組成物は好ましくは、光重合開始剤、共開始剤(co-initiators)、又はこれらの混合物を含有する。これら光重合開始剤及び共開始剤の例には、ジベンゾイルメタン、メチルベンゾイルホルメート、ベンゾピナコール、4−クロロベンゾフェノン、ショウノウキノン、4−クロロプロピオフェノン、2−エチルアントラキノン、エチル p−ジメチルアミノベンゾエート、2−メルカプトベンゾオキサゾール、N−フェニルグリシン、ロフィン ダイマージブロモカルコン(lophine dimerdibromochalcone)、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,1'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−エトキシフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,1'−ビイミダゾール、及び2−(1−ナフチル)−4,5−ジフェニル−1,2'− ビイミダゾールが包含される。 【0025】本発明の範囲内にあるゴルフボール組成物及びゴルフボールはまた、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛等の無機充填剤を含有することがある。例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、タングステン、又はベース重合体樹脂の密度よりも一層大きい密度を有する他のあらゆる金属粉末のような補足的充填剤は、本発明の範囲内にあるゴルフボール組成物及びゴルフボールの混合物に追加の密度を与えるように選択されることがある。連続的又は非連続的な有機繊維又は無機繊維であれば、いかなる物でも前記組成物中に存在することがある。 【0026】上記に解説した通り、本発明のゴルフボール組成物に使用するのに適したイオノマー重合体には、共重合体イオノマー、三元共重合体イオノマー、又はそれらの混合物が包含される。共重合体イオノマーは、α−オレフィンと3〜8個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部分を、金属イオンで中和することによって得られる。適切なα−オレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン及び1−ヘキセンが包含される。適切な不飽和カルボン酸の例には、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸が包含される。共重合体イオノマーには、種々の酸分及び酸中和度を有するイオノマーであって、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム、若しくはこれらの組合せのような一価又は二価のカチオンによって中和された該イオノマーが包含される。 【0027】三元共重合体イオノマーは、α−オレフィンと3〜8個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸と2〜22個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸塩の三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部分を、金属イオンで中和することによって得られる。適切なα−オレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン及び1−ヘキセンが包含される。適切な不飽和カルボン酸の例には、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸が包含される。三元共重合体イオノマーには、種々の酸分及び酸中和度を有するイオノマーであって、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム、若しくはこれらの組合せのような一価又は二価のカチオンによって中和された該イオノマーが包含される。 【0028】本発明のゴルフボール組成物及びゴルフボールに使用するのに適した非イオノマー重合体には、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、熱可塑性ゴム、熱可塑性加硫物、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアリーレート(polyarylate)、ポリアクリレート、ポリフェニルエーテル、変性ポリフェニルエーテル、耐衝撃性ポリスチレン、ジアリルフタレート重合体、メタロセン触媒重合ポリマー(metallocene catalyzed polymer)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)(オレフィン変性SAN、及びアクリロニトリル−スチレン−アクリロニトリルを包含する)、スチレン−無水マレイン酸(S/MA)重合体、スチレン共重合体、スチレン三元共重合体、セルロースポリマー、液晶ポリマー(LCP)、エチレン−プロピレン−ジエン−モノマー(EPDM)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、及びポリシロキサンが包含される。本発明の範囲内で使用するのにとりわけ適した非イオノマー重合体には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニルオキシド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエステルエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、プロピレン−ブタジエン共重合体、エチレンとプロピレンの変性共重合体、スチレン共重合体(スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等の、スチレンブロック共重合体及びスチレンランダム共重合体(randomly distributed styrenic copolymer)を包含する)、動的加硫済み(dynamically vulcanized)ポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエン−共重合体、ポリエーテル又はポリエステルの熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタンが包含される。適切なポリアミドには、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等のジカルボン酸と、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシルジアミン、m−キシリレンジアミン等のジアミンとの重縮合;ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等の環状ラクタムの開環重合;6−アミノカプロン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重縮合;又は環状ラクタムとジカルボン酸とジアミンとの共重合;によって得られる諸樹脂が包含される。とりわけ適切なポリアミドの例には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、共重合ナイロン、ナイロンMXD6、及びナイロン46が包含される。本発明の範囲内で使用するのに適したもう1つの非イオノマー重合体は、芳香族ビニル化合物を含む少なくとも1種の重合体ブロックと、共役ジエン化合物を含む少なくとも1種の重合体ブロックとを含有するブロック共重合体であって、ヒドロキシル基を有する該ブロック共重合体;又は、該ブロック共重合体の水素化生成物;である。 【0029】適切な非イオノマー重合体の幾つかの例には、GE Plastics(マサチューセッツ州ピッツフィールド)によって市場に出され商品名「LEXAN」、「VALOX」、「NORYL」及び「NORYL GTX」で販売されているもの;ATOFINA Chemicals(ペンシルバニア州フィラデルフィア)によって市場に出され商品名「CRISTAMID」及び「RILSAN」で販売されているもの;EMS−CHEMIE(サウスカロライナ州サムター)によって市場に出され商品名「GRILAMID」で販売されているもの;E.I. DuPont de Nemours & Co.(デラウェア州ウィルミントン)によって市場に出され商品名「ZYTEL」で販売されているもの;Eastman Chemical Company(テネシー州キングズポート)によって市場に出され商品名「TENITE」で販売されているもの;Exxon Mobil(テキサス州、ヒューストン)によって市場に出され商品名「EXXPOL」で販売されているもの;BFGoodrich(オハイオ州クリーブランド)によって市場に出され商品名「ESTANE」で販売されているもの;並びに、Kuraray Company(日本、倉敷)によって市場に出され商品名「HG−252」及び「SEPTON」で販売されているもの;が包含される。 【0030】上記に解説した通り、本発明の範囲内のゴルフボール及びゴルフボール組成物は、グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する共重合体又は三元共重合体を含有することがある。これらの共重合体及び三元共重合体は、α−オレフィンを含有する。適切なα−オレフィンの例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、及び1−トリアコンテンが包含される。これらα−オレフィンの1種以上を使用することができる。本発明の範囲内で使用される共重合体又は三元共重合体の中の適切なグリシジル基の例には、脂肪族グリシジルエステル並びに脂肪族グリシジルエーテル[例えば、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、マレイン酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸グリシジル]と;脂環式グリシジルエステル並びに脂環式グリシジルエーテル[例えば、2−シクロヘキセン−1−グリシジルエーテル、シクロヘキセン−4,5−ジグリシジルカルボキシレート、シクロヘキセン−4−グリシジルカルボキシレート、5−ノルボルネン−2−メチル−2−グリシジルカルボキシレート及びエンドシス−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジグリシジルジカルボキシレート]とが包含される。グリシジル基を有するこれら重合体は、例えば不飽和カルボン酸のエステル(例えば、アルキルアクリレート(又はアルキルメタクリレート)、又は不飽和カルボン酸のビニルエステル)のような他の単量体を含有することがある。グリシジル基を有する重合体は、ホモポリマー若しくは共重合体を用いたグラフト重合、又は共重合によって得ることができる。グリシジル基を有する適切な三元重合体の例には、Elf−Atochem Companyによって市場に出されている「LOTADER AX8900」及び「LOTADER AX8920」;Du Pontによって市場に出されている「ELVALOY」;日本石油化学(株)によって市場に出されている「REXPEARL」が包含される。本発明の範囲内で使用するのに適した、エポキシ単量体を含有する共重合体の更なる例には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体であって、ポリブタジエンブロックがエポキシ基を含有する該ブロック共重合体と;スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体であって、ポリイソプレンブロックがエポキシ基を含有する該ブロック共重合体とが包含される。市販されている、これらエポキシ官能基含有共重合体の例には、ダイセル化学工業(株)によって市場に出されている「ESBS A1005」、「ESBS A1010」、「ESBSA1020」、「ESBS AT018」及び「ESBS AT019」が包含される。 【0031】本発明の範囲内で使用するのに適した、無水マレイン酸を含有する重合体又は三元共重合体の例には、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体;無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体;無水マレイン酸変性ポリエチレン;無水マレイン酸変性ポリプロピレン;エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体;及び、無水マレイン酸−インデン−スチレン−クマロン重合体が包含される。市販されている、無水マレイン酸含有共重合体の例には、住友化学工業(株)によって市場に出されている「BONDINE」(例えば、「BONDINE AX8390」(結合したエチレンアクリレートと無水マレイン酸の含有量が32重量%であるエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体)、及び、「BONDINE TX TX8090」(結合したエチレンアクリレートと無水マレイン酸の含有量が15重量%であり、無水マレイン酸の含有量が1〜4重量%であるエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体));Elf−Atochemによって市場に出されている、無水マレイン酸含有の「LOTADER 3200」、「LOTADER 3210」、「LOTADER 6200」、「LOTADER 8200」、「LOTADER 3300」、「LOTADER 3400」、「LOTADER 3410」、「LOTADER 7500」、「LOTADER 5500」、「LOTADER 4720」及び「LOTADER4700」;Exxon Chemical Co.によって市場に出されている「EXXELOR VA1803」(無水マレイン酸の含有量が0.7重量%である、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体);並びに、Shell Chemicalによって市場に出されている「KRATON FG 1901X」(複数のポリスチレンエンドブロック及び複数のポリ(エチレン/ブチレン)ミッドブロックを有する無水マレイン酸官能基含有トリブロック共重合体);が包含される。 【0032】本発明の範囲内で使用するのに適した架橋剤の例には、イオウ化合物及び過酸化物が包含される。適切なイオウ化合物の例には、イオウ供与体(sulfur donors)並びにソープイオウ(soap-sulfurs)[例えば、ジチオジモルホリン(DTDM)、カプロラクタムジスルフィド、N,N'−ジチオ ビス−(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン)、2−モルホリノ−ジチオ−ベンゾチアゾール、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、N−オキシジエチレンジチオカルバミル−N'−オキシジエチレンスルフェンアミド、及びテトラメチルチウラムジスルフィド]が包含される。適切な過酸化物化合物の例には、脂肪族過酸化物又は芳香族酸化物[例えば、ジアセチルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシル)バレレート(valerate)、1,4−ビス−(t−ブチルペルオキシイソプロピル)−ベンゼン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及びジ(2,4−ジクロロ−ベンゾイル)]が包含される。他の適切な架橋剤の例には、m−フェニレンジマレイミド、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、テルル、セレン、ジイソシアネート、トリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、ポリイソシアネート、ポリメチロールフェノール樹脂、ポリアミン、キノンジオキシム、及び4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)カルバメートが包含される。グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する共重合体又は三元共重合体もまた、架橋剤として使用することができる。 【0033】本発明の範囲内で使用するのに適した架橋促進剤又はヘテロ架橋剤には、2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛−2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−ter−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、2−ベンゾチアジル−N−スルフェンモルホライド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジメチルジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ピペラジンペンタメチレンジチオカーバメイト、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸カドミウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス、ジチオカルバミルスルフェンアミド、N−オキシジエチレンジチオカルバミル−N'−オキシジエチレンスルフェンアミド、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、ジフェニルグアニジン、do−o−トリルグアニジン、o−トリルビグアニジン、ブチルアルデヒドアニリン、トリクロトニリデンテトラアミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ポリエチレンポリアミン、シクロヘキシルエチルアミン、ジブチルアミン、N,N'−エチレンチオ尿素、N,N−ジフェニルチオ尿素、N,N'−ジエチルチオ尿素、ジブチルジチオリン酸亜鉛、ジイソプロピルジチオリン酸銅、2−ベンゾチアゾール−N−モルホリルジスルフィド、ジモルホリンジスルフィド、アクリル酸亜鉛、ジアクリル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、及び他の脂肪酸が包含される。 【0034】上記に解説した通り、本発明の範囲内のゴルフボール及びゴルフボール組成物は、架橋促進剤、ヘテロ架橋剤又は架橋剤のための活性化剤を含有することがある。これらの適切な例には、ZnO、MgO、Ca(OH)2、PbO、ジブチルアミノオレアート(oleate)、エタノールアミン、ジエタノールアミン、1,3−ジフェニルグアニジンフタレート、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ジベンジルアミン、アクリル酸亜鉛、ジアクリル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、及び他の脂肪酸が包含される。 【0035】上記に解説した補足的成分(即ち、架橋剤;架橋促進剤;グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基若しくはカルボキシル基を有する共重合体又は三元共重合体)を混合して、結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン;イオノマー重合体;及び非イオノマー重合体;を溶融するか或いは溶融することなく、該結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン;イオノマー重合体;非イオノマー重合体;又はこれらの組合せ;を造ることができる。タンブラー混合機(tumbler mixer)、V−ブレンダー、リボンブレンダー等のドライブレンディング装置を使用して、結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体及び非イオノマー重合体を含有する組成物を混合することができる。上記に解説した補足的成分はまた、溶融若しくは化学反応を生じさせるための熱エネルギーを加えて又は加えないで、ロール機、密閉式ミキサー、押出し機又はこれらの組合せを使用しながら、一緒に混合するか、又は前記組成物に連続的に添加することができる。上記に解説した好ましい態様の実施において、これら補足的成分のいかなる物も、結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体又は非イオノマー重合体と予備混合して、高濃度の補足的成分を含有する濃縮物を造ることができる。次いで、ドライブレンディング又は溶融混合を行いながら、この濃縮物を、結晶化度を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イオノマー重合体、非イオノマー重合体、又はこれらの組合せの混合物の中に導入することができる。これら補足的成分はまた、カラーコンセントレート(濃厚顔料)に添加することができる。次いで、該カラーコンセントレートは前記組成物に添加して、ゴルフボールに白色を与える。溶融混合工程の間、必要に応じて、樹脂組成物、スクリューの毎分回転数、又は加工温度を調節することによって、部分的架橋を生じさせることができる。本発明の範囲内の最終組成物を造るためには、上記の諸混合方法のいかなる組合せも使用することができる。 【0036】架橋剤も架橋促進剤も含有しない、本発明の範囲内の組成物は、ゴルフボールのための成形されたコア、中間層若しくはカバー層を造るために射出成形する前か又は射出成形する間に、調製するのが好ましい。例えば、ボールのコア又は中間層の一面に直接完全層(complete layer)を射出成形することによって、本発明の範囲内の組成物から、1つの層を調製することができる。もう1つの方法として、前記組成物から造られた2つの半殻を射出成形し;次いで、ゴルフボールのコア又は中間層の一面にそれら半殻を圧縮成形することにより、それら半殻を完全層に形成する;ことによって、前記1つの層を調製することができる。 【0037】架橋剤、架橋促進剤又は活性剤を含有する、本発明の範囲内の組成物は、上記に解説したドライブレンディング法又は溶融混合法を用いて調製し、ゴルフボールのコア、中間層又はカバー層を成形するのが好ましい。ゴルフボールの一部分を形成するための、本発明の範囲内の種々の方法によると、ゴルフボールのコア、中間層又はカバー層を成形する種々の段階で、部分的架橋又は全体的架橋を生じさせることによって、前記組成物中に架橋剤が使用されている状態がうまく利用される。ゴルフボールの一部分を形成するために使用される諸プロセスの条件を調整して、架橋の好ましい量と、該プロセスの好ましい工程とを導くことができる。前記組成物中の架橋の量を調整することによって、該組成物の材料特性は、好みに合わせることができる。例えば、1つの層を射出成形する間、バレル温度(barrel temperature)、成形器温度(mold temperature)、硬化時間等の加工条件を調整することによって、架橋を生じさせることができる。また、形成したコア、中間層又はカバー層を、例えば、適切なレベルの放射線にさらして、本発明の範囲内の組成物中に好ましい量の架橋を生じさせることができる。 【0038】1つの好ましい方法において、前記組成物は、混合プロセスの間、部分的に架橋し、次いで、射出成形、圧縮成形又はそれら2つの成形の組合せを使用しながら、成形してコア、中間層又はカバーにすることができる。本発明の範囲内の組成物からコア、中間層又はカバーを造るためのもう1つの好ましい方法には、架橋を生じさせないで組成物を形成し;次いで、部分的架橋若しくは全体的架橋を生じさせる条件下でコア、中間層又はカバーを射出成形する;諸工程が含まれる。もう1つの好ましい方法には、架橋を生じさせないでコア、中間層又はカバーを射出成形し;次いで、圧縮成形するか又は放射線に暴露するような第2の手法を使用しながら、部分的架橋又は全体的架橋を生じさせる;諸工程が含まれる。もう1つの好ましい方法において、中間層又はカバーは、2つの半殻(half-shells)を射出成形し;次いで、圧縮成形する間に架橋を生じさせて完全層を形成する;諸工程によって、調製することができる。 【0039】本発明の方法の好ましい態様がカバー層を形成するために使用されるとき、該好ましい態様は、射出成形を使用してカバー層を調製し;そして、射出成形プロセスの間、カバー層の部分的又は全体的硬化を生じさせながら、カバー層の表面に複数の窪み(dimples)を形成する;諸工程を含む。もう1つの方法として、カバー層は、複数の窪みを形成することなく、射出成形を使用して形成することができる。その後、カバー層は、圧縮成形して、窪みを形成し、また、全体的架橋又は部分的架橋を生じさせることができる。 【0040】 【実施例】本発明の範囲内の組成物を含有するカバーを備えた、3種のゴルフボールの各々について24個を調製した。それらゴルフボールには、各々1.58インチの直径と65のPGA圧縮(PGA compression)とを有するコアを組み込んだ。また、それらボールには、厚さ0.05インチのカバーを組み込んだ。それら組成物は、結晶化度を有するRB810シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンと、SURLYN6120イオノマーとを種々の割合で含有した。それらカバーの特定の組成及び硬度を、表2に示す。 【0041】
【0042】完成したボールの各々について、ドライバーによって、管理された条件下で8アイアン(iron)で打撃したときのPGA圧縮、速度、及びスピン速度を調べる試験を行った。また、それらボールについて、2つの対照ボールと比較した剪断抵抗指標(IS及びIB)を調べる試験を行った。剪断抵抗は1(優秀)から5(劣悪)の等級で評価した。これら剪断抵抗の生の数値は、剪断抵抗指標を計算するのに使用した。ISは、[試験ボールの剪断抵抗]/[コア及びイオノマー・カバー層を有し60のショアD型硬度を有するボールの剪断抵抗]であった。IBは、[試験ボールの剪断抵抗]/[巻線状コア及びバラタカバー層を有し50のショアD型硬度を有するボールの剪断抵抗]であった。ボール1〜3のデータを表2に示す。 【0043】
【0044】 【発明の効果】ボール1〜3のデータは、カバー組成物中の、結晶化度を有する1,2−ポリブタジエンの割合が増大しても、ドライバー速度及び8アイアン速度はほんの僅かしか減少せず、また、広範囲の硬度が与えられることを示す。カバー硬度は、ボールが打撃されたときのボールの感触の主要因子である。カバー中のポリブタジエンの割合が20%から40%に増大すれば、ショアD型硬度は66から58に減少する。硬度が減少することにより、ボール感触は改善されるが、ドライバー速度はほんの僅かしか(僅か1.6マイル/時間)減少しない。同時に、カバー組成物中のポリブタジエンが増大すれば、8アイアンスピン速度は実質的に増大する(231回転/分の増加)。8アイアンスピン速度のこの増大によって、ゴルフボールの可制御性は改善される。従って、本発明の範囲内の組成物を使用すれば、高ドライバー速度、優れたボール感触及び優れた可制御性が与えられる。 【0045】加えて、ボール1〜3の剪断抵抗指標は全て、1未満であり、ボール1〜3が対照ボールの剪断抵抗よりも遥かに優れた剪断抵抗を有することが分かる。この剪断抵抗は、たとえカバーの硬度が減少しても、対照ボールの剪断抵抗より優れたままである。本発明は、好ましい諸態様のみに言及しながら、詳細に開示してきたが、当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、更なるゴルフボールカバーを造ることができることを認識するものと思われる。従って、本発明は特許請求の範囲によって決定されるべきである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500474251 【氏名又は名称】テイラー・メイド・ゴルフ・カンパニー・インコーポレイテッド
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| 【出願日】 |
平成14年10月4日(2002.10.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066692 【弁理士】 【氏名又は名称】浅村 皓 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−159352(P2003−159352A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月3日(2003.6.3) |
| 【出願番号】 |
特願2002−291791(P2002−291791) |
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