トップ :: A 生活必需品 :: A63 スポ−ツ;ゲ−ム;娯楽




【発明の名称】 ゴルフクラブヘッド及びその製造方法
【発明者】 【氏名】植村 賢介

【要約】 【課題】硬質被膜のゴルフクラブヘッドへの密着強度を上げてゴルフクラブヘッドの破損を防止し、ゴルフクラブヘッドの耐久寿命を延ばすことにより、更に、硬質被膜の摩擦係数を下げることにより、飛距離を延ばすことが可能なゴルフクラブヘッド及びその製造方法を提供するものである。

【解決手段】本発明のゴルフクラブヘッド製造方法は、ゴルフクラブヘッド1の少なくとも打撃面A の表面に所定の金属元素を拡散侵入させて金属下地薄膜層2 を形成する工程と、金属下地薄膜層2 に積層するように前記所定の金属のカーバイド薄膜層3 を形成する工程と、カーバイド薄膜層3 に積層するように硬質炭素被膜層4 を形成する工程とを有する。本発明のゴルフクラブヘッド1 は前記製造方法によって製造されたものであり、金属カーバイド薄膜層4 は、金属下地薄膜層2 と硬質炭素被膜層4 との間に形成されて金属下地薄膜層2 と硬質炭素被膜層4 とを結合していることを特徴とする。そして、前記硬質炭素被膜層4 の金属球による摩擦係数が0.1 よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ゴルフクラブヘッドの少なくとも打撃面の表面に所定の金属元素が拡散侵入して形成された金属下地薄膜層と、前記金属下地薄膜層に積層されるように形成された前記所定金属カーバイドの薄膜層と、前記金属カーバイド薄膜層に積層されるように形成された硬質炭素被膜層とを有し、前記金属カーバイド薄膜層は、前記金属下地薄膜層と前記硬質炭素被膜層との間に形成されて前記金属下地薄膜層と前記硬質炭素被膜層とを結合していることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】 前記所定の金属はチタンであり、前記硬質炭素がダイヤモンド・ライク・カーボンであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】 前記ゴルフクラブヘッドが金属製であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】 前記硬質炭素被膜層の金属球による摩擦係数が0.1 よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の金属ゴルフクラブヘッド。
【請求項5】 ゴルフクラブヘッドの少なくとも打撃面の表面に所定の金属元素を拡散侵入させて金属下地薄膜層を形成する工程と、前記金属下地薄膜層に積層するように前記所定の金属のカーバイド薄膜層を形成する工程と、前記カーバイド薄膜層に積層するように硬質炭素被膜層を形成する工程とを有することを特徴とするゴルフクラブヘッド製造方法。
【請求項6】 前記硬質炭素被膜層を形成する工程は、硬質炭素被膜の形成とエッチングを交互に繰り返す工程を含んでいることを特徴とする請求項5に記載のゴルフクラブヘッド製造方法。
【請求項7】 前記金属下地薄膜層を形成する工程は、ゴルフクラブヘッドの少なくとも打撃面の表面をエッチングした後、ゴルフクラブヘッドにバイアス電圧を付加しつつ金属下地薄膜を形成する工程を含み、前記所定金属カーバイドの薄膜層を形成する工程は、ゴルフクラブヘッドにバイアス電圧を付加しないで、前記所定金属カーバイドの薄膜を形成する工程を含んでいることを特徴とする請求項6に記載のゴルフクラブヘッド製造方法。
【請求項8】 前記所定の金属は、チタンであり、前記硬質炭素がダイヤモンド・ライク・カーボンであることを特徴とする請求項5乃至7に記載のいずれかのゴルフクラブヘッド製造方法。
【請求項9】 前記ゴルフクラブヘッドが金属製であることを特徴とする請求項5乃至8に記載のいずれかのゴルフクラブヘッド製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイヤモンド・ライク・カーボン等の硬質被膜がコーティングされたゴルフクラブヘッド(以下、ヘッドと称す)を有するゴルフクラブ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヘッドをより固い材料で作りボールの飛距離を延ばすのは自明の理である。歴史的にも、木質ヘッドから金属質ヘッドに変化してきた。近年、これらの金属質ヘッドにダイヤモンド板、膜、あるいは、ダイヤモンド・ライク・カーボン膜等の硬質皮膜をコーティングする方法が提案されている。例えば、特開平6−205857、特開平10−314346、特開2000−245878、特開2000−334070などに提案が見られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれらの例に見られる硬質被膜を有するヘッドは一時的なファッション、流行を除いて、すぐに市場から消滅する傾向があった。この原因は当該ヘッドを使用すると 打球開始後間もなく硬質膜に亀甲状の亀裂が入り硬質膜が剥離、商品価値を失い、打球の方向性に影響し、飛距離自体が落ちることに原因があった。また、ゴルフクラブの飛距離を延ばすもう一つの要因にヘッドの摩擦係数がある。ヘッドの摩擦係数の低下により打球の回転数を低下させて空気抵抗を減らす。その結果、飛距離を延ばすことができる。
【0004】本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであって、その第1の目的とするところは、硬質被膜のヘッドへの密着強度を上げてヘッドの破損を防止し、ヘッドの耐久寿命を延ばすことにより、飛距離を延ばすことが可能なヘッド及びその製造方法を提供するものである。更に、ヘッドの耐久寿命を延ばすと共に、第2の目的とするところは、硬質被膜の摩擦係数を下げることにより、飛距離を更に延ばすことが可能なヘッド及びその製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ダイヤモンド・ライク・カーボン膜等の硬質炭素被膜をヘッド、特に、金属素材から作られたヘッドにどのように密着させ、そして、硬質炭素被膜の亀裂発生及び硬質炭素被膜のヘッドからの剥離をどのように防止するかを鋭意研究した。更に、上記研究と共に、硬質炭素被膜の摩擦係数を低下させることにも留意し研究した。硬質炭素被膜とヘッドの密着メカニズムを解明していくと、密着強度の増加には、次の三つの大きな要因があることが判明した。
【0006】一つめは金属下地薄膜層による拡散効果と、 2つめは前記所定の金属のカーバイド薄膜層、即ち、金属炭化物薄膜層による硬質炭素被膜とのカーバイド結合効果と、3つめはエッチングと硬質炭素被膜の成膜を交互に行うことによる錨効果、即ち、アンカー効果である。前記一つめの金属下地薄膜層による拡散効果は、所定の金属元素をヘッド表面から内部へ拡散侵入させることにより金属下地薄膜層を形成すると、金属下地薄膜層はヘッド表面から容易に剥離しなくなるという効果である。前記 2つめのカーバイド結合効果は、前記金属下地薄膜層と最外層となる硬質炭素被膜との間に、ヘッド表面上の金属下地薄膜層から徐々に炭素成分である次の硬質炭素被膜に移行するような層、即ち、金属カーバイド薄膜層を形成すると、前記金属下地薄膜層と次の硬質炭素被膜とを結合させるという効果である。前記3つめのアンカー効果は、最外層の硬質炭素被膜層の形成においてアルゴンガス等の不活性ガスイオンによるエッチングと硬質炭素被膜形成とを交互に繰返して積層すると硬質炭素被膜の各層が互いに物理的に繋ぎとめられる効果である。これは、エッチングにより錨を打ち込むような傷を下地の硬質炭素被膜に形成し、その上に更に硬質炭素被膜を成膜すると新たな硬質炭素被膜がこの下地傷の中に入り込むことにより、硬質炭素被膜の各層が互いに物理的に繋ぎとめられるからである。
【0007】そして、本発明においては、これら三つの大きな要因の相乗効果が、密着強度をより著しく増加させる。従って、本発明のヘッドは、ヘッドの少なくとも打撃面の表面に所定の金属元素が拡散侵入して形成された金属下地薄膜層と、前記金属下地薄膜層に積層されるように形成された前記所定の金属のカーバイドの薄膜層と、前記金属カーバイド薄膜層に積層されるように形成された硬質炭素被膜層とを有する。そして、前記金属カーバイド薄膜層は、前記金属下地薄膜層と前記硬質炭素被膜層との間に形成されて前記金属下地薄膜層と前記硬質炭素被膜層とを結合していることを特徴とする。加えて、上記構造のヘッドは硬質炭素被膜層の金属球による摩擦係数が0.1 よりも小さくなる。
【0008】また、前記金属下地薄膜層、前記金属カーバイド薄膜層、前記硬質炭素被膜層が積層される部分は、ヘッドの打撃面さえ含んでいればよく、ヘッド全体の表面であってもよい。この場合はヘッド全体の耐久性が更に向上する。
【0009】同様に、本発明のヘッド製造方法は、ヘッドの少なくとも打撃面の表面に所定の金属元素を拡散侵入させて金属下地薄膜層を形成する工程と、前記金属下地薄膜層に積層するように前記所定の金属のカーバイド薄膜層を形成する工程と、前記金属カーバイド薄膜層に積層するように硬質炭素被膜層を形成する工程とを有する。
【0010】そして、前記硬質炭素被膜層を形成する工程は、硬質炭素被膜の形成とエッチングを交互に繰り返す工程を含むことが好ましい。加えて、前記金属下地薄膜層を形成する工程は、ヘッドの少なくとも打撃面の表面をエッチングした後、ヘッドにバイアス電圧を付加しつつ金属下地薄膜を形成する工程を含むことが好ましい。前記所定の金属のカーバイドの薄膜層を形成する工程は、ヘッドにバイアス電圧を付加しないで、前記所定の金属のカーバイドの薄膜を形成する工程を含むことが好ましい。
【0011】加えて、本発明のヘッド及びその製造方法は、金属製ヘッドに適している。また、前記所定の金属として、チタンが好ましい。前記硬質炭素としてダイヤモンドライクカーボン(以下、DLC と称す)が挙げられる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明のヘッドの一例を示している。図1(a) はヘッドの側面図であり、図1(b) は図1(a) 中のB 円部分の拡大断面図である。図1において、符号A はヘッドの打撃面、1はヘッド、2は金属下地薄膜層、3 は金属カーバイド薄膜層、4 は硬質炭素被膜層を示している。本実施形態の例においては、ヘッド1の打撃面A にのみ硬質被膜層を形成している。本発明のヘッド1に形成される硬質被膜層は積層構造であり、ヘッド表面上に所定の金属の下地薄膜層2が形成され、前記金属下地薄膜層2に積層されるように前記所定の金属のカーバイド薄膜層3が形成され、前記金属カーバイド薄膜層3に積層されるように硬質炭素被膜層4が形成されている。
【0013】前記金属下地薄膜層2は、ヘッド1の表面、ここでは図1(b)に示されているように打撃面A の表面からヘッド1内部へと所定の金属元素を拡散侵入させて打撃面A 全体を覆うように形成されている。前記ヘッド1内部へ金属元素が拡散侵入した部分の存在によって、金属下地薄膜層2はヘッド1に密着し、ヘッド1から容易に剥離することがない(拡散効果)。
【0014】前記金属カーバイド薄膜層3は、前記金属下地薄膜層2と最外層となる硬質炭素被膜層4との間に形成されている。そして、図1(b)に示されているように、その金属カーバイド薄膜層3と前記金属下地薄膜層2との境界部分、及び、金属カーバイド薄膜層3と硬質炭素被膜層4 との境界部分はそれぞれ、所定の金属とそのカーバイドの混合層3a、及び、金属カーバイドと硬質炭素の混合層4aとなっている。このように、金属カーバイド薄膜層3は、ヘッドの打撃面A 上の金属下地薄膜層2から徐々に炭素成分である次の硬質炭素被膜層4へ移行する層となっている。このような層3 は前記金属下地薄膜層2 と次の硬質炭素被膜層4 とを結合するカーバイド結合効果を有する。硬質炭素被膜層4 はこの金属カーバイド薄膜層3を介して金属下地薄膜層2 と密着し、金属下地薄膜層2 から容易に剥離することがない。その結果、硬質炭素被膜層4 はヘッド1表面から容易に剥離しなくなる。
【0015】前記硬質炭素被膜層4は、硬質炭素被膜の一層目4aを成膜後、エッチングをし、引き続き硬質炭素被膜4bを成膜し、それ以後 所定の厚みになるまでエッチング工程と硬質炭素被膜の成膜工程を繰り返すという後述する本発明の製造方法によって形成されている。本発明の製造方法によって形成された硬質炭素被膜層4は、エッチング工程と成膜工程を繰り返す度に、アンカー効果によって硬質炭素被膜層4 全体の剛性が増加する。その結果、打球の繰り返しによる表面亀裂発生が顕著に減少し、長期間の使用に耐える寿命を有する。
【0016】上記のような構造を有するヘッドは硬質炭素被膜層の金属球による摩擦係数が0.1 よりも小さくなる。そのため、打球の回転数が低下して空気抵抗が減少する。その結果、飛距離を延ばすことができる。
【0017】次に本発明のヘッド製造方法を図2を参照しつつ説明する。図2は本発明の製造方法を実現するための装置の一例を示しており、アークスパッタリング装置の概念図である。符号5 は真空成膜室、6 はガス導入口、7 はサンプルホルダー、8 は第 1ターゲット台、9 は第 2ターゲット台、10は第 2ターゲット用スパッタリング電源、11はターンテーブル、12は第 1ターゲット用パルススパッタリング電源、13はガスをイオン化するための電源、14はヘッド1 にバイアス電圧を発生させるためのバイアス電源を示している。前記ターンテーブル11は、スパッタリングが行われている間、点O を中心に矢印の方向に回転する。前記バイアス電源14は、サンプルホルダー7 に接続されている。
【0018】第 1ターゲット台8 上のターゲット材としての固体カーボンが固定されている。第 2ターゲット台9 上のターゲット材としてチタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブからなる群から選ばれた1 種または2 種以上の遷移金属元素が挙げられるが、本実施形態例においてはチタンを使用する。前記真空成膜室5 内にガス導入口6 から導入される不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素なる群から選ばれるガスが挙げられるが、本実施形態例においてはアルゴンを使用する。そして、本実施形態例においてヘッドとして金属製ヘッドを使用し、硬質炭素被膜としてDLC を成膜する。
【0019】上記スパッタリング装置を用いた本発明のヘッド製造方法を説明する。前記ヘッド1 を真空成膜室5 内のサンプルホルダー7 の上に置く。前記真空成膜室5 内にガス導入口6 から、アルゴンガスを導入し、所定の加速度、所定の真空度で前記ヘッド1 の打撃面への照射を所定時間行いエッチングする。次に、ヘッド1 へ所定の電流値で所定のバイアス電圧をかけつつ、第 2ターゲット台9 上のチタンをターゲットとして所定の時間アークスパッタリングして前記ヘッド1 の打撃面上にチタン下地薄膜層の成膜を行う。その後、前記チタンのスパッタリングを継続させたまま、ヘッド1 へのバイアス電圧を停止し、前記所定の電流値で第1ターゲット台8 上の固体カーボンをターゲットとしてアークスパッタリングを開始する。カーボンとチタンを同時に所定の時間スパッタリングして、炭化チタン薄膜層を前記チタン下地薄膜層上へ積層する。
【0020】そして、前記チタンのスパッタリングを停止し、カーボンのパルスアークスパッタリングのみ継続させてDLC を成膜する。所定の周波数で所定の厚みになるまでこのカーボンのスパッタリングを行ってDLC の一層目を成膜する。一層を成膜後、アルゴンガスによるエッチングを所定の時間行う。そして、再び、DLC を成膜する。それ以後 DLC 被膜層が所定の厚みになるまでエッチングと成膜を繰り返す。
【0021】尚、金属薄膜層から金属カーバイド薄膜層へ移行する際、及び、金属カーバイド薄膜層上へ硬質炭素被膜層の一層目を成膜する際に、エッチングを行わない理由は、異なる膜層を積層する際、下側層の表面は必ずしも連続した層状の薄膜ではなく、原子がつぶつぶの状況で不連続な状態となっている。従って厚みに連続性は無く、ナノオーダーの原子粒子が不連続に飛散している状況である。即ち、エッチングを行わなずとも、もともと錨を打ち込むような傷を下地に形成された状況になっている。この状況下で次の被膜を打ち込んで行くと、新たな被膜がこの下地傷の中に入り込み、新たな被膜とその下層の被膜が互いに物理的に繋ぎとめられるからである。そして、金属カーバイド薄膜層形成工程においてバイアスをかけない理由は、炭素の照射と金属の照射の両方を同時に行い、ヘッドの打撃面上の形成面で金属カーバイドを生成するので、バイアスをかけると金属原子の方が集中率が高く所定の金属カーバイドを形成することができなくなるからである。
【0022】
【実施例】チタンで作られた金属ヘッドにアルゴンガスエッチングを30分間照射した。この時の加速電圧は3kV,真空度は4.9x10-2 Pa であった。電流値55A,バイアス電圧500 から 800V で10分間チタンをスパタリングしてチタン下地薄膜層を形成した。その後、同じ電流値でバイアス電圧をかけずに、炭素とチタンを1分間同時にスパタリングしてチタン炭化物薄膜層を形成した。そして、周波数5Hz で厚み100nm になるまでカーボンをスパッタリングしてDLC 膜の一層目を成膜した。その後、2kV で2 分間、アルゴンガスエッチングを行い、再び、DLC の成膜を行った。アルゴンガスエッチングとDLC の成膜を膜厚さが2 μm になるまで交互に繰返し、DLC 被膜層を形成した。成膜後、手作業で金属ヘッド表面を磨いた。
【0023】(摩擦係数測定)前記実施例によって作成したヘッドのDLC 被膜層の表面へ10mm口径の金属球を荷重400gで抑え、移動速度100m/minで摩擦係数を測定した。比較例1 として、DLC 膜を施さない金属ヘッドを使用し 同様に摩擦係数を測定した. 測定結果を次に示す。

(飛距離試験)飛距離試験の結果を次に示す。

【0024】( 打球直後のボール回転数の測定)打球後のゴルフボールの回転数を高速度カメラで測定した。その結果を次に示す。
実施例 打球直後のボール回転数 毎分2600回転 比較例1 打球直後のボール回転数 毎分4000回転これは実施例の金属ヘッドの摩擦係数が比較例1の金属ヘッドの摩擦係数よりも小さく、飛翔中の空気抵抗が減少していると考えられる。
【0025】(寿命耐久試験)比較例2 として市販されているDLC 膜を有する金属ヘッドを使用した。寿命耐久試験の結果を次に示す。
実施例 打球数 1000回以上で 亀裂発生なし、剥離なし 比較例2 打球数 562回で 亀裂発生 打球数 900回を超えると 剥離【0026】(上記試験のまとめ)上記試験から実施例によるヘッドを使用すると、ゴルフボールの飛距離が10%以上増加したのみならず、長期間の使用に耐える寿命を呈した。上記発明によるDLC 被膜層を有する金属ヘッドは長期間の使用に耐え、膜面の亀裂発生、DLC 膜の剥離は観察されなかった。また、摩擦係数が低下したためと硬度が上昇したため、飛距離が増加した。
【0027】
【発明の効果】本発明のヘッドは、ヘッドの少なくとも打撃面の表面に拡散効果を有する金属下地薄膜層と、前記金属下地薄膜層と次の硬質炭素被膜層とを結合する効果を有する前記所定の金属のカーバイド薄膜層と、前記金属カーバイド薄膜層に積層される硬質炭素被膜層とを有しているので、硬質炭素被膜のヘッドへの密着力は従来方法に比べて著しく増加する。その結果、硬質炭素被膜のヘッドからの剥離が防止される。そして、上記構造のヘッドは硬質炭素被膜層の金属球による摩擦係数が0. 1以下となるので、打球の回転数が低下して空気抵抗が減少する。これらの結果として、飛距離を延ばすことができる。
【0028】又、本発明のヘッド製造方法において、硬質炭素被膜層形成工程がエッチングと成膜を繰り返す工程を含んでいると、アンカー効果により硬質炭素被膜層の剛性を向上させる。その結果、打球の繰り返しによる表面亀裂発生が顕著に減少し、長期間の使用に耐える寿命を有する。加えて、金属下地薄膜層形成工程が、ヘッドの少なくとも打撃面の表面をエッチングした後、ヘッドにバイアス電圧を付加しつつ金属下地薄膜を形成する工程を含み、前記所定の金属のカーバイドの薄膜層を形成する工程が、ヘッドにバイアス電圧を付加しないで、前記所定の金属のカーバイドの薄膜を形成する工程を含んでいると、硬質炭素被膜層のヘッドへの密着力が向上する。その結果、硬質炭素被膜のヘッドからの剥離が防止される。
【出願人】 【識別番号】000120755
【氏名又は名称】永田精機株式会社
【出願日】 平成13年9月17日(2001.9.17)
【代理人】 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之 (外1名)
【公開番号】 特開2003−79770(P2003−79770A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−281548(P2001−281548)