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【発明の名称】 ウッド型ゴルフクラブヘッド
【発明者】 【氏名】佐野 喜則
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】打球時のフィーリング、反発性能、強度をバランス良く向上する。

【解決手段】ボールを打球するフェース面Fを有するフェース部材12と、このフェース部材12を固着するヘッド本体13とからなり、ヘッド体積を300cm3 以上としたウッド型ゴルフクラブヘッド1である。フェース部材12は、α+β型チタン合金からなりかつβ変態点未満でかつ該β変態点との差が100℃以下の温度で熱間鍛造された後、室温にて冷却されることにより形成される。このフェース部材12とヘッド本体13との接合部jの少なくとも一部が、フェース面Fの周縁Eからヘッド後方に少なくとも5mm以上の距離を隔てる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ボールを打球するフェース面を有するフェース部材と、このフェース部材を固着するヘッド本体とからなり、かつヘッド体積を300cm3 以上としたウッド型ゴルフクラブヘッドであって、前記フェース部材は、α+β型チタン合金からなりかつβ変態点未満でかつ該β変態点との差が100℃以下の温度で熱間鍛造された後、室温にて冷却されることにより形成され、しかもこのフェース部材と前記ヘッド本体との接合部の少なくとも一部が、フェース面の周縁からヘッド後方に少なくとも5mm以上隔てることを特徴とするウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】前記フェース部材は、フェース面のビッカース硬さが300〜380Hvであることを特徴とする請求項1記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項3】前記接合部は、前記フェース面の周縁からヘッド後方に5mm以上隔てる部分の合計長さが、該接合部の全周長さの40%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、打球フィーリング、反発性能、強度をバランス良く向上しうるウッド型ゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年ではウッド型ゴルフクラブヘッドの大型化が進み、ヘッド体積が300cm3 以上のものが主流となりつつある。ヘッド体積を大型化するためには、高い強度を有する金属材料を用いてヘッド各部を薄肉化することが行われているが、やはり強度の低下が生じやすい。とりわけ、フェース部材とヘッド本体部とを溶接により接合したものでは、該接合部の強度低下が懸念される。
【0003】このような強度不足を補うために、ヘッド各部の肉厚を大とすると、ヘッドの反発性能が低下したり、打球時にゴルファの手にフィードバックされる感触(以下、単に「打球感」という)が硬く感じられる傾向がある。またヘッド体積の大型化は、打球音を低くする傾向があり、ウッド型ゴルフクラブヘッドにおいてはフィーリング的にもさらなる高音化が望まれている。
【0004】本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、フェース部材を、α+β型チタン合金からなりかつβ変態点未満でかつ該β変態点との差が100℃以下の温度で熱間鍛造された後、室温冷却により形成し、しかもこのフェース部材と前記ヘッド本体との接合部の少なくとも一部を、フェース面の周縁からヘッド後方に少なくとも5mm以上隔てることを基本として、打球フィーリング、反発性能、強度をバランス良く向上しうるウッド型ゴルフクラブヘッドを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記載の発明は、ボールを打球するフェース面を有するフェース部材と、このフェース部材を固着するヘッド本体とからなり、かつヘッド体積を300cm3 以上としたウッド型ゴルフクラブヘッドであって、前記フェース部材は、α+β型チタン合金からなりかつβ変態点未満でかつ該β変態点との差が100℃以下の温度で熱間鍛造された後、室温にて冷却されることにより形成され、しかもこのフェース部材と前記ヘッド本体との接合部の少なくとも一部が、フェース面の周縁からヘッド後方に少なくとも5mm以上隔てることを特徴としている。
【0006】また請求項2記載の発明は、前記フェース部材は、フェース面のビッカース硬さが300〜380Hvであることを特徴とする請求項1記載のウッド型ゴルフクラブヘッドである。また請求項3記載の発明は、前記接合部は、前記フェース面の周縁からヘッド後方に5mm以上隔てる部分の合計長さが、該接合部の全周長さの40%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のウッド型ゴルフクラブヘッドである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッドの斜視図、図2はその分解斜視図、図3はヘッドの断面図をそれぞれ例示している。図において、ウッド型ゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1は、ボールを打撃するフェース面Fを表面とするフェース部2と、ヘッド上面をなすクラウン部3と、ヘッド底面をなすソール部4(図3に示す)と、前記クラウン部3とソール部4との間をトウ側からバックフェースを通りヒール側までのびてヘッド側面を形成するサイド部5と、図示しないシャフトが装着されるネック部6とを具えたものが例示される。また本例のヘッド1は、金属材料からなりかつ内部を中空としたものが示される。
【0008】ヘッド1は、ヘッド体積が300cm3 以上に設定される。300cm3 未満であると、構えた際の安心感に欠け、かつヘッドの慣性モーメントの増大を期待できない。好ましくは、ヘッド体積を300〜400cm3 、さらに好ましくは305〜370cm3 とするのが望ましい。なおヘッド体積は、前記ネック部6を含んだ外表面にて囲まれる全体の体積とする。
【0009】図2に示すように、ヘッド1は、フェース面Fを有するフェース部材12と、このフェース部材12を前面に配しかつ本例では溶接により固着されて該ヘッド1を形成するヘッド本体13とからなる。このように、本実施形態のヘッド1は、2つのパーツを接合することにより構成される所謂2ピース構造のものを例示している。2ピース構造は、ヘッド1を製造するに際して溶接箇所を減じ生産性を向上し得るほか、各部の寸法や角度のバラツキなどを抑制し精度の高いヘッドを仕上げるのに役立つ。
【0010】ヘッド本体13は、クラウン部3の主要部をなすクラウン基体部14と、ソール部4の主要部をなすソール基体部15と、前記クラウン基体部14とソール基体部15との間を継ぎかつサイド部5の主要部をなすサイド基体部16と、前記ネック部6とを一体に具えるとともに、前面にフェース部材12を配する開口部Oを具えている。この開口部Oには、例えばフェース部材12と係合して該フェース部材12を仮保持しうる爪片17などを適宜設け、フェース部材12を溶接する際の作業性を向上できる。また前記ネック部6は、円形のシャフト差込孔6aが内部に形成されており、ヘッド1を規定のライ角に傾ける際にはこのシャフト差込孔6aの軸中心線CL(図4に示す)を基準としうる。
【0011】ヘッド本体13は、例えばアルミニウム合金、チタン、チタン合金、ステンレスなどの各種の金属材料により形成しうる。本例ではα+β型チタン合金であるTi−6Al−4Vが採用され、ロストワックス精密鋳造法によって前記各部が一体成形されたものを例示している。このため、ソール基体部15に対してネック部6を精度良く一体成形することができ、ライ角などのバラツキを減じるのに効果がある。ただし、ヘッド本体3は、このような態様に限定されるものではなく、他の種々の材料を用いることや、また2以上のパーツを溶接等により接合して形成されるものなど種々の態様を含む。
【0012】フェース部材12は、フェース面Fを形成する基部7と、フェース面Fの周縁Eの少なくとも一部からヘッド後方にのびる延長部9とを一体に具えて構成される。前記基部7は、本例では前記フェース部2の実質的に全域を形成する板状のものが例示されるが、必ずしもフェース部4の全域を形成する必要はなく主要部を構成するものでも良い。前記延長部9は、本実施形態では、フェース面Fの上の周縁Eaからヘッド後方にのびかつクラウン部3の表面であるクラウン面3aの一部を形成するクラウン部側の延長部9aと、フェース面Fの下の周縁Ebからヘッド後方にのびかつソール部4の表面であるソール面4aの一部を形成するソール部側の延長部9bと、サイド部5の表面であるサイド面5aのトウ側部分を形成するサイド部側の延長部9cとを含み、図3に示す如く本例では断面略コ字状、全体として略お椀状に形成されたものを示す。また基部7と延長部9とは、溶接等により接合されているのではなく後述の熱間鍛造によって一体に構成されている。
【0013】またフェース部材12は、α+β型チタン合金からなりかつβ変態点未満でかつ該β変態点との差が100℃以下の温度で前記形状に熱間鍛造された後、室温にて冷却されることにより形成される。このような成形法を採用することにより、フェース部材12の表面硬さを最適化でき、打球感を向上する他、割れ難くしかつ形状安定性の向上にも役立つ。好ましくは、フェース部材12は、熱間鍛造時の温度などを種々設定すること等により、そのフェース面Fのビッカース硬さを300〜380Hv、より好ましくは310〜360Hv、さらに好ましくは315〜350Hvとするのが望ましい。フェース面Fのビッカース硬さが380Hvを超えると、打球感が硬くなり過ぎてフィーリングが悪くなる傾向があり、逆に300Hv未満になっても打球感が柔らかすぎて同様にフィーリングの悪化を招きやすい他、耐外傷性が低下する。なおビッカース硬さは試験荷重50gfの値である。
【0014】α+β型チタン合金を採用したのは、この材料が本発明の目的に最も合致するためである。即ち、α型チタン、例えば、純チタンを採用した場合には、引張強度が小さく打球時の衝撃力に耐えるフェース部材12を形成するのが困難となる。またβ型チタンを採用した場合、延長部9を一体に有する複雑な形状のフェース部材12を鍛造成形する場合、比較的高い温度で加工しなければならない場合があり、この場合、結晶粒の粗大化、針状化が生じて強度やじん性が低下しやすくなるという不具合がある。α+β型チタン合金としては、例えばTi−6Al−4V(6−4チタン)、Ti−4.5Al−3V−2Fe−2Mo(SP700)、Ti−3Al−2.5V等が挙げられ、とりわけ前二者が好ましい。
【0015】また、前記熱間鍛造の温度は、鍛造時の材料自体の温度を意味する。この温度をβ変態点未満でかつ該β変態点との差が100℃以下の温度に限定する。β変態点以上の温度で加工した場合、結晶組織は全てβ相に変態する。その後、冷却されると、β結晶内に針状のα結晶が析出する。β結晶は初析α結晶の50倍以上の大きさであるため、亀裂が伝播し易くなる他、疲労特性が悪化したり、材料の硬さが過度に上昇し、脆くかつ割れやすくなるなどフェース部材12の強度不足を招き易い。また逆にβ変態点との差が100℃よりも大の温度で加工した場合、加工温度が低くなるため、材料の塑性加工性が低下し金型等の疲労が大きく生産性が悪化しやすい。特に好ましくは、熱間鍛造の温度を、β変態点未満でかつ該β変態点との差が90℃以下、さらに好ましくは80℃以下に限定するのが望ましい。
【0016】また熱間鍛造は、例えば板材、丸棒などの塊状のα+β型チタン合金材料を前記温度に加熱しかつハンマーやプレス型で打撃ないし加圧してフェース部材12を得る。このように鍛造により加工されたフェース部材12は、鋳造に比して緻密な結晶構造が得られ、材料の強度を向上させうる点で好ましく、かつ金属材料に大きな塑性変形を伴わせることができるため、かかる大きな塑性変形を利用して略お椀状のフェース部材を容易に成形することが可能になる。特にチタン合金を前記温度に加熱して加工する熱間鍛造の場合には、材料の延性がより向上しさらに加工性を高めるのに役立つ。また鍛造における成形法は、例えば自由鍛、型鍛造(開放型、密閉型、或いは半密閉型を含む)、高速鍛造又は等温鍛造など各種のものを含み、素材に圧縮塑性変形を生じさせるものであれば適宜のものが採用できる。好ましくは、鍛造によって得られた素形材の表面に酸化膜(スケール)が生じにくい密閉型型鍛造法を用いるのが望ましい。
【0017】またフェース部材12は、上記熱間鍛造により成形された後、室温にて冷却する必要がある。室温とは、0〜100℃の温度範囲、より好ましくは10〜50℃を意味し、熱間鍛造後、フェース部材12を処理炉から取り出し、前記温度雰囲気中で空冷(自然放置)する。なお熱間鍛造は、高温の処理炉内で行われ、従来では炉内に放置し徐冷していたが、この方法では材料が高温で保持されている時間が大となるため、時効効果が大きく材料硬さが大となって打球フィーリングを悪化させやすいなど好ましくない。また、水冷などの急冷も考えられるが、この方法では熱間鍛造時の残留応力が大きくなり、溶接時に歪が生じやすく形状が安定しないという不具合がある。
【0018】また本発明では、前記延長部9のヘッド後方への長さを規制することにより、フェース部材12とヘッド本体13との接合部jの少なくとも一部が、フェース面Fの周縁Eからヘッド後方に少なくとも5mm以上の距離Dを隔てることを特徴事項の一つとしている。これにより、前記接合部jをフェース面Fの周縁Eからヘッド後方により遠ざけることができ、ヘッド1の強度、反発性能の低下を抑制する。
【0019】即ち、発明者らの種々の解析の結果、打球時にボールの反発に影響を与えるヘッドの振動は、主にフェース面Fを主体とする振動であり、効果的な反発をボールに与えるためには、フェース面Fの周縁E付近の剛性を低く設定するのが良いことが判った。一方、前記フェース部材12とヘッド本体13との溶接による接合部jは、ヘッド内部に残存する溶接ビード(図示省略)によって厚さが増し、その部分の剛性を高めヘッドの反発性能を低下させる。また、前記接合部jは、溶接時の熱の影響を受けることにより、結晶粒の粗大化や針状化が生じ硬度が大となる。このため、このような接合部jがフェース面Fの周縁Eに存在していると反発性能、強度が低下する。とりわけ、ヘッド体積が300cm3 以上のヘッドでは打球音が悪くなることも判明している。
【0020】本実施形態では、上記の観点より、前記距離Dを5mm以上、さらに好ましくは8mm以上、特に好ましくは15mm以上とするのが望ましい。前記距離Dが5mm未満では、反発性能、強度、フィーリングをバランス良く高めるのが困難となる。また接合部jをヘッド後方へと離隔しうることにより、フェース面Fに生じた打球時の衝撃力は延長部9を伝達する際に減衰されて接合部jに作用するため、該接合部jを起点とする損傷の防止にも役立ち、さらに強度を高めるのに役立つ。
【0021】他方、前記距離Dが大きすぎると、熱間鍛造によってフェース部材12を成形するのが困難となり、量産性を低下させるおそれがある。かかる観点より、距離Dは、前記いずれかの下限値との組み合わせにおいて50mm以下、特に好ましくは30mm以下とするのが望ましい。
【0022】前記距離Dは、図3〜図5に示すように、ネック部6の軸中心線CLを垂直面VP1内に配しかつ規定のライ角βで傾けるとともに、フェース面Fを該ヘッド1のフェース角に傾けて水平面HPに載置したヘッド測定状態において、前記垂直面VP1と直角方向かつ水平に測定する。本例ではクラウン部側の延長部9a、ソール部側の延長部9bは、図5に示すように、フェース面の中心点Fc近傍で前記距離Dを最大とし、トウ及びヒール側の端部で徐々に距離Dが減少するものを例示する。そして、各延長部9a、9bは、ヒール側の端部分を除いた実質的な全域で5mm以上に設定されている。
【0023】前記「フェース面の中心点Fc」は、図4に示すように、ヘッド測定状態において、フェース面の高さhの中間点を通る水平面P1と、フェース面の幅wの中間点を通る垂直面P2とが交わる交線がフェース面Fと交差する点として定める。また前記フェース部の周縁Eは、稜線によって定めうる場合は当該稜線とするが、それが不明のときには、図6(A)に示す如く、スイートスポット点SSを通るフェース面Fに対する接線(図6(A)では、AないしDの4本のみを例示)Rを引くとともに、同図(B)、(C)に示すように、この各接線Rに対して45゜の角度でヘッド後方へと広がる傾斜線Uを引き、この傾斜線Uとヘッド表面との接点を連続して求めて特定しうる。なお符号Gはヘッド重心、同Kは該ヘッド重心Gからフェース面Fに引いた法線であり、この法線Kとフェース面Fとの交点をスイートスポット点SSとする。
【0024】また前記距離Dは、前記接合部jの全周において5mm以上をなすことが望ましいが、本例のようにヘッド本体13側にネック部6を設けたときにはそれが困難となる。このような場合、好ましくは前記距離Dが5mm以上をなす部分の合計長さ(接合部jに沿って測定する)が、接合部jの全周長さの40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上の部分を占めることが望ましい。これにより、前記強度、反発性能、フィーリングをさらに確実に高めることができる。
【0025】また本例においては、図3に示すように、延長部9の厚さtbを前記基部7の厚さよりも小に形成したものを示す。これにより、ボールと直接衝突する基部7の強度を確保しつつ延長部9について不必要に剛性を高めることが防止できる。従って、ヘッドの強度を損ねることなく反発性能をさらに効率良く向上しうる。なお前記厚さの比(ta/tb)は、1.0〜4.0程度とするのが望ましい。また基部9の厚さは例えば1.5〜3.0mm程度とするのが良い。
【0026】以上本発明の実施形態について説明したが、延長部9は、上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば基部7のヒール側にも設けることもできる。またクラウン部側の延長部9aのみとすること、またソール部側の延長部9bのみとすることもできる。またクラウン部側の延長部9aとソール部側の延長部9bとで長さを違えることもできる。
【0027】
【実施例】本発明の効果を確認するために表1の仕様によりゴルフクラブヘッドを試作し、各種のテストを行った。フェース部材には、前記SP700(日本鋼管(株)社製のα+β型チタン合金でβ変態点890℃)、及びTi−6Al−4V(β変態点990℃)を用いた。SP700は840℃で、Ti−6Al−4Vについては930℃でそれぞれ熱間鍛造を行いフェース部材を成形した。またヘッド本体はTi−6Al−4に統一し、これにTIG溶接にてフェース部材を溶接した。テスト方法は、次の通りである。
【0028】<ビッカース硬さテスト>JIS Z2244「ビッカース硬さ試験方法」に準じてフェース面の表面硬さを測定した。本実施例では、島津製作所(株)製の島津微小硬度計「HMV−2000」を用い荷重50gf、保持時間10秒で測定した値である。また測定位置は、フェース面の中心点を中心とする半径5mmの円内で5カ所測定しその平均を用いた。
【0029】<打球フィーリング(打球感・打球音)テスト>各供試ヘッドにFRP製の同一のシャフトを装着しウッド型ゴルフクラブを試作するとともに、該クラブをトップレベルのアマチュア10人に試打してもらい、その打球感、打球音の総合的なフィーリングを確認した。評価は次の通りとした。
7人のゴルファが「良い」と判断したもの:「○」
4〜6人のゴルファが「良い」と判断したもの:「△」
上記以外のもの:「×」
【0030】<強度テスト>各供試ヘッドにFRP製の同一のシャフトを装着しウッド型ゴルフクラブを試作するとともに、該クラブをスイングロボットに取り付け、ヘッドスピードが50m/sとなるように調節して2ピースゴルフボールを各クラブ毎に5000球づつ打撃し、以下の要領で評価した。
3000発未満でフェース部に割れが生じたもの:「×」
3000発以上5000発未満でフェース部に割れが生じたもの:「△」
5000発終了後フェース部に割れが生じていないもの:「○」
【0031】<反発性能テスト>ヘッドの反発特性は、U.S.G.A.の Procedure for Measureing the Velocity Ratio of a Club Head for Conformance to Rule 4-1e, Revision 2 (February 8, 1999) に基づき行った。具体的にはゴルフボールをボール発射装置を用いて発射し、台座上に固着することなく載置されたヘッドのフェース部のスイートスポットに衝突させ、ゴルフボールの衝突直前の入射速度Viと跳ね返り速度Voとを測定する。そして、ゴルフボールの入射速度をVi、跳ね返り速度をVo、ヘッド質量をM、ゴルフボールの平均質量をmとした場合に、次式により反発係数eを算定した。
(Vo/Vi)=(eM−m)/(M+m)
なおゴルフボールの発射口からフェース部までの距離は55インチとし、ボールがヘッドのスイートスポットの位置から5mm以上離れない位置でかつフェース面に対して直角に衝突させた。またゴルフボールはタイトリスト社製のピナクルゴールドを使用し、ボール初速は160フィート±0.5フィート(48.768±0.1524m/s)に設定した。テストの結果などを表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】テストの結果、実施例のものは比較例に比べると、強度、反発性能、フィーリングとも良好な結果を示していることが確認できた。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明では、ヘッド体積を300cm3 以上と大型とし、しかもフェース部材とヘッド本体との接合部の少なくとも一部が、フェース面の周縁からヘッド後方に少なくとも5mm以上の距離を隔てることによって、該接合部をフェース面の周縁からヘッド後方へと遠ざけることができる。これにより、ヘッドの反発性能の悪化が抑制される。またフェース部材をα+β型チタン合金からなりかつβ変態点未満でかつ該β変態点との差が100℃以下の温度で熱間鍛造された後、室温にて冷却されることにより、前記構成との相乗作用により打球フィーリング、強度、反発性能をバランス良く向上しうる。
【0035】また請求項2記載の発明のように、フェース面のビッカース硬さが300〜360Hvとしたときには、さらに打球感を向上しうる。さらに請求項3記載の発明のように、接合部において、フェース面の周縁からの距離が5mm以上の部分を該接合部の全周長さの40%以上とすることにより前記効果をより確実に向上しうる。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
【出願日】 平成13年9月10日(2001.9.10)
【代理人】 【識別番号】100082968
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 正 (外1名)
【公開番号】 特開2003−79769(P2003−79769A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−273918(P2001−273918)