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【発明の名称】 発煙ボール
【発明者】 【氏名】細谷 文夫
【住所又は居所】東京都あきる野市菅生1847 細谷火工株式会社内

【氏名】桑原 卓雄
【住所又は居所】東京都あきる野市菅生1847 細谷火工株式会社内

【氏名】小倉 剛
【住所又は居所】東京都あきる野市菅生1847 細谷火工株式会社内

【氏名】芝本 秀文
【住所又は居所】東京都あきる野市菅生1847 細谷火工株式会社内

【要約】 【課題】従来の四酸化三鉛/珪素に代わる、毒性がなく、発火時にガスを生じる事がなく、発熱量が従来の四酸化三鉛/珪素と同程度の発火剤を含む発煙ボールを提供することを目的とする。

【解決手段】ボールの形状をなす外殻と、前記外殻により形成される内部空間に配置され、前記外郭に加えられた衝撃により発火する発火剤および発火剤の発火により発煙する発煙剤と、前記外殻に設けられた噴煙開口部とを有し、前記発火剤が金属とポリテトラフルオロエチレンとを含む金属/PTFE系パイロラントとバインダー成分とを有することを特徴とする発煙ボール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボールの形状をなす外殻と、前記外殻により形成される内部空間に配置され、前記外郭に加えられた衝撃により発火する発火剤および発火剤の発火により発煙する発煙剤と、前記外殻に設けられた噴煙開口部とを有し、前記発火剤が金属とポリテトラフルオロエチレンとを含む金属/PTFE系パイロラントとバインダー成分とを有することを特徴とする発煙ボール。
【請求項2】 前記金属が、Mg、Mg/Al合金、Ti、Zr、B、及びLiよりなる群から選択することができるいずれかの金属であることを特徴とする請求項1に記載の発煙ボール。
【請求項3】 前記発火剤における金属/PTFE系パイロラントにおける金属とバインダー成分との重量比が90:10〜50:50であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発煙ボール。
【請求項4】 請求項前記バインダー成分がポリフッ化ビニリデン及び/又はポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の発煙ボール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は発煙ボールに関し、更に詳しくは、例えばゴルフのセレモニーにおいて使用する、外部から打撃を加えることにより発煙する発煙ボールに関する。
【0002】
【従来の技術】発煙ゴルフボールは、ゴルフコンペのセレモニー等における始球式に用いられている。従来の発煙ゴルフボールは、噴煙開口部が設けられたゴルフボール形状の外殻と、外殻により形成される内部空間に配置された発火剤及び発煙剤とを有してなる。発火剤は内部空間内に充填された細石に付着されている。ゴルフクラブでこの発煙ゴルフボールを打撃すると、その衝撃により発煙ボール内の細石同士が衝突することで発火剤が発火し、この発火に伴い、周辺の発煙剤が発煙し、噴煙開口部から噴煙が噴出する。その結果、発煙ボールは煙を噴出しながら飛んでいく。
【0003】従来の発煙ゴルフボールにおいて発火剤として四酸化三鉛/珪素を使用していた。しかし四酸化三鉛は毒性を有しており、セレモニーにおいて打ち放たれた発煙ボールがそのまま、見失われ回収されないままであると、ゴルフ場内に放置された発煙ゴルフボールに含まれる四酸化三鉛が溶出し、環境に悪影響を与える恐れがある。したがって、今後、四酸化三鉛は使用されなくなる可能性が高い。そこで四酸化三鉛/珪素に代わる発火剤の開発が望まれる。
【0004】四酸化三鉛と珪素とは次の1式に示す発熱反応を起こすことから、発火時にガスを発生せずに周辺の発煙剤を加熱できるという特徴を有する。
【0005】
【数1】
Pb+1/2Si→3PbO+1/2SiO (1)式したがって、発火時にガスを発生することなく、四酸化三鉛/珪素と同等の発熱を生じる発火剤を使用した発煙ボールが望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は前記問題を解決することを目的とする。すなわち本発明は、従来の四酸化三鉛/珪素に代わって、毒性がなく、発火時にガスを生じる事がなく、発熱量が従来の四酸化三鉛/珪素と同程度の発火剤を含む発煙ボールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための本発明の手段は、ボールの形状をなす外殻と、前記外殻により形成される内部空間に配置され、前記外郭に加えられた衝撃により発火する発火剤および発火剤の発火により発煙する発煙剤と、前記外殻に設けられた噴煙開口部とを有し、前記発火剤が金属とポリテトラフルオロエチレンとバインダー成分とを含む金属/PTFE系パイロラントであることを特徴とする発煙ボールであり、前記金属/PTFE系パイロラントにおける金属は、Mg、Mg/Al合金、Ti、Zr、B、及びLiよりなる群から選択することができる少なくとも一種の金属である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の発煙ボールの実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の発煙ボールの一実施例を示す断面概略図である。発煙ボール1は外殻10と発火剤13と発煙剤14と噴煙開口部11とを有してなる。前記外殻10はボール形状をなす部材である。この実施例におけるボールはグランドゴルフボールである。外殻10は半球体10a及び10bとで形成される。半球体10a及び10bはそれぞれグランドゴルフボールを半分に切断してなる形状を有し、球面状の凹陥部を有する。それぞれの切断面には嵌合可能な接合部10cが形成されている。半球体10a及び10bの外周面には、噴煙開口部11がそれぞれ2つずつ形成されている。噴煙開口部11は半球体10a及び10bにおける外周面と内周面とを貫通している。噴煙開口部11の直径は通常3〜7mmであり、好ましくは4〜5mmである。噴煙開口部の数には制限がなく、必要に応じて適宜設けられる。噴煙開口部は膜で閉塞してもよいし、しなくてもよい。閉塞膜の材質には燃焼ガス圧で容易に破壊される材質である限り特に制限がなく、通常アルミ箔、ガン皮紙等が用いられる。外殻10によって形成される内部空間12は球状であり、内部空間12には、発火剤袋13a内に充填された発火剤13と、発煙剤袋14a内に充填され、発火剤袋13aの周囲を球状に覆ってなる発煙剤14とが収容されている。
【0009】発火剤13は、発火薬と細石15又は砂とバインダー成分とを有する。発火薬としては、金属とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを含む金属/PTFE系パイロラントを例示することができる。金属/PTFE系パイロラントは無毒であると共に従来の四酸化三鉛/珪素と同程度の発熱を生じると共に発熱時にガスを生じない点で好ましい。また、金属/PTFE系パイロラントは温度を700℃以上にすることで容易に点火し、落槌感度は従来の四酸化三鉛/珪素と同程度である。金属/PTFE系パイロラントにおける金属とPTFEとの配合比は特に制限はないが、金属とPTFEとの全体量に対してPTFEが多くとも47重量%の範囲であると、パイロラントが固形状となり、四酸化三鉛/珪素と同等の性質を発揮するので望ましい。金属/PTFE系パイロラントに用いる金属としては、例えばMg、Mg/Al合金、Ti、Zr、B、及びLiを挙げることができる。中でもTiが好ましい。
【0010】前記バインダー成分としては、例えばバイトン(ポリフッ化ビニリデン)を使用することができる。ポリフッ化ビニリデンを混合することで発火薬は泥状となり、細石15表面に付着させやすくなる。発火剤における金属/PTFE系パイロラントとバインダー成分との配合比は特に制限はないが、細石表面への発火薬の付着性を考慮すると、金属/PTFE系パイロラントとバインダー成分との全体量に対してバインダー成分が3〜45重量%の範囲であることが望ましい。さらに発火剤13には、必要に応じて他の成分を添加することもできる。たとえば炭素粉等を添加することができる。
【0011】発火剤13の調製は、金属50〜90重量%、PTFE47重量%以下、ポリフッ化ビニリデン等のバインダー成分3〜45重量%とを、全体が100重量%になるように適宜に配合して竹べら等で静かに混合した後、この混合物を前記混合物に対して20〜80重量%の細石又は砂に加えて静かに混合し、細石等の表面に均一に付着させこれを乾燥させることにより行う。
【0012】発火剤13は発火剤袋13a内に充填される。発火剤13の形状は球状であるが、形状に特に制限はなく、目的に応じて大きさ、形状等を選択することができる。発火剤袋13aは合成樹脂製、布製、紙製等のものが適宜使用できる。
【0013】発煙剤14としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができる。調製の容易さ、コスト等の面で、塩素酸カリウムとミジン粉とデンプンと色剤との組み合わせが有利である。
【0014】前記色剤としては、赤色煙の場合には、ピグメントレッド・1、ベージュバイオレット・10、パラレッド、オイルレッド、ローダミン等を挙げることができる。これらの中でも、ピグメントレッド・1とベージュバイオレット・10との組み合わせが好ましい。青色煙を発する色剤としては、ピグメントブルー・15、バットブルー、フタロシアニンブルー、インジゴ等を挙げることができる。これらの中でも、ピグメントブルー・15とバットブルーとの組み合わせが好ましい。黄色煙を発する色剤としては、オイルイエロー、イエローMSC等を挙げることができる。緑色煙の場合には、グリーン533等を挙げることができる。黒色煙の場合には、アントラセン、過塩素酸カリウム等を挙げることができる。上記色剤は目的に応じて2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0015】発煙剤14は、塩素酸カリウム23〜33重量%と、ミジン粉3〜7重量%と、デンプン9〜15重量%と、色剤45〜55重量%と、少量の水とを加えて練り合わせて調製される。この調製物は、適宜に選択されたふるいに通されて造粒される。例えば、約8メッシュのふるいに通された後、20メッシュのふるいに通され、ふるいの上に残った粒状物が前記発煙剤14に用いられる。
【0016】発煙剤14の中に、発火剤13を装填した発火剤袋13aを埋め込み、発火剤袋13aを内蔵した状態の発煙剤14が発煙剤袋14a内に充填される。この発煙剤袋14aは、発火剤13aと同様の材質を用いて適宜に形成される。
【0017】例えば図1においては、前記発煙剤14は、前記球状の発火剤13が中心に位置するように前記球状の発火剤13の周りに充填されて、全体として球状に形成される。しかし発煙剤14の全体形状に特に制限はなく、目的に応じて大きさ、形状等を選択することができる。
【0018】発火剤13と発煙剤14の使用量は目的に応じて適宜に決定することができる。発火剤13と発煙剤14との重量比としては、例えば7:3から7:5であり、好ましくは、7:4である。
【0019】発煙ボール1は以下のように組み立てられる。前記球状の発煙剤14を半球体10bにおける球状凹陥部に収納し、接着剤で軽く接着する。続いて半球体10aを発煙剤14に被せると共に、半球体の互いの接合面10c同士を接合させ、接着剤で固着する。尚、外殻10は、2つの部材により形成する必要は必ずしもなく、上記のように発火剤13及び発煙剤14を固定できれば、1つの部材で形成してもよいし、あるいは3つ以上の部材で形成してもよい。
【0020】発煙ボール1は、例えば、以下のように使用することができる。発煙ボール1を地面又はティアップしてティ上に置く。このときの発煙ボール1の向きは問わない。ゴルフクラブ、主に1番ウッドのクラブで発煙ボール1を打撃し、飛ばす。クラブによる打撃は、発煙ボール1内の細石15同士を衝突させ、細石15表面に付着した金属/PTFE系パイロラントを含む発火剤13が発火する。この発火により発火剤13に近接する発煙剤14が発煙する。外殻10により形成される内部空間12内に煙が充満し、この煙の圧力で噴煙開口部11を閉塞する膜が破られ、噴煙開口部11から煙が噴出する。その結果、発煙ボール1は煙を噴出しながら飛ぶ。
【0021】
【実施例】(実施例)
発火剤の調整金属Ti粉末50重量%、アセトン40重量%、カーボン5重量%、及びPTFE5重量%を混合して発火剤を調製した。調製した発火剤を用いて、落槌感度試験を行った。落槌感度は坂下製作所製の落槌感度試験機を用いて測定した。同様に従来の発火剤である四酸化三鉛/珪素についても比較例として落槌感度を用いた。結果を表1に示す。Ti/PTFEパイロラントの落鎚感度は四酸化三鉛/珪素と同等であることがわかった。
【0022】
【表1】

【0023】
【発明の効果】本発明によると、毒性がなく、発火時にガスを生じる事がなく、発熱量が従来の四酸化三鉛/珪素と同程度の発火剤を含む発煙ボールを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000173429
【氏名又は名称】細谷火工株式会社
【住所又は居所】東京都あきる野市菅生1847
【出願日】 平成13年8月23日(2001.8.23)
【代理人】 【識別番号】100087594
【弁理士】
【氏名又は名称】福村 直樹
【公開番号】 特開2003−62124(P2003−62124A)
【公開日】 平成15年3月4日(2003.3.4)
【出願番号】 特願2001−252822(P2001−252822)