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【発明の名称】 毒性化合物処理装置及び処理方法
【発明者】 【氏名】窪田 康夫
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社内

【氏名】竹内 善幸
【住所又は居所】広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内

【氏名】多谷 淳
【住所又は居所】広島県広島市西区観音新町一丁目20番24号 菱明技研株式会社内

【氏名】荒木 一郎
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社内

【氏名】大石 剛司
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社内

【氏名】長野 肇
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社内

【要約】 【課題】毒性化合物及び毒性化合物の分解によって生じる有毒物質を安全に処理する。

【解決手段】化学兵器1を冷凍破砕して得られた毒性化合物及び爆薬を、ロータリーキルン21及びアフターバーナ22で燃焼させて分解し、燃焼により発生した有毒ガスをガス洗浄塔31に導入して水酸化ナトリウム水溶液で中和し、ガス洗浄塔31から排出される排ガスを脱硝装置43やダイオキシン除去装置45で浄化して排出する一方、ガス洗浄塔31から排出される排液をドラム乾燥機53に導入することにより有毒物質を固化して分離する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 毒性化合物を燃焼する燃焼部と、前記燃焼部から排出される有毒ガスをアルカリ性溶液で洗浄する洗浄部と、前記洗浄部から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化部と、前記洗浄部から排出される排液より有毒物質を分離する分離部とを備えることを特徴とする毒性化合物処理装置。
【請求項2】 前記毒性化合物は、外殻内に当該毒性化合物及び爆薬を収容した化学兵器を破砕あるいは切断して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の毒性化合物処理装置。
【請求項3】 前記燃焼部には、前記毒性化合物と共に前記外殻及び爆薬を投入することを特徴とする請求項2に記載の毒性化合物処理装置。
【請求項4】 前記排ガス浄化部は、前記洗浄部から排出される排ガスより窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去部と、前記窒素酸化物除去部から排出される排ガスよりダイオキシンを除去するダイオキシン除去部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の毒性化合物処理装置。
【請求項5】 前記分離部は、前記洗浄部から排出される排液を加熱する加熱部と、加熱により固化した固形物を回収する固形物回収部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の毒性化合物処理装置。
【請求項6】 前記分離部は、前記洗浄部から排出される排液中の前記有毒物質を沈降させる沈降部と、前記沈降部より沈降物を回収する沈降物回収部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の毒性化合物処理装置。
【請求項7】 回収された前記沈降物を焼成する焼成部を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の毒性化合物処理装置。
【請求項8】 毒性化合物を燃焼する燃焼工程と、燃焼により発生した気体成分をアルカリ性溶液で洗浄する洗浄工程と、洗浄後の気体成分を浄化する排ガス処理工程と、洗浄後のアルカリ性溶液より有毒物質を分離する溶液処理工程とを備えることを特徴とする毒性化合物処理方法。
【請求項9】 前記燃焼工程の前に、化学兵器から毒性化合物を取り出す毒性化合物取出工程を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の毒性化合物処理方法。
【請求項10】 前記排ガス処理工程は、酸化チタンに酸化バナジウム、酸化タングステンあるいは酸化モリブデンのうちの少なくとも一種を含有させた触媒を用いて前記洗浄後の気体成分より窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去工程を備えることを特徴とする請求項8に記載の毒性化合物処理方法。
【請求項11】 前記溶液処理工程は、前記洗浄後のアルカリ性溶液を加熱する加熱工程と、加熱により固化した有毒物質を固形物として回収する固形物回収工程とを備えることを特徴とする請求項8に記載の毒性化合物処理方法。
【請求項12】 前記溶液処理工程は、前記洗浄後のアルカリ性溶液中の前記有毒物質を沈降させる沈降分離工程と、沈降した沈降物を回収する沈降物回収工程とを備えることを特徴とする請求項8に記載の毒性化合物処理方法。
【請求項13】 回収された前記沈降物を焼成する焼成工程を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の毒性化合物処理方法。
【請求項14】 前記毒性化合物が、硫化ジクロルジエチル((CH2ClCH2)2S)、ジクロル-2-クロルビニルアルシン(ClCH=CHAsCl2)、2-クロルビニルアルシン((ClCH=CH)2AsCl)、ジフェニルシアノアルシン((C6H5)2AsCN)あるいはジフェニルクロロアルシン((C6H5)2AsCl)のうちのいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の毒性化合物処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、毒性化合物を処理する毒性化合物処理装置及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の化学兵器として、例えば紡錘型、箱状あるいは筒状の形状を有する外殻と、この外殻に内蔵される爆薬と、同じくこの外殻に内蔵される毒性化合物とを有するものが知られている。また、この種の化学兵器で使用される毒性化合物としては、例えばマスタード(イペリット、硫化ジクロルジエチル:(CH2ClCH2)2S)及びルイサイト(ジクロル-2-クロルビニルアルシン:ClCH=CHAsCl2、2-クロルビニルアルシン:(ClCH=CH)2AsCl)、ジフェニルシアノアルシン((C6H5)2AsCN)あるいはジフェニルクロロアルシン((C6H5)2AsCl)等が挙げられる。
【0003】近年、化学兵器禁止条約の発効に対応して、上述した化学兵器を安全に処理する処理方法の確立が急がれている。このような化学兵器の処理プロセスは、化学兵器より毒性化合物及び爆薬を取り出す前処理プロセス、前処理プロセスで取り出した毒性化合物及び爆薬を他の物質に変質させる本処理プロセス、本処理プロセスで発生した発生物を環境に影響を与えないように処理する後処理プロセスとに大きく分けられる。ここで、前処理プロセスとしては、例えば冷凍した砲弾を外殻ごと粉砕して内部の毒性化合物及び爆薬を取り出すものや、機械的に砲弾を切断して内部の毒性化合物及び爆薬を取り出すもの(例えば特開2001−66100号公報参照)が知られている。また、本処理プロセスとしては、例えば毒性化合物及び爆薬を熱処理(燃焼)するものや、毒性化合物および爆薬を化学的に処理するものなどが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記本処理プロセスでは、マスタードやルイサイト等の毒性化合物の分解に伴って、塩素化合物、ヒ素化合物(特に酸化物)及び硫黄化合物(特に酸化物)等が新たに発生するため、後処理プロセスでこれらを固定化する必要がある。しかしながら、このような後処理プロセスの詳細については何等提案がなされていなかった。尚、特開平10−141636号公報には、アルミニウム粉体及び金属酸化物粉体からなるテルミット系反応剤を主成分とするテルミット系自燃性燃料を用いてルイサイト等の毒性化合物を燃焼させる技術が記載されているが、燃焼に伴って発生する塩素やヒ素の化合物を最終的にどのように処理するかについては言及されていない。
【0005】本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的は、毒性化合物及び毒性化合物の分解によって生じる有毒物質を安全に処理するための毒性化合物処理装置及び処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の毒性化合物処理装置は、毒性化合物を燃焼する燃焼部と、燃焼部から排出される有毒ガスをアルカリ性溶液で洗浄する洗浄部と、洗浄部から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化部と、洗浄部から排出される排液より有毒物質を分離する分離部とを備えることを特徴としている。本発明の毒性化合物処理装置では、燃焼部で燃焼させることにより毒性化合物を分解し、燃焼部から排出される酸性の有毒ガスを洗浄部においてアルカリ性溶液で洗浄し中和するので、有毒ガス中の有毒成分をアルカリ性溶液中に取り込み、ガス成分と分離することができる。そして、分離部で洗浄部から排出される排液から有毒物質を分離するので、有毒物質が固定化される一方、洗浄部から排出される排ガスを排ガス浄化部で浄化するので、排ガス中に残存する有毒物質を除去することができる。ここで、毒性化合物は、外殻内に毒性化合物及び爆薬を収容した化学兵器を破砕あるいは切断して得られたものを用いることができ、これによれば、この毒性化合物処理装置を遺棄用化学兵器の処理装置として使用することができる。そして、このタイプのものにおいては、燃焼部に毒性化合物と共に外殻及び爆薬を投入することにより、爆薬の処理及び外殻に付着した毒性化合物の分解も行うことができる。
【0007】また、排ガス浄化部は、洗浄部から排出される排ガスより窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去部と、窒素酸化物除去部から排出される排ガスよりダイオキシンを除去するダイオキシン除去部とを備えるものとすることができ、これによれば、アルカリ性溶液では除去しきれない窒素酸化物及びダイオキシンを排ガスから取り除くことができる。
【0008】更に、分離部は、洗浄部から排出される排液を加熱する加熱部と、加熱により固化した固形物を回収する固形物回収部とを備えるものとすることができ、これによれば、排液から固形物として有毒物質を得ることができる。更にまた、分離部は、洗浄部から排出される排液中の前記有毒物質を沈降させる沈降部と、沈降部より沈降物を回収する沈降物回収部とを備えるものとすることもでき、これによれば、加熱による有毒物質の固化が困難な場合にあっても、排液からの有毒物質の分離、固定化を容易にすることができる。そして、このような態様にあっては、回収された沈降物を焼成する焼成部を更に備えるようにすれば、有毒物質を含む沈降物を水に溶けにくい難溶性物質とすることができる。
【0009】また、本発明の毒性化合物処理方法は、毒性化合物を燃焼する燃焼工程と、燃焼により発生した気体成分をアルカリ性溶液で洗浄する洗浄工程と、洗浄後の気体成分を浄化する排ガス処理工程と、洗浄後のアルカリ性溶液より有毒物質を分離する溶液処理工程とを備えることを特徴としている。本発明の毒性化合物処理方法では、燃焼により発生した気体成分をアルカリ性溶液で洗浄し中和した後、洗浄後のアルカリ性溶液より有毒物質を分離しているので、有毒物質を固定化することができる。また、洗浄後の気体成分も浄化される。ここで、燃焼工程の前に、化学兵器から毒性化合物を取り出す毒性化合物取出工程を更に備えるようにすれば、この毒性化合物処理方法を遺棄化学兵器の処理方法として使用することができる。
【0010】ここで、排ガス処理工程は、酸化チタンに酸化バナジウム、酸化タングステンあるいは酸化モリブデンのうちの少なくとも一種を含有させた触媒を用いて洗浄後の気体成分より窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去工程を備えるものとすることができ、これによれば、アルカリ性溶液では除去しきれない窒素酸化物を排ガスから取り除くことができる。また、上述した遷移金属酸化物を含有する触媒はヒ素により触媒性能が劣化することが知られているが、ヒ素(ヒ素酸化物)は排ガス処理工程より前の洗浄工程ですでに取り除かれているため、触媒性能の劣化が抑制され、触媒の長寿命化を図ることができる。
【0011】また、溶液処理工程は、洗浄後のアルカリ性溶液を加熱する加熱工程と、加熱により固化した固形物を回収する固形物回収工程とを備えるものとすることができ、これによれば、洗浄後のアルカリ性溶液から固形物として有毒物質を分離、固定化することができる。また、溶液処理工程は、洗浄後のアルカリ性溶液中の有毒物質を沈降させる沈降分離工程と、沈降した沈降物を回収する沈降物回収工程とを備えるものとすることができ、これによれば、加熱による有毒物質の固化が困難な場合にあっても、排液からの有毒物質の分離、固定化を容易にすることができる。そして、このような態様にあっては、回収された沈降物を焼成する焼成工程を更に備えるようにすれば、有毒物質を含む沈降物を水に溶けにくい難溶性物質とすることができる。
【0012】また、本発明の毒性化合物処理方法で処理される毒性化合物としては、例えば硫化ジクロルジエチル((CH2ClCH2)2S)、ジクロル-2-クロルビニルアルシン(ClCH=CHAsCl2)、2-クロルビニルアルシン((ClCH=CH)2AsCl)、ジフェニルシアノアルシン((C6H5)2AsCN)あるいはジフェニルクロロアルシン((C6H5)2AsCl)などがある。ここで、硫化ジクロルジエチル(マスタード)は燃焼により亜硫酸ガスや塩酸ガス等の有毒ガスを発生するもの、ジクロル-2-クロルビニルアルシン及び2-クロルビニルアルシン(ルイサイト)は燃焼により亜ヒ酸ガスや塩酸ガス等の有毒ガスを発生するもの、ジフェニルシアノアルシンは燃焼により亜ヒ酸ガス等の有毒ガスを発生するもの、ジフェニルクロロアルシンは燃焼により亜ヒ酸ガスや塩酸ガス等の有毒ガスを発生するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
―実施の形態1―図1は、実施の形態1に係る化学兵器処理装置のシステムフローを示している。この化学兵器処理装置は、毒性化合物を内蔵する化学兵器1を冷凍破砕する冷凍破砕装置10と、冷凍破砕された化学兵器1を燃焼する燃焼装置20と、燃焼によって発生した有毒ガスを洗浄する洗浄装置30と、洗浄後の排ガスを処理する排ガス処理装置40と、洗浄後の洗浄液を処理する排水処理装置50とを備えている。
【0014】ここで、冷凍破砕装置10は、液体窒素を用いて化学兵器1を冷凍する冷凍機(図示せず)と、冷凍された化学兵器1を破砕する破砕機(図示せず)とを有している。また、燃焼装置20は、粉砕された化学兵器1すなわち弾殻2、弾殻2から取り出された爆薬及び毒性化合物(共に図示せず)を焼却するロータリーキルン21と、ロータリーキルン21から排出されるガス成分を再焼却するアフターバーナ22と、ロータリーキルン21から排出される弾殻2を収容する弾殻収容部23とを有している。そして、アフターバーナ22の下流側には、排ガスとダスト(未燃焼毒性化合物や残留炭素等からなる)を分離する分離機24、ロータリーキルン21に供給する空気を加熱する空気加熱機25、水冷却機26が設けられている。尚、分離機24で分離されたダストは、ロータリーキルン21に戻されて完全に燃焼される。
【0015】更に、洗浄装置30は、アフターバーナ22からの排出ガスが導入されるガス洗浄塔31と、このガス洗浄塔31に水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液(濃度30%)を供給する溶液供給タンク32と、ポンプ33aによってガス洗浄塔31内に水を供給する水供給タンク33とを有している。そして、ガス洗浄塔31内には上述した水酸化ナトリウム水溶液及び水からなる洗浄液を攪拌する攪拌機31aと、洗浄液を霧状に噴射するノズル(図示せず)とが設けられている。尚、ポンプ34はガス洗浄塔31下部の洗浄液を汲み出してノズルに供給するものであり、ミストエリミネータ35はガス洗浄塔31上部から排出される排ガスに含まれるミストを除去するものである。
【0016】また、排ガス処理装置40は、洗浄後の排ガス中に含まれる塵を収集する湿式集塵機41と、この湿式集塵機41を通過した排ガスを加熱する加熱機42と、排ガス中に含まれる窒素酸化物を除去する脱硝装置43と、脱硝装置43を通過した排ガスを冷却する冷却機44と、排ガス中に含まれるダイオキシンを除去するダイオキシン除去装置45と、ダイオキシン除去装置45を通過した排ガスを冷却する冷却機46と、排ガス中に含まれる微量物質を除去する微量物質除去装置47と、微量物質除去装置47を通過した排ガスを吸引するファン48と、大気中に排ガスを放出する煙突49とを備えている。ここで、湿式集塵機41は、霧状の水の中に排ガスを通すことで排ガス中の塵を収集するものであり、NaOHを含む洗浄水を供給するためのタンク41a及びタンク41aから水を汲み出すポンプ41bを有している。尚、湿式集塵機41から排出される排水は、後述する貯留槽51に送られる。また、脱硝装置43は、アンモニア(NH3)ガス及び酸化チタンに酸化バナジウムを含有させた触媒(図示せず)を用いて排ガスに含まれる窒素酸化物を除去するものである。この触媒が活性化する温度は350℃であるため、脱硝装置43の上流側に設けられる加熱機42は、それに見合う温度に排ガスを加熱するようになっている。尚、使用可能な触媒としては、上述したものの他に、例えば、酸化チタンに酸化タングステン、酸化モリブデンを含有させたものが挙げられる。更に、ダイオキシン処理装置45には、ダイオキシン分解触媒が充填してあり、ダイオキシン類を含む排ガスを流通させることにより排ガスに含まれるダイオキシンを完全に分解するものである。一般に、ダイオキシン類は300〜400℃で分解するが、本実施の形態では、ダイオキシン分解触媒を通過させることにより低温の約200℃で分解することが可能である。そこで、ダイオキシン除去装置45の上流側に設けられる冷却機44は、それに見合う温度まで排ガスを冷却するようになっている。更にまた、微量物質除去装置47としては、活性炭フィルタを備えたものが用いられる。
【0017】一方、排水処理装置50は、洗浄装置30のガス洗浄塔31から排出された排水及び上記湿式集塵機41から排出された排水を貯留する貯留槽51と、貯留槽51から排水を汲み出すポンプ52と、ドラム体53aを有し汲み出された排水を蒸気加熱により乾燥するドラム乾燥機53と、ドラム乾燥機53のドラム体53a表面に付着した固形物を分離回収する回収箱54と、ドラム乾燥機53から排出される蒸気を洗浄中和するスクラバ55と、スクラバ55を通過した排ガス中の微量成分を除去するフィルタ56とを備えている。尚、フィルタ56を透過した排ガスは、煙突49により大気中に排出される。また、スクラバ55で回収された水は、洗浄装置30の水供給タンク33に戻されるようになっている。また、この化学兵器処理装置では、緊急トラブルの発生を考慮し、洗浄装置30、排ガス処理装置40及び排水処理装置50を2系列としている。尚、他方の1系列の詳細は図示していない。
【0018】次に、具体例を挙げてこの化学兵器処理装置の処理プロセスを説明する。ここで表1及び表2は、図1に示す化学兵器処理装置において、マスタード、ルイサイト、ジフェニルシアノアルシン(DC)、ジフェニルクロロアルシン(DA)からなる毒性化合物及びピクリン酸からなる爆薬を弾殻2内に備えた化学兵器1を処理する場合の物質収支表を示している。尚、表1、2中の(1)〜(8)、(10)、(13)、(14)、(16)〜(18)は、夫々図1に示す同符号のものに対応する。また、表1、2に示す値は、単位時間当たりの物質の発生量あるいは消費量(kg/h)を示している。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】まず、化学兵器1(表1(1)参照)は、冷凍破砕装置10に搬入されて冷凍、破砕される。破砕により、化学兵器1は、弾殻2、毒性化合物としてのマスタード、ルイサイト、ジフェニルシアノアルシン、ジフェニルクロロアルシン、爆薬としてのピクリン酸とが混在した状態になる(表1(2)参照)。尚、冷凍破砕を行えば、化学兵器1に内蔵される爆薬が爆発するような事態は生じない。尚、表1(2)において、左側は燃焼前の成分を、右側は燃焼後の成分を示している。
【0022】次に、破砕した化学兵器1を燃焼装置20で燃焼させる。まず、ロータリーキルン21に投入して850℃で燃焼させ、爆薬及び毒性化合物を分解する。ここで、ロータリーキルン21の焼却温度を850℃に設定しているのは、毒性化合物を構成する有毒物質の一つであるヒ素の分解反応生成物が、850℃を超える領域では後処理プロセスで固定化し難い水溶性のヒ素化合物になる傾向があるためである。そして、本実施の形態では、弾殻2も一緒にロータリーキルン21内に投入しているので、弾殻2に付着した毒性化合物も分解できる。そして、ロータリーキルン21から排出されたガスをアフターバーナ22に導入して1500℃で再燃焼させる一方、弾殻2を弾殻収容部23に収容する(表1(3)参照)。このとき、弾殻収容部23に収容された弾殻2からは、毒性化合物が完全に除去された状態となっている。また、アフターバーナ22の焼却温度を1500℃に設定しているのは、ロータリーキルン21で焼却し切れなかった未燃成分及びロータリーキルン21で発生するおそれのあるダイオキシンを完全に燃焼させるためである。尚、表1(4)はロータリーキルン21に供給する空気量を、表1(5)はロータリーキルン21及びアフターバーナ22で使用される灯油量を示している。尚、この例では、毒性化合物中に含まれるカーボン量が多く、燃焼による発熱量が高いため、使用される灯油量は0となっている。ただし、予熱、起動時等には灯油を使用することがあり得る。
【0023】アフターバーナ22から排出されたガス(表1(6)参照)は、次に洗浄装置30すなわちガス洗浄塔31に導入される。表1(6)から明らかなように、ガス洗浄塔31に導入されるガスは、塩酸、二酸化硫黄、三酸化ヒ素などの酸性の有毒ガスを多く含んだものとなっている。ガス洗浄塔31内部にはpHセンサ(図示せず)及び液量センサ(図示せず)が設置されており、計測されるpH値及び液量に応じて水酸化ナトリウム水溶液あるいは水を供給し、所定のpH値(アルカリ性)を維持するようになっている。ここで、表2(10)は、ガス洗浄塔31内に供給される水酸化ナトリウム水溶液の量を、表2(14)はガス洗浄塔31内に供給される空気の量を示している。そして、ガス洗浄塔31内に導入されたガスは、所定のpH値に設定された水酸化ナトリウム水溶液のミストの中を通過していき、上述した塩酸、二酸化硫黄及び三酸化ヒ素などの酸性物質が水酸化ナトリウム水溶液により中和され、水溶液中に取り込まれていく。そして、ミストエリミネータ35によりミストが除去された状態でガスが排出される。
【0024】ガス洗浄塔31から排出されたガスは、次に排ガス処理装置40に導入される。排ガス処理装置40では、まず湿式集塵機41により塵分を取り除き、次に脱硝装置43で窒素酸化物が取り除かれる。ここで表2(16)は、窒素酸化物を除去するために脱硝装置43に供給されるアンモニア量を示している。そして、ダイオキシン除去装置45及び微量物質除去装置47を通過した排ガス(表1(7)参照)は、煙突49より排出される。表1(7)から明らかなように、排出される排ガスは、有毒物質が完全に除去されたものとなっている。ここで、本実施の形態では、脱硝装置43の触媒として酸化チタンに酸化バナジウムを含有させたものを使用している。この種の触媒はヒ素の存在により触媒作用が劣化するという問題を有しているが、ヒ素成分はガス洗浄塔31で既に除去されていることから、このような不具合が生じることはない。
【0025】一方、ガス洗浄塔31内への水酸化ナトリウム水溶液の供給に伴い、水酸化ナトリウム水溶液の一部が排水として排出されて貯留槽51に貯められ、ポンプ52により所定量ずつドラム乾燥機53へと供給される。ここで、表2(8)はポンプ52により送られる排水の成分を示している。表2(8)から明らかなように、排水にはヒ素化合物(ヒ酸ナトリウム、亜ヒ酸ナトリウム)が溶解し、ガス中に存在した塩素成分は塩化ナトリウムとなって溶解している。そして、ドラム乾燥機53では、蒸気(表2(13)参照)の供給により排水中の溶解物の固化が行われる。ここで表2(17)は、取り出された固形物の成分を示している。この固形物は回収箱54に回収されるが、これらは水溶性物質であるため、固形物は更に水溶性物質処理工程に送られ、難溶性物質に処理した後、ドラム缶等に封入して保管される。また、ヒ素自体は工業用原料として重要なものであることから、得られた固形物を精製して金属ヒ素を取り出すことも可能である。また、ドラム乾燥機53では、下部からは凝縮した凝縮水が排出され、上部からは蒸発した気体成分が排出される。この蒸発した気体成分は、次に、スクラバ55に導入されて水分が取り除かれ、フィルタ56を透過した後、煙突49から排出される(表2(18)参照)。尚、スクラバ55で得られた水は、洗浄装置30の水供給タンク33に循環供給される。
【0026】本実施の形態では、化学兵器1中の毒性化合物を燃焼により分解し、発生した酸性の有毒ガスを水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和し、この水酸化ナトリウム水溶液の排液を加熱することで有毒物質を含む固形物として分離することができる。尚、本実施の形態では、化学兵器1を冷凍破砕することにより化学兵器1から爆薬及び毒性化合物を取り出すようにしていたが、これに限られるものではなく、化学兵器1を切断して内部の爆薬や毒性化合物を取り出すようにしてもよいことは勿論である。
【0027】―実施の形態2―図2は、実施の形態2に係る化学兵器処理装置のシステムフローを示している。この化学兵器処理装置は、実施の形態1で説明したものと略同様の構成を有しているが、排水処理装置50の構成が異なっている。尚、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。本実施の形態において、排水処理装置50は、洗浄装置30のガス洗浄塔31から排出された排水及び上記湿式集塵機41から排出された排水を貯留する貯留槽51と、貯留槽51から排水を汲み出すポンプ52と、汲み出された排水を化学処理する反応槽群60と、反応槽群60から排出された固形物と排水との混合物を脱水する脱水機61と、脱水された固形物を焼成する焼成炉62とを備えている。また、本実施の形態では、反応槽群60から排出された排水がドラム乾燥機53に投入されるようになっている。ここで、反応槽群60は、貯留槽51からの排水及び水酸化カルシウムが投入される第一反応槽57と、第一反応槽57からの排水及び塩化鉄が投入される第二反応槽58と、第二反応槽58からの排水及び高分子凝集剤が投入される第三反応槽59とを有している。
【0028】次に、具体例を挙げてこの化学兵器処理装置の処理プロセスを説明する。ここで表3及び表4は、図2に示す化学兵器処理装置において、実施の形態1と同じ化学兵器1を処理する場合の物質収支表を示している。尚、表3、4中の(1)〜(19)は、夫々図2に示す同符号のものに対応する。また、表3、4に示す値は、単位時間当たりの物質の発生量あるいは消費量(kg/h)を示している。
【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

【0031】まず、化学兵器1(表3(1)参照)は、冷凍破砕装置10に搬入されて冷凍、破砕される。破砕により、化学兵器1は、弾殻2、毒性化合物としてのマスタード、ルイサイト、ジフェニルシアノアルシン及びジフェニルクロロアルシン、爆薬としてのピクリン酸とが混在した状態になる(表3(2)参照)。尚、冷凍破砕を行えば、化学兵器1に内蔵される爆薬が爆発するような事態は生じない。尚、表3(2)において、左側は燃焼前の成分を、右側は燃焼後の成分を示している。次に、破砕した化学兵器1を燃焼装置20で燃焼させる。まず、ロータリーキルン21に投入して850℃で燃焼させ、爆薬及び毒性化合物を分解する。そして、ロータリーキルン21から排出されたガスをアフターバーナ22に導入して1500℃で再燃焼させる一方、弾殻2を弾殻収容部23に収容する(表3(3)参照)。このとき、弾殻収容部23に収容された弾殻2からは、毒性化合物が完全に除去された状態となっている。尚、表3(4)はロータリーキルン21に供給する空気量を、表3(5)はロータリーキルン21及びアフターバーナ22で使用される灯油量を示している。尚、この例では、実施の形態1と同様に使用される灯油量は0である。
【0032】アフターバーナ22から排出されたガス(表3(6)参照)は、次に洗浄装置30すなわちガス洗浄塔31に導入される。表から明らかなように、ガス洗浄塔31に導入されるガスは、塩酸、二酸化硫黄、三酸化ヒ素などの有毒ガスを多く含んだものとなっている。ガス洗浄塔31内部にはpHセンサ(図示せず)及び液量センサ(図示せず)が設置されており、計測されるpH値及び液量に応じて水酸化ナトリウム水溶液あるいは水を供給し、所定のpH値を維持するようになっている。ここで、表4(10)は、ガス洗浄塔31内に供給される水酸化ナトリウム水溶液の量を、表4(14)はガス洗浄塔31内に供給される空気の量を示している。そして、ガス洗浄塔31内に導入されたガスは、所定のpH値に設定された水酸化ナトリウム水溶液のミストの中を通過していき、上述した塩酸、二酸化硫黄及び三酸化ヒ素などの酸性物質が水酸化ナトリウム水溶液により中和され、水溶液中に取り込まれていく。そして、ミストエリミネータ35によりミストが除去された状態でガスが排出される。
【0033】ガス洗浄塔31から排出されたガスは、次に排ガス処理装置40に導入される。排ガス処理装置40では、まず湿式集塵機41により塵分を取り除き、次に脱硝装置43で窒素酸化物が取り除かれる。ここで表4(16)は、窒素酸化物を除去するために脱硝装置43に供給されるアンモニア量を示している。そして、ダイオキシン除去装置45及び微量物質除去装置47を通過した排ガス(表3(7)参照)は、煙突49より排出される。表3(7)から明らかなように、排出される排ガスは、有毒物質が完全に除去されたものとなっている。
【0034】一方、ガス洗浄塔31内への水酸化ナトリウム水溶液の供給に伴い、水酸化ナトリウム水溶液の一部が排水として排出されて貯留槽51に貯められポンプ52により所定量ずつ第一反応槽57へと供給される。ここで、表3(8)はポンプ52により送られる排水の成分を示している。表3(8)から明らかなように、排水には、ヒ素化合物(ヒ酸ナトリウム、亜ヒ酸ナトリウム)が溶解し、ガス中に存在した塩素成分は安全な塩化ナトリウムとなって溶解している。そして、第一反応槽57では、水酸化カルシウム(表4(11)参照)の投入により可溶性のヒ素がヒ酸カルシウムCa3(AsO42、溶液中の硫酸イオンSO42-が硫酸カルシウムCaSO4として沈殿物を生成し、この沈殿物が第一反応槽57下部より脱水機61に送られる。また、第二反応槽58では、塩化鉄(表4(12)参照)の投入により水酸化鉄Fe(OH)2が生成して、排水中に浮遊している微粒子の表面に付着し、これらが凝集して重くなって沈殿物が生成され、この沈殿物が第二反応槽58下部より脱水機61に送られる。更に、第三反応槽59では、樹脂製の高分子凝集剤(表4(15)参照)の投入により、第二反応槽58内で沈殿しきれなかった微粒子の表面に吸着し、これらが凝集して重くなって沈殿物が生成され、この沈殿物が第三反応槽59の下部より脱水機61に送られる。
【0035】また、反応槽群60から排出された固形物と排水との混合物は脱水機61で脱水された後、焼成炉62により1100℃で焼成され、完全に水分が除去される。焼成により得られた焼成物は難溶性物質に処理された後、セメント固化され管理型廃棄物として保管される。ここで表3(9)は最終的に得られる難溶性物質の成分を示している。
【0036】一方、第三反応槽59から排出された排水(表4(19)参照)は、所定量ずつドラム乾燥機53へと供給される。表4(19)から明らかなように、排水には、少量のヒ素化合物(ヒ酸ナトリウム、亜ヒ酸ナトリウム)が溶解している。そして、ドラム乾燥機53では、蒸気(表4(13)参照)の供給により排水中の溶解物の固化が行われる。ここで表4(17)は、取り出された固形物の成分を示している。この固形物は回収箱54に回収されるが、これらは水溶性物質であるため、固形物は更に水溶性物質処理工程に送られ、難溶性物質に処理した後、ドラム缶等に封入して保管される。また、ヒ素自体は工業用原料として重要なものであることから、得られた固形物を精製して金属ヒ素を取り出すことも可能である。また、ドラム乾燥機53では、下部からは凝縮した凝縮水が排出され、上部からは蒸発した気体成分が排出される。この蒸発した気体成分は、次に、スクラバ55に導入されて水分が取り除かれ、フィルタ56を透過した後、煙突49から排出される(表4(18)参照)。尚、スクラバ55で得られた水は、洗浄装置30の水供給タンク33に循環供給される。
【0037】本実施の形態では、ヒ酸や亜ヒ酸が溶解した水酸化ナトリウム水溶液の排液を化学処理し、ヒ酸あるいは亜ヒ酸の大半をより安定(水に溶けにくい)なルシウム化合物とすることができる。これにより、分離後の有毒物質を安定した状態で保管することができる。
【0038】―実施の形態3―図3は、実施の形態3に係る化学兵器処理装置のシステムフローを示している。この化学兵器処理装置は、実施の形態2で説明したものと略同様の構成を有しているが、ガス洗浄塔31に投入する薬品として水酸化ナトリウムに代えて石灰石(炭酸カルシウム:CaCO3)を用いるようにしたものである。尚、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、ドラム乾燥機53で得られた固形物が、焼成炉62に導入される点も実施の形態2と異なっている。
【0039】次に、具体例を挙げてこの化学兵器処理装置の処理プロセスを説明する。ここで表5及び6は、図3に示す化学兵器処理装置において、実施の形態1、2と同じ化学兵器1を処理する場合の物質収支表を示している。尚、表5、6中の(1)〜(19)は、夫々図3に示す同符号のものに対応する。また、表5、6に示す値は、単位時間当たりの物質の発生量あるいは消費量(kg/h)を示している。
【0040】
【表5】

【0041】
【表6】

【0042】まず、化学兵器1(表5(1)参照)は、冷凍破砕装置10に搬入されて冷凍、破砕される。破砕により、化学兵器1は、弾殻2、毒性化合物としてのマスタード及びルイサイト、ジフェニルシアノアルシン及びジフェニルクロロアルシン、爆薬としてのピクリン酸とが混在した状態になる(表5(2)参照)。尚、冷凍破砕を行えば、化学兵器1に内蔵される爆薬が爆発するような事態は生じない。尚、表5(2)において、左側は燃焼前の成分を、右側は燃焼後の成分を示している。次に、破砕した化学兵器1を燃焼装置20で燃焼させる。まず、ロータリーキルン21に投入して850℃で燃焼させ、爆薬及び毒性化合物を分解する。そして、ロータリーキルン21から排出されたガスをアフターバーナ22に導入して1500℃で再燃焼させる一方、弾殻2を弾殻収容部23に収容する(表5(3)参照)。このとき、弾殻収容部23に収容された弾殻2からは、毒性化合物が完全に除去された状態となっている。尚、表5(4)はロータリーキルン21に供給する空気量を、表5(5)はロータリーキルン21及びアフターバーナ22で使用される灯油量を示している。尚、この例では、実施の形態1と同様に使用される灯油量は0である。
【0043】アフターバーナ22から排出されたガス(表5(6)参照)は、次に洗浄装置30すなわちガス洗浄塔31に導入される。表から明らかなように、ガス洗浄塔31に導入されるガスは、塩酸、二酸化硫黄、三酸化ヒ素などの有毒ガスを多く含んだものとなっている。ガス洗浄塔31内部にはpHセンサ(図示せず)及び液量センサ(図示せず)が設置されており、計測されるpH値及び液量に応じて石灰石あるいは水を供給し、所定のpH値(アルカリ性)を維持するようになっている。ここで、表6(10)は、ガス洗浄塔31内に供給される石灰石の量を、表6(14)はガス洗浄塔31内に供給される空気の量を示している。そして、ガス洗浄塔31内に導入されたガスは、所定のpH値に設定された石灰水(炭酸カルシウム水溶液)のミストの中を通過していき、上述した塩酸、二酸化硫黄及び三酸化ヒ素などの酸性物質が石灰水により中和され、水溶液中に取り込まれていく。そして、ミストエリミネータ35によりミストが除去された状態でガスが排出される。
【0044】ガス洗浄塔31から排出されたガスは、次に排ガス処理装置40に導入される。排ガス処理装置40では、まず湿式集塵機41により塵分を取り除き、次に脱硝装置43で窒素酸化物が取り除かれる。ここで表6(16)は、窒素酸化物を除去するために脱硝装置43に供給されるアンモニア量を示している。そして、ダイオキシン除去装置45及び微量物質除去装置47を通過した排ガス(表5(7)参照)は、煙突49より排出される。表5(7)から明らかなように、排出される排ガスは、有毒物質が完全に除去されたものとなっている。
【0045】一方、ガス洗浄塔31内への石灰水の供給に伴い、石灰水の一部が排水として排出されて貯留槽51に貯められポンプ52により所定量ずつ第一反応槽57へと供給される。ここで、表5(8)はポンプ52により送られる排水の成分を示している。表5(8)から明らかなように、排水には、ヒ素化合物(亜ヒ酸カルシウム)が含まれ、ガス中に存在した塩素成分は安全な塩化カルシウムとなって溶解している。そして、第一反応槽57では、水酸化カルシウム(表6(11)参照)の投入により溶液中のヒ酸イオンAsO2-がヒ酸カルシウムCa3(AsO42、溶液中の硫酸イオンSO24-が硫酸カルシウムCaSO4として沈殿物を生成し、この沈殿物が第一反応槽57下部より脱水機61に送られる。また、第二反応槽58では、塩化鉄(表6(12)参照)の投入により水酸化鉄Fe(OH)2が生成して排水中に浮遊している微粒子の表面に付着し、これらが凝集して重たくなって沈殿物が生成され、この沈殿物が第二反応槽58下部より脱水機61に送られる。更に、第三反応槽59では、樹脂製の高分子凝集剤(表6(15)参照)の投入により、第二反応槽58内で沈殿しきれなかった微粒子の表面に付着し、これらが凝集して重くなって沈殿物が生成され、得られた沈殿物が第三反応槽59の下部より脱水機61に送られる。
【0046】また、反応槽群60から排出された固形物と排水との混合物は脱水機61で脱水された後、焼成炉62により1100℃で焼成され、完全に水分が除去される。焼成により得られた焼成物は難溶性物質であり、セメント固化され管理型廃棄物として保管される。ここで表5(9)は最終的に得られる難溶性物質の成分を示している。
【0047】一方、第三反応槽59から排出された排水(表6(19)参照)は、所定量ずつドラム乾燥機53へと供給される。そして、ドラム乾燥機53では、蒸気(表6(13)参照)の供給により排水中の溶解物の固化が行われる。表6(19)から明らかなように、排水に有毒物質は含有されていないが、ドラム乾燥機53で取り出された固形物は、念のため焼成炉62に導入され、脱水機61で得られた混合物と一緒に焼成されるようになっている。また、ドラム乾燥機53では、下部からは凝縮した凝縮水が排出され、上部からは蒸発した気体成分が排出される。この蒸発した気体成分は、次に、スクラバ55に導入されて水分が取り除かれ、フィルタ56を透過した後、煙突49から排出される(表6(18)参照)。尚、スクラバ55で得られた水は、洗浄装置30の水供給タンク33に循環供給される。
【0048】本実施の形態では、水酸化ナトリウム水溶液に代えて石灰水を使用しているので、ヒ酸あるいは亜ヒ酸を当初より安定(水に溶けにくい)なカルシウム化合物とすることができる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、毒性化合物及び毒性化合物の分解によって生じる有毒物質を安全に処理することができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番5号
【出願日】 平成14年4月25日(2002.4.25)
【代理人】 【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充 (外1名)
【公開番号】 特開2003−310792(P2003−310792A)
【公開日】 平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願番号】 特願2002−124439(P2002−124439)