| 【発明の名称】 |
水熱酸化分解処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山元 崇 【住所又は居所】長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内
【氏名】篠田 克彦 【住所又は居所】長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内
【氏名】永井 正彦 【住所又は居所】長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内
【氏名】池田 信之 【住所又は居所】長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内
【氏名】山口 啓樹 【住所又は居所】長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工業株式会社長崎造船所内
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| 【要約】 |
【課題】例えば変圧器等の絶縁油等のPCB含有物等の有機有害物質の完全処理を図る水熱酸化分解方法を提供することを課題とする。
【解決手段】筒形状の回分(バッチ)式の反応器11と、水(H2O)12、過酸化水素水(酸化剤)13、水酸化ナトリウム(NaOH)14及び液体又はスラリー状の処理物15を反応器11内に加圧する加圧ポンプ12a〜15aと、上記反応器11内を攪拌する攪拌手段16及び攪拌翼17と、内部に有害物質を投入する投入口18とを備えてなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 亜臨界状態の下、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムの存在において有害物質を完全無害化する水熱酸化分解処理方法であって、上記分解処理温度が300〜390℃、圧力が22〜30MPaの条件で回分式反応処理槽で酸化分解処理することを特徴とする水熱酸化分解方法。 【請求項2】 請求項1において、加熱・加圧された反応器内において炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )の存在下、有機ハロゲン化物の脱ハロゲン化反応および酸化分解反応により塩化ナトリウム(NaCl)、二酸化炭素(CO2)等に分解させる回分式水熱酸化分解装置を用いて有害物質を酸化分解処理することを特徴とする水熱酸化分解方法。 【請求項3】 請求項1において、上記有害物質が有機ハロゲン化物含有物又は有機ハロゲン化物であることを特徴とする水熱酸化分解方法。 【請求項4】 請求項1において、有機ハロゲン化物がPCBであることを特徴とする水熱酸化分解方法。 【請求項5】 筒形状の回分(バッチ)式の反応器と、水(H2O)、酸化剤、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを上記反応器内に供給する供給ポンプと、反応器内を攪拌する攪拌手段と、内部に有害物質を投入する投入口とを具備してなることを特徴とする回分式水熱酸化分解処理装置。 【請求項6】 請求項5において、反応器内に有害物質を投入する投入籠を設けたことを特徴とする回分式水熱酸化分解処理装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば変圧器等の絶縁油等のPCB含有物等の有機有害物質の完全処理を図る水熱酸化分解方法に関する。 【0002】 【背景技術】近年では、PCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。 【0003】PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。この結果、PCBは体内で極めて安定であるので、体内に蓄積され慢性中毒(皮膚障害、肝臓障害等)を引き起し、また発癌性、生殖・発生毒性が認められている。 【0004】PCBは、従来からトランスやコンデンサなどの絶縁油として広く使用されてきた経緯があるので、PCBを処理する必要があり、本出願人は先に、PCBを無害化処理する水熱酸化分解技術を提案した(特開平11−253795号公報)。 【0005】しかしながら、水熱酸化分解技術においては、分解対象物を高圧槽の内部に供給するために、微細化する必要があるが、有害物質汚染物が例えば繊維質の場合には、微細化やスラリー化が困難であるという、問題がある。 【0006】また、微細化物やスラリー化物を高圧ポンプで供給する場合には、設備が大がかりとなり、簡易な設備で処理することが望まれている。 【0007】一方、有機ハロゲン化物のPCBはその毒性面からは水熱分解処理液の残留基準が厳しく、高い分解率(未分解率が10-6〜10-7) が要求される。 【0008】本発明は上述した問題に鑑み、例えば変圧器等からのPCB等の有害物質を処理する水熱酸化分解装置において、簡易な設備でしかも完全分解できる水熱酸化分解方法を提供することを課題とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】前述した課題を解決する第1の発明は、亜臨界状態の下、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムの存在において有害物質を完全無害化する水熱酸化分解処理方法であって、上記分解処理温度が300〜390℃、圧力が22〜30MPaの条件で回分式反応処理槽で酸化分解処理することを特徴とする水熱酸化分解方法にある。 【0010】上記発明によれば、分解処理対象物が液状又はスラリー状の有害物質に限定されるものではなく、固形物や粗粉砕物であっても完全分解することができる。 【0011】第2の発明は、第1の発明において、加熱・加圧された反応器内において炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )の存在下、有機ハロゲン化物の脱ハロゲン化反応および酸化分解反応により塩化ナトリウム(NaCl)、二酸化炭素(CO2)等に分解させる回分式水熱酸化分解装置を用いて有害物質を酸化分解処理することを特徴とする水熱酸化分解方法にある。 【0012】上記発明によれば、加熱・加圧された反応器内において炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )の存在下、有機ハロゲン化物の脱ハロゲン化反応および酸化分解反応により塩化ナトリウム(NaCl)、二酸化炭素(CO2)等に分解させる水熱酸化分解装置を用いるので、有害物質の完全分解が可能となる。 【0013】第3の発明は、第1の発明において、上記有害物質が有機ハロゲン化物含有物又は有機ハロゲン化物であることを特徴とする水熱酸化分解方法にある。 【0014】上記発明によれば、有機ハロゲン化物を完全分解することになる。 【0015】第4の発明は、第1の発明において、有機ハロゲン化物がPCBであることを特徴とする水熱酸化分解方法にある。 【0016】上記発明によれば、PCBを完全分解することになる。 【0017】第5の発明は、筒形状の回分(バッチ)式の反応器と、水(H2O)、酸化剤、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを上記反応器内に供給する供給ポンプと、反応器内を攪拌する攪拌手段と、内部に有害物質を投入する投入口とを具備してなることを特徴とする回分式水熱酸化分解処理装置にある。 【0018】上記発明によれば、分解処理対象物が液状又はスラリー状の有害物質に限定されるものではなく、固形物や粗粉砕物であっても完全分解することができる。 【0019】第6の発明は、第5の発明において、反応器内に有害物質を投入する投入籠を設けたことを特徴とする回分式水熱酸化分解処理装置にある。 【0020】上記発明によれば、例えばトランス等の鉄心、コイル破砕物等の裁断物を投入した場合であっても、金属状の処理残渣は上記籠内に残ることになるので、残渣の処理が容易となる。 【0021】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。 【0022】本実施の形態の水熱酸化分解方法は、亜臨界状態の下、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムの存在において有害物質を完全無害化する水熱酸化分解処理方法であって、上記分解処理温度が300〜390℃、圧力が22〜30MPaの条件で回分式反応処理槽で酸化分解処理するようにしたものである。 【0023】以下、本実施の形態においては、有害物質とした有機ハロゲン化物であるPCBを例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 【0024】ここで、上記酸化分解処理する装置は、加熱・加圧された反応器内において炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )の存在下、有機ハロゲン化物(PCB)の脱ハロゲン化反応および酸化分解反応により塩化ナトリウム(NaCl)、二酸化炭素(CO2)等に分解させる水熱酸化分解装置を用いている。 【0025】上記水熱酸化分解処理装置の一例を図1に示す。図1に示すように、本実施の形態にかかる水熱酸化分解処理装置は、筒形状の回分(バッチ)式の反応器11と、水(H2O)12、過酸化水素水(酸化剤)13、水酸化ナトリウム(NaOH)14及び液体又はスラリー状の処理物15を反応器11内に加圧する加圧ポンプ12a〜15aと、上記反応器11内を攪拌する攪拌手段16及び攪拌翼17と、内部に有害物質を投入する投入口18とを備えてなるものである。なお、処理後の処理液20は排水タンク21に移して排水処理を行うと共に、処理残渣22は反応器11の底部から適宜抜き出すようにしている。 【0026】ここで、反応器11内でのPCBの熱水分解反応について説明する。まず、反応開始時には油、有機溶剤等が酸化剤供給源から一次反応器122内に供給される酸化剤(本実施形態では過酸化水素水を使用する)により酸化され二酸化炭素(CO2 )を生成する。この酸化反応は発熱反応であり、これにより系内の温度は上昇し、それに応じて圧力も上昇する。 【0027】本実施形態では、一次反応器11内の温度、圧力はそれぞれ例えば350〜390℃、22〜30MPa程度に維持した亜臨界状態で所望の時間反応させることでPCB等の有害物質を分解するようにしている。 【0028】上記により生成したCO2 は、一次反応器122内にPCBとともに供給された水酸化ナトリウムと反応し炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )を生成する。 2NaOH+CO2 →Na2 CO3 +H2 O …(A) 次に、上記(A)の反応により生成したNa2 CO3 は、PCBと反応し、PCBを脱塩及び酸化分解する。 C12H6 Cl4 +12.5O2 +2Na2 CO3 →4NaCl+3H2 O+14CO2 …(B) なお、上記の塩素数4のPCBの場合であるが、他の塩素数のものについても同様な反応が生じ、PCBがH2 O、CO2 、NaClに分解される。上記(B)の反応により生じたCO2 は更に、上記(A)の反応によりNaOHと反応し(B)の反応に必要とされるNa2 CO3 を生成するようになる。ところで、上記(B)のPCB分解反応においては、炭酸ナトリウム(Na2CO3 )は反応剤として作用する他に、(B)の分解反応は促進する触媒としても作用している。また、上記(B)の分解反応はアルカリ雰囲気(例えばpH10以上)で促進されることが判明している。 【0029】上記熱水分解装置10によれば、反応器11において、現時点でのPCBの排出基準値(3ppb)以下の0.5ppb以下まで分解させて、完全分解ができるようにしている。これによりPCB含有物品の完全処理が可能となり、PCBの完全消滅が可能となる。 【0030】本発明で有害物質としては、例えばトランスやコンデンサで使用された絶縁油であるPCB、PCBを含有する塗料、PCB汚染物等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。 【0031】また、投入口からPCB汚染物を投入することができるので、分解処理対象物が液状又はスラリー状の有害物質に限定されるものではなく、固形物や粗粉砕物であっても完全分解することができる。 【0032】また、その投入においても、常温・常圧状態で処理対象物を投入口18から投入することができるので、高圧(22MPa以上)の反応器内に供給する供給設備が不要となる。 【0033】また、微粉際や裁断が困難な繊維質の有機物等も、スラリー化を図ることがなく、スラリー設備が不要となると共に、前処理時間が不要となる。 【0034】さらに、装置構成が簡易であるので、本設備を架台等に設置し、架台毎搬送手段により搬送して、有害物質処理現場へ移動し、有害物質が保管されている現地にて処理することも可能である。 【0035】特に、汚染土壌等のような大量の処理を行う場合には、汚染土壌を搬送する際の防汚設備が必要となるが、可搬式の処理装置であれば、当該処理装置を汚染現場に搬送して、迅速に処理することができ、2次汚染を防止することができる。 【0036】[第2の実施の形態]上記水熱酸化分解処理装置の他の一例を図2に示す。図2に示すように、本実施の形態にかかる水熱酸化分解処理装置は、第1の実施の形態の設備において、反応器11内部に網31を設けると共に、該網31の上に籠32を設けており、該籠32内に有害物質の粉砕物を投入するようにしている。これにより、例えばトランス等の鉄心、コイル破砕物等の裁断物を投入した場合であっても、金属状の処理残渣は上記籠32内に残ることになる。これにより、残渣の処理が容易となる。 【0037】 【発明の効果】以上の説明したように、本発明によれば、亜臨界状態の下、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムの存在において有害物質を完全無害化する水熱酸化分解処理方法であって、上記分解処理温度が300〜390℃、圧力が22〜30MPaの条件で回分式反応処理槽で酸化分解処理するので、分解処理対象物が液状又はスラリー状の有害物質に限定されるものではなく、固形物や粗粉砕物であっても完全分解することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社 【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番5号
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| 【出願日】 |
平成14年4月22日(2002.4.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078499 【弁理士】 【氏名又は名称】光石 俊郎 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−310791(P2003−310791A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月5日(2003.11.5) |
| 【出願番号】 |
特願2002−119203(P2002−119203) |
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