| 【発明の名称】 |
難分解性有害物質含有高粘度液処理方法及びそのシステム |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 武志 【住所又は居所】長崎県長崎市深堀町5丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内
【氏名】開 昭夫 【住所又は居所】長崎県長崎市深堀町5丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内
【氏名】庄島 敏和 【住所又は居所】長崎県長崎市深堀町5丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内
【氏名】筒場 孝志 【住所又は居所】長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工業株式会社長崎造船所内
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| 【要約】 |
【課題】難分解性の有害物質を含有する高粘度液を無害化処理することが容易かつ確実にできる方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】難分解性の有害物質を含有する高粘度液1を水2および界面活性剤3と混合してエマルジョン化させる乳化装置110と、エマルジョン4中の難分解性の有害物質を上記高粘度液1と共に分解処理する水熱分解装置120とを備えて難分解性有害物質含有高粘度液処理システム100を構成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 難分解性の有害物質を含有する高粘度液を無害化処理する難分解性有害物質含有高粘度液処理方法であって、前記高粘度液を水および界面活性剤と混合してエマルジョン化するエマルジョン化工程と、前記エマルジョン中の前記有害物質を前記高粘度液と共に分解処理する分解処理工程とを行うことを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理方法。 【請求項2】 請求項1において、前記高粘度液の粘度が5PaS以上であることを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理方法。 【請求項3】 請求項1または請求項2において、前記エマルジョン化工程が、3PaS・25℃以下の粘度の前記エマルジョンを製造することを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理方法。 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、前記エマルジョン化工程が、平均粒径1〜100μmの油滴の前記エマルジョンを製造することを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理方法。 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、前記エマルジョン化工程が、前記エマルジョンに対して前記界面活性剤を2重量%以下添加して前記エマルジョンを製造することを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理方法。 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかにおいて、前記界面活性剤が、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤のうちの少なくとも一つであることを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理方法。 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかにおいて、前記有害物質が、ハロゲン化有機化合物を含んでいることを特徴とする難分解性有害物質含有固体有機物処理方法。 【請求項8】 難分解性の有害物質を含有する高粘度液を無害化処理する難分解性有害物質含有高粘度液処理システムであって、前記高粘度液を水および界面活性剤と混合してエマルジョン化するエマルジョン化手段と、前記エマルジョン中の前記有害物質を前記高粘度液と共に分解処理する分解処理手段とを備えたことを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理システム。 【請求項9】 請求項8において、前記高粘度液の粘度が5PaS以上であることを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理システム。 【請求項10】 請求項8または請求項9において、前記エマルジョン化手段が、3PaS・25℃以下の粘度の前記エマルジョンを製造することを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理システム。 【請求項11】 請求項8から請求項10のいずれかにおいて、前記エマルジョン化手段が、平均粒径1〜100μmの油滴の前記エマルジョンを製造することを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理システム。 【請求項12】 請求項8から請求項11のいずれかにおいて、前記エマルジョン化手段が、前記エマルジョンに対して前記界面活性剤を2重量%以下添加して前記エマルジョンを製造することを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理システム。 【請求項13】 請求項8から請求項12のいずれかにおいて、前記界面活性剤が、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤のうちの少なくとも一つであることを特徴とする難分解性有害物質含有高粘度液処理方法。 【請求項14】 請求項8から請求項13のいずれかにおいて、前記有害物質が、ハロゲン化有機化合物を含んでいることを特徴とする難分解性有害物質含有固体有機物処理システム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、難分解性の有害物質を含有する高粘度液を無害化処理する方法及びそのシステムに関する。 【0002】 【従来の技術】近年では、PCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。 【0003】PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理的・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。 【0004】このPCBは平成4(1997)年に廃PCB、PCBを含む廃油、PCB汚染物が廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく特別管理廃棄物に指定され、さらに、平成9(1997)年にはPCB汚染物として木くず、繊維くずが、追加指定された。 【0005】PCB処理物となる電気機器としては、高圧トランス、高圧コンデンサ、低圧トランス・コンデンサ、柱上トランスがあり、廃PCB等としては、熱媒体に用いたものは絶縁油として用いたもの、また、これらの洗浄に用いた灯油等があり、廃感圧紙としては、ノーカーボン紙に使用されたカプセルオイルがあり、さらに、これらのPCBの使用又は熱媒の交換、絶縁油の再生、漏洩の浄化、PCB含有物の処理等の際に用いられた活性炭や、廃白土、廃ウェス類、作業衣等のPCB汚染物がある。現在、これらは厳重に保管がなされているが、早急なPCBの処理が望まれている。 【0006】近年では、このようなPCBを処理する技術が種々開発されており、例えば、PCBを高温高圧のアルカリ水中で油および酸化剤と共に反応させることにより、脱塩素および酸化分解して無害化する水熱分解法が提案されている。このような水熱分解法においては、PCBを連続的に分解処理することができるので、PCBの無害化処理を効率よく行うことができる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述したような水熱分解法において、例えば、PCBを含有するアスファルトやタール(プラスチックス等の高分子材料の加熱残渣を含む)等の高粘度液(5PaS以上)を無害化処理しようとすると、配管内を流通させて反応器内に送給することが難しいだけでなく、加圧ポンプの吐出能力が安定しなくなってしまい、分解処理効率が低下してしまうという問題があった。 【0008】このような問題は、上述したようなPCBを含有するアスファルトやタール等の高粘度液に限らず、ダイオキシン類等を始めとして農薬や医薬や化学兵器や環境ホルモン等のような難分解性の有害物質を含有する高粘度液であれば、同様に生じることである。 【0009】このようなことから、本発明は、難分解性の有害物質を含有する高粘度液を無害化処理することが容易かつ確実にできる方法及びそのシステムを提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】前述した課題を解決するための、第一番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、難分解性の有害物質を含有する高粘度液を無害化処理する難分解性有害物質含有高粘度液処理方法であって、前記高粘度液を水および界面活性剤と混合してエマルジョン化するエマルジョン化工程と、前記エマルジョン中の前記有害物質を前記高粘度液と共に分解処理する分解処理工程とを行うことを特徴とする。 【0011】第二番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目の発明において、前記高粘度液の粘度が5PaS以上であることを特徴とする。 【0012】第三番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目または第二番目の発明において、前記エマルジョン化工程が、3PaS・25℃以下の粘度の前記エマルジョンを製造することを特徴とする。 【0013】第四番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目から第三番目の発明のいずれかにおいて、前記エマルジョン化工程が、平均粒径1〜100μmの油滴の前記エマルジョンを製造することを特徴とする。 【0014】第五番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記エマルジョン化工程が、前記エマルジョンに対して前記界面活性剤を2重量%以下添加して前記エマルジョンを製造することを特徴とする。 【0015】第六番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目から第五番目の発明のいずれかにおいて、前記界面活性剤が、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤のうちの少なくとも一つであることを特徴とする。 【0016】第七番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目から第六番目の発明のいずれかにおいて、前記有害物質が、ハロゲン化有機化合物を含んでいることを特徴とする。 【0017】また、前述した課題を解決するための、第八番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、難分解性の有害物質を含有する高粘度液を無害化処理する難分解性有害物質含有高粘度液処理システムであって、前記高粘度液を水および界面活性剤と混合してエマルジョン化するエマルジョン化手段と、前記エマルジョン中の前記有害物質を前記高粘度液と共に分解処理する分解処理手段とを備えたことを特徴とする。 【0018】第九番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目の発明において、前記高粘度液の粘度が5PaS以上であることを特徴とする。 【0019】第十番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目または第九番目の発明において、前記エマルジョン化手段が、3PaS・25℃以下の粘度の前記エマルジョンを製造することを特徴とする。 【0020】第十一番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目から第十番目の発明のいずれかにおいて、前記エマルジョン化手段が、平均粒径1〜100μmの油滴の前記エマルジョンを製造することを特徴とする。 【0021】第十二番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目から第十一番目の発明のいずれかにおいて、前記エマルジョン化手段が、前記エマルジョンに対して前記界面活性剤を2重量%以下添加して前記エマルジョンを製造することを特徴とする。 【0022】第十三番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目から第十二番目の発明のいずれかにおいて、前記界面活性剤が、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤のうちの少なくとも一つであることを特徴とする。 【0023】第十四番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目から第十三番目の発明のいずれかにおいて、前記有害物質が、ハロゲン化有機化合物を含んでいることを特徴とする。 【0024】 【発明の実施の形態】本発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法及びそのシステムの実施の形態を図1,2を用いて説明する。図1は、難分解性有害物質含有高粘度液処理システムの概略構成図、図2は、水熱分解装置の概略構成図である。なお、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。 【0025】図1に示すように、本実施の形態にかかる難分解性有害物質含有高粘度液処理システム100は、難分解性の有害物質を含有する高粘度液1を水2および界面活性剤3と混合してエマルジョン化させるエマルジョン化手段である乳化装置110と、エマルジョン4中の難分解性の有害物質を上記高粘度液1と共に分解処理する分解処理手段である水熱分解装置120とを備えている。 【0026】前記乳化装置110は、高剪断型の攪拌混合機を備え、上記高粘度液1を水2および界面活性剤3と混合して水中油滴型のエマルジョン4を製造することができるものである。 【0027】前記水熱分解装置120は、図2に示すように、筒形状の一次反応器121と、燃焼用の油120a、前記エマルジョン4、水酸化ナトリウム120c、水120dをそれぞれ貯蔵する貯蔵タンク122a〜122dと、上記油120a、前記エマルジョン4、水酸化ナトリウム120c、水120dをそれぞれ加圧して一次反応器121内に送給する加圧ポンプ123a〜123dと、水120dと水酸化ナトリウム120cとの混合液を予熱する予熱器124aと、当該混合液と上記油120aとを混合する混合器124bと、例えば配管を巻いた構成の二次反応器121aと、冷却器125および減圧弁126とを備えている。また、減圧弁126の下流には、気液分離器127が配置されており、排ガス(CO2 )120fは、活性炭槽128aを介して煙突128bから外部へ排出され、排水(H2 O,NaCl)120gは、排水タンク128cに貯蔵され、必要に応じて別途処理された後に外部へ放出される。また、酸素120eを貯蔵する貯蔵タンク122eは、高圧酸素供給設備123eを介して一次反応器121に連結されている。なお、必要に応じて、例えば、一次反応器121を複数並設したり、二次反応器121aを省略したりすることも可能である。 【0028】なお、上記有害物質としては、例えば、PCB類やダイオキシン類等のような難分解性のハロゲン化有機化合物を始めとして、農薬や医薬や化学兵器や環境ホルモン等が挙げられる。 【0029】また、上記高粘度液1は、5PaS以上の粘度を有する液体であり、例えば、アスファルトやタール(プラスチックス等の高分子材料の加熱残渣を含む)等が挙げられる。 【0030】上記界面活性剤3としては、乳化能を発現するものであれば、陰イオン系、陽イオン系、両性、非イオン系等のいずれのタイプのものでも単独または複数組み合わせて適用することができるが、特に、アルキルベタイン等のような陽イオン系界面活性剤及び両性界面活性剤や、ノニルフェニルエトキシレート等のような非イオン系界面活性剤を適用すると好ましい。 【0031】このような難分解性有害物質含有高粘度液処理システム100を使用する難分解性有害物質含有高粘度液処理方法を次に説明する。 【0032】まず、前記乳化装置110により、前記高粘度液1を水2および界面活性剤3と混合攪拌して水中油滴型のエマルジョン4を製造する(エマルジョン化工程)。 【0033】ここで、上記エマルジョン4は、前記水熱分解装置120の貯蔵タンク122b内から加圧ポンプ123bを介して一次反応器121内に配管を介して効率よく送給できるようにすると共に、分解反応を効率よく進行させるため、界面活性剤3が、2重量%以下(好ましくは0.05〜1重量%)添加されて、粘度が、3PaS(3000cP/100-S)・25℃以下(好ましくは、0.01〜1PaS(10〜1000cP/100-S)・25℃)に調整され、油滴の平均粒径が、1〜100μm(好ましくは5〜50μm)に調整される。 【0034】このように製造されて前記水熱分解装置120の貯蔵タンク122b内に貯蔵されたエマルジョン4は、加圧ポンプ123bを介して一次反応器121内に送給されて、前記油120a、水酸化ナトリウム120c、水120d、酸素120eと共に高温高圧環境下で水熱分解される(分解処理工程)。 【0035】具体的には、前記水熱分解装置120において、加圧ポンプ123a〜123dによる加圧により一次反応器121内は、約26MPaまで昇圧される。また、予熱器124aは、水120dおよび水酸化ナトリウム120cの混合液を300℃程度に予熱する。また、一次反応器121内には酸素120eが噴出しており、内部の反応熱により370℃〜400℃まで昇温する。この亜臨界状態の水熱中で析出した炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )の結晶とエマルジョン4中の有害物質(例えばPCB類)とが反応し、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、CO2およびH2Oに分解される。続いて、二次反応器121aからの流体は、冷却器125で100℃程度に冷却された後に減圧弁126で大気圧にまで減圧され、気水分離器127で排ガス(CO2および水蒸気)120fと排水120gとに分離される。排ガス120fは、活性炭槽128aを介して煙突128bから環境中に排出される。 【0036】ここで、一次反応器121及び二次反応器121a内での水熱分解反応についてPCBを例にして説明する。 【0037】まず、反応開始時には油、有機溶剤等が酸化剤供給源から塔内に供給される酸化剤(本実施形態では酸素を使用する)により酸化され二酸化炭素を生成する。例えば、有機溶剤としてトルエン(C6 H5 CH3 )を使用した場合を例にとると、C6 H5 CH3 +9O2 →4H2 O+7CO2 の反応によりCO2 が生成する。この酸化反応は発熱反応であり、これにより系内の温度は上昇し、それに応じて圧力も上昇する。本実施の形態では、一次反応器121内の温度、圧力はそれぞれ370℃、26MPa程度に維持した場合に最もPCBの分解率が向上することが判明している。 【0038】上記により生成したCO2 は、一次反応器121内に供給された水酸化ナトリウムと反応し炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )を生成した後、当該炭酸ナトリウムは、PCBと反応してPCBを脱塩及び酸化分解する。 【0039】 2NaOH+CO2 →Na2 CO3 +H2 O …(A) C12H6 Cl4 +12.5O2 +2Na2 CO3 →4NaCl+3H2 O+14CO2 …(B) 【0040】上記(B)の反応により生じたCO2 は、さらに上記(A)の反応によりNaOHと反応し、上記(B)の反応に必要とされるNa2 CO3 を生成するようになる。なお、上記は塩素数4のPCBの場合であるが、他の塩素数のものについても同様な反応を生じ、PCBがH2 O、CO2 、NaClに分解される。 【0041】ところで、上記(B)のPCB分解反応においては、炭酸ナトリウム(Na2CO3 )は反応剤として作用する他に、上記(B)の分解反応を促進する触媒としても作用する。また、上記(B)の分解反応は、アルカリ環境下(例えばpH10以上)で促進されることが判明している。 【0042】すなわち、上記水熱分解は、熱水中で炭酸ナトリウム(Na2CO3)の結晶を析出させ、この結晶の高い表面活性によりPCBの塩素(Cl)と反応することでNaClを生成する工程(脱塩素反応)と、脱塩素後のPCBおよび油分を酸化して二酸化炭素と水に分解する工程(酸化分解反応)とから構成されているのである。 【0043】このような上記水熱分解においては、炭酸ナトリウムを用いていることから、PCBから分離したClが腐食性の高いHClではなく無害のNaClとなるため、環境中に排出することが可能になる。 【0044】上記水熱分解装置120によれば、現在でのPCBの排出基準値(3ppb)以下の0.5ppb以下まで分解でき、完全分解ができる。これによりPCBを含有する天然有機物1の完全処理が可能となり、PCBの完全消滅が可能となる。 【0045】このように、上記水熱分解装置120を用いることにより、PCBを熱水中で確実に分解することができるのはもちろんのこと、PCB中に含まれるダイオキシン類を始めとして、PCBを含有するアスファルトやタール等の高粘度液1も分解することができる。 【0046】なお、上記水熱分解方法は本願出願人により既に開示されており、詳しくは特開平11−639号公報、特開平11−253795号公報等を参照されたい。 【0047】したがって、本実施の形態によれば、難分解性の有害物質を含有する高粘度液1を配管に流通させて一次反応器122内に送給することが容易にできると共に、加圧ポンプ123bの吐出能力を安定化させることができるので、上記有害物質の分解処理効率の低下を防止することができ、上記高粘度液1を確実かつ容易に無害化処理することができる。 【0048】また、エマルジョン4の特性を上述したようにしたので、エマルジョン4の搬送効率および高粘度液1の分解効率を向上させることができ、難分解性の有害物質を迅速的かつ効率的に分解処理することができる。 【0049】また、エマルジョン4を混合器124bで油122aや水120d等と共に混合することなく一次反応器121内に直接供給するようにしたので、エマルジョン4の前記特性を一次反応器121内への供給直前まで維持することができ、エマルジョン4の搬送効率の低下を防止することができる。 【0050】なお、上述した実施の形態では、分解処理手段として本願出願人による水熱分解装置140を適用したが、本発明においては、同原理を実施できる水熱分解装置であればどのような構造であっても適用可能である。 【0051】また、上述した実施の形態では、分解処理方法として水熱分解法を適用したが、これに代えて、超臨界水酸化法を適用することも可能である。この超臨界水酸化法は、高圧ポンプにより臨界圧力以上に水を加圧し、この中に前記エマルジョン4を投入し、酸化剤によって酸化分解するものである。このような超臨界水酸化法によれば、水熱分解法と同様に、極めて短時間で高い反応効率が得られると共に、ダイオキシン類等の有害物質が再合成されることがないという利点がある。 【0052】さらに、上述した水熱分解や超臨界水酸化法以外にも、前記エマルジョン4を分解処理することができる各種の公知の分解処理手段であれば、上述した実施の形態の場合と同様にして適用することができる。しかしながら、エマルジョン4を連続して完全分解処理するような場合には、上記水熱分解処理装置120を用いると好ましい。 【0053】 【発明の効果】第一番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、難分解性の有害物質を含有する高粘度液を無害化処理する難分解性有害物質含有高粘度液処理方法であって、前記高粘度液を水および界面活性剤と混合してエマルジョン化するエマルジョン化工程と、前記エマルジョン中の前記有害物質を前記高粘度液と共に分解処理する分解処理工程とを行うことから、難分解性の有害物質を含有する高粘度液を配管内で流通させることが容易にできるので、上記有害物質の分解処理効率の低下を防止することができ、上記高粘度液を確実かつ容易に無害化処理することができる。 【0054】第二番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目の発明において、前記高粘度液の粘度が5PaS以上であるので、上述した効果を最も発現することができる。 【0055】第三番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目または第二番目の発明において、前記エマルジョン化工程が、3PaS・25℃以下の粘度の前記エマルジョンを製造するので、エマルジョンの搬送効率および高粘度液の分解効率を向上させることができ、難分解性の有害物質を迅速的かつ効率的に分解処理することができる。 【0056】第四番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目から第三番目の発明のいずれかにおいて、前記エマルジョン化工程が、平均粒径1〜100μmの油滴の前記エマルジョンを製造するので、エマルジョンの搬送効率および高粘度液の分解効率を向上させることができ、難分解性の有害物質を迅速的かつ効率的に分解処理することができる。 【0057】第五番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記エマルジョン化工程が、前記エマルジョンに対して前記界面活性剤を2重量%以下添加して前記エマルジョンを製造するので、エマルジョンの搬送効率および高粘度液の分解効率を向上させることができ、難分解性の有害物質を迅速的かつ効率的に分解処理することができる。 【0058】第六番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目から第五番目の発明のいずれかにおいて、前記界面活性剤が、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤のうちの少なくとも一つであるので、エマルジョンの搬送効率および高粘度液の分解効率を向上させることができ、難分解性の有害物質を迅速的かつ効率的に分解処理することができる。 【0059】第七番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方法は、第一番目から第六番目の発明のいずれかにおいて、前記有害物質が、ハロゲン化有機化合物を含んでいるので、上述した効果を最も発現することができる。 【0060】第八番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、難分解性の有害物質を含有する高粘度液を無害化処理する難分解性有害物質含有高粘度液処理システムであって、前記高粘度液を水および界面活性剤と混合してエマルジョン化するエマルジョン化手段と、前記エマルジョン中の前記有害物質を前記高粘度液と共に分解処理する分解処理手段とを備えたことから、難分解性の有害物質を含有する高粘度液を配管内で流通させることが容易にできるので、上記有害物質の分解処理効率の低下を防止することができ、上記高粘度液を確実かつ容易に無害化処理することができる。 【0061】第九番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目の発明において、前記高粘度液の粘度が5PaS以上であるので、上述した効果を最も発現することができる。 【0062】第十番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目または第九番目の発明において、前記エマルジョン化手段が、3PaS・25℃以下の粘度の前記エマルジョンを製造するので、エマルジョンの搬送効率および高粘度液の分解効率を向上させることができ、難分解性の有害物質を迅速的かつ効率的に分解処理することができる。 【0063】第十一番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目から第十番目の発明のいずれかにおいて、前記エマルジョン化手段が、平均粒径1〜100μmの油滴の前記エマルジョンを製造するので、エマルジョンの搬送効率および高粘度液の分解効率を向上させることができ、難分解性の有害物質を迅速的かつ効率的に分解処理することができる。 【0064】第十二番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目から第十一番目の発明のいずれかにおいて、前記エマルジョン化手段が、前記エマルジョンに対して前記界面活性剤を2重量%以下添加して前記エマルジョンを製造するので、エマルジョンの搬送効率および高粘度液の分解効率を向上させることができ、難分解性の有害物質を迅速的かつ効率的に分解処理することができる。 【0065】第十三番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目から第十二番目の発明のいずれかにおいて、前記界面活性剤が、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤のうちの少なくとも一つであるので、エマルジョンの搬送効率および高粘度液の分解効率を向上させることができ、難分解性の有害物質を迅速的かつ効率的に分解処理することができる。 【0066】第十四番目の発明による難分解性有害物質含有高粘度液処理方システムは、第八番目から第十三番目の発明のいずれかにおいて、前記有害物質が、ハロゲン化有機化合物を含んでいるハロゲン化有機化合物を含んでいるので、上述した効果を最も発現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社 【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番5号
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| 【出願日】 |
平成14年4月22日(2002.4.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078499 【弁理士】 【氏名又は名称】光石 俊郎 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−310789(P2003−310789A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月5日(2003.11.5) |
| 【出願番号】 |
特願2002−119182(P2002−119182) |
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