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【発明の名称】 ポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法と、ポリ塩化ビフェニルオイルの分解処理剤並びに再生資材
【発明者】 【氏名】貝塚 靖弘
【氏名】渡部 良治
【氏名】吉岡 純太郎
【課題】PCBを一旦無害成分に分解したのちは、再びPCBに戻ることがなく、資源として利用可能な反応生成物を生成させる。

【解決手段】化学分解処理と、粒状化処理と、熱分解処理とを順次行なう。化学分解処理は、植物油で表面がコーティングされた酸化カルシウムの粉末と、石英斑岩の粉末とを含む分解処理剤aを用い、CaOの分解作用と石英斑岩の発する遠赤外線とをPCBオイルbに作用させ、PCBオイルbを金属塩を含む粉末に分解する処理であり、粒状化処理は、化学分解処理によって生成された粉末dをペレットiに固化する処理であり、熱分解処理は、粒状化処理によって生成されたペレットiとガラスカレットjとをPCBの熱分解温度以上の温度で熱溶融させ、スラグkとしてペレットiとガラスカレットjを溶融一体化させる処理である。熱分解処理により得られたスラグkは、遠赤外線の放射体であり、各種建設資材、農業用資材等に広く利用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 化学分解処理と、粒状化処理と、熱分解処理とを有するポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法であって、化学分解処理は、CaOの分解作用と石英斑岩の発する遠赤外線とをポリ塩化ビフェニルオイルに作用させ、ポリ塩化ビフェニルオイルを、金属塩を含む粉末に分解する処理であり、粒状化処理は、化学分解処理によって生成された粉末をペレットに固化する処理であり、熱分解処理は、粒状化処理によって生成されたペレットとガラスカレットとをポリ塩化ビフェニルの熱分解温度以上の温度で熱溶融させ、スラグとしてペレットとガラスカレットを溶融一体化させる処理であり、熱分解処理により得られたスラグは、冷却後再生資材として再利用されるものであることを特徴とするポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法。
【請求項2】 化学分解処理は、CaOの発熱反応による熱を石英斑岩に作用させ、200℃以上に加熱された条件のもとで石英斑岩から遠赤外線を放射させてポリ塩化ビフェニルオイルを分解させる処理を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法。
【請求項3】 化学分解処理は、石英斑岩が放射するマイナスイオンをポリ塩化ビフェニルに作用させ、その還元作用によって、さらにポリ塩化ビフェニルを分解させる処理であることを特徴とする請求項1に記載のポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法。
【請求項4】 熱分解処理は、化学分解処理によって生成された粉末中に残留するかもしれないポリ塩化ビフェニルオイル成分を熱分解させる処理であることを特徴とする請求項1に記載のポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法。
【請求項5】 熱分解処理は、コークスを燃料とする溶融炉内で行われ、粒状化処理によって生成されたペレットは、溶融炉内に、投入すべき塩基度調整用を兼ねるものであることを特徴とする請求項1に記載のポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法。
【請求項6】 化学分解処理と、粒状化処理と、熱分解処理とを有するポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法であって、化学分解処理は、ポリ塩化ビフェニルオイルを化学変化させて金属塩を含む粉末に変化させ、熱分解処理に際して、その作業環境をポリ塩化ビフェニルオイルによる汚染から防止する処理であり、粒状化処理は、熱分解処理の前処理として化学分解処理によって生成された粉末をペレットに加工し、粉末の飛散を防止し、熱分解処理に際しその取扱いを容易にする処理であり、熱分解処理は、コークスを燃料とする溶融炉内にペレット化処理によって得られたペレットをガラスカレットとともに投入し、溶融炉内でポリ塩化ビフェニルの熱分解温度以上の温度で融合させる処理であり、ペレットはガラスと溶融一体化し、得られたスラグは、冷却後固形物として再利用されるものであることを特徴とするポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法。
【請求項7】 植物油で表面がコーティングされた酸化カルシウムの粉末と、石英斑岩の粉末とを含むポリ塩化ビフェニルオイルの分解処理剤。
【請求項8】 請求項1に記載のポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法において、熱分解処理によって得られたスラグは、遠赤外線の放射体であることを特徴とする再生資材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有害なポリ塩化ビフェニルオイル(PCB)を出発原料として有用な資源に再生させるポリ塩化ビフェニルオイルの資源化方法とポリ塩化ビフェニルオイルの分解処理剤並びに再生資材に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビフェニル(以下PCBという)オイルは、ビフェニル中に入った塩素の数や位置により種々の性質を示すが、一般に物理的性質に優れ、化学的に安定であるため、熱媒体や絶縁油などに用いられた。
【0003】しかし、PCBは、体内にとりこまれると分解が遅く、長時間残留し、毒性を発揮する。PCBは、現在は生産されていないものの、かつてトランスなどの機器の電気絶縁油などに多用されていたことから、PCBが用いられた既設の機器類の回収、廃棄処分をはじめ、また、環境に流出したPCBの処理、回収、処分はこれから始りであるといえる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】PCBの代表的な処分方法は、焼却である。PCBに限らず、有害化学物質の中には、焼却によって分解無害化できるものが多い。しかし、焼却処分によるときには、焼却処分途中でダイオキシンなどあらたな有害物質が生成されることがあって、高温燃焼処理技術の確立がもとめられるが、我が国においては、周辺環境の影響が懸念されることから焼却処理施設の立地が実現していないのが実状である。
【0005】PCBの無害化技術については、たとえば、「化学抽出分解法」という方法がインターネットのホームページ(東京電力株式会社 プレスリリース 「PCBの無害化処理技術の開発について」平成8年12月2日)(先行例1)に紹介されている。先行例1の方法は、PCBを含む絶縁油に溶媒を加え、PCBの塩素(Cl)を活性化させて水酸化ナトリウム(NaOH)と反応させることにより、PCBを全く無害の食塩(NaCl)とビフェニールに代えてしまう、という方法である。
【0006】この方法によるときには、・密閉された設備での処理が可能であり、周辺環境への影響が全く無い、低濃度(0.02%程度)から高濃度(70%程度)の絶縁油中のPCBの何れに対しても、初めて実処理レベルに適用が可能な高い分解性能を確認、・化学反応は、約200℃かつ常圧の条件下で行われるため安全な処理である、・反応において、有害物質の生成がなく、処理後は無害な絶縁油と食塩が残り、燃料油または再生絶縁油として再利用できる、という効果が強調されている。
【0007】確かに、PCBの無害化の処理だけでなく、反応生成物を資源として再利用を可能とした点で優れた構想の技術であると思われる。上記「化学抽出分解法」に関して、上記の開示内容だけでは全貌が明らかではないが、要するに、化学反応だけでPCBの無害化を実現しようとするものであるものと思われる。
【0008】一般に化学反応だけで100%の化学変化が生じているかどうかは必ずしも保証の限りではないのではないかという問題がある。例えば、残存PCBの量が安全基準を満たす量であっても、PCBが残存するという問題が解決されたわけではないからである。
【0009】このような問題を解決するための方法として、酸化カルシウムと、少なくとも二酸化ケイ素、マグネシウムを含有する処理剤を用い、Caの分解作用と発熱反応を利用してPCBオイルを、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの無害な塩素化合物に変化させてPCBを無害化する方法が提案された(USP5,744,689参照)。
【0010】しかしながら、上記処理方法によるときには、処理後においてもPCBの残留量に大きなばらつきがあるばかりでなく、また、PCBオイルは、一旦は無害な塩素化合物に分解されるものの、時間の経過と共にその分解物が再びPCBに戻るという現象が生ずることが分かった。そのような現象が生ずる理由は必ずしも明らかではないが、おそらくは、PCBの分解物の生成が一部不安定な結合によるものと考えられる。また、処理材の主成分である酸化カルシウム(生石灰)は、空気中の湿気を吸収し、その品質が低下して所期のPCBの分解作用が得られないという問題がある。
【0011】本発明の目的は、PCBを一旦無害成分に分解したのちは、再びPCBに戻ることがなく、資源として利用可能な反応生成物を生成させるPCBオイルの資源化方法とPCBオイルの分解処理剤並びにPCBオイルの資源化方法によって生成された再生資材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明によるPCBオイルの資源化方法においては、化学分解処理と、粒状化処理と、熱分解処理とを有するPCBオイルの資源化方法であって、化学分解処理は、CaOの分解作用と石英斑岩の発する遠赤外線とをPCBオイルに作用させてPCBオイルを金属塩を含む粉末に分解する処理であり、粒状化処理は、化学分解処理によって生成された粉末をペレットに固化する処理であり、熱分解処理は、粒状化処理によって生成されたペレットとガラスカレットとをPCBの熱分解温度以上の温度で熱溶融させ、スラグとしてペレットとガラスカレットを溶融一体化させる処理であり、熱分解処理により得られたスラグは、冷却後、再生資材として利用されるものである。
【0013】また、化学分解処理は、CaOの発熱反応による熱を石英斑岩に作用させ、200℃以上に加熱された条件のもとで石英斑岩から遠赤外線を放射させてPCBを分解させる処理を含むものである。
【0014】また、化学分解処理は、石英斑岩が放射するマイナスイオンをPCBオイルに作用させ、その還元作用によって、さらにPCBを分解させる処理である。
【0015】また、熱分解処理は、化学分解処理によって生成された粉末中に残留するかもしれないPCBオイル成分を熱分解させる処理である。
【0016】また、熱分解処理は、コークスを燃料とする溶融炉内で行われ、粒状化処理によって生成されたペレットは、溶融炉内に、投入すべき塩基度調整用を兼ねるものである。
【0017】また、化学分解処理と、粒状化処理と、熱分解処理とを有するPCBオイルの資源化方法であって、化学分解処理は、PCBオイルを化学変化させて金属塩を含む粉末に変化させ、熱分解処理に際して、その作業環境をPCBオイルによる汚染から防止する処理であり、粒状化処理は、熱分解処理の前処理として化学分解処理によって生成された粉末をペレットに加工し、粉末の飛散を防止し、熱分解処理に際しその取扱いを容易にする処理であり、熱分解処理は、コークスを燃料とする溶融炉内にペレット化処理によって得られたペレットをガラスカレットとともに投入し、溶融炉内でPCBの熱分解温度以上の温度で融合させる処理であり、ペレットはガラスと溶融一体化し、得られたスラグは、冷却後固形物として再利用されるものである。
【0018】また、本発明によるPCBオイルの分解処理剤においては、植物油で表面がコーティングされた酸化カルシウムの粉末と、石英斑岩の粉末とを含むPCBオイルの分解処理剤である。
【0019】また、上記資源化方法によって得られた再生資材であって、熱分解処理によって得られたスラグは、遠赤外線の放射体である。
【0020】本発明は、PCBオイルを二段階処理によって無害化し、かつ再資源として利用可能な生成物を副生させるものである。前段処理は、化学分解処理と粒状化処理であり、後段処理は、熱分解処理である。
【0021】化学分解処理は、CaOの分解作用と、発熱反応による熱および石英斑岩の発する遠赤外線をポリ塩化ビフェニルオイルに作用させることにより、PCBオイルを、化学変化させて金属塩を含む粉末を生成させる処理であり、後段処理の作業環境をPCBオイルによる汚染から防止し、また、生成した粉末にペレット化処理を施すことによって、熱分解処理に際し、環境への飛散が阻止され、また、取扱いが容易となる。
【0022】後段処理は、ペレットの熱分解処理であり、ガラスカレットと融合一体化させる処理である。ペレットとガラスカラットとが溶融一体化して生成されたスラグは、これを冷却することにより光沢のある御影石様の固形物となる。固形物は、遠赤外線の放射体であり、粉砕或いは所要の形状に切り出すことによって資源として利用できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図によって説明する。本発明によるPCBオイルの資源化方法においては、前段処理と、後段処理との二段階処理によってPCBオイルを無害化し、再資源化を図るものである。前段処理は、化学分解処理と粒状化処理である。
【0024】本発明において、前段処理として行なう化学分解処理は、具体的には、CaOの分解作用と反応熱をPCBオイルに作用させ、同時にCaOの反応熱を利用して石英斑岩から強力な遠赤外線を放射させ、さらには石英斑岩から放射されるマイナスイオンの還元作用を作用させてPCBオイルを金属塩を含む粉末に分解する処理であり、少なくともPCB成分が不溶出の粉末を生成させる処理である。
【0025】化学分解処理には、植物油で表面がコーティングされた酸化カルシウム(CaO)の粉末と、石英斑岩の粉末とを主体とする分解処理剤を用いる。市販の酸化カルシウム(CaO)には、少量ながらNa、Mg、KなどがNaCO3、MgCO3、KCO3の形で含まれていることがあるが、これらの成分もCaOとともにPCBの化学反応に有効に利用することができる。
【0026】CaOの表面をコーティングする植物油は、CaOの急激な発熱反応を抑制するためのものであり、CaOに対する添加量は、1〜3%の範囲である。植物油の添加量が3%を越えて多すぎると、CaOの発熱反応が妨げられ、逆に1%より少ないと、急激な発熱反応を抑制できない。
【0027】石英斑岩は、遠赤外線およびマイナスイオンの放射体として用いるものである。表1に石英斑岩の科学成分と他のエネルギー鉱石との比較を示し、図6に自然石のマイナスイオンの1CCあたりの発生個数を示す。
【0028】
【表1】

【0029】石英斑岩は、エネルギー鉱石の中でもひときわ石英成分が多く、極めて多種の希元素鉱物を含む水晶に近い自然石である。石英斑岩は、100℃を越す熱源があると、4〜14μmの波長の遠赤外線を放射し、200℃になると放射エネルギーが最大となることが知られている。また、石英斑岩のマイナスイオンの発生数については、トルマリン(2000個/CC)をはるかに上回り、実に3000個/CCに達する。石英斑岩は、100℃越える熱源があると、4〜14μmの波長の遠赤外線を放射し、200℃になると放射エネルギーが最大になる。CaOに対する好ましい添加量は5〜15%である。
【0030】図1において、植物油で表面がコーティングされた酸化カルシウム(CaO)の粉末a1および石英斑岩a2を主体とする分解処理剤aに、PCBオイルbを充分に攪拌混合し、その後、水(H2O)cを添加する。水cの添加により、植物油で表面がコーティングされたCaOは、水と反応して、CaO+H2O=Ca(OH)2の反応が緩やかに進行し、100℃〜250℃の発熱温度のもとでPCBオイルbを分解し、分離した塩素(Cl)と結合してPCBが不溶出の粉末dとなる。
【0031】一方、石英斑岩の粉末は、CaOの反応熱を石英斑岩に作用させることにより100℃以上の温度を石英斑岩に作用させることにより、特に200℃以上の温度を作用させることによって、その温度条件のもとで石英斑岩から強力な遠赤外線を放射させてPCBを分解させることが可能となり、同時に石英斑岩から発せられるマイナスイオンの還元作用によって、PCBのほか、PCBオイルに含まれる環境汚染物質は強力に分解処理され、少なくともPCB成分が不溶出の粉末となる。
【0032】なお、分解処理剤中にMgOが含まれているときには、Mg(OH)2となって発熱する。その後、Ca(OH)2は、大気中のCO2を吸収して炭酸化反応が進行し、最終的には、疎水性のカルシウムであるCa(OH)2と、食塩NaClと、石英斑岩の粉末を含む反応済粉末eとなる。
【0033】分解処理剤a中に、CaOのほかに、Na、Mg、KなどがNaCO3、MgCO3、KCO3の形で含まれているときには、Na、Mg、K、CaがClと結合して、これらがMgCl、KCl、CaClを含む粉末となって、PCBの分解が完了する。
【0034】化学分解処理によって、生成された粉末eには、次に粒状化処理のためにセメントfを添加し、適量の水gと混練して固化し、その固化物hを、適宜の大きさのペレットiに加工する。化学分解処理によって生成された粉末をペレットiに加工するのは、後段の熱分解処理の際に、粉末の飛散による粉塵の発生を防止するためであり、その大きさが問題ではない。
【0035】後段処理として行なう、熱分解処理は、粒状化処理によって得られたペレットiとガラスカレットjとを溶融炉内で、PCBの熱分解温度以上の温度で熱処理して溶融一体化させる処理である。熱分解処理は、コークスを燃料とする溶融炉内で行うのが好ましい。
【0036】ペレットiとガラスカレットjとを溶融炉内に投入し、溶融炉内に充填されたコークスに羽口から酸素富化高温空気を圧入すると、炉内に1700℃〜1800℃の高温が得られ、ペレットiとガラスカレットjとの混合物をコークス充填層内に比較的長い時間滞留させて化学分解処理によって生成された粉末中に残留するかもしれないPCBオイル成分を完全に熱分解してペレットとガラスカレットが溶融一体化したスラッグkが得られる。
【0037】なお、熱分解処理において、コークスを燃料とする溶融炉を用いる場合に、粒状化処理によって生成されたペレットは、石灰石を含むため、溶融炉内に投入すべき塩基度調整用を兼ねることになり、石灰石を改めて投入する必要はない。
【0038】炉内に、得られたスラッグkは、適宜炉内から取出し、冷却すると、光沢のある御影石様の固形物lとなる。得られた固形物lは、必要によりスラッグ破石mに破砕して資源として利用する。上記処理によって最終的に得られた固形物あるいはスラグは、石英斑岩を含むため、強力な遠赤外線放射体である。最終処理によって得られた固形物は、植物の生育に適した4〜14μmの波長の遠赤外線を放射する。したがって、最終処理によって得られた固形物を消波ブロック、漁礁などに用いて海草、藻類の生育を促進し、浜焼けを防止できる効果が得られる。
【0039】また、スラッグ破石をアスファルト舗装の骨材に用いると、赤外線放射によって、その温度を約4℃上昇させることができる。本発明方法によって副生したスラッグ破石を骨材に用いたアスファルト道路に5Wの熱線ヒータを通してこれに通電すると、約20℃まで温度上昇させることが可能となり、融雪効果に優れた道路に施工できる。そのほか、前記スラッグ破石をビーズ状に加工してハウス栽培用の培地土に混合して、植物の生育に必要な好気性バクテリアを増殖でき、植物の育成を促進し、病害虫を防ぐ効果が得られる。
【0040】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。図2(a)において、植物油で表面がコーティングされた酸化カルシウム(CaO)の粉末と石英斑岩の粉末を主体とする分解処理剤aの50Kgを密封型ミキサー(例えば、ヘンシェルミキサー)1に投入し、分解処理剤aの層の中央部に窪みa1をつけてその窪みa1内に、PCBを含むトランスオイルbを50リットル投入した(図2(b))。
【0041】次いでミキサー1の蓋2を閉じ、攪拌羽根3を高速回転させて、分解処理剤aとトランスオイルbとを均一に攪拌・混合した(図2(c))。次に、攪拌羽根3の回転を停止させ、蓋2を開いて界面活性剤入りの水cを20リットルミキサー1内に注入した(図3(d))。
【0042】その後、ミキサー1の蓋2を閉じ、ミキサー1を密閉し、再び攪拌羽根3を高速回転させて1分間にわたり分解処理剤aとトランスオイルbとを攪拌・混合した(図3(e))。引き続き、攪拌羽根3を回転させつつミキサー1の底に備えた開閉弁4を開き、分解処理剤とトランスオイルとの混合物である粉末dをステンレス製のバット5内に取出した(図3(f))。
【0043】パット5内の混合物の粉末dからは時間の経過と共に水蒸気を発するようになり、混合物に水和反応が生じていることが分った。温度変化は、約60分間に渡って継続し、約30分経過後に最大温度約250℃(230℃〜260℃)に達した(図4(g))。なお、混合物から発生した水蒸気を分析したところすべて水の蒸発による蒸発水であって、PCBは全く検出されなかった。
【0044】その後、反応が停止し、バット5内には分解処理剤とトランスオイルとの反応物である粉末eが得られた(図4(h))。
【0045】図7に、化学分解処理後の反応済粉末eについて、PCB濃度の経時変化を示す。実線にて示す曲線Aは、酸化カルシウム(CaO)の粉末および石英斑岩を主体とする分解処理剤を用いた例、破線にて示す曲線Bは、石英斑岩を添加しないで酸化カルシウム(CaO)の粉末を主体とする分解処理剤を用いた例である。
【0046】両曲線A,Bを比較して分かるように石英斑岩を添加しない分解処理剤を用いたときには、曲線BのようにPCBの濃度が4ppmから日にちの経過と共に次第に減少してゆくものの、0.5ppm以下には下がらず、しかも約70日を経過後は逆に濃度が上昇に転ずるのに対し、分解処理剤に石英斑岩の粉末が混入されている曲線Aによれば、化学分解処理後急激にPCB濃度が低下し、日にちの経過と共にPCB濃度は限りなく「ゼロ」に近づき、再びPCB濃度が上昇することはなかった。
【0047】次に、粒状化処理として、得られた粉末をミキサー1に入れ、水gとセメントfとを加えて攪拌、混練し(図4(i))、ミキサー1内に得られた混練物を型枠6内に流し込み、表面を平坦に均した(図4(j))。型枠6内に流し込んだ混練物を一定時間養生し、これを固化させた(図4(k))。
【0048】得られた固化物hを型枠6から脱型し、クラッシャーで1〜3cmの大きさのペレットiに粉砕した。得られたペレットiと、ガラスカレット(色ガラスなどのくずガラス)jとを溶融炉7内に投入し、コークス8を燃料とし、酸素富化空気9を炉内に送り込んで1700℃〜1800℃の高温下にペレットとガラスカレットとの混合物をさらして溶融させ、そのスラグkを湯口より冷却水10で冷やしたパレット内に排出した(図5(l))。
【0049】スラグはパレット11内で冷却・固化した。次に、得られた固形物lをクラッシャーで砕石状に破砕し(図5(m))、破砕によって得られたスラッグ砕石mを最終的に篩にかけて粒度調整してスタックヤードに貯蔵した(図5(n))。
【0050】スラッグ砕石は、強力な遠赤外線放射体であった。その有効利用基準に関し、ダイオキシン類は、検出限界以下、重金属は、土壌環境基準以下であって、土木資材、建築資材、装飾品などの資材に活用できることが証明された。
【0051】
【発明の効果】以上のように本発明によるときには、基本的に、化学処理による前段処理と、熱処理による後段処理との2段階処理によって、大量の処理が可能であり、化学分解処理においては、CaOの分解作用と発熱反応および石英斑岩の発する遠赤外線を利用してトランスオイルなどに含まれるPCBを有効に分解して無害化すると共に副生した固形物を建築資材の原料として有効利用できる。特に本発明の処理によって得られた副生物は、強力な遠赤外線の放射体であるため、各種建設資材、農業用資材等に広く利用することができる。
【0052】また、本発明においては、化学分解処理によって生成した粉末を粒状化処理によってペレットに固化することによって、処理施設に粉塵を生じさせず、副生物の二次処理が不要であるばかりでなく、副生物を資材として有効利用を図ることができる。
【0053】しかも本発明によれば、熱分解処理に際し、粉末中に残留するかもしれないPCBを飛散させないため、後段処理である熱分解処理の作業環境が汚染されず、取扱いを容易に行なうことができる効果を有する。
【出願人】 【識別番号】392004646
【氏名又は名称】渡部 良治
【識別番号】300014174
【氏名又は名称】貝塚 靖弘
【識別番号】300035700
【氏名又は名称】吉岡 純太郎
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】 【識別番号】100075306
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 中
【公開番号】 特開2003−79760(P2003−79760A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−297587(P2001−297587)