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【発明の名称】 消火装置
【発明者】 【氏名】鈴木 博之
【住所又は居所】神奈川県相模原市田名3000番地 三菱重工業株式会社汎用機・特車事業本部内

【氏名】妻木 俊道
【住所又は居所】神奈川県相模原市田名3000番地 三菱重工業株式会社汎用機・特車事業本部内

【氏名】岡崎 隆
【住所又は居所】神奈川県相模原市田名3000番地 三菱重工業株式会社汎用機・特車事業本部内

【氏名】福家 康隆
【住所又は居所】神奈川県相模原市田名3000番地 三菱重工業株式会社汎用機・特車事業本部内

【要約】 【課題】車両本体の位置および方位を把握しやすく、遠隔操作を容易に行える消火装置を提供すること。

【解決手段】少なくとも放水手段と、階段または傾斜面を昇降可能に形成されたクローラ2とを車両本体1に備え、遠隔操作によって消火作業を行うように構成された消火装置において、車両本体1にはマスト7が立設され、その上端部には、マスト7内の冷却水12により冷却され、車両本体1の前部と前方下部の様子を視野に収める俯瞰カメラ6を設けた。俯瞰カメラ6は、自衛噴霧ノズル15からの冷却水12によっても冷却され、その光学情報は、マスト7内の光ファイバ11を介して車両本体1内のCCDカラーカメラ8に送られ、遠隔操作者がモニターできるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも放水手段と、階段または傾斜面を昇降可能に形成された走行手段と、を車両本体に備え、遠隔操作によって消火作業を行うように構成された消火装置において、前記車両本体にはマストが立設され、当該マストの上端部には、冷却可能に形成され、少なくとも当該車両本体の一部と前方下部の様子を視野に収める俯瞰撮影手段を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項2】 俯瞰撮影手段は、車両本体内に配設されたカメラ本体と、マスト内の上端部に配設された光学レンズ手段と、前記マスト内に配設され前記光学レンズ手段からの光学情報を前記カメラ本体に導く光ファイバ手段と、を備え、前記マスト内には、前記光学レンズ手段および前記光ファイバ手段を冷却する冷却水を流すための冷却水路を備えたことを特徴とする請求項1に記載の消火装置。
【請求項3】 マスト上端部には、マスト内の冷却水路から導かれた冷却水を自衛噴霧するノズル手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の消火装置。
【請求項4】 冷却水は、放水手段の消火用水の一部を分岐したものであることを特徴とする請求項2または3に記載の消火装置。
【請求項5】 俯瞰撮影手段は、立体映像とともに熱線映像を撮影可能に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の消火装置。
【請求項6】 マストは、少なくとも自身の高さを調節する高さ調節手段と、軸方向の回転量を調節する回転量調節手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の消火装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、消火装置に関し、さらに詳しくは、車両本体の位置および方位を把握しやすく、遠隔操作を容易に行える消火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】耐火建物や地下街等で火災が発生した場合、火災や濃煙熱気等により消防隊員が建物内部へ進入するのが困難な場合がある。このような火災現場において、遠隔操作により消火作業を行う自走式の消火装置が知られている。
【0003】図3は、従来の消火装置の一例を示す斜視図である。同図に示すように、消火装置の車両本体1には、内蔵バッテリーと交流サーボモータにより周回駆動するクローラ2と、消火対象物に放水する放水銃3と、この放水銃3に外部から消火水を供給するためのホース4と、立体映像や熱線映像を撮るためのカメラ5等とを備えている。
【0004】このカメラ5は、車両本体1上面の前部に固定され、いわゆるステレオカメラとして構成されており、車両本体1自身の前部は視野に入れず、車両本体1前方の視野のみが撮影対象となるように構成されている。
【0005】また、図示例を省略するが、この消火装置は、バッテリーや交流サーボモータ、減速機、パワーアンプ、消火水用配管、制御基板等を備えるとともに、可燃性ガスや酸素濃度、周囲温度、障害物を検出する各種センサを備えている。
【0006】なお、上記消火装置は、建物内の幅0.8m程度の階段(踊り場を含む)を走行させるために、装置全体の小型化を要請されており、たとえば全長が1.2m、全幅が0.7m、全高1.1m程度の大きさに構成されている。
【0007】カメラ5によって撮影された映像や各種センサからの情報は、安全な場所に配置された操作制御盤に有線または無線によって送信され、この情報に基づいて操作者が火災状況を把握して消火装置を遠隔操作によって運転し、放水等の消火活動を行う。
【0008】また、消火装置を階段から下降させる場合には、重心バランスを安定させるために、カメラ5からの映像を見ながら、車両本体1を階段の踊り場等で旋回反転させ、車両本体1の後部側から下降するように遠隔操作される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の消火装置のカメラ5は、車両本体1自身の前部は視野に入れず、車両本体1の前方視野のみが撮影対象となるように構成されているので、比較的障害物のないフロアや通路での走行および放水操作を行うことは容易である。
【0010】しかしながら、車両本体1を狭い階段の踊り場等で旋回させる場合には、前方視野情報のみでは車両本体1の位置および方位を把握しずらく、遠隔操作に多大な労力を要していたという課題があった。
【0011】この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両本体の位置および方位を把握しやすく、遠隔操作を容易に行える消火装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、この発明の請求項1にかかる消火装置は、少なくとも放水手段と、階段または傾斜面を昇降可能に形成された走行手段とを車両本体に備え、遠隔操作によって消火作業を行うように構成された消火装置において、前記車両本体にはマストが立設され、当該マストの上端部には、冷却可能に形成され、少なくとも当該車両本体の一部と前方下部の様子を視野に収める俯瞰撮影手段を備えたものである。
【0013】この俯瞰撮影手段によって少なくとも車両本体の一部(たとえば、車両本体の前部)と前方下部の状況とを同時に撮影できるので、車両本体を狭い階段の踊り場等で旋回させる場合であっても、操作者は車両本体の位置および方位を把握しやすく、遠隔操作を容易に行うことができる。また、俯瞰撮影手段は冷却可能に形成されているので、火災による高熱から保護される。
【0014】また、この発明の請求項2にかかる消火装置は、俯瞰撮影手段は、車両本体内に配設されたカメラ本体と、マスト内の上端部に配設された光学レンズ手段と、前記マスト内に配設され前記光学レンズ手段からの光学情報を前記カメラ本体に導く光ファイバ手段とを備え、前記マスト内には、前記光学レンズ手段および前記光ファイバ手段を冷却する冷却水を流すための冷却水路を備えたものである。
【0015】これにより、俯瞰撮影手段を簡易かつ低コストで構成できるとともに、その冷却手段も容易に構成できる。また、光ファイバ手段によって光学情報をカメラ本体に導くようにしたので、俯瞰撮影手段や他の構成要素の配置設計の自由度が増加する。
【0016】また、この発明の請求項3にかかる消火装置は、マスト上端部には、マスト内の冷却水路から導かれた冷却水を自衛噴霧するノズル手段を備えたものである。これにより、マスト外部からも俯瞰撮影手段を冷却することができ、火災による高熱からさらに確実に保護できる。
【0017】また、この発明の請求項4にかかる消火装置は、冷却水は、放水手段の消火用水の一部を分岐したものである。これにより、冷却水を圧送するための加圧手段を別途設ける必要がなくなり、簡易な構成にて高圧の冷却水を供給できる。
【0018】また、この発明の請求項5にかかる消火装置は、俯瞰撮影手段は、立体映像とともに熱線映像を撮影可能に形成されたものである。これにより、火災状況を多面的に把握でき、さらに迅速な消火活動を行うことができる。
【0019】また、この発明の請求項6にかかる消火装置は、マストは、少なくとも自身の高さを調節する高さ調節手段と、水平方向の回転角を調節する回転角調節手段とを備えたものである。これにより、さらにきめ細かな俯瞰画像を得ることができ、遠隔操作が容易になる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、この発明にかかる消火装置の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】図1は、この発明の実施の形態にかかる消火装置を示す要部斜視図、図2は、俯瞰カメラの要部を示す垂直断面図である。なお、以下の説明において、すでに説明した部材と同一もしくは相当する部材には、同一の符号を付して重複説明を省略または簡略化する。
【0022】図1に示すように、消火装置の車両本体1には、たとえば内蔵バッテリーと交流サーボモータにより周回駆動するクローラ2と、消火対象物に放水する放水銃(図示せず)と、この放水銃に外部から消火水を供給するためのホース(図示せず)と、車両本体1に立設された円筒状のマスト7の上端部に設けられ、車両本体1の前部と前方下部の状況とを同時に撮影する俯瞰カメラ6等とを備えている。
【0023】この俯瞰カメラ6は、車両本体1内に配設されたCCDカラーカメラ8と、マスト7内の上端部に配設されたレンズ9およびプリズム10と、マスト7内に配設され、レンズ9およびプリズム10からの光学情報(光路9aで示す)をCCDカラーカメラ8に導く光ファイバ11とを備えて構成されている。CCDカラーカメラ8は、車両本体1内で断熱保護されている。
【0024】俯瞰カメラ6の設置高さおよび視野角度は、上述したように、車両本体1の前部と前方下部の状況とを同時に撮影できるように設定されている。なお、レンズ9の周囲には、カバー7aが設けられており、また、このカバー7aの開口前面部にも図示しない保護透明板が設けられている。この保護透明板には、火災による粉塵や水蒸気等を除去するワイパー手段等を必要に応じて設けることができる。
【0025】マスト7内には、レンズ9、プリズム10および光ファイバ11を冷却する冷却水12を流すための冷却水路13を備えている。この冷却水12は、上記放水手段の消火用水の一部を分岐して冷却水路13に圧送されたものである。なお、レンズ9およびプリズム10は、屈折率の変化や冷却水12中の気泡等の影響を排除するために、図示しないカバー部材によって覆われている。
【0026】光ファイバ11は、マスト7内に設けられた支持板14によって固定されている。この支持板14には、冷却水12を流すための抜き穴14aが設けられている。なお、光ファイバ11によってレンズ9からの光学情報をCCDカラーカメラ8に導くようにしたので、俯瞰カメラ6や車両本体1内における構成機器の配置設計の自由度が増加する。
【0027】また、マスト7の上端部には、冷却水路13内の高圧の冷却水12を導水管17によってマスト7外部に導き、俯瞰カメラ6に噴霧して冷却するための自衛噴霧ノズル15が支持板16によって固定されている。
【0028】消火装置は、以上のように構成された俯瞰カメラ6およびマスト7等を備えることにより、簡易な構成にて車両本体1の前部と前方下部の状況とを同時に撮影できるので、車両本体1を狭い階段の踊り場等で旋回させる場合であっても、操作者は車両本体1の位置および方位を把握しやすく、遠隔操作を容易に行うことができる。
【0029】また、レンズ9、プリズム10および光ファイバ11は、マスト7の内部において冷却水12によって冷却されるとともに、マスト7の外部からも自衛噴霧ノズル15による冷却水12の噴霧によって冷却されるので、火災による高熱から保護される。
【0030】また、冷却水12は、上記放水手段の消火用水の一部を分岐して冷却水路13に圧送しているので、冷却水路13内で冷却水12を高圧で流すための加圧手段を別途設ける必要がない。
【0031】自衛噴霧ノズル15に導かれた冷却水12も、上記冷却水路13の高圧の冷却水12をバイパスして利用しているので、噴霧に必要な圧力も容易に確保でき、加圧手段を別途設けることなく、ノズル手段を設けるだけで確実に噴霧することができる。
【0032】以上のように、この実施の形態にかかる消火装置によれば、車両本体1に立設されたマスト7の上端部に自衛冷却可能な俯瞰カメラ6を設けたので、車両本体1を狭い階段の踊り場等で旋回させる場合であっても、車両本体1の位置および方位を把握しやすく、遠隔操作を容易に行うことができ、迅速かつ確実な消火活動を行うことができる。
【0033】なお、上記実施の形態においては、俯瞰カメラ6を、車両本体1の前部と前方下部の状況とを同時に撮影できるように構成するものとして説明したが、車両本体1の前部および前方下部に限定されず、車両本体1周囲の状況とともに車両本体1の一部(たとえば、側方や後方等)が同時に視野に収まるように構成されていればよい。また、この俯瞰カメラ6を複数設けてもよい。
【0034】また、俯瞰カメラ6は立体映像を撮影できるものとして説明したが、これに限定されず、周知・慣用技術により立体映像とともに熱線映像をも撮影できるように構成してもよい。これにより、火災状況を多面的に把握でき、さらに迅速な消火活動を行うことができる。
【0035】また、マスト7は車両本体1に固定されており、俯瞰カメラ6の高さおよび水平方向の回転角は固定であるものとして説明したが、これに限定されず、マスト7自身の高さを調節する高さ調節手段と、水平方向の回転角を調節する回転角調節手段とを周知・慣用技術により構成して備えてもよい。これにより、俯瞰カメラ6の高さおよび水平方向の回転角を調節でき、さらにきめ細かな俯瞰画像を得ることができるため、遠隔操作が容易になる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、この発明にかかる消火装置(請求項1)によれば、少なくとも放水手段と、階段または傾斜面を昇降可能に形成された走行手段とを車両本体に備え、遠隔操作によって消火作業を行うように構成された消火装置において、前記車両本体にはマストが立設され、当該マストの上端部には、冷却可能に形成され、少なくとも当該車両本体の一部と前方下部の様子を視野に収める俯瞰撮影手段を備えたので、車両本体を狭い階段の踊り場等で旋回させる場合であっても、操作者は車両本体の位置および方位を把握しやすく、遠隔操作を容易に行うことができる。また、俯瞰撮影手段は冷却可能に形成されているので、火災による高熱から保護される。
【0037】また、この発明にかかる消火装置(請求項2)によれば、俯瞰撮影手段は、車両本体内に配設されたカメラ本体と、マスト内の上端部に配設された光学レンズ手段と、前記マスト内に配設され前記光学レンズ手段からの光学情報を前記カメラ本体に導く光ファイバ手段とを備え、前記マスト内には、前記光学レンズ手段および前記光ファイバ手段を冷却する冷却水を流すための冷却水路を備えたので、俯瞰撮影手段を簡易かつ低コストで構成できるとともに、その冷却手段も容易に構成できる。また、光ファイバ手段によって光学情報をカメラ本体に導くようにしたので、俯瞰撮影手段や他の構成要素の配置設計の自由度が増加する。
【0038】また、この発明にかかる消火装置(請求項3)によれば、マスト上端部には、マスト内の冷却水路から導かれた冷却水を自衛噴霧するノズル手段を備えたので、マスト外部からも俯瞰撮影手段を冷却することができ、火災による高熱からさらに確実に保護できる。
【0039】また、この発明にかかる消火装置(請求項4)によれば、冷却水は、放水手段の消火用水の一部を分岐したので、冷却水を圧送するための加圧手段を別途設ける必要がなくなり、簡易な構成にて高圧の冷却水を供給できる。
【0040】また、この発明にかかる消火装置(請求項5)によれば、俯瞰撮影手段は、立体映像とともに熱線映像を撮影可能に形成されているので、火災状況を多面的に把握でき、さらに迅速な消火活動を行うことができる。
【0041】また、この発明にかかる消火装置(請求項6)によれば、マストは、少なくとも自身の高さを調節する高さ調節手段と、水平方向の回転角を調節する回転角調節手段とを備えたので、さらにきめ細かな俯瞰画像を得ることができ、遠隔操作が容易になる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番5号
【出願日】 平成14年4月22日(2002.4.22)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【公開番号】 特開2003−310780(P2003−310780A)
【公開日】 平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願番号】 特願2002−119695(P2002−119695)