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【発明の名称】 防火システムの評価システム、放射計、および、防火システムの評価方法
【発明者】 【氏名】佐藤 博臣
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】栗岡 均
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】辻 利秀
【住所又は居所】東京都品川区上大崎二丁目10番43号 ホーチキ株式会社内

【氏名】林 龍也
【住所又は居所】東京都品川区上大崎二丁目10番43号 ホーチキ株式会社内

【要約】 【課題】測定対象になる熱放射の出力を安定させ、正確な評価を行なうこと等ができる、防火システムの評価システム等を提供することを課題とする。

【解決手段】本発明にかかる防火システム10の評価システムは、対象領域1に放水を行って防火用の水幕Wを形成する防火システム10に関する評価システムであって、熱放射を行なう熱放射ヒータ20と、当該熱放射ヒータ20の熱放射を測定する放射計30とを、水幕Wを挟み得る対向位置に配置して構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対象領域に放水を行って防火用の水幕を形成する防火システムに関する評価システムであって、熱放射を行なう熱放射ヒータと、当該熱放射ヒータの熱放射を測定する放射計とを、上記水幕を挟み得る対向位置に配置したこと、を特徴とする防火システムの評価システム。
【請求項2】 対象領域に放水を行って防火用の水幕を形成する防火システムに関する評価システムに設けられるもので、熱放射を感知する感知手段と、上記感知手段または当該熱放射感知面の被覆部の周囲に設けられ、当該感知手段または当該被覆部に対して上記水が付着することを防止する防水機構と、を備えることを特徴とする放射計。
【請求項3】 上記防水機構は、少なくとも上記感知手段の熱放射感知面または当該熱放射感知面の被覆部を覆う防水カバーであって、当該熱放射感知面または当該被覆部に上記熱放射を導入するための窓部を有する防水カバーと、上記防水カバーの内圧を当該防水カバーの外圧に対して大きくすることにより、当該防水カバーの内部に対する上記水の浸入を防止する加圧手段と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の放射計。
【請求項4】 上記防水機構は、少なくとも上記感知手段の熱放射感知面または当該熱放射感知面の被覆部に気体を吹き掛けることにより、当該熱放射感知面または当該被覆部に対する上記水の付着を防止する気体噴射手段、を備えることを特徴とする請求項2に記載の放射計。
【請求項5】 上記防水機構は、上記感知手段の冷却面と、上記感知手段の熱放射感知面または当該熱放射感知面の被覆部とに気体を吹き掛けることにより、当該熱放射感知面または当該被覆部に対する上記水の付着を防止すると共に、当該感知手段を冷却する気体噴射手段、を備えることを特徴とする請求項2に記載の放射計。
【請求項6】 対象領域に放水を行って防火用の水幕を形成する防火システムに関する評価方法であって、熱放射を行なう熱放射ヒータと、当該熱放射ヒータの熱放射を測定する放射計とを、上記水幕を挟み得る対向位置に配置する配置手順と、上記熱放射ヒータによって熱放射を発生させる熱放射発生手順と、上記熱放射を上記放射計によって測定する測定手順と、を順次行なうことを特徴とする防火システムの評価方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象領域に放水を行って防火用の水幕を形成する防火システムの性能評価を行なうための、防火システムの評価システム、放射計、および、防火システムの評価方法、特に、遮炎性能評価用防火型放射計並びに熱放射ヒータの設置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、建物等の対象領域内に防水用の水幕(ウォータースクリーン)を形成する水幕式の防火システムが提案されている(本件出願人による特願2001−51520号参照)。この防火システムは、対象領域の天井に設けた放水ヘッドと、この放水ヘッドに水を加圧供給する水供給機構と、対象領域における火災発生を感知する感知機構とを備えて構成されている。そして、対象領域内で火災が発生したことが感知機構によって感知されると、水供給機構が起動されて放水ヘッドに水が供給され、この放水ヘッドから対象領域に対して水が粒子状に放出されて円錐状に拡散し、水幕が形成される。
【0003】このような水幕式の防火システムによれば、水幕によって対象領域を隔絶して防火区画を形成し、この防火区画に対して上記火災による炎や煙が浸入することを防止して、延焼等を防ぐことができる。また、このような防火システムによれば、防火ドア等によって防火区画を形成する場合とは異なり、人が水幕を通って防火区画の内外へ容易に往来できるので、避難活動や救助活動をスムーズに行うことができる。さらに、水幕と干渉する位置に障害物が存在していても、この障害物の形状に応じて水幕形状が変化するので、隔絶性を維持することができる。
【0004】ここで、従来、このような防火システムの性能評価を行なう場合には、火災模型を用いた熱放射測定を行なっていた。具体的には、木材やガスを燃やして火炎を形成し、この火炎から発生する熱放射を放射計で測定していた。このような測定を行なうことにより、火災からの熱放射が水幕でどの程度吸収されているのかを定量的に求め、防火システムの隔絶性を評価していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の防火システムの評価システムにおいては、次のような問題があった。すなわち、火炎の形状が変化してしまい、熱放射を測定領域全体において安定的に測定することが困難であった。例えば、図10の火炎の側面図に示すように、火炎F1の高さが時間に応じて位置h1、位置h2、位置h3のように順次変化していた。あるいは、図11の火炎の側面図に示すように、火炎F1の高さが位置h4、位置h5のように順次変化していた。さらに、このような火炎形状の変化は、火炎自身と周囲環境へ与える影響が起因する、火炎性状の周期的な変動によるところが大きい。
【0006】このため、位置h1と位置h3との間、あるいは、位置h4と位置h5との間を放射計の測定領域としている場合には、他の条件が同一の場合であっても、測定される熱放射の量が大きく異なることになり、防火システムの性能を正確に評価することが困難であった。図12は、測定時における経過時間(横軸)と、放射計の測定出力との関係を示すグラフである。この図12には、時間t100に火炎を形成した後、時間t101に水幕を形成した状態を示す。このような測定において、水幕形成前の放射計の測定出力と、水幕形成後の放射計の測定出力との比に基づいて、防火システムの能力を評価している。
【0007】しかしながら、上記のような理由により、水幕の形成前においても測定出力が大きく変動し(例えば、出力O100と出力O101)、また、水幕の形成後においても測定出力が大きく変動しているので(例えば、出力O102と出力O103)、測定出力の取得タイミングに応じて測定出力の比も大きく変わってしまい、正確な評価を行なうことが困難であった。
【0008】また、木材や液体燃料を燃やして火炎を形成した場合には、火災の発生時間が熱源の燃焼時間に依存してしまう。長時間の測定を行う場合には、可燃物を大きくしなければならず危険が生じた。結果として長時間の測定を行なうことが困難であった。
【0009】さらに、熱放射を測定する放射計には、測定面の素子を保護するための赤外線透過フィルタが設けられていたが、水幕の近傍で使用した場合にはその水粒子がフィルタに付着して白濁反応を生じさせてしまい、測定誤差を引き起こす原因になっていた。
【0010】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、測定対象になる熱放射の出力を安定させ、正確な評価を行なうこと等ができる、防火システムの評価システム、熱放射ヒータ、および、防火システムの評価方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、対象領域に放水を行って防火用の水幕を形成する防火システムに関する評価システムである。請求項1に記載の防火システムの評価システムは、熱放射を行なう熱放射ヒータと、当該熱放射ヒータの熱放射を測定する放射計とを、上記水幕を挟み得る対向位置に配置したことを特徴とする。
【0012】請求項1に記載のシステムによれば、放射面は一定形状であり、実火炎のような周期的変動による影響の発生確率はきわめて低い。そして、放水で形成する幕に対して常に予想範囲内の熱的負荷を与える。これは試験面として選択した領域の大きさや位置に関係しない。このような環境で上記水幕を挟み得る対向位置へ放射計を配置し、前記放射面からの熱放射が上記水幕により受ける変化を測定する。よって、防火システムの性能を正確に安定して測定することができる。
【0013】また、本発明は評価システムに用いる放射計に関するものである。請求項2に記載の放射計は、上記放出された水が上記感知手段または当該感知面の被覆部に水が付着することを防止する防水機構とを備えることを特徴とする。この機構は、熱放射の感知手段と当該感知面の被覆部を囲むように設けられる。なお、ここで、各請求項において「被覆部」とは、感知手段の熱放射感知面をカバーするカバー部を示す。例えば、熱放射感知面の前部に配置された赤外線透過フィルタである。
【0014】このような構造によれば、主に潮解性の物質で、また水に対する溶解性が低い材質で構成された赤外線透過フィルタに対し、強制的に水分を供給する経路を絶つことができる。そして、赤外線透過面の形が変わったり物性が変わったりすることがなくなる。その結果、本来透過するように設計された帯域の赤外線が感知手段に到達する。よって、上記防火システムの性能を正確に安定して測定することができる。
【0015】また、請求項3に記載の放射計は、請求項2に記載の放射計において、上記防水機構は、少なくとも上記感知手段の熱放射感知面または当該熱放射感知面の被覆部を覆う防水カバーであって、当該熱放射感知面または当該被覆部に上記熱放射を導入するための窓部を有する防水カバーと、上記防水カバーの内圧を当該防水カバーの外圧に対して大きくすることにより、当該防水カバーの内部に対する上記水の浸入を防止する加圧手段とを備えることを特徴とする。
【0016】請求項3に記載の放射計によれば、外部大気を防水カバーへ流入させる。カバー内圧力が高まると、測定用に設けられた窓部から外部へ向けて流れが生じる。この状態は、空気流入の手段が作動する限り保持される。その結果、水粒子そのもの、または水分を多量に含んだ大気が観測用窓から流入するのを防止する。よって、上記防火システムの性能を正確に安定して測定することができる。
【0017】また、請求項4に記載の放射計は、請求項2に記載の放射計において、上記防水機構は、少なくとも上記感知手段の熱放射感知面または当該熱放射感知面の被覆部に気体を吹き掛けることにより、当該熱放射感知面または当該被覆部に対する上記水の付着を防止する気体噴射手段を備えることを特徴とする。
【0018】請求項4に記載の放射計によれば、感知手段の熱放射感知面または被覆部に気体を吹き掛けることで、放射感知面または被覆部に対する水の付着が防止される。したがって、防水カバーを省略でき、放射計の構成を簡素化することができる。
【0019】また、請求項5に記載の放射計は、請求項2に記載の放射計において、上記防水機構は、上記感知手段の冷却面と、上記感知手段の熱放射感知面または当該熱放射感知面の被覆部とに気体を吹き掛けることにより、当該熱放射感知面または当該被覆部に対する上記水の付着を防止すると共に、当該感知手段を冷却する気体噴射手段を備えることを特徴とする。
【0020】これは防水機構の構成の他の例を一層具体的に示すものであり、この放射計によれば、感知手段の熱放射感知面または被覆部に気体を吹き掛けることで、放射感知面または被覆部に対する水の付着が防止されると共に、感知手段の冷却面に対して気体を吹き掛けることで、感知手段を冷却することができる。したがって、防水カバーに加えて冷却部を省略することができ、放射計の構成を一層簡素化することができる。
【0021】また、本発明は防火システムの評価方法に関するものであり、対象領域に放水を行って防火用の水幕を形成する防火システムに関する評価方法であって、熱放射を行なう熱放射ヒータと、当該熱放射ヒータの熱放射を測定する放射計とを、上記水幕を挟み得る対向位置に配置する配置手順と、上記熱放射ヒータによって熱放射を発生させる熱放射発生手順と、上記熱放射を上記放射計によって測定する測定手順とを順次行なうことを特徴とする。
【0022】この方法によれば、周期的な変動や風による影響を受けることなくほぼ一定形状で安定した熱放射を発生させることができるので、防火システムの性能を正確に安定して測定することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、本発明にかかる防火システムの評価システム、放射計、および、防火システムの評価方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0024】〔評価システムの構成〕まず、第1の実施の形態について説明する。最初に、評価システムの構成について説明する。図1は本実施の形態にかかる防火システムおよび評価システムを設置した対象領域の平面図、図2は図1の側面図である。これら図1、2に示すように、防火対象になる対象領域1には、防火システム10と、評価システムを構成する熱放射ヒータ20および放射計30とが設置されている。
【0025】〔防火システム10の構成〕このうち、防火システム10は、対象領域1の天井に設けた複数の放水ヘッド11と、この放水ヘッド11に水を加圧供給する図示しない水供給機構と、対象領域1における火災発生を感知する図示しない感知機構とを備えて構成されている。そして、対象領域1内で火災が発生したことが感知機構によって感知されると、水供給機構が起動されて複数の放水ヘッド11に水が供給され、これら複数の放水ヘッド11から対象領域1に対して水が粒子状に放水される。
【0026】これら複数の放水ヘッド11は列状に配置されており、1以上(図1においては2列)の放水列12、13が形成されている。これら各放水列12、13の各放水ヘッド11から放水された水は円錘状に拡散し、同一放水列12、13内において隣接する放水ヘッド11から放水された水同士が相互に接し、あるいは、放水ヘッド11から放水された水が対象領域1の壁面2に接して、放水列12、13に沿って連続した水幕(図1、2において符号W)が形成される。そして、この水幕を境界として、対象領域1が防火区画3と防火区画4とに区分される。
【0027】〔評価システムの構成−熱放射ヒータ20〕また、評価システムを構成する熱放射ヒータ20は、防火システム10の性能評価用の熱放射を行なうものである。
【0028】ヒータ本体は、電気等をエネルギー源として熱放射を行なうもので、その具体的な構造は任意であるが、例えば、セラミックス内部にニクロム線を挿通させて構成され、このニクロム線に通電して発熱させることによってセラミックスを加熱してその熱放射面から赤外線を発生させる赤外線ヒータを用いることができる。このため、安定した強度で熱放射を発生させることができる。また、このような熱放射ヒータ20によれば、実火災を用いた場合と同様の熱放射を得ることができる。
【0029】特に、本実施の形態においては、取り扱う熱放射の波長を、2μm〜10μmの近赤外中赤外(普通赤外)の帯状としている。これは、実火炎における特徴的な帯域を2.3μm付近〜4.3μm付近と判断し、この帯域を含んだ熱放射を行うためである。
【0030】〔評価システムの構成−放射計30〕次に、評価システムを構成する放射計30について説明する。この放射計30は、熱放射ヒータ20の熱放射を測定するものであり、図3に示すように、センサー部31と、防水機構32とを備えて構成されている。
【0031】このうち、センサー部31は、熱放射を感知する感知手段であり、図4の分解斜視図に示すように、熱放射の感知素子を有する感知部33と、この感知部33の熱放射感知面31aを保護する被覆部としての赤外線透過フィルタ34と、感知部33を耐用温度(例えば、50度以下)に冷却する冷却部35とを備えて構成されている。このようなセンサー部31としては、例えば、広帯域放射計(起電力形、熱伝導形、焦電形、光起電力形)や、狭帯域放射温度計(光電管形)を用いることができる。
【0032】また、防水機構32は、センサー部31の周囲に設けられ、当該センサー部31に対して上記水幕の水が付着することを防止する。この防水機構32は、図3に示すように、防水カバー36と噴射ノズル37とを備えて構成されている。このうち、防水カバー36は、少なくとも図4のセンサー部31の熱放射感知面31aまたは赤外線透過フィルタ34を覆うものである。この防水カバー36の具体的な形状や材質は特記する場合を除いて任意であるが、硬質樹脂等によって、センサー部31を全体的に覆う方形箱状に形成することができる。この防水カバー36には、熱放射ヒータ20からの熱放射を熱放射感知面31aまたは赤外線透過フィルタ34に導入するための窓部36aが形成されており、当該防水カバー36によって放射計30による熱放射の感知が妨げられないようにされている。
【0033】また、噴射ノズル37は、防水カバー36の内圧を当該防水カバー36の外圧に対して大きくすることにより、当該防水カバー36の内部に対する上記水幕の水の浸入を防止する加圧手段である。この噴射ノズル37の先端部は、防災カバーの内部に配置されており、図示しない加圧源から乾燥空気が噴射ノズル37に加圧供給され、先端部から防水カバー36の内部に噴射される。このように噴射された空気は、窓部36aから流出する分を除いて、防水カバー36の内部に保持されるので、防水カバー36の内圧を当該防水カバー36の外圧に対して大きくすることができ、水幕を形成した際に発生する水の粒子等が、窓部36a等から防水カバー36の内部に浸入することを防止できる。
【0034】〔評価システムの構成−熱放射ヒータ20および放射計30の配置〕次に、これまで説明した熱放射ヒータ20および放射計30の配置について説明する。これら熱放射ヒータ20および放射計30は、図1、2に示すように、防火システム10によって形成される水幕Wを挟み得る対向位置に配置されている。すなわち、放射計30(その熱放射感知面31a)は、熱放射ヒータ20(その熱放射面21a)の正面方向の延長線上であり、かつ、水幕形成時に当該水幕Wを熱放射ヒータ20との間で挟む位置に配置されている。このことにより、熱放射ヒータ20からの熱放射が放射計30によって測定可能になると共に、水幕Wの形成前には当該水幕Wの影響を受けない状態の熱放射が放射計30によって測定され、水幕Wの形成後には当該水幕Wの影響を受けた状態の熱放射が放射計30によって測定される。
【0035】ここで、熱放射ヒータ20や放射計30の具体的な配置位置は、種々変更することができる。例えば、図5の対象領域の側面図に示すように、P1の如き水幕の非重複位置、P2〜P4の如き水幕の重複範囲において高さが異なる位置、P5〜P8の如き水幕の非重複範囲において高さが異なる位置等、重複状態や高さの異なる位置に配置することができる。また、これら各位置において測定を行い、相互の測定結果を比較等することで、水幕の重複による影響等を把握することもできる。
【0036】あるいは、平面的には、これら熱放射ヒータ20から放射計30に至る方向と放水列12、13の方向とが相互に直交するように、熱放射ヒータ20および放射計30が配置されているが、当該両方向が斜交するように配置することも可能である。また、同様に高さ方向に関しても、本実施の形態においては、熱放射ヒータ20から放射計30に至る方向が略水平になるように配置されているが、当該方向が非水平状になるように配置することも可能である。
【0037】〔評価方法〕次に、このように構成した評価システムを用いた防火システム10の評価方法について説明する。まず、上述したように、評価員が、熱放射ヒータ20と放射計30とを、水幕を挟み得る対向位置に配置する(配置手順)。その後、熱放射ヒータ20の電源をONすることによって、熱放射を発生させる(熱放射発生手順)。そして、熱放射を放射計30によって測定する(測定手順)。ここで、測定手順の前に、防火システム10を起動または停止させることにより、水幕を形成または消滅させた状態で熱放射を測定し、水幕形成前後の比を算定する。このような手順によれば、熱放射ヒータ20を用いた安定的な評価を行なうことができる。
【0038】さて、上述のように熱放射発生から測定に至るまでの一連の工程は、評価員の手動操作によって行なうこともできるが、防火システム10、熱放射ヒータ20、および、放射計30に接続した図示しない制御装置を介して自動的に行なうこともできる。以下、その自動測定処理について説明する。図6は自動測定処理のフローチャート、図7は自動測定時における経過時間(横軸)と、放射計30の測定出力との関係を示すグラフである。
【0039】図6、7に示すように、配置手順後、記録開始によって(S−1)、制御装置の制御部は、熱放射ヒータ20をONにする(S−2。図7の経過時間t1)。そして、制御部は、安定した熱放射が得られるまでの所定のヒータ安定時間t2の到来を監視する(S−3)。このヒータ安定時間t2の経過後、制御部は、防火システム10を起動し、放水を開始させる(S−4。図7の経過時間t2)。
【0040】その後、制御部は、放水が安定するまでの所定の放水安定時間t3の到来を監視する(S−5)。この放水安定時間t3の経過後、制御部は、放水を停止し(S−6)、熱放射ヒータ20をOFFにする(S−7)。また、制御部は、ステップS−6やS−7の前後いずれかに、熱放射遮断性能を算定する(S−8)。この算定は、記憶手段に記憶した放水後出力O1、O2を呼び出し、これら両出力の比を求めることで算定する。これにて自動測定処理が終了する。
【0041】〔第2の実施の形態〕次に、本発明の第2の実施の形態にかかる放射計について説明する。ただし、特に説明なき構成および方法については、第1の実施の形態と同様である。この実施の形態に係る放射計40は、第1の実施の形態の放射計30の防水カバー36を省略したものである。この放射計40の斜視図を図8に示す。この図8に示すように、放射計40は、センサー部41と、噴射ノズル42とを備えて構成されている。
【0042】ここで、噴射ノズル42は、少なくともセンサー部41の熱放射感知面または赤外線透過フィルタ43に対して気体を吹き掛けることにより(ここでは、赤外線透過フィルタ43に気体を直接的に吹き掛けることにより)、熱放射感知面または赤外線透過フィルタ43に対する水幕の水の付着を防止する気体噴射手段である。すなわち、噴射ノズル42の先端部は、赤外線透過フィルタ43の近傍に配置されると共に、その先端部が赤外線透過フィルタ43に向くように配置されている。
【0043】そして、図示しない加圧源から乾燥空気が噴射ノズル42に加圧供給され、先端部からセンサー部41の赤外線透過フィルタ43に対して噴射される。このように噴射された空気は、赤外線透過フィルタ43に直接的に当たるので、水幕を形成した際に発生する水の粒子等が、この空気によって除外され、赤外線透過フィルタ43に付着することを防止できる。この場合には、防水カバー36を省略できる。また、気体は熱放射感知面に吹き掛けるようにしてもよく、この場合には赤外線透過フィルタ42を省略することも可能になる。
【0044】〔第3の実施の形態〕次に、本発明の第3の実施の形態にかかる放射計について説明する。ただし、特に説明なき構成および方法については、第1の実施の形態と同様である。この放射計50は、第1の実施の形態の放射計30の防水カバー36および冷却部35を省略したものである。この放射計50の斜視図を図9に示す。この図9に示すように、放射計50は、センサー部51と、噴射ノズル52とを備えて構成されている。
【0045】ここで、噴射ノズル52は、センサー部51の冷却面51aと、熱放射感知面または赤外線透過フィルタ53とに対して気体を吹き掛けることにより(ここでは、冷却面51aと赤外線透過フィルタ53とに対して気体を吹き掛けることにより)、熱放射感知面または赤外線透過フィルタ53に対する水幕の水の付着を防止すると共に、センサー部51を冷却する気体噴射手段である。
【0046】すなわち、噴射ノズル52は、センサー部51の全体を略覆う中空の筒状に形成されており、図示しない加圧源から加圧供給された乾燥空気が、この噴射ノズル52の一端(赤外線透過フィルタ53と反対側)から流入して他端側(赤外線透過フィルタ53側)から流出する。この際、乾燥空気が赤外線透過フィルタ53に直接的に当たるので、水の粒子等が、赤外線透過フィルタ53に付着することを防止することができる。また、同時に、センサー部51の冷却面51aに乾燥空気が接触して空気冷却作用を奏することから、センサー部51を冷却することができ、実施の形態1のような冷却部35を省略することができる。
【0047】(他の実施の形態)さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。例えば、上記の第1〜第3の実施の形態を並存させることも可能である。すなわち、放射計の構成に関して、第1の実施の形態の防水カバー36の内部に、第2の実施の形態の放射計40を配置してもよい。
【0048】また、図示した防火システム10の構成は任意の変更することができ、例えば、放水列12、13を3列以上配置してもよい。また、放水列12、13に対する熱放射ヒータ20と放射計30、40、50との位置は変更可能である。例えば、図1においては2列の放水列12、13を挟むように熱放射ヒータ20と放射計30とを配置しているが、この放水列12、13の間に、熱放射ヒータ20または放射計30を配置することにより、放水列12、13のうちのいずれか1列の性能のみを評価するようにしてもよい。
【0049】また、実施の形態3に示したように、センサー部51の冷却面51aと、熱放射感知面31aまたは赤外線透過フィルタ53とに対して気体を吹き掛ける場合には、これらそれぞれに独立して気体噴射を行なうように、別個の噴射ノズル52を設けてもよい。
【0050】また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順等については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、上述した制御装置の構成は任意であるが、例えば、上記測定方法を実現するプログラムを記憶手段に記憶させると共に、このプログラムを逐次呼び出してCPU(Central Processing Unit)にて実現することができる。
【0051】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、放射面は一定形状であり、実火炎のような周期的変動による影響の発生確率はきわめて低い。そして、放水で形成する幕に対して常に予想範囲内の熱的負荷を与える。これは試験面として選択した領域の大きさや位置に関係しない。このような環境で上記水幕を挟み得る対向位置へ放射計を配置し、前記放射面からの熱放射が上記水幕により受ける変化を測定する。よって、防火システムの性能を正確に安定して測定することができる。
【0052】また、本発明によれば、熱放射ヒータのヒータ本体に対して水幕の水が付着することが防止されるので、水の付着によって熱放射が乱されることがなく、安定した熱放射を維持することができる。
【0053】また、本発明によれば、赤外線透過フィルタに白濁が生じる等、水の影響によって熱放射の測定に悪影響が出ることを防止でき、防火システムの性能を正確に安定して測定することができる。
【出願人】 【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
【住所又は居所】東京都品川区上大崎2丁目10番43号
【出願日】 平成14年3月4日(2002.3.4)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明 (外1名)
【公開番号】 特開2003−250928(P2003−250928A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−57950(P2002−57950)